皮膚、 筋肉 ! 覚 動 心運動のパターン 頭頂葉 前頭葉 知覚 認識 理解 吶 ( 聴覚 思考 創造感情 意志 視覚 判断 己立思 一三ロ がどんどんできる人がいます。最近 ( 磁気共 鳴画像化 ) が発達してきて、この梗塞を見つけるこ とが容易になりました。すると一見まったく健康な 老人でも、一つや二つは小さい梗塞をもっているの がわかります。数が少なけれはよいのですが、これ 野が多数できてくると痴呆の原因となるのです。脳血 葉領 各管性痴呆のことを、多発梗塞性痴呆とも呼ぶといい る ましたが、その理由は血栓が多数できて起こるとい お う意味であることはすぐおわかりでしよう。 質 破しかし痴呆の原因は梗塞の数だけではありません。 大 むしろ場所なのです。脳には領野というものがある といわれます。すなわち、脳がもっ多種多様の機能 溝図 は、それぞれ別の部位 ( 領野 ) で支配されるというの です。その一例を図幻に示してあります。これを見 ると明らかなことですが、言語、思考、判断、創造、 127

胸腺の萎縮 新生児 細菌やウイルス / による感染のさ′ れやすさ 免疫能の強さ 、 O ことは後でもう一度ゆっくり考えて 胸みることにして、ではなぜ免疫能が よ低下するかを説明しましよう。し、 大しそれにはまず、免疫がどうして働 のくかがわかっていただかないと困る ので、そちらから始めます。 免疫とは読んで字の如く疫病 ( 流 ′齢下 低行病、感染症 ) から免れるという - 年の カことを意味します。本来、英語の ム月 疫 lmmunity とい、つ一一一一口 ~ 集は、免税とか 免 、つ 兵役を免れるとかいう意味から来た 伴 ものだそうです。 人類の歴史が始まって以来、コレ 1 萎ラやベストの大流行があり、何十万 図の という人が死んだという事件がたび ′ c

うことになりますが、これは不可能な話です。ェイジレスとは私の定義の後半部分、すなわち 機能の低下をできるだけなくそうという意味だと思えばよくわかります。 この定義の「加齢に伴う」の「伴う」に慎重な意味を盛り込んだつもりです。加齢に比例す るのではありません。ですから年齢によって機能低下の程度を正しく判断することはできない のです。それでも決して年齢と無関係ではないのです。これを「伴う」と表現しました。老化 と年齢との関係はこの程度のことであると了解していただければよいと思います。 老化は細胞のレベルで理解できるか 生命現象には種々ありますが、これを研究する場合、なるべく簡単な材料で研究できれば楽 る えですし早くもあります。遺伝という生命現象を司る遺伝子というものは、メンデルがエンドウ 黝豆を材料にして行った研究からその存在が推定されていました。・その後、肺炎双球菌というバ を クテリアを材料にした研究から、遺伝子の実体はどうもらしいと推定されたのですが、 老 本当にそうだということが決定されたのは、最も単純な系であるバクテリアに感染するウイル ス ( バクテリオファージ ) を材料にしての研究からでした。

個人の老化は年齢できまるか プロローグでも述べましたように、六十五歳以上の人を「老人」と呼ぶことになっています。 考えてみると実際にはこれはおかしな話です。六十四歳までは老人ではないのに、六十五歳に なった途端老人と呼ばれるようになるのですから。 そもそも老人とは何でしようか。老化した人だとすると、高齢化により身心の機能が低下し た人となりますが、六十五歳から急に衰えるとも思われません。一方前節では老化は後生殖期 において保障機構が低下したため起る種々の故障だといいましたが、では六十五歳から後生殖 期に入るのかといえば、そういい切れるものでもありません。 そういうことからいえば、六十五歳とはある目的のため、便宜上設けた線であると見るのが 妥当です。便宜上とは悪い意味でいっているのではありません。福祉の立場でいうなら、年金 を支給するとか、医療費を格安にするとか、在宅サービスを行うとか、すべての施策に対して はともかくある線を引いて、これから上を老人にしようということにしないと収まりがっかな いでしよう。あるいは、会社とか公的機関とかにあっては、新旧交替その他の意味で停年を決

痴呆と脳の老化 年をとってきますと誰でもが感じるのは、物忘れが激しくなるということです。特に人の名 前が出てこなかったり、いま聞いた名前をもうすぐに忘れたりします。「俺もほけたかな」と 感じたり、言ったりします。しかしながら、この「ほけ」を「痴呆」と同じ意味で用いている とするなら、それは間違いです。人の名前を忘れつほくなったりするのは、決して「ほけ」で はないのです。強いていえば、これは「脳の老化」であって、痴呆ではないのです。では脳の 老化と痴呆とはどう区別するかというと、精神科医は表 3 のようなものを用います。この表自 体は、現在聖マリアンナ大学教授の長谷川和夫先生が発案されたもので、「長谷川式テスト」 とよはれるものですが、他のものも大体似たようなものです。表の右側にそれぞれの設問に対 する配点があります。満点は三十一一点五分ですが、一一十一点以下十点までが準痴呆、十点以下 が本当の痴呆なのです。自分でちょっと試してみれは安心できるでしよう。このように、痴呆 と脳の老化とは別物なのですが、医者はほけと痴呆を同じ意味に使うのに対し、一般には、ほ 118

エピローグー一高齢化社会を暮しやすく つかりとそれに対処することが大変重要です。その意味で本書が少しでも皆様のお役に立てば と念する次第です。 211

今から六年ほど前まで、私は東京都老人総合研究所の所長をしていました。ある時私の友人 が訪ねて来て、「ここは老人が研究をしている所かと思っていたら、案外若い研究者もいるの だね」といいました。もちろんこれは冗談半分にいった一言葉なのですが、ことほど左様に言葉 の意味が不明瞭なことが多いようです。 高齢化社会という言葉もそうです。とり方によっては、その社会そのものが高齢化している とも考えられます。歴史の古い会社などは「高齢化会社」なのかもしれません。しかし高齢化 社会の意味するところはそうではなく、その社会の構成員が高齢化している、ということを指 していることはいケまでもありません。でも、構成員の高齢化をどのような尺度で測り、どの ように定義づけているのか。これに対してはっきりした答をもっておられる方は、案外少ない のではないかと思います。 構成員の高齢化を測る尺度は、少なくとも一一つあります。一つはその構成員の平均年齢を用 いる場合です。例えば構成員の平均年齢が六十五歳以上になったら、その社会は高齢化社会だ と定義しようというものです。 もう一つは構成員の中で老人が占める割合が、例えば七バーセントを越したらそれを高齢化

男女 147 男女 331 男女 144 343 541 156 人の生理的機能の表現ですから、 齢 プ齢集 年 一年京稿 »-a 値が下がるというのは生理的機能の , 東予 グが 減退を意味することになります。この 合こ囲 ′ 1 人 氏高割 意味からいっても、このは老化 コのの座 度の。ハラメーターとしてはますますの ヒ日一 レ ものだと考えてよさそうですね。 前に、老化とはあくまで生理的機能 ロ 日 下男ト の減退であり、年齢や寿命とは直接関 氏侃低をン や ~ 〕蟐ゼ係するものではないと力説しましたが、 総丿わ回 図そのものはこれらの間にはある程 度関係があることを示しています。 活殪よ吮 さらに表 8 には、連動機能を、「正 生たの究 常常しど研 常」、「家の中では普通に歩ける」、「つ 正日下に合 低も総 , やと人りかまり立ち」、「いざる」、「まったく歩 図やと老よ けない」、の五つの段階に分けていま 6()-69 179

もう一つ「平均年齢」というのがあります。これはあくまで現存している人の年齢の平均で すから、平均寿命とも平均余命ともその意味はちがいます。 「現在の平均寿命」という尺度からすれば、日本はたしかに世界一の長寿国ではありますが、 「老人の全人口に対する割合」という尺度では決して世界一ではないのです。老人が全人口に 占める割合は、日本は約十一バーセントですが、スウェーデンは二十バーセントに近いし、ド ィッ、フランス、イギリスなどの先進諸国はいすれも日本より高い値を示しています。 しかし問題は実にここにあるのです。長寿というと昔から大変おめでたいことであるとされ ています。世界一の長寿国などといわれると、オリンピックで金メダルでも取ったように誇ら しけに思うことが多く、その裏にひそむ暗い影があまり実感となってこないのです。すなわち、 世界一の長寿国でありながら、身の廻りには老人がそんなに多くないのです。「寝たきり」、 「ほけ」といいますが、実感としてそれほど伝わってこない面があります。 しかし、世界一の長寿国ということは何を意味するでしようか。それは近い将来に、日本に おける老人の割合が急増して、これも世界一になるということです。西暦一一〇二五年は全人口 の二十五。ハーセント近くが老人になると予想されています。 しかも、老人の五パーセントが痴呆になるという統計が世界共通の数字です。西暦一一〇一一五

て明らかであります。 状 特に問題なのは、細胞の突起が減少するだけではなく、 の 死によって細胞数そのものが減少することです。これを 体実際に細かく測定した人の例によると、上前頭部では九 錐 十歳の老人では成年の五〇パーセントから六〇。ハーセン 胞 トにまで減少しているということです。 経 神 脳の各部分の機能は神経細胞のネットワークで果され る ています。細胞死はこのネットワークの断線を意味する お のですから、大変なことです。年をとると物忘れが激し くなるということも、これで理解できると思います。特 上に述べたように、五〇。ハーセントも減少してしま のったのでは完全な痴呆になってしまうのではないかと心 加ま配される方もおありでしよう。 でも、それほど心配することもないのです。ます第一 図変 に、脳は決してその細胞を全部使うのではなく、むしろ 彡 /