しかないのだ。このプロの心構えに関しては、後ほど第 3 章にて詳しく解説する。 なせ 3 割のサラリーマンがいなくなるのか ? その③ / 供給過剰になった サラリーマンは、小売業同様にやがて淘汰される運命にある 小売業のあり方は、人間が今後、仕事において求められる能力とリンクしてい る。例えば、 1960 年代の小売業といえば百貨店がメインだった。それを今度 は、百貨店にスー パーが取って代わるようになり、やがてそれがコンビニへと変 わっていった。そして今は、コンビニから通販の時代に突入している。 このように小売業の歴史を見ると、段々と供給サイドが需要者である顧客に近 づいていることがわかる。そうでないとモノが売れなくなっているのだ。 例えば、百貨店は主要な駅のターミナルにしかない。だから人々は電車に乗っ て、駅まで買い物にきていた。戦後豊かになるに従って需要が高まる一方で、モ ノを買える場所は限られていた。すなわち、需要と供給のバランスにおいて、供 給のほうが少なかったため、人々は自宅から遠い場所にあっても、わざわざ百貨
べて・ g ポイント上昇の 1 ・倍だった。 1991 年Ⅱ月以来、年 5 カ 月ぶりの高水準だった。上昇は 2 カ月連続。幅広い業種で深刻な人手不足が 続いており、求人数が押し上げられている。都道府県別の有効求人倍率は東 京都が 2 ・肥倍となり、 1974 年 6 月以来の高い水準となった。 ( 中略 ) 雇用の先行指標とされる新規求人数 ( 原数値 ) は前年同月より 3 ・ 9 % 増 の万 4530 人だった。訪日外国人客の増加を背景に、宿泊・飲食サービ ス業や卸売・小売業などで高い伸びとなった。厚労省では「雇用情勢は着実 な改善が進んでいる」としている。 正社員の有効求人倍率 ( 季節調整値 ) も 0 ・新倍と、 g 年Ⅱ月の調査開始 後で最高となった。これまでは非正規社員を中心とした求人数の増加が求人 倍率を押し上げてきたが、正社員の雇用環境も一定の改善が進んできた格好 また、求人票の就業地別で算出した都道府県ごとの有効求人倍率 ( 同 ) は 年 2 月に集計を開始して以来、初めてすべての都道府県で 1 倍を上回った。
第 1 章「サラリーマンよ、さようなら」 非効率化しすぎた日本の社会は、やがて戦後に逆戻りする なせ 3 割のサラリーマンがいなくなるのか ? その② / ジェネラリストでは、もはや生き残っていけない時代に突入したー サラリーマンは「ジェネラリスト」である。かって「ジェネラリスト」という 一一一一口葉はいい意味で使われていたが、今はそうではない。。 シエネラリストとは、何 でもできるようで、何もできない人、単に「何でもやります」という人を指した り、揶揄したりする使われ方をしている。 これは、小売業にたとえるなら、大型スー ーと同じである。食品だけでなく、 家具もあれば家電もあって「何でもそろってていいよね」という時期を経て、現 在は「何か特別に魅力的なモノがあるわけではないよね」という状態である。そ の結果、今度は小売業が段々と専門化するようになってきたのだ。 当然、我々の職業も同じである。今や「何でもやります」のジェネラリストで は、通用せず、専門分野を持った「スペシャリスト。の時代が到来しているのだ。 しかし、もはや既に「スペシャリスト」でさえも遅すぎる段階を迎えていると私
第 1 章「サラリーマンよ、さようなら」 非効率化しすぎた日本の社会は、やがて戦後に逆戻りする 店に買い物に出向いていたのだ。 ハーがてきるよ一つ ところが今度はスー パーが登場し、ロードサイドに大型スー になると、車で行ける範囲で用が足りるようになる。さらに、コンビニができる と今度は徒歩圏で全てが事足りるようになり、やがては、家から出なくても、イ ンターネットでモノが買えるようになった。私は「玄関を制する者が小売業を制 する」と以前も著書に書いたが、宅配が流行るのは、まさに「玄関を制してい るからだ。 これも全ては、需要と供給の関係で成り立っている。今は供給過剰だからこそ、 供給者のほうが需要者に近づいていかなければ、モノを買ってもらえないのだ。 これは当然、サラリーマンにも当てはまる。高度成長期のように、必要とされ る人材の数が足りないときは所得もどんどん上がっていくが、現在のように供給 過剰となったサラリーマンの収入は減る一方である。小売業の専門化と同様、サ ラリーマンに専門スキルが突然要求されるようになり、それに対応できず、求め られない人材は、やがては淘汰されていくのが市場の法則である。何でもそろっ て便利だったスー ーという業態と同様、ジェネラリストのサラリーマンも淘汰 4
第 2 章 人口流出、地価暴落、ワーキングプア、食糧危機 究極に非効率化した日本の未来は一体どうなる ? 日本が戦後に逆戻りしていることを様々な数値が物語っているー 矼相関する人口と土地の動き / 「固定化」「流動化」というキーワードで変化を読み解く 弴なぜ 3 割のサラリーマンがいなくなるのか ? その② / ジェネラリストでは、もはや生き残っていけない時代に突入した , なぜ 3 割のサラリーマンがいなくなるのか ? その③ / 供給過剰になったサラリーマンは、小売業同様にやがて淘汰される運命にある 非正規雇用者から独立を目指せば、サラリーマン比率は減っていく / 人件費が低くて経済は回らないのに、なぜか労働分配率が世界トップクラスの日本 フリーランサーが増えれば、日本の労働市場は効率化する / これから日本の労働市場は劇的に変化する 労働市場の劣化を改善しなければ、労働者は「奴隷化」する 新独立のための学びとして、会社という場所をドンドン活用しよう
まずはこれを断ち切らなければいけよい。 テフレに苦しむ経済が最も必要としているのは、 製造業や小売業もそうだが、。 過剰供給力の削減である。ケインズ的な需要政策が有効でないのは、供給力が大 きすぎるからである。持に、日本は企業の数が多すぎるのだ。企業数が少なくな れば、生き残った企業の生産性は向上し、収益力も改善してくるし、淘汰される 企業から放出される労働力は、人手不足を解消させるだろう。 危る 安倍首相は「モノづくり大国日本の復活、を掲げるが、これは現実的に難しい 食う 今、製造業の就業者数は全就業者の % し力しテし王、 、、よ、見状で、どうやって国際競争 力のあるモノをつくるのだろうか。今になって「モノづくり復活、と言っても、 一の絵に描いた餅と言わざるを得ない。 ワ本 落た 2 012 年末以降、アベノミクスで円安になってもなかなか輸出数量が増えな 価化 地率 い原因も、こうした製造業就業者数の減少を背景にモノづくりが滞り始めている 、効 出 ことの結果ではないかと思う。 ロ極 人究 ・汚い・低賃金ーとも言われる現場 製造業の就業者数減少の原因は、「つらい 章 第 での若者離れであり、もはやこの減少を止めることはできないだろう。
も、人手をなるべく排し、人工知能による資産運用の自動化が進められている。 2016 年 5 月には、三菱信託銀行が、人工知能で運用するファンドを国 内で初めて組成した。金利や為替、投資家心理を映す指標などと株価との関係を 学習し、損をしないように株式を運用し、数年内に受託残高億円を目指 すという これらは、従来は「クオンツアナリスト」と呼ばれる専門家が、コンビュータ ーを駆使しながら行ってきたことだった。しかし人間による運用成績は、世界的 な中央銀行による市場への介入で近年、著しく低下する一方である。 現在、私が特に注目しているのは、「 QD Q ナウ ( Z 0 ) 。というアトランタ 連銀が公表している経済予測モデルである。 Q に関連する—製造業景況 指数、小売売上高、耐久消費財、個人所得・支出、国際貿易統計、住宅着工件数 という 6 種類のデータが公表される度に、速報値 ( 予測値 ) がリアルタイムで公 表される。 ナウの速報値は、市場関係者の予想と大きく乖離する一方で、見事に予 測を的中させている。これも既に人間がコンビューターに敵わなくなってしまっ
今の時代、製造業はモノをつくっても売れないから、就業者数が減るのも当然 だ、大した間題ではないと納得していてはいけない。なぜなら、製造業は付加価 値が高く、波及効果が大きいからだ。 例えば、 1 単位国産品の最終需要が発生した際の生産波及の大きさは、全産業 と高く、国内生産額 サービス業が 1 , 刀 1 ・ ・なのに対し、製造業は 2 ・ ・ 8 % とトップである。これはサービス業・ 9 % 、 の産業別構成比は製造業が 商業川 % を大きく上回っており、名目の構成比以上に、我が国において製 造業の役割は重要なのである。 逆に言えば、非製造業は付加価値が低いということになる。すなわち、非製造 業の比率が増えれば増えるほど、労働分配率の分母である日本全体の付加価値額 がどんどん小さくなっていくのだ。閉塞感もあるが、製造業のウェイトが落ちて いることも、日本全体の付加価値額が落ちている理由の一つだと言えるだろう。 日本の産業界はどんどん付加価値額を落とし、それが竸争力低下を招いてさら なる人件費の引き下げに繋がり、労働分配率の上昇を招くという負のスパイラル に陥っている。その結果待ち受けるのは、需要不足による「デフレ圧力、である。
ける就業者数は、肥年の約万人 が過去最高で、 2 015 年にはこれが 1 000 万人を割った。特に問題なのは、 就業者全体に占める製造業就業者数の比率 比 率である。過去最高は年の・ 7 % で、 占 そこまでは増加を続け、 3 割弱の人が製 ロ 2 3 人 危る 造業についていたことになる。しかし、 ーこ その後は年間下がり続け、現在は全就労 とカ 労 グ←業者の % しかおらず、戦後間もない 1 者 業数 39 9 5 5 年よりも下回っている。 業 7 7 ワ本 日 総務省では、日本経済のサービス産業慥 製 価化 地率 化の進展や、生産拠点の海外展開などに 、効 出 より、製造業の就業者数は趨勢的に減少 ロ極 人究 傾向にあるとし、「産業構造の変化が影 章 第 響した、と分析している。 ( 万人 ) 1 , 800 32.0 製造業就業者数 ( 万人 ) 1 , 500 27.0 61 / 6 21 . 8 % 1 , 200 22.0 15 / 9 17.0 03 / 12 17 . 8 % 61 / 6 992 万人 984 万人 900 55 17 」 3 % 1 5 / 9 15.0 % 600 ( 年 / 月 ) 55 / 1 61 / 1 67 / 1 73 / 1 79 / 1 85 / 1 91 / 1 97 / 1 03 / 1 09 / 1 出所 ) T-ModeIfr 成 12.0 CO
人から見ると、年間で 333 万人もの激減ぶりである。さらに、農業に従事す る人口の年齢は、簡歳以上が 132 ・ 6 万人と全体の芻・ 5 % を占め、平均年齢 ・ 3 歳と非常に高い 戦後間もない 1955 年の農林 就業者は万人、全就業者 数の 4 割を超えていたが、 2 01 率 5 年はその川分の 1 以下の 3 % 台自 まで落ち込んでいる。この数字が食 と 他人事としてはいられないのは、 実は、農林就業者数が日本の食料業 自給率 ( カロリ ーベース ) と一致業 しているためである ( 下のグラフ 業 参照 ) 。ただでさえ、高齢化して農 いる農業就業が、合意で離 農を決断すれば、年間川万人規模 ( 万人 ) 1 , 800 1 .0 農業・林業就業者数 90.0 1 , 500 80.0 1 , 200 70.0 食料自給率 ( カロリーベース ) 900 600 60.0 50.0 300 0 54 / 1 60 / 1 66 / 1 72 / 1 78 / 1 84 / 1 90 / 1 96 / 1 02 / 1 08 / 1 14 / 1 出所 ) T-ModeI 4