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検索対象: 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界
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1. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

荒らす害虫に譬えられて「イナゴ」と呼ばれる。当初私は乱立するに対抗するために 「イナゴ」を利用した。 かっては資本量がエサとなってモメンタムを創造することができたが、現在では情報も エサになる。「猫組」の中には、個人投資家として知名度の高いメンバーがいる。そうし た者たちが Tw 一 ( ( er で、特定銘柄に注目していることを発信すると、その「稲」にイナゴ が群れるのだ。こうした情報にはもうまく食いついてくれた。狙い通りだった。 を誘導して「イナゴ相場」を形成することで、猫組は需給戦を展開した。 ところが、すぐに異変が起こった。最初は「巨大イナゴ」として活躍をして、我々に富 界をもたらしてくれた <—だが、ほどなくこちらの手口は見破られることになる。リスク管 新理に長けたは、積み上がったイナゴ相場をうまく切り抜けて、美味しいところだけを み食べて逃げていく、タチの悪いイナゴに進化した。私の腕の見せ所ということで、「冷や がし玉」を入れて <—を攪乱する手段も使ってみたが、ほどなくしてそれも見抜かれる。 を利用するつもりが、私たちがに利用されるようになった。 ン そこで私は次の一手を打っことになった。それこそが「猫組」オリジナルの—アルゴ フ リズムの開発だ。これは超高速で—の予想株価のほんの少し上側に「買い」、下側に 章 「売り」の注文を大量に出す「対攪乱アルゴリズム」だ。相手のはそれに引きず 225

2. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

「人工知能」を謳うサービスの中には、ポンコツも多く存在する。大手家電メーカーが導 人した「お客様相談」を利用すると、ため息が出る回答ばかりだ。だが、数式が支配 する金融の世界で人工知能は、その能力をフルに発揮する。 複数の数式モデルを組み合わせるばかりか、発信されるニュースや、「モメンタム」 ( 勢 い ) のある株価を常時監視し、株の流れを追いかける。 最後にたどり着いた方法は 私が驚くのは、リスクを計算し尽くした <<—の株価予測能力だ。損をせず成立する株価 に「買いーと「売り」の注文を出し、確実に利益を取っていく。リスクが低い分「儲け は当然薄くなる。そこで利用されるのが (High F 「 equenc) 「 T 「 ad 一 ng Ⅱ超高速取引 ) だ。現 りざや 在、はナノ秒 ( 川億分の 1 秒 ) の世界で戦っている。こうして薄い利鞘を売買すること で、利益を莫大なものに膨れ上がらせていくのだから手に負えない。 さな証券会社から小規模の投資家集団までを利用しはじめた 大手だけではなく、小 ことで、—アルゴリズムが乱立している状態だ。 すみか <—が版図を拡大したことで、「職人的相場師」は徐々に住処を追われている。 上がっていく株に釣られて大量に集まり、下がると逃げていく小口投資家は、稲を食い 224

3. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

れが、今回の容疑の本質は「日産」を利用した「特別背任」という経済事件というだけで はなく、国際金融を舞台にした「マネーロンダリング」という犯罪だと、私が分析する根 拠である。

4. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

しかしは証券としてだけではなく、貿易などの商取引にも利用される。表の世界の 利用法としてはと / との実用上の差はほとんどなく、その時々の相手業者の 指定によって選択されることが多いとされている。 両者の性質は極めて似ているが、ゴーン氏とジュファリ氏の取引をクリーンなものにす る限界点がによる差し人れだと私は考えている。私がゴーン氏の相談を受けたなら ば、 O コラテラル↓↓の順番で推薦するだろう。しかし、どの方法を使った としても、ゴーン氏がジュファリ氏への謝礼を日産の「予備費」から捻出した時点 テで、私の努力は水の泡と消えるのだが。 商取引においてだけではなく、と / o は国際金融の舞台でもよく似た証券 の 、不 だ。共にリースされていて、その標準的な相場は、 / o が額面の 9 ・ 5 % に対し マ て、は川 % と差額もわずかだ。 交 そして両者ともに額面よりはるかに安い金額で作ることができる。銀行の発行手数料の 行 界相場が、額面の 7 ・ 5 % で、プローカー ( 業者 ) が入ればそれに 2 % を足した額。額面 1 0 0 亠思円の、 co / / O で 2 0 0 0 、・ 万 3 0 0 0 万円といったところだろう。 章 第 証券として、 / 0 を発行するには、それを保証する資産 ( バックアセット ) カ 6 る。

5. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

バン」が行われ、銀行法が改正。銀行業とは無関係の一般事業会社が参入できるようにな る。こうしてセブン銀行や、イオン銀行、楽天銀行などが作られた。 新規の銀行業者の多くが使ったのはメイドインジャパンの銀行システムではなく、海外 で広く利用されているシステムだった。システム自体は軽くて高性能という評価だが、海 外と同じということで偽造カードを受け人れる仕組みも同時に導人することとなった。旧 来の日本の銀行システム上にあるでは、海外のカードに対応できていないものもあ る。今回の犯行に旧来の日本の銀行が設置したが利用されなかったのは、犯行グル ープがセキュリティを嫌がったからではなく、システムの問題だったのだ。 マ ク ガラパゴスな金融環境が被害に遭わなかった原因だったことは、パリバ・ショックやリ 1 マン・ショックなどの金融ショックの影響が世界に比べれば比較的に少なく、実質的に 出は逃れた構造と同じということになる。 脱 を 一方で、今回の被害額が大きくなった理由の一つが、現金の流通量にあると私は考えて 島 いる。世界と比べても日本は現金の流通量が多い国だ。で一回に万円も引き出せ 融る国はそれほど多くない印象で、買い物などで現金をこれだけ流通させている国も珍し 章 こうした諸問題を「金融環境」の問題としてではなく「暴力集団」の問題と捉えてしま 第

6. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

門川もその一人だったことが、捜査の過程で明らかになっている。 尸月がマネーロンダリングに利用したのはカジノだった。「リゾーツ・インター ナショナル」はラスベガスに本拠地を置く、世界最大クラスの統合型リゾート運営会社 だ。その象徴こそが「世界最大のカジノ」を謳うラスベガスの有名カジノホテル「 グランド・ホテル・アンド・カジノ」だが、門月 ーはバブル崩壊直後くらいから、しばしば ここを訪れていた。 高額の賭け金をカジノで使う客は「ハイローラー」と呼ばれる。そうした客をカジノホ ネ テル側は待遇するのだが、ハイローラーでも最上級の客は、大量にエサを食べる保 マ ク 護動物「鯨」に譬えて「ー ( ホエールⅡ鯨 ) と呼ばれる の一人として、ディーラーを—専用の特別個室に呼びギャンブルを楽しんでいた。 し 出 またカジノの中にはチップに交換するために、あらかじめデポジット ( 保証金 ) をカジ 脱 をノ内の口座に入金することを必要とする施設がある。 尸月が愛用した「 ()5 グランド・ ホテル・アンド・カジノ」もその一つだが、その関連企業は東京都内の都市銀行本店に貸 融金庫を借りていて、日本でデポジットできるサービスが用意されている。これを利用すれ ばを使わなくても、アメリカに資金を移転することができるということだ。 章 第事件後には門川がこの貸金庫に 200 万ドル ( 約 2 億 1600 万円 ) を預けていたことが 179

7. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

アメリカにとって利用価値のあった o o —の不正は長く放置されることになった。だ が、ついに愛用者の一人であるアメリカが清算を開始することとなる。年にアメリカ司 法側などの圧力によってイングランド銀行がに業務停止を命じ、は経営 破綻した。 その後の調査で、 0 0 —の使途不明金は 10 0 億ドル ( 現在のレートで約 1 兆円 ) にも 上ることが明らかになったが、あまりのスキャンダルの大きさに報告書の全文はいまだ機 密扱いになっている。 172

8. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

17 3 奄融閉鎖列島を脱出した ブブッノマネ 1 日本発国外マネーロンダリングーー旧五菱会事件五代目山口組とアメ リカ香港経由で資産を逃避香港経由のマネーロンダリング改めて問 われた銀行の在り方シティバンクの黒い伝説ブラックカードの素頃・・ コンビニ <}--ä絽億円不正引き出し事件 国家戦略に利用されたマネーロンダリング O ー < 、コーサ・ノストラ、ムジ ャヒディンを結ぶイラン・コントラ・ゲート事件 OOO ーの破綻

9. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

第 5 章マネーのフ。ラックホール ら口座と手形帳のためだけに会社を設立して、その後、ポン手屋は手形をバラ売りするの だ。額面は好きなだけ人れられるのだが、高額になればなるほど印紙代も高くなる。 東京なら新橋や御徒町、大阪なら日本橋に多いのだが、そうして販売される「ポン手ー には支払期日が記入されていて、その日には発行した手形がすべて不渡りになる仕組み だ。支払期日での残り期日が短くなると、ポン手屋は、 「来月末が命日や。安うするで」 と、「ポン手」をディスカウントする。 00 04N を ( の ポン手屋で入手できるポン手に は、期日までは記載された事務所も 存在し、事務員が電話応対までして くれる親切なサービスが付いてい る。ポン手を担保に商品を仕入れ、 代金を未払いにしたまま逃げる「取 り込み詐欺」は、利用方法の典型例 だ。そのほかに、借金のための融通 図手形や、支払延期など、国内の脱法犀

10. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

やトルコを経由した資金洗浄ルートへと変化していることが地下経済で観測されている。 黒い金を巡る闘争は、登場人物と舞台を替えてなお継続中ということだ。 国家戦略に利用されたマネーロンダリング 国際金融の中で麻薬、売春、ポルノ、武器の不正売買などで得られた「黒い金」を浄銭 する金融機関へと堕していった「神の銀行」。その防壁となったのは、神と暗黒街という 「触れえざる防波堤」だった。 その強固な壁を突破したのは、米軍という世界最大の暴力と、ドルという基軸通貨の両 方を所有するアメリカだ。 だが一連の流れからアメリカが世界の正義のために、犯罪資金のマネーロンダリングを 規制していると理解しているならば、それは大きな誤解だ。考えなければならないのは、 ・Ⅱが起こるまでアメリカが今日のような / ( マネーロンダリング対策 なぜ 9 とテロ資金供与対策 ) を行ってこなかったのかという点だろう。年のアルシュ・サミット から、現在行っているレベルの厳しい規制と監視を実行していれば 9 ・Ⅱは未然に防ぐこ ともできたはずだ。 なぜアメリカはそうしなかったのか 162