難民キャンプ - みる会図書館


検索対象: 戦争にチャンスを与えよ
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1. 戦争にチャンスを与えよ

そこで新しい生活を始めるものである。 ところが現代では、紛争が勃発するとすぐに国連が到着して、「彼らは難民だ、キャン プを設置しよう」というメカニズムが働く。すると難民は、別の場所に移住することなく、 キャンプ地に留まることになる。 ハレスチナ人のケースで考えてみよう。彼らが最初に難民になってからすでに何世代も の時間が経過している。シリアやヨルダンなどへ移住する代わりに、その場に居続け、い まだに毎日、国連から食事の配給を受けている。 もしこのようなメカニズムが過去のーーーたとえば第二次大戦直後のーーー欧州に存在して ーやミラノやローマのような都市はなく、代わりに巨大な難民キャンプがあち こちに設置されていただろう。 私が論文を書いた九〇年代後半には、。、 ノレスチナ難民の発生からすでに長い時が流れて いたが、その時点になっても、パレスチナ人は、イスラエルのすぐ隣に人工的に設置され た難民キャンプで、先祖が住んでいた失われた村や土地に、、 しつの日か戻ることを夢見て 私がここではっきり断言したいのは 、いかなる難民も、別の場所に移住し、そこで移民

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ような「スパルタ的」な条件を課すことで、戦後の不満を鎮め、失地回復を狙う民族集団 を分散させる役割を果たした。 ところが、レバノン、シリア、ヨルダン、ヨルダン川西岸地区、ガザ地区の Z のキャンプは、以前のアラブ現地住民の大部分の暮らしよりも、比較的高いレベルの生活 環境を全体的に提供しており、しかも変化に富んだ食事や制度の整った教育、極めて優れ た医療制度も整備されて、荒野における重労働も見られなくなった。こうしてパレスチナ ッパのような、「すぐに逃げ出したくなる場所」 の難民キャンプは、戦後の一時期のヨーロ すみか よではなく、「望ましい住処」となってしまったのだ。さらにアラブ諸国の援助もあり、 与は、逃亡していた民間人を「生涯を通じての難民」に変えてしまったのであり、 ス 彼らは、また難民となる子供を産み、その子供たちも、難民の子供を産むことになったの チである。 つまり、は、五〇年間にわたる活動を通して、「パレスチナ難民国家」をつ レコンキスタ くり上げてしまったのだ。一九四八年時点の不満をそのまま保全し、失地回復に向かう情 文 熱の輝きを完全に持続させてしまったのだ。 、レスチナ難民の現地への定住化を思いとどまら z < は、その存在そのものが、。ノ 二ロ

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せる機能を果たし、移住を抑制してしまった。さらにいえば、。、 ノレスチナ人を難民キャン プに集中させたことにより、若い難民を自発的に、あるいは強制的に武装組織へと参加さ せることによっこ。 難民支援が紛争を永続化させる 要するに、 Z < は、半世紀にわたるアラブ・イスラエル紛争の持続に貢献してし まったのである。しかも、いまだに平和の到来を阻止しているのだ。 ソ。、斗ま、 もしヨーロッパで Z < のような組織が創設されていたら、今日のヨーロ、 数百万人もの、戦争で家を失ったローマ化したガリア人や、放浪するバンダル族、敗北し たプルゴーニュ人、そして行き場を失った西ゴート族、そして一九四五年以降のズデーテ ン地方のドイツ人 ( 一九四五年に三〇〇万人がチェコスロパキアから追放された ) などで溢 れる、巨大な難民キャンプだらけの場所になっていたはすだ。そしてこのヨーロ、 戦闘的な部族の難民キャンプが、互いに交じり合うことなく対立状態でそれぞれ存在し続 けたはすだ。それぞれの難民キャンプを援助することは、道義心の衝動を和らけるのには 役立ったかもしれないが、逆に、永続的な政情不安や暴力にもつながっただろう。

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と同じような組織はいくつもある。 たとえばタイの国境沿いにあるカンポジアの難民キャンプなどはその一例であり、しか ール・ルージュにとって安全地帯となっているのだ。 もここは、虐殺を行ったクメ ただし国連は、財布の紐の堅い国家の分担金により資金面で制約を受けているために、 これらのキャンプの平和への障害の影響は、少なくとも現地の中だけに留まっている。 国連より害悪のある ZOO の介入 幻現在急増中で、互いに競合的な、戦争難民を支援する非政府組織 (zco) は、これと 与は事情が異なる。 ス 他のあらゆる制度機関と同様に、も、自らの組織の永続を目指している。したが ン チって、彼らの最優先事項は、目立つような状況下での活躍を誇示することで、善意の寄付 を募ることにある。 最も劇的な自然災害こそ大衆メディアの関心を集めるが、これは一時的なものだ。地震 文 や洪水が収まれば、カメラは去ってしまう。ところが、戦争難民の方は、比較的アクセス のよい難民キャンプに活動を集中させれば、メディアはいつまでも報じてくれる。 二 11 ロ

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となり、新しい国で新しい生活を始め、幸せに暮らすものである、ということだ。 ZOO の無責任ぶり ルワンダのケースを見てみよう。 最初にツチ族がフッ族を虐殺し、フッ族は、国境を越えて東コンゴに逃げ込んだ。その 直後、国連の介人より悪いことが起こった。 z O が介人してきたのである。これは「悪 第夢」と言ってよい。 え 与この z O は、まったく無責任な存在だった。右も左も分からないまま、「フッ族がか スわいそうだ」というだけで、ルワンダから越境してきたフッ族をかくまう難民キャンプを 設置し、彼らに食事を提供した。ところが、昼間に配給された食事で腹を満たしたフッ族 は、夜中には国境を越えて、ツチ族を殺しに行ったのである。難民キャンプは、国境から わすか三キロの場所にあったからだ。 題 解 ZCO の行動は、あまりに無責任なものだった。活動資金を募るために、メディアの注 ー目 目を集めたい彼らは、当事国の事情をろくに調べもせすに、ひたすら「困った人を助け る」という目的で、難民キャンプを設置する、という大失態を犯したのである。

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これは、確かに「政治の現実」を表しているのかもしれないが、大規模な「無関心の介 あら 人」では、表向きの「人道的な目標」すら達成できないことが露わになってしまった。わ れわれは、「コソボにとっては Z < O が初めから何もしなかった方が良かったのではな いか」と真剣に疑ってみる必要がある。 難民支援が難民を永続化させる 戦争における最も無関心な形の介人ーーーそして最も破壊的な介人ーーーは、人道支援活動 である。その最大規模で最長期の介人が、国連パレスチナ難民救済事業機関 ( z これは、第二次大戦直後のヨーロッパで強制移住させられた人々のためのキャンプを運 営した機関の前身である、国連救済復興機関 ( z <) をモデルとして創設された。 Z < は、第一次中東戦争 ( 一九四八 5 四九年 ) の直後に、以前はパレスチナ領であ ったイスラエルの地域から逃れたアラブ系の難民に、食事、住居、教育、そして医療関連 サービスを提供するために設立された機関だ。 ヨーロッ ハののキャンプは、難民に対して迅速な移住や現地での定住を促す

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先進国同士の戦争は極めて稀となり、 ZCO にとっては、メディアで取り上げてもらう チャンスが減少している。だからこそ彼らは、世界で最も貧しく厳しい地区の難民の支援 に力を注ぐのだ。 こうなると、食糧、避難所、そして医療サービスなどが、現地の難民以外の住人が自発 的に準備できる量 ( といっても西洋の基準ではかなり低いが ) を越えてしまう。その結果は 容易に予測できる。 ルワンダとの国境沿いのコンゴ民主共和国の巨大な難民キャンプは、その突出した例だ この難民キャンプのおかげで、紛争によって雲散霧消したはすのフッ族は生きながらえ、 これによってルワンダの国家統一は不可能となっている。しかもフッ族の過激派にとって、 ここが、「越境侵人してッチ族を殺すための基地」となっているのだ。人道介人は、ルワ ンダにおける緊張を長期安定的な解決へと導くチャンスを失わせているのである。 難民となった民族を生きながらえさせ、彼らの怒りを半永久的に保存してしまうことは、 それだけで十分にますいことだが、継続中の紛争に物的支援を行うことはさらにますい ZCO 活動の多くは、結果的に、活動的な戦闘員を供給しているのである。彼らは、そ もそも武器をもたないので、自らが支援する食糧配給所、病院、保護施設から、現地の武

8. 戦争にチャンスを与えよ

一」こでの問題は、古代から戦争につきまとってきた問題とは異なる。 「無関心な介人」によって生みだされるのは、今日の新たな不正行為の害悪であり、この 害悪は排除すべきなのだ。政策担当のエリートは、他国の戦争に介人したい、 という感情 的な衝動を積極的に拒否すべきなのである。他人の苦しみに無関心であれ、ということで はない。むしろ真に関心を寄せるべきであり、そうした介人の拒否は、平和が生みだされ る条件を整えるために必要なのだ。 アメリカは、他国による国際介人をリードするのではなく、逆に、不介人を説いて思い とどまらせるべきである。 国連の難民救済活動においては、紛争勃発直後に発生した難民に対し、本国への送還、 現地での定住、もしくは他国への移住を迅速に実現させ、半永久的な難民キャンプの設立 を禁止するような、新たなルールづくりが必要だ 介人主義的なの活動を制限するのは不可能だろう。しかし各国政府は、少なくと も公式には、彼らを支持したり、財政的に支援したりすべきではない。 このような主張は、一見すると極めて非常識なものに見えるが、実は、戦争の「パラド キシカル・ロジック ( 逆説的論理 ) 」の根本的な把握や、戦争の唯一有益な機能は「平和

9. 戦争にチャンスを与えよ

チナ人のように、人工的に一箇所に留め置かれてしまえば、難民問題は永続化してしまう のである。もはや存在しない村への帰還を求め、数世代にわたって難民としてキャンプに 住み続け、働きもせす、開発もせす、新しい生活も始めない。そして、最新の狂信主義者 の主張をひたすら信じて受動的に行動するような人間がつくられてしまう。 ハマスがまさにこれだ。彼らは、完全なる狂信主義者である。彼らの憲法には、「ユダ ヤ人は豚とサルの子孫だ」と書かれ、にもそう記されている。つまり、イスラエルの 領土を求めているのではなく、イスラエルの完全な消滅を狙っているのだ。彼らの望みは、 和平条約ではなく、領土でもなく、イスラエルの完全な破壊なのである。 パレスチナ人は、国連パレスチナ難民救済事業機関から配給される食糧 ヾ、。、レスチナ人の教育に関する権限を握っているのは、ハマスだ。そ を毎日食べているカノ して彼らは、幼い子どもにイスラエルに対する憎しみを教え、畑を耕すことや働くことで はなく、ひたすらイスラエルと戦うことを教えている。そのハマスが、 Z < から支 援を受けている、ということは、 Z < が、結果的にハマスの武力闘争を支援してい るのに等しいのだ。

10. 戦争にチャンスを与えよ

2 論文「戦争にチャンスを与えよ 戦争も大きな役割を果たしている 「無関心で安易な介人」が戦争を長期化させる 紛争への介人をビジネスにする国際組織 ほとんど機能しない平和維持軍 コソボへの Z 0 介人の実態 難民支援が難民を永続化させる 難民支援が紛争を永続化させる 国連より害悪のある ZCO の介人 「戦争が平和をもたらす」という逆説 3 尖閣に武装人員を常駐させろーーー中国論 尖閣をめぐる状況は変わりつつある 中国のローコストでメリットのある作戦ーー「漁民」の上陸 が機能しない 中国外交の特異な構造ーーー通常の外交ルート リスクの高い奪還作戦