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検索対象: 誰がアメリカンドリームを奪ったのか? 下 (貧困層へ転落する中間層)
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1. 誰がアメリカンドリームを奪ったのか? 下 (貧困層へ転落する中間層)

るし、その仕事がインドに移されたたけです。私の身に起きたのは、そういうことです。私の仕事は いまインドにある , ーー違いは給与のレベルたけです」。 のインド帝国 —はインドでは、こそこそしていない。急成長中の帝国を、熱心に見せびらかしている。三年 間で七倍に増えた従業員は、二〇〇六年には四万三〇〇〇人になった。二〇〇六年六月、はウ オール街の金融アナリストを、インドのシリコンパレーであるパンガロールのパレス・ホテルでひら かれた、インドを基盤とする新戦略の祝賀会に招いた。インド担当社長を脇に従えたサム・ ーノ 0 0 が、パンガロールの従業員一万人、デリー、ムイハイ、コルカタ、プネのそれぞれ ヾルに統合した事業 , という自分の未来 の従業員数千人ずつの聴衆と衛星通信で接続して、「グロー 像におけるインドの中心的な役割を説明した。 。ハルミサーノは強調した。は最新鋭の研究開発を行い、革新的なソフトウェアを制作し、大 洞 ヾレよ のグロー 空規模な事務処理プロジェクトを引き受ける。「インドやその他の新興経済は、 * の 、。ハルサミーノは宣言した。「今後三年間で、わが 済成功にとって、ますます重要になりつつある」と 識社はインドでの投資を三倍に増やすーーこれまで三年間の二〇億ドルから、今後三年間は六〇億ドル 知 近くになる」。 章 アメリカとヨーロッパの大手法人顧客に対して、はすでにそのオフショア能力を市場に ヾル・センター」を売り込む派手な。ハンフレット の「最優秀グロー 第出す運動をはじめている。

2. 誰がアメリカンドリームを奪ったのか? 下 (貧困層へ転落する中間層)

インドのゴールドラッシュ インドは中国とおなじように、グロ ーパル経済にすさまじい速度で突入した。二〇年前の《エコノ ミスト》は、インドには取り上げる価値のあるグローノノ ヾレ企業はまったくないと報じている。しかし いまは、製鉄メーカ 1 のアルセロール ・ミッタルとタタ・スチール、アルミ製造のヒンダルコ・イン ダストリーズ、自動車部品のスンダラム・ファスナーズなどが、グローパルにがんばっている。たが、 インドはそういった製造業を一気に超えて、「ソフトウェアの奇跡」とみずから呼ぶものによって、 デジタルの世界でもっと強力にグロ ーパルなビジネスプレゼンスを示した。インフォシス、ウイプロ、 コグニザント、 O テクノロジーズ、タタ・コンサルタンシー・サービシズなどの情報サービス会 社が、その起爆剤になった。国連のある推計は、インドは国境を越える情報アウトソ 1 シングのグロ ーヾル・ビジネス一〇〇〇億ドルの三五パーセント以上を占めているとしているが、インドはその市 場を五〇。ハーセント近く占有していると主張している。 インドの新興企業三社、ウイプロ、インフォシス、タタ・コンサルタンシーは、アメリカの—雇 用の国外大脱出を引き起こした。当初、一一〇〇〇年代初頭に、大学教育を受けて英語ができる、賃金 の安いインド人プロフェッショナルに、—作業をアウトソーシングするようインド側が誘いかけた ところ、—など、アメリカの大手—会社は一笑に付したと、ロチェスターエ科大学のロン・ヒ 一フよ、、つ サービスのグローパルな傾向を追跡しているヒラによれば、当時はアメリカ企業がその儲けの

3. 誰がアメリカンドリームを奪ったのか? 下 (貧困層へ転落する中間層)

メリカ人社員を三〇パーセントもしくはそれ以上削減し、二〇〇三年には一三万五〇〇〇人たったの が、二〇一一年初頭には一〇万人以下に減った。 まね 、金融、保険、会計、企業サービス分野の他のアメリカ企業も、こぞっての真似をした。 テクノロジーおよび経営コンサルティング会社のアクセンチュアは、インドで小規模な人員からはじ めて、二〇二〇年には約五万人を雇うまでになった。大手コンピューター・メーカーのヒューレッ ・。ハッカードも、インドに約五万人の社員がいる。デルは、一年間でインド人社員を倍に増やした。 二〇〇九年、大手会計事務所デロイトは、二〇一二年末までにインド人社員を三倍の三万五〇〇〇人 * 鬨 に増やす計画を明かした。インドは、アメリカのアウトソーシング会社ー。・ー、、 ( ア フィリエイテッド・コンピューター・サービシズ ) 、 O O ( コンビュータ・サイエンシズ・コーポレーション ) にも根拠地として気に入られている。 ・システムズまでもが、インド移転に乗り遅れまいとした。同社の創始者ロス・ペローは、 一九九一一年の大統領選挙で、北米自由貿易協定を痛烈に非難し、「馬鹿でかい吸引音につながるたろ う」という有名な言葉を残した。メキシコに雇用を吸い込まれるという意味たった。たが、インドは 洞 空べったというのたろうか。ペローのコンサルティング主任のジェームズ・チャピーは、インドのメデ の 済ィアに「ペロ ・システムズは、仕事の半分を五年以内に海外移転する」と述べた。「以前はオフシ までは受け入れるようになっています」と、チャピー 識ョアリングに抵抗していた顧客の大部分が、い 知 はいっている。 章 第

4. 誰がアメリカンドリームを奪ったのか? 下 (貧困層へ転落する中間層)

や大仰な電子メールが送られた。最初のころの宣伝材料では、アメリカの顧客から引き受けた作業を、 インドに加えてプラジルやロシアなど低コストの外国へアウトソーシングする予定であることは、明 かされていなかった。たが、最大の売りは低コストと、インドの会社から市場シェアを奪うことを狙 は顧客にしよう っていた。「私たちは積極的に、コスト競争力のあらたなレベルを追求する。 としている相手に、そう告げた。 ビッグ・プルー (—のあた名 ) は、低コストのサービスをアメリカできわめて上手に売り出 したので、インドでの事業を拡大し続けなければならなかった。二〇一〇年には、従業員がさらに七 万人増えていた。インドが基盤の仕事が増えて、アメリカの顧客のためにインドからスタッフを呼ば なければならないことも多かった。ときどきはやり過ぎて、つまずくことがあった。 二〇〇九年後半、ニューヨーク市財務税務局の古いデータベ 1 スを分析して更新するために、 はインド人のエンジニアとコンピューター・コンサルタント一七人をムンパイから呼び寄せた。 《ニュ 1 ヨーク・ポスト》がそれを嗅ぎつけて、「ニューヨーク市民、コンピューターおたくの雇用を 強奪される【市当局がインド人を厚遇雇用」という見出しの記事を載せた。一七人のうちの一人、ア ウランガバード出身の二五歳のエンジニア、スンニ・アミンは、ニューヨークにはじめて来て、舞い 上がっていた。レポータ ーに、自分の仕事は「実現した夢」たといった。スンニは九カ月のあいた、 】ノッパニーのア。ハートメントを借りた。給料について詳しいことは明かさな かったが、「インドにいたときの一〇倍くらい稼いでいる」と咸張った。それでも、アメリカの給与 レベルよりはたいぶ低いはずたった。 市が雇っているコンビューター・コンサルタントの組合ローカル 2 6 2 7 が、—が納税者の金 100

5. 誰がアメリカンドリームを奪ったのか? 下 (貧困層へ転落する中間層)

さえあればよかった」。 たが、モリソンや議会の改革派をもっとも困惑させたのは、経済が厳しい時期に , ビザが優 良なハイテク雇用からアメリカ人数十万人を追い出すのに悪用されてきたことたった。「海外企業が いまのように , プログラムを使って外国人労働者を輸入するということが、一九九〇年にわか っていれば、私はそういう使い方ができるように法案を起草しなかったたろう」。モリソンは私にそ 、フいった。「グロ ハリゼーションのせいで一部の仕事が海外へ行ってしまうのは仕方がないが、政 府がずるをしてそれをやりやすくするべきではなかった」。 インドの産業の指導者たちは、アメリカの批判に憤慨する。インドは「アメリカ人の雇用を奪 っていると見られている、と、 , 1 人材派遣会社も加入しているインドの全国ソフトウェア・サ 1 ビス企業協会 (z 0 0 ) のソム・ミッタル会長は書いている。二〇一〇年一二月、サンノゼ ・ニューズ》の署名入り記事で、インドは「アメリカで雇用を創出している国」た の《マーキュリー 威 脅と見られるべきたと論じている。 の グ インドの会社はアメリカ企業のコストを年間二〇億ドルないし二五億ドル節減していると、 Z ン は主張する。貿易組合と学者は、そのお金はアメリカ人の雇用のために使われるべきたとい い切った。 ン オ ファイザーの人員入れ替え 章 七 第 インド企業の業務がこれほど問題視されるのは、たいがいの場合、アメリカ企業が、法をす 115

6. 誰がアメリカンドリームを奪ったのか? 下 (貧困層へ転落する中間層)

大きいビジネスをがっちりつかんでいたが、インド企業が払っていた給与はアメリカの給与の一〇分 の一 ( エンジニアが年間七〇〇〇ドルないし一万ドル、会計士が五〇〇〇ドル、プロジェクトマネジャーが一万五〇〇〇 ドル ) たったので、価格競争で勝ったのたという。「インドの会社には従来のあり方を打倒するビジネ スモデルがあった」と、ヒラは説明するーーー低コストと、きわめて高い収益性を備えていたというの な「インド企業の収益性の高さに気づいたウォール街は、インド企業に匹敵する成績を上げろと、 アメリカ企業に圧力をかけた。インフォシスは売り上げ五〇億ドルで、一五億ドルの利益を出してい ーセントなのに、イ た。そこでウォール街はアメリカ企業に、『どうしてあなたがたの利益率は六パ ンフォシスは二七パーセントなのか ? 』と問いかけた」。 この非対称が企業革命を引き起こし、インドの—ゴールドラッシュがはじまった。—がイン なら ドのモデルを採用し、他の大手企業もそれに倣った。またたく間にアメリカ企業は、利益を増やすた めに低賃金でインドの—プロフェッショナルを雇うのに血眼になり、アメリカの労働力のかなりの 部分が解雇された。 洞 空 、オフショアリングを強化 の 済 経 識 二〇〇三年三月、は世界中の人事部長を集めた遠隔会議で、オフショアリング戦略の変更を 知 ヾル社員管理ディレクター、ト —のグロー 伝え、「国境を越える雇用 [ への移行を強化した。 章 ム・リンチは、北米とヨーロッパの人員を大幅に削減すると説明した。一九九〇年代に製造業は海外 第移転したが、これからは「私たちが現在勃興しつつある潮流を見据えて、サービスを海外移転する」

7. 誰がアメリカンドリームを奪ったのか? 下 (貧困層へ転落する中間層)

責任逃れ インド人—労働者の流れが、ニューロンドンのハワード・ストリート一九四にある三階建てのコ ンピューター・センターの部署をどんどん占めていった。そこに—専門家が三〇〇人勤務している。 ノワード・ストリートのビルでは、全員がアメリカ人契約社員たった」と、リー ワードが私に語った。「やがて、それが徐々に移り変わり、全員がー 1 ではないたろうが、イン ド人が何人かいた。そのうちに、完全にインド人労働者に入れ換わった」。ファイザーでは、・ 1 ビザの就労者たといっていたが、一部は , 1 ビザ ( 短期商用ビザ ) や *-a ・ 1 ビザたと思われた。ど ちらも似ているカノ ; 、レールがもっと柔軟で、外国で給与を支払い、アメリカで税金を払わずにすむ。 「こういった下請け会社は、ファイザーの向かいでア。ハートメントを借りている、と、一兀ファイザー のシステム・アナリストがいう。インドの人材派遣会社との直接交渉を行う年俸一二万五〇〇〇ドル のコーディネーターたったが、二〇〇九年半ばに解雇された。「連中はアパートメント一軒に五、六 人詰め込む。そういう従業員がファイザーの社屋へ歩いていくのを見せたいね。たれも靴を用意して やらなかったので、サンダル履きなんた : : ビザは見たおばえがない。インドの会社に雇われたイン ド人た : : : ファイザーはビザと関わりたくない。共謀に問われないためた」。 この最後の事実が重要た。アメリカ企業数百社とはいわないまでも、大多数の会社とおなじように、 ファイザーは , ビザの責任転嫁により、アメリカ人を解雇してインド人を雇っても、ビザ関連 の法律の告発から守られていると主張する。インド人は自社の社員ではなく、外部の下請け会社を切 「五年前には、、 118

8. 誰がアメリカンドリームを奪ったのか? 下 (貧困層へ転落する中間層)

ング会社、インフォシス、ウイプロ、サティャム ( 現マヒンドラ・サティャム ) 、タタなどの過激な集団 たった。彼らはインド人知識労働者を何万人もインドで雇って、アメリカに送り込んた。アメリカ人 が経営している場合もある、いわゆる職業紹介所や多国籍人材派遣会社も、インドの戦略を真似た。 しかし、この分野はインドの四社が牛耳っていた。二〇〇七年から二〇〇九年にかけての景気後退の 最中、 , 1 ビザ利用で上位五社のうち四社がインド企業ーーータタ、インフォシス、ウイプロ、サ ティャムーーーで、アメリカの巨大企業マイクロソフトやシスコの数倍のビザを給付されていたと、オ フショアリング問題でたびたび議会で証言した、ロチェスターエ科大学のロン・ヒラはいう。 「タタはアメリカに社員が約一万八〇〇〇人いて、そのうち一万七〇〇〇人が、、 1 か・ 1 ビ ザです」とヒラはいう。「インフォシスは・ 1 ビザと *-2 ・ 1 ビザが八〇〇〇。ウイプロも同様で す。このビザのコストが年間約一一〇〇万ドルかかる。インド企業にとって・ 1 貿易の利益は きわめて大きいので、ささやかな投資額たった。二〇〇〇年から二〇一〇年にかけて、インフォシス は、従業員五四〇〇人、売り上げ二億三〇〇万ドルから、従業員一一万三八〇〇人、売り上げ四八億 ドルに、爆発的に成長した。シンテルは、インドエ科大学とミシガン大学を卒業したパラート・デサ イが一九八〇年に創業し、・貿易でデサイは資産一三億五〇〇〇万ドル、アメリカの最富裕者 四〇〇人の一人に数えられるようになった。 ・は不適切な補助金 アメリカ経済が何年もよろめき進むうちに、 , 102 ビザ・プログラムの急拡大は、それがアメリ 111

9. 誰がアメリカンドリームを奪ったのか? 下 (貧困層へ転落する中間層)

が招いた収入格差 済の空洞化 第一六章知識冫 ー、インドで採用してアメリカで解雇 一九九〇年代ーーハイテク ~ の移転肪 / 中国の急成長新 / 知識経済のオフショアリング新 / 中国 は日本より抜け目がない / アメとムチ戦略 / 中国との危険な共同経営圏 / 企業の利益北国 の利益 / の驚異的変革 / インドのゴールドラッシ、艸 / 、オフショアリング を強化 / 自分に代わる人間を育成して解雇される / のインド帝国 / オフショアリン グの特許化 0 / 知的職業が奪われる 0 / オフショアリングは雇用減少の「主犯」 第一七章オンショアリングの脅威 外国人労働者の輸入にともなうアメリカの雇用減少 一九八〇 , 二〇〇〇年代、ーー ( イテク産業のロビー活動 / 、ビザの抜け穴 / オンシ「ア リングの拡大 / 過激なインド企業 / 、は不適切な補助金 / 一〇〇万人を超える外国 人ビザ労働者叫 / ファイザーの人員入れ替え丐 / 責任逃れ / 改革の呼び声 / スキル格差は 存在しない ? 8

10. 誰がアメリカンドリームを奪ったのか? 下 (貧困層へ転落する中間層)

クル、シスコ、アップルなど、・ 1 ビザ・プログラムを目的どおりに使用している企業を称揚す るいつばうで、「インチキ人材派遣会社」を運営して法律の意図をないがしろにしている企業を、激 しく攻撃した。シューマーは、「インド企業を攻撃しているわけではない、が、・ 1 労働者の輸 入をビジネスモデルの中心にしている会社は罰するべきたと主張した。インド企業の大部分と、その ビジネスモデルを真似た一部のアメリカ企業が、それに該当する。 議会がシューマー法を成立させると、インドの産業はそれを自分たちへの一斉射撃と見なし、 アメリカは国際貿易の慣習に違反していると抗議した。インドの最大手企業のジェヤ・ク さや マールは、ビザ手数料の値上げは「コストの鞘取りを台無し」にして、インドのオフショアリング供 給会社の営業を無理やり変えるものたと述べた。 シューマーは反論した。「まさに、それが私たちの狙いた」。 たが、ビザ手数料の値上げは、わずかな影響しか及ばさなかった。また、・プログラムを解 体し、低賃金その他の不法行為の取り締まりを強化して、アメリカ人労働者の保護を改善するという こ - っちゃく 根本的改革案は、議会の膠着状態のために進展しなかった。その法案はハイテク産業に強く反対され、 三年も棚上げされた。 * 鬨 二〇一一年末に、議会はひとったけ有効な方策を講じた。アメリカで働いて永住することを望む外 国人向けのグリーンカードの年間制限を撤廃したのた。彼らはアメリカ人の給料を奪って税金を外国 で払うのではなく、アメリカ市民として納税することになる。この方策によって、・ビザに対 するハイテク・アメリカの需要は、時がたつにつれて減るかもしれない。 しかし、外国人「人材派遣 会社」がアメリカのミドルクラスの専門職を奪うのを阻止し、外国人に奪われた雇用一〇〇万人分を 111