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検索対象: 中央線に乗っていた男
98件見つかりました。

1. 中央線に乗っていた男

ーいった。 現場周辺の聞き込みの方も、壁に、ぶつかって 十津川は、嬉しそ、つこ、 明らかに、今度の犯人は、最初から、人質の星しまった。 現場は、二つである。少年が誘拐された現場 野勇を殺すつもりだったのだと、十津川は、改め て思、つ。 と、死体で見つかった丸子多摩川の川原である。 その二つの現場周辺で、連日、聞き込みが行わ すぐ、殺さなかったのは、それが、ばれるの 怖かったからだろう。 れたが、犯人につながるような情報は、得られな しかし、肝心の犯人像が、なかなか、浮んで来かった。 なかった。 少年を連れ去った男も、車も、目撃されていな 亀井たちは、必死になって、星野夫婦の関係者いし、死体を運んで来た男と、車もである。 「まさか、星野夫婦にではなく、星野勇に、限み を、調べていった。 星野健一郎は、若くて、やり手だけに、敵も多を持つ人間が、犯人ということはないだろう ) 0 ね ? 中には、贈んでいる者もいそうである。 十津川は、行き詰って、そんなことを口にし 亀井たちは、そうした、容疑者候補を、一人一 、」 0 人、洗っていった。 「十四歳の少年に対してですか ? だが、犯人は、見つからなかった。 これはと思う人間には、完全なアリバイがあっ 「そうだ 「ゼロではないと思います。星野勇は、普通の中 228

2. 中央線に乗っていた男

「それだって、野口は、あの時は思い違いしたの「箱根の野口英夫との関係はどうなんだ ? 前か で、本当は、船室の窓から目撃したと訂正するだらの知り合いということはないのかね ? 」 「風間の知り合いに聞いて廻ったんですが、箱根 ろ、つ」 に知り合いがいるとか、野口英夫という名前は、 「口惜しいですね。何とかしたいですね」 聞けませんでした。また、熱海や、伊豆にはよく 「明日、浅田奈津子に会ってみよう」 しった。 と、十津日は、、 行っていたが、箱根に行ったのは、今度が初めて じゃないかと、みんながいっています . 二人は、小田原市内の旅館に泊ることにした。 旅館での夕食をすませてから、十津川は、東京の 「二人は、前からの知り合いじゃないということ 西本に電話を入れた。 だな」 「そう思われます」 「風間順について、何かわかったかね ? 」 と、西本は、いった。 「風間が社長をやっている風間興業は、都内にパ チンコ店二つと、ゲームセンター三つを持ってい ( それなら、なぜ風間は、殺人事件で、嘘の証言 ~ 根 ます」 をしたのだろうか ? ) 箱 こ、っち の 「儲かっているのか ? 翌日、十津川と亀井は、小田原拘置所に行き、 み 恨 浅田奈津子に会った。 「前は、儲けも大きかったそうですが、最近は、 それほどでもないということです。それに、風間 三上刑事部長から、こちらの所長に電話をかけ は婿養子ですー て貰っておいたので、あっさり面会が許可され

3. 中央線に乗っていた男

「本当に、ここで、撮ったのかね ? 」 十津川は、電車を見送りながら、亀井に、きい 風が、冷たい。 「動機は、結婚でしようね。社長の娘との結婚話 が出たので、ホステスの加藤ユキと、手を切りた 「かも知れませんが、よくある風景ですからね。 かった。しかし、彼女が、それを知って、途方も 他に、同じような場所があるとも、思いますー ない手切金を要求した。そんなことじゃないかと 「しかし、それを証明するのは難しいよ。プルー しし , し力な田 5 、つんです力 トレインの沿線を、全て見て歩くわナこよ、、 歩きながら、亀井が、いった。 いからね。それに、もし、同じような場所があっ たとしても、どちらを写したかの証明が出来な 「まあ、そんなところだろうね . すでに、九カ月も、たってしまっているから「連休のときは、クラブも休みです。もし、彼女 ね」 が、前原をゆすっていたとすると、前原は、五月た 見 五日の朝、彼女のマンションに、金を持って行く を 「それは、そうですが」 「前原が、五月五日に、加藤ユキというホステスと、いったんだと思います。そう約束しておい関 機 て、前原は、五月二日の夜から、六日まで、九州 を、殺したと考えてみよう」 君 旅行に出かけたんです」 と、十津川は、いった。 駅の近くに、喫茶店が見えたので、二人は、そ 「寒いから、歩きながら、話しませんか」 亀井が、いい、二人は、駅に向って、歩き出しこに入った。 、」 0

4. 中央線に乗っていた男

「テープルの上に、お金がのせてありましたの協力を感謝します。事務所まで、送りましよう」 で、それをフロントに持って行き、今度は、領収 書を、お客様にお持ちしました」 「その時も、客の顔を見なかったんですか ? とうら 「領収書はドアの下の隙間から、入れておきまし静岡県警の戸浦警部が、上京して、十津川警部 た。お客様が、そうして欲しいと、おっしやってを訪ねてきた。 「西田誠については、ありがとう ) 」さいました。 いたので」 と、ホーイは、いった。 妙な事件で、驚いていますー いった。 と、戸浦は、十津川に、 「別人だな」 つぶや 「伊東で死んだ内村かおりも、東京の人間のよう 日下刑事が呟き、西本刑事も、肯いている。 ですね ? 」 「どういうことなんですか ? 「それなんですが、住所が、でたらめのところな 森が、きいた。 「このホテルに泊った西田さんと、あなたが、会んです。世田谷区世田谷 x 丁目、コーポ富士 1 号というのが、でたらめとわかったんです。そ って、プレゼントを頼まれた西田さんとは、別人 れで、本当の住所も、調べないと、いけないと思 らしいとい、つことです・よ っています。ただ、ホテルの仲居にも、東京の話 「なぜ、そんなことが をしていたそうですから、東京の人間であること 「われわれは、これから、それを調べるんです。 せたがや とつがわ 106

5. 中央線に乗っていた男

ンコ店や、娯楽センターを持ってる男だ。風間 あがれないもの」 が、君に惣れてたのに、君は入江社長に走った、 「奥さんには野口という弟がいるね。彼を、どう そういうことは、なかったかね ? 」 思、つね ? 」 と、 , 卞・津川は、きいた。、もし、そ、つい、つことが 「もちろん、あの男だって、あたしを憎んでる わ あったのなら、風間が奈津子を犯人にするため に、警察に偽証したということも考えられたのだ 「社長に対しては、どうなんだろう ? が、どうやら、この推理は外れたらしい 「社長を ? わからないけど、奥さんとは仲のい い姉弟で通ってるし、社長は浮気してたんだか「もう一つ。あの店の近くに、 e という木造二階 ら、よくは思ってなかったんじゃないの、 建のレストランがあるねー と、奈津子は、いった。 「知ってるわ。コーヒーを飲みに行ったことがあ 「もう一つ、君は、風間順という男を知っているるわ。あの店が、どうかしたの ? かね ? 「 e の従業員は、土地の人間かね ? 「支配人は、間違いなく、土地の人よ」 「カザマ ? 誰なの ? それ」 「じゃあ、君のことを、よく思ってないのか 「東京の、風間興業という会社の社長だよ」 な ? 」 「東京なら、関係ないわー 「君は、東京で、お店をやってたんだろう。そこ 「そうね。ここでは、あたしは、悪い女で通って パチるもの」 へ風間が、客で来たことはなかったのか ? 190

6. 中央線に乗っていた男

は、二つあげています。従って、九州ではないと んか ? 」 「そうなんですが、直流電気機関車の場合は、二わかるんです、 「なるほど つあげて走りますが、交流電気機関車は、片方だ けあげて走ります。直流の場合は、流れる電流が「カラー写真なら、もっと簡単にわかるんです 大きいので、二つに分けてとる必要があるからでよ。九州を走る交流電気機関車は、赤い色に塗ら す。交流電気機関車の場合は、流れる電流が小されていて、プルーの直流電気機関車とは違ってい ますからね . いから、片方だけで、いいのです」 「ということは、この写真の機関車は、直流電気と、弓岡は、笑った。 機関車ということですね」 ( それで、前原は、カラ 1 で撮らず、シロクロ 「そうですー で、撮ったのか ) と、十津川は、田 5 った。 「しかし、それ以上のことは、わかりませんが」 しかも、シルエットで、流し撮りをしているか 「東京を出発して九州に向うプルートレインは、 直流の区間を走るので、直流電気機関車が、牽引ら、形や色から、直流か交流か、わからないよう します。しかし、関門トンネルを抜けて九州に入にしてあるのだ。 ると、今度は、交流区間なので、交流電気機関車その報告を持って、十津川が、捜査本部に戻る が、牽引します。従って、パンタグラフは、片方と、亀井は、「そうですか , と、大きな声をあげ しかあげません。ところが、この写真の機関車た。 262

7. 中央線に乗っていた男

「後頭部も、殴られています。犯人は、殴っておルダーバッグが、見つかりません」 日下がいうと、じっと見ていた、戸浦警部が、 いてから、ネクタイで、首を絞めたものと思われ 「シャネルのバッグは、彼女の部屋にありまし ます」 た。新券で、二百万円の札束が入っていました 西本が、説明する。 よ 「西田に間違いないのか ? 「フロント係が、確認しました。西田という名前と、ロを挟んだ。 十津川は、驚いた顔で、 で、女性同伴で、チェック・インした客に間違い 「二百万円ですか ? 」 ないそうです 「そうです。ひょっとすると、男の方も、大金を 「所持品は、もう調べたか ? 」 「三十万円入りの財布がありました。腕時計も、持っていたんじゃないでしようかね、 「消えたショルダーバッグの中にですか。あり得 高いものですが、身元を特定するようなものは、 死 る話ですね . 何も持っていないのです。運転免許証もないし、 の 十津川は、強い語調で、いった。ますます、単 る カード類も持っていません」 なる三角関係という図式が、消えていくのを感じ達 「坪井真一郎の名刺はどうだ ? 配 「持っていませんでした。フロントの話では、男たからだった。 ( ひょっとすると、金のからんだ事件かも知れな は、ショルダーバッグを下げ、女は、シャネルの いな ) 、ンドバッグを持っていたそうですが、そのショ

8. 中央線に乗っていた男

「どこに、そんな証拠があるんだ ? した娘だから」 「では、去年の四月二十日、どこで、何をしてい 「彼女と、去年の四月二十日、岩手県の遠野に行 たか、覚、んているか ? きましたね ? 」 と、亀井がきいた。 「何のことですか、それー 「一年も前のことなんか、知りませんよ」 「遠野で、彼女を殺したんじゃないの ? 「彼女から、いくら、借りていたんだ ? 五百万 と、亀井が、きいた。 「変なことは、いわんで下さい。そんなところへか ? 一千万か ? 」 亀井が、更に問いつめる。 行ったことなんかありませんよー 「彼女は、遠野で殺されたんだ。君が、殺したん「一円も、借りてるもんか。そんな話はもう止め てくれ ! ゴタゴタいうんなら、証拠を、持って おにろ、つ刀 いった。 来てくれ ! 」 と、亀井が、決めつけるように、 と、怒鳴って、原は、さっさと奥へ、消えてし 「よしてくれ ! 」 死 まった。 と、原は、 、眼の前に注がれたビールを、 愛 ノンカチを取り出すと、原の飲んだの 十津川は、、 いっきに飲み干した。 「彼女から、金を借りて、返さないので、彼女グラスを、丁寧に包み、亀井を促して、店を出遠 と、ゴタゴタがあったんじゃありませんか ? 」 警視庁の鑑識で、十津川は、グラスから、原の と、十津川は、きいた。

9. 中央線に乗っていた男

ゝ、」 0 と、十津川が、いうと、岩木は、 ゝこ連絡し合っていた「そのことで、一つ、わかったことがあります。 電話と < では、お互し ! . あのスケッチブックは、社製のもので、問い合 が、顔を合わすのは、初めてである。 せたところ、一冊に、四十枚のページがあること 「すぐ行きたいですね」 になっているんです。そこで、数えてみたとこ しいった。 と、十津川は、岩木こ、 県警のパトカ 1 で、十津川たちは、遠野に向っろ、三十九枚しかないんですよ . 「一枚、抜けている ? 」 「そうです。まだ、何も描いてない白ページを、 東北の農村風景が広がり、ところどころで、桜 が、咲いている。 破り捨てることは、考えにくいですから、すで に、スケッチされたページが、多分、犯人によっ 「この辺りでは、そろそろ、満開ですー て、破って、持ち去られたんだと、思いますね、 と、岩木は、いう と、岩木は、断言する調子でいった。 「遠いですね」 死 と、亀井がいうと、岩木は、苦笑して、 「スケッチブックには、遠野の有名な場所が、描せ たじゃれ の 「駄洒落で、遠いから、遠野だという人もいますかれていたわけですね ? 野 遠 「そ、つですー と、岩木は肯き、そのスケッチブックを、リ 「被害者が持っていたスケッチブックですが ア・シートにいる十津川に、渡してくれた よ

10. 中央線に乗っていた男

「細面で、サングラスをかけてましたよ 似顔絵というより、全身像で、顔の方は、サン 「カメラは ? グラスをかけているので、はっきりしないといっ 「持ってなかったと思いますがね , た方がいいだろう。ただ、男の持っている雰囲気 「他に、その男で、気がついたことはないか かなりよくわかる。 その全身像も、岩木は、で、東京に送っ と、岩木はきいた。 た。東京で生活していた被害者の周辺に、これに ・もら 「手に何か持ってたなあ。あれは、携帯電話だっ似た男が、いなかったかどうかを、調べて貰うた たと思います・が めだった。 「それで、何処かへ、かけていたということ この似顔絵は、曲り家の事務所にも、持って行 った。 「それは、見てませんよ。見てれば、あれは、携二十日の事件の日に、この男が、入場券を買っ 帯電話だったんだなって、わかりますからね」 て、曲り家に入らなかったかを、聞くためだっ 「その男の似顔絵を、作りたいので、協力してく れ . もし、二十日に、この男が、来ていれば、彼が と、岩木は、いった。 犯人という疑いが、濃くなってくるのだ。 その日の夕方には、男の似顔絵が、出来上がっ しかし、事務所の人間は、二人いて、熱心に、 似顔絵を見ていたが、 ね ? 」 、」 0