いト”叫ル 1 円 一切触れず、何ごともなか かったかのように、東京の Ⅱを経て、「私」は、妻とそう、吉本隆明の共同幻想国 米舎 ったかのように、すべてが街角で再会を果たす・ : 娘とともに平穏に生きてい 論と岸田秀の唯幻論です。 授木が くことを選ぶ。子どもを持でも、昨今のはやりの物教 ( 美しい思い出となってしま村上春樹の最新作『騎士 っている。果たしてそれで団長殺し』。肖像画でなりつというテーマ自体、これ語を見てみると、私たちが大けカ 院あョ いいのだろうか、と。 わいを立てている画家のまでの村上春樹作品では注好んで受け入れているもの学のシ 山学ナ この「何ごともなかった「私」は、ある日突然、妻意深く避けられていたはずは、共同の幻想というより だが、ここでは「私」をし から離婚を切り出される。 却かのように」終わる、とい は、むしろ、共同で何かを都術ン カ うバターン。あらためて見前後不覚のままひとり旅にて、小さな娘のことを「私一切合切忘れてしまうこと学芸イ 渡してみると、最近の風潮出た「私」は、東北や北海に手渡された贈りものなのの方ではないだろうか。ま生に 。書集 のあちらこちらで散見でき道をさまよったあと、友人だ。恩寵のひとつのかたちるで何ごともなかったかのれ著 ( るような気がする。本稿での父 ( 高名な日本画家 ) がか」として。」とまで言わせてように。そうすれば美しく生授 年教る も書いたが、昨年から今年って使っていた、山の上の いる ! この、まるで何ご肯定的な気分になれる。名な か にかけて大ヒットしたアニ孤立したアトリエに暮らすともなかったかのように感づけて共同忘却論。 ち大の メ映画『君の名は。』。 3 ・ ことになる。偶然、屋根裏は、一体全体何なのか しかし、これはなかなかい一学 んラ科 ⅱを思わせるような天変地に隠されていた絵を紐解い 読書界を席巻するもう一危うい風潮ではないだろうし工命 かフ生 異によって一瞬にして消滅たあと、不思議なことが起っのベストセラー『サビエか。 おク「 くッ刊 少し前のこと。何気なくしてしまった山奥の町。そきはじめる。深夜、誰もい ンス全史』。著者 ふロ新 ラジオを聴いていたの町にかって住んでいた高ないはずの敷地の外れの地ュヴァル・ノア・ ハラリの主張を一 ら、の特集をやっ校生の女の子と、心が入れ中から微かに鈴の音が聞こ ていた。彼らの歩みを振り替わる体験をした東京の男えてくる。一方、谷の向こ言でいえば、ヒト 返り、日本の音楽シーンに 子高校生は、何とか彼女をう側の豪邸に住む謎の白髪がヒトをしてヒト 果たした役割と影響を大絶救いたいと願う。その切実紳士が何らかの意図を持ったらしめたものは タイムスリップ 賛、今や華麗なるレジェンな思いが不思議な時間遡行て近づいてくる。「私」が「虚構」を作り出 ドとなった、と締めくくらをもたらし、奇跡的に町の講師を務める絵画教室に通し、それを共有す れていた。ヒット曲もたつ人々は災害から逃れることう十三歳の美少女と関連がる能力である、と , っことにつき ぶりかかり、ファンの人にができる。しかし、もとのありそうだ。ハルキ節全開 ャ とってはご機嫌な内容にな現実世界に戻った主人公のの壮大な物語はそのまま現る。貨幣、国家、 っていたわけだが : : : 福岡男の子は過去の記憶をうま実と非現実の間を激しく往宗教、権力 : : : す ' ハカセの頭のなかには大き く思い出すことができな還し、息もっかせぬ筆致でべてがそうであ ン な疑問が膨れ上がってき でも心のどこかで誰か シ ぐいぐいと読者を引 0 張 0 る。でも、これ 0 を等第 た。えつ、それだけ本を求めているような気持ちていくのだが : : : 結局、て我々の世代にと 誌既報のとおり、あれだけがする。時を経た美しい春「私」と妻は、なぜかすと ってはどこかで聞第当 イ 世間を騒がせた解散劇にはの日、二人は、何ごともなんと元の鞘に納まる。 3 ・ いた話だよなあ。 2017.3.30 週刊文春 連載 O 福岡伸ー
マ 4 ミ ・ 0 事 0 ・章 0 事 0 ・ 0 0 0 ・ 0 事 0 ・ 0 0 という言葉にハッとさせられた。多 ボクらは「未災地」で、 インドカレーは「悲劇の料理」 くの断層が走る日本列島は、「未だ」 「災間」を生きてるの ! 災害が発生していない土地でも「未 らく空港職員用の ) 弁当が運ばれてき 章の た。カレーの匂いがする。「こんな 三月十一日、ボクは仙台の来には」必ず起こる「未災地」。そ . 家 - 何 0 で「 3 ・Ⅱ若者たちは、いま」として今は「災害と災害の間」。災害・検′ もん、食えるか ! 」と思った。今、 0 探秀 いうラジオの生放送に出たの。つら予防意識の持ち方で被害が大きく違章ウ 責この世でいちばん食べたくないもの 彩 くもあったけれど元気も貰ったわ。 ってくる、というのが彼らの実感。・キ里 0 番組で話してくれた三人の高校生未来のためにも、皆に″自分の事。・ヘ でもせつかく持ってきてくれたん ス が素晴らしかった ! 震災時に小学としてあの震災を考えてほしい、だ だし、と形ばかりスプーンですくっ て口に入れたら驚いた。むちゃくち 0 五年生だ 0 た彼らは、自分達の震災から体験を語り続けると。それが風 . 体験を語り始めていて、それをまと化も防ぐというの。凄まじい現実を・謎の怪魚を探しにインドへ行ったや美味い ! 辛さはほどほどでスパ イスは複雑かつまろやか、柔らかく 章めた本が『歳の語り部』 ( ポプラ見てきた彼らの重い言葉に圧倒さ . ときの話のつづき。 れ、同時に未来への希望を感じたわ。 . シーラカンスに匹敵する世紀の大胃におさまっていく。米もバサバサ もう一つ番組で感動したのは、岩章発見を夢見た私は、現地オリッサ州というより、「軽い食味」で、ほん 手県大槌町の木碑。石ではなくあえの公用語であるオリャー語を習ったとうに食べやすい て朽ちる木で作って、定期的に建て・り、魚を見つけた際に鑑定してもら どうやら今まで旅行中に食べてい かえるの。今春、建てかえられた木章うよう日本・の著名な古生物学者に協たのは単に安食堂の 碑の側面に、「誰かの命を助けたい・カをお願いしたりして万全の準備をもので、同じカレー巧 なら代わりのない自分から」とい・整えてインドへ向かった。 も中級以上になれ一、、 紋う言葉が加えられた。大槌高校の生ところがそこにはまたしても想像ば、別物らしい。弱 中 徒たちが考えたそう。すごいワー ・を絶する悪夢が待っていた。降り立って干からびた心身 ラ最初に逃げるのって、意外や勇気が・つたコルコタ国際空港のイミグレー がみるみるうちに緩 必要。でも、自分を大切に愛してい章ションで入国を拒否され、そのままみ、ほどけていく感第 ~ 0 社 ) 。男の子一人と女の子二人、家れば、最初の一歩を踏み出せる。そ・身柄を拘東されてしまったのだ。実じがしたほどだ。 インドカレー、す 0 を失くしたり、親友を亡くしたりしして、その一歩が誰かを救うのかも章は前回、インドにーーーやむを得ずな と開眼した 0 ているけれど、以前は、震災のことしれない。復興も、防災教育も、若・のだがーー密入国してしまい強制送ごい ・をなかなか話せなかったんですつ者主導で進めれば間違いないと確信・還されていた。そのときの記録がちのだが、時すでに遅し。その後強制が ) て。被災地だと、たとえば自分はおできたラジオ出演でした。 ・ゃんと残っていたのだ。 送還された私はいまだにプラックリレ ( 0 一 = ロ じいちゃん、おばあちゃんを喪った 世紀の大発見どころか世紀の茶番ストに絶賛掲載中でインドに入国でい しら 歳かた けれど、あの家では四人も亡くなっ 0 . ・劇である。意気消沈しているうえきない。 おあ 0 ているから我慢しなくては して章に、ひいていた風邪が悪化して熱ま本場のインドカレーは私にとってはん 社は見 のルこ ~ ( ( ( ラ。達を ・ういう複雑な遠慮などがあるのよ。 . で出ていた。食欲など皆無な私のと文字通り、「悲劇の料理」なのであく プ部供災 現た 0 特に「未災地」や「災間を生きる」 - ポり子震 ころへアルミパックに入った ( おそる。 尾木直樹 ( おぎなおき ) 一九四七年滋賀県生まれ。教育評論家、法政大学教職課程センター長・教授。・ たかのひでゆき 1966 年生まれ。ノンフィクション作家。最新刊は「謎のアジア納豆」。 尾木のママて 食べもの 連載 3
バーバリーから新アイコン 2K88 バッグコレクション」登場 ! バーバリーの伝統が息づく新素材を使用した アイコニックなシルエットのシグネチャーバッグはいかが ? カん 0 Fu 川″ 0 S ん勉れ s な 0 れの , d ・ S ん耘 0 な D な 0 ガ i 正統派なのにモードも香る。 このバランスが、ハーノリ ハリーを代表するヘリテ ジ・トレンチコートに使用さ れている、ハニーカラーギャパ ジンのハウスコードにちなんで 名付けられた「バッグコ レクション」は、アイコニック ーサイ なシルエットと、オー ズな留め具が印象的な新作。 プランドの神髄ともいえるギ ャパジンのテクスチャーをレザ ーにエンポスした「トレンチレ ザー」で作られているため、 ンドルの持ち心地やバッグ本体 の使い心地はあくまで柔らかで 優雅でありながら、傷に強く耐 久性にも優れるという、通常で あれば相反する美点が同居する 秀逸なバッグだ。 イングランドでデザインされ たタイムレスなシルエットから は、英国ならではの感性が香り たち、持つ人の印象を知的に美 しく彩ってくれるだろう 他ア計ニ表一路ス れデ リ / すイ 洋ー - 0 カ か揃くプ ・ 0 グク プ素ド / , リ ク网一座心店」 〉やウバ銀の ラズ / ム 2 一一国 d 先 トイプサヾリノ 一全せ 6 ク報一バび ボ、一圏ッ〉情バ衣おゅ哈 ん野に方舗道本店 り、店 クロム回一【参六面トお谷
独身仲間の友人が「ミニマ リスト」 ( 身の回りのモノ をどんどん捨て、必要最小限のモノ だけで暮らす生き方。若者の間で流 行っているようです ) 生活を始めま した。彼の家には今、布団しかあり ません。モノを捨てると「迷いが消 える」「物欲が減る」そうで、お前 もやれと勧められるのですが、正 直、私は、物欲と煩悩のカタマリで して、先日もパソコンを衝動買いし たところです。新車に一軒家、つい でに可愛い奧さんも欲しい。先生は 「ミニマリスト」をどう思います か ? ( 歳・男・配送業 ) ″ミニマリスト″ 何のことじゃ ? まあ次から次に奇妙な言葉を引っ 張り出して、いったい日本語はどこ へ行くのかね。 三十年くらい前から、横文字をど こやらから持ってきて、本来の意味 もそっちのけでいかにものような使 い方をしとるが、それは言葉を曖昧 にしとるだけだとい , っことがわから 連載第回 見て見ぬ振りをするのが 大人の男の常識だよ 主月 長友啓典・画 んのだろうか。バカタレどもが。 それで何だって ? そのミニなんとかで、身の回りの モノをどんどん捨てれば、物欲が涸 れ、迷いが消える ? その程度のことで消える迷いは、 迷いとは言わんでしよう。 いつもわしが一言っとるでしょ , つ。 すぐにカタがつくようなもんはす ぐにまたおかしくなると。 すぐに役に立つもんはすぐに役に 立たなくなると。 それで配送業のあんたが、物欲と 煩悩のカタマリ ? いいじゃないの。それが人間でし よ、つ。 新車も欲しいし、一軒家も欲しい の。結構じゃありませんか。ついで に可愛い奥さんもって ? 言い過ぎ にろ , っ 大人の男は、自分の面と中身を見 てからロをききたまえ。 ミニなんとかをどう思うかって ? そんなもんは屁でしよう。 わしは、車も、家も、通帳も、そ んなもんいっさい持っとらんし、興 味もない。 自分のものと思っとるもんは、す べて幻想ということがわからんのか ね。まったく。 わしらが乗る最終列車には、手荷 物さえ持たされんのを知らん のかね。 2
0 があるという。 「嶋田さん、裏カジノをやってたん ですか」 「そんな時期もあったな。二、三年 嶋田が組持ちになったころだと桑 原はいう。「極道は自分のシノギを 持って一人前や。シノギがものにな ったやつは若いもんが寄ってきて、 あっというまに大きくなるし、もの にならんやつは一生、チンピラのま まで野垂れ死ぬ。 : : : ありがたいと 思わないかんぞ。おまえは親父の遺 産で食うとんのや」 「いまは食いかねてますけどね」 「おまえは大阪一のぐうたらや。年 がら年中インコと遊んでて、食えて るほうがおかしいやろ」 そこへ、ノック 。さっきの坊 主頭がトレイを抱えて入ってきた。 皿とカップをテープルにおき、ポッ トのコーヒーを注ぐ。ミルクと角砂 糖を添えて出ていった。 「飲め」 【前回までのあらすじ】建設コンサルタントの ニ宮と、ヤクザの桑原は特別養護老人ホームを 裏で経営する暴力団・白姚会事務所に赴いた。 一一宮だけが拉致監禁され重傷を負うが、府警四 課の中川を呼び寄せ、逃れる。桑原の目的は診 療報酬詐欺で金を得た警察 0 の情報を得るこ とだった。二宮は桑原に命じられ、失った桑原 のの捜索と診療報酬詐欺の情報収集を始 める。中川に払った情報料代を受け取るため、 二宮は桑原のいる二蝶会事務所を訪ねた。
けです。債務整理の仕事をやってい葉に、私は嘘はないと思った。だか森下ほしいです、ランドロイド。 く , っちに、やつばりこれはつくった ら「うちが出資しましよう」と言っメッチャほしいです。わたしも家庭 ほうがええんちゃうかと思い立ったて、出資することにしたんです。その主婦ですから。 樋口それがあれば、一年間、原稿 小林さんは岩下さんを説得し、北浜れが最初でした。 銀行に株を引き受けてもらう。それ森下これまたドラマに使えそうを書く時間に回せますね。 しシーンですね。 森下いやあ、それはリこ、 が始まりなんです。それから沿線の ( 笑 ) 。、、 宅地造成をし、動物園や大浴場をつ樋口この前は「ランドロイド」と ( 笑 ) 。でも画期的ですね。 いうのを発表しましたよ。全自動洗樋口なんでそういうことを考えて 歌劇団までつくった。 いるがというと、売上が一兆二千億 樋口べンチャー事業だったわけで濯機だと、洗濯物を放り込んだら、 ぐらいのときにね、闘病中だったオ 洗って絞って出てきますよね。とこ 森下岩下さんはべンチャー支援にろが、そこから先、折りたたんで収ーナーからこう言われたんです。 「樋口君、五十周年のときは一兆五 ~ 一積極的だったんですね。豊田佐吉さ納しないといけません。その折りた 一んに会社設立費として五万円を融資たみと収納をするために、一般家庭千億や 0 てくれるんやろ」と。 やりますよ」と言うたら、「そ したのも北浜銀行なんです。その五の主婦が生涯で使う時間を日にちに したらなあ」と、出てきた言葉が 万円がなかったら、 いまごろ世界の置き換えると、それが三百七十五日。 トヨタはなかった。 森下へえーっ。そんなに。 「百周年のときには十兆円の企業群で 樋口自動的に折りたを形成してくれな。それが俺の夢な予 樋口目利きができる人がいない と、せつかくしし 、ものを持っていて ・・たんで収納するロボッんや」。そう言って、 = 年ちょっと号 も、世の中に出ることかない。大不 ・トができたら、主婦はで創業者は亡くなったんです。だか 丸々一年間、自分の時ら、あの時の言葉がすっと頭の中に ハウスもべンチャー支援に力を入れる ていますよ。 2014 年に上場したと に北浜銀行をつくった人です。で、 森 - 間をほかに使えるわけ残っている。十兆円を達成するため次 ・ですよ。その全自動衣には、何をしなければいけないか ロボットスーツを開発、製造する 小林さんにはすっと岩下さんの影が 0 を あるんですよ。のちに小林さんが劇「サイバーダイン」。あるとき、筑波 , っ - 類折りたたみ機を開発 と、いつも考えるんです。べンチャ会 跡ま・ 式 ・した人がいるんです。 ー支援もその一環なんですよ。 作の本を出した時も、「この本を岩大学の山海嘉之教授が直接会社を訪 株 足し 下清周さんに捧げる」という献辞かねてこられたんです。で、山海先生のて ~ 阪根信一さんという社森下石橋さんはお亡くなりにな 0 業 が話されてるとき、私はすーっと先 ら始まるんです。 っ . 長さん。その人も大和ても、なお会社を動かしてらっしやス ハウスを訪ねてきたんるということですね。すごいなあ。 樋口へえー、それは知らんかった。 生の目だけ見てるわけですよ。で、 みのお こ■です。ひと通り説明を樋口創業者というのは、企業にと和 森下阪急電鉄って、最初は箕面の説明が終わったときに一つだけ、 0 ・聞いたあと、「阪根さっての親ですよ。親を粗末にして大 ほうの捨てられたような路線計画を「山海先生、何のためにそれをされわ能 拾ってきて始められたものなんでてるんですか」と質問したら、「自、、不 ~ ん、わかった。うちが成した人間はおりませんからね。今提 す。で、ある時、失業中だった小林分の研究を通して多くの人々の役に と解 . 出資するわ」と。それ日はお忙しいところありがとう、 ) ざ 3 2 さんのところに岩下さんが来て、そ立てればいし 、と思 0 てや 0 てます」才理 ~ も一発で決めたんですいました。直虎、楽しみにしていま す。 の会社の整理事業をしろと命じるわとおっしやった。山海先生のその言、大と・よ。
2017.3.30 コルト 月村了衛 週刊文春 驚いた馬は人足を蹴散らして一頭 残らず逃げ去った。 海に向かって応射した鉄砲方が一一 人、胸を撃ち抜かれて即死する。 警護の武士達が態勢を立て直す間 もなく、港に漕ぎ寄せた無数の小舟 に分乗していた敵が次々と上陸して きた。鉄砲を構えたオドロ党を先頭 に、武器を持った信徒達が鬨の声を 上げて押し寄せる。 斜面を下り切って森に入ったお炎 と玄人達は、一個所に固まらず左右 に広がるように展開し、それそれ木 や岩の陰に身を隠すように配置につ お炎は松の木の陰から上陸した男せ、左手で撃鉄を叩きながら連射す森から走り出たお炎は、コルトをてすぐの土間が最も広く、損傷船の 達を狙い撃ちにする。海に潜んでい る。この土壇場で無駄弾は使えな撃ちながら立務所まで一気に走っ修理道具や予備の櫂などが所狭しと た敵も、一旦陸に上がれば姿が篝火 。発砲していた六人が黒い血を噴た。左右にいた数人が後に続く。 並べられている。密貿易船を取り締 に浮かんで狙いは容易につけられる。 いて倒れた。お炎はすぐさま再装填まずは立務所を確保すること。そまるための鉤縄、投網や六尺棒など にかかる。 鉄砲を持ったオドロ党から片づけ れが事前に示し合わせた策の第一でもある。また半分は倉庫代わりのよ ていく。敵の持っ鉄砲は最大で二十横一列になって旅弓を広げた玄人あった。 うにもなっていて、何が入っている 挺。まずそれを黙らせねば、反撃の衆は、菅笠に仕込んだ矢を抜いて一港の端に建っ立務所は恰好の陣地か分からないが大きなや木箱が置 糸口さえっかめまい 斉に射掛ける。 となる。また次なる〈目当て〉へのかれている。 手頃な枝にコルトの長い銃身を乗こちらに気づいたオドロ党が慌て重要な中継点でもあった。 その奥は番人用にしつらえられた て銃口を巡らせるが、飛来する無数耳許に弾丸の唸りを聞きつつもな畳敷きの部屋となっていた。様々な あらた の矢に射抜かれて五人が斃れた。敵んとか立務所に飛び込んだ。すぐ後手形や書類を検めるためであろう、 【前回までのあらすじ】羽衣の二つ名を持っ 女渡世・お炎はアメリカ製最新式六連発銃・コの鉄砲は残り九挺。扱い方を知らぬから駆け込んできたのは、与四松、文机や手文庫が並べられており、隅 ルト M1847 を携え佐渡へ。だが、金山の奥者が死人の側に転がる鉄砲を拾って富五郎、喜平次、音次郎、おみんの には畳まれた布団が積み上げられて あおみわしんざぶろう で再会した想い人・青嶂信三郎は、邪宗「オド も恐ろしくはない。それはこちらも五人。残りの玄人衆は森の中から旅いる。 ロ様」の主と成り果てていた。阿片で信徒を操 せみまろ かぶらギ、やじゅうろう 同じこと。 弓で掩護してくれている。 奥の部屋に駆け上がったお炎は、 り嬋麻呂と名乗る隠密・冠城弥十郎の狙いは上 よし - っ 納金強奪。お炎、軽業娘おみん、与四松率いる 予期はしていたであろうが、伏兵外見の通り立務所の内部はさほど黒ずんだ柱の陰に身を隠すようにし すもとかっしろう 玄人衆は阻止に動くが、奉行所の須本勝四郎らの出現に敵が怯んだ。 広くはない。、 港に出入りする船舶をて手早く弾丸を詰め替える。 金銀運搬の行列が港に着くと海上から銃声が ! 「今だよっ」 監視、監督するという役目上、入っ敵の銃弾が立務所の板壁を抉り、 とき Tsukimura Ryoue 画◎遠藤拓人 たお
理で彩るのは、そう簡単で には存在しているのだ。 x 月 x 日 いつでも食べられるように 連続して使用しているとう はない。ごはんと汁、それ お父さんとお母さんと、 小分けにして冷凍しておい っすら罪悪感が降り積もっ ー既一日中座り仕事をしてい た日は、無性に料理がしたてくるのは、手作り信仰がたという、料理好きな女性子供が二人。 : : : ばかりがに魚を焼くだけでは寂しす 館 なのだ。 家族ではない。単身でも同ぎるので野菜料理を一つか くなる。一心不乱に野菜を強い日本人だからなのか。 刻んだりアクをすくったり『男と女の台所』 ( 大平一枝離婚後、何を食べても美性同士でも血縁でなくても二つ、あとは豆腐料理も添新個 書 。樹当 えて、でもやつばり物足り躍夏担 . / していると、邪念が頭から平凡社 1500 円 + 税 ) 味しさを感じられなくなっそれは家族であり、そこに 活睾を 消えてゆく。結果として食は、色々な家の台所の写真た、彼女。コンビニと外食はいつも台所がある。誰がないかもしれないから肉料て訳 : などとし代 べたいものが食べられる喜とともに、その家の住民へで胃を満たす日が続く。し包丁を握ろうと、そこで作理も作っておくか : トな現 った料理を食べることによと考えるだけで、肩が重くス , の 文 びももらされるわけだのインタビューが収められかし半年後、「食べたいも って、人は家族になってい が、料理は現実からの逃避た本。登場するのは、料理のがひとつもないのにコン なってくるのだ。だからこセ潮子 が好きでたまらない人の立ビニに寄る生活がもう嫌」くのではないか。 そ人は、作 0 た料理をいち ~ 第第・行為としても秀逸なのだ。 ら』 と思う瞬間が、やってきた。 いち ()0 Z にアップしてか妹で さらにもう一つの料理の派な台所ばかりではない。 代姉 , x 月 x 日 ホン酢のコマーシャ彼女にとって、料理は結 第効能は、自分が「ちゃんとまた、。、 「いいね」と褒めてもらわ時氏社 手作りの料理が素晴らし ルに出てくるような「家婚生活を思い起こさせるト ( した人」であると思うこと なくては、料理ができなく高房 しなってくる。 ラウマになっていたのかも いことは確かなのだが、 ができる、ということ。特族」の台所ばかりでもない。 れス出 しかしそこからかし日本の食卓を手作り料料理という過重労働にクまウ舸 たとえば三十八歳の女性しれない。 別に手をかけた料理でなく ソ意地で耐えるか、逃避し京刀巻 が一人暮らしをするの少しずつ料理を再開するこ とも、自分で作ったという 東ン 7 て出来合いのおかずや外食か』 事実が、ちょっとした免罪マンションの台所は、ごくとによって、彼女は生気を 6 マ集 : という状況四 ( 全 に頼るか。 狭いスペース。この部屋に取り戻していく ~ 符のように田 5 えてくる。 だからこそ、『一汁一菜でこ嘘文 外食、中食、お取り寄せ住む女性は、東日本大震災ああこの感じ、よくわか んの本 よいという提案』 ( 土井善晴ゅ聞日 ・ : と、あらをきっかけとして、離婚しる。ごはんを炊いて味噌汁 に冷凍食品。 グラフィック社 15 0 0 円 た。夫と別れる前日にも夫を作ることによって保たれ ゆる食の手段が存在する、 かに編 + 税 ) は今、売れているのさ刊人 る何かが、確かに我々の中 今。しかしその手の手段をの好きなシチューを作り、 私の読書日記 料理の効能 ェッセイスト 子 男ど安め 台所 大平技 勇と女の台所』 132
・三回間違えた問題は、壁だから、中一から週二回、十分、髪を乾かすのにも四人くらいは調べました。例はインブットするばかり 塾の『鉄緑会』に通わせて、十分かけていた。受験期のえば、『タデウシュ・コシで、あまり意味がない。コ や天井に貼っておく。 ぎ・お手製の暗記ノートを作六年かけてこっこっと勉強八十分は痛手です。息子達チュシュコ』なんていう十マ数をたくさん取るのは落 3 八世紀にポーランドの独立ちる元です ! それで大喧 り、食事する子供達の横でさせる道を選んだんです」なら髪が濡れていようが、 0 運動を指揮した政治家の名嘩になったんです。今から いざ、高三の受験期に入十分で済ませます。ただ、 ページを捲って覚えさせる。 2 このように母親が徹底的ると、そこは″プロママ。、娘は身だしなみを気にする前も、顔を見ればすぐに暗考えると、娘は丁度、夏用 にバックアップすることで、長女に対しても徹底的なサ年頃で、『汚いままだとテン記できる。顔を検索する度のオシャレなサンダルを買 ったばかりだったので、そ ションが下がる』という一言 に『結構、イケメンじゃ 息子三人は灘中・高から東ポートをした。 「息子達に比べて、娘は日い分も理解できた」 ( 同前 ) ん ! 』、『これはママのタイれを履いて外出したかった 大理Ⅲへと合格を果たした。 そこで佐藤さんは、あるプじゃない』などと、女子んでしようね」 ( 同前 ) 今年、洛南高校に通う長頃の生活ものんびりしてい 結局、その時は二日間だ トークで盛り上がりながら ました。例えば、入浴に四″時短法″を考えた。 女も受験を迎えたわけだ 覚えさせました」 ( 同前 ) け夏期講習に行くことを認 が、佐藤さんは「息子達で ただ、スマホを使う場合めて落ち着いたという。 成功した方法を娘に当て嵌業務用ドライヤーを買った ただ、一方で長女は、朝 は、あくまでも母親のもの めても駄目」と語る。 から晩まで眠い目を擦って 「美容院にある業務用の大マーで時間を計ったら、うを使うことが、ポイントだ ジ「息子達は中学時代に塾に まで、ずっと勉強していた メも行かず、部活に精を出しきいドライヤーを買ったんちの娘も、英語の復習に一という。 ていました。長男に至ってです ! 風力がすごいの時間半もかけていた。それ「娘はスマホを持っと途端のかというと、必ずしもそ にいじり出して、音楽を聴うではない。佐藤さんは、 等は高三の夏までサッカーをで、髪も十五分で乾くようは無駄です ! 以降、三十 いたり、 YouTube を見たり、「受験生は寝ることを恐れ になりました。さらに直前分の制限時間を設けて、そ 続けていたくらい。たた、 0 男の子の受験は短期決戦型期は私がドライヤーで乾かの間に可能な範囲だけ覚えネットサーフィンを始めててはいけない」と強調する。 ン モで、土壇場での追い上げがしてあげて、両手が空いたるようにした。三十分超えしまう。だから、娘のスマホ「娘には東大の試験直前ま たら、私が問題を取り上げは電源を切ってカバンにしで、一日十時間は睡眠を取 効くんです。息子達は直前娘には、国語の問題集を持 まっておくんです」 ( 同前 ) らせていました。その方が た期に一日十五時間の勉強をたせて解かせていた」 ( 同前 ) ていました」 ( 同前 ) ま四十日間、毎日判で押した このように受験生は、時長女は理数系の科目が得時には母娘でぶつかり合勉強にも集中できた。たと がように繰り返しました。そ間を上手く使って、効率よ意な一方、センター試験でうこともあったという。そえ子供が寝すぎても、親は 『寝過ぎなんじゃない ? 』 されに対して、娘には、そこまく勉強することが何よりも必要となる世界史が苦手だれは高三の夏期講習を巡っ と感情的に叱ってはいけま ったという。ここでも佐藤てのことだった。 佐での体力はないと思った。重要だという。 「夏休みは家でひたすら問せん。せつかくのヤル気が ~ 「女の子は何でもき 0 ちりさんの勉強法が活躍した。 やりたがるので、時間がか「教科書に出てくる人名を題を解かせて、夏の東大模萎えてしまう。起きている かるんです。例えば宿題の全然暗記できていなかった試で『 < 判定』を狙う計画時間をいかに有効に使うか が大事なんです」 復習も、一から十まで舐めので、私がスマホで片っ端だったんです。ところが、 るように覚え直さないと気から検索して顔の画像を探娘はなぜか、夏期講習に行勉強で煮詰まった時の息 が済まない。ある日、タイしてあげたんです ! 二百きたいと騒ぎ出した。講習抜きの仕方も独特だ。あの
2017.3.30 週刊文春 たり前のバスルームで天井を見上げ そう考えるのは、やはり卑怯だろしのいたずらなどを防ぐためですの り、緊張は否めない。 うな、と思ってみる。 洗面台に使い捨ての歯プラシが置ていると、ますます現実感が薄まっ で、どうかご理解下さい〉とあった。 おかじまきようこ 4 いてある。この上なく現実的な光景て、まるで友だちの家にでも泊まり この間、岡島杏子から、大林との「ちなみにナナミさんは、電話での 2 今のような状態で本当に心と体は満感じがちょっとないくらい良かった なのに、現実感がまるで無しし 、。、つに来ているかのような錯覚に陥る。 です」 たい自分は何をやっているんだろ 白崎に答えた通り、彼のプログは足できるのかと訊かれた時、 , つ、とムフさらのよ , つに思 , つ。ここか たまに読んでいた。独りの時、執筆〈できなくても、しなくちゃいけな この部屋に通された最初に、そう ら出る時、また馬鹿なことをしたとが行き詰まった時の息抜きなどに覗いんじゃないかな〉 言われた。奈津のほうでも内心、 ( そ 虚しくなるのだろうか。 き始めて、もう一年ほどになるかも そう答えたのは他ならぬ自分だ。 の点にだけは自信がある ) と思った。 シャワーを浴び、無香性のボディ しれない。実際に連絡を取るまで時舌の根も乾かないうちにこれだ、と おそらく、初対面で誰かに悪い印 ソープで身体を隅々まで洗う。少し 1 ま、、 カカカったのは、以前、ずいぶん思うと情けなくなる。 象を持たれたことはほとんど無いの 迷ったものの、せつかくなのでバス思いきって出張ホストと寝てみた際風呂から上がり、ふかふかのタオではないかと思う。どんな相手に対 タブにも浸かった。このあと裸になに後悔しか残らなかったせいだ。 ルで身体を拭き、濡れた髪を乾かしても反射的に笑顔を向け、できる いわいりようすけ ることを考えると、芯まで温まって 今夜、岩井良介と逢えていたならす。時間を気にする必要がないことだけ感じよく接してしまうのは、性 おいたほうがよさそうだ。 いやそれ以前に、同居人の大は、白崎から言われるまでもなくわ格というより習い性、いわば自己防 ばやし ごく普通のマンションの、ごく当林がもっと構ってくれていたなら。 かっていた。彼の〈スタジオ〉は、衛本能のなせるわざだった。 午後早めの時間帯と夜八時以降の深セックスにおいて、身も心も達す 夜帯の二部制なのだ。 るということがなかなか出来ないの 表向きは女性限定のボディエステも、その最中にまで相手に気を遣 をうたっており、彼自身、エステテ つい〈感じよく〉ふるまおうと イシャンおよび整体師の資格を持っしてしまうせいかもしれない。 ている。 今夜これから、初めての白崎を相 完全にプライバシーが保たれた個手にどれだけ自分を預けられるかは 室で丹念なオイル・マッサージを受まだわからなかった。 け、そこで終了でももちろんかまわ 言われたとおりバスロープを身に ないし、もっと先を望むならばその 時にそっと告げてもらえれば : ・ : とつけて先ほどの部屋に戻ると、すで いったシステムだった。いずれであに薄暗くなっていた。コーナーのス っても料金は変わらない。 タンドだけがほんのり灯され、・ヘッ 初めての場合は、予約を希望するドの上には厚地のタオルケットがひ 旨のメールを送った後、白崎から電ろげられている。 話がかかってきて、じかに話した上ェアコンを強めたのか、充分に温 で予約確定となる。サイトには、〈た いへん申し訳ありませんが、冷やか「すみません、お待たせして」 おお