れ、仮想通貨の取引所を登録制として監査法人による監査を義務付け、口座開設 時には利用者の本人確認を求めるなど監視強化に動いている。公布後 1 年以内に 施行されるが、まだまだザル法レベル。ただ、逆に見れば、政府が仮想通貨にお 墨付きを付けたことの意味のほうが大きい にわかに高まる、不自然なまでの「高額紙幣の廃止論」 「パナマ文書」もそうだが、今アングラマネーのあぶり出しという動きが世界で 始まっている。アングラマネーとは、税金逃れや、犯罪やクスリの売買などから 生み出されたおカネである。このおカネがアンダーグラウンドに貯まったままで いる。すなわち、発行したおカネが全て世の中に出回っているわけではないとい うことだ。おおよそ表にあるお金と地下にあるおカネは半分ずつくらいとも言わ れており、予想以上にアンダーグラウンドのマネーが多いということである。 今、世界の中央銀行の間で、高額紙幣の廃止を求める声がにわかに高まってい る。その代表は欧州中央銀行のドラギ総裁で、 2016 年 2 月日、犯罪に使わ 1 9 6
消えずに普及しているのか。先に も述べたように、通貨は「価値の 保存」「価値の尺度」「取引の媒介 ( 価値の移転 ) 。の 3 つの機能を持均 ヾレ匕し、青経 つが、経済がグロー と 報技術も進んだ今、「価値の移転」 ス の重みは増している。だから本人 確認なしに世界に送金できる仮想 れ なす 通貨はこの点で有利なのである。 さ 直と ン 見れ ただ、「仮想通貨」の法整備も進 イ 的紙 本のんできているため、最大の特徴でト をた ッ ある匿名性は将来、失われていく 意幣 の紙 だろうが、抜け道はまだいくらで 力が おや もある。我が国でも 2016 年 5 章 第 月 % 日に「仮想通貨法」が可決さ ( 円 ) 22000 ( ドル ) 1200 15 / 7 15 / 5 20563 円 20583 円 1000 16 / 8 572 . 92 ドル 800 19000 600 400 16000 ド . ン 9 く 9L0& 円 イ 平ト 日巳 9Z9Z9 〔 200 13000 979Z 9 く口 0 9Z8 〔 出 9Z9 、 oa G/d く 9 冖 9Z9 、 9 冖 9 く 1 9 5
ところで、仮想通貨というと、ビットコインの取引所を運営するマウントゴッ クスの破綻を思い出す人もいるのではないだろうか。年 2 月日、マウントゴ ックスは民事再生手続きを申請した。このニュースを見た方のほとんどは、やは り仮想通貨を投資詐欺のような「あやしい商品」だと思ったのではないだろうか。 しかし、この事件に関しては、私は過熱したビットコインの熱を一時的に冷ま すために意図的に仕組まれて起こったのではないかと思っている。 2 013 年、 1 月ハ ーナンキ元 CQ 議長がビットコインを認めるような発言をした後、ビ ットコインの価値が急上昇、そして、その後にこの事件が起きた。あくまで推測 ではあるが、このような時系列を見ていくと、何者かがビットコインの上がりす ぎてしまった価値を下げようとして動いたのかもしれない。 たが、このような事件があったにもかかわらず、なぜビットコインはいまだに 的な規定がなかった仮想通貨をプリペイドカードなどと同じ「支払い手段」 と定義づけた。財務省は同法の定義に沿って、仮想通貨を非課税にする方針 1 9 4
「仮想通貨」ははたして真のイノベーションなのだろうか。世界の通貨制度が危 機に瀕しているこの時期に造り出された仮想通貨は、米国が窮状に追い込まれた 「 9 ・Ⅱ同時多発テロ」以降、急拡大していった「デリバテイプ。と共通してい る。つまり、「デリバテイプ」も「仮想通貨」も誰かが何かを目的に仕掛けた延 命策のような「イノベーション」なのではないだろうか。 ますます広がりを見せつつある、ピットコインの可能性 仮想通貨の種類は増え続け、現在は世界に以上あるとされる。代表例は ビットコインだが、他にもイーサリアム、リップルなどがある。最近は日本でも、 ビットコインで買い物や飲食の支払いができる店舗が増えており、 2 016 年 9 月の時点で、約 2 5 0 0 店でビットコインの利用が可能となっている。これは前 年同時期と比べると 4 倍の数で、年内には電気代の支払いも可能となる。 これからビットコインの未来はどうなるのか。 2 016 年川月日の日経新聞 一面には『ビットコイン、通貨と同じ位置づけに 5 取得時、消費税課さず』とい 1 9 2
仮想通貨とは国や地域の単位ではなく、ある限られた人々のグループでのみ、 決済手段として認められた「おカネ」である。現在では、ドルや円にも換金可能 で、少し古いデータになるが、月間取引高は 500 億円を上回り、利用者は 20 14 年 2 月の時点だと、全世界で約 8 万人。その 4 割近くは米国の消費者や企業 である。実際の取引は、消費者とモノ・サービスの提供者が共通の取引所にそれ ぞれの口座を開設してビットコインを購入し、代金を支払ったり受け取ったりす る。だが、最近の投機的な値上がりに加え、マネーロンダリングや麻薬取引など に悪用される可能性もあり、そうしたケースが摘発されるとビットコイン価格が 急落する危険生をはらんでいることには注意が必要だろう。 直と 見れ 2 013 年Ⅱ月日に開かれた、米上院のビットコインに関する初めての公聴 的紙 本の 会では、当時のバーナンキ連邦準備制度理事会議長がビットコイン取引のリスク をた を指摘する一方、「確実で迅速な決済手段になれば長期的に見て利点がある」と、 意幣 の紙 仮想通貨の可能性を認める書面を提出した。しかし、仮想通貨が普及すると困る カか おや はずの CQ がビットコインを認めるような行動を取ることは不思議なことにも 思える。 1 9 1
物である。 通貨には、「保存」、「移転」、「尺度」という 3 つの機能がある。電子マネーは 自分のカードに入れた電子マネーは、自分 移転できないので通貨とは言えない。 しか使えない。送金できないし、同じくボイントも他の人に移転することができ ところが仮想通貨は、この通貨としての 3 つの機能を備えている。マーケット があるため、尺度でもあり、保存もできる。世界中に送金も可能だ。手数料は安 く、さらに送金先で通貨にかえられる。しかし、仮想通貨の使用が増えるという れ なす ことは銀行の手数料が減るということを意味し、既得権益者対アウトサイダーの 直と 見れ構図がここにも見られるのである。 的紙 本の 製造原価約円とされる 1 万円紙幣だが、この「紙切れ」同然のものに「 1 万 をた 円。という価値を中央銀行である日本銀行が保証して使えるようにしているのが 意幣 日本円である。しかし、本当にいつまでも日本銀行はその価値を保証してくれる 力が おや のだろうか。戦後もそうだったように、時代の激変とともに通貨は突然「紙切 章 第 れ」となるかもしれない。経済が不安定なギリシャで金融資産の約 2 割をビット 1 8 9
証すると面白い関係が見つかる。それは購入残高の前年比伸び率が株価を 左右しているということである。同伸び率は年 9 月の % をビークに、年 8 月 % まで一貫して低下してきた。その時期に合わせるかのように外国人投機筋 は売り崩しを行ってきた。 今回の新基準で同伸び率は間 % 程度までは回復する。つまり、買いの勢いが増 すということを示しており、日経平均の押し上げ効果となる。年 9 月当時の ー o (-) 1 コラムにおいて、「いつまでも弱気を続けているとこの流れに乗り 遅れることになるが、売り崩しを続けてきた外国人も例外ではない。今後、外国 れ す人の売買にどのような変化が表れてくるかが楽しみである」とコメントしたが、 直と 見れ 月には日経平均は 19000 円大台を回復している。 的紙 本の をた 「仮想通貨」という、既存の枠組みからの離脱が起きているー 意幣 の紙 力が おや 2 016 年の大きな流れの一つに「既得権益者」対「アウトサイダー」という 章 新構図がある。例えば、石油メジャー対シェールガス。既得権益者は自分たちの利 1 8 7
日 銀 の 変係 E 更者 T 、準 F 購 、毎 入 額 と 株 価 を で の よ っ に は い か な く な る だ ろ っ 0 朋 し て き た 外 国 投 オ幾 筋 も ま が ス タ ト し れ で 長 ら 冗 り 円 規 オ莫 の 新 基 の E T 買 付 け そ の 理 由 は と も か く 年 6 兆 り た い も の で あ る 0 の 理 由 が あ る の な ら そ の 理 由 を 矢ロ は 第 2 週 か ら な の か 日 銀 内 部 で か ら 変 し て お り な ぜ E T F 債 券 の 員 い 付 け は 月 第 1 呂 業 日 か と 素 朴 な 疑 問 が 湧 い て い る 0 業 日 か ら さ れ る 理 由 は 何 な の 市 場 関 か ら は 毎 月 第 2 ( 円 ) 22000 2 ] 000 2008 1908 1808 1708 1608 1508 14000 日銀の ETF 年間 6 兆円購入のインバクト 日経平均と日銀 ETF 買い累計 ( 前年比 ) 2015 年 9 月 14 日 92.9 % 日銀 ETF 買い累計 ( 前年比 ) 日経平均 さ れ た 60 % 70 % 80 % 90 % 100 % 50 % 40 % 2016 年 8 月 29 日 48.1 % 出所 ) T-ModeIfr 成 1 8 6
かという観点から、総括的な検証を行い、その検証結果に応じて、必要なら必要 な措置をとることに尽きると繰り返した。「量的・質的金融緩和を導入後、す でに 3 年以上経過していることは事実だが、 2 % の物価安定の目標をできるだけ 早期に実現する方針に変化はなく、今後もこれを変更する考えはない と、も付け - 加えている。 では、この「の年間買い入れ額 6 兆円へ倍増」の追加緩和は、市場が考 えるほどインパクトのないものなのだろうか ? アベノミクス以降、初期の株価 上昇を牽引した外国人の買い越し額は、累計で約兆円。規模はその半分に匹敵 れ 洋ノ けするもので、大きなインパクトであることは間違いない。それなのになぜ、同追 直と 見れ 加緩和策発表後、日経平均は一時、 16000 円を割り込むまで下落したのだろ 的紙 本の をた それは 2 016 年 1 月に初めて導入した、マイナス金利政策のパターンとよく 意幣 の紙 似ている。日銀は毎月第 2 営業日から翌月第 1 営業日までを「 1 カ月」として、 おや この期間は基本 ( 月中で金融政策の変更があったときを除き ) 、同じ規模での買 第 い入れを実施している。これは白川前総裁時代の 2010 年以降、同制度が開始 1 8 5
と会談して以降、日銀がヘリコプターマネー ( ヘリマネ ) 政策に踏み込むのでは ないかと話題になっていただけに、 E* の年間買い入れ額倍増という決定内容 は、株式・為替市場には小ぶりと映ったのだろう。同日午後 1 時前に決定が伝わ ると、日経平均株価はいったん円を超す下落。その後リバウンドし、終値 は前日比円銭高の 1 万 6569 円銭で引けた。今回の決定をどう受け止め ていいか迷っている姿が浮き彫りになった。 四日の記者会見でも、ヘリマネ政策に関する所見を尋ねる質間が出た。黒田総 裁は「こうしたポリシーミックスは、政府による財政資金の調達を手助けするこ とを目的とする財政ファイナンスでもないし、中央銀行マネーの恒久的な増加を 原資として財政支出を行う、いわゆるヘリコプターマネーとも全く違うと考えて いる」と述べ、年間兆円のペースで国債を買い上げる現在の政策は財政ファイ ナンスでも、ヘリマネ政策でもないと説明した。 1 日の金融政策決定会合で「経済・物価動向や また、声明文では次回 9 月 52 政策効果について総括的な検証」を行うと明記。黒田総裁は会見で「 2 % の目標 2 % をできるだけ早期に実現するために何が必要なの がまだ実現されていない。 1 8 4