いかにも野梅らしく , 枝打ちはよく , 幹に古木の趣きが感じられます。 野掏 ー古木ー
緋梅ー古木ー幹の太さと主枝の働きと がよく調和しています。 野掏ー古木ー袋式の鉢とうつりがいい ようです。
野掏ー古木ー幹に苔ののった趣きは古木 の梅ならではの味です。 イ 梅の場合、日光に十分あ てて、潅水は鉢上が白くか わいたつど、たつぶりと与 えてください。 また、蕾の ころ、時々、霧水をかけて やるとよいようです。花が 散って新芽がもえだすころ、 古枝を切りつめ、新芽は十 分にのばしてから芯をとめ るようにします。一一番芽に は蕾をもちませんから、こ の際よく注意して、花芽を ) 適当に残すようにします。 肥料は五月から入梅までと 夏の土用後から九月までの 間に五、六回、油粕か骨粉、過燐酸石灰などの うすめたものをやります。なお、うえかえは毎 年三月の中、下句に行ないます。 あらかす を 8 5
0 を、 し・ 辛夷 ( こぶし ) ー取幹ー 辛夷 ( こぶし ) はもくれん 科の一種で、わが国の山野に 自生する落葉喬木です。花は 白色六弁、芳香があり、春三 月 . 、 ~ 集にさきがけて枝 - さきに 一花をひらきます。若木より も古木となったものの方が花 付が多いようです。主として 花を賞するものですから、樹 ( ものは 次女としてはとくにい、 少ないのですが、いったいに 直立する性質なので、この木 のようにいちおうの形に仕立 てられます。なお、辛夷の語 源はその実が拳状になること からきているといわれていま す。 0
寒紅梅ー斜幹ー 梅は百花にさきがけて清 楚な花をひらき、馥郁と香 りを放つもので、古来から 文人墨客にもてはやされて おります。その種類は三百 数十種ともいわれています が、盆栽としては、野梅性、 紅梅性、緋梅性がおもなも ののようです。 この木は寒紅梅で、野梅性 より変化して紅を点じるも のです。古木で、幹の古び はみごと、しかも、鉢こば れ ( 鉢の縁より外にでた枝 の趣き ) に妙味が感じられ ます。 かんこうは、
山毛﨔ー石付ー これは山毛﨔の盆栽とし ては名品です。完成された 木ともいえましよう。かな りの永い培養をへてきたも のと思われます。味わいと しては、平野の木よりも、 やや、山間の趣きがありま す。岩上にしつかりと根を ふまえた三本の古木が根を 癒着するまでに星霜をかさ ねた姿です。三本の木が単 調にみえなカら、枝にいく ぶんの変化をもたせていま す。枝さきもやわらかく仕 上げてあります。
幹に古びがきており、樹姿もよく 富士桜ー古木ー富士桜としては名木といえます。 桜 ( さくら ) 桜の種類もかなり多いの ですが、盆栽として最も好 まれているのは富士桜でし よう。富士山麓に特に多い のでその名があるのですが、 自生地の環境から、矮性に して強鍵、花も淡紅色小輪 で品位があり、木も花も見 られるものです。このほか、 いまはきわめて少ないよう ですが、かって、朝鮮山桜 ( 南鮮智異山原産 ) も矮性 ト輪、盆栽仕立にむくもの として珍重されました。ま た、緋寒桜 ( ひかんざくら ) は概して矮性、枝打ちがよ く、しかも、日一・ ~ 脊から美し 0 7
ー株立ー 杉も日本人には親しみぶかい樹種です。野原の一 本杉のイメージは幼いころから私たちの心のなかに あります。ところで、この杉はやや技巧的な趣きの もので、一株から五本の幹を立たせ、いわゆる武者 立 ( むしやだち、株立のとくに勢いよく立っ姿のも の ) として作り、樹形の面白さにポイントをおいて あるようです。土表面をいくぶん広くとったのも、 この場合は有効でした。 く杉ー直幹ー 杉の盆栽としては名品です。神社の境内にそそり 立っ古木のような、一種の神々しさが感じられます。 こまかい点をみますと、根が力強く張っていること、 それから一の枝 ( いちのえだ、一番下の枝 ) を短く して、時代 ( じだい、古びた趣き ) をよく表現して いること、 小さな枝をジン ( 白骨化 ) にしているこ となどが、この木の見どころでしよう。もちろん、 幹の線と太さのぐあいもみごとです。 彡ノ
皐月 ( さっき ) 容色彩の変化に富み、まことに多種多様ですの 皐月は日本の原産で、ほとんど全国にわたつで、まさに国民の大衆花といってもよいほど、 て栽培されていますから、種木の入手はきわめ広く愛されています。 て容易で、しかも、丈夫で生長が非常に早く、 元来、変異性に富むところから、昔より続々 どんな樹形にも仕立てられ、そのうえ花は、花と新品種が作り出され、その紹介だけでも、相 当に厚い本になりそうです。大きく分ければ古 で す花と新花とにわけられ、古花では「大否」 ( お 波で 松品おさかずき ) 、「緋の司」 ( ひのつかさ ) 、「松 逸波」 ( まつなみ ) 、新花では「華宝」 ( かほう ) 、 のる 咲れ「栄冠」 ( えいかん ) などはとくに有名です。 りら 絞作十分に日光にあて、そして潅水してください。 重も 一て腋芽は早くかきとり、新芽は二、三葉を残して でし 花と切りつめるようにします。花時を除いて生育中 古木はうすい水肥を与えます。 うえかえは若本は毎年一回、老本は一一年目に 一回、花が散ってから行ないます。なお、皐月 の土壌は、鹿沼土 ( かぬまっち ) を主に、山苔 皐を加え赤土を少々まぜるのが常法です。 1 ・ 5 7
土佐水木ー直幹体ー 土佐水木 ( とさみずき ) は、まんさく科に属する潅 木です。原木が土佐の山中 に自生していたので、こう 呼ばれているのでしよう。 春、葉に先がけて、淡黄色 の ~ 化を七、八個、穂状に垂 下させてひらきます。独特 の美しさをもつものといえ ましよう。ただ、枝の生長 が早く、幹の太くなるのが おそいので、盆栽としての 名木はほとんどありません。 この木などは樹形のととの っている方です。