競合対策に工夫をこらす 弱者は強い会社との競合を避け 勝ちやすき場面を選ぶべし ランチェスター法則によると、小さな差が大きな差となることがわかった。この計算はすで に = 明した。ランチェスターの法則では、自分より強い競争相手と同じゃり方で戦うと、損失 は大きくなる。 少ない兵力数でも勝てる例外として、〃水戸黄門みや〃遠山の金さんみや〃銭形平次〃がいる が、これはあくまでもテレピの中でのお話。集団対集団の戦いとなるとランチェスターの法則ど おりになっていく竟 。竟争は強い者が必す勝ち、弱い者は必す苦戦するものなのだ。 日本人は、どうも自分よりも強い敵と戦うのを何か勇ましく、カッコいいと受け取る深層心 理がある。過去の戦争で自分よりも、はるかに強い敵に向かうカッコよさのためにどれだけの ムダ死にが出たか。第一一次大戦でいやというほど体験したにもかかわらす、性懲りもなくその 心理は受け継がれている。 しかし、弱いといってもすべてに弱いとは限らない。特定の分野に限定すれは、自分のほう の戦力が上回ることもありうるのだ。競争相手より少しでも上回っていれは、一一乗に比例して 第 2 条
入観の色メガネをはずし、こだわりのレンズを取り払い、目を皿のようにして見なけれはなら 販売地域のスキ間を盲点市場ともいう。強い競争相手がいない地域である。競争が少ない地 域の発見は重要だ。市場占有率四〇 % を持っている強者といえども、全国どこでも四〇 % なわ けではない。より強い地域もあれば、より弱い地域もある。強者が強い地域内で戦っても成果 は上がらない。弱者は、販売地域をかっての参議院選挙のように全国区、あるいは全県一区と してみてはならない。市会議員、町会議員型で細かく区分して市場を細分化すると、勝てる地 域も出てくるのである。 略弱者はことをなすにあたり全体発想をすて、細分化して考える習を身につけることだ。 の 2 勝ちやすき場面を選ぶ 強者との全面戦争を避けるなぜ経営の要点を細分化するか。それは勝ちやすい競争場面を 略発見するためだ。小さく分けると勝てる分野が発見できる。小さな分野でもよいからますナン ・ワンになるのが大事なのだ。あとはこの積み重ねにより量を増やしていくやり方が手堅 者ノ い方法といえる。今、社名を聞けば誰でも知っている大会社も、初めはこのやり方で強者にな っているのだ。 中小企業は企業間競争の武器にあたる経営資源が乏しい。乏しい力を強い会社に向けても、 しよせん勝ち目はない。
「すかいらーく」は元スー ーであった。ダイエー、イトーヨーカ堂が関東地域で店舗展開の 競争を始めた。その中で「すかいらーく」は大型店に負けないような物量戦でいくべきか、そ れとも商売を変えるべきかについて悩みに悩んだという。結局、レストラン事業に方向を転換 大手ス ーパーは広い売り場面積と品ぞろえの物量戦でやってくる。同じ地域で、同し商品を 取り扱い、売り場面積比が一〇対六以上に開いていては、勝ち目はない。取り扱いの「商品構 成がほば同し」であれば、売り場面積比が一〇対六以上に開くと、差別化はむすかしい。努力 の限界を超してしまうからだ。 取扱商品の構成を変えるには、業種を変えざるをえない。業種を変えるといってもたやすく はない。しかし売り場面積に一定以上の差がある中で、同し商品を同しやり方でやっていける か。ここにトップの決断と勇気が必要になる。「すかいらーく」は強い競争相手がまだなかった 大衆レストランに業種転換を図って成功している。強い敵と正面から撃ち合う「全面戦争」を避 け、勝ちやすい場面で経営を進めたから勝ったのである。 今までにない商品と事業は勝ちやすい新しく出された商品や、新しい業種は勝ちやすい。 その理由は強い競争相手がないからだ。つまり戦わすして勝ちなのである。新商品は、普及率 がゼロである。今から世に出ていく商品は、消費者の商品に対する知識はまったくない。商品 説明に苦労が伴う。簡単に信用してもらえない。しかし競争相手がいない、という利点がある。
きる。 物余り第一期 : : : 七四 5 八〇年Ⅱこの間は大型化、デラックス化が主流となっていた。 物余り第ニ期 : : : 八〇ー八五年Ⅱ軽薄短小に代表されるように電子化および小型化が主流と なる。 物余り第三期 : : : 八五年以降Ⅱ商品の高級化をはじめ、軽薄短小の傾向は続いている。これに 加えて商品を利用する人の人生や生活信条を重視した精神的サービスが加わらないと売れ ない時代となった。つまり今は精神的サービスの時代だ。そしてこれは宗教的サービスへ と変化していくだろう。 個人個人の好みには当然バラッキがある。好みをつかむためには商品を利用する人、サイフ を持った人に近づく必要がある。客への接近戦だ。戦争における戦いは、直接相手を攻撃する 使ことだ。相手をいかにして倒すかだ。経営も競争であるが、戦争と違うところはライバル会社 を直接たたくのではなく、「利用者のサイフや金庫」を通して「間接的」に攻撃していくことに 近ある。サイフ所有者の支持が得られなかったら、ライバル会社との競争は負けなのである。競 争目標はライバル会社であっても行動目標は客である。 商品利用者がどのようなものを欲しているかは、遠いところにいたのではわからない。商品 利用者との面会、あるいは会話など接触が少なくなったら客の動きが読めなくなってしまう。 取引先を回らなくなって事務所にいる時間が長くなると、利用者とのズレが大きくなっていく。
く長期戦である。残念ながら、戦前の日本にはこのような戦略思想はなかった。太平洋戦争の 戦争体験に関する本が出版されているが、腹がへった、白いごはんが食べた 、意地悪の下士 官にシゴかれたとか、戦友の死などについては、すぐれた記録を残している。しかし兵力数と 勝ち負けの率、あるいは初期兵力数の差と戦死者の数を記録した本は、数少ない。 ランチェスター戦略は、競争を精神主義から切り離した。それで科学性が出たのである。ラ ンチェスター法則を経営上の強者の戦略と弱者の戦略に区分し、経営法則に置き換えたのは故 田岡信夫氏の独創によるもので、大きな功績である。 以下この戦略内容についてふれてみたい。 強者の戦略概念 条件に恵まれた優勢な集団が主として使う戦略発想、これを「強者の戦略」というが、強者 の戦略には次の五つの概念がある。 ①物量戦 ②複合戦 ③間接戦 ④広域戦 ⑤包囲戦
美容院のスポットもよく見かける。美容院は店舗数が多く競争が激しいために、廃業が多い 業種の一つである。だから広告の援護射撃によって有利に勝ち抜こうとしてスポットコマーシ ャルを流すのだろうが、客がバスや電車に乗ってはるはるとやってくるわけがない 耐久消費財を含めた小売業やサービス業で、経営規模の小さい店に来る客の地域は決まって いる。一度景品を出して住所氏名を書いてもらったらよい。おのすと地域は限定されるものだ。 その地域が、自分の店に来やすい地域、寄りつきやすい地域である。利用客の地域分布はけっ して同心円にはならない。道を中むに「筋」が必す出てくる。 その筋は、競合店との関係もあり、形が変わっていく。利用者の多い地域が自分の店のホー ムグラウンドであるから、この地域をより強くしなければならない。チラシも重点地域に何回 も入れたはうが相乗効果が出る。チラシを入れるとき、ライバル会社の地盤を荒らしてやれと、 ライバル会社の店周に入れる人もいるが、これは一番あとのやり方。ます初めは、競争相手の ない也域、勝ちやすい地或を押さえることだ。 つまり、自分の店から町の中心地と反対の方向に多くのチラシを入れるべきである。このあ とに同業者の地盤をねらっていくという順序がルールご。 営業戦力が弱いのが中小企業。弱い力を分散してはならない。地域の重点主義をとり、「の 地域なら、っちが一番、とい、つ強い地域、ナンバ ・ワンの地域を早くつくることだ。けっして 遠いところに目を向けて広域的な戦いをしてはならない。
これが集中の成果だ。つまり「物量的」に戦うと、より有利な戦いが展開できるのである。 この結果、優勢軍がよリ有利に戦う勝ち方の戦略が生まれた。これを「強者の戦略」と呼ぶ。 一方、兵力数で一定以上の差が出ると、劣勢軍は大きな損失が出るから戦わないはうがよい。 もし戦いをするなら、同じ兵器や同じ作戦で戦わないことだ。優勢軍と違った戦い方、違った 武器を用いる必要がある。このように劣勢軍が守るべきルールの「弱者の戦略」が生まれた。 違ったやり方を「差別化」ともいう。したがって差別化とは劣勢軍の基本戦略なのである。 アメリカ軍とイギリス軍は、第一一次大戦は避けられないとの見地から、ランチェスター法則 をもとにオペレーションズ・リサーチの研究を始めた。ランチェスター法則も当初から全面的 に信用されたわけではないが、第一一次大戦では幾多の成果をもたらしている。イギリス軍はエ のジプトでの対ロンメル作戦において、ランチェスター法則を実験的に応用して成功を収めた。 弱日本に対してはインパール作戦に使って成功している。一方、アメリカ軍も対日作戦に適用し、 ガダルカナルの戦い以後すべての作戦に応用している。そのため日本は大きな戦いでは全部負 のけたのである。 ランチェスター法則と確率論を含めた OX ( オペレーションズ・リサーチ ) が発展するに従 って、戦争の勝ち方および競争の勝ち方に科学性が出てきた。競争には精神主義も必要である。 一対一とか一発勝負には、精神力は無視できない。だが、集団対集団の戦いとなると、精神主 義だけでは通用しない。経営は一発勝負ではない。毎日毎日の積み重ねだ。長い期間戦いが続
も六勝四敗ぐらいの成績となり、味方の損害も多くなるのはやむをえない。 ④強い相手に勝っ・ ・ : 同じゃり方で戦ったのでは勝ち目はない。敵の油断をつくか一 時休戦にしておく。そしてその間に一と二で力をつけにかかるほうが身のためだ。 経営は常に三つの方向から戦いを行っている。一つは商品利用者に対する販売活動。一一つは 会社内部の利害関係、人間関係。一一一つ目は競争相手だ。一と一一は自社の内部の間題であり努力 で解決できる。 しかし競争相手はこちらの努力だけでは解決しない。ラグビーやサッカー、野球なども競争 であるが、グラウンドで戦っていると相手の動きはよく見える。しかし経営は相手が見えにく いからやっかいだ。ポンヤリしていると、競争相手の動きをまったく見落としてしまう。 経営競争で手堅く勝って伸びていくには、戦わすして勝てる場面と勝ちやすき場面で行動す る必要がある。そのようにできる人は戦略家といえよう。 いすれにしろこのような場面の発見は、座ってアグラをかいていたのでは発見できない。経 営上の責任者が最前線に立って、現場を常に見ておく必要がある。中小企業の経営で成功する にはこの方法しかない。常に情報感度を引き上げ、勝ちやすき場面の発見に努める必要がある。
経営資源に弱い中小企業 競争市場の中で有利に勝ち進めるかどうかを決めるのが「経営資源」である。経営資源とは、 一一一口葉を換えると「企業間競争の武器」にあたる。性能のよい武器を多く持っていれは有利であ 手るのは当然の話だ。以下、経営資源について考えてみよう。 資本金 ( 元入金 ) 企業間競争の有力な武器となるのが資本金だ。資本金も五億円以上であれは合格。一一一億円で も一応合格企業。株式上場企業の資本金は五億円以上となっている。資本金のカで競争を有利 時 長に展開しようとするならは、これぐらいの量は必要なのである。 しかし資本金五億円以上の会社は全国法人の中で〇・一一五 % しかない。つまり資本金上強者 といえる企業は一〇〇〇社中一一ー一一一社しかないのである。中小企業は資本金がとにかく少ない。 五〇〇万円以下が六四 % 。五〇〇万ー一〇〇〇万円までが一八 % 。つまり一〇〇〇万円以下が 第 6 条 長時間労働か決め手 弱者は長時間労働に徹し 必勝の一一一時間、圧勝の一四時間を投入すべし
経営者・ビジネスマンの実力評価チェックリスト ( 点 ) 1 . あなたは、今の仕事、事業に熱意を持っていますか 今の仕事、今の事業に熱意を持って打ち込めている ( 5 ) 今の仕事、事業にかなり熱意を持っている ( 4 ) 今の仕事、事業に対する熱意はまあ普通程度 ( 3 ) 今の仕事、事業に対してやや熱意を欠くようだ ( 2 ) 今の仕事、事業に対して熱意を欠きあまり打ち込めない ( 1 ) 2 . 地元商圏の範囲て営業力分野て N 。 . 1 を持っていますか 地元商圏でみれは、 0.1 の営業力を持っている ( 5 ) No. 1 まではないが上位に入る営業力はあると思う ( 4 ) 地元商圏でみて営業力は中程度と思う ( 3 ) 地元商圏でみて営業力はやや落ちるようだ ( 2 ) 地元商圏でみて営業力はかなり落ちていると思う ( 1 ) 3 . 取扱商品の中て競争力を持つ商品はあるか 業界でみて強い競争力を持つ商品を持っている ( 5 ) 業界の中でます強いほうに入る商品を持っている ( 4 ) 商品の競争力はます中ぐらいと思う ( 3 ) 商品の競争力は、やや落ちるように思う ( 2 ) 商品の競争力は、かなり落ちると思う ( 1 ) 4 . 自社商品の利用者層は誰か明確に特定していますか 利用者層を明確にしその層の要望を研究している ( 5 ) 利用者層はかなり明確にしその層の研究もますしている ( 3 ) 利用者層は自然発生的で、その層の研究はあまりしない ( 1 ) 5 . あなたは客活動に活動時間の何割を回していますか 活重加与間の 7 割は客活動に向けていると思う ( 10 )