推理小説 - みる会図書館


検索対象: 時間の習俗
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1. 時間の習俗

信濃路の湖に沈められた謎の木箱を追う田代 松本清張著の地市の周囲で起る連続殺人 / ふとしたことから 悽惨な事件に巻き込まれた市民の恐怖を描く。 東京・蒲田駅操車場で発見された扼殺死体 / 松本清張著砂 - の ~ 新進芸術家として栄光の座をねらう青年の過 ( 上・下 ) 去を執拗に追う老練刑事の艱難辛苦を描く。 退屈しのぎに買った古雑誌の記事に好奇心を もち、隠された謎を追、つ、っちに恐しい事件に 松本清張著蒼ざめた礼服 まきこまれていくサラリー マンの姿を描く。 飛鳥仏そのままの″古拙の笑い〃を浮べた若 松本清張著里 ~ の様式い女性の死顔の謎を追う「微笑の儀式」。他に 「犯罪広告」「歯止め」を収めた傑作推理小説集。 雑誌連載「僻地に伝説をさぐる旅ーの取材旅行 にまつわる不可解な謎と奇怪な事件 / 古代 松本清張著 Q の複△ロ 史、民俗説話と現代の事件を結ぶ推理長編。 現代社会の裏面で複雑にもつれ、からみあう 松本清張著死の枝様々な犯罪ーー死神にとらえられ、破滅の淵 に陥ちてゆく人間たちを描く連作推理小説。

2. 時間の習俗

説 解 325 たのである。 ぜっぱう 氏は非日常性、遊戯性、偏狭性など、従来の作家たちの陥りがちな欠点を、舌鋒鋭く責め せきりよう ているけれども、推理小説の脊梁となる「推理」は飽くまでも尊重している。『点と線』や こうはん 『眼の壁』による長編活動を始めてから、早くも十五年を経たが、氏の作品が相変らず広汎 な読者に支持されているのも、本格物の骨格を具えているからである。 氏の出現以後、推理小説の表現技法が一新された観があるのは、その顕著な影響であろう。 たしかに文学的には洗練されたが、「推理」という歌を忘れたカナリヤでは、少なくとも 「推理小説」を読みたがる読者を満足させるはずがなかった。 氏はこの作品でありふれた趣向のアリバイ打破に、敢然として挑戦し、清新でしかも巧緻 なトリックを駆使して、本格推理に新しい道標を建てた。氏の作品が永く生命を維持する所 ん 以である。 ( 昭和四十七年十月、文芸評論家 ) そな

3. 時間の習俗

324 時間の習俗 じようし 『点と線』と『眼の壁』の両長編が単行本として上梓された三十三年から、殊に作者の執筆 あお 量は激増した。連載に限ってだけでも『ゼロの焦点』、『かげろう絵図』、『蒼い描点』、『黒い ゆが 樹海』、『黒い画集』、『波の塔』、『黄色い風土』、『小説帝銀事件』、『雲を呼ぶ』、『歪んだ複 写』、『霧の旗』、『黒い福音』、『日本の黒い霧』、『球形の荒野』、『わるいやつら』、『考える 葉』、『砂の器』、『氷の燈火』、『異変街道』、『深層海流』、『蒼ざめた礼服』、『風の視線』、『影 かわ の車』、『連環』、『不安な演奏』、『渇いた配色』などが本編以前に発表されている。 おびただ 推理小説はもとより、現代物、時代物、ノンフィクションもあって、松本氏は夥しい分量 ちょうせん の他に、作家の可能性に挑戦した。推理物にしても、従来の人間性も社会性も無視した傾向 しゅんげん きしひるがえ に満足せず、清新な旗幟を翻しただけに、自己の作品に対しても峻厳であった。類型に陥る ことを警戒して、絶えず新たな視野と手法の変化を心掛けている。大量生産はややもすると 同工異曲を免れないが、この作者のように通弊を避け得たのは稀有な例であった。 推理小説が独創的なトリックに固執するあまり、その奇抜さにとらわれて、現実を忘れ去 よりちか ったとき、非難を甘んじなければならなかった。殊に松本氏の出現は、その後に有馬頼義、 みずかみつとむ 水上勉、黒岩重吾といった作家群のはなばなしい活躍により、いわゆる社会派推理小説の擡 いとぐち 頭を促す緒ロとなった。 ふうび 一時は推理小説界を刷新し風靡する形勢であったが、人間や社会に焦点を合わせ、「推理」 たの の愉しさの比重が軽く、次第に一般小説に傾斜していった。松本氏はその新風の先頭に立っ なぞと かのように思われたかもしれないが、氏は当初から謎解きのおもしろさを十分に知悉してい まぬか こと

4. 時間の習俗

日本美術史に光彩を放っ川人の名匠たちの生 松本清張著月況日 , 不 ~ 云身の人間像を創造し、彼らの世俗的な葛藤を、 共感を伴いながらも冷静にみつめた異色作。 不具で孤独な青年が小倉在住時代の外を追 松本清張著或る「小倉日記」伝究する姿を描いて、芥川賞に輝いた表題作な 芥川賞受賞ど、名もない庶民を主人公にした名作肥編。 朝鮮戦争のさなか、米軍黒人兵の集団脱走事 松本清張著里地の△広件が起きた基地小倉を舞台に、妻を犯された 男のすさまじい復讐を描く表題作など 9 編。 西南戦争の際に、薩軍が発行した軍票をもと に一攫千金を夢みる男の破滅を描く処女作の 松本清張著西 「西郷札」など、異色時代小説肥編を収める。 逃れるすべのない絶海の孤島佐渡を描く「佐 松本清張著 4 生」度大儿人一丁渡流人行」、下級役人の哀しい運命を辿る「甲 府在番」など、歴史に材を取ったカ作ⅱ編。 平凡な主婦の秘められた過去を、殺人犯を張 松本清張著張→込み込み中の刑事の眼でとらえて、推理小説界に 新風を吹きこんだ表題作など 8 編を収める。

5. 時間の習俗

俗 時間の習俗 松本清張 Matsumoto Seichö ( 1909 ー 1992 ) 神奈川県の相模湖畔で交通関係の業 界紙の社長が殺された。関係者の一 人だが容疑者としては一番無色なタ クシー会社の専務は、殺害の数時間 めかリ 後、遠く九州の和布刈神社で行われ た新年の神事を見物し、カメラに収 めていたという完璧すぎるアリバイ 『点と線』の に不審を持たれる 名コンピ三原警部補と鳥飼老刑事が 試行錯誤を繰返しながら巧妙なトリ ックを解明してゆく本格推理長編。 俗 2 服式合枝流礼者面肌女頼塩 2 2 2 下 上上上上 上し 場の依 の帖段線原 器こ様複気 のの渦犯ナの画の手階 曲平 漠のの のののの 才悪 況花 革光 庫の時砂蒼黒死眼喪共渡水天憎砂黒夜状隠 文張 朝主月 譚伝絵札行み路 2 写ち記音点壁線集旗点帯 松芸凸 一三ロ ( 複件み焦 画描地 ら事の福 本日 ののとの 倉郷流込つだ殺の や署 務生い ( ん税も 小或黒西佐張駅わ歪け半黒ゼ眼点黒霧蒼影 小倉市 ( 現・北九州市小倉北区 ) 生れ。 給仕、印刷工など種々の職を経て朝 日新聞西部本社に入社。 41 歳で懸賞 小説に応募、入選した『西郷札』が 直木賞候補となり、 1953 ( 昭和 28 ) 年、 『或る「小倉日記」伝』で芥川賞受賞。 ' 58 年の『点と線』は推理小説界に社 会派の新風を生む。生涯を通じて旺 盛な創作活動を展開し、その守備範 囲は古代から現代まで多岐に亘った。 1 9 2 01 9 ろ 0 0 5 1 41 松本清張 定価 : 本体 514 円 ( 税別 ) I S B N 4 ー 1 0 ー 1 1 0 9 2 ろー 0 C 0 1 9 ろ \ 5 1 4 E 丸山浩司 23 新潮文庫 カバー印刷錦明印刷デザイン新潮社装幀室 巧 1 4

6. 時間の習俗

321 『時間の習俗』は雑誌『旅』の昭和三十六年五月号から、翌年十一月号にかけて連載された。 『旅』はかって一点と線』を載せたことがあり、そこで事件に携わった警視庁の三原警部補 と、福岡署の鳥飼刑事が再び交情を復活させて、こんどの事件にも提携させている。 めかり がんたん 旧暦元旦の未明に、九州の東北端にある和布刈神社で行われる神事から、幕を上げる本編 だんうら は印象的である。この対岸の下関市壇ノ浦は、源平の古戦場で知られているが、また作者が 一歳から四歳にかけて住んでいた所であった。もちろん当時は係りがなかったにせよ、その ゆいしょ 後、居を小倉に移してからは、この由緒ある神事の耳に触れたことがあろうし、何よりも古 どくせんじよう 式ゆかしい儀式を導入とした物語は、作者の独擅場であった。しかもその古来のしきたりが、 今でもおごそかに執り行われるばかりでなく、カメラの対象になり、吟行の素材になるほど の客を集めているが、それが事件の進展に伴って、大きな役割を果すのだから、心贈い発端 である。 相模湖畔のホテルに連れ立ってきた客のうち、男が殺され、女の行方が皆目知れないとい う事件がまず起った。被害者は交通関係の業界紙の経営者だが、加害者の見当は全くつかな い。担当の三原警部補は、被害者の出入り先であるタクシ 1 会社の専務峰岡に興味を覚えた。 彼には犯行の動機も見当らないし、容疑者としては一番無色なのだが、完全なアリバイがあ るたナこ、、 カえって三原の気持にひっかかるものかある。 松本氏がわが推理小説界に新紀元を画したことは、広く承認されているが、前後を分っ特 たんてい 徴の一つとして、いわゆる名探偵の起用と否定とがある。このジャンルの鼻柤ポーがデュバ さがみこはん かかわ

7. 時間の習俗

新婚一週間で失踪した夫の行方を求めて、北 松本清張著キ ) ロの隹占陸の灰色の空の下を尋ね歩く禎子がまき込ま れた連続殺人 /. 「点と線」と並ぶ代表作品。 白昼の銀行を舞台に、巧妙に仕組まれた三千 松本清張著眼の辟亠万円の手形サギ。責任を負 0 た会計課長の自 殺の背後にう ) 」めく黒い組織を追う男を描く。 一見ありふれた心中事件に隠された奸計 / 松本清張著占と 列車時刻表を駆使してリアリスティックな状 況を設定し、推理小説界に新風を送った秀作。 身の安全と出世を願う男の生活にさす暗い影。 松本清張著里〔 画集絶対に知られてはならない女関係。平凡な日 常生活にひそむ深淵の恐ろしさを描く 7 編。 兄が殺人犯の汚名のまま獄死した時、桐子は 松本清張著 ~ 務の旗依頼を退けた弁護士に対する復讐を開始した。 法と裁判制度の限界を鋭く指摘した野心作。 女流作家阿沙子の秘密を握るフリーライター ル田占 ~ の変死ーーー事件の真相はどこにあるのか ? 松本清張著 ~ 倉 代作の謎をひめて、事件は意外な方向へ :

8. 時間の習俗

合衆国陸軍特殊部隊にセルピア兵名虐殺の 平賀秀明訳 , 窄匍裁疑惑、ー、法務官の孤独な闘いが始まる。世界 ( 上・下 ) 中が注目する新人作家、日米同時デビュー / 中国軍部と結託し、大掛りな麻薬ビジネスを 0 ・トーマス朝」 ~ A 」けこ」め一企む敵に、孤立無援の闘いを挑む元の ハイドとオープリ 。骨太冒険小説決定版。 ( 上・下 ) 新 電気椅子直前の連続殺人犯が元神父の刑事に << ・ヘイリー ル秘人課刑事訴えたか 0 たのは , ー、来警察組織と捜査手法 最永井淳訳メ ( 上・下 ) が克明に描かれ、圧倒的興奮の結末が待つ。 庫 長く絶縁状態にあった実の父親は、ほんとう 文 に犯罪者なのか ? 全米大ベストセラーを記 中谷 ( ルナ訳夜は何をささやく 録した、ミステリアスで蠱惑的な愛の物語。 新 読者を手玉にとり、とことん楽しませてくれ テラーによる、十 永井淳訳十四の嘘と真実るー天性のストーリ ! 四編のうち九編は事実に基づく、最新短編集。 小児性愛者たちが大使令嬢を誘拐 / 交渉人 幾野宏虐待者 ( 上・下 ) を務める女性心理分析官は少女を救えるの か ? 圧倒的筆致で描く傑作サイコスリラー。 ープロファイリング・シリーズー

9. 時間の習俗

時間の習俗 322 ンを登用して以来、必ず探偵役が登場して難事件の解決に当ってきた。もちろんわが国でも も あけちこ ごろうきぎたかたろうおおころち よこみぞせいし その例に洩れなかった。江戸川乱歩の明智小五郎、木々高太郎の大心地先生、横溝正史の金 あきみつかみづきようすけ 田一耕助、高木彬光の神津恭介など、めいめいの作家がユニークな性格を付与しようと、そ れぞれ腐心したはずである。 絵空事を排して、人間性を回復しようとした作者にとっては、神のような名探偵は必要と しなかった。それぞれの作品ごとに、事件の真実を追求しなければならぬ人物を設定すれば よかった。だから降りかかった火の粉を払わなければならぬ一介の会社員の場合もあれば、 専門職の検事の場合もあったし、本編のように警察官という、至極まっとうなこともあった。 従来の推理小説中の名探偵は、その衆に抜きん出た能力を誇示するために、凡庸な読者を 代表するワトスンを必ず伴っていた。かれら名探偵を超人的存在に仕立てるために、内外の 作家たちは種々の工夫を凝らしている。 せんしよう 松本氏はかれらの奇矯さを惜しげもなく取り除いた。しいて先蹤を求めるなら、クロフッ のフレンチ警部に近いが、この三原警部補はせいぜい気に入りのコーヒー店で、いろいろ思 案をめぐらす程度である。ワトスン役が尋ねても答えてくれず、最後に一挙に真相をぶちま じよ・つとう けて、読者を驚かそうというのが旧来の名探偵の常套手段であった。三原に至ってはその対 照的な存在である。 この警部補は峰岡に容疑の焦点を当てながら、そのアリバイを克明に検討する。乗物の可 そじよう きん

10. 時間の習俗

時間の習俗 体が発見されて、その報知の電報が東京からくるのを待っていなければならないからだ。彼 は、そのアリバイを印象づけるために極光交通の当直員に「変わったことがあれば小倉に打 電せよ」と言いおいたのであろう。あとでも、彼が小倉にいたのはわかることだが、彼はも う一つ念を入れたのである。このへんが犯罪者の心理ではあるまいか。 峰岡が小倉に単独で行くため、須貝は福岡付近に残った。もしかすると、一一日市の武蔵温 泉の旅館で休憩し、峰岡が福岡に引きかえしてくるのを待っていたものと思う。武蔵温泉で も、 " 女…ばかり捜していたからわからなかったのだ。 須貝は旅館にはいる前に、理髪店にはいり、女性スタイルのヘアー・カットを慎太郎刈り ことが鳥飼の報 に変えた。水城の現場から発見されたときの彼の髪が、〃散髪後まもない ~ 告にあったではないか 峰岡は須貝を殺害する目的で福岡へ同行したのだが、須貝はなぜノコノコと峰岡について 行ったのか。おそらく峰岡から「博多にいっしょに遊びに行こう」と誘われたからであろう。 この辺は、普通の男女の愛欲関係とかわりはない。 では、、 月倉から福岡に引きかえした峰岡と須貝とはどこで出会ったのか。これも打ちあわ せができている。おそらく日が暮れて間もない五時すぎだろう。場所は水城に近い二日市駅 の待合室としよう。土地不案内なものには駅の待合室がいちばんわかりよい ート下の西鉄窓口で定期券売 峰岡はそれまで渡辺通りの大東商会に寄ったり、岩田屋デパ 場に立ったりしている。 むさし