ポーランド人 - みる会図書館


検索対象: ドストエーフスキイ全集13 カラマーゾフの兄弟(下)
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1. ドストエーフスキイ全集13 カラマーゾフの兄弟(下)

自見たい。「チモフェイ、一時間のうちに一生を生きること はちょうど諍いのはじまるところへやってきたのである。 ができるなあ」 シャンパン四ダースについて。 「おまえ、おれをゆるしてくれるかい、 みんなに代って」 前のときのことを想いだしてしこたま取ってきた。 「なんじややら旦那、あなたは妙なことばかりおっしやって」 五十ループリ、三ループリ ビストル。グルーシェンカ、「あんたが自殺するなんて やよ、そんなことはさせやしないから」 〈八五ページ〉 六四、 六四検討すること。 Z グルーシェンカ、ポーランド人が追い払われたと ミーチャ。モークロエへの出現。 き、だれを愛しているかいやしないから」酒の前に、 グルーシェンカおじ気づ く。マクシーモフ。 Z グルーシェンカはべッドの上、 ミーチャは跪いて ポーランド人たち。ミーチャ叫ぶ、「いや、なに、ばくはよ 「おれは幸福に値しない人間だ、偉大な苦悩を受けたい」 んでもないのです、なんでもないのです ! 」ポーランド人た 「おれは知らなかった、おれがこれはどまでにおまえを愛し ち元気づく、求婚者重苦しいもったいぶった口調で、自分はグているとは知らなかった ! 」とミーチャは絶叫した。 ルーシェンカに求婚の栄を与えようと思っているので、以前 の関係の人が現われるのははなはだ不愉快であると述べる。 この演説に対して、グルーシェンカが思いがけない言葉を発ポーランド人、「わたしの美しい命令者」といってグル する。グルーシェンカは反抗の態度、ミーチャをよろこんでシェンカの手を接吻する。 迎える、ミーチャとっぜん元気づく。プアローからはじまる。 「いったい愛してるの」とグルーシェンカが訊く。 そのとき小さな銀行遊び。シャンパンが着く。村の娘た それからポーランド人のぎようぎようしい言葉の後、グル ち。「三千ループリばらまいた、ばらまきましたとも、あっ シェンカはだしぬけに、いだす。「なんだかあんたのは変 したちが証人でさあ」 ちきりんね。わたしもっと違ったぐあいでなくちゃならない 言葉、「以前の人たち」 と思うんだけれど」愛について語る、陽気な冷笑的な調子で。 ミーチャに優越。媚を弄しはじめ、ホーランド人をかんかん に奴 5 らす % グルーシェンカ、「あんたはなんてお馬鹿さんでしよう」 コーラス 初めポーランド人たちは村の娘の合唱に反対したが、合唱 48 し

2. ドストエーフスキイ全集13 カラマーゾフの兄弟(下)

「まあ、いったいあんたたちは仲直りしたくないの、まるで に、そんなことはみんな人を面白がらすためにわざと拵えて あんたたちは人間じゃないみたいね、ところがわたしはだれ いっているのだ、この男は人がなにをいっても、みんな自分 でもみんな好きなのよ。わたしの踊るところを見てちょうだのことにしてしまうのだ、という。しかしマグシーモフは、 それはただノズドリョフでなく別人であっただけの相違で、 本当にあったことだとい , つ。カルガーノフはうちょ、ってんに なって彼を抱きしめ、自分が悪かったと叫ぶ。 「おれは泥棒だ、おれは三千ループリ盗んだのだ」 ( カチェ ) ーナ・イヴァーノヴナの金を想いだして ) 、モーグロエで ロ走る。 〈一〇三ページ〉 「便所に百ループリあった。もしあれがおまえの金だった 「わたしくたくた、失礼、酒はわたしによろこびを与えてくれら、百ループリずつも撒きちらしやしなかったろうよ」 * 亭主 トリーフォンの言葉。 ない。そして落着きも。わたしゆるしが乞いたい。みんなに」 〈一〇〇ページ〉 〈一〇五ページ〉 「わかっていますよ、わかっていますよ、ポーランドの乙女 ポーランド人の買収が失敗に終わった後、ハンカチの下か 決闘の形式、双方とも一枚のハンカチの下でピ らピストルを撃ち入口う より世に美しき女王はあらじ」 ストルを向け合って撃つ、いわば刺違えに似た の も ) 。おれは、あす自殺するんだ。装填したピストルを二梃持「大佐翁は詩をお作りになるんですね」と予審判事はプ っている。グルーシェンカ叫ぶ。 ーシキンの詩を知らないので、こうロを挾んだ。 「あれえ、早くしまって ! 」 大佐、「いや、あちらのやり方はこんなふうなんですよ、ポ ーランド娘がロシャの将校とマズルカを踊ると、そのあとで いきなり男の膝の上に乗っかるんです、ーーーみんなの前でね、 ^ 一〇一ページ〉 マグシーモア、「ところでわたくしはサバチェロを踊りまみんなの前でね ! こちらじゃそんな真似はできない、が向う じやかまわないんです。男の方はとろとろに溶けちゃって、 : このそのあくる日結婚してしまうという寸法です。こういうわけ カルガーノフ、「いや、どうもこの男はなんだか : で、隊のものが一人残らず向うで結婚してしまいましたよ」 男といっしょにいるのは恥すかしい」 ポーランド人、「大佐殿はご自身でポーランドにいらっし ノズドリョフがぶん殴った。カルガーノフ、軽蔑したよう

3. ドストエーフスキイ全集13 カラマーゾフの兄弟(下)

もないのに、 ミーチャったら、わたしがあの人にパイを持た金額は百ループリ、二十五ループリ、十ループリとたんたん せてやった、と言っちゃ責めるんだもの。だから、こんどこ少なくなり、最後の手紙にはたった一ループリ借りたいとい そわざと持たせてやるわ。面当てにね ! あら、フェー って、ふたりで連署した借用証を添えて来た。グルーシ、ン が手紙を持って来た、案の定、またあのポーランド人からカは急にかわいそうになって、夕方自分で紳士のところへ駆 だ。またお金の無心よ ! 」 けだした。そして、ふたりのポーランド人が恐ろしく貧乏し じっさ 、、パン・ムッシャローヴィチが例によって、一一「ロ葉て、ほとんどこじき同様になっているのを見いだした。食べ おかみ のあやをつくした恐ろしく長い手紙をよこしたのである。そ物もなければ薪もなく、巻きたばこもなくなって、宿の内義 れは三ループリ貸してもらいたいというので、向こう三か月に無、いした借金で、首がまわらなくなっていた。モ ! クロエ 引 ) に . 払、フとい、つ旧用証を一添え、ハ、 / ・ヴルプレフスキまででミーチャから巻き上げた二百ループリは、たちまちどこか 連署していた。グルーシェンカは、こういう手紙やこう へ消えてしまった。しかし、グルーシェンカが驚いたことに う証書を『もとの人』から今までにたくさん受け取って は、ふたりのポーランド人は傲慢尊大な態度で彼女を迎え、 た。こんなことが始まったのは、全快するおよそ二週間まえ最上級の形容詞を使って、大きなはらを吹きたてた。彼女は , こレープリやった。 あたりであった。もっとも病中にも、ふたりの紳士が見舞い からからと笑っただけで、『もとの人』しョノ に来てくれたことを、彼女は知っていた。彼女が受け取ったそのときすぐ彼女は、このことをミーチャに店しこ ; 、 しよかんせん 最初の手紙は、大判の書翰箋に長々としたためて、紋章いりチャはちっとも嫉妬などしなかった。けれど、そのときか の大きな判までおしてあったが、非常にあいまいなことを、 ら、ふたりのポーランド人はグルーシェンカにかじりつ くだくだしく書きたてたものであった。グルーシェンカは半て、毎日無心の手紙で彼女を泡撃するようになり、彼女はそ 分ほど読んだが、何がなんだかわからなくなって、そのままのつど少しすっ送ってやった。ところがきようになって、だ ほうり出してしまった。それに、彼女はその時分、手紙どこ しぬけにミーチャがめちゃくちゃに嫉妬を始めたのである。 ろではなかった。引きつづいてその翌日、二度目の手紙が来「ばかだわね、わたしミーチャのところへ行きしなに、紲土 弟た。それはパン・ムッシャローヴィチが、ほんのちょっとののところへもほんのちょっと寄ってみたのよ。だって、紳士 のあいだ二千ループリ用立ててほしいというのであった。グル もやはり病気になったんですもの」グルーシェンカはせかせ ゾ シェンカはこれにも返事を出さなかった。つづいてあとか かと、にしそうにまた言いだした。「わたし、このことを笑 マらあとから、日に一通すっ来る手紙は、みんな同じようにも いながらミーチャに占したの。そして、あのポーランド人が 力のものしい、まわりくどいものであったが、借りたいという 以前わたしに歌って聞かせた歌を、ギターでひいて聞かせた

4. ドストエーフスキイ全集13 カラマーゾフの兄弟(下)

うでしよう、いってちょうだい ! 」 さよなら、ミー いみたい。 チャ、わたしあの人がたった一時 「愛していますよ、グルーシェンカ、とても愛していますだけど気に入ったことがあるの、とても気に入ったわ。でも よ」アリヨーシャは妝一入した。 わたしは卑怯者の自由になるんだわ、あの人みたいな正直者 「本当よ、アリヨーシャ、わたしは卑屈な女なのよ。一こと声の手に入らないで」 をかけられると、大っころみたいに飛んでいくんだわ。なん「勝手に苦しむがいい」とラキーチンは叫んだ。 て汚い心なんでしよう ! その杯をぐっと飲みほしてちょう ラキーチン ( 外へ出て ) 、「あいつは確かポーランド人だっ だい、アリヨーシャ、わたしの汚い心のために ! 」ぐっと飲たはずだ ? ポーランド人かもしれない」「きみはなんでも知 ってるんだね、ラキート み干して杯を割る。 力」アリヨーシャ、「ラキーチン ! 」 「でもまだ愛してなんかいないかもしれなくってよ、まだ自ラキーチンどなる。 分の心と戦ってみるわ、ねえ、アリヨーシャ、わたしはこの五 年間の自分の涙を愛しているんだわ。この年月の空想を愛し 〈七三ページ〉 ているのよ。わたしは自分の受けた侮辱を愛しているのよ」 ハイーシイ、フェラボントに、「おまえ様、出ていっても 「こいつはあやかりたくないものだね」 らいましよう。裁きをつけるのは人間ではのうて神様です。 「あやかりやしないよ、ラキートカ、決してあやかりつこなし ところがおまえ様は人間ではないか。ここには理解のおよば よ。あんたはわたしの靴でも縫えばいいんだわ、ラキートカ」 ない啓示が現われているのかもしれませぬ。おまえ様、出て わたしがあんたを使ってあげるとすれば、まあそれくらいの いってもらいましよう、羊の群を迷わせてはなりませぬ。わ 仕事だわ、あんたなんか、わたしのような女を拝むこともでたしは自分の権限でいっておるのですぞ ! 」「精進を守らぬ。 きないのよ、それにあの男だって拝めないかもしれないわ」甘いもので腹を膨らせ、俗念で頭をいつばいにしておるでは ノ「わたしは肉食動物みたいな女なの。だからあんたを取ってないか、失礼ながら」 食おうと思ってたのよ。罪の深い体。ところがあんたがたが 「悪魔を追おうとしながら、かえって自分で悪魔につかえて 弟ちょ , つどこ、つい、つときにくるもんだから」 おられるかもしれませぬぞ。だれが自分で自分のことを「わ 兄 の 「報せがきた。出かけるんだ ! 五年間、五年間 ! ああ ! 」れは聖なり』といえるものでしようぞ。おまえ様のロにされ ゾ「その人はポーランド人なのよ。でもポーランド人だって愛るのは軽はずみな言葉じゃ。おまえ様の精進苦行には感心し マしちゃならないって法はないでしよう」 ておるけれど、そのロにされるのは軽薄な言葉じゃ、もう一 力「わたしうちょうてんになってしまってる、まるで酔っぱらどいうが、出ていってもらいましよう。羊の群を迷わしては しつン一、、

5. ドストエーフスキイ全集13 カラマーゾフの兄弟(下)

祝杯。銀行遊び。銀行のあとで村の娘たち。ポーランド人「そんなふうに押していって、 は抜き札したのを見られたと悟って、娘たちのことで抗議を「寝ている」 アパルトマン 「将校があそこにいる、どんな」 持ちだす。「ほかの部屋へ」グルーシェンカは叫ぶ。「い やです、わたしは金で買われた女じゃないんだから」ポーラ 「ああ、あのとき、チモフェイがし 、つしょに行きましたっ ンド人、そういうわけなら、自分は去ってしまって結婚しな ュ / 、てナ . しし田刀に、 、とほのめかす。グルーシェンカ、勝手にいらっしゃい、わけ」「そうだ、チモフェイがし たしはいやですといい放つ。そのとき、ミーチャは彼を別室チモフェイは」「あれはどういうわけでございます、旦那、 なんだか変な気がして」 へ引っ張っていき、三千ループリの取引きをはじめる。引き 「フェドーシャ・マルコヴナはいったいなにを頼んだのでご 返す。取引きの話をすつばぬく。グルーシェンカ、金なんか やらなくたっていいのよ、と叫ぶ。ポーランド人、亭主を呼ざいますね」 「道を譲るんだ。おまえは馭者だから道を譲るだろう」 んで娘たちのことで抗議する。亭主、おまえは抜き札をした とグルーシェンカが 「まったくでございます、旦那、ーーーでもだれでもが道を譲 じゃないか、という。ああ恥ずかしい、 叫ぶ。ポーランド人、彼女を侮辱する、ミーチャ引っつかんるってわけじゃありません」 「冱試 士た」 で突きだす。グルーシェンカ、歌を要求する。「浮かれたい 「そして地獄が呻きはじめました。罪人がもうやってこない の、騒ぎたいの」とつじよ、涙ながらに熱烈な一言葉。「わたし はなんていう人を愛していたのでしよう ! 五年間も愛してだろうと、そのことばかり思って」 いた男があんなおかしな人なんですもの。馬鹿だったわ、馬「わしがもう一どくるまでは、やはり同じように未来永劫い チャ」歌、酒、つばいになるだろう」 鹿だったわ ! さあ、やってちょうだい、 「こういうわけで、旦那、地獄はそうした連中のために残る サ・ハチェロ。グル ] シャ、ミー チャに、「こっちへいらっし 作 ゃい、あんたはわたしを愛してくれてたのね、あんたは鷹ことになりました。ところが旦那、あなたなそは」 ミーチャは木で竹をついだように哄笑した。 弟よ。あんたはだれよかも一ばんいい人だわ、云々。踊りたい」 「じゃおれは地獄へ堕ちるだろうか ? 」 の踊り。べッドの上、ミ ] チャその足もとに。 「あなたなんぞ。その正直なところに対して」 「飛ばせ」 マ 「なかには一生そんなふうに無理押しに押していく者もあり のフ いま考えるのはただ彼女のことばかりであった。ちらと一 3 カます。我慢ってものがないんで」 まっすぐに地獄まで」

6. ドストエーフスキイ全集13 カラマーゾフの兄弟(下)

のように顔を合わせているくせに、まるで生まれて初めて会 ついていたが、夜っぴて眠らなかった。そのうちに官憲が来 ったような口のきき方をした。彼はまずのつけから、「ばく たので、自分らもきっと呼び出されるに相違ないと思い、急 はこの事件についてなんにも知りません、また知りたくもな いで着替えをし、身支度をととのえていた。彼らは幾ぶんお いのです』と言った。が、六千ループリという言葉は、彼もじけづきながらも、押しだしだけは堂々と現われた。おも立 耳にしたとのことであった。そのとき彼はミーチャのそばに ったほう、つまり小柄な紳士は、休職の十二等官で、シベリ 立っていたことも承認した。彼もミーチャの手に金があるのヤで獣医を奉職していたことがわかった。姓はムッシャロー を見たが、「いくらあったか知りませんよ』と言いきった。 ヴィチであった。ヴルプレフスキは自由開業のデンティスタ、 ポーランド人たちがカルタで抜き札をしたことは、彼もきっ ロシャ語で言えば歯医者であった。ふたりとも部屋へはいる ばり断言した。また幾度となくくりかえされる人々の問い冫 と早々、ニコライが訊問しているのにおかまいなく、わきの たいして、じっさいポーランド人たちが追われて後、ミーチほうに立っているミハイル・マカーロヴィチに向かって、答 ヤと、アグラフェーナ・アレクサンドロヴナとの関係が円滑弁を始めた。様子を知らないために、彼をここで一ばんえら になったこと、彼女もミーチャを愛していると、自分の口か い長官と思いこんだからである。彼らはひとロごとに、彼を ら言ったことなどを陳述した。彼はアグラフェーナ・アレグ『パ ニエ・プウコヴニーグウ ( 大佐どの ) 』と呼んだ。が、当の サンドロヴナのことを口にするとき、うやうやしい控え目な ミハイル・マカーロヴィチが幾度か注意をしたので、ようや 言葉を使って、まるで上流社会の貴婦人の話でもするような くニコライよりほかの人に答えてはならないのだと悟った。 こくこど、 あんばいであった。そして、一度も『グルーシェンカ』など彼らはただときどきまちがった発音をするだけで、。 と呼び捨てにしなかった。若いカルガーノフが申し立てをい 正確なロシャ語を使えることがわかった。グルーシェンカに やがっているのは、明らかにわかっていたにもかかわらず、 たいする以前と今の関係について、ムッシャローヴィチはむ ートは長いあいだ彼を訊問した。その夜ミーチャのやみに熱、いな、しかも傲慢な調子で話しはじめた。すると、 身の上に生じた、いわゆる『ローマンス』の内容がどんなも ミーチャはたちまち前後を忘れて、きさまのような『悪党』 第のかということも、彼の口から初めてこまかに知ったのであに、おれのいるところでそんなことを言わしておくわけには のる。ミーチャは一度もカルガーノフの言葉をさえぎらなかっゆかない、 とどなりつけた。ムッシャローヴィチはすぐ「悪 ゾた。青年はやっと退出を許された。彼はおおいきれないいき党』という言葉に注意を向けて、調書に記入してもらいたい マどおりをあらわにしながら立ち去った。 と言った。ミーチャは憤怒のあまりかっとして言った。 カ ポーランド人たちも訊問された。彼らは自分の部屋で床に 「悪党だとも、悪党だとも ! このことを書きこんでくださ刀

7. ドストエーフスキイ全集13 カラマーゾフの兄弟(下)

ハーネか何か知らないけれど、ばくは賭けてもらいたくな当にいうんだから」「間にあいませんよ、きみ、間にあいま いのです。賭けるのおよしなさい、あとでいいますよ」 せんよ、太陽の球が昇るが早いか。一つきみを接吻さしてく ポーランド人たち、去る。グルーシェンカ、「ああ、なんださい」 て恥すかしいことでしょ , つ、 ( 恥ず・かしい、取・ず・かしい、 「あなたはまるで気ちがいみたいですね」 チャ、わたし恥すかしいわ : : : 」 ばくには秩序が、高い意味の秩序というもの 「あんまりうきうきしないね」 : よい、高い意味の秩序がたりなかった」 「ある美丈夫の健康を祝して ! 」 「ねえ、あなたは野蛮な人だけれども、ばくはいつもなんだ かあなたが好きでしたよ ! 」 「だれのことかいやしない」カルガーノフに、「こっちに、 「ありがとう。きみ。では野蛮だって言うんですね。野蛮 らっしゃいよ」 人 ! 野蛮人、ばくは野蛮人、野蛮人と一つことばかりくり 「なんてかわいい人でしよう ! 」 返している。ばくには秩序がない、高い意味の秩序が ! 」 「モーグロエへ」 スノヴェリモージヌイ ミーチャ、「大 人、平にお願い申します」 「いったいなんのためにモーグロエへ」 「グルーシェンカが逃げて行ったんだ」 モーグロエ、ポーランド人はミーチャが明日にもさっそく 官吏、「ちえ、ちえ、ちえ、そういうわけなのか、なるは 三千ループリ渡すといったことを申し立てる。 どそ、フい、ついきさつなのか」 「してみると、別にしておいた金を町のどこかに隠している 「今こそわかった、だがきみ、むこうで一騒動おこしますよ」 のじゃないだろうか」 「大丈夫、譲るから。 っしょに一打きましよ、フ。じゃて 「隠しているのだ、町に隠しているのだ」 こまで行ってプロートニコフの店で一杯やりましよう」 ( 署長 ) 「だがきみはばくを覚えていますか ? 」 「覚えていなくってどうします、なんだって熱に浮かされて るみたいに、 くだらんことをきくのです」 シャンパンを飲みながら、「あなたはどうやら本当に自殺 「モーグロエへ ? いったいなんだってばくがそんなとこへ しそうですね、だがばくそんなことをさせやしない」 「間にあいませんよ」「ばくは行って確かにしし 、ますよ。本行くんです。遠いじゃありませんか」

8. ドストエーフスキイ全集13 カラマーゾフの兄弟(下)

たりの紳士は人々の嘲笑をあびながら、すごすごと引き退っ したのだが、あの人はそのとき酔っ払っていたので、ことに よったら、思い出せないかもしれません』とつけ加えた。し かし、彼はふたりの百姓が召喚されるまで、百ループリの発その後もすべての危険な証人たちは、ほとんどみなこうい う、フき目にあった。フェチュコーヴィチは、彼らひとりひと 見を否定していたのだから、酔っ払ったミーチャに金を返し りの面皮をはいで、すごすごと引きさがらせることに成功し たというその申し立ては、自然はなはだ疑わしいものとなっ た。裁判通や法律家連は感心して見とれながらも、ほとんど た。こうして、検事側から出した最も危険な証人のひとり は、やはりきわめてうさんくさい人間と見なされ、面目を失確定したとさえ言えるような、こうした大きな罪状にたいし て、それしきのことがなんの役にたっかと、ふしぎがった。 って退廷したのである。 なせなら、またくりかえし念をおしておくが、人々はみんな ふたりのポーランド人もやはり同様であった。彼らは傲然 と堂々たる態度で出廷した。そして、まず第一に自分たち一様に、ますます悲劇的に増大してゆく有罪の絶対性を、 が「君主に仕えていた』こと、『パン・ミーチャ』がふたりやおうなしに感じたからである。しかし、彼らはこの「偉大 な厥術師』の自信ありげな態度によって、彼がある期待をい の名誉を買うために、三千ループリの金を提供しようとした チャが巨額の金を握っていたのを、自分の目でちだきながら、落ちつきはらっているのを見てとった。『こう などを大きな声で証言した。パン・ムした人物』がわざわざペテルプルグから来る以上、手をむな ゃんと見たこと、 しゅうして帰るはすがないからである。 ッシャローヴィチは、話の中に、たびたびポーランド語をは さんだが、それが幸い裁判長や検事の目に、自分をえらい者 のように映じさせているらしいのを見てとると、しまいには 第 3 医学鑑定一フントのくるみ すっかり勇気をふるい起こして、全部ポーランド語でしゃべ りだした。しかし、フェチ = コーヴィチは彼らをも自分の網医学鑑定も被告にとって、あまり有利なものではなかっ フォンま、、 た。それにまた ( これはあとでわかったことだが ) 、フェチ に入れてしまった。ふたたび喚問されたトリー ナつきよくパン・ヴルプレフ ュコーヴィチ自身も、あまりこの医学鑑定を当てにしていな ろいろ言葉を濁そうとしたが、し いようであった。もともとこの鑑定は、カチェリーナの希望 スキが、彼の出したカルタを自分の札とすり換えたことや、 によって、モスグワからわざわざ名医を呼び寄せたために、 ハン・ムッシャローヴィチが胴元をしながら、札を一枚ぬき 取ったことなどを、白状しないわけにゆかなかった。これ初めて成立したのであった。むろん、この鑑定のために、弁 は、カルガーノフも自分の申し立ての際に確証したので、ふ護が不利になるようなことは少しもなかった。いや、どうか ) 0

9. ドストエーフスキイ全集13 カラマーゾフの兄弟(下)

れほどいらいらしてるかしれないわ。それだのに、あの人は シャはきいた。 一は′ルレ」、フに、は 「もうそれこそ、はんとうにだしぬけなのよ ! まあ、どう ポーランド人のことなんか言いだしてさー だわね ! よくこのマグシームシュカをやかないことだわ」 でしよう、「もとの恋人』のことをやいてね、「なぜおまえは あいつを囲っておくんだ、おまえはあいつを囲ってるんだろ「わたくしの家内もやはりずいぶんやきましたよ」とマクシ ーモフも言葉をはさんだ。 う ? 』なんて言うのよ。しじゅうやいてるのよ、しじゅうわ 「へえ、おまえさんを」グルーシェンカは気のなさそうな様 たしをやいてるのよ ! 寝てもさめてもやいてるの。先週な んか、クジマーのことさえやいたわ」 子で笑った。「いったいだれのことをやいたのさ ? 」 「だって、兄さんは『もとの人』のことを知ってるじゃあり「女中たちのことで」 「ええ、おだまり、マグシームシュカ、冗談どころのさわぎ ませんか ! 」 「そりや知ってますともさ。そもそもの初めから、きようのじゃないわ。おまえさん、そんなに肉入りパイをにらんだっ てだめよ。あげやしないから。おまえさんには毒だものね。 ことまで知り抜いてるのよ。ところが、きようはだしぬけに ・ハルサム ( 香草酒 ) もあげないよ、この人もこれでずいぶん世 どなりつけるじゃありませんか。あの人の言ったことった 話がやけるのよ。まるで養老院だわ、ほんとうに」彼女は笑 ら、ほんとに気恥ずかしくって、ロに出せやしないわ。ばか だわね ! わたしが出て来るとき、すれ違いにラキートカが 「わたくしは、あなたさまのお世話を受ける値うちなどはご たずねて行ったけれど、ことによったら、あの男がたきつけ てるのかもしれないわねえ ? あんたどう思って ? 」と彼女ざいません。わたくしはごくつまらない人間なんで」とマグ シーモフは涙一尸で言った。「どうか、わたくしよりかもっと はばんやりした様子でつけ加えた。 「兄さんはあなたを愛しています。ほんとうに、ひどく愛し殳にたつ人に、お情けをかけてやってくださいまし」 てるんですよ。ところが、きようはちょうど運わるくいら、 「あら、マグシームシュカ、だれだってみんな役にたつもの ばかりだわ、だれがだれより殳ここ らしてたんです」 ーオつか、そんなことがどう 「そりやいらいらするのもあたりまえだわ、あす公判なんでして見分けられるの ? せめてあのポーランド人でもいなか すもの。わたしが行ったのも、あしたのことで言いたいこと ったらいいのに。今度はあの男までが、妙な虫をおこして病 があったからよ。ほんとにねえ、アリヨーシャ、あすはどうな気でも始めそうなふうなんだもの。わたし、あの人のところ つらあ るでしよう、わたし考えてみるのさえこわいわ ! あんたは にもいってきたのよ。だから、ミーチャへ面当てに、わざと あの人がいらいらしてるっておっしやるけど、わたしこそどあの人に肉入りパイをあげるつもりだわ。わたしそんな覚え っ , ) 0

10. ドストエーフスキイ全集13 カラマーゾフの兄弟(下)

ドリーニンの編纂によると、小説の区分にしたがってノ】 トにも第一編、第二編の標題がついているが、それは彼が読 者の便を慮って付したもので、ノートの原稿にかかる指示の ないことはいうまでもない。本書では第八編の半ば ( 九四ペ ージ ) までは全訳であるが ( ただし、ポーランド語句集はあ まり多数のため、ただ一部分を見本の意味で掲げておいた ) 、 それ以後は、小説にない個所を拾って著者のつけた番号や記 具 t' もはぶ′一とにしこ。 米川正夫