を、固く固く抱擁します。妻がよろしく申し出ております。 るなら、この手紙に折り返し返事をください。 ( あなたの健 ばく康のことを、なるべく詳しく ) 。宛名はかまわずセミバラチ 明日は復活祭です。キリストはよみがえりたまえりー ンスクとしてくださいーく の健康は旧態依然です。 ーシャを幼年学校から引き あなたの・ドストエーフスキイ取るについて、オムスグに二、三週間滞在することになるで うちのパーシャのことを心配してください。 しようから、あなたの手紙もセミパラチンスグから転送して くれます (Z ・オムスクへ向けないで、セミバラチンス 4 兄ミハイルへ グへ向けてください ) 。 わが友ミーシャ、ばくはあなたがとっぜん死んでしまっ セミバラチンスグ、一八五九年五月九日 という想像が烈しく胸 大切な友ミーシャ、四月八日付のお手紙をこの前の便で受て、もうばくらは二度と会われない、 け取りました。ご病気だとのこと、驚きもし心配もしまし に迫って、ばくは今だに恐怖の念が去りやらぬ思いです。あ た。心配は今になってもまだ消えません。こうした発作がきあ、少しも早くあなたからせめて三、四行の手紙でも届いた なら ! わめて危険な結果を生じやすいということは、ばくもようつ く知っていますから、もう完全に回復したという次のお便り友よ、チョッキ、シャッ等を送ってくだすった由、心から を受け取るまでは、その間すっとばくはいても立ってもいらお礼を申します。が、いまだに何ひとっ届きません。お手紙 れないでしよう。ばくは、もし神様の加護があれば、六月十で見ると、それらは三月の中頃に発送されたようですが、四 五日に出発します。それより早くはだめでしよう、もしかし月九日付の手紙はもう一週間ばかり前に着いたのに、三月中 たら、ずっと遅れるかもしれません。もう前にもお手紙した旬に出た小包は、まだ途中どこかにえんこしているのです。 しつこうなんのことやらわかりません。 とおり、ばくの退官命令は三月の十八日に出ました。しか し、当地にはつい最近ついたばかりですから、軍団のほうの グシェリョフから金を受け取ったことは、前に知らせまし 手続きが全部すんでしまうまで、少なくとも六月の初めまでたね。しかし、雑誌は届きません。もしかしたら、このさき は待たなくちゃならないでしよう。その時はばくはもう完全届くかもしれません。計算書をよこすといって来ましたか に自由の身です。しかし、もしばくが六月十五日に出発したら、雑誌もいっしょに送って来るかもしれません。 わが友ミーシャ、お願いです、ばくの頼みを聞いてくださ 簡ら、この手紙の返事はまずもらえそうもありませんね。まし 、。くの小説のことを、つまり、もしだれかが何かいって て、今は河という河が春の出水で、郵便がずっと遅くなりまし冫 書したからね。が、それにしても、もしばくを愛していてくれ いるようなら、それについて聞いたことを、包み隠しなしに
て、足りないことだらけです。六月三十日の水曜に出発しま取れることやら、もしかしたら十二月になるかもしれませ すが、金が足りないのです。諸雑費にヘしつぶされてしまい ん ) 。その時は返済します。ただ今だけは助けてください ! ました。グシェリョフの千ループリは蝋のように溶けてしまあなたにい っさいの望みがかかっているのです。こんなふう いました。四千露里という困難な、しかも金のかかる道程を にしてもらいたいのです。この手紙つき次第、カサンへ送金 - 控え、おまけにオムスグではパーシャを引き取らなければな してください。カザン通過の予備中尉・・ドストエーフ りません。そういうわけで、ばくの所持金はカザンまでしかスキイ宛て、局留、差出人某としてください。カザンへ着い ない、と胸算用しました ( 間違いなく ) 。『ロシャ報知』の送たら、ばくはまっすぐに郵便局へ行って、それからいささか 金は、いまはもう少しも期待していません。そこで、友であの猶予なくいきなりトヴェーリ へ出発します。カザンからト つまり、 り兄であるミーシャ、手を合せて拝みます、もういちどばくヴェーリまでの道程は、ばくの計算によると、 を助けてください。この手紙つき次第、もしできればすぐそモスグワ県を迂回するので、 , ーー・千三百露里です。ばくおよ の翌日 ( 次の火曜日を待たないで ) 、二百ループリほどカザびばくの家族の運命を、あなたの手にゆだねます。あなたを ンへ送ってください。それは十分まに合います。なぜなら、 固く抱擁しながら、もういちどばくを救ってくださるように ばくは八月初旬より早くは決してカザンへ着かないからでお願いします、すでに何度も救ってくだすったように。 す。あるいは幾らか早くなるかもしれません。それであなた さて、これから簡単 ' しいいたいと思った残りのことを書 は完全にばくを救ってくださることになるのです。もし送っきます ( その他は火曜日までお預け ) 。 てくださらなかったら、ばくはまったくの無一文で、家族を第一、今からいっておきますが、トヴェーリには八月の十 かかえてカザンの宿屋でつけの暮らしをしながら、 五日頃に着きます。 どうしたらいいのでしよう ? 優しい兄さん、ばくがそちら第二、ばくは今あまり健康でなく、おまけに出発前の雑用 へ着いたら、ばくにくださる金が百五十ループリか二百ルー を山のようにかかえています。 プリあると、自分で書いてよこしたことがあるでしよう。し第三、ばくたちの再会を涙を浮かべながら想像し、どうか かも、あなたはもっと早くばくが帰るものと思っていられたあなたを守ってくださるようにと、日に十度も祈っていま のですから、つまり、そのころには金があるわけでしよう。 す。あなたが死ねば、ばくも死んでしまうでしよう。あなた 簡ミーシャ、どうか拒絶しないでください ! トヴェーリへ着 がいなくなったあとまでも生きていたくはありません。 いたら、ばくはどんなに少なく見つもっても、『ロシャ報知』 四、妹たちにばくが帰ることを知らせてください。 書から八百ル】ブリ受け取るはすなのです ( しかし、いっ受け 五、もし必要があったら、そして、あなたが健康だった
三巻になるのですが、それは後のことで、今は二巻だけです ) 。カトコフの送って来る金を合わせて八百ループリになるわけ ですが、しかし、馬車だのなんだの買わなくちゃなりませ 部数二千の出版費用は千五百ループリ以上にはなりません。 一部三ループリずつで売れます。だから、もしばくが一年半ん。それに四千露里という道を、いちばん高くつく夏季に旅 かかって大長編を書くとしても、本がばつばっ売れたら、そ行しなくちゃならないのです ( 馬四頭あるいは五頭つけるの の金でばくの生活は保証され、ばくは金を持っことになりまです ) 。こういうわけで、ばくはほんの旅費しか持っていま す。またこんなふうにしてもいいです。その出版権をグシェせん。どうしてパーシャの金を払うことができましよう ? さよなら、なっかしいミーシャ兄さん、幸福で丈夫でし リョフに三千ループ リか、あるいは二千五百ループリで売る のですが、しかし、もちろん、いま交渉をはじめることは断て、そして少しも早くあなたを抱擁さしてください ードロヴナによろしく、子供たちをうんと接吻して じていけません。カトコフにやった長編の成功を待たなけれヤ・フョ もしかしたら、まだまだこの手紙に書けな ばなりません。そこにばくの希望のすべてがかかっているのやってください。 かったことがあるかもしれませんが、今ひどく急いでいるの で、その成功がいっさいの交渉を保証してくれるのです。 Z ・カトコフには全部で十五台おくります。一台百ルです。用事があって。さよなら、兄さん ! プレシチェーエ ープリずつですから、千五百ループリ、もう五百ループリもフによろしく。どうして彼は手紙をよこさないのでしよう ? らいましたが、なお長編ぜんたいの四分の三を送った時、旅ひょっとしたら、金をねだるので腹を立てたのじゃないかし ら ? そんなはすはありません ! 妻がよろしくと申し出ま 費として二百ループリ請求してやりましたが、それでもまだ しこ。ばくを覚えてくれている皆さんによろしく。友よ、ま 七百ループリの取り分があります。トヴェーリへ着く時には 一文なしになりますが、その代わり、ごく近いうちにカトコた会う日まで。 フから七百ないし八百ループリもらいます。しかし、そんな 4 兄ミハイルへ ことはまだなんでもありません。やりくりしていけます。 ばくはこんなうわさに戦々恐々としています。ほかでもあ ^ セミパラチンスグ、一八五九年六月〉 りませんが、もしパ そういうわけで、いずれにしても火曜日にもういちど手紙 ーシャを幼年学校から下げてしまった を上げます、届く届かないはとにかくとして。しかし、ばく ら、一年分の養育費として二百ループリ、合計四百ループリ 払わなければならないというのですが、どこからそんな金をの恩人であるなっかしいミーシャ、これはまだ無心の全部じ ゃないのです。もう一つ、もっと大きなお頼みがあるので 取って来ます。これはばくにとって青天の霹靂です。いまば す。どうか聞いてくださし 、。ばくはここを立つのに苦労し くの手もとにはいっさいがっさいで六百ループリしかなく、
ねだるのと同じわけです ) 。そのためには、あなたが自分では政府に保証されてはいないけれど、配当はきちんきちんと ここへ来なければならぬ、といいました。ヴァーリ ンカが運受け取っています、一株について八ループリです。一株の額 動したほうがいいかどうかの問題については、いま彼女自身面は百五十ループリ、市場へは出ていません、と。そこで、 ミーシャ、もしうまくいくと思ったら、調べてみてお売りな 、千ループリをしつこくねだっているので、そういう想定は さい。イヴァーノフは、一株いくらで売れるか、知らなけれ ほとんど奇怪に思われる、といっていました。ばくはいろい ばならないのですから。 ろの話の間に、彼に何もかもいってしまって、この一万ルー プリが、兄にとって何を意味するか、これがなかったら、兄彼のいうのには、その株は娘の持参金なのだから、結婚の の「エボーハ』は没落してしまって、子供らもろとも破滅しとき額面いくらになるか、ということが問題なのです。しか し、兄さんが幾らでそれを引き受けるかきいている以上、そ てしまう、ということを話しました。ばくは彼の人物を知っ いという証拠です。そこ いくらか負けてもい ているので、利まわりのよしあしではなく、ただ親戚としてれはつまり、 で、どうしたらいいかということは、あなた自身で判断しな の同情からと信じますが、結局、次のようにいいました。 「フヨーー一ル ければなりません。ばくの考えでは、この種の取引では完全 ・ミハイロヴィチ、あなたの兄さんはモスクワ・ ャロスラヴリ鉄道の株を引き受けないでしようか、わたしはな誠意が必要で、親戚らしくやらなくちゃなりません。なぜ 四十株もっていますが、総額六千ループリです ( Z ・こ なら、彼はまったく親切な気持ちから、そして親戚としての の株は、亡くなったマリヤの話だと、イヴァーノフが去年十同情から、この申し出をしたのだからです ( いうまでもな 二月、彼女のいるところで、家へ持って帰って、マーシャと 彼としてはいい利まわりも、子供らのために辞退はしな ソーニヤ二人の娘に、めいめい二十株すつ手渡して、これが いでしようが、誓っていいますけれど、彼の目的は利まわり だけではないのです ) 。それに、例えていえば、彼はその株 お前たちの持参金だ、といったそうです ) 。そこで、彼のい うには、これはマーシャとソーニヤの金で、二人とも配当はをあなたに売り払うことを望んでいるのではありません。と ビアノの稽古や、着物につかっているので、わたしはそれに いうのは、あなたも前もって調べたらわかりますが、彼は一 ロ出ししません」っまりこの金を、彼はヴェーロチカと相談株 ( 百五十ループリ ) について、八ループリの配当を、きち のうえ、あなたに提供しよう、というわけです ( 心配はいりんきちんともらっているのですからね。 最後に申しますが、あの人物の正真正銘な、間違いない潔 簡ません。この借款の秘密は、伯母さんの家では完全に守られ 、。ばくのこの手紙には返答無用です。ば ます、ヴェーロチカがそれを嗅ぎつけても、です ) 。ばくが白を信じてくださし をこまかいことを聞きただすと、彼はこういうのです。その株 くが自分で土曜に、おそくも日曜に出発しますから。ばくが
というふうにしてしまいます。もし兄さんが払ってくれ いですからね。どうしたらいいかわかりません。しかし、兄 ばくを見棄てないでください。出費れば、それはばくのたっての頼みに動かされたので、それも さん、お願いです、 その気になったら、というまでのことです。 はたいへんなものでしよう。できるだけ送ってください、い ことによったら、ばくは同時にストラーホフにも手紙をだ ろんなことにいりますから、後生です。それだけのことはし すかもしれません。ポポルイキンあての手紙の写しも、あな ます。 たのところへ送ります。 一昨日ポポルイキンから手紙を受け取りました。しかし、 ストラーホフには電報の内容を話してください。 ~ くがこ 目下の状態では、あの男にすぐ返事をだすわけにいきませ ん。ばくは文学どころでないのですから。もっとも、あまりんな時に、ポポルイキンのような人間に対して、返書の義務 返事を遅らしはしません。せいぜい一週間もたったら、返事をあまり正確に守ることができないのは、彼も察してくれる でしよ、つ。それどころか、もし彼がそのことをポポルイキン があの男の手に届くでしよう。 あの男は直接ばくから金を要求しているのです。ある文句に伝えてくれたら、かえっていいくらいです。 しかし、いま書いているこの手紙のことは、あるいはスト なんか、いけずうずうしいほど失敬なんです。ばくは返事を だすつもりですが、丁寧な調子でこう書いてやろうと思いまラーホフにいわないほうがいいかもしれません。さよなら、 す。 兄さん、堅く抱擁します。 あなたの・ドストエーフスキイ 「兄に金の支払を頼む、兄もちゃんと払ってくれると期待し ているけれど、ばくの依頼に心づもりができてないため、兄・小説は今いずれにしても ( 初めのほうでさえ ) 送 の支払が遅れるようなことがあったら、ポポルイキン殿どうることはできません。どうも仕方がありません。その代わり、 かお腹立ちのないように。遅れても、それはわずかなこと四月にはできます。神聖週間にでかけていらっしゃ は早くださなければなりません。どんなものであろうとも、 で、兄はきっとお払いする」 、ものになるでしょ まあ、こういう意味でポポルイキンに金のことを書いてやなんといったって「祖国雑誌』よりもいし ミーシャ、それよりほかには、ばくとしてど , つもし う。もしかしたら、『現代人』よりも。編纂がたいしたもの ります。 ようがないのです、察してください。ぜひとも近々返さなくです。あなたは編纂の腕があります。マリヤは完全な意識の 簡ちゃなりません。いずれにしても、ばくはポポルイキンとスまま、静かに死んでいきます。陰ながら・ハーシャを祝福しま トラーホフに対して、あなたは全然なんの関係もない人で、 書是が非でもばくの代わりに支払わなければならぬ義務はな
す。かけがえのない友ミーシャ、さよなら、心から抱擁しました ( もっとも、完成したものは何ひとつないのですが ) 。 す。 返事を待っています。二便後に。もし断わられたら、借金を あなたの・ドストエーフスキイ返すどころか、自分たちの食うものもないことになるでし よう。プレシチェーエフの約東した千ループリは、六月まで ばくら亠入婦からうちじゅうの人、とくにエミリヤ・フョ ドロヴナによろしく。どうです、兄さん、写真を送ってやるはだめなのです。 前に服のことを書きましたが、後生です、もしつけが利い と吹聴しておきながら、いまだになんにも来ないじゃありま せんか , ばくはしびれを切らして待っています、ことに妻て、百ループリを越さないようでしたら、送ってくださいー もう一度、まもなく退官ができるはすです。兄さんとの勘定は必ずつけ が。子供たちをうんと接吻してやってください。 どんな口実でもあの銀貨二百ループリは送らないでくださます。が、今のところ一文なしです。 一八五七年十一月ミハイル・ミハイロヴィチ・ドストエー シュレングによろしく。でも、いっ会えることでしよう。 「ロシャ報知』との話がついたら知らせます。ばくは書いてフスキイより銀貨二百ループリ受け取りました。 フヨードル・ドストエーフスキイ いるのです。いまのところ、いっ完結することやらわかりま せん。ばくの状態は危機に迫っています。ただ神に希望をか 3 義父コンスタントへ けるばかりです。もしプレシチェーエフが千ループリ貸して セミパラチンスク、一八五八年三月十五日 くれたら、すぐロシャへ向けて出発しますが、もし貸してく ーノヴィチ。長らくあな れなかったら、もうどうしていいかわかりません。彼は約束尊敬するドミートリイ・スチェパ たにお手紙を差し上げる喜びを有しませんでした。近く訪れ したのですが。その返却方法はわかっています。さよなら、 んとしている復活祭のお祝いを、取り急ぎ申し上げることに お願いだから手紙をください。 よって、いま自分の義務を果たすことに、二重の喜びを感す 「ロシャの言葉』のことは覚えています。原稿はできます。 もっとも、この件は別に近々あなたに手紙をだして、ばくのる次第です。どうかこの祭日をなお幾たびとなく、家庭のふ ところに抱かれながら、楽しく、喜ばしくお迎えにならんこ プランを知らせます。 とを祈ります。これが小生の心からなる祈願であることを、 ばくの借金は、 ( 当地で ) 銀貨三百五十ループリ残ってい ます。ぜひとも返さなくてはならないのですが、ばくの手にどうか信じてください。その証人はマーシャっリ は銀貨二十ループリしかありません。カトコフ ( 『ロシャ報生はただ彼女の話で、あなたを承知しているだけですが、ど レ
んとか切り抜けられるかもしれません。これはほんのちょっ かるかしれません。 といって見ただけです、沈黙します。しかし、ばくも兄さん では、さようなら。、いからあなたを抱きしめます。なっか しい兄さん、あなたはあらゆる意味で、さぞかし苦しいでしに劣らす苦しいのです、金のためばかりではなく。 おかげで、今はばくもすっかり快くなったようです。まだ ようね。皆さんによろしく。マーシャに、先日の祭日のお祝 エミリヤ・フョ相変わらず食療法 ( 厳重な ) を守って、おまけに無数の養生 いをいって、カーチャに接吻してください。 ードロヴナに、心からのよろしくお伝えを。目下お役に立た法が付属してるのですが、とにかく病気はなおりました。そ れだけでもけっこうなわけです。しかし、どんな苦しい思い ぬあなたの ・ドストエーフスキイ をしたことでしよう。ただ、今でも神経衰弱がとてもひどい のです。ばくは発作を恐れています。今でなくて、いっ来る 兄ミハイルへ 時があるものですか ? マリヤはひどく弱っていて、復活祭まで保つかどうか怪し モスクワ、一八六四年三月二十日 ーヴロヴィチは、もう一 いくらいです。アレグサンドル・。、 なっかしい友ミーシャ、あなたの手紙 ( 十四日付 ) に返事 を出さなかったのは、金が着くのを待っていたからです。や日だって保証できないといいました。うちにはいまヴァルヴ エヴナが来ています。もし、あのひとが っと昨日 ( 十九日 ) 着きました。金のことは、ほんとうにあアーラ・ドミートリ りがとう。とても入用だったのです。お手紙によると、一週いなかったら、われわれはどうなっていたか知れません。あ 間たったら、また同じ額 ( 百ループリ ) 送ってくださるそうのひとがいてくれて、マリヤの看病をしてくれるので、われ ですね。どうかお願いだから送ってください。送ってもらつわれ一同どんなに助かったかわかりません。知らせること たあの百ループリは、ただ穴ふさぎに役立っただけです。あは、まあこれくらいなものです。病気のために、だれも訪問 しません。昨日、往来でプレシチェーエフに会いました。ば まり、あまりかかり過ぎるのです。それから、もう一つつけ くがペテルプルグにいると思っていたので、とても喜んでく 加えますが、その二度目の百ループリの後で、もし必要にな ったら、もう百ループリ送ってください。兄さん、必要になれました。モスクワのことを、何かと話してくれました。っ るでしよう、必要なのです、とても必要なのです。だから、 まり、アクサーコフ邸の夜の集まりは、姉が死んだために中 冫オオ云々、云々、といったようなことです。 簡たってお願いしますが、その百ループリ ( 三度めの ) を送っ止こよっこ、 てください。あなた自身も、七輪の上に載せられた魚みたい 中編 ( 町生 ) の仕事にとりかかりました。なるべく早く厄 書なのは、よく知っていますが、しかし、購読申し込みで、な介ばらいしようと努めていますが、同時にまた少しでもいい 272
よろしくと申しています。妻がきみのことをはんとうにしょ してそういうことがまだ、お父さんとの間で解決されてない のですか ? ああ、それにしてもきみの立場は、いったいどっちゅううわさしていることは、もう前に書きましたね。き うしたというのでしよう ? それはぜひとも解決しなくてはみの写真はいつもばくらのテープルの上に飾ってあります。 なりませんが、できるかぎり穏やかにね。これがばくの意見では、さようなら、兄を訪ねてください。きみを抱擁しま です。しかし、この問題はとっくりと話し合いましよう、胸す。親友を忘れないで、手紙をください。 ・ドストエーフスキイ 襟を開いて語りましよう。きみがばくの友情についていわれ た言葉は、ほんとうです。ばくはどきみのためよかれと祈っ 5 兄ミハイルへ たものは、ほ、には決してありません。お妹さんたちはどう 一八五九年十月九日 しておられます ? ばくの手もとには、きみの家族関係の往トヴ、ーリ、 かけがえのないミーシャ、ちょうどばくがあなたに宛てた 復書簡が、大きな東になって、封をした封筒に入っています。 ばくが何ひとっ読まなかったのは、もちろんです。もしペテ手紙を書いている時、六日付の手紙を受け取りました。その ルプルグ行きの許下が下りたら、ばくはまずはじめ妻をつれ手紙はばくを唖然とさせました。ばくはいっさいを良識に照 ずに、一人で出かけて、兄のところへ泊まります。ペテルプして冷静に判断するために、書きかけた手紙を今日まで延ば ことでした。今ではばくは万事を頭 ルグに、一週間ばかり滞在して、住居をさがし、すっかり準しましたが、それはいい 備をととのえてから、そのとき妻とパーシャを迎えに行きまの中でちゃんと処理しましたから、ばくの最後的な案をお伝 す。あの子も学校へ入れなくちゃなりませんからね。あの子えします。この手紙はきわめてエゴイスティクなもので、自 しかし、なるべ分のことばかりです。そのつもりで聞いてください。 をどこへ入れたらいいか、教えてください。 くいいところで、楽で、可能性が多くて、早く運ぶようなと第一に、兄さん、ネグラーソフの申し出には応ずるわけに いきません。あなたのいわれるのはほんとうで、何もかも彼 ころを願います。どうかご忠言を聞かせてください。 Apro- らが商人根性だからです。またばくの小説があまり彼らの気 pos ( ついでに ) きみはビヨートル・ベトローヴィチ・セミョ ーノフをごそんじですか。きみが行った後でシベリヤへ来た に入らなかった、とい、つこともほんと、つでしよ、つ。少一なくと 人で、ばくの知己ですが、じつに立派な、素晴らしい人でも、迷っているのでしよう。彼らが迷い込んでしまって、 、乍ロロを没にするのも、これが初めてのことじゃありませ す。素晴らしい人というものは、さがし求めるべきものでしイロ ん。もう一つ、あの長編が外面的なエフェクトを持っていな す。もしお知り合いでしたら、ばくからよろしくと伝えて、 というのもほんとうです。ネグラーソフが迷っていると マリヤがくれぐれも ばくのことを話して聞かせてください。 354
簡 よ、フ学に . し / すことの不可能なるを痛感いたし候。少年を家庭より遠く離 れて教育することの困難かっ不利なるを別としても、天涯に 寄るべなき孤児をこの地に残すは、継父に見棄てられるごと き形と相成り、小生として望ましからぬ儀に有之候。最後の 4 兄ミハイルへ 理由として、彼は母親の一人子にして、母親は永久に別るる ことを欲せざる次第にご座候。かかる別離はほとんど永別とセ ミ・ハラチンスク、一八五九年三月十四日 ひとしく感じらるるものに候えば。 尊き友ミーシャ、取り急ぎ返事をしたためます。一時間し 右のごとき些事を具陳して、閣下をあえてお煩わし申し上か暇がないのに、兄さんとプレシチェーエフに手紙を書かな ぐることを、なにとぞご海容くだされ度、ただ小官としては万くちゃならないのです。ぐずぐずしてると郵便に遅れます。 やむを得ざる事情を閣下の前に披瀝したるうえ、イサーエフ第一に、優しい兄さん、クシェリョフの件について、いろい を向後ロシャ内地にて、家庭より遠く離れずして教育を続けろ奔走してくだすったことを感謝します。それは何もかもけ させんがため、シベリヤ幼年学校より退学せしむる件を、ご っこうです。しかし、ばくは後日でなく、今すぐ金が入用な 許可相成りたく、伏してお願い申し上ぐる次第にご座候。かのだということを、もしかしたら十分強調してくたさらなか かる請願をあえてするに際し、小官はこの件に関し閣下が公 ったのじゃないでしようか。そうしないと、先方はどれだけ 平にして人間愛に充ちたるご裁可を下したまわらんことを、 悠然とやるか知れたものじゃありません。月曜日はロシャ内 心より期待するものに有之候。頓首敬白。 地から郵便が来る日ですが ( 今日は土曜日です ) 、もし次の月 フヨードル・ドストエーフスキイ曜日に届かなかったら、ばくがどんなに困るか、想像もおっ * この年の末に書かれたと思われるもので、日付けは、年だけで、月日の己 言きにならないでしよう。金銭関係でばくの状態は、今や窮迫 入がない。退官と内地帰還の許可がおりたと書いてあるが、実際に許可され たのは翌五九年三月十八日のこと、また、義理の息子バーシャは、五九年七の極に達しているのです。ああ、友よ、おそらく近いうちに 月、ドストエーフキイに連れられロシャ内地に立つまで、幼年学校に入って退官命令が出るでしようが、ばくは気が揉めてたまらないの いた。おそらく、五八年の初めに請願を出して以米、日夜その許可を待ち望 です。金のことでは、いまもちろん、安心しています。きっ む気持ちがつのるうち、ついにこういう書状までととのえ、許可がおりしだ い正確な日付けを入れるつもりだったのでもあろうか。 と送ってくれるでしよう。しかし、千ループリくらいで、出 発準備だの、旅費だの、その他すべてのことに足りるでしょ うか。ばくは胸算用してみたのですが、足りないことはわか 一八五九年
わたしの件については、ペテルプルグからなんのたよりも 7 ・・ヴランゲリへ なし。いっ許可がもらえることやら。それまでは待っている 一八五九年十一月十九日 けれども、待っというやつは一番やりきれない状態だよ。ミ ーシャ兄さんから手紙をもらったが、わたしの長編の一部は尊き友アレクサンドル・エゴーロヴィチ、取り急ぎ一筆し たためます。いろいろな事情に妨げられて、すっかりご返事 もう印刷されて、もうじき出るはずだが、印刷台数がわたし の予算より少なくて、したがって金のほうもかれこれ二百五が遅れてしまいました。それに、いま筆を取ったのも、また もや用件を書くためなのです。これがいっ片づくことやら、 十か三百ループリ少なく入るわけだ。四方八方、不運つづき。 ばくにとってなっかしいきみがた一同を、いっ抱擁すること ミーシャの手紙によると、あちらではしばらくの間、毎日 ができるやら。ばくはまたきみにお願いがあるのです。これ のようにわたしを待っていたそうだ。もう入京の許可が下り しんですがー ばくはいろんな たといううわさが立ったのだが、そのうわさがほんとうでなが最後の願いごとになればい、 かったので、ミーシャはがっかりしている。わたしに会いたお願いごとで、すっかりきみをへとへとにしてしまいました が、きみはいつもばくにとって親身の兄弟でした。今度もい いといって呼んでくれるのだ。わたしのほうだってその気持 やだといわないでください。 トヴェーリはほとはといやになったよ。 ちは負けやしない。 用件というのはこういうわけです。お手紙には、ペテルプ 宙ぶらりんの状態はどたまらないものはないね。 ルグ在住について、ドルゴルーキイとチマーシェフから許可 なっかしいヴァーリンカ、心からお前に接吻する。お前と ミーシャは今のわたしにとって、だれよりもいちばん大切なをもらっていながら、なぜやって来ないかと書いてありまし た。友よ、それができないので、そこが困ったところなんで 人だ。ヴェーロチカによろしくいって接吻しておくれ。そし て、その主人にもわたしからよろしくいったと伝えてほしす。というのは、事件はいま皇帝のお手にあるからです。ば 、。白父さんにも、伯母さんにもつー = 、、 ) お祖母さん舫 ) く自分で陛下に上奏文を書いたので、今はもう陛下のご裁可 にも。お前の子供たちにもよろしくね。マーシ、ンカ ( カレービ ン家の娘 ) を待つより仕方がありません。ばくは一時、しばらくのあい 、ことをだ上京しようかと考えました。なぜなら、ドルゴルーキイが の手に接吻する。わたしが今度ゆくまでに、何かいし 覚えるだろうね。ヴ = ー 0 チカの子供たちも一人ずつ接吻しペテルプかグ永住にさえ同意した以上、ばくが最後の決定を ておくれ、カーチャも、それからとくに外交家の料理人を。待っ間に、数日の予定でペテルプルグへ行ったからとて、も う立腹はされないだろうと思うからです。ばくは出発ときめ さよなら、妹、また逢う日まで。 て、そのことを・ハラーノフ伯爵に話したところ、伯爵はそれ お前の兄・ドストエーフスキイ