3 両手のひらを上に向けて元に戻したら、膝を正面に 向かせる。両手、左足を下げていく。 リ 8
ションはロック。少しばかり体力には自信があるつも過ぎた六十二歳である。体重六十キロ。この痩身のど 8 こに秘めたカがあるのか。 りでいた。ところが弟子たちと手合わせしてみると、 恥ずかしいほど、コロコロと負けた。 「筋肉には力を入れたり、緊張させてはいけない 西野の語る呼吸法は、これまでの武道の理論と大き 「筋力やスピードだけに頼らない武道。そうした世界 く違っていた。 を呼吸法は作りだしている」 ちゅうゆう 西野皓三はそう一言うと、弟子のひとりに対し、胸め 「逆に緩めるんです。宙遊といって、空中に漂うよう がけて思い切り突いてこいと命じた。百七十三センチな雰囲気の中で身体を動かす 由美かおるはレオタードにジーンズのジャン。ハーを の西野より背丈のある弟子が、充分に腰を落とし、す はおったまま、西野門下生が吹っ飛ぶ光景を見守って ばやい上段逆突きを入れた。ところが、突きが当たっ た瞬間、攻めているはずの弟子が、飛び跳ねるように 浮きあがり、そのまま吹っ飛んでしばらく起き上がれ 「ほんとに不思議ですが、これも呼吸法の持っ力なん なかった。 ですね。足の裏から息を吸い、その意識を丹田に落と 『気』。西野皓三は呼吸法によって会得したこの不思すーー私もこの呼吸法を学んで助けられたことが、何 議な力を " 気〃と呼んだ。 度もあった」 白昼の公園で見せつけられた呼吸法の威力。しかし、 「″気。でわからなかったら、生命エネルギーと呼ん でも結構。呼吸法によって、本来、人間が持っていた西野皓三は「秘術や秘技の類いではない。訓練すれば、 潜在的な能力、パワーを引き出すことができるんで誰でも″気″は出る」という。 直弟子のひとり由美かおるも " 気〃を出すことがで す。 呆然と、眼の前で起こる出来事を眺めていたが、我きるのか。 に返って気がついた。西野皓三は四人の弟子を相手に 彼女は " 気。の存在を知るところまで到達している れつばく のだろうか 裂帛の気合 する前、準備運動ひとっしていなかった。ー いを叫ぶわけでもなく、すばやい動きを見せたわけで 素朴な疑問を持ちながら、わたしは由美かおるの歩 たど んだ道を辿ってみることにした。 もない。しかもはるかに若く見えるが、西野は還暦を たんでん
ーえ氤ーい 上体は倒したまま、真正面を向く。両腕は床と平行 にして指先を立てる。 真正面を向いたところで上体を起こす。息は吐き続ける。 118
今朝 西野流呼吸如 息を吐きながら左手を上に、右手を下に移動させる。 肩に力が入らないように注意する。 2 足芯呼吸で息を吸いながら手のひらを下に向け、 両手を胸の高さまで上げる。 両手のひらを外側に向け、右足を左足の後ろに交差 させる。このとき、右足はつま先立ちとなる。 14 う
旋蓮 ″旋蓮〃は、″蓮″の花が太陽をいつばいに浴びて輝き、 その光があたりに " 旋り″広がっていくようなイメージ で一何いましょ一つ 仰向けに寝て、膝を立て、しつかりと″足芯呼吸〃を 行います。 はす めぐ 西野流呼吸法み 腰を浮かせるときは、意識を " 丹田 ( 下腹 ) 〃にもっ ていき、身体はつねにやわらかく保ちます。 つま先を床につけ、足を大きく前後に開く姿勢では、 無理をせずマイベースで行いましよう。 内臓の働きをよくし、太腿を引き締めます。 ↑ー仰向けになってリラ ックスし、手のひら を床につける。 足芯呼吸で息を吸い ながら両膝を立てる。 3 さらに吸いなから、 おなかの上まで足を 上げる。 126
足芯呼吸で息を吸いながら上体を起こす。 指先を外側に向け、手の甲を床につける。
皀を吐きながら身体を正面に向けていく。 両手を広げ、指先を立てる。 軽く息を止めたまま、身体を右側へねじる。 142
魯 0 ハ 3 両手を頭上に上げ、手のひらを上に向ける。 9 軽く息を止め、気持ちを丹田に下ろしてから上体を 右側へねじる。
さらに吐きなから、 左手と左足をゆった り , A 」横に伸、は亠 9 。 続けて息を吐きながら右腕 を床につける。左腕は手の ひらを上に向ける。
今けー 西野流呼吸法如 息を吐き終えて、最初の姿勢に戻る。 さらに吐きながら左手のひらを外側に向けて下ろしていく。 147