おしゃれなものが好きな人。 プランドものが好きな人。 流行りものが好きな人。 「物を持つ」ことそのものが目的にならないようにしてください。 時折、全体のファッションには不釣り合いな感じで、 10 0 万円級のプランドバッグを 持った人を見かけることがあります。よれよれの服やヒールのすり減った靴でいても、 「これさえあれば大丈夫」と、武器か鎧のような感覚で高級バッグを持ってしまっている のです。それは見栄や所有欲であって、おしゃれ心ではありません。 たいてい、そういうバッグの持ち方をした人を見かけるのは地下鉄の中。でも本来、高 級バッグを持つのは電車に乗らないくらい余裕がある人です。高級バッグを持って地下鉄 に乗って単に「 10 0 万円のバッグを持っている人」になってしまう前に、ほかにお金と 気を回すところがあるはずです。 よろい chapter 2 ー ムダ服を増やす、さまざまな罠
だからこそ、「大人はまず靴」なのです。 バッグより靴を身につけている時間のほうか圧倒的に長い 日本人は、履きものを玄関で脱ぎ履きする文化を持っ民族ですし、特に西洋化する以前 の日本では、旅や外仕事などの場合を除けば、長時間にわたって履きものを履くこと自体 があまりなかったのではないでしようか。だからつい、靴を後回しにしてしまうのかもし れません。 けれど、現代の私たちは、ほぼ一日じゅう靴を履いて過ごしています。 多くの人は、プランドものとはっきりわかるバッグにお金をかけていますが、あなたを 一日じゅう支えて遠くまで運んでくれる靴に比べると、職場やカフェなどに着いたら手か ら離してしまうバッグの持ち時間は短いものです。 ということは、決して靴を適当にはできないし、ある意味高級バッグを買うよりも、そ の分靴に予算を回すほうがずっと堅実ということです。 価格帯で言うと、多くの人が手を出しやすいのは 6800 円くらいの手軽なものから、 セールで 1 万 2 8 0 0 円くらいのものでしよう。ですが、今後、靴だけは「迷ったら高い chapter4 ー理想的なワード。ープ大検証 !
く機会が一生のうちに何度あるか、冷静に考えてみましよう。年に 2 回しか着ない、 1 着 5 万円のドレスは本当に必要ですか ? 逆に、究極の二生もの」といえば、エルメスのバーキン、シャネルのキルティング バッグなどでしよう。これらは数十年かけてすでに定番化しているので、もはや大きく色 や形が変わることはないからです。そのくらい使い続けられるものなら、お金をかける価 値はあるといえます。 1 3 2
に、叩代、代の方は、バブルの残骸とも言うべき、ハイプランドのバッグを死蔵してい ないでしようか ? 「高かったし、有名プランドだからもったいない」と思ってしまい込んでいて、たまに思 い出したように引っ張り出して使ってみる。でも今は洋服がカジュアルになっているので 当時のデザインが釣り合わなくて、やつばりダサく見えてしまうーーーああ、恐ろしいー いくら高い、ハイプランドのものでも、それを持っことでダサくなってしまったら笑い者 です。 ついった、「高かったから捨てられない」というものも、数が増えてくるとあなたの 足を引っ張る「沼」になります。そう、ワードロープのおしゃれ平均値をぐっと引き下げ てしまう、強力な負のアイテムなのです。
「たられば」で買い物をしてはいけません。 どうしても買いたいなら、「これがあったら」を先に買ってからにしましよう。 もちろん、「痩せたら」も実際に痩せてからです ! 【 x 】大物の「差し色」 「あなたはいつもその色ばかりね」とか「たまにはこんな色も着たらと言われたからと いって、そこで冒険して差し色の服を買っても確実に着ません。 結局、自分が着ていて落ち着く、好きな色に戻ってしまいますから、色については頑固 で結構。 差し色を求めるなら、体から離れているバッグや、巻き方で分量を調節できるストール などの小物で試しましよう。面積が小さいので気持ちの抵抗も小さく、気負わずに変化を 楽しめます。ただし、靴での差し色はかなり難易度が高い上級者テク。履いたら脱げない し、「靴からコーディネートを決める」というルール上、ここをなじみのない「攻め」の アイテムにしてしまうと、全体がちぐはぐになってしまう可能性もあるからです。 1 2 8
捨てるべき服③似合わなくなった服 衣替えのとき、「今日は半日家から出ない ! 」くらいのつもりで、クローゼットから服 を全部引っ張り出し、全身が映る鏡の前で 1 枚ずつ着てファッションショーをしてみま 1 レよ一つ 0 すると、去年まで自分を最高にカッコよく見せてくれていたはずの服が、なぜかまった くそう思えなくなっていることがあります。 それは、髪を切ったり体形が変わったりというあなた自身の変化のせいかもしれない し、世の中の流行が変わったせいかもしれません。 いずれにしても、そういう服も無理に着続けたところでよいことはありません。クリー ニングに出す前に、処分してしまいましよう。 昔、海外旅行に行ったときに買ったハイプランドのバッグなどもここに入ります。特 chapter 3 ー いらない服とすっきりお別れする方法
思ったそのときに、手軽に買えてすぐ楽しめるのが身上です。 ただ、ファストフードが美味しいのは温かいうちだけ。一晩経ったら、もうロにする気 にもなれないかもしれません。 ファストファッションの服も同じ。カッティングはきれいでも素材がもろかったりと、 安さにはそれなりの理由があります。 ですから、くれぐれも長く使うつもりで買わないこと。「割り切った、短いおっき合い のものだけを選ぶようにしましよう。 先ほどお話しした流行りもののほか、 1 回限りのアクセサリー、またオケージョン用の バッグも気のきいたものが数千円で買えるのでおすすめです。 セール品と同じく、ファストファッションの安さは魅力でもあり罠でもあります。 安いかゆえに、 普段決して買わないようなものをつい冒険して買ってしまいがちです が、そんなものは結局着なかったりしませんか ? 真剣に検討していないものは、結局失敗に終わりやすいものです。 小さなムダ遣いを積み重ねないよう、十分注意してください chapter6 ー買。ていい服、ダメな服
なった分、劣化しやすくなってしまったのです。 タイツもしばらく取っておくとはかなくてもゴムがだめになってしまうし、撥水加工さ れたコートの表面がボロポロになったり 、バッグの接着剤がはがれてしまったりすること もあります。 100 % 天然素材でない分、劣化も激しいのです。 きよみず 私は以前、それこそ一生ものだと思って「清水買い」した革張りのジュエリーポックス を持っていたのですが、特に暑かった夏にエアコンをつけない部屋に置いていたら、やは り接着剤の部分が劣化してしまい、なんと展開図のようにバカッとはがれて、バラバラに 崩壊してしまいました。 一生ものがないふたつめの理由は、歳とともに自分自身が変化していくこと。 私はパールが大好きで、白も黒もたくさん集めていたのですが、歳を重ねるうちにだん だん大きいものでないと似合わなくなってきたので、若い人に似合う小さなパールはみん なアシスタント勢にあげてしまいました。 どんなときでもヴァンクリーフ & アーベルのアルハンプラをセットでつけているお しゃれな方を知っていますが、ジュエリーでも、そのくらい長く使えるものは、そうそう はっすい 1 3 0
したい同じような一日を過ごしています。雑誌でも Z でもない、 日常のリアルな ファッションには、実際それほどたくさんの服は必要ないはずなのです。 「いいね ! 」だって、せっせと投稿してたくさん貯めたところで、ポイントと交換できる わけでもないでしよう ? セレプの情報や雑誌の提案。それははっきりいって「幻想」です。おとぎ話です。現実 のものではありません。日常でおとぎ話の登場人物の真似をするなんて、おかしいと思い ませんか ? 実際、現実の人間が、セレプのように頑張って毎日違うコーディネートをしたとして も、真冬なら結局ダウンコートばかり着続けてしまうこともあるし、通勤バッグだって、 その日のコーディネートに合わせてしよっちゅう中身を入れ替えて違うものを持つのは面 倒。結局、持ちやすくて使い慣れたものがいちばん出番が多くなるものです。それに、毎 日レベルを落とさずに違うコーディネートを見せ続けるなんて、並大抵のことではありま せん。「 1 カ月コーデの天才」と言われた ( 笑 ) 、プロのスタイリストのこの私でさえ、少 なくとも 2 日はダサいコー一アの日ができてしまうでしよう。 それが現実というものです。つまり、幻想を見るのではなく、まずはしつかりと現実を