あなただけで独占しないでよ、といって長良咲の 「ね、ママ、お店の人達も一緒にどう、今夜は私 隣に割り込んだ、早速、長良咲の耳に口を寄せて、が御馳走するわ」 高達也のことを尋ねた。 「馬鹿ね、この女は、あんな喫茶店を持っている 長良咲は、愛子が妙な皮肉をいって、それで来位でおごっていちゃ、破産するわよ、私にまかせ なくなったと告げた。 ておいて」 「そんなに神経の細い人かしら、凄く図太い男の 恵子の言葉には好意が溢れていた。 ようよ、今の店だって、死んだ奥さんの遺産で買店が終わってから、長良咲は恵子と、マネージ ったという噂よ」 ャーの節子、その他古いホステス二人の五人連れ 「でも、来なくなった原因は、そのことしか考えで食事に行くことになった。何れも五年以上勤め られないもの」 ている女達ばかりだった。二人のホステスには子 恵子が大野木に店を終えてから遊びに行こうと供がいた。だからこそ何年もホステス勤めをして いった。ところが大野木は、明日は朝が早いので いるのてある。節子は近々自分の店を持つらしか っこ 0 今夜は無理だという。仕事を大切にする男だっ た。恵子が意味あり気に長良咲を見た。大野木さ 恵子がコーに行こうといい出した。他の女達も んと約東があるのね、といった眼付きだった。女賛成した。長良咲も行ってみたかった。 連れの客に遊びに連れて行って欲しいといって男高達也は自分の店では、どんな表情をしている が断った場合、二人の間に深夜の時間の約東があのだろうか、見てみたい気持ちがあった。 る場合が多いのだった。長良咲は、大野木との関五人は一台の車で行った。高達也の店はビルの 係を疑われては嫌なので、恵子に私も久し振りで地下にあった。恵子が先頭に立ち、長良咲は一番 後からついて行った。 遊びに行きたいわ、といっこ。
間もなく愛子が戻「て来た。愛子は二十二歳で認しているのである。長良咲はそういう高達也に 一種の文学少女だ「た。両親がなく喫茶店の二階油断出来ないものを感じた。 に住み込んでいた。せ「せと小説を書き雑誌に投長良咲の体験からいえば、そういう男は警戒す べき人物だっこ。 稿しているがまだ一度も掲載されたことはない。 「ママ、知っていたの ? 」 小し偏屈なところがあるが、正直なのが何よりだ と愛子が尋ねた。 った。喫茶店は現金商売だし信頼の出来る女性が 最高である。高達也は愛子を呼び店のマッチを求「覚えてないの、お客さんの顔なら一度会「たら 覚えているんだけど」 めた。 「私、ああいう男、好かないわ」 立ち上がってレジで金を払った。 と愛子がいった。愛子は余り客への好悪を口に 「有難う御座居ます」 長良咲が儀礼的な声を掛けると高達也が振り返したことがない。だから愛子にも、悪い方に強い 印象を与えたのだろう。 長良咲は高達也のことは直ぐ忘れてしまった。 「ママは確か北新地のクラブケイにいたね」 通りすがりの客をいちいち覚えておれない。 「あら、御存知でしたの」 ところが高達也は半月ほどしてまた現われたの 長良咲は驚いていった。 だった。今度はかなり混んでいる六時半頃で女連 「一度だけ行ったことがあるよ」 高達也は一人で頷きポケットに両手を入れて店れだ「た。 を出て行った。知っているなら、もっと早くいっ たら良いのに、と長良咲は思った。 しかもあの通行人の無関心な視線で長良咲を確それから高達也はしばしば女連れで現われた。
軽蔑する美容整形医になり、じゃんじゃん稼ぎま分か「た。その女は、宮地真知であ「た。宮地真 くり、名誉や権威よりも金だ、とい「ている山崎知には連れがいた。中年の紳士だ「た。伊藤ではに ない。宮地真知は女王のように客達の視線を意識 に、佐賀見は親しみを覚えるのだった。山崎は、 しながら、マネージャーに案内され、奥の席に坐 大学の教授連中の非人間性を彼なりに軽蔑した。 その日は、商会の大峯も一緒だ「た。大峯は「たようだ「た。佐賀見は客席に背を向けている かって、北浜で、株の買い占め屋として悪名が高ので、宮地真知と視線を合わせることはなか 0 た。マダムが、宮地真知の席についたようだっ かったが、 長男が結婚し孫が出来てから大人しく なっていた。それでも、女の方は、相変わらず、た。 「大峯さん、誰ですか、あの女は ? ー あちこちで手を出しているようだ。 と山崎が尋ねた。 最初は、山崎が行く店に行き、それから、二、 三軒飲み歩き、大峯の女が経営するクラ・フセレナ「知りませんなあ、女優でしようか。あんな女に に行「た。クラプセレナは、キタ新地でなかなか来られると、この店の女の子が、色あせて見えま すなあ」 有名な店てあった。佐賀見は大人しく飲んでい と大峯がいった。 クラブの中の雰囲気が一瞬変わ「たのを佐賀見大峯は間もなくマネージャーを呼んで、マダム に来るようにいった。マダムが来た。 は感じた。佐賀見は入口の方を見た。黒いコート 「誰や、あの女 ? 」 にチンチラの襟巻をした、女が入って来た。コー トを脱ぐと淡黄色のスーツだが、大輪の美しい花と大峯がい「た。 「サプランのママと喧嘩した、ロンドンのママさ がこのクラブに舞い込んだような感じがした。 佐賀見は、自分の顔が蒼ざめたのが、は「きりんよ、宮木真知子さん。一流の銀座のママになる
月に二回位だが、女はその度に替わ「た。人妻風知り合「た時など何時も冗談をい「て長良咲の の女もいれば、タイプ、ホステスらしい女も孤独な佗しさをなぐさめてくれた。 いた。時には店で待ち合わせることもあった。そ長良咲が彼を愛したのも女心を包むような明る んな風に女を替えれば、長良咲や愛子がどんな眼さにひかれたためである。 だが同棲して三月めに長良咲は、彼の明るさが で自分を眺めているか分かっている筈なのに、高 達也は照れる様子がなか「た。とい「て倣然と構自分だけでなく総ての女性に向けられているのを えているのでもない。何時も自然であった。この知ったのだった。 その男の名前は本条といったが、誰も本条が漁 喫茶店で待ち合わせる以上、行き先は裏のホテル しかなかった。女と会「ている時、高達也は余り色家とは思わないだろう。 しかも本条はそういうことに罪の意識を持って 喋らなかった。喋っても極く僅かで、後はばんや 、よ、つこ 0 りと煙草をくゆらしている。 高達也が連れの女と熱心に話したり手を握「た長良咲が責めると、君とは一緒に生活している んじゃないか、というのだった。 りしているのを見たことがなかった。 つまり同棲していることで長良咲への愛の責任 長良咲は不愉快だった。高達也に誘われホテル に行く女が馬鹿に見え、憎しみさえ覚えるのだ「を果たしているから、それで充分じゃないかとい うわけである。 た。ことに長良咲は同棲した相手が漁色家だった 自分が同棲したのは長良咲が初めてだ、と本条 だけに他人事のように眺められないのであった。 長良咲の相手は高達也と違って陽気だった。おはロのようにいった。 っとりした坊ちゃんらしい顔で女の心をそらせる漁色に対して先天的に罪の意識の欠乏している 男の怖ろしさがそこにはあった。 ということが余りなかった。
ばて、額が禿げ上がり、赭ら顔て、金てしか女に れて欲しいな」 といったタイプだった。 そういって俺は背広の内ポケットに入れてある持てない、 五十万の札束を由美に見せた。千円札が百枚ほど俺達はの女の子を連れてホワイトハウス に行ってゴーゴーを踊った。途中から顔を出した 一万円札と交じっているのミ百万以上に見える。 方が良いのだ。レミ子一人が苛々して、 それを見て由美の眼が光った。 「ね、まだ行かないの ? 」 「私も井頭さんも構わないけど、美津としては、 と俺をせかす。 知らない人を自分の部屋に入れたくないのー 「それじゃ、ホテルのスイートルームをリザ 1 ブ 俺は達男を見た。達男は連れのホステスとゴー しましようよ、三万ぐらいの部屋だったら、良いゴーを踊っている。達男のゴーゴーは実に旨い。 こういうクラブで踊っている若い男女は、踊りが でしょ 好きで毎夜のように踊っているのだが、その中て 結局、俺達が泊まっているホテルのスイートル ームて、やることにした。俺はやっとの思いで好も達男のゴーゴーはすば抜けている。パンタロン の、モデルのような派手な女が、踊りながら達男 きな女を口説き落としたような気持ちだった。 にアタックしている。モデルの相手は眼鏡をかけ た中年の男だ。踊り方が実に醜い。醜い踊りしか 井頭の名前で三万円の部屋を取った。俺と達男出来なければ踊らなければ良いのに、と俺は思っ は、井頭の席に行って、よろしくお願いします、た。 達男はカードのことなど、全く忘れているよう と礼儀正しく挨拶した。育ちの良いばんち上がり、 4 こっこ 0 というところを井頭に見せねばならない。井頭は 坐ったままて大様に挨拶に応えた。中川は四十半「美津に井頭を取られたんだな」
といって身体をずらした。 「あなたの身体、固くなったじゃないの」 「何時、帰って来たんだい ? 」 阿里子は立ち上がると踊りの群れに入って行っ 「一週間ほど前よ」 た。阿里子は敏感で勝気な女だった。吉見の気持 「東京は面白かったかい」 ちを察して離れたのだろう。吉見は順子の傍に行 った。先日はどうも、と声を掛けた。 「こういうところは大阪より派手ね、一年間たっ 「お連れと一緒なんでしよ」 ぶり遊んだわ、ママが身体が悪いというので戻っ と順子もいった。吉見は踊りながら自分達を見 て来たのよ」 詰めているだろう阿里子の視線を背中に感じた。 「ママには、ちゃんと連絡してたんだね」 「そりやそうよ、ママだもの、でも、もう退屈し昔、知っていた女だよ、と吉見は答えた。順子は たわ : : : 」 カウンターに坐っていても、相変わらず自分だけ の雰囲気を漂わせていた。 「今日は一人かい ? 」 阿里子は頷いた。吉見は、阿里子にその気があ「今日はギターを持っていないの」 るなら、抱いても良いと思った。吉見は阿里子の「持って来ていない、それにこんなに騒がしかっ 指をもて遊んだ。細長い指だった。むと折れそたら、ギターは無理だ」 客達はジュークボックスの音楽てゴーゴ 1 を踊 うな二の腕の感触を吉見は思い出した。その時、 思いも掛けず、順子が入って来たのだった。順子っていたのだ。その時、吉見は背中に女の柔らか は相変わらずさっそうとしていた。真っ直ぐカウい身体を感じた。阿里子の胸のふくらみが当たっ ていた。阿里子は吉見の身体にもたれるような恰 ンターに行くととまり木に坐った。 好でプランデーロックを飲んだ。 「知ってる女なのーと阿里子が呟いた。 「私、あなたを見たことがあるわ」 「どうして」と吉見はいった。 291
った心の底で、自分が何時の日か、平凡な結婚をした。そういう客は別れる時、那江子に小遣いを 望んでいたことを知ったのだった。だが、その望くれた。 みも、最早、不可能であった。妻となるという , 」那江子は黙「て受け取った。 そして秋が来た。那江子はつかの間の遊びでも とは、子供を生むことなのだ、と那江子は思って 肉体の喜びを知る女になっていた。 いたのだ。 、那江子は一人の男性と長い付き合いはし 一月め那江子は、美人ウェイトレスを求むとい なかった。男の中には那江子に執着する者もいた う喫茶店の広告を見付けて応募した。 応募する日だけは入念に化粧した。那江子の顔が、男がそういう気配を示すと、那江子は、私は は見違えるほど美しくな「た。その喫茶店は梅田しつこい男が嫌いなの、とい「た。 にあ「た。給料は三万五千円であ「た。普通の喫それでもしつこく纒いっこうとすると、 「私は韓国人よ、生まれたのはね」 茶店よりずっと多い と自分が生まれた土地名を告げた。そういう時 二十人近い応募者があったが、採用されたのは 五名ミ那江子もそのうちの一人であ「た。そのの那江子の眼は青く光り、鋭い刃物のような感じ 喫茶店に勤めるようにな「てから、那江子の服装がした。それは纒いつく男達を遠ざける切り札の ようなものだった。 は華やかになった。 生活も今までと違「た。深夜クラブに遊びに行有村と再会したのは十月の半ばであ「た。有村 ったり、そういうところで知り合った男と泊まつは黒っぱい背広を着、えんじのネクタイを締めて たりした。子供を産めない身体ということが、肉いた。彼は女連れであった。女はバーのホステス 体関係に対する那江子の意識を変えていた。時にといった感じだった。 は店に来る中年の客の誘惑に乗り、旅行したりも有村の席に行「たのは別のウェイトレスだ「 2 5 2
間に入ったのだという。 雑誌でも読もうとしたが、気持ちが落ち着かなか 那江子はそれを聞いた時、あなたの家が羨ましった。那江子は久し振りで街に出てみようと思っ いわ、といった。 こ。女一人で、クリスマスイプの夜街に出ても、 「あなたのお父さんは、きっとお母さんを愛して何もすることはない。分かっておりながら、那江 いたのよ、私の父は母が亡くなると、別な女を家子は陰気臭い病院の寮にいることが耐えられなく に入れたわ、今でもその女と一緒なの」 なったのだった。那江子は二十四歳になってい 「俺の家が羨ましいといわれたのは初めてだよ」た。 有村は病院に来て初めて笑顔を見せた。 那江子は道頓堀に出た。盛り場は大変な混雑だ 有村は退院する時、握手してくれよ、といってった。女連れでない男達は酔っているか、手にク リスマスのみやげものを持っていた。 手を出した。那江子の手を強く握ると、君がいた ので楽しかったよ、といって退院して行った。 那江子は人波に揉まれながらばんやりと道頓堀 もし有村と再会しなかったら、那江子の運命はを歩いた。どの食堂も満員だった。 那江子は仕方なく映画館に入った。門限は十一 今とかなり違ったものになっていただろう。 その年のクリスマスイプの日、那江子の勤務は時までだった。映画館は意外なほど空いていた。 休みだった。前日夜勤して、朝まで働いたので休だが映画はつまらなく、那江子は途中で映画館を 出た。夕食を喰べていなかったことを思い出し、 みになったのだ。 昼過ぎまで那江子は眠ったが、やかましいジン食堂に入った。その食堂でもジングルベルを流し グルベルの音楽で眼が醒めた。何時も流行歌を流ていた。那江子は親子丼を注文したが、その音楽 が無性に苛立たしく聞こえた。食堂を出たのは十 している近くのバチンコ店が、やけのようにクリ スマスの音楽を流しているのだった。蒲団の中で時であった。新世界の病院まては十分で帰れる。 243
テルの利用者には非常に少ないのだろう。 を閉じる十時近くになるとホテル街に出没してい る街娼なども来たりした。そして、昼の商店街の女店員の愛子が使いて外出していたので、長良 咲は自分でコーヒーを運んだ。近寄って高達也の 客や深夜の客にはなじみ客が出来た。 高達也が店に来るようにな「たのは秋であ「眼に光がないのを知「て、長良咲はホテル帰りに 違いないという確信を得た。 た。初めて来た日のことを長良咲は覚えている。 アベックやサラリ ーマンの客達も帰り、遅い客が「ママだね、何時もこんなに暇なのかい」 と高達也はいった。男の眼には好奇心がなかっ 現われる間の空白の時間で、客はいなかった。高 達也は長身で色は黒い方だった。ポケットに両手た。通りすがりの客の眼であ「た。 を入ればんやりした表情で入って来た時、長良咲「丁度暇な時間ですの、もう三十分もすると混み は裏のホテル帰りの男だな、と思った。ネクタイますわ」 の結びめがゆるみ、顔には風呂上がり特有の艶が長良咲はコーヒ 1 を置くとカウンタ 1 に戻「 た。客は高達也だけなので、狭い店だし自然視界 あった。 これは不思議だが、連れ込みホテルを利用するに入る。テレビがあるが、高達也はそれには無関 心のようであった。 二人連れは、ホテルに入る前は連れ立って来るが、 ホテルからの帰りに寄ると、男か女か、一人にな年齢は三十四、五だろうか。月こおいが英国も のらしく煙草も外国煙草だった。ライタ 1 もデュ っている。 ポンのようである。本当に金を持っているのか、 ホテルの前て別れ別れになっているのだろう。 それはお互いの欲情を満足させた後では相手に米見栄でそうしているのか。 練がないことも証明しているようであ「た。終わ高達也はコーヒーを飲みながら黒皮の手帳を出 った後でも離れられないという関係は連れ込みホして熱心に何か書き込んている。
日で終わりだな、と佐賀見は思った。女の悪罵よず、そういう客は余りにも多過ぎた。店の中で暴 りも、佐賀見には、その思いの方が胸に浸みた。カ沙汰は由紀江に悪いと佐見賀は思った。何故か、 美加にあやまる気は起こらなかった。 佐賀見は席を立った。 たとえ、美加の相手が幾ら腕力が強くても、相 「待て、逃げるのか ! 」 と女の連れがいった。多分、その女の男なのだ手が擲ってくれば、こちらも擲り返さざるを得な ろう。図体の大きな男だった。佐賀見は二人を無 佐賀見が男の傍をすり抜けようとすると、こ らあやまらないのか、と男が佐賀見の胸を突いた。 視して、由紀江に、勘定を命じた。 佐賀見はカウンターによろけた。その時、佐賀見 「今度で結構です」 と由紀江がいった。 は手にふれたビ】ル瓶を握っていた。 由紀江の眼は、佐賀見に早く帰れ、といってい 「止してよ、店の中での喧嘩は」 るようだった。佐賀見はこの時、自分に対する由と由紀江が仲に入った。ビール瓶を握った佐賀 紀江の好意のようなものを感じた。 見の歪んだ顔の傷を見て、男が後ろに下がり身構 加奈が何かいいかけたのを、由紀江が強い視線えた隙に、佐賀見はスナックから走り出ていた。 男と女の罵声を聞きながら、佐賀見は夢中で走 で押さえた。 った。気がつくと御堂筋に出ていた。佐賀見はま 「あやまれ、美加にあやまれ」 と男が佐賀見の前に立ち塞がった。男の言葉をだビール瓶を握っていた。佐賀見はビール瓶を路 聞いて佐賀見は、ああ、この女は、美加という名上に叩きつけたい衝動にかられた。ビール瓶には 前だったな、と思い出した。佐賀見が美加の名前王冠がついていた。まだ空けていないやつだっ を忘れていたのは、当時、佐賀見は、にする客た。佐賀見は来た道を戻ると、モータープールの を人間だと思っていなかったからだ。男女を問わ傍の石塀にもたれ、王冠を歯でこじ開けて、ビー