ーにメ 期にはサー ールが残らないドコモのメールの使用が推奨されていた。「・ や、ゲームサイトの掲示板を使う方法もあった。募集に使われたはこの延長 にあるものに過ぎない。 この事件が突きつけたのは、世界の金融環境が動的に変化する中で、金融規制の緩和と 強化のリバランスも恒常的に行われなければならないということだと私は考えている。注 目しなければならないのは、なぜコンビニのが特化して狙われたかだ。 順を追って解説しよう。 豸行に利用された偽造カードには「暗証番号」が書かれていた。またその偽造カードは 南アフリカのスタンダード銀行が発行したクレジットカードの情報を元に作られた。事件 前に同行の銀行システムがハッキングされて顧客情報が流出し、それをコビーしたのだ。 「金融閉鎖国」日本にあって銀行のシステムは、日本の会社がソフトを作り独自のガラ。ハ ゴス的進化を遂げた。キャッシュカードやクレジットカードも、日本の物と海外の物では 磁気コードの位置が逆になっているのはそのわかりやすい例の一つだ。日本のキャッシュ カード、クレジットカードを海外でに人れる際には、逆側にして入れないと受け付 けない。 しかし第二次橋本 ( 龍太郎 ) 内閣下で 19 9 6 年から 2 0 01 年にかけて「金融ビッグ 196
こんな程度なら銀行はいらない 大企業、中小企業を問わず日本企業は技術と金まで現地に持ち込んで事業を開始するこ とがほとんどだ。しかしインフラが未整備の国では洪水などの自然災害リスク、軍が革命 を起こすなどの政治的なリスク、さらに為替のリスクがある上、送金手数料は常に必要と なる。このリスクだらけの状況で、資金や技術を持参して事業展開するというのは、初め から負けが確定しているゲーム、すなわち「無理ゲー」に他ならない。 逆に言えばこれだけのリスクに耐えられる大艦隊でないと海外に進出できないというこ 界とでもある。 新 また日本には本質的な意味での「バンクオフィサー」が存在しない。海外の銀行ではロ す み座を作ると必ずオフィサー ( 担当者 ) が付いて、多くの相談に乗ってくれるばかりか提案 がもしてくれる。資金を持っている預金者には投資先を紹介し、その国でビジネスを始めた いと思った時にオフィサーに相談すれば資金調達先とのマッチングさえしてくれるのだ。 テ ン 対して日本の銀行にいるのは窓口の担当者くらいで、 <— ( 人工知能 ) の金融業界進出 フ によるリストラの筆頭候補になっている有様だ。 章 第 日本の銀行の場合は預金を集めるだけ、融資するだけということで、銀行を仲介者とし 2 リ
織という認識だ。門Ⅱ ーのことを知った″アメリカ様〃が、 「お前のところの犯罪組織の人間が、うちのカジノ使ってロンダリングしてるじゃねー どうすんだコノヤロ と日本側に怒鳴り込み、慌てて警察庁主導で捜査に着手したというのが地下経済の定説 実際に、 尸川の名前がアメリカ側で「国家問題」として把握されたのとほぼ同時期に、 警察庁が主導する形で門川のヤミ金グループへの内偵が始まる。肥年Ⅱ月には関連先の家 、「宅捜索や摘発が行われ、米ドルの他に、割引金融債が発見されることとなった。 ク ッ 香港経由で資産を逃避 し 出 現在では知らない人も多いと思うので、この「割引金融債」について解説したい。 脱 を 日本興業銀行 ( 現・みずほフィナンシャルグループ ) は、 1902 年に設立された半官半民 島 の特殊銀行だった。戦前、日本興業銀行は預かった金を銀行が運用し、利益を合わせて預 融金者に返すという信託業務に進出しようとした。ところがその際に、民間信託を圧迫する との批判が起こる。そこで日本興業銀行は短期資金の獲得を目的に金融債の発行を開始し 章 こ 0 181
資金洗浄やテロ資金供与などを扱うために、は 1990 年、各国に疑わしい金 融取引を調査、分析し、捜査する ( 金融情報部門 ) の設立を求めた。日本においては ワ 3 -0 : 0 : 0- 年、ようやく金融監督庁 ( 現・金融庁 ) 内に、—の日本版である「—— 0 」が創設された。そのは、年に国家公安委員会へ移管され「 となっている。しかし、その矛先は主に「暴力団」など、極めてわかりやすいドメスティ ックな金融犯罪にしか向かっていないのが現実だ。 1 月日の日経新聞のインタビューでゴーン氏は、 「証拠は日産がすべて持っており、社員との接触も日産が禁じている状態で、どうやって 証拠を隠滅できるのか」 と答え保釈を訴えている。 確かに証拠は日産が持っているが、日産からジュファリ氏などに流した金が、ゴーン氏 に再還流されているかどうかは未だ不透明だ。国際金融捜査のアプローチが行われなけれ ば、ゴーン氏への資金還流の有無は確認できないというのが、日本の現状である。 資金ルート解明のためには、関係した口座ばかりか、時には銀行そのものを凍結するな ど、人権や金融機関への暴力行使を躊躇しないアメリカであれば、早期の保釈も認められ たかも知れない。ゴーン氏のケースは金融監視の緩い、人権尊重国・日本だからこそでき
地の看護師は傷口の縫合や、人工呼吸器の挿管まで行うことができる。 新設する病院には日本のきめ細かい医療サービスのノウハウを提供できるようにし、看 護師などは人手不足の日本の医療マーケットに派遣することも期待できる。そのことに出 資者も納得したということだ。 私自身で言えば、年にマレーシアで、ある日本企業の拠点を現地に作った。現地での 資金調達も非常に順調で、マレーシアの 1 兆円企業が「ぜひうちも」ということで興味を 示してきたので、その社長の親族を役員に入れることとなった。 こうしてマレーシアの医療関係の会社を買収することに成功している。 界 この会社の医療系の製品はイスラムからハラール ( イスラム法で許された物 ) の認定を受 世 新けているので、他のイスラム圏にも輸出できる。跚年の上場を目指しているが、仮想通貨 みも発行して合法的な資金移転を可能にする予定だ。 生 資金調達からイスラム圏展開までのビジネスモデルがマレーシアで成功すれば、インド ネシアなどアジアのイスラム教の国から中東まで応用できると期待している。 ン このように経済的に豊かでない国には、突出した富裕層がいる。一方で貧しい国には投 資先がないことから、投資先を持ってくる人材は歓待される。日本の技術、生産力、ある 章 第いは企業経営のノウハウなどを貧しい国に持ってきて、「一緒に発展させましよう」と言 217
止等に関する法律」、いわゆる「暴対法」が施行される。だが、オウム真理教によるテロ 事件をきっかけに、組織犯罪に対する新たな法律を作る気運が高まり、四年に「組織的な 犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」、すなわち組織犯罪処罰法が制定され る。「共謀罪」は、この組織犯罪処罰法に「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団によ る実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画ー ( テロ等準備罪 ) を付け加えたものだ。テロ組 織や暴力団、あるいは詐欺集団などが、重大な犯罪を計画や準備したことを処罰する法律 である。日本において「共謀罪」は、 / の問題としてではなく「人権」の問 題となって紛糾した。結果、ようやく成立したのが 2017 年のことだ。 ム テ 共謀罪は国連の国際組織犯罪防止条約、通称「。ハレルモ条約」の加盟条件で、条約を締 ス シ の結しなければ、金融犯罪の情報共有は行われない。日本を除く銀行間のみで、不審者リス トが共有されているのも、その影響である。 マ 国際水準と言えないまでも、金融システムが適度に整備されていながら。ハレルモ条約に 交 未加盟だった先進国「日本」は、黒い経済人にとって「楽園」とも言える土地だった。共 界謀罪の成立で、黒いマネーが往来しにくくなる下地が、ようやくできあがったということ 章 ということで、日本においては金融犯罪の捜査体制が、国際水準から出遅れている。 第
日本の金融監視事情が実行を可能にした 表の経済は法令を遵守するがゆえに、「一般道」を走る速度でしか進めない。対して黒 い経済界は「違法ギリギリの合法ーという「高速道路」を自ら作り、一直線に走ることを 強みとしてきた。坪 1 億円の土地が明日 2 億円になると知っていても、表の世界ではいく つもの稟議を通していかなければならない。しかし暴力団経済は、一声でその金を用意す る。ただし返済が滞った場合、暴力が行使されることは言うまでもない。 表の世界がリスクへッジのために慎重さを必要とするのに対して、暴力団経済は「暴力 と恐怖」が踏み倒しなどのリスクをへッジする。それゆえ「早い金」でビジネスができる のだ。その世界に生きた私でも、ゴ 1 ン氏から / の差し人れを指示された場合、 私の方からゴーン氏との取引を断ることになる。 リスクが高すぎるからだ。 ではなぜゴーン氏はこれを行ったのかーー・それは日本の金融捜査の緩さを認識していた からではないかと、私は考えている。その大きな背景になるのが *-Ä / 0 として国 際社会から求められていた「共謀罪ーの成立だ。 日本では組織犯罪に対する法律として、 1992 年に「暴力団員による不当な行為の防
が、捜査着手の背後に、覇権国・アメリカの存在があることを私は疑っている。 そう考える理由は、ゴーン事件の相似形として起こった、日本最大のヤクザ組織「五代 。こり・よ・つかい 目山口組」の旧五菱会が、ヤミ金で稼いだ莫大な金を資産逃避させた事件があったから だ。すでにカジノを舞台にした「妖しい人物」としてマークされていた「ヤミ金の帝王」 は、 9 ・Ⅱをきっかけに国家の「敵」としてアメリカに認定されることとなった。そこで アメリカは日本側に圧力をかけ事件の捜査に着手させる。日本国内では「被害者救済」を 目的に捜査が開始されたというストーリーとして報じられたが、はじめにあったのは「被 害者」ではなく「アメリカ」だ。そこには、狙った獲物が停止する瞬間を待って捕食する もうきんるい 猛禽類のごとき超大国のもう一つの顔がある。 マネーの世界を解き明かす上で重要な視点の一つが「誰が得をしているのかーという点 だ。現在のアメリカとフランスの関係を考えれば、ゴーン氏の事件はアメリカにとって得 になることしかない。冒頭では、この事件を余すところなく解説し、マネーの深層解説へ の入り口とした。 格好の教材を提供してくれたゴーン氏には最大の謝辞を送りたいと思う。
したものを、自国に持って帰って初めて本当の意味での国際化が成立する。 この意味では私自身は「真の国際人ーとはなっていない。石油で得た金はアメリカに没 収され、海外の口座残高はあっても、資金移転の規制が強すぎて日本国内に持ってくるこ とができていないからだ。 借金できる能力こそが、人の評価だ 多くの日本人が持つ「借金ーについての罪悪感も、中小企業文化の海外進出への障害 だ。そもそも自己資本を中心にビジネスを行おうとする発想が私には理解できない。日本 界でも海外でもビジネスに自己資本を投下するのはナンセンスの極みだ。 新 ビジネスは他人資本で行うべきなのだ。失敗したら、次の他人資本を探せばいいだけの す み話だ。その繰り返しの中に落ちている成功を拾うことにこそ、ビジネスの面白さとうまみ 生 が凝縮されると言えるだろう。 日本には「自分のお金でこんないいものを作りました」という価値観が蔓延している テ ン が、海外の場合は、「他人のお金を集めていいものを作りました」という価値観が基準 フ だ。海外の価値観がすべて正しいわけではないが、ビジネスの国際化という意味では価値 章 第観の転換は必要と言えるだろう。自己資本を投下するリスクを負うくらいならば、海外の 215
た時に借り手と貸し手が分断されている状況だ。何よりリスクがあるものに対しては融資 をしない。 海外の金融機関と、日本の金融機関の差は、このリスク管理の考え方だと私は考えてい る。国際金融を舞台に証券や債券などをオフショアのファンドに突っ込んでババ抜きのリ リスクは回避するものと考えてい スクを取ることで資金調達を行い、事業投資を行う るのが日本の銀行であるとすれば、リスクはギリギリのところで管理するというのが海外 の金融機関の考え方だ。 これができないのであれば銀行など必要ない。ゴーン氏の一件については新生銀行の責 任を指摘した私だが、リスクを取りにいった点から考えれば評価されるべきだ。 こうした金融環境にあって、日本の中小企業は、どのような形で海外への進出を行うべ きなのか 現地でゼロから中小企業を立ち上げてビジネス展開をすることが理想的モデ ルだというのが、私の経験から導き出した答えだ。金も設備も、技術も持たずに「中小企 業文化を持った日本人」だけが現地に行き、現地で資金を調達し事業を展開するのだか ら、これほど合理的なスタートアップはない。 ただし、出ていくということは必ず帰ってくることが保証されていなければならない。 国際化とは国から出ていくことや、国を海外の様式に変更することではない。海外で獲得 214