リーマン・ショック - みる会図書館


検索対象: 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界
15件見つかりました。

1. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

ったフランスの z パリバの傘下金融機関が、投資家の解約を凍結した。こうして z ・ショックが発生し、この影響で翌年には、リーマン・ブラザーズが経営破綻 した。 リーマン・ブラザーズの負債総額は実に約 6000 億ドル ( 約兆円 ! ) となり、現在で も清算業務を行う法人が存在している。 そのジャイアントインパクトは強烈の一言で、モルガン・スタンレーの連鎖破綻も危惧 された。そこでゴールドマン・サックスの最高経営責任者から第富代アメリカ財務長官に なったヘンリー・ポールソン氏が、当時財務・金融相だった故中川昭一氏に億ドル ( 約 9500 億円 ) の救済を要請することとなった。中川氏から 1 兆円に届くほどの融資を依頼 された三菱フィナンシャル・グループは、時差の関係で co —を使っても間に ホ 合わない時間帯まで迷いに迷った。アメリカ財務省の直接の働きかけもあった結果、ト / 切 手を持ってアメリカに飛んだという逸話がある。 サブプライムによるパリバ・ショック、リーマン・ショックと連続した金融危機にあっ の ネて、世界に比べれば日本への影響が少なかった大きな原因の一つが、日本の金融システム のガラパゴス化にあると私は考えている。 章 第 私の手口でも明らかにしたように、現在の金融の世界では額面だけは巨大な / o

2. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

ドを持ったことも自動的に導き出せる。 図 3 を見れば、絵に描いたような「資金還流の構図」と言えることがわかるだろう。 問われる経営者としての資質 キ部が扱う事件についての報道が、地検サイドからのリークに依拠したものであるこ とは、「暗黙の了解」だ。検察側の主張に世論を誘導するために、地検が虚実を交えて 「関係者」として報道をさせるのはいつもの手口。それでも今回の事件は「疑う余地が少 ない」というのが黒い経済界の評価だ。 特捜部はかなりの「物証」を押さえていると私は考えている。送金額、送金時期、送金 先の会社名、使い込んだ内容などがあまりにも具体的で詳細であることが、その根拠だ。 らつわん だが改めて私が指摘したいのは、「辣腕」と評価されたゴーン氏の経営者としての資質 だ。ゴーン氏が、一連の黒い資金移動に手を染めたきっかけは、年のリーマン・ショッ クにより、投資していた「為替スワップ」が巨大な評価損を抱えたことと報じられてい る。 しかしリーマン・ショックは、その前年に起こったサブプライム問題の発端「パ リバ・ショックによってサブプライム問 ・ショック」から連鎖する形で発生した。パ

3. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

実はこのことがサブプライム問題の引き金になった z パリバ・ショックを発生させ、 リーマン・ショックへと繋がっていった。 「サブプライム」とは年収 2 万 5000 ドル ( 約 270 万円 ) 以下の層を指すが、アメリカ にはサブプライム向けの住宅ローンがあった。このローンのおかげで、囲年代中盤からア メリカで住宅ブームが起こり、 19 9 4 年には % だった住宅所有率は、 2 0 0 4 年に ・ 2 % にまで跳ね上がる。 サブプライムローンを使えば、年収 120 万円程度の不法移民でも約 8200 万円の住 宅を購入することができた。ところがこの家を担保に発行される債券は、実に最大 100 倍のレバレッジがかけられ億円もの額となって運用されるといった、信じがたいことが 横行する。 サブプライムローンの債券のように額面だけが巨大に膨れたペー ーマネーは、私が行 ったようにオフショアなどに投下され、次の金融機関へと移転し、さらにオフショアに投 下され、さらに額面だけを膨張させていった。 しかし、囲年。ころからペー ーマネーの原資であるサブプライムローンの延滞から、不 良債権化が起こる。 貪欲な銀行はそれでも国際金融を舞台にババ抜きを続け、年、それに耐えきれなくな 148

4. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

川億—億ドルに上る使途不明金によって年に破綻。破綻直前に逃亡した「教皇の銀行 家」ロベルト・カルヴィは、ロンドンのブラックフライアーズ橋の橋桁で首つり死体で発 見。年に他殺と断定された。 このバチカン銀行を巡るスキャンダルをベースにして作られた映画が、囲年に公開され た『ゴッドファーザーⅢ』だ。 関係者の死によって、再び「触れえざるもの」となったバチカン銀行だが、教皇の死か ら約年経った後、ようやく本格的に捜査のメスが入ることになった。 第一のきっかけは、 2001 年にアメリカで発生した 9 ・Ⅱ同時多発テロ事件だ。アメ リカが主導する形でテロ対策として国際的に金融規制が強化される中、イタリアでも年 に金融機関の送金情報開示義務を強化する法改正が行われた。その後、バチカン銀行に対 する捜査が相次ぐ。 法律の及ばないバチカン市国そのものではなく、イタリア本国を経由している資金ルー トを次々と摘発していった。 第二のきっかけが z 。ハリバ ・ショックとリーマン・ショックという二つの金融危機 だ。原因となったサブプライムローンの当事国アメリカは、事態収拾のために天文学的な 不良債権が、どの銀行にどのくらいあるのか調査することになった。その過程で、金融の

5. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

こうしてひも解いていけば、ゴーン氏が行ったことが単なる「特別背任」でないことが 理解できるだろう。ジュファリ氏が額面よりはるかに安い金額で人手した / o をゴ ーン氏に差し入れ、ゴーン氏が日産の「名前と資金」を利用できるだけ利用し、最終的に は決裁権を持っ予算から 1470 万ドル ( 現在のレートで約億円 ) を振り込むーーこれは 「マネーロンダリング」の構造そのものだと私は考えている。 「資金洗浄」と直訳されるマネーロンダリングだが、具体的には「資本移転」と「自己資 本還流」で構成される。ここには二つの「資金移転」と「自己資本還流」が存在してお 、実際にマネーロンダリングを行った経験のある私の観点からすれば、「マネーロンダ リング」にしか見えない。 一つ目の「資金移転」「自己資本還流」は、ゴーン氏が自己損失である億 5000 万 円の信用保証を「日産」に移転させて埋め合わせたことだ。 そもそも私は、ゴーン氏の金融派生商品が、単なる為替スワップ取引であることを疑っ ている。リーマン・ショック後の相場下落を考えて、ゴーン氏が約億円ともされる年収 の全額を通常のスワップ取引に投資してもマージンコールの額はせいぜい 1 億円か 2 億円 「マネーロンダリング」

6. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

雑なスキームを作って行う。事件についての情報がアップデートされていったが、報道さ れた事実を使って、その一つ一つをひも解いてみよう。 注目しなければならないニつのポイント まずは特捜部の発表とその後の報道によって、特別背任容疑の内容を整理しよう。 ・ゴーン氏は新生銀行との間で、金融派生商品 ( 通貨取引のスワップ取引 ) で個人資産を運 用していた。しかし 2 0 0 8 年 9 月日のリーマン・ショックの影響で、約億 5 0 0 0 万円の評価損の損失を出す。このことで、新生銀行側はゴーン氏側に追加担保を求めた ・そこでゴーン氏は「取締役会で契約の移転を決議する」という「虚偽の約束」を新生銀 , イ仰とす , る ・同年川月、ゴーン氏は評価損を抱えた金融派生商品を日産に移転させる。ほぼ同時期に リド・ジュファリ氏から 2 0 0 0 万ドル ( 当時のレート 知人で、サウジアラビアの実業家ハ で約億円 ) を提供される ・証券取引等監視委員会が移転の違法性を指摘。これを受けて四年 2 月、ゴーン氏が自身 に再移転させるが、その際に新生銀行が追加担保を求める

7. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

。四億円のマージンコールが請求されるとすれば、評価額のポジション ( 額 に過ぎない 面 ) は 100 億円以上のものになっているというのが、この派生商品の特徴だ。「たかが」 億円の年収では不可能な数字と言えるだろう。 そこで考えられるのは、テコを意味する「レバレッジ」を使って、高いリスクを抱えな がら自己資産を運用すること。借金で博打をするような投機だ。マージンコールの金額か ら合理的に逆算すれば、ゴーン氏がより投機性の高い金融派生商品に手を出したとしか私 層には考えられない。 最 かゴーン氏が健全なスワップ取引をしていようが、ギャンブルのような投機を行って の いようが、リーマン・ショック直後の円高推移は、年明けから急速に円安へと推移してい ン 」る。信用の追加によって、ゴーン氏が最円高期に円安に投資をしていれば、損失どころか す 大きく儲けを生んでいることになる。一連の報道でも、損失の「その後」は一切明かされ ていない。ジュファリ氏から得た追加担保によって儲けたとすれば、埋め合わせどころか ザ / を軸にした資本還流が成立することになる。 ャ 済 経 もう一つはジュファリ氏だ。額面よりはるかに安い金額で発行された / (-) を元手 に約億円も人手したことは、資金移転と資本還流以外の何物でもない。 章 第 もし億円の融資が認められていれば、日産の被害額はもっと大きなものになった。こ町

8. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

第二回会議では、首相の李克強氏が今年の実質の成長率目標を、昨年末に中国政府 が発表した「 6 ・ 5 % 前後」から「 6S6 ・ 5 % 」と引き下げている。 中国の発表だけに数字の信憑性は疑わしいが、何かと「盛るー傾向の多いあの国が、自 発的に低めの数値を発表したことは注目に値する。この原因について、李克強氏自ら「米 中貿易戦争の影響によるもの」と説明していることから、アメリカの対中政策は確実に効 いているということになる。 そのアメリカ経済は現在、数字の上では順調だ。中央銀行にあたる ( 連邦準備制度 理事会 ) によれば、年の成長率が 3 ・ 0 % と他の先進国を大きく上回り、四年の見通し 界が 2 ・ 3 % 。「堅調」と呼べる数字だ。また、昨年の失業率 3 ・ 7 % は、的年ぶりの低水 新準だ。 出 み だが四年 2 月には、自動車ローンを期限通りに返済できず囲日以上遅れている人が約 7 生 00 万人いることが報じられた。アメリカで自動車は「足」であり、この数字をもって、 低所得者層が見えないところでさらなる貧困に陥っているのではないかという観測も伝え テ ン イられている。 フ さらに、地下経済では不穏な動きを伝えるニュースが流れている。 章 Ⅱとリーマン・ショック後の銀行には、より高いレベル 第金融大国アメリカにあって 9 ・ 219

9. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

や、などの証券。ーーベー ーマネ 1 が連日のように発行されては流通している。 ただしそれらは額面が印刷されているだけの子供銀行券とは意味が違う。正規の金融機関 のサインが入って、ファンドを作る原資とすることもできる。 愛知の銀行支店とドバイのエミレーツ z の違いを見れば明らかだが、ガラパゴス化 した日本の金融機関では、こうしたペー ーマネーを扱う商習慣がない。金融システムの 硬直化が幸いして、ペー ーマネーをベースにした世界規模の金融危機の被害から逃れる ことができたことは、皮肉な幸運と言えるだろう。 自由な金融からの転換 サブプライム債の額面を膨らまし続けた主犯の一つが、リーマン・ブラザーズをはじめ ヾ・ンヨックとリーマン・シ とする「投資銀行」と呼ばれるアメリカの金融機関だ。パリ ョック後、その原因となった投資銀行への規制は強化されることになる。 投資銀行の解説をしよう。 物価と失業率は、物価が上昇すれば失業率が下がるというトレード・オフの関係にあ る。ところが、間年代後半から米英両国は、「失業率が高いのにもかかわらず物価が上昇 する」というスタグフレーションに悩まされた。 150

10. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

中央銀行制度は、中央銀行が免許を与えた銀行に現金を供給する。そのことで市場の資 金量をコントロールし、物価の安定や安定的な経済成長を実現する仕組みだ。 投資銀行が銀行免許を持っていないということは、アメリカの中央銀行に当たる ( 連邦準備制度理事会 ) から直接現金を供給されないということだ。それは同時に中央銀行か らの監視や規制から解放されていることを意味する。 サブプライムローンの債権が「馬鹿げている」と思うほど膨れ上がったのは、それを運 用した投資銀行が、まさに監視や規制から逃れていたためだ。この結果、実体経済の中で 金融経済が占める領域はますます拡大していった。そして、投資銀行は繁栄を謳歌するこ ととなる。 ところが二つの巨大金融危機を通じて、額面だけが膨れ上がる金融経済の在り方がいか にリスクの高いものであるかが証明された。金融危機以前は「自由な金融環境こそ、経済 発展のダイナモーと主張して規制を受けいれてこなかった投資銀行は、リーマン・ブラザ ーズの巨大破綻を見るや一転して、政府からの資金調達を求めるようになった。 こうして投資銀行をはじめとする「自由な金融環境」に対して、中央銀行の監視と規制 。ゝム史化されることになった。 152