第 2 章人口流出、地価暴落、ワーキングプア、食糧危機 究極に非効率化した日本の未来は一体どうなる ? の離農ペースに加速、川年後には 100 万人割れという最悪の事態もあり得るの 政府は 1 億人をどう食べさせて だ。単純に自給率は % 台に落ち込む計算だが、 いくつもりなのだろうか。まさか輸入すればいいなどと安易に考えてはいないだ 「つ一つ , か 長期ビジョンがないまま補助金等の「ばらまき対症療法」を行ってきたツケを 象徴しているのが、最近のバター不足・価格高騰問題である。これはバターだけ の問題ではなく、近い将来、「牛乳もなく、卵もなく、あるのはお米だけ」とい う事態にもなりかねないことを意味している。今こそ早期に農業人口を増やす政 もう既に手遅れなのかもしれない。 策が待たれるところだが、 地方を活用するメリットとは ? 飽食の現代において、日本で食糧危機は起こらないと思っていないだろうか。 しかし、先にも述べたように、農業人口の減少やハイバーインフレの影響によっ て、日本でも深刻な食糧危機が起こる可能性は、今後、十分に考えられる。
ハイバーインフレになるとモノが買えなくなる。かって旧ソ連が崩壊したとき も、年のロシア誕生から 4 年間で 18 0 倍に物価が上昇するハイハーインフ レが起きて、ループルが全く信用されなくなり、外貨であるドルでないとモノを 買えなくなってしまった。そうすると、外貨を稼げない人たちは暮らせなくなる。 ただ、旧ソ連にとって唯一救いだったのは、ロシア全世帯の 4 割が小さな畑付き のコテージを所有、そこで野菜や家畜を育てる自給生活が日常となっていたこと である。 しかし、東京のように、食料自給率の非常に低い場所が同じ状況になると、モ ノが入ってこないし、食べるものもなくなるという事態になる。すなわち、人々 はおのずと東京から脱出しなければいけなくなるのだ。すると今までのように東 京に一極化する時代ではなくなってくる。人口に対する自給率は、北海道で 20 oS 、東京は 3 % で、日本全体では % 程度である。約 4 割の人々にしか食糧を 供給できないという恐ろしい数値である。 今後、金融危機などが起こり、海外からの輸人が止まったら、今のような食料 自給率では当然パニックが起こる。東日本大震災のときに、一時的にスー
人口流出、地価暴落、 章ワーキングプア、食糧危機 第究極に非効率化した 日本の未来は一体どうなる ?
第 2 章人口流出、地価暴落、ワーキングプア、食糧危機 究極に非効率化した日本の未来は一体どうなる ? 基本的に経済的な理由である場合がほとんどである。 例えば、 2 010 年から 2 012 年にかけて起きたアラブの春では、独裁長期 政権が次々と壊されていった。 2 010 年月日に始まったチュニジアのジャ スミン革命からアラブ世界に波及、 2012 年にエジプト、リビアで政権打倒が 実現、シリアでは泥沼の内戦状態に突入した。なぜこのようなことが起きたのか。 2 010 年から 2 011 年にかけて、トウモロコシ、小麦などのソフト・コモデ イティの価格が一気に上昇したことが大きな原因の一つと言える。原油も上がっ ていたが、食料品の原価も上昇しており、世界の食料価格を示すフードプライス インデックスは四年 2 月 141 からⅡ年 2 月 2 3 6 と 6 割も急騰した。あのとき 崩壊した国は、全てエンゲル係数が % にものぼる国で、大打撃を受けたのだ。 つまり、「食べ物が食べられなくなったのはこいつらのせいだ、と暴動が起きた。 さらに、 Z みたいな通信手段も暴動を加速させる要因になったのかもしれな いが、そういうものはあくまでサポート要因であって、根本的な要因は食料品の 値段が高騰してしまったことにある。 日本はなぜそういうことが起きないのか。それは、まだエンゲル係数が低いか 9 一
第 2 章人口流出、地価暴落、ワーキングプア、食糧危機 究極に非効率化した日本の未来は一体どうなる ? 前の % 年・ 4 万ヘクタールからは + % も増加している。 政府は成長戦略で、今後川年間で全農地の 8 割を大規模な生産者に集約する目 標を掲げている。実現に向けては「農地バンク」がカギを握ると見ている。「農 地バンク」とは農地所有者から農地を借り入れ、集約、農業法人などの担い手に 貸し出す公的機関のことである。 しかし、農地バンクが初年度に借りた農地は、 3 ・ 1 万ヘクタールと年間目標 の 2 割にとどまっており、農家が農地バンクに農地を貸す際に受け取る賃料 ( 協 カ金 ) は最大間万円の増額が検討されている。 農業人口は年後には 100 万人割れ々 日本にもやがて食糧危機が訪れるかもしれない : 農地の固定化は農業人口の減少を促進し、現在、農業人口の減少は深刻な問題 になっている。農業人口は、 2 012 年 2 6 0 万人から 2 015 年までの 5 年間 で・ 6 万人減少、 2 0 9 万人となっている。これは 19 8 5 年の 5 4 2 ・ 8 万
あるセミナーの終わりに「先生の話を聞いていると、未来には希望がないよう に思えますが、これから先、私はどうすればいいのでしようか ? 。という質間を 受けた。 確かに、本書に書いたように、 2 0 2 0 年の東京オリンビック後に大不況がや ってきて、土地の価格は暴落、人々の仕事は—に取って代わられ、紙幣は紙切 す 行れになり、食糧危機まで起こるかもしれないという話を聞けば、未来には何も希 て 望がないように思われるかもしれない。 察 だとしたら、我々はどうすればいいのか。本書の第 3 章でも述べたが、私はこ 感 をれからの社会は、「分かち合いの社会」になると思っている。「奪い合いの幻世 変 きの 紀」は終わり 、幻世紀は、人々が分かち合い、互いに助け合っていかなければな が中 との らないのだ。 あ世 あとがき世の中の変化を敏感に察知して、行動する 2 0 5
第 2 章 人口流出、地価暴落、ワーキングプア、食糧危機 究極に非効率化した日本の未来は一体どうなる ? 日本が戦後に逆戻りしていることを様々な数値が物語っているー 矼相関する人口と土地の動き / 「固定化」「流動化」というキーワードで変化を読み解く 弴なぜ 3 割のサラリーマンがいなくなるのか ? その② / ジェネラリストでは、もはや生き残っていけない時代に突入した , なぜ 3 割のサラリーマンがいなくなるのか ? その③ / 供給過剰になったサラリーマンは、小売業同様にやがて淘汰される運命にある 非正規雇用者から独立を目指せば、サラリーマン比率は減っていく / 人件費が低くて経済は回らないのに、なぜか労働分配率が世界トップクラスの日本 フリーランサーが増えれば、日本の労働市場は効率化する / これから日本の労働市場は劇的に変化する 労働市場の劣化を改善しなければ、労働者は「奴隷化」する 新独立のための学びとして、会社という場所をドンドン活用しよう
第 2 章人口流出、地価暴落、ワーキングプア、食糧危機 究極に非効率化した日本の未来は一体どうなる ? 彼らは物心ついた時から低成長経済でデフレに慣れてしまっているため、モノ を持たないことが当たり前の生活を送ってきた。必要なものはシェアすればいい し、そのような暮らしでは大しておカネも使わないから、収入も多くは必要ない と思っている。 ニックに陥ることは目に見一ん しかし、そんな彼らがインフレを経験すれば、。、 ている。なぜなら、人々の生き方や考え方や日々の行動、企業経営スタイルは、 デフレとインフレでは真逆だからだ。このように経済は、人々の価値観や行動規 範をも大きく変えてしまう。だからデフレしか知らない世代の若者がインフレを 目の当たりにしたら、彼らの今までの価値観は根本から崩れるだろう。 ちなみに本当の「悟り」とは、「差」をとることである。何の差をとるのかと いうと、これは個人や宗教などによっても一言葉が変わってくるだろうが、いわゆ る「神や「宇宙」といわれる存在との「差。だ。限りなく神との差をなくして いくこと、神に近いような人間になること、これが私の考える「り」である。 それには今、我々現代人に希薄化している「徳を積む」ということが必要なので はないだろうか。
第 3 章 文系脳やジェネラリストを輩出してきた教育現場は、これから変化を余儀なくされるー これからの時代に求められるのは、クリエーション能力 固定化してしまった日本の農地 / 農地バンクが「農地流動化」のカギを握っている 農業人口は川年後には 100 万人割れ / 日本にもやがて食糧危機が訪れるかもしれない・ 地方を活用するメリットとは ? エンゲル係数が高まれば、日本でも暴動が起きる時代がやってくる ! 製造業における就業者数は減少を続け、日本は「戦後の焼け野原」に逆戻りしている デフレ思考が染み付いた日本と「マイスター制度」で高い労働生産性を誇るドイツの決定的な違い デフレに慣れてしまった「さとり世代」がインフレを経験すれば大パニック / 本当の悟りとは「差」をなくしていくこと 各都道府県の社長の輩出数と幸福度には相関関係があったー 「奪い合い」の加世紀から、今、大きな歴史転換が始まる 幻世紀を生き抜くためには、自分軸を持った「プロ」になれー
第 2 章人口流出、地価暴落、ワーキングプア、食糧危機 究極に非効率化した日本の未来は一体どうなる ? 地域の自然や資源、技術をうまく利用して発展させようとする地域活性化の前向 きなエネルギーがあり、「幸福度」が高まる仕組みが自然に出来上がっているの ではないだろうか。「幸福度ランキングと「人口川万人あたりの社長輩出数」 の関係でもわかるように、日本の閉塞感の原因の一つは、高すぎる「サラリーマ ン比率」に隠されており、日本に今最も不足しているのが「べンチャー精神」で あると推測できる。 ちなみに現在、安倍政権が掲げる最重要政策課題は「働き方改革ーであり、労 使代表や有識者を交えた「働き方改革」の会議では、以下の 9 項目が挙がってい 1 ・非正規雇用の処遇改善 ( 同一労働同一賃金 ) 2 ・賃金引き上げ 3 ・長時間労働の是正 4 ・転職・再就職支援、職業訓練 5 ・テレワークや副業・兼業など柔軟な働き方