結核 - みる会図書館


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1. 家庭の医学

8 腎臓結石 【症状」慢性に始まる場合が多く、若い人に血尿があっ これは石が腎臓内にできる病気である。石があまり大き た場合には一応この病気を考えて尿の検査を受けるべきで ~ 、なければ腎臓から尿管に石が下って尿管結石症となり、 ある。この時尿の中には白血球や赤血球が多くまじり、結・ 又更に膀胱におちると膀胱結石となる。 核菌を証明する場合が多い。肺に結核がある場合と、肺に . 「症状と治療】腎臓結石症の場合には石のある側の腰に は殆んど所見がなくて腎臓にのみ結核が起る事があるか 痛みがあり、又この石が尿管に下ると下腹部にひびく激しら、肺のレトゲン検査で異常がないからといって安心す 冫。いかない。肺には所見がなくても、何となく疲 い痛みが起る。そしてこのような発作が起る度に血尿が出るわけこよ る。激しい痛みにはモルヒネやパソサイゾの注射がよい。 れ易かったり、び熱が出たりする。又腎臓の結核が進むと 腎臓内や尿管内の石は外科手術によって腎臓又は尿管を開膀胱結核を併発し、排尿時に尿道にひびく痛みや、しムる いて石をとる。しかし石が小さければ発作毎に石はだんたような痛みが起る。この場合には膀胱鏡という機械を尿道 んと下に移動して膀胱内におちる。この場合水は充分にのから膀胱内にさし込んでのそくと、膀胱の内壁に結核によ るただれのあるのが見える。ある薬を静脈から注射してそ んで尿を多くした方がよい。又膀胱内の石は小さければ排 尿によって尿道をへて自然に外に出る。出ない場合には機の腎臓からの排泄の具合をレソトゲ写真で検査する事は 械を尿道から嵭胱内に人れて石をくだく。 腎臓結核の有無の診断に非常に参考となる。 【治療と予防】検査により片方の腎臓のみが結核におか 9 腎臓結核 されて、他方が全く健康であると診断された場合には、出 腎臓は結核におかされる事が少くない。 これは血液の中来るだけ早く悪い方の腎臓を外科的にとってしまうことが に人った結核菌が血行によって腎臓に運ばれるために起る一番よい。一方の腎臓結核をほっておくと膀胱結核とな 場合と、膀胱の結核が上行して腎臓をおかす場合とがあり、これが更に他側の腎臓に及ぶから危険である。外科子 腎臓の主な病気 る。

2. 家庭の医学

婦人病 進行してからはしめて下腹痛を感し、或は帯下がやや増加見ても 、如何に安静と合理的治療が結核の蔓延を防ぎとめ し時として血を交え、また総して微熱があるのに気がつく。ているかゞわかる。 またこれらの性器結核が発生しても単なる診察ではそれと 不姙症 診断しかねるので、子宮発育不全、子宮内膜炎或は卵管炎 と診定されて、見当ちがいの治療をつヾけている場合も少結婚後一回も受胎、印ち姙娠しない状態を不姙といい くない。また単なる子宮結核の初期では月経その他に少しこれに対し姙娠したが流、早産または死産のため子宝に物 この両者は原因の上からも全 の変ったこともないのが多く、よって自身でも病状を感ぜまれないのを無子症とい ず、また診察してもこれという病気を認めないのに長く姙く区別されなくてはならない。 娠しない婦人を詳しく検査すると子宮結核を発見すること真に不姙というのは女性が結婚してから更年期に達する まで夫婦生活をつヾけているにもかかわらす、遂に姙娠し が少くない。 なかった場合で、これでは治療の途がないから、結婚後」 ともかく女子の性器結核は世人の想像外に多い病気で、 年たっても姙娠しない場合を不姙症と認め、夫妻を検査す これが女子側の不姙原因の主なるもの & 一つとなってい , いる。何故に三年という年限をきめたかとい る。 ( 後段不姙の項参 ) なおこれから更に拡がって結核ること & し ( うと、母の九六 % 以上は結婚後三年以内に初産し或は姙転 性の骨盤腹膜炎或は同性の全腹膜炎を惹き起すこと長なり 近頃の治療によって生命への危険は著しく少くなったにせしている事実から、三年たっても未だに姙娠しなければ何・ かの故障があると考え、このま、では向後姙娠する望みも よ、生涯淋し い、かっ、不快な生活を送ることゝなる。 よって各年代、ことに若い婦人が肋膜炎或は肺結核等に甚だ薄いと推定されるがためである。わが国での調査によ 罹った場合は、早くから徹底した治療によって性器への蔓ると、真に不姙に終った配偶は全配偶の一割未満 ( 九 % 余 ) 延を防ぐことが肝要である。結核療養所に收容されているであるが、三年たっても未だ不姙の配偶は約】五 % に及ん 婦人患者に性器結核を合併している者が明かに少いことをでいる。

3. 家庭の医学

いまくえんの ) まくえん 結核性髓膜炎 ( 脳膜炎 ) 6 その他の結核 栗粒結核のうち、脳膜や脊髄膜に主に病気ができた場合 その他、心臓と筋肉以外の臓器はどれでも、結核に犯さである。 おうど れる危険がある。 頭痛、吐き気、嘔吐、高熱のくせに脈がおそい。更には ぞくりゅう 粟粒結核 意識が弱ってき、遂にはこんこんと眠るようになり、時み 血の中に人った菌がからだ中にばらまかれて起る。胸のけいれんして、数週間のうちに死亡する。およそ結核性と レソトゲ写真をうっすと、粟粒をまいたようなかげが一名のつく病気のうちで、最もたちの悪い病気であった。あ 面にうつるので、粟粒結核と呼ばれる。 った、というのは、化学療法のおかげで、この厄介な病気 血の中に人る菌の量やからたの抵抗力などによって、そも治るようになったからである。殊に子供の髄膜炎はよく の病状は千差万別たが、ふつう、高熱がつづいて息が苦し治る 9 但し、化学療法がおくれると、治ったあとに、いろ く、時にはチフスとまちがえられたりする。 んな症状が残る。知力が落ちる、ロがきけないつんぼにな のうまくせきずいまくはい しんのうろくまくふくまくかんぞうヒんぞう 脳膜、脊髄膜、肺、心嚢、肋膜、腹膜、肝臓、腎臓、脾る、記憶がなくなる、手足が利かないなど。もっと、化字 をうふくこ ) がん野んりっせん らんそうらんかん 臓、副睾丸、前立腺 ( セッゴ腺 ) 卵巣、卵管などに菌がば療法がおくれると、結局は治らない。 ようつい らまかれるが、菌の量によって、ある臓器にだけ主に行っ 診断は、前に書いた症状を参考にして、腰椎穿刺 ( 腰の背 たり、あるいは行かなかったりする。 骨に針を刺して、中の脳脊髄液の圧力や成分をしらべる。 こうとうぶ 早いうちなら化学療法がよく効く。最も劇的に効く。し結核菌が出てくれば最も確実。腰でなくて、後頭部に針を かし、おそくなると効いても、結局はいのちが救えないと刺すこともある ) を行って決める。 いうことにもなる。肺門リパ腺結核までのうちに、結核子供に多い病気だが、おとなでも老人でも起りうる。 をくいとめることが必要なわけを、よくわからせてくれるっとも、化学療法が行われるようにもなって、幸いなこと 病気である。 に、おとなや老人の髄膜炎はまるで減ってしまった。 核

4. 家庭の医学

肺壊疽でも、結核によく似たかげになる。つまり、判り切 いうものは、ますない。しかし、陽性だというだけでは、 レントゲンはかげにすぎない。かげから実 による人工陽転ではなく、自然ったことだが、 結核とはいえない。 に陽転した時は、たしかに結核だが、これも、それだけで体を想像する診断法である。だから、これだけでは診断が つかないことも少なくない。 はまだ病気だとはいえない。病気になるかも知れないが、 しんゼうけつかく 【結核菌の検査】肺結核なら痰の中に、腎臓結核なら尿 そのまま治ってしまうかも知れないからである。 うみ の中に、カリエスなら膿の中に結核菌を見付け出せば、こし 【レノトゲゾ診断」レゾトゲソ写真をうっしてみると、 病気ははっきりする。かげがうつるからである。レゾトゲは何といっても、最も確かな診断である。ッペルクリンが ゾ診断法にもいろいろあって、ふつうのレソトゲン写真の陰性でも、レ〉 ) トゲシがどんなにきれいでも、何も症状か だんそっさっえい なくても、結核である。しかし、逆に、痰や膿の中に、結 他に、断層撮影 ( 背中から何七ソチというふうに、ねらっ はようそう た深さの所にある病巣だけを写す方法 ) 立撮影 ( 二枚核菌が見付からぬときは、結核ではない、とはいえない。 写して立体鏡でみる ) 気管支造 ( 気管支の中に特別の薬つまり、菌が証明された時は診断は簡単だが、証明されな けつかんをうえい 、時は厄介である。 を入れて写す方法 ) 血管造影 ( 血管の中に特別の薬を人れ そこで、菌を証明しようとする方法に努力が払われてい て、血管をはっきりうっす方法 ) などいろいろの診断法が る。 ある。 とまっ 【塗抹検査】なり膿なりをガラスに塗って、菌を染め しかし、レントゲソ診断には二つの欠点がある。第一 は、結核性の病巣のすべてがかげとしてうつることは限らて、顕微鏡で見る方法である。結果はすぐ判るが、性能は ないことである。たとえば、肺の写真をうっしても、肋骨あまり良くない。菌の数が少い時に見逃される率か多いか や心臓のかげに、病巣のかげがかくれてしまうことがよくらである。 菌の数によって、ガフキー一号から十号まで分ける。一 ある。第二の欠点は、結核以外の病巣も、かげとしてうつ 一号というのは、菌が ることである。たとえば、肺の写真では、肺炎でも癌でも号が最も少くて、十号が最も多い。

5. 家庭の医学

くするため消化のよい栄養価のある物を摂取する事。便通を外側にのみ有するものを外痔と称し、父内部、直腸の をよくし、排便後に局所の消毒のため、薄濁にうすめたリ 粘膜の方にのみ開口を有するものを内痔とい 、 . 内外両・ ゾール ( 或はクレゾール ) 液にて肛門浴或は坐浴を行う。 方に開口を有するものを完全痔という。 これは排便後の汚物を落し、膿瘍の中の菌を洗い且殺菌痔はすべて慢性のもので、第カ月、数年も存在してい する。坐浴は大きな洗面器に温水を十分入れ、それにリゾ る。そして其の治癒の経過として、割合に厚い結合組織の ールの原液を一〇滴程おとしてかき廻すと液は薄く白くに層に包まれている。瘻孔の内面と中腔は、汚い色のドロド ごる。このリゾール液は可成りよい殺菌力を持っている。 ロした膿や悪い肉芽を以てみたされている。これに菌がい この液の中に臀部を一〇 ~ 一五分っけておく。終ったら乾て、容易に治應しない。表面から軽く押へて見ると、この いたガーゼを以て拭って乾かし、消毒ガーゼを手術部の上結合組織の索をふれる事ができる。それで皮下の瘻孔の存 におく 0 在を知る事ができる。 この壊孔のできるのは前記の肛囲膿瘍の排膿後に瓔孔と して残ったものがあるし、又知らぬ間に結核性の膿瘍が破 痔瘻は、肛門の周囲或は其の内部直腸の最下部に孔があれて瘻孔を作って何時迄も治らないで孔として残っている り、それから僅かな量の分泌物が出る。この孔は開口が線ものもある。統計上痔瘻は半数前後結核性、他の半数前後 香位のものが多い。そして深さ或は孔の長さは二 ~ 三センが非結核性といわれているが、素人は結核性として恐ろし チから一〇センチ以上に及ぶものがある。其の孔は皮膚のがる人が多い。 下をあたかも蟻の巣の如く幾すちも曲って皮下のトンネル 俗間に痔瘻から肺病になるといわれている。これは結核 をなし、所々に皮膚に開口を持っているのがある。又この性の体質の人に痔がしばしばあるのでいわれる説である 瘻孔は、深く内部へ侵人し括約筋の中或は内側に及び進んが、これは誤りで、結核性体質である事が肺にも、肛門周囲 で直腸最下部の粘膜に孔口を有するものもある。この開口にも、その病竈を作るのである。痔睫を手術すると肺病に 肛門と直腸の病気 二六七

6. 家庭の医学

食器と痰の潸養その他 か、症状によってちがうので、主治医によくきいて戴き こい。殊に、姙娠は、結核に悪い影響を与えることが多い 食器は、病人のものを専用にして、他の家族のものと別 ので、症状によっては避姙の処置を考えねばならないたろ にして、あとで洗えば一回すっ消毒することはない。せい ぜい一週一回ぐらい、 一まとめにして五分間煮沸すれば十 既に姙娠している人が発病した場合は、主治医に、姙娠 分たろう。 痰は、紙でふきとっておいて、集めて焼きすてるか、便をつづけていいかどうか決めてもらわなければならない。 姙娠は、三カ月をすぎると、中絶することがむづかしい。 所に捨てる。 また、病人の世話をする人は、ツベルクリソ陽性の人で未婚者が回復期を迎えて結婚を考える場合、男と女とでは なければならない。そして、病室に人る時は必ずマスクを必ずしも同一ではないが、ます、安静度八度になって二年 つけ、出る時は必す手を洗う。手は、クレゾールか逆性石以上故障がなかった、という条件が必要だろう。そして結 婚後も一年は避姙のこと。殊に、 . 回復者が女性の場合は、 鹸を使えば理想的たが、ふつうの石鹸でよく洗い流せば、 これらの条件を厳市に守って戴きたい。しかし、男性の場 それでもかまわない。 病室のはき掃除は気をつけること。茶ガラでもまいては合でも、結婚によって情神的な負担が増す上、赤ちゃんでも できると、少くとも睡眠不足はかくごせねばならない。 くか、拭ぎ掃除にかえること。 もう一度、書くが、何回培養しても菌が出ない病人の場れは、再発の好条件となりうるものである。 消毒は不要である。 △ロは、当然こういう 乳児のある女性が発病した場合、あるいは姙娠後半に発一 病したために分娩してしまった女性の場合、乳児に授乳し ていいかどうか、これも症状によるもので、必す主治医に〔 四、結核と結婚、姙娠、授乳 相談すること。培養しても菌の出ない人は、もちろん差し一 既婚者が発病した場合は、結婚生活をつゞけていいかどっかえないが、化学療法をうけていると、母乳の中に菌が 結核と結婚、姙娠、授乳 九五

7. 家庭の医学

泌尿器の病気 術をする場合にもあらかじめストレプトマイシソ及びパス膀胱の粘使が赤くはれて過敏になっているためである。こ の併用療法を同時に行った方がよい。両側がおかされてい の場合腹部をおさえると痛みがあり又しばしば不規則な るとなると先す内科的に右の化学療法を根気よく行って手発熱を伴う。尿はにごっている事が多い。 術の時期を待つべきである。化学療法を早期に始めれば腎【治療と予防】安静をとり、水分はできるだけ多くとっ 臓結核も内科的療法だけで治療される場合も少くない。膀て膀胱を洗うようにする。下腹がひえないように適当にあ 胱結核たけである場合には化学療法で比較的簡単に治る。 たためる。サルファ剤特にサイアジゾを充分内服する ( 一 若い人で血尿を来した場合には結石症によるか結核によ日四グラム ) 。大ていは一週間以内に治る。ペ一一冫リンは背 るかを出来るたけ早く決めてもらうべきである。 通効かない。 2 尿道炎 三、膀胱と尿道の病気 膀胱炎の多くは大腸菌性のものであり、この場合に尿 炎を併発して、排尿痛や血尿を伴うこともあるが、尿道炎 膀胱炎 の多くはりん菌性のものである。この場合には尿の中にう 。これについては性病の項を参 腎臓結核、腎臓結石、腎う炎等についで嵭胱炎が起るこみが認められる場合が多い とがよくあるが、尿道からの細菌の侵人のために膀胱の炎照されたい。 症を起す場合もよくある。これは特に子供、婦人、お産の 3 前立腺肥大 後などによく起る。 【症状〕何回も尿に行きたくなるが、一回の尿量は、少な男子の老人では尿道の根本にある前立腺が肥大して尿道 く父尿が出にくかったり出る時に痛みを感じたり、出た後を圧迫し、そのため尿路が狭くなって尿がうまくでない。 にも尚尿が残っているような不愉快な感じがする。これは又は排尿に時間がかかる事がある。これに対しては、ひど

8. 家庭の医学

腰痛を来す病気 腫 陽結核または結核性 微熱と慢性消化不良、お腹のどこということのない鈍痛 結核菌の感染による。 腹膜炎 軽度のお腹の腫脹等を訴える。肺結核のある人に多い ( と・世 l) 子宮から左右に出る卵管月経が一 ~ 二カ月なかった後、急に猛烈な下腹痛ととも 子宮外姙娠中で受胎した胎児が、あに下血を来し、腹膜炎症状として嘔吐腹部腫脹を来す。 ( 三一六・三三九 ) る程度大きくなると卵管顔面蒼白となりショック状を来す。すぐ処置しないと生 命を失う。 が破裂する。 疲れたとき、姙娠のとき、月経のとき、お産のとき、老 人には腰痛が多い。 伝染病の前ぶれとして腰がだるく痛むことが多い。殊に チフス、とうそうの場合、勿論これ等の場合は高熱を伴 腰部の不快感、鈍痛があり、ひどい時は猛烈なさし込みを 腎臓結石腎臓中に石が出来る。脇腹から腰にかけて覚える。このようなとき血尿が出、 熱出る。 瘍腰椎や骨盤内に腫瘍が出結核菌が脊椎骨をおかす。原因がよく判らないで腰部に 鈍痛を来す。ももから足の方痛くなる。 ( 天六・一毫 ) 来る場合。 年齢による関節の変調に四、五〇歳頃になって肩の運動をすると手が痛くてよく 四十肩、五十肩 動かせない。殊に後等には廻せない。そのため帯等まけ ( 一一会 ) よる。 四七七 痛みを主な症状とする病気 一般的な腰諸色《 0 病気による。 ( 一六五 )

9. 家庭の医学

べる。だから培養でも菌が出て来ない時は耐性がしらべら治療することが化学療法時代になっても、結核を解決する れない。というよりも、培養でも菌が出なくなれば、まず耐最も有力な方法である。 ちよくたっ 性はできて来ない。逆に、化学療法をつづけているのに、 5 直達療法 菌が出てくるようなら、耐性が殆んど必すでてくる。たか 肺の病巣に直接手を加える療法である。筆頭は肺切除術 ら、古い空洞がある場合は、三 ~ 四カ月もすると耐性がで 他には空洞切開術、空洞吸引術などがある。全部手術であ きる。古い空洞には、化学療法は効かないからである。 る。ふつう、外科療法と呼ばれるものは、この直達潦法と 化学療法の効かない結核 結核性の病気はすべて、新しいうちなら、化学療法たけ虚脱療法中の成形、充填縫縮術、肋膜外気胸などを合わせ たものである。 で完全に治る。影も形もなく治ることさえある。しかし、 直達療法の中でも、空洞切開や空洞吸引は、特別な場合 結核の診断はどうしてもおくれがちなので ( 症状が少いた しか行われないので、ここでは肺切除術の説明たけしてお めに思者が医者を訪れない ) 発見がおくれることが多い。 こう。 そこで、せつかくの化学療法が、おくれて行われることが あまりにも多すぎる。 肺切除術というのは、肺の病巣のある部分を、切ってと おくれて使われるほど化学療法の効き方は悪くなる。そろうという手術である。原理は至って簡単だが、この手術 が完成するためには、化学療法、全身麻酔などの発達が必 のいい例は、先の、古い空洞である。使っているうちは、 咳や痰がヘり、食欲も出てふとるが、痰の中の菌は一時は要であった。 へっても、やがて耐性をもち、病状が逆もどりしはじめ切りとる肺のひろさによって、片肺全部をとる肺切除、 る。 片側の半分ないし三分の一とる肺葉切除、肺葉の一部分た ろいろの術式がある。結局、 これは肺の場合たけでなく、腎臓でも、カリエスでも、けをとる肺区域切除など、い すべて共通した事実である。たから、早く発見して、早く病巣のひろがりに応じて、どんな手術かいいかが決められ 結核の治療

10. 家庭の医学

核 た人は、日本中にたくさんいる。よく適した症状の人に、 上手に ( 医者の側だけの間題でなく、病人の側からも、週 一回きちんと気胸を受けるとか、安静度を守って生活のは めをはすさないとか ) 気胸をつづければ、気胸もばかには できない。 しかし、ほんとうをいうと、気胸で治るような結核なら 化学療法あるいは気腹でも治るし、気胸でも治らない結核 なら、結局は手術しなければ治らないようである。 = 一年も五年も気胸して、治ったと思って気胸をやめると また再発することがある。長年の気胸のためにつぶれてい はいせっしょ 時間のむたが省けた筈である。あるいはまた、気胸をして も、空洞がつぶれなかったり、つぶれたように見えても、 痰の中に菌が出ていたりするようでは、何年気胸をつづけ ても、まず治らない。そんな時も、いいかげんでかくごを 決めて、他の治療法にうっしてもらうことが必要である。 気胸は、肺を包んた二枚の肋膜の間に空気を人れるのだ から、肋膜炎をしたことがあって、この二枚の肋膜がくっ ついて ( 着して ) いると、気胸ができない。また應着が 八四 一部分だけのときは、気胸はできても、図 9 のようになっ 第 9 図 第 10 図