・けな ぶがまゝに前の方へ押し流された。あとの会話は理論わ。けれどもほかの女を女と思っちや不可いとなると とも実際とも片の付かない、出たとこ勝負になった。 まるで自殺と同じことよ。もしほかの女を女と思わず かんじん 「いくら理想たってそりや駄目よ。その理想が実現さにいられるくらいな夫なら、肝心のあなただって、や うち れる時は、細君以外の女という女がまるで女の資格を ッばり女とは思わないでしよう。自分の宅の庭に咲い 失ってしまわなければならないんですもの」 た花だけがほんとうの花で、世間にあるのは花じゃな かれくさ 「しかし完全の愛はそこへ行ってはじめて味わわれるい枯草だというのと同じことですもの」 でしよう。そこまで行き尽さなければ、本式の愛情は「枯草で可いと思いますわ」 生涯経ったって、感ずるわけにゆかないじゃありませ 「あなたには可いでしよう。 けれども男には枯草でな しかた んか」 いんだから仕方がありませんわ。それよりか好きな女 「そりやどうだか知らないけれども、あなた以外の女が世の中にいくらでもあるうちで、あなたがいちばん を女と思わないで、あなただけを世の中に存在するた好かれているほうが、嫂さんにとってもかえって満足 ひとり った一人の女だと思うなんてことは、理性に訴えてでじゃありませんか。それがほんとうに愛されていると きるはずがないでしよう」 う意味なんですもの」 お秀はとう / ( \ あなたという字に点火した。お延は 「あたしはどうしても絶対に愛されてみたいの。比較 きら いっこう構わなかった。 なんかはじめから嫌いなんだから」 「理性はどうでも、感情のうえで、あたしだけをたっ お秀の顔に軽蔑の色が現われた。その奥にはなんと た一人の女と思っていてくれれば、それで可いんで う理解力に乏しい女だろうという意味があり / 、と 見透かされた。お延はむら / ( \ とした。 わか 「あなただけを女と思えと仰しやるのね。そりや解る「あたしはどうせ鹿だから理屈なんか解らないの しようがいた おっ けいべっ 286
作品論 . し / し 女はこわい存在だとする、男の立場は、女の立場から見ると、男は意地っ張りだということにな るかもしれぬ。そういう逆説を認めはじめたことが、こんど作者を津田に対して最初からきびしく する。いや、きびしくするという一つのクッションこそ置くことによって、津田を救いたいのかも しれない。 「日記及断片ー ( 大正五年の分 ) に次のようなノート。 一一人して一人の女を思う。一人は消極、 sad' noble' shY' 「 eligious. 一人は active' 後者 遂に女を得。前者女を得られて急に淋しさを感ずる。居たたまれなくなる。 life の meaning を 疑う。遂に女を口説く。女 ( 実は其人をひそかに愛している事を発見して戦慄しながら ) 時期遅 れたるを諭す。男聴かず。生活の本当の意義を論ず。女は姦通か。自殺か。男を排斤するかの三 方法を有つ。女自殺すると仮定す。男惘然として自殺せんとして能わず。僧になる。又還俗す。 或所で彼女の夫と会す。 このノートの次に四月二十一日のノートが続いているし、その前にはスミスの宙返りを見たこと か見える。 イ 67
作品論 れが津田にあつめてあるというわけだ 0 いったい津田の中の何が、清子には気に入らなかったのか。漱石の過去の作品においても、既に 結婚してしまっている昔の恋人をとり戻すといった作品は非常に多い。なぜ彼らは最初から結婚に ふみきらなかったか。その理由は作品の中で必ずしもハッキリしなかった。このことが、漱石作品 の、そして、ひいては、漱石自身の秘密みたいなものだと思う。それは女に対するシャイネスのよ うなものだ、とするとそれは何が原因なのか。シャイネスを起させるのは女の中にある一種のこわ さのようなものと考えるならばだいたい分る。漱石作品の部分にいたるところに出てくる。それは 日本の小説にも西洋の作品にも、とくにシェイクス。ヒアにふんだんに出てくる。このことに漱石は 敏感だったはずだ。「リチャード 三世」のアン王妃、「トロイラスとクレシダ」のクレシダ。「ハム レット」の王妃、オッフェリア。「マクベス」の夫人。魔女。「明暗」の女たちはみんなそうだ。 いったい清子がこのこわさから外れたところにある女だ、と一応仮定したところで、清子は、津 田の中にある何を不満の材料として指摘するのか。意地っ張り程度のことか。意地っ張りの現われ の新しい面なのか。あるいはもう一歩進んで、女にこわさを早々と感知して、こわさと結びつく女 の中のもっとほかの面を認めようとしない憎らしい男。そういう男からは、自分は去って行きます。 と、こういうことをもう一度清子は、温泉宿で、いわんとするのか。少なくとも作者はそう仕組も 3 うと思っていたのか。それなら、過去の漱石の小説にふんだんに出てくるものだ。「彼岸過迄」の
またどうあっても信ずるのは厭であった。 た。筆を持っ術を知らない叔父は恐ろしく口の達者な 人であった。ちょっとした心棒があると、その上に幾 七実 枚でも手製の着物を着せることのできる人であった。 おもしろ 叔父は面白半分まだいろ / 、、なことを言った。 俗にいう警句という種類のものが、いくらでも彼のロ じようぶつ あふら 男が女を得て成広するとおりに、女も男を得て成仏から出た。お延が反対すればするほど、膏が乗って留 ぜんなんんによ する。しかしそれは結婚まえの善男善女に限られた真度なく出てきた。お延はとう / 、好い加減にして切り 理である。ひとたび夫婦関係が成立するやいなや、真上けなければならなかった。 理は急に寐返りを打って、今までとは正反対の事実を「ずいぶんのべつね、叔父さんも」 かな 我々の目の前に突き付ける。すなわち男は女から離れ「ロじゃとても敵いっこないからお止しよ。こっちで なければ成依できなくなる。女も男から離れなければ なにかいうと、なお意地になるんだから」 しむ 成仏しにくくなる。今までの牽引力がたちまち反発性「えゝ、わざ / 、陰陽不和を醸すように仕向けるの に変化する。そうして、昔から言い習わしてきたとおね」 り、男はやつばり男同志、女はどうしても女同志とい お延が叔母とこんな批評を取り換わせているあいだ、 ことわざ ふたりなが う諺を永久に認めたくなる。つまり人間が陰陽和合の叔父はにこ / 、して二人を眺めていたが、やがて会話 きた とぎ 実を挙げるのは、やがて来るべき陰陽不和の理を悟るの途切れるのを待って、おもむろに宣告を下した。 ためにすぎない。・ 「とう / \ 降参しましたかな。降参したなら、降参し ことば - フロ - つり よろ 叔父の言葉のどこまでか藤井の受売で、どこからが たで宜しい。敗けたものを追窮はしないから。 あわ 自分の考えなのか、またその考えのどこまでが真面目 こへいくと男にはまた弱いものを憐れむという美点が じようだん で、どこからが笑談なのか、お延にはよく分らなかつあるんだからな、こう見えても」 ねがえ わか まじめ とめ
明 小林はこう言いながら、三度目の視線をまた女伴の やそれまでだろう。だから僕がさっきから言うんだ、 ハンケチ でくぼうおん 実地を踏んで鍛え上げない人間は、木偶の坊と同なし方に向けた。手帛で手を拭いていた人は、それを合凶 あが のように立ち上った。残る一人も給仕を呼んで勘定を ことだって」 かな 「そうだ / \ 。世の中で擦れつ枯らしと酔払いに敵う払った。 ひとり 「とう /. 、立っちまった。もう少し待ってると面白い ものは一人もないんだ」 ところへ来るんだがな、惜いことに」 なにか言うはずの小林は、この時返事をする代りに あと おんなろれ 小林は出てゆく女伴の後影を見送った。 また女伴の方を一順見回した後で、言った。 「おや / \ もう一人も立つのか。じや仕方がない、相 「じゃいよ / 、第三だ。あの女の立たないうちに話し てしまわないと気が済まない。好いかね、君、さっき手はやつばり君だけだ」 かれは再び津田の方へ向き直った。 の続きだぜ」 「間題はそこだよ、君。僕がフランス料理とイギリス 津田は黙って横を向いた。小林はいっこう構わなか くそみそ っこ 0 料理を食い分けることができずに、糞と味をいっし こうふく 「第三にはだね。すなわち換言すると、本論に入ってよにして自慢すると、君は相手にしない。高がロ腹の 言えばだね。僕はさつぎあすこにいる女達を捕まえて、間題だという顔をして高を括っている。しかし内容は しか ありや芸者かって君に聴いて叱られたね。君は貴婦人一つものだぜ、君。この味覚が発達しないのも、芸者 しか こゝろえ に対する礼義を心得ない野人として僕を叱ったんだろと貴婦人を混同するのも」 う。よろしい僕は野人だ。野人だから芸者と貴婦人と津田はそれがどうしたといわぬばかりの目を翻がえ き して小林を見た。 の区別が解らないんた。それで僕は君に訊いたね、 「だから結論も一つところへ帰着しなければならない ったい芸者と貴婦人とはどこがどう違うんだって」 わか よっぱら いちにん おもしる ひる 357
その夫の婦人に対する態度も、朝夕にいて、見てい るではないか」。お延がこう思うとたんに、第二句が 彼女は思い切って一足飛びに飛んだ。情実に絡まれお秀の口から落ちた。 た窮屈な言い回し方を打ち遣って、面と向き合ったま「解らないはずじゃありませんか。こっちが女なんで ( 1 ) しようけん ことば まお秀に相見しようとした。その代り言葉はどうしてすもの」 ありま、 も抽象的にならなければならなかった。それでも論戦お延はこれも愚答だと思った。もしお秀の有の儘が はた にふかげんおも の刺撃で、事実の面影を突き留めるほうが、まだ増しこうだとすれば、彼女の心の働らきの鈍さ加減が想い や だと彼女は思った。 遣られた。しかしお延はすぐこの愚答を活かしに掛っ びとり 「いったい一人の男が、一人以上の女を同時に愛するた。 ことができるものでしようか」 「じや女のほうから見たらどうでしよう。自分の夫が この質間を基点として歩を進めに掛った時、お秀は自分以外の女を愛しているということが想像できるで それに対してあらかじめ準備された答を一つも有ってしようか」 いなかった。書物と雑誌から受けた彼女の知識は、た 「延子さんにはそれができないの ? 」と言われた時、 どう だ一般恋愛に関するだけで、毫もこの特殊な場合に利お延はおやと思った。 たくわ 用するに足らなかった。腹になんの貯えもない彼女は、 「あたしは今そんなことを想像しなければならない地 考えるふうをした。そうして正直に答えた。 位にいるんでしようか」 わか 「そりやちょっと解らないわ」 「そりや大丈夫よ」とお秀はすぐ受け合った。お延は お延は気の毒になった。 「この人は生ぎた研究の材たゞちに相手の言葉を繰り返した。 料として、堀という夫をすでに有っているではないか。「大丈夫」 おもかげ や から だいじようぶ
明 てもり 食っ付いてるんだとはじめから観念している。だから お朝そうだったろう」 いくら惚れたくっても惚れられなくなる義理じゃない 「どうだか存じませんよ」 まつだけめし あとすわ 叔母は真事の立った後へ坐って、さっさと松茸飯をか。なぜといってごらん、惚れるとか愛し合うとかい うのは、つまり相手をこっちが所有してしまうという 手盛にして食べはじめた。 「そう怒ったって仕方がない。そこに事実があると同意味だろう。すでに所有権の付いてるものに手を出す どろぼう ういう訳で義理堅い昔の男は 時に、一種の哲学があるんだから。今己がその哲学をのは泥棒じゃないか。そ 決して惚れなかったね。もっとも女はたしかに惚れた 講釈してやる」 よ。現にそこで松茸飯を食ってるお朝なぞも実は己に 「もうそんなむずかしいものは、伺わなくってもたく あれ さんです」 惚れたのさ。しかし己のほうじやかって彼女を愛した おぼえ 「じや若いものだけに教えてやる。由雄も小林も参考覚がない」 かげん まえたちびと 「どうでも可いから、もう好い加減にして御飯になさ のためによく聴いとくが可い。いったいお前達は他の い」 娘をなんだと思う 「女だと思ってます」 真事を寐かし付けに行ったお金さんを呼び返した叔 ちやわん 、つけて、みんなの茶碗に飯をよそわ 津田は交ぜ返し半分わざと返事をした。 母は、彼女にいし ますしよく・ハン 「そうだろう。たゞ女だと思うだけで、娘とはわなせた。津田は仕方なしに、ひとり不味い食麺麭をにち おれたち いんだろう。それが己達とは大違いだて。己達は父母やにちゃ噛んた。 なが から独立したたゞの女として他人の娘を眺めたことが いまだかってない。だからどこのお嬢さんを拝見して も、そのお嬢さんには、父母という所有者がちゃんと食後の話はもうはずまなかった。といって、別にし かえ しかた おれ
「秀子さんがわざ / \ 注意してくれたの」 堀の宅から医者のところへ行くには、門を出て一二 「なにをです」 丁町東へ歩いて、そこに丁字形を描いている大きな往 「今まで延子さんが秀子さんのところへ来て話してい来をまた一つ向うへ越さなければならなかった。彼女 たんですって。帰りに病院のほうへ回るかもしれない がこの曲り角へ掛った時、北から来た一台の電車がち から、ちょっとお知らせするっていうのよ。今秀子さよ。 うと彼女の前、方角からいえば少し巡の所で留 0 なにげ んの門を出たばかりのところだって。 まあ好かっ た。何気なく首を上げた彼女は見るともなしにこちら わるくち まどガラス た。悪口でも言ってるところへ来られようもんなら、 側の窓を見た。すると窓硝子を通して映る乗客の中に ひとり 大恥を掻かなくっちゃならない」 一人の女がいた。位地の関係から、お延はたゞその女 いったん坐った夫人は、間もなくまた立った。 の横顔の半分もしくは三分一を見ただけであったが、 「じや私はもうおにしますからね」 見ただけですぐはっと思った。吉川夫人じゃないかと あわ あと こんな打ち合せをした後でお延の顔を見るのは、彼 いう気がたちまち彼女の頭を刺激したからである。 女にとっても極りが好くないらしかった。 電車はじきに動きだした。お延は自分の物色に満足 「入らっしやらないうちに、早く退却しましよう。ど な時間を与えずに走り去ったその後影をしばらく見送 うぞよろしく」 ったあとで、通りを東側へ横切った。 ひとこと 一言の挨拶を彼女に残したまゝ、夫人はついに病室彼女の歩く往来はもう横町だけであった。その辺の こ、ら′ ) し を出た。 地理に詳しい彼女は、いくつかの小路を右へ折れたり まが 左へ曲ったりして、いちばん近い道をはやく病院へ行 あと き着くつもりであった。けれども電車に会った後の彼 女の足は急に重くなった。距離にすればもう二三丁と 百四十三 むか この時お延の足はすでに病院に向って動いていた。 まちひがし い」 ~ ゝ むこ 引 6
けいべっ 小林は旨く津田を釣り寄せた。それと知った津田は というのさ。僕は味覚のうえにおいて、君に軽蔑され ふたりつ ながら、君より幸福だと主張するごとく、婦人を識別考えがあるので、小林にわざと釣り寄せられた。二人 するうえにおいても、君に軽蔑されながら、君より自はとう / \ 際どいところへ入り込まなければならなく よっこ 0 由な境遇に立っていると断言して憚からないのだ。っ まり、あれは芸者だ、これは貴婦人だなんて鑑識があ「たとえばだね」と彼が言いだした。「君はあの清子 ればあるほど、その男の苦痛は増してくるというんだ。さんという女に熱中していたろう。ひとしきりは、な なぜと言ってみたまえ。しまいには、あれも厭、これんでもかでもあの女でなけりゃならないようなことを一 いけな も厭だろう。あるいはこれでなくっちや不可い、あれ言ってたろう。そればかりじゃない、向うでも天下に 君一人よりほかに男はないと思ってるように解釈して でなくっちや不可いだろう。窮屈千万じゃないか」 いたろう。ところがどうだい結果は」 「しかしその窮屈千万が好きなら仕方なかろう」 「結果は今のごとくさ」 「来たな、とう / 、。 食物だと相手にしないが、女の 「たいへんさつばりしているじゃないか」 ことになると、やつばり黙っていられなくなるとみえ るね。そこだよ、そこを実際問題について、これから「だってほかにしようがなかろう」 おっきど 「いや、あるんだろう。あっても乙に気取って澄まし 僕が論じようというんだ」 ているんだろう。でなければ僕に隠して今でもなにか一 「もうたくさんだ」 遣ってるんだろう」 「いやたくさんじゃないらしいぜ」 「碍鹿いうな。そんな出鱈目をむやみにロ走るととん 一一人は顏を見合わせて苦笑した。 まちがい だ間違になる。少し気を付けてくれ」 あと 「実は」と言い掛けた小林は、その後を知ってるか、ら くいもの ひとり きわ でたらめ むこ
「馬鹿らしい、好い年をして」 陰陽不和がまた必然なんだから面白いじゃないか」 あき - 」とば お延と叔母はこもみ、呆れたような言葉を出すあい 「どうして」 よそ だに、継子だけは余所を向いた。 しし力い。男と女が引張り合うのは、互に違ったと ころがあるからだろう。今言ったとおり」 「いや妙なことがあるんだよ。大将なか / 、調べてい 「えゝ」 るから感むだ。大将のいうところによると、こうなん 「じゃその違ったところは、つまり自分じゃないわけ だ。どこの宅でも、男の子は女親を慕い、女の子はま あたまえ た反対に男親を慕うのが当り前だというんだが、なるだろう。自分とは別物たろう」 「えゝ ほどそういえば、そうだね」 親身の叔母よりも義理の叔父を好いていたお延は少「それ御覧。自分と別物なら、どうしたっていっしょ し真面目になった。 になれつこないじゃよ、 オしか。いつまで経ったって、離 「それでどうしたの」 れているよりほかに仕方がないじゃないか」 「それでこうなんだ。男と女は始終引張り合わないと、叔父はお延を征服した人のようにから / 、と笑った。 完全な人間になれないんだ。つまり自分に不足なとこお延は負けなかった。 ひとり 「だけどそりや理屈よ , ろがどこかにあって、一人じゃそれをどうしても充た りつば すわけにいかないんだ」 「むろん理屈さ。どこへ出ても立派に通る理屈さ」 お延の興味は急に退き掛けた。叔父の言うことは、 「駄目よ、そんな理屈は。なんだか変ですよ。ちょう へりくっ 自分のとうに知っている事実にすぎなかった。 ど藤井の叔父さんが振り回しそうな屁理屈よ」 「昔から陰陽和合っていうじゃありませんか」 お延は叔父を遣り込めることがでぎなかった。けれ 「ところが陰陽和合が必然でありながら、その反対のども叔父のいうとおりを信する気にはなれなかった。 まじめ や しかた 158