ネロ・ウルフ - みる会図書館


検索対象: 探偵倶楽部 昭和32年2・3月合併號
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1. 探偵倶楽部 昭和32年2・3月合併號

死の前に ( 2 ) 長篇読切 ' ご闇市ギャ , グの 娘をめな \ り、ビ ストルの火がふ く暗黒事件 = りス 一一一名探偵ネロ・ウ ルフの推理はい レ 北河から、あまり離れてい ない西三十五番街に、私立探 じむしょ 偵ネロ・ウルフの事務所があ る。ウルフは毎日午後の四時 から六時までの二時間、屋上 らんさいばいしつ の蘭栽培室に上ってゆくのだ が、四時にはまだ三十分もあ ′ース・リ式ー

2. 探偵倶楽部 昭和32年2・3月合併號

しきいこ まで待たなくともよかった。とても稀らしいことには、ウルフが特別の騒ぎは、ほっとけば閾を越して人り込んで来るほどだった。それで しやペ いた。私は、二度も外へ引張り出された。 フリツツは閾の傍に立って むじゅん に怒ってどなりつけもしないことだったが、私とお喋りしている中に、 しら ディジイ・ペリットと彼の雇い人家の前で射ち倒されたということ一度は現場ですっかり人念に調べるためで、二度目は私の矛盾してい てんっ でき しようら る点を突こうというためだったが、誰も私がドライヴに行ったろうと を承知させるのは、実際には無理じい出来ないことだったろう。 かれら じゅんさぶちょうしんしつ はおもわすものさえもなかった。彼等のした仕方から、その訳をいう 四時五分に、彼は、ロークリッフと巡査部長を寝室へ通した。私は かれら かれら その時には頼まれて事務室での署の会議に掛り切りになっていたののはむすかしくはなかった。彼等は私に気の毒がった。私には、彼等 じゅうぶんかん ひじよう で、その会見には立ち会えなかった。後になって聞いたところによるが非常に正しいかどうかを充分感するほど、事態を検討するだけの余・ ぬす まぶた と、ウルフは眼瞼の影からそっと盗み見を二人に向けただけで、決し裕がなかった。 まど」 たいよう それは、夜明けの光が射してから、太陽の光がウルフの机の奥の窓・ て動かさなかったということだ ~ 彼は二人に、ペリットが自分の娘に かれら に入って来るまで、すっとつづいた。彼等がみんな、ウルフの部屋の ゆすられているんで、娘にやめさせるような方法を考えてほしいとい じゅんさぶぢよう むすめ しごとびきう ロークリッフも巡査部長も一緒に行ってしまうなり、フリツツは台所 ったんで、彼 ( ウルフ ) はその仕事を引受けた。それで娘がペリット の言付けで事務所 ~ やって来たので、彼 ( ウルフ ) は、行状をよくし ~ 入って行って、朝食の用なにとり掛った。私は階段を登って、ドア けいさっ なければ、彼女がお尋ね者になっているサルトレイク市の警察に知らをノックした。入れといわれたので、入って行った。ウルフは、黄色 せるといって脅かしたと、話して聞かせた。その他の、バイオレ , トつばい絹のパジャ「に、爪先が上向けにそった黄色いスリ , パーをは しゆるい レバー ちちおやおど むすめ いて、浴室から出て来るところだった。 が本当の娘じゃないとか、父親を脅かすのに使っていたてこの種類な わたし ぜんせんはぶ だま 「やれやれ』と、私ははじめた。「ほんとに、私は・ーー」 、こ。べウラのことは全然省いてしまった。 に一んかのことは、彼は黙ってもオ じむしつ ていどかれ あと つでも私が事務室を離れる時には、室内電話のプ 電話が鳴った。い これは後になって聞いたことで、その時にはどの程度彼が話している しんだい 前〔 のか分らなかったので、下の事務室の会議では、私は、私の命が実際ラグを人れとくのだった。ウルフの電話は、彼の寝台の脇テープルの にんき の ~ には危険にさらされなかったというだけで、私の人気には何の足しに上に載っかっていて、黄色くビカピカ光っていたのだが、私はそれが そう で、ごと 好きじゃなかった。私は、つかっかと足を運んで、それを取って、送 もならなかった表の出来事の他は、何も彼も隠してしまった。 じむしょ とくべっ しんき 死 ~ ウルフと私とに話をするために家の中 ~ 入っても好いのは特別にき信機に話しかけた。「ネロ・ウルフの事務所です」 たの そうさはんぶ れんじゅう 「アーチ 1 か ? ソールだ。ボスを頼む」 めた連中だけということに決めてあったのだが、この家は捜索本部と おもて して使われたことがなかったので、すっかり人の眼を集めて、表の外私はウルフに、「ソール・バンザーです」 じっさ 幻、し、 むり むすめ じっさい でんわ よくしつ きいろ つまさき しつないでんわ

3. 探偵倶楽部 昭和32年2・3月合併號

まま な前に、ウルフが、ビストルを出して待ち構えているフェビアンの前 「やれやれ」はウルフはせかせかといった。「何を望んでるんだ ? 」 へ飛び込んで来たサムス ・ミーカーをこっぴどく叱りつけるのを耳に ミーカーはまた振り向いて、またニッコリした。「おれは、あんたの かん わかぞう むすめ した。私は、何かしなければならないと感じたので、いった。「ありやとこの若僧が、おれの代りにペリットと奴の娘に手を掛けたって、あ ミ 1 カーさん。こちらネロ・ウルんたはお巡りにいったってんだが、本当なのかどうか知りてえと思う ミーカーさんですよ。ウルフさん。 フですよ」 「あんたは、わしのことを聞いていたろう」ミーカーは細い声でいっ やつら とりひき かれ 「奴等、そういう考えをもってるらしいぜ」 た。「今ここでじゃなくな。彼のいう通りだ。わしは取引にそこへ来た ほんとう 「そんなことは本当じゃない」 んだ』 びしよう うか なん ミーカーの微笑がまた浮んだ。それは浮んで消えた。「おお」と彼は フェビアンは何ともいわなかった。彼の腕は真直に出してはいなか りよう いった。『おらア蟐吐きだな」 ったが、手を、肘を置いていたところまで引いて、両の手とビストル うそっ 2 リい、 0 っ わき 『あんたが吐きか吐きでないか、わしは知らんが、警察で何かそ をコートの脇ポケットに滑り込ませて、そのままにしていた。 とりびき せいめい あんし たず ウルフは訊ねかけた。「あんたは取引にここへ来たんだね ? どんなんな声明なり暗示なりをしたのなら ( 彼等はしたんだろう。あんたが ばかばか と。りひき じゅうぶんつう 取引だね ? 」 警察のやり方に充分通じていたら、そんな馬鹿馬鹿しいことで、わし ミーカーは、彼の眼をフェビアンから離して、振り向いた。その眼のとこへ飛び込んで来るなんてしないだろうと思うんだがね」 やろうたら 「あんた奴等に、そんなこといわなかったんだね ? 」 をウルフに向けて、「この野郎達は誰だね ? 」 かれら 「いわんとも」 に ( 「彼等も取引に来ているんだ。どんなことだ、あんたのは ? 」 ほほえ かれびしようひょうばん ミーカーは私を見た。私は自分の机へ戻っていた。『お前はグッドウ 「そうさ」と、ミーカーは微笑んだ。彼の微笑は評判のものだった。 おも ひょうばんどお こうひょう 前】 そして評判通りだと私は思った。「わしは、そいつを公表して好いものインだね ? 」 の ~ かどうか分らん。フェビアンがいるとこでな。彼は、おれが手を引く 「いや」 ~ はいった。「ばくは、間抜けか ? 」 かれ と思うかもしらんが、おれは手を引かん」彼はまた、ゆっくり振り向「ミ 1 カーさん」と、ウルフはぶつきら棒だった。「今あんたはここに 死 いて、「おれは手を引かんぞ、フェビアン」 いるんだから、そのままいられたらどうでしよう。お掛けなさい。わ かんしん フェビアンは何もいわなければならんことはなかった。彼はまだ立しが語さなけやならんことに関心が有るでしようからね。あんたが人 っていた って来た時、わしはこの方達に、誰がペリット氏と彼の娘さんを、ど おも わたし て お すべ うでまっすぐ ほそ まわ やつら うそっ じぶんつくえ のぞ し むすめ

4. 探偵倶楽部 昭和32年2・3月合併號

′ ) 10 でさ。考えがあるかもしれませんよ、あんたと反対に、立派れないものは、彼の黒い眼オっナ けんか に贖嘩してやりますよ」 「いいや」と、私はいった。「今朝、電話であんたにいったで 私は出掛けて行った。玄関のドアの外へ出て、ドアをしめ しよう、ウルフ氏は忙がし過ぎて、あんたに会えないって。 じようまえ て、カチンと錠前が鳴るのを聞いてから、ポケットから手を彼はヾ今扱える以上に、仕事が一杯あるんですよ」 かれ 出して何があるのか、その顔に見せてやり、ポケットへしま 「わしは、彼に会うつもりだ。 中へ行って、彼にいってくれ」 まどわく かいだんほどう ってから、階段を歩道まで降りて、大きな黒いセダンの車の 「ねえ、君」私は、窓枠に肘を掛けて、彼の方へ乗り出して まど つよ・つろ・フ っ 「私が、あんたのことを嘲弄してるなんて思わないで下さい ところまで突き切って行った。中の男が、窓を引きおろした。 うしろ にんげん 私の右肩の後の方から、声が、「ポケットに入れた手にピス よ。あんたを嘲弄した人間は、直ぐに葬式に出ることになる ってなあ、百も承知の上オ トルを握ってるよ」 ご。だけど、私は、何も好意を持っ おも てくれって頼んでやしないんだし、あんたが何と思ってよう 「それじゃ、べら棒な馬鹿だよ」車の中の男は、窓越しにい うしろ った。「手前を後につけさしとくなんて」 と、あんたはそんなことに、とてもべら棒に片意地なんだ ' ウルフ氏は、ちょっとだって会いたがらないんだ。そういや、 「ふふん」私は、ディジイ・ペリットをのぞいて見た。みん ・ぎんねん でき な話し次第だ。「ウルフ氏は、あんたが来てるのは知ってるん あんたを怒らせるかもしれないし、残念だろうけど、出来れ まえ ・は . 怒、ら一ないで , もわ、ら、こ、 だ。何の用だね ? ・」 しナもんだ。だけど、あんたが彼の前に 「ウルフに会いたいんだ」 何かをころがし出して、彼に見さして、彼が気に入らなかっ おも たとなりや、あんたが怒ろうと思う半分も怒れないんだぜ ( 私は首を振った。「いいや」私は、雇われた人のことは無視 こ・ そうなりや、彼のためにもあんたのためにも本当に悪いこと していたのだ。ディジイ・ペリットを目近に見たのは、これ おおおとこみ 前 になるだろうからね。本当にそうじゃないかい が初めてだった。大抵の人々は、彼は太った大男と見られて ほ・フだい いたろうが、私は、ネロ・ウルフの膨大なのに慣れていたの 「アーチー ! 」 の で、彼はただ丸くふくらんでいるというだけだった。申し分 右手の後の方から、うなり声がした。私がしゃんと立って かれをかお 死 - くるっと向き直ると、ウルフの上半身が、彼が開けた のないくらいにまで、すべすべと剃った、彼の顔は、鼻やロ まど の割に大き過ぎたが、そんなものは、眼と比べれば取るに足の部屋の奥のーーー窓の開いたところに一杯になっているのが かれ . ( りなかった。何でも彼でも、彼がしたもの、またするかもし見えた。 たして かお まどご おこ うしろ ほんと・フ でんわ をうし、 わる

5. 探偵倶楽部 昭和32年2・3月合併號

じむしつ 下の事務室では、ウルフが机の前に坐って、困ったような顔付をしえるかと思ってね」 おも いや、そう思わんのだがね」 ていた。 んせん つつき 「全然なにもないのか ? ペリットのために引受けた仕事でね ? 」 私は、自分の机のところまで突切って行って、腰をおろして、彼に こ 「なんにもない」 話しかけた。「あの連中は、くらい付いて泣く肩がいるんだそうですよ。 フィアンセ 前・ だけど、同じ屋根の下でかの女の許婚がいちゃ、ピッタリするとは思「オーケー。わしも考えてはいなかったんだ。昼飯を楽しんでくれ給 え」 えなかったですからなモルトンは歩き廻っていてーー、」 かんじよう でんわ でんわ 私は電話のスイッチを切った。ウルフの万を向いて、感情をこめて 電話が鳴った。私はそれに答えた。そして一日中、聞こうと思って まえ かま 死 ~ 待ち構えていた声を聞いた。私はウルフに、クレーマ】警部が話した話しかけた。「少くも、ばくは倒れる前に聞きましたよ。クレ 1 マ 1 は りよう がっているようだといった。彼が電話に掛ると、私もそのまま自分の知ってるんですよ、彼が利用出来ることはあんたが手に人れてるって ちゅうはん みみ ことをね、そしてただ、昼飯を楽しんでくれといったんですね。なん を耳に当てていた。 ことば 、ようせい きみ にも強制もしなけりや、なんにも強い言葉も、なんにもいわないで 「ネロ・ウルフだ。クレーマ 1 君か、どうだね、君は ? 」 よういしゅうとう ね ! 訳は分ってるでしよう ? 彼は用意周到なんですよ、うまくな 「私は申し分ないです。あんたは ? 」 おも たいしよう ちゅうしよく いって思ってるんですね ! 彼は今ここにいるたった一人の大将が、 「いつもの通り、これから昼食というところだ。腹がへってるよ」 すうはいしゃ ともだら 「どうぞ。召し上って下さい。こりや友達としての電話なんだが、あ習慣の崇拝者だということを知ってるんですよ ! 」 きんせい むすめ んたが、ロ ] クリッフにペリットの娘がソルトレイクでお尋ね者にな「全くそうだ」ウルフは賛成した。「わしがほろりとさせられるような むね ってるって、一つだけ、とても好いことをいって、すっかり胸にしま涙もろい人間なら、実際に死亡記事もんだったんだ。クレーマー君は っとこうと決心しのは、いつもの通りあんたは正しかったってことわしが食べ物を楽しむことなんかに、これまで決してばっちりとも関 を知らしたいと思←たんだよ。わしらが分るだろうとあんたが思って心を示さなかったんだがね。彼は、わしがいつまでも長く生きていな おも しもんげんびよう いと思っとるんだな」 た通り、ソン、ントンの指絞原票であの女のことすっかり分ったんだ。 ぜんぜん なまえ 「私もこめてね」 し娘だとは全然思えないんだ。あの女の名前は、アンガリ ろん なまえ 1 フィてんだ、もち論他の名前を使ってたんだろうがね。かれ「そうだ、君もだ、もち論」 おも 「そして、あんたはどう思ってるんです G : 」 、これ十年、通ってたんだ。それだけあんたに知らせたいと思ったんだ が、もしかしたら何かそれ以上に、あんたが知ってること聞かして貰「わしは、いったことはないんだ、そんなー・ とお とお でんわ とお でんわ けいぶ かおっ ) たの じ つ 刀、い ーレ ちゅうはん

6. 探偵倶楽部 昭和32年2・3月合併號

しよるいさく こうさし ぎんがく いう風に、私に残されました五万ドルにつきまして、百ドルは書類作それは長い公債の目録と銀行の残額とだった。そしてその主な目的は そうたっ ひきっ 成の費用、もう百ドルはあなたへ送達いたします費用ーー - ・・、適当な額でウルフが、それらを引継ぎたいと思うなり、または引継ぐ時期などに . ないようらようさ ごぎいますー・・ーそして残りは封筒を開かす内容を調査しなかったことついては、ウルフにまかせようとしているようだった。適当な所々で こ・ しはら のうりよく アト 1 ニイ に対して私に支払われたと、私はとりたいのです。彼はすっかり私をは弁護士の能力があるように書かれていたし、他の所々では、彼がレ きんがく しゃざい しゆくふく 前しておったのですな。あの金額の十分の一、十五分の一でさえ、 たことにはお構いなしにウルフに赦罪と祝福とのような言葉をいって 充分だったのでしようがね」 いるようだった。もしも、シュワルツがこれをすっかり作って、タイ の . 、。おりかばん つくえ こし 彼は折鞄を開けて、折り畳んだ書寶を取出して、ウルフの机の上にプしている間中、ディジイ・ペリットがそこに腰をおろしていたのな けいさっ まえ 死置いた。「これが遣言で、これは遣言検証のために、私が持っていなけ ら、警察が搜し廻っている問題の一つ ペリットが死の前の何時間 あかろう りゃなりませんのです」彼は、赤い蠍のかたまりのついたかさ張った かを、どういう風に、どこで過したか とい - っ問題ははっきり解か ふうどう 封筒を出して、書類の脇に置いた。「これが封筒でごぎいます」 れたわけだ。 ひつば ぶんしょ 彼はそり返って、耳を引張った。 しかし彼はただ単に坐っていたのではなかった。彼もある文書を、 てってい すなわ ふうとう ウルフは、封筒と書類の万ヘ手を伸ばした。初めに彼は遣言を徹底即ち彼が自分で書いて、封筒に人れたのを書いていたのだ。私は、最、 ちゅういぶか よ 的に、注意深く調べたーーー、彼は決して早い読み手ではない それか後に、極めてゆっくりそれを読んだ。こうだオ ふ・つ」・つ 0 、 ら、私にそれを渡してから、ペ 1 1 ナイフで封筒を切った。封筒の ニューヨーク市ペリイ通三九一番地 よ 中味の頁を読み終ると、私の手の届くところへ滑らして寄越した。明 一九四六年十月七日午後九時四二分 かんけ よ らかに私はまた関係することになったのだ。私は、彼よりもすっと読 ネロ・ウルフ殿 むのが早かったので、お終いはほんの一二分彼より遅れ ' たたけだった。 ニュトヨ 1 ク西三五番街九〇九番地 ゆいごん こうさ しんあい 遣言は確かにこみいっていた。現金や公債がウルフなり、無名で未親愛なる貴下。 ゆず てがみ 解決の「私の娘」に譲られるのかどうか、私にはいうのはむすかしい。 もしこれが誤づた手紙だとしますれば、私がこれまでにしました中 べんごし しかし、私は弁護士でまよ、・ ) 、 ( オもカ彼が心でそういう風に考えていたと で最悪の誤まりをしているわけですが、本日貴下にお目に掛って、 ひじよう はんだん ぞん すれば、 . 彼には非常に奇怪な余地が残されているように思われるのだ 貴下を判断いたしまして、貴下に期待出来ると私は存じます。私は が法的にはかの女の物のように私に思われる。もう一つのシュワル 自分が死ぬとは思ってはおりませんが、私が死ぬとしてもそれは私 せんもんてき ツが作成した封筒に入っていた書類は、非常に専門的なものだった。 の問題でありまして、私の娘が保護されなければならない、といラ て ) ふ・つとう ふうとう もの しま しよるい ま 1 ール妲一い 、わ たん すご 」 0 と

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間違いです。ペリット氏はわしを信じておられたのだから、氏は、すおうと前にいった、しやがれ声の男だったが、彼はまだ咳払いをして きたい まんぞく つかりあなたが満足の行くようにお教えするようにと、わしに期待し啖を切る時間が見付からないらしかった 1 今度はウルフに出てくれと・ むすめ いった。ウルフは、私が送話口を押えて前の電話のことを話すと、電 ておられるのだろう。娘さんは死んではおらんのです。それ以外は、 ペリット氏はわしにそれを任されたのだから、あなたもそうして下さ話に出た。私は、いつもどいてろといわれない時にするように、私も はなし 聞いていたが、ただこちらの話だけを書くことにしておこう。 前るでしようね」 なまえ 「ネロ・ウルフですーーあんたの名前は、どうぞ ? : : : すまんがね、 「分りました」シュワツはまばたきをした。「私は、もっと他の細い なまえ はなし の なまえ ねが したいのですが。と申しますのは、五万君、わしは名前のない人には決して話はせんのです、是非君の名前を ことを申し上げてもお許し願、 死・ドルといいますと私には齧しい巨額になりますので、あなたからそきかなくちゃ : : : フーエービーアーン ? : : : 有りがとう、ちょっと待 とうてし れをいただけないことになりますと、到底私には手に入れられないかってくれ給え、どうぞ』 りえき こじんて、・ ウルフは、シュワルツに訊ねた。「フェビアンという男のことを聞い もしれませんので、私の個人的な利益を気にしておりますのです。私 じよしゅ ミス・べたことがおありですか ? 』 ここにおられるこの士が は、あなたの助手の方が びたいしわ ころ あわ 「はあ」シュワルツは額に皺をよせ、十本の指は折鞄の端をつかんで リットが殺された時に居合せておられたということを、それからまた ペリット氏と仲間が殺された時にも居合しておられ、そして彼が、あ じよしゅむきず なたの助手が無傷だったということを聞き及んでおります。私は、考「私も聞いていますよ』と、私は力をいれていった。 なん じかく けつか : なるほど、わしは、自宅以 えられる推定と、当然予期出来る結果とを、あなたが充分に自覚して『はあ、フェビアンさん、何ですか ? : じっさい ゆいごん もいや、いや実際だ、本当 おいでになるのかどうか存じませんが、この遣言がーーー」と、彼は遺外で会う約東は決してせんのですがね : けんしよう ぜんぜん 【」んじよう ようせい ゅび に全然おどろいたりはしとらん : ・・ : そう、そりや分っとる。だ。 ) 、 ' ) 「法律の要請で検証さ 言状をしまってしまった折鞄を指で叩いて すいりひじよう れて、一般に知れ渡るようになりますと、こういう推理が非常に強くまには出ることもある : : : ふん、どうだね、こうしたら。どうしてわ じむしょ なりますでしような。百万ドル以上があなたの手に委託されて、あなしの事務所へやって来ないのだね、どうだね、今日の二時では ? : ところ とうぜん せきにん : よろしい」 : その通り、所は分っとるね ? : たは誰にも責任がないということでね。ペリット氏の提携者達は当然よろしい つよ でんわ そういう推理を下しますでしような。彼等にそれははっきり分ります彼は電話を切った。・私も強く音を立てて、同じように切った。 ちょうし かれら シュワルツは、彼のこれまでのどんな調子とも違った声で・いった。 でしようから、そして彼等はーーー」 なカま でんわ 電話が鳴ったので、私はそれを取上げた。それは七十一クラブで会「ちょうど電話が掛って来た時、私はペリット氏の仲間とい 5 のが盾 でんわ すい まか こまか じかん そうわぐら でんわ おりかばんはし

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ろんたび 分の九をやれば、いっかべリットが見破るさ。そしてわざわいになるばくには分らないんで、ほくの考えは役に立たないんだ。もち論、旅 かならないかしらんが、ウルフがそれを取るだろうというだけじゃなに出かけなくちゃならないだろうが、ニュ 1 ヨークが好きだとすりや しょ・フかし ていあん しに、ばくもそれを取る義務があるんだ。あすこにいる時にちょっと障害になるだろうからね。第三は、これがばくの提案なんたが、あん こうだんし の間、あんたが思ったほど、ばくが丈夫そうで好男子じゃないとした たはペリットにいえるーー・か、それとも、あんたがしてくれというな って、ばくは正直に自分の皮膚を持っていて、そんなやり方が気に入ら、ばくが喋るんだねーーー表に泥棒がいるって、あんたはただ彼の可 おくりもの すなお ったのさ」 愛らしい素直な娘だが、一週間毎の購物を百ドルの代りに三百ドルま 「話しつづけてよ」彼女は、彼女の操縦から眼を離さなかった。「あんで上げて貰えれば良いんだがって」 とお するど . た、まだ何にもいわないけど、あんたの声は、わたしに突き通るわ。 彼女は、鋭い一臠を私に投げて、また運転の方へ戻した。私はとに わたし、お酒もほしぐなくなるわ」 かくうまくやったと察した。 ばんがい 私達は、五十一番街に来ていた。私は話しつづけた。「ほくがどんな 「ウルフは分け前は取らないだろう」と、私はしつかりといった。「そ あんじ に自分勝手かということを見せるために、暗示したんだ。あんたはもんなこと考えてるだろうかと思うんだ。それにとにかく 、ばくに任し うける機会はないんだ、万に一つもないよ。あんたはディジイ・ペ リとけるんだ、あんたは。ばくには、圧え付ける方法があるんだ。まあ おも ットとネロ・ウルフの間でのつびきならなくなるんだ。そしてそいっ多分、ペリットはそうきめるだろう。そしてひどいとも思わなさ。あ ビッグ きふじん しよとくせい はシャーマン式タンクのための八百長じゃないのさ。貴婦人を独りにんたについては、ひどい娘になるということはない。所得税なしの年 えもの するのは。大きな獲物はこれきりでやめるのさ。そしてそいつにうま一万五千五百ドルだからね。この車だの、そんなものを人れた家中の ゅうき あたま おも がっしゅうこくじよういんぎいん くぶつかるかもしれないけど、勇気と同じに頭のあるとこを見せるの経費は、ペリットが払うと思うんだ。合衆国の上院議員が取るよりも のこ 六百ドルも多いんだせ ! あんたはニューヨークに残っていられる せまくる 前 私は、彼女の股を叩いて、「そういう風にやるのさ。メープル・デラさ、ユタのことだの、他のどっかの砂漠のことなんか考えすに、狭苦 しば のイト。第一に、あんたはペリットを絞りつづけられるから、その大部しい場所のことなんかいわすに、あんたの友達と愉快な思いをして、 びじゅっかん しようにん ねたいだけ遅くまでねて、博物館だの美術館へ行ってーー一体どうな 分をウルフに渡してやるのさ。だけど、やったら証人になるんだよ、 のさ。二百てのは、彼がよこすとしちや高いのか、どうなんだ ? 鉛 あんたは。そいつは、あんたのけちな歩合だけの値打ちもないだろう。 うんてん かんしよくはん 第二に、あんたはこっそり抜け出てげ出すことは出来るけど、そい管職人がとる倍なんだせ ! 普通はね、ばくは女に運転して貰うのは つは、暮しの道を見付けるのが、 ~ どんなに、あんたにはむすかしいか、嫌いなんだけど、あんたは良い人だからね。あんたは、・そうするだる そうじゅう みやぶ ムう と み たぶん しゃべ と 人っう うんてん

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( 7 ) 死の前 ! に ろこっ 動家だといおうとしていたところなんでした。露骨に申しますと、彼も好いよ、かの女なら。適当にきめろよ」 さいしよきか、 私は決してエレベーターをうるさがりはしなかった。しかしとに角 等は、その撮んだ最初の機に、あなたとあなたの助手とを殺すでし そっちよく ようよ。しつかり警戒なさるようにし上げたかったんです。卒直に一度に三段すっ飛んで上る方がすっと速かった。自分の部屋まで上っ さいわ・よう じかん りえきかんけい 申し上げたように私の個人的な利益も関係がありますので、最良の方て、ドアをしめて、椅子に楽々と身を置くまで、時間はそんなに掛ら でんわ なかったが、私は電話を手にして、それに話しかけた。「待たしてすみ しん たず ませんでした。しかし人がいたもんですから、上へ来たんです。こ心 「フェビアン氏は、何か私に訊ねたいというんですよ」 かおいろ 配はなんです ? 」 「そりやしかし、とんでもない ! 」シュワルツは青い顔色をしていた。 ばん 「彼は一番名うてな男でーー彼をよび寄せるーーー入らせるというのは『あんたは、自分の名はスティヴンスだといったわね ! 」 なまえ 「やあ。五万と世界にはいろんなことがあるんですから、私の名前な ばんと 「もし彼が実際にけんのんな男で』と、ウルフは強気にいった。「もしんか、今はその中で一番取るに足らんもんの一つですよ。私の名前は はっきりしないんで、スティヴンスかグッドウインか、はっきりしな 彼が、あんたが怖れている推定のようなもつを下すのなら、彼に会う じむしょ には、わしの事務所がただ一つの安全な場所ですな。この取引は、成いんです」 じゅうたい るべく早く片附けなきゃならんーーこ 「あたしには重大なのよ」 でんわ でんわ 電話がまた鳴った。私はその方へ手を伸ばして、話しかけた。「ネロ 「どうも有りがとう。それをいうために電話を掛けたんですか ? 」 おも じむしょ 、えね、そうじゃないの。あたし、知りたいと思ったの、殺され ・ウルフの事務所です。、アーチー・グッドウインです』そして、台所「いも おおごえ にいても聞えるような大声でいっているいらいらしている風な声が、 た人のことだの、それから、どうしてあんたがーーー」 なまえ ギョッとさせるように耳へ飛び込んで来た。「あんたは、自分の名前を「ちょっと待って下さい。落着いて、初めからいって下さい。あんた ハロルド・スティヴンスだといったわね ! 」 が、何を見たのか、聞いたのか、なすったのかということを ? 」 するど しやしん 私は、鋭くいった。「ちょっと待って、そのままで」そしてウルフの 「あたし、ガゼット紙で今、写真を見たのよ。その人は、ディジイ・ ちょうし 2 」・つ人 4 ~ くせ じっさい 方を向いて、うんざりした調子でいった。「あの法科学生の友達なんでペリットという人なの。あたし、知ってるの、彼をー 1 ー実際には良く す。・一時間ほど続くと思うんですけど、二階へ行って、話しても好い知らないんだけど、あるわけがあって知ってるの。そして彼は殺され りゅう ですか ? 」 たのね。そしてある理由で、それはあたしには悪いニュースなの。も しやしん 「ああ。すっかり話してしまった方が良いかもしれないね。いっ来てう一つの写真はあなたの写真なの。とても良く似てるわ。そして書い と・つか じっさい つよき ふう しやしん せ力い てきとう おちっ わる ころ ころ

10. 探偵倶楽部 昭和32年2・3月合併號

なまえ でんわ てあるの。あなたの名前はアーチ・グッドウインていうんで、ネロ・ 私は、かの女にしていることは何もいわなかった。そして電話を終 レッグマン ・つ「、ド一 2 リい かいだん ウルフのために働いてるってー・ - ・・・、通信員と書いてあるわ、あなたのこった。階段の方へ飛んで行く途中で、ちょっと腕時計を見ると、十一 ころ むかんしん とーーそしてディジイ・ペリットが殺された時、一緒にいたと書いて時五十二分だった。階段の下で、無関心な風をして事務室へ人って行 こ . ふつうあしど あるの。だから、あたし、知りたいと思って こうと、私はゆっくり普通の足取りにしたが、 >-ä・・シュワルツが さえぎ つくえすわ 前 ~ 「失礼ですが」と、私はかの女をって、「あなたが知りたがっていら行ってしまっていたので、いらんことだった。ウルフは彼の机に坐っ でんわ ことがら っしやるような事柄は、電話ではうまくないことなんで、私がそちらてビールを注いでいた。 しやしん へ行ってお話すれば好いんですが、する事がありますんでね。どうで 「かの女はガゼットでペリットと私の写真を見たんですよ」と、私は 死 ~ しよう、地下鉄に乗って、こちらへ来ていただけないでしょ一つか ? 報告した。「裏から、三十分もしたら来るでしよう」 びん そうしていただけますか ? 」 『ちょうど良かった」彼は瓶を置いて、「真直ぐ上の南の部屋へつれて 「きっとそうしますわ。そちらへまいって , ーー」 行きたまえ。誰にも見られないようにしなくちゃいかん」彼は、私に ちゅうしよく 「もう一度ご免なさい。私達の家の前の歩道が二人殺された現場だっ苦い顔をして、「ちえツ。昼食にかの女を呼ばなくちゃいかんだろうね。 さくや たものですから、ちょっと人目に付くと思うんです。こうして下さい 坐って、昨夜あったことをすっかり話して聞かせろ」 ひがし むかんけい 三十四番通りと十一番街の方から、三十四番通りを東の方へすっと来「私は無関係だと思っていたんですがね。いっから、また関係するこ て下さい。私の方から九十二歩、あなたの方から百二十歩ほどのとことになったんです ? 」 こうじ ろに、狭い小路があります、二つのビルディングの間にーー・ー左側は荷「ふん。先を聞かせろ」 こうじ おきば せいしがいしやおろしうりば 置場で、右側は製紙会社の卸売場です。その小路をずっと入って来て十年以上も、もつれた出来事をウルフに報告して来ていたので、私 はず じかん 下さい。その奥の端れでお待ちしてますから、そして裏口からご案内はそれについてはその道の大家だったが、これは時間が限られていた ひつよう します。お分りになりましたか ? 」 ので特別に集中する必要があった。私はすっかり述べて、余すところ しつもん 「よく分りましたわ。三十分ぐらい掛ると思うんですけど」 なくいおうとしたのだが、彼はいつものように質問をしかけて、まだ 「オーケー。私はそこにいますから。もしいなくても、待っていて下訊いている中に、時計が十二時二十分になったので、私は出て行かな たいどころわ、 かいだん ければならなかった。私は台所の脇から裏の階段をおりて、フリツツ むすめ しゅこんそう 「好いわ。ね、一つだけいって下さらない、ディジイ・ペリットの娘があさっきだのタラゴン ( よもぎ類の宿根草、葉を味付用に用う しよくぶつ じかよう さんというのはーーー」 訳者訂 ) だのその他の植物を作っている。狭い私達の自家用の庭へ出 ・」・かてつ わたしたち おも ま あんない じむしつ かんけい