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検索対象: 戦争にチャンスを与えよ
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1. 戦争にチャンスを与えよ

工ドワード・ルトワック (Edward N. Luttwak) ワシントンにある大手シンクタンク、米戦略国際問題研究所 (CSIS) の 上級顧問。戦略家、歴史家、経済学者、国防アドバイザー。 1942 年、ル ーマニアのトランシルヴァニア地方のアラド生まれ。イタリアやイギリス ( 英軍 ) で教育を受け、ロンドン大学 (LSE) で経済学で学位を取った後、 アメリカのジョンズ・ホプキンス大学で 1975 年に博士号を取得。同年国 防省長官府に任用される。専門は軍事史、軍事戦略研究、安全保障論。国 防省の官僚や軍のアドバイザー、ホワイトハウスの国家安全保障会議のメ ンバーも歴任。著書に「中国 4 ・ 0 」「自滅する中国一一なせ世界帝国にな れないのか」『クーデター入門ーーその攻防の技術』ほか多数。 訳者奥山真司 ( おくやままさし ) 1972 年生まれ。カナダ、プリティッシュ・コロンビア大学卒業。英国レ ディング大学大学院博士課程修了。戦略学博士 (Ph. D)O 国際地政学研究 所上席研究員。著書に「地政学一一一アメリカの世界戦略地図」、訳書にル トワック著「中国 4 ・ 0 』『自滅する中国一一一なせ世界帝国になれないの か」 ( 監訳 ) など。 E-mail : masa.the.man@gmail.com Twitter : @masatheman 文春新書 1120 せんそう 戦争にチャンスを与えよ 2017 年 ( 平成 29 年 ) 4 月 20 日 2017 年 ( 平成 29 年 ) 5 月 15 日 著者 訳者 発行者 発行所 工ドワード・ルトワック 奥山真 木俣正 文藝春 第 1 刷発行 第 2 刷発行 司 秋 〒 102 ー 8008 東京都千代田区紀尾井町 3 ー 23 電話 ( 03 ) 3265 ー 1211 ( 代表 ) 印刷所 付物印刷 製本所 理想社 大日本印刷 大口製本 定価はカバーに表示してあります。 万一、落丁・乱丁の場合は小社製作部宛お送り下さい。 送料小社負担でお取替え致します。 @Edward Luttwak 2017 Printed in Japan ISBN978 ー 4 ー 16 ー 661120--1 本書の無断複写は著作権法上での例外を除き禁じられています。 また、私的使用以外のいかなる電子的複製行為も一切認められておりません。

2. 戦争にチャンスを与えよ

本書は、編訳者である奥山が、二〇一六年の一〇月に来日したエドワード・ルトワック 氏に行った合計六回のインタビューをまとめたものである。ただし、ルトワック氏の既存 の論文や講演録から、本書に関連する部分も適宜加えている。 当初は、好評の前作『中国 4 ・ 0 』の続編を主眼にしたインタビュ ーが企画されていた が、編訳者の希望で「ルトワック氏本人の書いた論文や講演録に関するインタビュー集」 という方針に変更した。一言で言えは、本書は、戦略家であるルトワック氏の「世界観」 を提一小する書と言える。 すでにご存じの方も多いだろうが、ます著者、エドワード・ルトワック氏の経歴に簡潔 に触れておきたい。 エドワード・ルトワック (Edward N. Luttwak) 氏は、一九四二年にルーマニアのトラ ンシルヴァニア地方にあるアラドという町に住むユダヤ人一家の子として生まれた。 訳者解説 212

3. 戦争にチャンスを与えよ

ろに、ルトワック本の意義があるように思う。本書を「考える材料」としてじっくり読ん でいただければ、編訳者として本望である。 最後に、本書を刊行する上でお世話になった方々に謝辞を述べたい。ますは、著者のエ ドワード・ルトワック氏であるが、来日直後の多忙な時期から再び一緒に仕事をさせてい ただいたのは、とても良い経験となった。自分の指導教官の一人であったべアトリス・ホ イザー教授の『クラウゼヴィッツの「正しい読み方」』 ( 芙蓉書房出版 ) の最終稿の作業や、 コースメイトの孫子関連書の翻訳作業と重なる貴重な時期に、ルトワック氏から改めて戦 略論の真髄を学び、大いに刺激になった。深く感謝申し上げる。 また、本書の初期段階の原稿をまとめて『文藝春秋 SPECIAL 』に掲載していただいた 前島篤志氏、そして本書の編集を担当していただいた 」西泰志氏には、記して感謝の意を表 本書が読者のみなさんを知的に刺激することを祈念して。 平成二十九年三月五日 出張中の英国レディングにて 奥山真司 220

4. 戦争にチャンスを与えよ

文春新書 戦 膩Ⅱ IIII Ⅲ則ⅡⅧⅧ 9 7 8 41 6 6 61 1 2 01 ヤ ン ス よ 旧 BN978-4-16-661 120-1 C0231 Y800E 定価 ( 本体 800 円 + 税 ) 戦争にチャンスを与えよ 国連や ZCO や他国による中途 半端な「人道介人が、戦争を終 わらせるのではなく、戦争を長引 かせる無理に停戦させても、紛 争の原因たる「火種」を凍結する だけだ。本当の平和は、徹底的に 戦った後でなければ訪れない 1 120 戦争に チャを与えよ 工ドワード・ルトワック 奥山真司訳 ] 工ドワード・ルトワック ワシントンにある大手シンクタン ク、米戦略国際問題研究所 (CSIS) の上級顧問。戦略家、歴史家、経 済学者、国防アドバイザー。 1942 年、ルーマニアのトランシルヴァ ニア地方のアラド生まれ。イタリア やイギリス ( 英軍 ) で教育を受け、 ロンドン大学 (LSE) で経済学で 学位を取った後、アメリカのジョ ンズ・ホプキンス大学で 1975 年に 博士号を取得。同年国防省長官府 に任用される。専門は軍事史、軍 事戦略研究、安全保障論。国防省 の官僚や軍のアドバイザー、ホワ イトハウスの国家安全保障会議の メンバーも歴任。著書に「中国 4.0 」 「自減する中国一一一なぜ世界帝国に なれないのか』「クーデター入門ー ーその攻防の技術」ほか多数。 訳者 奥山真司 ( おくやままさし ) 1972 年生まれ。カナダ、プリティッ シュ・コロンビア大学卒業。英国 レディング大学大学院博士課程修 了。戦略学博士 (Ph. D)O 国際地 政学研究所上席研究員。著書に 「地政学一一一アメリカの世界戦略地 図」、訳書にルトワック著「中国 4.0 」 「自減する中国一一一なぜ世界帝国に なれないのか」 ( 監訳 ) など。 1 9 2 0 2 51 0 0 8 0 0 4 エドワード・ルトワック 奥山真司訳 文春新書 文藝春秋

5. 戦争にチャンスを与えよ

戦争に チャンスを与えよ ェドワード・ルトワック 奥山真司第 文春新書 1 120

6. 戦争にチャンスを与えよ

文春新書 1 120 戦争に チャンスを与えよ ェドワード・ルトワック 奥山真司 文春秋

7. 戦争にチャンスを与えよ

戦略レベルで劣勢に立てば、戦争に勝利できない、と。 その典型例が、戦前のドイツ、今日の中国だ。軍事レベルでいくら強大な軍事力を持っ ていても、同盟関係はほとんど構築できていない。それは、例えて一一一口えば、インターネッ トに接続されていないスー ー・コンピューターのような存在であり、 ワーは小さくと も、「同盟関係」というネットに接続されているスマホの方が「強い」、ということだ。 『中国 4 ・ 0 』では、「海軍カ〈海洋力」という対比で、このことを指摘しているが、本 書では、「武田信玄〈徳川家康」という例を用いて、「外交 ( 同盟 ) は軍事に勝る」という ことをより明確に論じている。 優れた軍事戦略で、いくら相手にサプライズ ( 奇襲 ) を喰らわせても、外交や同盟関係 で負けていれば、最終的には絶対に勝てない。 ここにこそ、「大戦略論」の観点から論じ るルトワック氏の戦略論の真骨頂がある。 第三は、戦略において、「相手がどう感じているか、どう受け止めているか」がいかに 重要であるかを指摘していることである。 戦略において「相手の反応」が重要であることはすでに述べたが、さらにルトワック氏 218

8. 戦争にチャンスを与えよ

にこそ、「パラドックス」が発生するのである。 この「パラドックス」への注目から、戦略における「サプライズ ( 奇襲 ) 」の重要性が 見えてくる。 ートなどといった歴代の戦略思想 確かに、孫子、宮本武蔵、ジョン・ポイド、リデルハ 家は、とりわけ戦術レベルにおいて、敵が思いもしない攻撃 ( 奇襲 ) の重要性を説いてい こが、ルトワック氏が画期的なのは、「なぜサプライズが狙われるべきであるか」まで説 いている点である。 敵は、サプライズに遭うと、身動きができなくなり、対抗策を打てなくなる。単純に一一「ロ しゆくしゆく って、何もできなくなる。相手が何もできなくなれば、こちら側は、やるべきことを粛々 いったんサプライズによ と手順通りに行うだけで、狙い通りの結果を得られる。つまり、 って相手が何もできなくなれば、「パラドキシカル・ロジック ( 逆説的論理 ) 」は発動せず、 「直線的なロジック」が通用するようになる、というわけだ。 説ただし、ルトワック氏の戦略論は、さらなる展開を見せる。サプライズによるパラドッ 者クス発動の封じ込めも、その上位の大戦略レベルですべて相殺されうる、というのである。 7 戦術や軍事戦略のレベルで相手をサプライズによって打ち負かしても、同盟関係という大

9. 戦争にチャンスを与えよ

しう概念に集約されている。本書 6 章で詳しく論じているが、この概念によって、ルトワ ソク氏は、「近代西洋の戦略論に革命を起こした人物とみなされており、世界各国の軍 の士官学校や大学の戦略学科などでは、すでに彼の本が必読文献のリストの中に人って久 そのようなルトワック氏が、自身の理論をふんだんに活用して、中国の大戦略論につい てまとめたのが、二〇一三年に日本でも出版された『自滅する中国』 ( 芙蓉書房出版 ) だ。 その監訳を担当させていたたいたことがきっかけで、その続編とでも言うべき『中国 4 ・ 0 』、そして、そのさらなる続編である本書を、私がまとめるご縁をいただいたという次 第である。 ここでは、三つのポイントを挙けて、本書のエッセンスを解説したい。 第一は、その独特の戦争観から戦略論を展開していることである。 ルトワック氏の数多くの論文のなかでも、最も議論を呼んで引用されていると本人も忍 一九九九年に『フ 識しているのが、本書 2 章に収録した「戦争にチャンスを与えよ」だ。 オ丿ン・アフェアーズ』誌に掲載された、この一見するとひどく挑発的なタイトルの論 二二ロ 214

10. 戦争にチャンスを与えよ

本書でも触れられているが、イタリア ( シチリア、ミラノ ) で少年期を過ごした後、イ ギリスの寄宿学校に進んで卒業し、そこから軍属として英国国籍を取得し、ロンドン大学 ( --Ä ) で経済学の学位を取ったあとに渡米し、ジョンズ・ホプキンス大学 ()o < — co) でローマ帝国の大戦略に関する博士号論文を提出した。 その前後から、イスラエル軍や米軍で、フリ ーの軍属アドバイザーとして積極的に活動 し、大手シンクタンクである戦略国際問題研究所 (oco—co) の上級顧問という肩書を使 いながら、あえてアカデミックなポジションを求めすに、比較的自由な立場から、世界各 地の大学や軍の士官学校、それに各国政府の首脳にアドバイスを行う「戦略家」である。 デビュー作は、極めて「実践的な書」と言える『クーデター人門』 ( 徳間書店、改訂日本 版が近日中に刊行予定 ) であるが、生涯を通じてのテーマは、むしろ「軍事戦略」や 「大戦略」の分野である。博士号論文を本としてまとめた『ローマ帝国の大戦略』 ( 未訳 ) 、 主著『エドワード・ルトワックの戦略論』 ( 毎日新聞社 ) 、大著『ビザンツ帝国の大戦略』 説 ( 未訳 ) のいすれも「大戦略」や「戦略理論」をテーマとして扱っており、この分野では、 者すでに世界的な名声を確立している。 ルトワック氏の戦略論のエッセンスは、「パラドキシカル・ロジック ( 逆説的論理 ) 」と 2 ら