お中元、歳には、毎年きまったものをあ目上の人にも、はきものを贈ってもよい げるのもよい お茶は仏事の返礼に使うから、新茶以外は一 お中元やお歳暮の時期になると、贈答の品選般の贈答には使わないとか、つばきの花は首が びに迷うものです。椅子のない家にクッショ 落ちるからと、きらう人がいます。また、目上 ン、洋服しか着ない人に帯じめというような贈 の方には、はきものや下着類を贈るのは失礼と り物では、かえって逆効果です。相手にびった されていました。品物の数は四は死に、九は苦 りの贈り物を選ぶことは、たいせつなことですに通じるといって避けるのがふつうです。この ・ : 非常にむずかしいものです。 ように贈り物についてのタブーは、相手が気に 贈り物に迷うときは、ピントはずれのものをする人の場合は避けたほうがよいでしよう。 贈るよりも、家庭のある人ならば、実用的な消 しかし、お茶好きの人なら、おいしいお茶を 耗品が無難です。また毎年きまったものを贈る いただけばうれしいですし、茶室では炉の季節 のり のもよく、私の家に、お中元には海苔、お歳暮にはほとんどっぱきを用いますから、私は、つ しおざけ には塩鮭を毎年贈ってくださる方があります。 ばきをいただくのは大歓迎です。また、身につ 「海苔が切れたけど、もうすぐお中元だから : ・ けるものの中でもっとも重宝ないただきもの : と贈り物を心待ちにされるようになれば、 は、下着とはきものだと思っています。要は、 シメたものです。 相手の人柄に応じた贈り物を選ぶことです。 214
ちゅうげん お中元の贈り物は、七月の初めから十五日 贈り物をさし出すときは、相手に正面を向 ける までにする 贈り物のていねいな包装のしかたは、奉書を 七月は、お中元の贈答に頭を痛めなければな じようげん りません。中国では正月十五日を上元、七月十二枚重ねて品物にかけ、後ろにまわして、紙の かげん らゆうげん 五日を中元、十月十五日を下元といい、合わせ端の右が下に、左が上になるように重ねます。 しよくざい て三元と称してこれを贖罪の日として、金品を一枚の紙を二つ折りにして使うときは、輪が下 になるようにします。水引をかけ、右上にのし ささげて罪ほろぼしをしたといいます。お中元 なまぐさ はこれから起こったもので、わが国では盆と結をつけますが、魚、鳥、海草、卵などの生臭い びついて、縁故や取引関係の間で贈答をする風ものには、のしはつけないのがしきたりです。 ま習がさかんです。下心のある贈り物は感心しまのしは、印刷したものでもけっこうです。 進物を出すとき、ていねいにするなら盆にの 晦せんが、とくにお世話になった方などに、機会 らをとらえて真心のこもった贈り物をして謝意をせてその上に袱紗をかけて出しますが、お盆も 旦表すのは、社会生活のうえから必要なことです。袱紗も仰々しくて現代的ではないので略すこと 元 が多くなりました。品物は一度自分に正面を向 お中元の贈答は、早すぎても遅すぎてもおか 四しなものです。月初めから十五日までにすませけておき、二回半ぐらいで品物をまわして、正 面を先方に向けてさし出します。 るのが適当です。 ふくさ 213
子どもが友だちの家族旅行に招かれたら、 あいさっ 母親は旅行前に挨拶にゆく 先日の新聞に、、 父兄からの贈り物がとどくた びにユーウッになるという教師からの投書があ 幼児も、幼稚園になると急に社交性がでて、 りました。生徒を差別なく愛しているつもりだ友だちの家へ遊びに行ったり、自宅に来てもら が、目をかけられているというお礼なのか、目 ったりして楽しい交流が生まれます。小学校に をかけてほしいというのか、理由はどうであれ、通うようになると、日帰りの家族づれ行楽に招 贈り物はやめてほしいという内容でした。 いたり招かれたりすることもあります。子ども 学校の先生への贈り物は、親のいやしい下心同士のケンカに親が顔を出すのは感心しません が見えすぎていて、いやなものです。進級で先が、子ども同士のつき合いには親も顔を出すべ で生が交替するときとか、卒業、先生の転任などきです。 友だちの家庭にお世話になったら、親がすぐ 業の際にクラス全体でお礼をするのが適切です。 らしかし、子どものからだが不自由だとか、知能お礼に。まして、家族旅行などに招かれた場合 産がおくれていて日ごろ先生に特別な世話をかけ は、旅行前にお願いの挨拶に行き、帰って来た 出 ているとか、長期欠席後に勉強の補習をしても ら、お世話になったことに心からお礼を言い、 一一らった という場合には、先生が負担を感じ かかっただけの費用をお支払いするなり、それ 第 ない程度の贈り物をするのがいいでしよう。 に見合うお礼の品を差し上げるのが当然です。 先生には個人でお礼をしない
贈り物に粗品とは書かないほうがよい 贈り物のお返しはすぐ返さない 人が生まれてから死ぬまでには、おめでたい 贈り物を先方に渡すとき、心をこめた手製の くや 品や、意味のあるおみやげには「母がつくった ことや、お悔みごと、お世話になったお礼、珍 しおから しいもののおすそ分けなど、贈答の機会はたく いかの塩辛でございます「けさ郷里から帰っ まったけ て参りました。これは実家の山でとれた松茸でさんあります。これらの贈答は、いわば、人と す。少しでございますが : ・ : などと説明のこ人とのほのぼのとした心の交流のための潤滑油 とばを。また適当な処置が必要なものには、「冷です。 従来の日本の作法では、物を贈られたら必ず 蔵庫にいれてくださいとか「すぐ召し上がっ 返すものとされていました。しかし、心から贈 てくださいなどと申しそえます。 で ま った結婚祝いに、無理をしてまで派手なお返し 自分の持参したものをけなして、「つまらな 晦いものですがとか「お口に合いませんでしょをするのは、贈り主の心に反します。外国には らうがなどというのはおかしなことです。同様お返しの風習はありません。贈られたら素直に 受けて、すぐお礼のことばや感謝の手紙を送り に、「粗品」と書く習慣も止めたいものです。 元 似たような感じでも「寸志」のほうがよろしいましよう。そして、誕生日のお祝いをいただい たら、こんどは相手の誕生日にお祝いを贈るよ 四でしよう。私は、そんな場合には「きもち」と うにしたいものです。 書くことにしています。 じゅんかっゅ
お盆の迎え央は、七月十三日の夕刻に焚く お返しをする 七月の大きな行事としてお盆があります。仏 しやか もくれん 人と人との心の交流の潤滑油となるべき贈答説によると、釈迦の弟子の目蓮の死んだ母親が がきどう も、使い方を誤ると虚礼になったり、場合によ餓鬼道におち、さかさに吊るされて苦しんでい ぞうしゅうわい っては贈収賄などという、醜悪な結果を招きまるのを助けてほしいと師に教えを請い、七月十 す。理由がはっきりしないような贈り物は受け五日に供養をしたのが盆行事のはじまりだと伝 ないことです。 えられます。「ウラバンナ」という原語が盂蘭盆 私の知り合いのある会社の重役夫人が、こんと呼ばれ、略して「盆ーとなったのです。 な話をしていました。「理由のない贈り物はハ 現在のわが国の盆は新・旧暦のほか月遅れも かまふた ッキリお断わりする勇気が必要だと思います。多く、期間も七月一日を地獄の釜の蓋のあく日 できれば包みをあけないで、そのまま郵便で送と、 レい、この日から門火を焚くところもあり、 り返すようにしたいのですが、それではあまり 七日盆といって七夕から準備するところもあり にもカドが立ちます。そういうときは 、いただますが、現在では一般に十三日を盆行事のはじ いた品の二倍近くのお返しを贈るのです。それまりとしており、この日にお寺やお墓参りをし も商品券がよろしいと思いますさすが内助のます。またこの日には、精霊が家に帰るのに、 功で知られている賢夫人だと感心しました。 道に迷わないようにと、迎え火を焚きます。 継続的に受けたくない贈り物には、倍額の はん うらぼん
贈答品は、その予算で買える最高品を選ぶ 贈り物を受けた場合、外国ではその場ですぐ ある会社から、昨年、大きなポリバケツには に包みをあけて、品物を身につけたりして、喜 いった洗剤をお中元にいただきました。この会 社は、毎年鍵の形をした寒暖計とか、寝るときびをあらわしますが、日本では、客が帰ってか に時計とか小物類を入れておくお盆などのアイら包みを解いて品物の評価をする悪い習慣があ ります。しかし、日本でも、お茶のほうでは、 デア商品を、市場に出まわる前にくださってい いただきものをすぐ使って、みんなで喜んだ たのですが、さすがに品物選びにくたびれたの り、花を持参してくださった方には、その場で か、こんどは実用品中の実用品でした。 はなしよもう 花をけていただく花所望という作法が昔から 実用品はムダにはなりませんが、感銘は薄い で ものです。贈り物には楽しさもとどけたいもあるのです。 型にはまった菓子折りなどをもっともらしく 晦の。平素、生計費のやりくりをしている主婦に 差し出されるよりは、暑苦しい夏の日でも、ち は、砂糖一箱よりも、同じ予算内の高級なハン 旦カチ一枚が喜ばれるでしようし、セーターよりぢこまるような寒さの中でも、折り折りの美し 元 花の包みをもらうのは、ほんとうに楽しいも も、同額の手袋のほうが気がきいています。同い 章 のです。贈答の品選びに迷ったとき、私は挨拶燔 四じ値段なら、それで買える最上級の品を選ぶの のカードをそえた花を贈ることにしています。 が贈り物のだいじなコツだと思います。 かま 355 贈答の品選びに迷ったときは、花を贈る
325 なり っうま 初午には、稲荷神社にお参りする の絵を描いたカードをそえる 二月の初めての午の日に行なう稲荷神社の祭 レい、この日にお参りすることを初若いお嬢さんたちと恋愛について話をしたと 礼を初午と、 もうで 午詣といいます。京都伏見の稲荷神社の祭神がき、ほとんどの人が「ほんとに好きな男性がい たら自分のほうからプロポーズをするごと言っ 和銅四年のこの日におくだりになったので、縁 日になったといわれています。私も子どものこていました。プロポーズは男性からするものと けいだい みやげもの ろ、境内の土産物屋で土の布や虫の鈴などをなっていますが、私も、場合によっては女性が 能動的に出てもいい と思っています。 買ってもらったのを覚えています。虫の鈴は、果 二月十四日の聖バレンタイン・デーはバレン 物にかけておくと虫がっかないといわれます。 じゅんきよう もともと、初午は、その年の豊作を祈った村チヌス聖人殉教の日で、これにローマ神話の のお祭りが原型で、それに、稲荷信仰が結びつ女神ジュノーが結びついてできた日といわれて います。欧米ではこの日には恋人同士が恋文や いたものといわれます。四月はじめの巳の日の 贈り物を交換する習慣があり、この日に限って 菜の花祭りの夜と、この初午のどちらかに雨が 降らないと火にたたられるとか、初午の早い年女性から男性に恋を打ちあけてもよいとされて います。贈り物にはハート形やキュービッドの は火事が多いなどの俗信もあり、初午は人びと の日常生活に密着している行事です。 絵のあるカードをそえるのがならいです。 ふしみ 聖バレンタイン・デーの贈り物にはハート 198
クリスマス・プレゼントは、すぐ開いては お餅は、十ニ月ニ十八日までにつく 、ナよ、 し ( ナし 年の瀬もおしせまって、いよいよお正月の準 贈り物を受けたらすぐその場で開いて、喜び備をはじめるころになりました。京都では十二 を表現するのが欧米の作法、ということはまえ月十三日になると、分家から本家へ、また、弟 に述べましたが、クリスマス・プレゼントだけ子から師匠へとみなそれぞれの名まえを書いた は、すぐ開いてはいけません。クリスマス・プ鏡併を持参して祝儀を述べる「事始めーの行事 レゼントは、美しい包装紙や、リポンできらびや が行なわれます。昔は、十二月十三日の正月事 かに飾りつけてあるままの姿で、クリスマス・ 始めに正月の用意にとりかかり、歳暮の贈答も ツリーにつるしたり、下に飾ったりします。そ始めました。そして、正月に使う松を山に切り ましてイプが明けたら、贈り物を開く習慣になっ に行ったり、餅をついたりなど、すべて十三日 晦ています。しかし子どもなどは、すぐ見たがる にしたのですが、近年は、正月飾りなども二十 らでしようから、中味を箱からとり出して、あき五日すぎに行なうところが大部分です。 最近は、自宅でお餅をつくことがほとんどな 箱だけを飾 0 ておくのも一つの方法でしよう。 クリスマス・プレゼントは、お歳暮の贈答と くなりましたが、もしつく場合は、「九もち ( 苦 四ちがうのですから、役に立っ実用品よりも、夢もち ) ーといって、二十九日につくのをきらう習 のある楽しい品を選ぶとよいでしよう。 慣があり、餅は二十八日までにつきます。 231
索 ページ 引 お屠蘇・ お墓参り 1 新 , 1 179 , 201 , 202 あずきがゆ 岩田帯 ー膳飯 〔あ〕 ・ 99 , 18 213 ~ 218 160 , 161 191 , 233 192 129 176 45 15 お彼岸・ 帯役・・・・ ・・・ 201 ~ 203 ・ 18 〔い〕 お布施 162 お盆・・・ お宮参り・・ 会葬ネし状 鏡餅 柏手 書初め 形見分け 教会婚・・・ 忌明け・・・ 還暦・・・ 元旦・・・ 神棚・・・ 門松・・・・ 〔か〕 〔う〕 ウェディング・ドレス・・・・・ 43 ~ 内祝い・・ お色なおし・・・ おうつり・・ 大晦日・・・ お食い初め・・ お悔み・・・ 〔え〕 永代供養・・・・ 〔お〕 ・ 105 , 112 ・ 79 , ・・・ 218 ~ 221 ・ 232 169 158 194 ・ 108 ・ 140 , 141 , 171 ・ 164 , 165 ・ 182 , 183 ・ 130 , 162 ・ 103 , 131 224 贈り物 お七夜 お年玉・・・ お中元・・・ お節料理・・・ お歳暮・・・ ・ 106 ・ 234 ・ 109 101 ・ 214 1 ・ 1 ・ 151 , 152 ・・ 213 , 214 〔き〕 ・ 173 , 175 , 1 行 ・ 34 , 58 ~ 62 挙式費・ ・ 87 〔く〕 供物・ 150 , 1 ( 1 )
駅の見送りは、きようだいやごく親しい友人 の二、三人が荷物の世話や事後連絡のためにつ いてゆくくらいにします。仲人や両親をはじめ、 目上の人は行く必要はありません。披露宴の客 が全員駅に詰めかけ、「バンザイ」を三唱した 、花婿の肩をたたいて「ガンバレョと激励 あか したりするのは垢抜けていません。「お幸せ にと言う程度にして、贈り物も小さな花東と で まかチョコレートの箱など大げさでないものを。 この新婚旅行の出発風景でもう一つ気になる トっ かことは、女性の帽子とドレッシーな服装です。 合服は活動的な旅行着に。帽子もふだんかぶりつ けているならともかく、こんな場合だけかぶる 章 一のは考えものです。かぶるならスポーティなも のをおすすめします。 145 仲人と両親は、新婚旅行を見送らない 仲人と両親は、新婚旅行を見送らない