リビア - みる会図書館


検索対象: 戦争にチャンスを与えよ
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1. 戦争にチャンスを与えよ

アが衝突する無政府状態が続くものと考えられる。リビアも同じだ。 言い換えれば、「戦争を止めるために介人する」ということは、「戦争の疲弊による平和 の到来を阻害する」ということを意味するのだ。リビアやイラクの例が、まさにそのこと を物語っている。 もしあなたの国が介人するのであれは、そこに平和をもたらすのは、あなたの国の責任 となる。その国に対していい顔をする、といったことは関係ない。その国をとにかく統治 し、一般住民が、銃撃の恐れを感じることなしに、近所にミルクを買いに行けるようにし よ十 , 、れ、斗まよ , らよ、 0 このような治安状態を提供・実現することに責任を負わなけれはなら ないのである もしあなたの国が、「責任をもって平和をもたらす」という覚悟なしに介人すれは、紛 争を長引かせるだけだ。だからこそ、アフガニスタンへのアメリカの介人は、一五年も続 いている。イラク戦争も、すでに一三年続いている。リビアの内戦は、五〇年続くかもし れない。決して終わらないのだ。 戦争だけが平和をもたらす

2. 戦争にチャンスを与えよ

ところが彼女は、リビアに介人するなら、アメリカは、五〇年間、駐留・統治し、安定 化を図る覚悟が必要となる、ということをまったく理解していなかった。リビアには、政 府が存在していたのだが、これを破壊しただけで、その後に何も提供しなかったのだ。そ の結果、一〇〇もの部族が互いに争いを始めてしまった。遠隔地のほとんど知らない国へ の介人は、たとえ善意に溢れていても、恐ろしい結果を招くだけなのである。 米国はイラクの経験から何も学ばなかった ここでしつかりと思い出してほしいのは、イラク侵攻は、つい最近の二〇〇一二年の出来 事だ、ということである。彼らは、そこから何も学はすに、再びリビアで同じ失敗を繰り 返したのだ。既存の体制を破壊するだけで、後には、無政府状態と内戦だけが残されたの である。 現在のイラク住民に、「サダム・フセインがいた時代と比べて生活はどうですか ? 」と 尋ねれば、「フセイン政権時代の方がはるかにましだった」と答えるだろう。外出時に名 前も知らない集団に殺されるようなことはなかったからだ。 スンニ派はシーア派に殺され、シーア派は他のシーア派グループに殺され、アラブ人は

3. 戦争にチャンスを与えよ

クルド人に殺され、トルクメン人はアラブ人に殺される。まさに「万人の万人による戦 い」が行われている。 カダフィ大佐が支配していたリビアも同様だ。もし彼が存命で、仮にいま選挙を行えば、 九五 % の支持率を獲得していただろう。これは、ヒラリーよりも、はるかに高い支持率だ なせなら、彼が政権から追われた後に、リビアでは激しい内戦が起き、近所にミルクを買 いに行くだけで民兵組織に銃撃されるような状態になったからだ。 よ もちろん、カダフィは、素晴らしいリーダーではなかった。それでも、無政府状態より え 与ははるかにましだ。 を ス 「介人のために戦争を開始すること」と「戦争を止めるために介人すること」は、同じ程 ン 度に避けるべきことなのである。 チ もしカダフィ大佐を排除した後に、完全なる「法と秩序」を提供しつつ、再建を進め、 いざとなれは、そこに五〇年間でも駐留する覚悟があるなら、介人は正当化できる。 題 解五〇年とは、リビアのような国に文明化した新しい世代の人間が出てくるまで、という ・目 意味だ。イラクの場合は、五〇年でも足りないかもしれない。 イラクは、今後も、「国家」のような状態にはならず、スンニとシーア、クルドとシー

4. 戦争にチャンスを与えよ

て初めて、一時停戦ではない本物の平和が訪れる。 促成栽培などできない「国民意識」 もし米国大統領であれは、中東で何をすべきか。ます現地の人々に謝罪し、米軍を撤退 させる。その後は、彼らにすべてを任せて、彼らの中で状況が安定するまで何もすべきで よ こうした不介人は認められない、というのであれは、イラクには五〇万、リビアには二 与〇万の兵士を派遣し、その国の全員を完全に武装解除し、同盟国によって軍事政権を発足 スさせ、すべてをゼロから始めるしかない。そして五〇年間の駐留を覚悟すべきだ。 ャ 現在、これらの国には、イスラム原理主義者ばかりが存在する。女性は、学校に行かせ チ しすれにせよ、「国民意識」というものが、ひとかけらも存在していない てもらえない。 ) 戦 のである。 スンニとシーア、アラブと 解現在のイラクには、「イラク人」というものが存在しない。 ・目 クルド、トルクメン人がいるだけだ。ちなみにスンニ派は、さらに部族ごとに分裂してお り、シーア派は、さらに宗教グループごとに分裂している。

5. 戦争にチャンスを与えよ

紛争に介入してはならない ここでの教訓は何か。「紛争に介人してはならない」ということだ。 介人しても良いのは、和平合意と難民移住などに関する責任をすべて引き受ける覚悟が ある場合だけである。みすからの外交力によって和平合意を実現できないようなら、紛争 に介人してはならよい。 「介人主義」とは、現代の大いなる病だ。とりあえず介人するだけの力を持つ国の首脳が、 第「人道主義」の美名のもとに、遠隔地のほとんど知識もない地域の紛争に安易に介人すれ え 与ば、たとえ善意にもとづく介人でも、結局は、甚大な被害をもたらしてしまう。すべての 責任は、彼らの無知にある。 これは、私の言う「パラドキシカル・ロジック ( 逆説的論理 ) 」に聞こえるかもしれな チ いが、それほど複雑ではなく、もっと単純な現象だ 同じような例は他にもある。たとえは、イラク戦争の際、ワシントンの人間は、イラク 題 解に民主制を導人しさえすればうまくいく、という考えにもとづいて、サダム・フセインを 自排除したが、ヒラリ ー・クリントンも、カダフィ大佐さえ排除すれば、リビアの人々に幸 せが訪れる、という考えを最も熱心に信奉していた やまい