早稲田南 - みる会図書館


検索対象: 夏目漱石全集 11
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1. 夏目漱石全集 11

うも思ったより悪うございますが、まだあれは画より 拝復沼波君がもし希望されるなら小生の名前を出 ありしま そろ もましです。有島君の注意の自然という文字をしらべしてもよろしく候。そうでなければ控えておきたく候。 ろうし てみましたら、老子に道法自然とあるそうで、自然はそれから私は無名会の会員たから切符を買う義務があ やはり名詞冫 こ使われていますから、まああれでも構わるようですが、そうすると自由講座のほうからも買う ないでしよう。 ことになるのですか。ちょっと伺います。以上 けんか 四月二十九日 金之助 奥さんへよろしく。どうぞ喧嘩をなさらないように 願います。 豊一郎様 四月二十六日 夏目金之助 『暗夜行路』 ( 一 ) 津田青楓様 あの壁かくしはたいへんよろしいが、私の家の敷物四月ニ十九日 ( 水 ) 午後三時ー四時牛込区早稲田南 ( 5 ) 町七番地より咊布区三河台町一一十七番地志賀直哉へ ではあまり赤が勝ちすぎます。それから単独にいって お手紙を拝見しました。また関西へお出のよし承知 地の色がもう少し沈んで刺激のないほうが私の神経に ( 6 ) は結構のように存じます。 しました。小説は私があらかじめ拝見する必要はない だろうと思います。それから漢字のかなは訓読音読ど 三七沼波瓊音の戯曲上演 ちらにしてい、か、他のものに分らない事が多いから 簡 四月ニ十九日 ( 水 ) 午後三時ー四時牛込区早稲田南つけてください。それでないとかえってあなたの神経 町七番地より神田区南神保町十六番地尚文堂気付野上豊にさわる事がでぎます。もっとも社にはルビ付の活字 一郎へ があるからワウオフだとか普通の人に区別のできにく ( 1 ) ( 2 ) ぬなみ ( 4 ) わか 307

2. 夏目漱石全集 11

方にて、とても御老人の鑑賞などにはとても相成るま 一一一鮭の礼状 ( 一 I) じけれど、拙をつくせる意味をもって御勘弁相願ひた覬 そろ 十ニ月十三日 ( 日 ) 午後零時ー一時牛込区早稲田南く候。 町七番地より横浜市元浜町一丁目一番地渡辺和太郎へ まづは右まで。匇々 〔はがき〕 十二月十四日 さけ 渡辺良法様 お手紙で恐れ入りました。鮭は二尾たそうです。私 は迂濶だものたから包もとかすについ一尾と思い込ん てかす だのでしよう。お手数をかけて済みません。御勘弁を 願います。 一一三山田夫人の小説 十ニ月十八日 ( 金 ) 牛込区早稲田南町七番地より牛 込区弁天町百七十一一番地山田繁へ ちょうだいものいた 一一ニ漱石の書 ( 四 ) このあいだお出の節はいろ / \ 頂戴物を致しまして 十ニ月十四日 ( 月 ) 午後十時ー十二時牛込区早稲田済みません。あの時の玉稿は拝見いたしました。短か おもしろ ( 2 ) 南町七番地より広島市大手町渡辺良法へ いけれども、面白いものです。イソッ。フ物語を複雑に 拝啓過般は金子君を通して拙筆お求めのところ多したような感じが致します。このまえ拝見したものの さしあげ うちにもあんなものがあったように記憶しております 忙にてそのままにいたしおき、御返事も差上すはなは おくり 、う種類のものは一まとめにして保存してお だ失礼申候。お送の絹は二枚とも出来思はしからずさが、あ さふらふぶん き捨て申し候。紙二枚へ書ぎ候分本日小包にて差出おぎになったらよろしかろうと存じます。 かたわら ことば そろ さふらふ 玉稿のうち解らない言葉が一か所あります。傍に黒 候あひた御入手下されたく候。それとてもまづき一 うかっ そろ そろ さしだし せつ わか ( 1 ) 夏目金之助

3. 夏目漱石全集 11

町七番地より兵庫県印南郡大国村松尾寬一へ 寄こせとありますから、筆をとりましたが、別一オ冫 あの「心 , という小説のなかにある先生という人は砌 も書くことも出てきません。あなたが私の本をよんで なまえ くたさるのは、私にとって難有いことです。私はお礼もう死んでしまいました。名前はありますが、あなた もうしあげ を申上ます。藪の中で猫をよんだということは可笑しが覚えても役に立たない人です。あなたは ( ト学の六年 こども いです。あなたがたの修業のほうから見たら、余計なでよくあんなものをよみますね。あれは小供がよんで 小説などをよむとさだめて叱られるでしよう。まあ叱ためになるものじゃありませんからおよしなさい。あ なたは私の住所をだれに聞きましたか。 られない程度でおやめなさい。私は時々あなたの手紙 四月二十四日 夏目金之助 を下さるのを読みたいと思います。それから私はあな 松尾寛一様 たが将来座禅を勉強して立派な師家になられんことを 希望します。右まで。匇々 三六漱石の画 ( 一 ) 四月十九日 夏目金之助 四月ニ十六日 ( 日 ) 午後十時ー十二時牛込区早稲田 鬼村元成様 南町七番地より月 、石川区高田老松町四十三番地津田亀次 新聞社からあなたの手紙を回送して来た時、不足と 郎へ いう黒い判が捺してありました。不足税は新聞社のほ 昨日は参堂失礼しました。あの竹の画には実際恐縮 うで払ったのでしよう。 しました。あれほどまずいとも思いませんでした。近 とりかえ 三五「心」を愛読する少年へ いうち何かお気に入るものをかいて取替たいと思いま 四月ニ十四日 ( 金 ) 午後一一時ー三時牛込区早稲田南す。どうそそれまではおあずかりを願います。額のほ りつば ありがた しか

4. 夏目漱石全集 11

おもしらえ って淋しい気がします。面白い画をたくさんかいてき 三月二十日 て見せてください。金があってからだが自由ならば、 でかけ 大谷繞石様 私も絵の具箱をかついで修善寺へ出掛たいと思います。 私は四月十日ごろからまた小説 ( 」 ) を書くはすです。 ニ五豊隆長男出生 私は馬鹿に生れたせいか、世の中の人間がみんないや 三月ニ十九日 ( 日 ) 午後六時ー七時牛込区早稲田南に見えます。それから下らない不愉快な事があると、 町七番地より芝区三田四国町二番地一号小宮豊隆へ〔はそれが五日も六日も不愉快で押してゆきます。まるで がき〕 梅雨の天気が晴れないのと同じ事です。自分でも霹な しようぶん 拝復 性分だと思います。 お目出度うございます。生れたてから親の注意を惹あなたの兄さんが百合を送ってくれました。それか かんしやく はねお くような肝癪では、さぞ骨が折れるでしよう。好い名ら書画帖を寄こされました。呉れたのか何か書けとい あわ をおつけになりました。奥様へよろしく。 う意味かと思って聞き合せたら、呉れたんじゃないの 三月二十八日 です。そうかといってみんな書けというのでもないの です。私はそのま、預かっておきます。 一六「心」執筆前の漱石 ( 二 ) 世の中にすきな人はたん / く、なくなります。そうし 三月ニ十九日 ( 日 ) 午後十時ー十二時牛込区早稲田て天と地と草と木が美しく見えてきます。ことにこの ( 1 ) 南町七番地より静岡県修善寺菊屋津田但次郎へ ごろの春は光ははなはだ好いのです。私はそれをたよ しゅせんじ ・ことうりゅう まだ修禅寺に御逗留ですか。私はあたたがいなくな りに生きています。 以上 めでと 夏目金之助 さみ くだ 302

5. 夏目漱石全集 11

山崎良平様 一 0 良寛の詩と書 一謡曲「隅田川」の脇の語 一月十八日 ( 日 ) ( 時間不明 ) 牛込区早稲田南町七番 地より新潟県糸魚川山崎良平へ 一月ニ十四日 ( 土 ) 午前十時ー十一時牛込区早稲田 南町七番地より府下巣鴨町上駒込三百三十四番地野上豊 拝啓良寛詩集一部お送りくだされ、まさに落手つ そろ 一郎へ かまつり候。御厚意深く謝し奉り候。上人の詩はまこ きよう くろやなぎさ、がわ かず とに高きものにて古来の詩人中その匹少なきものと存拝復今日は宅で畔柳と笹川とを呼んでタ飯を食う ぜられ候へども、平仄などはまるで頓着なきやにも存約東があるので謡には出られません。せつかくの招待 ( 2 ) さかもとすみだがわ ( 3 ) わきかたり さふらふ まことに残念です。坂元が隅田川をやるなら脇の語で ぜられ候がいかにや。しかし斯道にくらき小生ゅゑ、 おどか やむ もりた しかと致したことは解らず候へば、日本人として小生威嚇してやりたいが巳を得ない。妻は晩に森田のとこ おどりさらい ふうしよう はたた今その字句の妙を諷誦して満足いたすべく候。ろの踴の浚に行かなければならないからこれまた行か おんち 上人の書は御地にても珍らしかるべく時々市場に出てれません。 このあいだもらった粕漬はたいへんうまかった。ま、 も小生などにはいかんともいたしがたかるべきかとも さふら たくれたまえ。匇々 存じ候へども、もし相当の大さの軸物でもこれあり、 一月二十四日 金之助 自分に適当な代価なら買ひ求めたしと存じさふらふあ さう とよいちろう おねがひ 豊一郎様 ひだ御心掛願ひたく候。右御礼かたみ \ 御願まで。匇 さうとんしゅ 匇頓首 一ニ大正三年の桜島大爆発 一月十七日 夏目金之助 さふら おんれい しだう ( 4 ) かすづけ 294

6. 夏目漱石全集 11

八月二十三日 九 0 『現代名作集第一編』 田村俊子様 八月ニ十六日 ( 水 ) 午後六時ー七時牛込区早稲田南 八九第一次世界大戦 町七番地より府下代々木山谷三百一一十九番地鈴木三重吉 八月ニ十五日 ( 火 ) 午前九時ー十時牛込区早稲田南 ( 1 ) すなが 町七番地より島根県簸川郡出西村全昌寺鬼村元成へ 拝復須永の話を分冊にするならば、二冊にして一 拝啓あなたの病気はだん / 、よくなるそうで結構度に出してください。それから両方で二百頁になるよ こうべ うに何か好い加減なものをつめ込むのは少々困ります。 す。早くよくなって神戸へ入らっしゃい。私はたい して変りはありません。まあどうかこうか生きていま分冊なら分冊でい、から、はっきり二冊にしていたゞ す。戦争 ( 注 次大戦 ) が始まりました。たまにはあんな事きたいと思います。右は無理かもしれませんが、私の ほうの都合もありますから、どうそあしからず。草々 も経験のため好かろうと思います。欧州のものどもは 夏目金之助 八月二十六日 長いあいた戦争を知らずにいますから。あなたはあっ 鈴木三重吉様 い所にいて寐ていますか。あなたのほうからいえば寐 るのも禅でしよう。私は精神がぼうっとして、その結 九一最近新作家について 果昼寐をします。私の頭にはかえってそれがい、ので 八月〔 ? 〕牛込区早稲田南町七番地より牛込区矢来町 す。からだをお大事になさい。以上 三番地新潮社「新潮」へ〔応間九月一日発行「新潮。よ 5 八月二十五日 夏目金之助 鬼村元成様 夏目金之助

7. 夏目漱石全集 11

八月九日 七番地より府下巣鴨町上駒込三百二十九番地野上八重へ 橋ロ貢様 拝啓王稿、死、たしかに届きました。さっそく社 のほうへ送っておきました。武者小路君の今書いてい 八ニケーベル先生の告別 ( 一 l) るのが都合で死という名に改まりました。あなたのも 八月十日 ( 月 ) 午後十一時ー十二時牛込区早稲田南死ですが、私の予定たと二つのあいだにたいぶ外の人 町七番地より京橋区滝山町四番地東京朝日新聞社内山本を入れるつもりだからい、が、万一都合で二つの原稿 松之助へ がっヾいて出るか、または一つ二つ間を置いて出る場 拝復予告は御都合でよろしく願います。武者小路合には少々変ですが、なんとか題の変更しようはあり てかず 君の稿料お手数でした。ケ 1 ベルさんの事の原稿お約ませんか。 さしあげ 東のごとく十一日組込に間に合うよう差上ます。六面原稿料は社のほうから二三日うちにお届するはすで はそれほどでもないから載せていたヾけるでしよう。 す。一回四円です。そう思ってください。 とう ケーベルさんはたぶん立つでしよう。もし延ばすよう お父さんの病気はどうですか。いつ国へ立ちますか 9 もうしあげ なことがあったら電話で申上ます。以上 まずはお礼かたみ \ ・御照会まで。匇々 八月十日 夏目金之助 八月十二日 夏目金之助 野上八重子様 八三朝日の新人短編連載 ( 一一 l) 八四ケーベル先生の告別 ( 三 ) ハ月十ニ日 ( 水 ) 午後四時ー五時牛込区早稲田南町 八月十五日 ( 土 ) 牛込区早稲田南町七番地より大阪 - 夏目金之助 とゞけ 33 ?

8. 夏目漱石全集 11

、ものよ、 五月十四日 ( 木 ) 午後五時ー六時牛込区早稲田南町 。い、加減につけておくと活版が天然に直し 七番地より本郷区向ケ岡弥生町三番地増田方林原 ( 当時 てくれます。 あざふみかわだい 岡田 ) 耕三へ〔はがき〕 あなたに用のできた時は仰のとおり麻布三河台へ手 ひるすぎ 紙を上げる事に爨します。以上 拝復午過よこ、 : ナし力い小説「、い」をかいてしまって 四月二十九日 夏目金之助 いますから会えるでしよう。しかしそれは特別で私の しがなおや 志賀直哉様 希望は木曜です。木曜にきて来足りない時に他の日に お出でなさい。からだはまあよろしい。 三九「読書世界」に答う 四一漱石の俳句 ( 一 ) 四月〔 ? 〕牛込区早稲田南町七番地より京橋区銀座一 丁目一番地読売新聞読書会「読書世界」へ〔応問五月 五月十五日 ( 金 ) 午後十時ー十二時牛込区早稲田南 町七番地より大阪府下浜寺羽衣松南水落義一へ 一日発行「読書世界」より〕 拝復お手紙をいたゞきましてありがとうございま 人から実例をあげて自分の意見を間われた場合には、 す。御病気で浜寺の方へ御療養にお出との事さぞ御退 ある程度までの返事はできますが、こっちからこうい う著およびこういう節が会心のものたととくにお答す屈だろうと存じます。このあいだある雑誌であなたの 浜寺からの俳句を拝見したことがありますが、まだ同 ることは困難であります。 じ所にお出なのですか、せいる、御加養御全快を祈り 夏目金之助 ます。私はどうかこうか生きてつまらないものを書い ています。俳句はほとんど作りませんが、このあいた 四 0 「心」執筆中の漱石 ( 一 ) お、せ 308

9. 夏目漱石全集 11

四月十日 三 0 「心」執筆前の漱石 ( 三 ) 津田青楓様 四月十日 ( 金 ) 午前十一時ー十二時牛込区早稲田南 三一雅号について 町七番地より小石川区高田老松町四十三番地津田亀次郎 へ 四月十日 ( 金 ) 牛込区早稲田南町七番地より埼玉県 拝復お帰りのよし、画が五六枚かけたよし、結構 秩父郡樋口村四方田美男へ です。そのうち見せてもらいに行きます。昨日はお出 お手紙を拝見いたしましたが、号などは入らぬもの とも気がっかず、博覧会へ出掛けて失礼しました。美ですから、よしになさい。私は号を有っているが、号 術館を見ました。いやな画が大半です。朝鮮館の出口を有っていない人がつまらないというわけにはなりま おもしろ に昔の陶器と仏像があります。そのうちには面白いもせん。つまり私は余計なものをもっているのでありま のがあります。座禅館という中にある木像も二つほどす。右まで 四月十日 気に入りました。私も、あなたと同じように、何かや 夏目金之助 しおだよしお りかけて油がのる時分に止める都合になるのが残念で 四方田美男様 す。画も、いやになるまでかいて、それからまた文学 なり批評なりに移「てゆぎたいと思います。小説 ( ) ももう書ぎはじめなければなりません。それで画はや めました。あの馬の画の柳へポッ / ( 、を打ちました。 多少よくなりました。今度来て見てください。以上 や 三ニ「心」執筆前の漱石 ( 四 ) 四月十四日 ( 火 ) 午前十時ー十一時牛込区早稲田南 町七番地より本郷区向ケ岡弥生町二番地寺田寅彦へ ひさん、 拝啓久々お目にか、らず、御起居いかゞと思ひを 夏目金之助 304

10. 夏目漱石全集 11

簡 三月二十九日 嗽石 つだせいふう ニ八地方の愛読者へ ( 一 ) 津田青楓様 さらはち 皿と鉢を買いました。もっと色々なものを買いたい。四月七日 ( 火 ) 午後零時ー一時牛込区早稲田南町七 たのし 番地より埼玉県秩父郡樋口村四方田美男へ〔はがき〕 芸術品も天地と同じ楽みがあります。 お手紙を拝見しました。私にはあなたからそう慕わ ニ七「心」予告 れるほどの徳も才もありません。はなはだ慚愧の至で 三月三十日 ( 月 ) 午後三時ー四時牛込区早稲田南町あります。あなたの御自愛を祈ります。 四月七日 七番地より京橋区滝山町四番地東京朝日新聞社内山本松 之助へ ニ九「三太郎の日記」 拝啓御教示の趣承知いたしました。今度は短編を 四月九日 ( 木 ) 午後八時ー九時牛込区早稲田南町七 いくつか書いてみたいと思います。その一つ一つには 番地より下谷区谷中天王寺町三十四番地阿部次郎へ〔は 違った名をつけてゆくつもりですが、予告の必要上全 こ、ろ がき〕 体の題が御入用かとも存じますゆえ、それを「心」と ・こちょうぞう ありがたく ( 2 ) 拝啓三太郞の日記御寵贈にあづかり、難有御礼申 致しておきます。 このほかに予告の文章は要らぬことと思います。敬し上げ候。あの「三太郎日記」といふ名は小生の好ま ぬものに候。中味は読んだのと読まないのとあり。 三月三十日 づれ拝見致す心得に候。御礼まで。匇々 夏目金之助 山本松之助様 そろ ( 1 ) ざんき いたり 303