ケニヤ - みる会図書館


検索対象: 女の人差し指
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1. 女の人差し指

おおげさ アフリカへ行ったのよ、というと大袈裟ですが、その中のケニヤで半月ほど遊んできました。 アフリカ大陸をさつまいもとすると、右側の真中へんをちょっと齧ったのがケニヤです。 東京から香港、バンコック経由で二十一時間。広さは日本の一・六倍。 人口は千三百万人。公用語は英語とスワヒリ語というので、スワヒリ語辞典というのを買っ て出かけました。 ナイロビは十年昔の東京赤坂といった感じ。モダンな高層ビルが立ち並ぶ清潔な街です。昼 間は暑いけど夜はセーターが欲しい凉しさで、本当にここはアフリカなのかなと疑うほどです が、車で三十分も郊外へ出ると、インバラという美しい鹿が群をなして草を食べていますし、 ひひ 更にもう一時間飛ばすと、バブーン ( 狒 ) が、停ったミニ・ ハスの屋根へ上ってきます。 わたしのアフリカ初体験

2. 女の人差し指

ッコの男たち。 こう書いていると、またゆきたくなってくる。 のぞ アフリカはケニヤに半月ほど遊んで動物を見たし、チュニジアとアルジェリアも覗いたが、 私を引きずり込んでしまったのはモロッコだった。 交通の便もよくない。旅行案内も不備が多い。ホテルの数も少ないし、食物もトマトと卵は おいしいが、あとはロに合わないものもある。ご不浄にいたっては、ドアがなかったり水が出 なかったり、全く無かったりで不便もあるが、そんなものがなんだといいたくなるほど魅力が こま見当らない色、景色、音ーーー全く異質の、未紹介の文化がここに残 ある。日本語の形容詞しし っているという気がした。 ( 「旅」・ 1

3. 女の人差し指

ある動物は異常に減り、ある動物は異常に増えているそうです。住む人たちも、昔はハダ で草原を走っていた黒い人たちが、古タイヤの改造品とはいえ、サンダルをはいて雨の洩ら い家に住んでいるのです。 観光にゆく方からすると、昔ながらの変らないアフリカを見たいと思いますが、それは文 国に住む人間のおごりと身勝手というものでしよう。 それでもなお、アフリカは凄いですよ。パリ やマドリッドの街を歩いて、ドキッとしたり 総毛立っことはまずありませんが、アフリカにはまだそれがあります。 深夜、ロッジのバルコニーに立っていると、闇の中から動物の声が聞えます。ハイエナのニ プコール。何かが何かに襲われたらしい断末魔の叫び。 ここでは生きることのすぐ隣りにごく当り前の顔をして死があります。 ケニヤ十六日の旅は全部ひっくるめて七十万円です。味わったさまざまな興奮と感動の重亠 を考えると、高くないなと思いました。 ( 「クロワッサン」町・ 1

4. 女の人差し指

今度からは、落着いてまずドアを触ってみよう。ひとっ利口になった。なにか覚えるとすぐ 試してみたくなるたちだが、 マンションやホテルの火事だけは有難くない。出来たら、熱い アに触らずにすみたいものである。 飛行機のなかで、非常ベルを聞いたことがある。 生れて初めて外国へ行った十五年ほど前のことだ。東京・香港間の、ちょうど中間あたりで、 リーンときた。 乗客は総立ちになった、と書きたいところだが、そうはならなかった。 一瞬ざわっしたが、・レが、 、 : へノ客席の中央あたりから鳴っていることに気がついたためである。 響きものんびりしている。 一人の乗客が、日本人の、あきらかに観光客と判る中年男性が、汗だくになって、床下にも ぐるような姿勢で、機内持ち込みバッグの中を探している。出てきたのは目覚時計であった。 ・ヘルがやみ、その男性は汗を拭きながら四方八方に頭を下げていた。パ ラバラとまばらな拍手 があった。 非常ベルのたぐいで、一番心に残っているのは、ケニヤで見たものである。

5. 女の人差し指

いう感じです。 霊長類ヒト科のはなしもしましよう。 アフリカには何十という部族がいます。ケニヤにも、いま政治を握っているキクュ族、牛 追って昔ながらの暮しをしているマサイ、ワカンバなど沢山いますが、私たちは、セスナ機一 スーダンに近い砂漠地帯に住むトルカナ族をたずねました。 幻の部族とか、青い人たちと呼ばれ、文明に背中を向け、ト / 動物の狩りと漁で細々と生き一 いる連中です。 しゅうちょう 草で作ったマンジュウ型の小屋に住み、はな輪をプラ下げた年寄りの酋長を中心に大家← で暮しています。 体一夫多妻のようにみえました。 カ子どもは全員ハダカ。大人も漁をする時は、一糸まとわぬスッポンポンの男もいました。 フ なかなかおしゃれで、男は赤、女は濃紺や渋い赤の、原由美子さん好みのいい色の布を体〔 ア しまきつけています。 わ エチオピア人を思わせる彫りの深い顔立ちと、一メートル八十センチはある身長。その脚 ( 線の美しさといったらありません。

6. 女の人差し指

人あり、ゆかず後家あり、本もの後家ありだが、同じ職種なのに仲がよく、頭株の威令よくゆ きわたり、冠婚葬祭の御付合いは勿論、ご不浄へ立ったときの店番は隣りが引きうける。この 仲間意識は、どうやら沖縄島民共通のものであるらしい 一軒が畳三畳ほどに女あるじ一人の小店揃いだが、彼女たちの政治カ経済力は大変なもので、 那覇市の市長選挙も、このオバサンがたの支持が得られないと当選はむずかしいというから凄 そう聞いてから歩いたせいか、皆さん、ひとかどの面魂だった。体格も堂々、松の根っ子の ような腕で反物を巻いている女丈夫とお見うけした。 ケニヤの首都ナイロビで、やはり市場を牛耳っているのがマーケット・マミーと呼ばれる女 性たちで、高見山関と取り組みをさせてみたいと思うほどの偉丈夫 ( ? ) 揃いだったのを思い 出した。彼女たちも大統領選挙に大きな発言力を持っていると聞いた覚えがある。 チョコレート色のマーケット・マミーたちも陽気だったが、 沖縄のマミーたちも明るかった。 よくしゃべりよく笑う。ラジカセの演歌に合せてからだをゆすり、大きな弁当箱をひろげて、 時ならぬ時間に旺盛な食慾をみせている。 このバイタリティを支えるのは何だろう。沖縄の人たちの普段の食事を知りたくなってきた。