思っ - みる会図書館


検索対象: 錆びた鎖
298件見つかりました。

1. 錆びた鎖

といった。那江子の部屋には、女らしい柔らかさてはきめが細かく柔らかい。掌も柔らかかった 那江子は有村の指をもて遊びながら、 は余りなかった。 「白衣を着ていると美しく見えるからてしよ、だ 那江子はガス風呂の火をつけた。 から有村さんはきっと、白衣の那江子が好きにな 「何をしている、喫茶店にでも勤めているの , ったのよ、それは幻想よ、本当の私って、あなた 「遊んでいるの、この頃は何をする気にもなれな が考えているような女じゃないわ、白衣とは正反 対の女よ、泥まみれの」 「勿体ないな」 「そうは思えないな、事実こうしているだけて凄 有村は部屋を見廻し、この部屋ならバトロンが く気持ちが休まる、僕は女房がいるから結婚出来 いそうにないね、と笑った。 那江子は有村に、自分のことをどう思「ているないがね、もしず「と前に会「ていたら、多分結 のか、聞きたかった。有村は、何だかのんびりし婚しようと思っただろうな」 たよ、横になるぜ、といって座蒲団を枕に寝転ん「あなたは疲れているから、そんな風に思うんだ だ。那江子は有村の顔の傍に坐った。有村の手がわ、那江子ってね、男の人を、やすらかにさせる ような女じゃないのよ、凄く苛々させる女よ、エ 那江子の膝に伸びた。 ゴイストで : : : 」 「久し振りだよ、時々拘置所で君のことを思った、 これも本当だよ、君が想像している通り、僕には「そうは思えないな」 と有村は呟いた。 多勢の女がいる、しかし、君には一番会いたい、 と思った、それが不思議なんだ、白衣を着ている那江子は胸の中で淋しく笑った。那江子は有村 の胸に顔を埋めて、どんなに甘えたいだろう、本 君の姿が浮かぶんだな」 那江子は有村の手を握「た。有村の肌は男にし当は男に甘えて甘えて甘え抜きたいのだった。だ 2 6 9

2. 錆びた鎖

の男は何処まて抜けているのだろう、と那江子は 「つまらないもの、何も話すこともないし、私、 思った。那江子は佐山に、おじさん、セックス上跖 つまらないお話が出来ないの、車がどうだとか、 何処の深夜クラブは面自いとか、そんな話に興味手なの、といった。 「上手な積りてすよ」 がないのよ、まだ、おじさんの方が良いわ」 突然那江子は佐山をからかってやろうと思っ 「ほう、頭が良いんですね」 た。ここ払ってくれるなら、もう一軒付き合って 「頭は悪いわよ」 「いや、頭が進んでいるんですよ、その点、私のも良いわ、と那江子はい「た。すると佐山はもう ような年輩者は味がありますよ、会話一つにして懐から財布を出していた。 那江子は佐山とその店を出た。佐山は如何にも も、セックスにしても、それに、お金も持ってい 嬉しそうてあった。 ますしね」 っこ。那江子は意外那江子は自分の知っているクラブに佐山を連れ と佐山はささやくようにいオ なことを聞いたように佐山を眺めた。どう見てて行った。 ーマンであった。突そして、トイレに行くふりをして外に出た。佐 も、変哲もない中年のサラリ 然那江子はおかしくなり吹き出してしま「た。腹山は何時までも待「ているだろう。 そんな間の抜けた佐山の顔を想像すると、また の皮が痛くなるほどおかしかった。すると、佐山 も那江子に合わせて笑うのだ「た。佐山の笑い方おかしさがこみ上げて来た。 には特徴があ「て、唇の両端と、眼をふくらませ歩き出そうとすると、那江子は肩を叩かれた。 佐山がきよとんとした顔て立っていた。 るようにして笑うのである。 那江子は佐山を馬鹿にして笑「ているのだ。そ「帰るなら帰るといって下さいよ。置き逃げは酷 れなのに、佐山は楽しそうに笑い返している。こいな、お嬢さん」

3. 錆びた鎖

いるのよ。商社の伊藤専務、だから、立岡さん、を残して雨の舗道に出て行ったのは、宮地真知で あった。これが歌舞伎なら、今から佐賀見は、宮 あんなに御機嫌を取っていたんじゃないのー 「何や、阿呆らしー 地真知の部屋に乗り込み、久し振りだな、という と大峯がいったので、ホステス達が笑った。山ところであった。 崎と大峯は、ホステス達を連れて、何処かに遊び未練ではない、ただ俺はあの女に一言だけいう に行くらしいが、佐賀見は二人と別れた。急に由ことが残っている、と佐賀見は思った。 だがどう弁解してたところで、未練であるこ 紀江に会いたくなった。だが、由紀江は、佐賀見 と、つこ 0 とは、間違いなかった。 に会いたくない、 典子の店に行けば、典子はきっと由紀江に電話電話を掛けたって、宮地真知がどういう応対を するだろう。その時、由紀江が来ない、といえば、するか、佐賀見には分かるような気がした。結果 は屈辱以外の何ものでもないのだ。 もう典子の店にも行けなくなる。 佐賀見は一人で御堂筋に出た。今頃、宮地真知何もかも分かっておりながら、佐賀見は、宮地 はホテルの部屋に戻っている筈だった。バスを真知の次のような言葉を聞きたかった。 「私はあなたと結婚したかったの、でも伊藤専務 使っているかもしれない。 きめの細かい何処か冷たい肌を佐賀見は思い出に自分との関係をばらすといわれて、諦めたの よ、それだけは分かって欲しいわ」 した。もう自分には、全く関係のない女なのだ。 それだけ聞けば、佐賀見の古傷は、かなりいえ 佐賀見は、宮地真知を忘れようとした。 そう思えば思うほど、昔の宮地真知が脳裡に浮るだろう。 かんで来るのだった。雨の日、佐賀見は、宮地真佐賀見は御堂筋で客待ちしているタクシーの連 知と三時間も向かい合っていた。そして、佐賀見転手に千円ませ、アパートまで戻った。何度も ー 24

4. 錆びた鎖

ルで行なわれた。クラプアイからも、綾子以下、ですわ」 十人ほどのホステスが出席した。 「何をいっているの、モデル上がりの美人ばかり 千人近い参会者で、銀座の有名店のマダムもホ集めたのは、あなたの才能よ」 だがその言葉には、何処となく綾子の店を見下 ステスも多勢来ている。そこで綾子は珍しく土井 香美子を見付けた。暫く会わない間に香美子は美すようなところがあった。繁盛し少々有名になっ しくなっていた。もう四十近い筈である。香美子ても、あなたのところとうちでは、格が違うわ、 が親しそうに話をしていたのは、電機会社の副社といっているようだった。香美子の言葉は綾子の 長であった。香美子には何処から見ても銀座のク胸にこつんと来た。それにおかしい、昔の方がも インの貫禄が備わっていた。ただ年だけは争えなう少し余裕があったような気がする。これは恐ら く男と関係していないせいだな、と綾子は思った。 そういえば、クラブ八城の津田隆造とは、実質この太り方はホルモン過剰から来ているようだ。 的に別れたとかいう噂が飛んでいる。しかし別れ和江がサンシャインを辞める時、香美子と揉め たといっても、クラブ八城のマダムであることに たというが、この調子ては無理がないかもしれな い。だが、綾子は自分の感情を押し殺し、 は変わりがない。 香美子が副社長と離れた時、綾子は香美子の傍「ママ、私ね、和江さんに酷いめにあいましたの よ : に行き、丁寧に挨拶した。 「ええ聞いているわ、上だけを残して四人取られ 「綾ちゃんとこも、なかなか有名になったじゃな たそうね、綾ちゃん、和江はね、大人しそうな顔 いの」 をしているけど、そりや喰わせ者だから、きっとロ 香美子は余裕を示していった。 「これも、最初、ママの店できたえられたおかげ育ちがいやしいのよ」

5. 錆びた鎖

いたよ、カオス座だなんて君、演劇じゃないね、 の出演者を記事にするのだった。 黒木が須員麻由子にテレビ新聞の仕事の内容を田舎者の新劇少年がただ喚いているだけだね、新 説明している間、村木知子は黙々と、狐丼を食べ喜劇の連中の爪の垢ても飲んて、それから芝居を ていた。彼女の昼食は狐丼か玉子丼に決まっていするんだな : 相田は吐き出すようにいった。ところが、須員 午後の二時頃、相田がや「て来た。昨夜のアル麻由子は別に不愉快そうな顔もしなか「た。微笑 コールが眼に残「ていた。黒木は相田の椅子に坐さえ浮かべ、私もそう思「たから辞めたんてす、 っていたので、立ち上がった。相田は両手を背広とはきはきした口調て答えた。 相田は出鼻をくじかれたのだろう、視線を村木 のポケットに入れたまま、須貝麻由子を見下ろし た。そういうポーズは、明らかにディレクターが、知子に向けると、 「須員君のテ 1 ・プルはどうなってるんだね」 新人タレントに対するポーズだった。どうやら、 相田と須貝麻由子は顔を合わせたことがないらし「今朝、社長から電話がありましたので、注文し ときました、もう来ると思います」 「そうか、じゃ、黒木君のテープルを端に寄せて、 須員麻由子の態度は黒木と会った時と同じだっ 僕と黒木君の間に入れればいい。君は女性の記者 た。黒木にはそれが少し痛快だった。 だからな、主に男のタレントを取材したらいいだ 「編集長の相田さんだよ」と黒木はいった。 ろう、役者なんて女に甘いからな、女性記者が一 須員麻由子は坐ったままで挨拶した。 それは相田の誇りをかなり傷つけたようだつ人いる万が便利なんだ」 そういう相田の言葉を須員麻由子は、ただ微笑 「君はカオス座にいたんだ「て、児玉さんから聞を浮かべて聞いていた。個性的な容貎だが、かな こ 0 こ 0 ー 40

6. 錆びた鎖

客と別れた後のやり切れない孤独感の中で、順「どういったら良いかしら、何だかたくましくな 子への思いに一人で溺れ悩むよりも、順子への挑ったみたいー 戦に応じようと意志をふるいたたせる方が、酒に「反対だよ、少し痩せたんだ、働き過ぎでね、と 酔わずにはおれない吉見の弱さを克服出来そうでころで順子さんどうしている、時々来るかいー 「今、香港よ、十日ほど前から行ってるの、あな あった。 吉見は部屋にもどると、何が何でも百万円、とたがどうしているか、気にしていたわ」 「香港にね、羨しいな、で、何日頃帰るの」 紙に大書して壁に貼りつけた。 そして翌日から、吉見は懸命に働くだけの虫と「もう、一週間位したら、帰るかもしれないわー なったのだった。その月の吉見の売り上げは先月「彼女にいっといてくれよ、約東を実行したから の一倍半あった。こうして吉見は三カ月足らずでって」 「そういえば良いのね」 貯金を百万にしたのだった。 その間、吉見はミトにも行かなかった。目的を吉見は一杯飲むとミトを出た。今までのように 達成した時、吉見は自信に溢れ、この世の中で不一人でギターをひき感傷に浸りたいとも思わなか った。そういえば、あれから一度もギターを手に 可能はないような気がした。 とっていない。確かに吉見の生活は変わってい 吉見は勇んでミトに行った。 た。吉見は総てのことに、凄く積極的になってい ミトのマダムは吉見を見ると、 た。殿田の下で働くのが馬鹿らしくもなって来 「お久し振りね、何だか変わったわね、どうした た。もう一年働き、もっと金が出来たら独立して のかしら」 も良いと思い始めていた。車を三台ほど置くこと とっくづく吉見を眺めた。 の出来るガレージ付きの事務所があれば、吉見に 「どう変わった ? 」

7. 錆びた鎖

那江子はドアボーイに、 しようといった言葉にも通じるものであった。 「有村さん、知ってる ? 」 「僕がここにいること、どうして知った ? 」 と尋ねた。好奇に満ちた眼で那江子を眺めてい 「いると思わなかったわ、ただ何となく来てみた たドアボーイは、有村さんて、あの有村さんですの、私にも分からない」 力、といった。 「電話番号教えてくれないか、明日にでも電話す 「ええそうよ、あの有村さんよ」 「今、来てますよ、お祝いで、失礼ですがお名前「駄目よ : は 9 ・ 「だって、君は、僕が来ているかもしれないと思 「那江子といって頂戴」 って、ここに来たんだろう、僕に会いに来たんだ ドアボーイは店内に入った。那江子は、まさかろう」 今夜、有村に会えるとは思ってもいなかった。お「今夜だけね」と那江子は呟いた。 「そういう勝手なところは少しも変わっていない 祝いというのは何だろう、クリスマスイブの祝い でもあるまい、出所祝いかもしれない。 な、今夜は、僕は用事があるんだ」 赤い顔をした有村がやって来た。有村は那江子「良いのよ、でも会えて良かったわ」 の傍に来ると、コートの肩に掛かった雪を手で払「もう一時間ほど、何処かで待っていてくれない か、それなら会える」 った。那江子は、自分に対する有村の気持ちが、 「今夜なら、何時まで待っても良いわ」 まだ変わっていないのを感じた。 有村はドアボーイを呼んだ。そして、店の名を その気持ちがどういうものか、那江子には分か らない。しかしそれは、那江子を暴力バーの女に告げて、那江子を案内するようにいった。 1 のマダムに那江子は三角帽子を被ったドアボーイと一緒に しなかった有村の気持ちであり、 265

8. 錆びた鎖

が、明子にはそういうところが全然ない。それによ、はっきりいって佐竹は金を持っているけど、 頭も良く、週刊誌は欠かさず数冊読んでおり、客所詮美人喫茶の経営者どまりよ、それに浮気はす のどんな会話にも応じられる。それていてエッチるし、もし独立するなら、誰にも束縛されない、 な話も平気でする。そういう点で、明子は、八城自由な身でやりたいの、だから私、佐竹から援助 時代の綾子に似ているところがあった。美貌の点は受けているけど、一定の額以上は絶対受け取ら では、綾子よりも明子の方がすぐれていた。まさないのよ、私の気持ち、ママ、分かってくれるで に明子は水商売のために生まれたような女であっしよ、ママだって一緒だと思うの」 「ええ、良く分かるわ」 た。明子の少女時代がどうであったかは、明子が そういったものの、綾子は、明子が現在の自分 話さないので分からないが、綾子は明子も自分と にバトロンがいないのを見抜いているのではない 同じような境遇ではないか、と思っていた。 か、と思った。 「ね、明ちゃん、私、前々から不思議に思ってい るんだけど、佐竹さん、どうしてあなたにお店を「だから私、もう二、三年、ママのお店で頑張る やらせないのかしら、これは、明ちゃんが辞める積り、二十七、八までに、思い切り貯めておく ことを心配していっているんじゃないのよ、あなわ : : : 」 たが店をするなら、私、全面的に応援する積りな「嬉しいわ、あなたの気持ち聞かせて貰って、別 の、四人の連中とは事情が違うんだものー に四人が辞めたためじゃないんだけど、店の女の 「ママが不思議に思うのも無理はないけど、本当子達と、人間的なつながりが全然ないかと思うと、 いうとね、佐竹ね、いい加減に独立したらどうだ、 一寸淋しいわね、早苗にしろ、菊江にしろ、クラ といっているのよ、でも私、佐竹の援助で店を出プ凡から声が掛かったのなら、私に話してくれた して、完全に佐竹の女になってしまうの、嫌なのら良いのにね、私だって出来る範囲のことはする

9. 錆びた鎖

来たの、私、前々からこのマンションに住みたい た。その夜、吉見は眠れなかった。もし、江夏の と思っていたので、順子さんに、もし引っ越すよ言葉が本当だとすると、順子は芦屋の部屋を引き 、払っていなかったのだ。部屋は借りつばなしのま うなことがあったら教えてね、といっていたのよ 一寸待ってよ、あなた順子さんと一緒に生活してま、吉見のところに来たのであった。この事実は 何を意味しているのか。 いた、といったわね、この部屋で」 「冗談じゃない、僕の部屋でだ、順子は三カ月前吉見には全く理解出来ないことであった。それ にその部屋を引き払って、僕のところに来たんでから一睡もしないまま、吉見は芦屋のマンション に行った。江夏はロビーで待っていた。そして、 す、十日ほど前だって、そんな馬鹿な」 「馬鹿なとおっしやっても、そうだから仕方がな江夏と一緒に管理人に会った吉見は、江夏の言葉 が事実であるのを知らされたのだった。順子は吉 いわ、あなた、何か、夢でも見ているんじゃない 見のところに来た時、部屋を売っていなかったの 江夏が気味惡そうな声でいった。吉見は、今直だった。 ぐにでも会いたかったが、明日行く、といった。 そして管理人は、順子が時々、昼間来ていたこ 江夏は部屋に来られては困る、という。吉見は懸とを証言した。そして、三月前に、部屋代を三カ 命になって、順子が三カ月間、自分と一緒だった月分纒めて払われたことも告げた。 ことを説明せねばならなかった。江夏は、十日前江夏は、順子がクラブを辞めてから、十日前、 に移るから部屋を譲り受けたのだから、順子はそ電話が掛かって来て会うまで、一度も会っていな れまで芦屋のマンションに住んでいた、と思ってかった。 別れる時、江夏は、吉見の憮悴し切った顔に同 いるのだった。 結局、明日の昼、一階のロビ 1 で会うことにし情を覚えたのか、 3 1 9

10. 錆びた鎖

達男は手帳を出すと、相手のテレナンバーを書るくらいだから、或る種の女には持てる。 だが踊っていて、見知らぬ女と電流が通じたと 「さっき、ホワイトハウスで踊っていた女の子だしても、こっちに電話を欲しい、といって、電話 カかかって来た、というケースはない。相手がプ よ、惜しいな、今夜チャンスだったのに」 ロの娼婦なら別だ。 と如何にも、これからカードをするのが嫌そう それに、今の電話の様子だと、女は自分の部屋 にいった。これは客を安心させる達男の手だ。 の電話番号を教えている。 「うちの女の子なの ? 」 もしそれが、楓の演出てないとしたら、達男は と由美が訊いた。 「違うんです、ママの店の楓さんとゴーゴー踊っ俺よりも、女に持てるのかもしれない。 ていたら、全然知らない女が、時々僕にぶつかる「あの女かい、モデルみたいな」 ので、後から電話をくれるように、囁いたんです。 と俺は訊いた。 まさか、かかって来るとは思いませんでした、本「何だ、裕二さん見ていたんですか、いやだな 当に拾いものだ、だけど女に憑いた時は博奕に憑あ」 と達男は、まだ白い歯を見せて、頭を掻くのだ かないというから、今夜は危いな、遊ばせていた った。勝手にしやがれ、と俺は思った。 だく程度にやらせて頂きましようか」 と達男は高校生のように小首をかしげて頭を掻俺がそう思ったぐらいだから、井頭も頭に来た くのだった。何度見ても、達男の演技は素晴らしに違いない。自分こそ、女には最高に持てる、と い。俺は内心苦笑しながら、今かかって来た電話思っている男だった。 は、本当に、踊っていた時、達男にアタックして「どうだな、お二人さん、入らないかい ? 」 と井頭のほうから誘って来た。 いた女だろうか、と疑った。俺も、女のひもにな