ちしつ 測することができる。このような生物の変遷をも 地質時代 とに時代区分をしたものが相対年代である。区分 げんざい の大きい単位としては「代」が使われ , これを細 地球が誕生してから現在までを地質時代という。 地箇学的に測定て、きる時代お せい へんせん 分する単位として「紀」 , 「世」が用いられる。例 地質時代を生物の変遷に基づいて区分したものを しんせいだいだいさんきちゅうしんせい そうたいねんだい ほうしやせいげんそ えば , 新生代 , 第三紀 , 中新世というように表す。 相対年代 ( 地質年代 ) という。一方 , 放射性元素を ぜったい しじゅんかせき ちそう 用いて決められた年代を絶対年代 ( 放射年代 ) とい 0 示準化石化石の中には地層の年代を細かく 決定することができるものがある。このような化 じようけん 0 相対年代地球上では多くの生物が栄え , そ 石を , 示準化石という。示準化石の条件としては , ぜっめつ して絶滅してきた。 これらのでき事は化石から推 次のような事がらがあげられる。 地球上での最古の岩石は約 40 億年前とされているので , 私たちが過去を研究しようとすれ 地質時代区分と生物の変遷 ばそこまでである。したがって , それ以前を先地質時代ともいわれている。 古生代 中生代 代ア 紀 年 ( 百万年 ) 540 たんじよう すい ちゅうせいだい しんせいたい 新生代 65 1.65 0 ニ畳紀 ( ベルム紀 ) 石炭紀 さんしようき せきたんき カンブ リア紀 はくあき 白亜紀 デポン紀 、ノルル己 ォルド ビス紀 245 205 360 410 435 500 135 295 シダ植物時代 シダ植物 被子植物時代 裸子植物時代 チマ 裸子植物 被子首物 無セキツイ動物時代 無三葉虫類 イカ類 ホ乳類時代 ハ虫類時代 両生類時代 魚類時代 さんようちゅう " 受の他の無セキツイ動物に“・ 両生類 魚類 セキツィ動物 鳥類 第 5 章大地の変化と地球の歴史■ 321
とするものもある。光にあたらないと発芽しない ひかりはつがしゅし 種子を光発芽種子という。光発芽種子は種子が水 じようたい を吸った状態で , 一定時間光にあたったあとでな はつが いと発芽しない種子で , レタスなどがある。一方 , あんはつがしゅし 暗発芽種子は光があたっていると発芽が起こりに くくなる種子で , カボチャやケイトウが暗発芽種 子である。このように , 種子や球根などの発芽に は光があたっていると芽が出ないものや , 逆に光 G 木の実を食べる野鳥 があたらないと芽が出ないものがある。また , 光 とは無関係に芽を出すものもある。 動物のからだにつく・・・オナモミ・イノコズチ・ 空気・・・発芽するためにはエネルギーが必要で ヌスビトハギ・センダングサ・フジカンゾウ・ こきゅう ある。エネルギーを得るために呼吸を行うので , ズヒキなど 空気 ( 酸素 ) も必要になる。 野鳥などに食べられても , 種子が消化されずふ んとしてまかれる・・・シュロ・ヤツデ・アオキ・ヤ 0 種子を運ぶしくみ植物は , 種子をより遠く そな マブドウ・ナンテン・リンゴ・ネズミモチ・マン へ運ぶためのいろいろなっくりを備えている。 はねわたげ 羽根や綿毛をもち空を飛ぶ・・・カエデ・マツ・タ リョウなど アリにえさを与え運ばせる ( 工ライオソーム ) ンポポ・ススキ・ヤマノイモなど ばねのようなっくりで飛ばす・・・カタバミ・ホウ スミレ・ホトケノザ・ムラサキケマンなど リスなどの小動物が土の中に埋める・・・コナラ・ センカ・タネッケバナ・ゲンノショウコ・ゴマな ブナ・クリなど ヌスビトハギのなかまの果実 オナモミの果実 とげなどで動物にくつついて運ばれる。 ぎやく ご 7 さんそ あた アリを誘引する物当を言む種子の付属体・」 ヤフケマンともいう、」 実 …】第、果食 のが ウ鳥 カ種 ンの マつ物 赤 3 】ヤマノイモの果実 中の種子が風で運ばれる。 タンボボの果実 綿毛をもち , 種子が風で運ばれる。
ハイドロサルファイト 光合成と光合成生産物の移動 ) 液を少し人れる イ のェ、ルギー プの ン 油 ジ 同化デンプン ゴ カ を 防 光をあてると水草 く・ の葉のまわりから 〇 , こ葉緑体 いン 液の 細胞糖个寺 . 水 インジゴカーミン 液が青色となる。 このことより酸素 インジゴカーミン液は , 酸素に きこう : 脂肪・タンパト、 気孔 の発生がわかる。 ふれると青くなる性質がある。 : ク質の合成 光合成による酸素の生成 二酸化 こうごうせい 脂肪 酸素 0 栄養分のゆくえ光合成でつくられたデンプ 炭素 タンパク質 しかん同化テンプン とうぶんかい と ンは , 糖に分解されて水に溶け , 師管を通って全 同化テンプン→光合成でつくら 栄養分の通り道 ( 」 さいぼう 身に運ばれ , 細胞が生きていくためのエネルギー れたデンプン げん 貯蔵デンプン→種子・地下茎 源などとして使われる。 根などに蓄えられたデンプン しぼう 旨肪・タンパク質の合成・・・糖の一部は , 細胞の きゅうしゅう や水に溶けた根毛 中で脂肪に変えられたり , 根から吸収した窒素の 無機養分、、、圦 化合物と結びついて , タンパク質を合成する。タ 窒素・リン・、 ンパク質は再び全身に送られ , 細胞の核や細胞質 カリウム・硫 黄・カルシウ をつくるのに使われる。 ム・マグネシ ちょぞう 栄養分の貯蔵・・・栄養分は , エネルギー源や成長 ウム・鉄など ちかけいかじつ に使われるほか , 根や地下茎 , 果実や種子などに 貯蔵デンプン たくわ ( 粒が大きい ) 蓄えられ , 新しい芽や根の成長のために使われる。 水草が光合成↓酸素が発生 水草を人れる 茎の成長 果実 種子 光合成 さい一要う 師部 ( 師管 ) 木部 ( 道管 ) ↑ 水と養分糖 しつ ふたた さいぼうしつ p. 128 参照 水 無機養分 こうごうせい 光合成の研究の歴史 むきしつきゅうしゅう 〔ヘルモントの実験〕 17 世紀前 〔インゲンホウスの実験〕オラン は水のほかに無機質が吸収されて 半 , ベルギー生まれの化学者 J. 加わっていること , 植物体は水か ダの植物生理学者 J. インゲンホ たんそ ヘルモント ( 1577 ~ 1644 ) は , アリ らできているのではなく炭素が多 ウス ( 1730 ~ 1799 ) は , 下図のよう しゅちょう な同じ実験をして「このはたらき ストテレスが主張した「植物は , 量に含まれていることを見落とし っしつ 生活や成長に必要なすべての物質 には光が必要であり , 植物の緑色 ていた。彼は植物が光合成をして を土の中から得ている」という説 二酸化炭素をとり人れているのに の部分で行われる」ことを発見し かくにん を確認するため , 5 年間にわたっ 気がつかなかった。 0 〔プリーストリー てヤナギの成長実験を行った。 プリーストリーの実験 ばちかんそう 彼は , 植木鉢に乾燥した土を約 の実験〕イギリ とり除く 90.72 kg 入れ , 重さ 2.27 kg のヤ スの化学者 J. プ ナギを植えた。それを 5 年間水だ リーストリーは , けを与えて育てたところ , ヤナギ 右図のような実験 空気が悪くなり 空気をきれいに ネズミは生き ネズミは死ぬ する 続けられる インゲンホウスの実験 は 76.74 kg になり , 植木鉢の土 で「植物には , 悪 は 60 g 減っただけであった。こ くなった空気をよ のことから , 植物の成長分はすべ くするはたらきが けつろん て水から得たものであると結論づ ある」ことを発見 けた。しかし , ヤナギの成長量に した。 ( p. 356 ) 死 ぬ 科学の広場 かれ 葉のない植物 死ぬ 第 2 章植物の世界■ 61
さらじよう おかぶ ケでおおわれている場所では , 無性芽によってふ ツゼニゴケのふえ方ゼニゴケの雄株には皿状 ぞうせいき えていることが多いので , ふつう雌株か雄株の片 のつくり ( 雄器床 ) ができ , ここには造精器があっ すいてき せいし 方だけしか見られないことが多い。 て精子がっくられている。雨水など水滴がつくと ていど 無性芽・・・植物体の一部がある程度まで成長し , ここから精子が出てきて泳ぎ出す。 やぶがさじよう その後 , 母体から離れて新個体になる芽をいう。 一方 , 雌株には破れ傘状のつくり ( 雌器床 ) がで らんさいぼう ぞうらんき き , この下面には造卵器があって , 卵細胞がっく られる。 精子が雌株まで泳ぎつき , 造卵器に入って卵細 ほうし じゅせい 胞と受精すると , 造卵器に胞子のうができ , やが 木などにつくウメノキゴケやサルオガセなどは そうるい きんるい ちいるい て胞子をつくる。 コケ植物ではなく地衣類といい , 藻類や菌類のな 胞子のうの中でつくられた胞子は , 風にのって かまである。 朽ち木などについて成長するウメノキゴケは , 飛んでいき , 湿った所に落ちると発芽して新しい 木に付着した部分は菌類 , 外側は藻類という 2 種 雌株や雄株をつくる。 類の生物が助け合いながら生活している。これを むせいが 0 ゼニゴケの無性芽によるふえ方ゼニゴケの きようせい 共生という。また , ムラサキサギコケ ( 種子植物 ) , さかずき はいじよう 雌株や雄株には , 小さな杯のようなっくり ( 杯状 クラマゴケ ( シダ植物 ) のように , 名前に〇〇コケ えん たい 体 ) が多く見られる。この中には緑色の小さな円 とついているが , コケ植物でないものもあるので ばんじよう 盤状のつくり ( 無性芽 ) がたくさんつくられる。無 注意しよう。 性芽は熟すと雨などに流され , 雌株の無性芽から は新しい雌株の ゼニゴケが , 雄 株の無性芽から は新しい雄株の ゼニゴケが成長 を始める。 ウメノキゴケ 一面がゼニゴ ゼニゴケの無性芽 ( 約 100 倍 ) ゼニゴケ ( タイ類 ) のつくりとふえ方 胞子 杯状体の中の無性芽 ゼニゴケの雄株葉状体 38 ■生物 ゆうきしよう かた ほう こたい はな しきしよう めか コケ植物ではない コケのような植物 発展研究 しめ じゅく サルオガセ らんきいーーう 卵細胞 造精器 ほうし 胞子 雌株 雄株
ふつう , 精子はほかの前葉体の卵細胞と受精す ゼンマイの ほうしよう きより を 胞子葉 るので , かなりの距離を泳ぐことになる。シダ植 ( うすかっ色 かんそう が胞子葉と 物が発達した根をもっているのに , 乾燥した場所 いう胞子を にあまり見られないのは , このような前葉体の生 つける特別 0 な葉 ) 活のしかたとおおいに関係があると思われる。 とくちょう 〉》コケ植物の特徴 の胞子のう コケ植物 ( コケ類 , 蘚 0 いろいろなコケ植物 ( 葉の裏には 胞子のうが 類 ) には , セン類タイ類 , ツノゴケ類の 3 っ のグープがあるカ : , 分類上では 1 のなかまと あっか して扱われている。 セン類 例スギゴケ・タチゴケ・スナゴケ・ハイ ゴケ・シッポゴケ・ミズゴケ・ツチゴケ・ ニゴケや藻類などとよく似ている。 チョウチンゴケなど ぞうらんき ぜんようたい . らんさいぼう じゅせい 0 受精前葉体には卵細胞をつくる造卵器と , タイ類 ぞうせいき せいし 精子をつくる造精器ができる。そして , 雨の日な 例ゼニゴケ・ジャゴケ・ハタケゴケ・コ ど水が十分にあるとき , 造精器中の精子は泳ぎ出 マチゴケ・ウロコゴケ・マキノゴケ・ウキ して造卵器中の卵細胞に達し , 卵細胞と合体 ( 受 ゴケなど ツノゴケ類 精という ) する。その後 , 前葉体には根・茎・葉 をもった新しい植物 ( 幼シダ ) が育ち始める。 例ツノゴケ・キノボリッノゴケなど シダ植物の一生 ーーわ胞子のう イヌワラビのふえ方 葉の裏側 前葉体 ( 裏側 ) 3 せん 0 そうるい コケ 植物 し卵ともいう くき よう 胞子 0 胞子のう群 イヌワラビ ばねのような しくみで胞子 を飛ばす 根 幼シダ 造卵器 造精器 0 らんさいぼう 卵細胞 仮根 ( からだを支える ) 精子は水中を泳く 受精 前葉体から 育つ幼シダ 前葉体 36 一生 物
大形土壌動物・・・ 3cm ~ 2mm 程度の大きさで , こうちゅうるい ャスデ・甲虫類・クモ・アリ・ダンゴムシなど。 しオサムシなど 中形土壌動物・・・ 2 ~ 0.3mm 程度の大きさで , トビムシ類・ダニ類・センチュウ類があり , ツル そうち グレン装置で採集できる。 小形土壌動物・・・ 0.3mm 以下で , ワムシやアメ 落ち葉の変化 40 ~ 60W の していくようす ーバなど。 白熱電球 葉が出発点になる。落ち 0 ツルグレン装置 こうごうせい、嚊 なル 葉は , 緑色植物が光合成 ざるに土を入れ , 上 p. 56 参照・」 ゆうきぶつ のホ によってつくり出した有機物であり , 森林での下 から電灯をあてる 。電 かイ さル そう しよくもつれんさ 層では , 落ち葉が食物連鎖の出発点となる生産者 灯の光と熱 , それにと 目のあらい しようひしや になり , それを食べる小動物は消費者になる。 もなう乾燥で , 土の中 網かざる 100 mL 0 落ち葉と動物ャスデを湿ったベトリ皿に入 の動物が下へ逃げる。 ピーカー ふはい ぬ れ , その中に黄色い新しい落ち葉と黒っぱく腐敗 ざるの目を通り抜けた 70 % のエタ ノールを人 した落ち葉を入れておくと , ャスデは黒く腐敗し 動物を集める装置。 れてもよい G ツルグレン装置 た葉だけを食べる。このように , 土の中の小動物 0 土の中の食物連鎖 へんしっし新しい葉は栄養とし ( 摂取 ( きない は黒く変質した葉を食物としている。 森林の土中にも多くの動物が生息し , そこにも びせいぶつ ふよう 食物連鎖がある。微生物や腐葉を食べるトビムシ 土の中の動物 はカヒ類・細繭類 などは中形肉食動物のダニなどに食べられ , これ はササラダ二なども言む はカニムシ・八サミコムシなども含む らはさらにクモなどの大形肉食動物に食べられる。 落ち葉の間や土中で生活する動物を土壌動物と ムカテなども含む いい , 種類も多く , 単位体積あたりの数量も多い。 土中の動物 ) ャケャスデ きよけい 0 土壌動物体長によって巨形土壌動物から小 ・大形土壌動物 形土壌動物までに分類されている。 巨形土壌動物・・・モグラやミミズのような数 cm 以上の大きな動物。 ていど しだいに小さく なっていく さいしゅう 0 か せいさんしや かんそう 0 ろうと に 腐ることい しよくもつれんさ どじよう どしよう 〔体長約 18mm 〕 ハサミムシ 〔体長約 30mm 〕 か オサムシ 〔体長約 30mm 〕 新しい落ち葉や枯れ草 ( 落ち葉の層 ) ふようそう 腐ってぼろぼろになった葉 ( 腐植層 ) ケラ 〔体長約 30mm 〕 ハタケ グモ ジグモ 〔体長約 15mm 〕 ダンゴ ムシ 〔体長約 12mm 〕 ・中形土壌動物 ふいく 〔体長 3mm 未満〕 黒色の土 腐植土 ムラサキトビムシ 〔体長約 1.2mm 〕 マル トビムシ ( 上層の土 ) イレコダニ 〔体長約 0.4mm 〕 ねんど 赤色の粘土など 岩石が風化してできた土 〔体長約 1.5mm 〕 ップダニ オピッノトビムシ 〔体長約 lmm 〕〔体長約 0.5mm 〕 〔体長約 1.5mm 〕 第 5 章生物界のつながり■ 165 ( 下層の土 ) ラ サダ 落ち葉の変化
花から種子へ ちゅうとう じゅふん 花粉がめしべの先の柱頭につくと ( 受粉 ) , 花粉 しぼう が発芽し , めしべのもとに近い子房の中にある胚 せいさいぼう かふんかんの 珠まで花粉管が伸び , 花粉の精細胞の核と胚珠の らんさいぼう 卵細胞の核がいっしょになり受精が行われる。す p. 140 参照お ると子房の中にあった胚珠は育って種子になる。 かじつ 子房はふくらみ , 果実になる。 しそん 0 受粉の方法植物は子孫を残すために種子を つくる。このためには , めしべの柱頭におしべの やくでつくられた花粉をつけなければならない。 かぶ これを受粉という。受粉には , 1 つの花 ( 株 ) の中 で受粉を行う自家受粉 ( 自花受粉 ) と , 異なった花 ら同家支粉ともいう ( 株 ) で受粉を行う他家受粉がある。自家受粉では 種子ができず , 他家受粉でないと種子のできない せいしつ 植物もある。これは , 違った性質のものどうしで けいしつ 受粉することにより , いろいろな形質の植物がで ら形や性閂 かんきよう き , 環境に対する変化にもたえることができるよ はい ちが うになると考えられている。 花粉 おしべ 子房 花びら がく 受粉 めしべ 花粉管 精細胞 らんさい : まう 卵細胞 はいしゅ 胚珠 , - / ー受精後 果実 / 子 こんち 0 う 昆虫による 受粉 花粉が昆虫の からだにつき , 他の花へ運ば れる。 0 虫媒花と風媒花他家受粉の花は花粉を他の 花につけるために花粉を運ぶ必要がある。花の色 , こんちゅう におい , みつなどによって昆虫を引きよせ , チョ ウやミッパチのあしなどに花粉がついて , 他の花 に花粉が運ばれる花を虫媒花という。また , 風に は多くの被子値物 よって花粉が運ばれる花を風媒花という。風媒花 スギ・マツなどお とくちょう の花粉は小型で , 量が多いのが特徴である。その ちょうばいかすいばいか 他 , 鳥媒花 , 水媒花などがある。 らツ八キなどしオオカナタモなど 0 被子植物と裸子植物サクラやタンポポ , ア プラナなどの多くの種子植物の胚珠は子房に包ま れている。このような植物を被子植物という。こ れに対し , マツ・スギ・ソテッ・イチョウなどの 花には , 子房がなく胚珠がむき出しになっている ので , 裸子植物という。このように , 種子植物は 被子植物と裸子植物に分けられる。 被子植物→胚珠が子房でおおわれている 種子 ( サクラ・タンポポ・アプラナ・イネなど ) 植物 裸子植物→子房がなく胚珠がむき出し ( マツ・スギ・イチョウ・ソテッなど ) ちゅうばいかふうばいか は p. 34 参鰯 柱頭 めしべ 花から種子・果実 ( 模式図 ) やく 花糸 おしべ 花びら くピーマンの花の断面 > 子房 はいしゅ 胚珠 果実 種子 くピーマンの果実の断面〉 がく [ = = = > へた ひかく 30 ■生 ピーマン ( ナス科 ) の花と果実の比較 めしべのもとの子房が成長して , ピーマンの果実になる。花のがくはヘたになる。 物
ダイコンのように大形になったり , 体内の栄養分 0 組織培養細胞融合した細胞 , 成長点・やく おしべの一部 トマト ( はビタミンい」 ばいようえき を多くしたり , 大輪の花をつくることができる。 ・胚などの細胞を寒天上や培養液の中でふやし , けいしつ 3 倍体の利用・・・種なしスイカのように , 4 〃の 種子を使わなくても同じ形質の植物をふやすこと 染色体 44 本 こうざっ ができる * 2 。また , この方法でヒトの細胞を大量 ものと 2 〃のものを交雑すると 3 〃のスイカにな は 33 本 り , 果実は大きくなるが種子のないスイカとなる。 に培養して医薬品をつくることも行われている。 せんしよくたい 0 遺伝子組みかえ染色体から切りとった遺伝 ハイオテワノロジー 子を , 他の遺伝子に組みかえる方法である。大腸 きんこうぼきん バイオテクノロジーは , 生物のさまざまな部分 菌や酵母菌などの遺伝子を組みかえ , 人間に有益 そうさ せんたんぎ を操作し , 人類に有用なものをつくり出す先端技 なヒトのインターフェロンやインスリン , 成長ホ はがんの薬 は糖尿病の薬 じゅっ さいぼうゆうごう そしきばいよう ふかのう 術である。この中には , 細胞融合 , 組織培養 , 遺 ルモンなどをつくっている。また , 今まで不可能 でんし 伝子組みかえなどの技術がある。 といわれてきた青いカーネーションや青いバラの 花もこの方法で成功している。 0 細胞融合異なる種類の細胞どうしを , 酵素 や電流で 1 つの細胞に融合する技術である。自然 せんしよくたい * 1 2 倍体 ( 2 〃 ) ・・・染色体の数は生物により一定である。一般 じゅせい には受精できないものを , 細胞融合によって新し に , 体細胞では同種の染色体が 2 組対をなして存在する。 これ を 2 倍体といい , 2 〃で表す。 い種類をつくることができる。コマツナとキャベ かんせん * 2 ウイルスに感染していないカーネーションの苗をつくる , ツから千宝菜 , ハクサイとキャベツからハクラン けいしつ 同じ形質のランを大量につくる , 人工の種子をつくる , 色素を おうよう つくる細胞をふやして大量に色素をとり出すなどの応用がある。 という新種をつくっている。 プラスミド ( 遺伝因子 ) ② はい ら 22 . 本 ゆうえき こうそ いつばん そんざい たいさいぼう つし、 なえ せんぼうさい ~ 制限素で一部 ーを切り離す さいぼうゆうごう ①電流を流す直前。 ②電流を流して 2 分 後に細胞朖の境が消 える。 かんせん ③数分後に 2 つの細 植物に感染して こぶをつくらせる細菌 胞が混ざり合う。 ④電流を流し始めて 、目的の遺伝子を から 10 分後に融合が 一切り離す 終わる。 目的の遺伝子 をもった DNA く細胞融合〉 はな 目的の遺伝子を くつつける プロ上プラストに プラスミドを とり出す DNA こぶをつくらせる 遺伝子をとりさる さいきん ④・ リガーゼで くつつける一 植物ホルモンの濃度の違いによって芽や根が出る。 細胞融合と組織培養 ばいよう 組織培養〉 1 本 1 本とり出し 植えつける 細胞融合した 新しい細胞 寒天培地 細胞がよく育つように植物 第 ホルモンが人っている。 芽を出させる ふんれつ 細胞分裂を 植物ホルモン 活発にする 植物ホルモン 新しい細胞が 分裂を始める 目的の遺伝 子を組みこ んだプラスミド を細菌にもどす 植物の遺伝子に割りこみ , 植物に細菌を感染させると 目的の遺伝子が組みこまれる 細菌からプラスミドが出る * DNA →デオキシリボ核酸の略号 遺伝子組みかえ 遺伝子の本体で , 生命現象の基本物 第 4 章生物のからだと細胞■ 1 57 さいばう 4 ぶんれつ 根を出させる 植物ホルモン カルス ( 細胞の集まり ) のうとちが ディーエ 1 工ー
0g4 第 わたくし 私たちと植物とのつき合いは , いつごろから始まったの けんせつ でしようか。 4000 年も前の紀元前 2000 年ごろに建設され たエジプトのピラミッドの内部には , 人々がイチジクを栽 培しているようすの絵が残っています。また , 古代の中国 では 5000 年前ものころから , イネやコムギ , キビ , ダイ ズなどが栽培されていたという記録が残っています。 きげん このように , 人類が植物を栽培し始めた起源についての ちいき ぐうぜん 己録が , 古代文明が栄えた地域から多く見つかるのは偶然 左の写真はムクゲの茎の横断面で , 中心 もくふけいせいそう から髄・木部・形成層・師部・皮層など 封 のようすがよくわかる。 植物の世界 , 第、をす′ = = ロ 台所にあったダイコンやニンジン , ゴボウの頭の部分を切りとり , 水につけて窓ぎわに置いておくと , 若葉 が伸び , やがて花も楽しむことができる。 26 ■生物
ちが ー自然観察には , いつもとうどうしたのだろ 究の ぎもん けいぞく うという疑問と , 身近な自然を継続して観察 することが大切である。最近は帰化動植物もふえている。 はかいふせ あなたの観察が自然破壊を防ぐかもしれない。 野外で生物を 観察してみよう 観察は身近な場所から 高山や海浜など , 特別な場所にだけ自然がある のではなく , 身近な通学路などに自分のフィール めきた ドをもって , 自然観察の眼を鍛えよう。 0 春先は植物観察のチャンス春は多くの植物 が新芽を出し , 花をつけ実を結ぶ季節である。日 なたと日かげでは種類が異なるし , 日ごとに異な カタクリの花カタクリは 林の木が葉を落とし ずかんかたて 日光が地上に届く春先の短期間に生育する。 る種類が芽を出す。図鑑を片手に野外に出よう。 めせん 0 開花時期を知る早春 0 観察する目線を低くする多くの野草は , 地 ていど に花をつけるカタクリは , 面から 10 ~ 30cm 程度の低い高さに花をつけてい ぞうきばやし 雑木林などの落葉樹木の下 る。そのため , たったまま観察すると小さな花な ぐんらく に群落をつくる。花が開く ど見落としてしまう。野草をほんとうに観察しよ には気温が関係し , 10 。 C を うと思うなら , 顔を草たけの低い位置まで近づけ ら草の高さ こえると開き始め , 17 ~ 20 ることである。ハコペとウシハコペの違いもルー は右の与真参照 ちゅうとう ℃で満開になる。開花気温 べでめしべの柱頭を見る。 5 つに分かれているの は 15 ℃がめやすになる。 がウシハコペである。目線を低くして観察しよう。 こんちゅう 0 昆虫を観察するには食草を知るチョウなど 0 観察する生物について調べる昆虫や植物を きそちしき の昆虫を観察したいと考えたら , 幼虫の食草や親 観察するには , それらの生物についての基礎知識 がどのようなものをえさとしているかを知ること がなくては野外に出ても収穫は少ない。 こくちょう ようちゅうしよくそう が重要である。例えば , 日本の国蝶であるオオム 昆虫の活動する時間帯 , 幼虫の食草 , 活動の場 国のシンホルとして選はれたチョウお は好ん ( 食べる阜 ラサキの幼虫はエノキの葉を食べ , 親は花のみつ 所 , 野草の開花季節や時間や生育場所などについ じゅえきす よび ではなく樹液を吸って生きている。 て調べる。このような予備知識が重要である。 本の出す液体お しいく また , 昆虫を飼育するときには , それらが何をえ 0 季節の変化に注意するマツの開花は 2 週間 じゅんび しゅうりよう ペん さとしているか調べて準備をしてから飼育をする。 ほどで終了する。下の写真のようにりん片が開い カイコはクワの葉でしか飼育できないし , ゲンゴ ている間は受粉のようすや胚珠の位置を観察する ロウやミズスマシは肉食性である。チョウの幼虫 ことができる。そして , なぜ裸子植物というのか 、 p. 34 参照 りかい は種類により食草が異なる。 も理解できるようになる。 りん片が開いて , はいしゅ 胚珠が外から見 んる。 -- 受粉 受粉が終わり , りん片が肥大し て胚珠が見えな くなる。 めばな äi マツの雌花 かいひん らくようじゅもく , p. 13 参照 ちが ウシハコペの花 , 目の位置 しゅうかく はいしゅ じゅふん オオムラサ キの幼虫 春先 , 工ノキ の落葉で見つ けることがで きる。 20 ・生 物