5 分の 1 以下となっているためである。こうした状況を反映して、製造業の就業 人口は、先にも述べたように 10 0 0 万人を割り込み、就業者全体に占める比率 は % と戦後のレベルまで落ち込んでいる ( 第 2 章「製造業における就業者数は 減少を続け、日本は「戦後の焼け野原」に逆戻りしている」参照 ) 。 しかも、ビッグデータや— ( インポータントデータ ) 、そして—など、社 会はデータ化が進んでいる。そのため、求められる「脳はどんどん進化して、 「理系脳」「文系脳」といった分類から「検索脳 ( 豊かな知識をベースに情報力を 生かす能力 ) 」へ、さらには、体得した知識と感性で、クリエイテイプな発想に 必要な「気づき脳へと進化していくと私は考えている。 これからの時代に求められるのは、クリエーション能力 これからの時代に必要なのは世紀のような良い大学へ入るために身につけて きた「試験処理能力」でなく 、幻世紀に適した新しいものを生み出す「クリエー ション能力」である。既存にないものをつくり出す人、そういう創造力を持って 102
今の時代、製造業はモノをつくっても売れないから、就業者数が減るのも当然 だ、大した間題ではないと納得していてはいけない。なぜなら、製造業は付加価 値が高く、波及効果が大きいからだ。 例えば、 1 単位国産品の最終需要が発生した際の生産波及の大きさは、全産業 と高く、国内生産額 サービス業が 1 , 刀 1 ・ ・なのに対し、製造業は 2 ・ ・ 8 % とトップである。これはサービス業・ 9 % 、 の産業別構成比は製造業が 商業川 % を大きく上回っており、名目の構成比以上に、我が国において製 造業の役割は重要なのである。 逆に言えば、非製造業は付加価値が低いということになる。すなわち、非製造 業の比率が増えれば増えるほど、労働分配率の分母である日本全体の付加価値額 がどんどん小さくなっていくのだ。閉塞感もあるが、製造業のウェイトが落ちて いることも、日本全体の付加価値額が落ちている理由の一つだと言えるだろう。 日本の産業界はどんどん付加価値額を落とし、それが竸争力低下を招いてさら なる人件費の引き下げに繋がり、労働分配率の上昇を招くという負のスパイラル に陥っている。その結果待ち受けるのは、需要不足による「デフレ圧力、である。
まずはこれを断ち切らなければいけよい。 テフレに苦しむ経済が最も必要としているのは、 製造業や小売業もそうだが、。 過剰供給力の削減である。ケインズ的な需要政策が有効でないのは、供給力が大 きすぎるからである。持に、日本は企業の数が多すぎるのだ。企業数が少なくな れば、生き残った企業の生産性は向上し、収益力も改善してくるし、淘汰される 企業から放出される労働力は、人手不足を解消させるだろう。 危る 安倍首相は「モノづくり大国日本の復活、を掲げるが、これは現実的に難しい 食う 今、製造業の就業者数は全就業者の % し力しテし王、 、、よ、見状で、どうやって国際競争 力のあるモノをつくるのだろうか。今になって「モノづくり復活、と言っても、 一の絵に描いた餅と言わざるを得ない。 ワ本 落た 2 012 年末以降、アベノミクスで円安になってもなかなか輸出数量が増えな 価化 地率 い原因も、こうした製造業就業者数の減少を背景にモノづくりが滞り始めている 、効 出 ことの結果ではないかと思う。 ロ極 人究 ・汚い・低賃金ーとも言われる現場 製造業の就業者数減少の原因は、「つらい 章 第 での若者離れであり、もはやこの減少を止めることはできないだろう。
らである。したがって、本当に食べていけなくなると日本でも暴動が起きる可能 性は否定できない。日本人はそういうことをしないと思っているかもしれないが、 大昔、日本でも一揆が起こっていたことを思い出せば明らかだろう。今後、日本 人が過激になる可能性だって大いにあり得るのだ。 前述のように、戦後に逆戻りしているデータはたくさんある。繰り返すが、こ れを全部格差で片付けてはいけよい。 個人のレベルではなく、日本という国が全 体的にどんどん貧しくなっているのだ。貧しくなっている原因は何かというと、 やはり非効率にたどり着く。サラリーマン比率が上がりすぎていることがこの非 効率の最大の原因であり、だからこそ、この閉塞感を打破しなければいけないの 製造業における就業者数は減少を続け、 日本は「戦後の焼け野原」に逆戻りしている 製造業者の就業者数もまた、戦後の数値に逆戻りしている。日本の製造業にお
ける就業者数は、肥年の約万人 が過去最高で、 2 015 年にはこれが 1 000 万人を割った。特に問題なのは、 就業者全体に占める製造業就業者数の比率 比 率である。過去最高は年の・ 7 % で、 占 そこまでは増加を続け、 3 割弱の人が製 ロ 2 3 人 危る 造業についていたことになる。しかし、 ーこ その後は年間下がり続け、現在は全就労 とカ 労 グ←業者の % しかおらず、戦後間もない 1 者 業数 39 9 5 5 年よりも下回っている。 業 7 7 ワ本 日 総務省では、日本経済のサービス産業慥 製 価化 地率 化の進展や、生産拠点の海外展開などに 、効 出 より、製造業の就業者数は趨勢的に減少 ロ極 人究 傾向にあるとし、「産業構造の変化が影 章 第 響した、と分析している。 ( 万人 ) 1 , 800 32.0 製造業就業者数 ( 万人 ) 1 , 500 27.0 61 / 6 21 . 8 % 1 , 200 22.0 15 / 9 17.0 03 / 12 17 . 8 % 61 / 6 992 万人 984 万人 900 55 17 」 3 % 1 5 / 9 15.0 % 600 ( 年 / 月 ) 55 / 1 61 / 1 67 / 1 73 / 1 79 / 1 85 / 1 91 / 1 97 / 1 03 / 1 09 / 1 出所 ) T-ModeIfr 成 12.0 CO
今後、製造業の現場では高齢化がますます進み、若者がいない多くの中小企業 は廃業・倒産が増え、結果として下請けのない大企業もモノ作りができなくなる 時代が到来するだろう。 日本はこれから何をベースに生きていけるのか。そして、日本の製造業は生き ていけるのだろうか デフレ思考が染み付いた日本と「マイスター制度」で 高い労働生産性を誇るドイツの決定的な違い ドイツは世界 4 位、日本の後を追う経済規模を誇るが、その労働時間は 日本が約 1735 時間なのに対して、約 1388 時間と時間以上も少ない。 しかもドイツは日本に比べて % 労働時間が短いにもかかわらず、労働生産性は 菊 % も高いのだ。 その秘密の一つは「マイスター制度」にある。ものづくり大国、ドイツの一大 産業といえば自動車だが、そのなかでも世界の高級車市場でドイツ車は 1 位
第 3 章 文系脳やジェネラリストを輩出してきた教育現場は、これから変化を余儀なくされるー これからの時代に求められるのは、クリエーション能力 固定化してしまった日本の農地 / 農地バンクが「農地流動化」のカギを握っている 農業人口は川年後には 100 万人割れ / 日本にもやがて食糧危機が訪れるかもしれない・ 地方を活用するメリットとは ? エンゲル係数が高まれば、日本でも暴動が起きる時代がやってくる ! 製造業における就業者数は減少を続け、日本は「戦後の焼け野原」に逆戻りしている デフレ思考が染み付いた日本と「マイスター制度」で高い労働生産性を誇るドイツの決定的な違い デフレに慣れてしまった「さとり世代」がインフレを経験すれば大パニック / 本当の悟りとは「差」をなくしていくこと 各都道府県の社長の輩出数と幸福度には相関関係があったー 「奪い合い」の加世紀から、今、大きな歴史転換が始まる 幻世紀を生き抜くためには、自分軸を持った「プロ」になれー
も、人手をなるべく排し、人工知能による資産運用の自動化が進められている。 2016 年 5 月には、三菱信託銀行が、人工知能で運用するファンドを国 内で初めて組成した。金利や為替、投資家心理を映す指標などと株価との関係を 学習し、損をしないように株式を運用し、数年内に受託残高億円を目指 すという これらは、従来は「クオンツアナリスト」と呼ばれる専門家が、コンビュータ ーを駆使しながら行ってきたことだった。しかし人間による運用成績は、世界的 な中央銀行による市場への介入で近年、著しく低下する一方である。 現在、私が特に注目しているのは、「 QD Q ナウ ( Z 0 ) 。というアトランタ 連銀が公表している経済予測モデルである。 Q に関連する—製造業景況 指数、小売売上高、耐久消費財、個人所得・支出、国際貿易統計、住宅着工件数 という 6 種類のデータが公表される度に、速報値 ( 予測値 ) がリアルタイムで公 表される。 ナウの速報値は、市場関係者の予想と大きく乖離する一方で、見事に予 測を的中させている。これも既に人間がコンビューターに敵わなくなってしまっ
物である。 通貨には、「保存」、「移転」、「尺度」という 3 つの機能がある。電子マネーは 自分のカードに入れた電子マネーは、自分 移転できないので通貨とは言えない。 しか使えない。送金できないし、同じくボイントも他の人に移転することができ ところが仮想通貨は、この通貨としての 3 つの機能を備えている。マーケット があるため、尺度でもあり、保存もできる。世界中に送金も可能だ。手数料は安 く、さらに送金先で通貨にかえられる。しかし、仮想通貨の使用が増えるという れ なす ことは銀行の手数料が減るということを意味し、既得権益者対アウトサイダーの 直と 見れ構図がここにも見られるのである。 的紙 本の 製造原価約円とされる 1 万円紙幣だが、この「紙切れ」同然のものに「 1 万 をた 円。という価値を中央銀行である日本銀行が保証して使えるようにしているのが 意幣 日本円である。しかし、本当にいつまでも日本銀行はその価値を保証してくれる 力が おや のだろうか。戦後もそうだったように、時代の激変とともに通貨は突然「紙切 章 第 れ」となるかもしれない。経済が不安定なギリシャで金融資産の約 2 割をビット 1 8 9
第 3 章「奪い合い」の 20 世紀から、今、大きな歴史転換が始まる 21 世紀を生き抜くためには、自分軸を持った「プロ」になれ ! となのである。自分が大衆と同じ価値観で行動しているうちはいつまで経っても 儲けることはできないだろう。 ところで、ワインと一言えば、「オーパス・ワン」という ~ 局級カリフォルニアワ このワイン インがある。音楽用語で「作品番号一番というネーミングらしい が注目されるのは、職人でなくてもおいしいワインが造れるように、造り方をデ ータ化して製造しており、誰が造っても同じ品質のおいしいワインができるシス テムを構築した点である。 また、 2 0 0 6 年に開催された「プラインド・ティスティング」で、カリフォ のワイン ルニアワインがフランスワインを押さえ、赤白共に「ナバ・ヴァレー が優勝した。その実績もあり、オーパス・ワンは、かって 7 0 5 8 0 円 くらいで取引されていたのが、現在はかなりの高値がついている。また、獺祭と と、つじ いう日本酒の価格が高騰しているが、獺祭も杜氏と呼ばれる日本酒造りの職人を 置かず、徹底した数値管理とデータ分析によって、良質な酒を安定して造ってい る。この第 3 章のはじめでも「理系脳と「文系脳」の話に触れたが、これは緻 密なデータ分析によって成功している一つの例だと言える。 だっさ 1 2 7