ことば - みる会図書館


検索対象: 続 冠婚葬祭入門
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1. 続 冠婚葬祭入門

女性用の結びことばは〃かしこ〃である 冒頭語と結びことばは一致させる そうろう 鎌倉時代の武士の日常語であった「候」 ( 現二筆参らせます「つつしんで申しあげます」 在のマス、デス ) が手紙の候文になり、ごく最「前略ごめんくださいと、女性の場合はやわ 近まで使われてきましたが、今ではまったく姿らかい書きだしではじめ、拝啓、謹啓といった を消し、わかりやすく書きやすい現代の日常語 冒頭語は使いません。そして結びことばは、 で手紙は書かれるようになっています。形式に しこです。これはおそれかしこみ、つつしんで きようこうきんげん とらわれずに書く手紙は、たしかにその人の豊申しあげますという意味の恐惶謹言と同じ意味 かな人格を表現しますが、昔からある冒頭語をで、かしくとなまってもよいのです。さらに丁 使った場合は、それにみあった結びことばを使重なあなかしこ、あらあらかしこもあります わないと、かえって教養を疑われます。 が、まず使うことはありません。 ふつうの手紙の冒頭語は、拝啓、拝呈、啓白 なお、前文省略のときの冒頭語には、可 などで、結びことばは、敬具、拝具、敬白。丁略啓、十啓、冠省、略呈があり、急用のときは、 重な手紙は、謹啓、謹呈、恭啓などで、結びこ 急白、急呈、火急を使います。この場合の結び とばは、謹言、謹白、頓首、頓首再拝。返信用ことばは、取り急ぎますという意味の、草々、 そうそう は、拝復、謹復、敬承などで、結びが、拝答、 怱々、早々か、十分に意がつくせませんがとい 謹答などです。女性の場合はつぎにのべます。 う意味の不一、不備を使います。 174

2. 続 冠婚葬祭入門

ひろう 会社、事業所の新築披露は盛大に行なフ は使わない 個人の住居の場合、ふつう地鎮祭にだけ神官 を招きますが、公共の建築物とか会社、事業所 新築披露の日だけは、主人側は浴室も台所も などの大きなビルの場合は、地鎮祭のほかに定すべて案内するのがふつうですが、条内を待た はら 礎式、立柱式、落成式にもお祓いをしてもらうずに客が自分勝手にあちこちのぞいて見るのは ことが多くなったようです。 失礼です。 会社、事業所の落成式は、午前中に施主側の 家を建てるということは、一生のうちで幾度 社員一同と請負業者だけで式典を行ない、午後もないめでたいことですから、心からの喜びと は多くの客を招いて建物の披露と祝宴が盛大に賛辞をのべます。「ここをこうすればよかった 開かれるのがふつうです。式典は、施主側社長のにというようなことばはつつしみましょ から請負業者へねぎらいのことば、請負業者のう。また、家そのものをほめないで、見はらし 接謝辞、来賓の祝辞の順で進められます。この厳ばかりをほめるのもおかしなものです。昔は赤 粛な式典に対して、披露の祝宴には対外的な宣 い色のものを贈るのさえ忌んだくらいで、新築 応 伝の意味がたぶんにあるのですから、ホールな祝いの挨拶に火に関することばは禁句です。ほ かに、倒れる、つぶれる、こわれるなども忌み 二どの広い場所に席を設けて、盛大に行なわれる 第 のが習いです。 ことばになっています。 あいさっ 新築祝いの挨拶には、火を連想することば

3. 続 冠婚葬祭入門

0 同僚への結婚披露の招待状は、毎日顔を合 結婚祝いの手紙には、帰る、去る、戻るな どのことばを使わない わせている人にもだす どうしてもお祝いの手紙がおそくなった場合 サラリーマンの方で、職場に友人、同僚の多 い方が結婚なさるとき、披露宴に招待する人選は、まず、その理由を率直にのべてから、お祝 いの本題にはいることです。せつかくの祝いご がむずかしくて困るということを聞きます。 とを台無しにしない心づかいこそ、祝賀状には 全員招待できれば問題はないのですが、どう いちばん大切なのです。 しても人員に制限があるからです。こんなとき ですから、お祝いの手紙だけは、絶対に粗末 は、世話好きの先輩にお願いして、忘年会など な封筒、便箋の使用は禁物です。文字も〈タな を開く要領で、職場での祝賀会を開いてもらう ら〈タなりに誠意をこめて書きます。また、昔 ようにします。気のきく先輩なら〃チョンガー お別れ会〃などと、会費制で上手にやってくれから結婚のお祝いには″去る、出る、別れる、 かさ 紙るものです。そして、結婚披露宴 ( はごく親し離れる、切れる、戻る、飽く、浅い、重ねて〃 こわ い同僚だけを招くようにします。この招待状など、新築には〃火、燃える、焼く、壊れる″、 は、たとえ毎日顔を合わせている人にでも、正 開店には″倒れる、潰れる、下がる〃などの忌 じようだん 三式に発送するのがエチケットです。ただし出欠みことばがありますから、たとえ冗談でも、そ れに類したことばを使わないことです。 の返事は、口頭で受けてもかまいません。 181

4. 続 冠婚葬祭入門

4 病人が言い出さないかぎり、病気の話はし 病気見舞いにかおりの強い香水はつけない 病室にはいるときは、面会時間でも、便器を 病人にむかって、「まあ、すっかりおやつれ 使っていたり、からだをふいていたりしている いくらほんとうで ことがあるので、かならず来訪をつげて、許可になってなどのことばは、 を得てからにします。面会時間は五分から十も口にしてはいけません。「思 0 たよりお元気 分。床に起き上が 0 ておしゃべりができるようそうで安心しました「思 0 たよりお顔色がよ くてなどと、こんな場合「思ったよりーとい な場合でも二、三十分が限度です。相部屋の場 合は、まわりの病人にも軽く会釈をして近ようことばは案外重宝です。 やまい 不治の病の場合は、病人に隠していることが 、静かに話して早めに切り上げます。隣り合 ふつうですから、よけいな同情めいたことばを った病人たちにも、帰るときは「お大切に。」 言ってはいけません。いずれの場合でも本人が を忘れぬようにします。 接子ども連れやおおぜいでガャガャ見舞うのは言い出さないかぎり、病状を根掘り葉掘りたず 遠慮すべきです。服装も化粧も清楚を第一にねないこと。話題は明るい世間話が無難です。 応 し、とくに強いかおりの香水をつけるのは非常付添いの家族に「お疲れさまで : ・ : きとねぎら = 識です。興奮させるだけでなく、呼吸器系の病うのはよいのですが、病人の前で「お大変です ねなどと言うのは無神経すぎます。 人には悪影響があります。 103

5. 続 冠婚葬祭入門

きか 第後輩にあたる友人でも " 大兄。 " 学兄をの 蹴宛名の左下に書く " 侍史、机下。などは敬 敬称を使ってよい 称ではない 敬称には一般的に使われる「様」、目下の者に よく宛名の左下に「侍史」「机下」などと書か づけ は「殿」 ( 公用・事務用では目上にも使う ) 、友れていますが、これはわき付といって、この手 人あての「君ー、教師や医師には「先生」、画家紙は秘書をとおしてお読みください ( 侍史 ) 、こ は「画伯」、官庁や学校、会社、団体あてに「御の手紙をあなたの机の下にさしだします ( 机下 ) 中」と書くほか、先輩への敬称として「学兄 , という謙遜の気持ちをあらわしたことばです。 けんだい たいじん 「大兄ー「賢兄ー「賢台」「大人」があり、女敬称は氏名の下に書きますが、わき付は氏名 性でもときに「賢姉 . と使う場合があります。 の左下に書き、封筒に書いたことばと、手紙の 先輩に対する敬称が多いということは、先輩最後に書くことばは同じにします。他に「貴下」 と後輩、年齢がたいして違っていない友人どう「足下ー「御家扶ーなどのほか、両親には「膝 紙しの間柄が、手紙を通じていちばん深い人間関下」、僧侶に「見下」、相手が多数なら「各位」 係を結んでいることを物語っています。そして、 「各座ーで、女性の場合は、「お許」「お許に」 せっさたくま 手 この場合、相手が後輩でもお互いに切磋琢磨を「お前」「おん前にー「みもとにー「みまえに」 三誓いあう意味で、「殿」ではなく「学兄ー「賢兄」「おそばー「おんあたりに。「まいらすー「まい 7 と相手をうやまう敬称を使ってよいのです。 る [ があります。

6. 続 冠婚葬祭入門

贈り物をするときは「つまらないものです 袱紗をかけた贈り物は、風呂敷ごとそのま まで先方に差し出す が。」と言わない 知り合いの外国人の奥さんが私の誕生日を覚 正式の場合は贈り物を白木の折敷にのせ、そ じようもん えていて、「あなたにきっと似合うと思って。」 の上に袱紗をかけます。袱紗は家の定紋のつい すなお かさねかけ と、ブレスレットをくださいました。この素直た重掛が正式ですが、定紋なしでもかまいませ な贈呈のことばが、たいへんこころよく私の心ん。さらにその上から風呂敷に包んで持参する にしみ入りました。 わけです。風呂敷も定紋つきが正式です。 贈り物をするときは、「つまらないものです 座敷では、座ぶとんをいただくまえに、品物を が。」「どうせお口に合いますまいが。」「まこと床の間から遠い下座に置き、ご主人に「このた に粗末なもので失礼ではございますが。」というびはお嬢さまのご結婚おめでとうございます。 けんそん 謙遜のことばを添えるのが礼儀と思われていまこの品はーーー」と、贈り物の趣旨をのべる挨拶 す。しかし、これは相手を驚かす意味で使うなをします。そして先方のお礼の挨拶を受けてか らよいのですが、ただ形式的に使うのはおかしら品物をひざ前にまわし、風呂敷ごと二回半ぐ なことです。同じように、表書きにも「粗品」らいの手で正面を先方に向けて差し出します。 と書くのはやめたいと思います。「御礼、「贈風呂敷と袱紗は、返してもらうものです。ふだ んの手土産の風呂敷は解いて差し出します。 呈」「松の葉ー「寸志」などが適当でしよう。 くさ みやげ おしき ハ 0

7. 続 冠婚葬祭入門

弗祭入門』を、さらに幅広く、奥深くする責任のあることを痛感したのです。だから、この『続 冠婚葬祭入門』を書くことに踏み切った動機も、また内容も、その多くを読者のかたがたのお手紙、 さらには講演会やサイン会などの席上で寄せられたおことばに負うているといってよいでしよう。 さて、まえの『冠婚葬祭入門』では、全体を「婚」「冠 , 「葬ー「祭」の順序に四つの章に分けま した。「婚」とは文字どおり「結婚 , について、見合いから結婚式、新婚旅行までを扱っていま げんぶく す。「冠ーは、現在の「成人式」にあたる「元服」の式を意味することばであり、本文では、妊娠、 出産、入学、成人式、そして就職までにあてはめました。「葬ーは葬儀であり、仏教を中心に、各 くよう 宗派について、人間が死にのぞむところから、通夜、葬儀、告別式、埋葬、年忌供養までを収めま した。「祭」は元来は、先祖を祭る行事を意味しますが、この本では年中行事にまで解釈を拡大 おおみそか し、お正月から大晦日まで、順を追ってお話ししてあります。 このように、まえの本が縦の分類によって構成されているとすれば、この『続冠婚葬祭入門』の 構成は、横の分類によっています。つまり、冠婚葬祭それぞれの場合についての、「贈答」「応接」 「手紙」「服装」の四つの項目を取り扱っているのです。 くや 第一章の「贈答」は言うまでもなく、相手に対するお祝いやお悔み、お礼などの気持ちを、物に 表現して贈る、そしてそれにお返しをすることです。贈答は、冠婚葬祭のなかでも、もっとも現実 たき 的な、具体的な行動であり、それだけに、私にお寄せいただいたご質問も、多岐多様にわたってい たて

8. 続 冠婚葬祭入門

9 目上に「寸志」と書いてはいけない 8 連名の贈り主の名は、左肩に先方の名を書 き入れた場合、左側から順に上位名を書く 表書きのことばは、お中元、お歳暮、お見舞 いなどの場合、そのとおりに書きます。新年に 贈り物の正式の包装は、慶事の場合は奉書一一 枚重ねを用いますが、弔事には本式略式を問わは「お年始」「お年賀、、目下には「お年玉、も 芋よけい いいでしよう。慶事には「御祝ー「御慶」また ず、一枚の紙で包みます。それに水引をかけ、 。寸しこま「御礼「薄謝ー 事にはさらにのしをつけて表書きをします。 は「寿ーとしますネ。ー すみ のほか「寸志」がよく使われますが、これは目 墨の色は慶事には濃く、弔事は薄くします。 字の書き方は上段中央に「御祝」と書き、下下〈のことばで、先生や上役などへは使えませ あいさっ せんべっ しゅこう 段中央か、やや左寄りに贈り主の姓名を書きまん。「御餞別」「御車代ー「御酒肴料ー「御挨拶」 す。先方の名を書く場合は上段の左肩に書き入などと場合に応じて使いわけます。 弔事の表書きには、どの宗教にも通じて便利 れます。連名で贈る場合は右側が上位の人です な「御霊前」、仏式の「御仏前」「御香典」「御 が、先方の名まえを書いた場合はそれに近いほ しんせん たまぐし う、つまり左が上位になります。代表者の名を呑料」、神式の「御神前」「御玉串料」「御神饌 記すときは、中央に書き、その左下にやや小さ料」、キリスト教の「御花料ーがあります。ま た、弔事のお返し、僧侶へのお礼は「志」で、 く「外一同 , と記します。名刺を使う場合は、 神父、牧師へのお礼は「御礼ーです。 中央下段やや左寄りに貼ります。 ぼうしょ

9. 続 冠婚葬祭入門

欧米では贈り物の目的を、祝誕生、祝クリス マスというように、包紙にじかに書かないかわ りに、贈り物の箱に花を一輪添えて、花にその 目的を語らせることが多いようです。それは花 ことばが普及しているためでしよう。箱に飾ら れた花は、たんなるデコレーションではない場 合があるのです。 恋のプレゼントには熱烈な恋心をあらわす赤 いバラやカーネーション、誕生日のお祝いには 忠実をあらわす三色スミレや友情をあらわすラ イラック、病気見舞いには全快をあらわすシネ ラリアなどです。私はお餞別に忘れな草の模様 の他紙の品をいただいたことがあります。花の 心づかいは、贈るほうも受けるほうも楽しいも のです。 贈り物の目的は、花に語らせるとよい せんっ 贈り物の目的は、花に語らせるとよい

10. 続 冠婚葬祭入門

帯は、きものより一段格上のものを使う 「五十のきものに百の帯」とか「きものより一 段格の上の帯を使う」ということばがありま す。また、「きものは奥さま、帯はだんなさま ともいわれます。それぞれが独立していて、し かもなお一緒になったとき、はじめてすばらし い効果を生み出すからです。 きものと帯の取り合わせは、材質、色、柄の 三つの調和を考えて選ぶことです。材質では原 則として絹には絹、もめんにはもめんを組み合 わせますが、ウールのきものには絹でももめん 装でもよいでしよう。色はきものが濃色なら帯は 淡色、反対に、どちらかが多彩であれば一方を 単彩にします。柄は大柄と小模様の組合わせが 暉原則です。いずれにしても、帯しだいできもの は引き立ちもすれば、ヤボにもなるものです。 帯は、きものより一段格上のものを使う 203