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検索対象: 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界
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1. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

ど、行為者が会社法などで定められた立場である点。そうした責任ある人間が、自分や第 三者の利益を図るか、あるいは会社に損害を与える目的 ( 図利加害目的 ) を持ち任務に背い て会社に損害を与えた ( 背任 ) 時、特別背任罪が成立する。背任罪の特別法として会社法 などで規定され、「川年以下の懲役もしくは 1000 万円以下の罰金」となる。 特別背任罪は会長だった「カルロス・ゴーン」ただ独りを狙い撃ちにする容疑で、東京 地検特捜部が威信をかけて動くにふさわしい。勾留却下によって検察側が一気にギアを上 層げてきたということだ。金商法はゴーン氏の容疑に対する人り口で、特別背任罪こそ本丸 と考えるべきだろう。 その上で前後の流れを、整理しよう ( 月は年、 1 月は四年 ) 。 月日特捜部が請求した勾留延長を東京地裁が却下 ( 川日間の勾留に失敗 ) 月幻日特捜部が特別背任罪の容疑で再逮捕 ャ月日東京地裁は 1 月 1 日までの勾留を決定 ( 再逮捕から時間以内 ) 月訂日特捜部が請求した勾留延長を認め、 1 月Ⅱ日まで勾留延長決定 ( 川日間の勾留延 長に成功 ) 第 1 月 8 日ゴーン氏が勾留理由開示のため東京地裁に出廷、無罪を主張。弁護士は東京地

2. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

第 4 章私の黒い経済史 要を創造して一般投資家の資金を集中させる。そして高くなったところで自分は売って儲 けを確定する。仕手の王道を歩むことこそ加藤氏の真骨頂だ。 私の印象に残っている加藤氏の凄味は、買いと並行して、損失を出しても売りを仕掛け るところ。いわゆる「踏み上げ相場」という ものだ。「踏む」とは空売りをしている投資 家が買い戻すこと。加藤氏は意図的に大量に 売りを溜めて、買い方が弱まっているように 見せる。それを見ていた多くの投資家たちが 「この銘柄を売って崩そうと売りをかける と、加藤氏側は一気に買いに回るのだ。する と他の投資家も、空売りしていた株を損切り して買いに走る。結果、株価が一気に上昇す る。図 4 は「踏み上げ」相場の典型的な形だ が、まさに「踏んで」一度下がった相場が、 急激に「上げ」になっていることがわかるだ 4 図ろう。 踏み上げ相場 11 月 2007 年 9 月 8 月 2008 年 1 月 250000 円 月 ! 12 月 株価上昇 200000 円 150000 円 100000 円 売り残が急増 ! 万万 買い残 -- 売り残 107

3. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

だ。金商法によって上場企業は年度末から 3 カ月以内に内閣総理大臣への提出と、開示が 義務付けられている。 そこで有価証券報告書の虚偽記載については、個人に川年以下の懲役もしくは 1000 万円以下の罰金、法人は 7 億円以下の罰金が科せられる。また証券取引所が虚偽記載によ る影響が大きいと判断した場合、上場廃止もありえるほどだ。 刑事事件において逮捕の有効期限は肥時間で、最初の勾留期限は川日間。認められれば さらに川日間勾留が延長され、起訴できなければ釈放となる。逮捕からの流れを時系列に 従って整理すると、特捜部とゴーン氏側の「時間 + 川日間 + 川日間」を巡る攻防が見え てくるだろう ( 以下すべて 2018 年 Ⅱ月四日特捜立ロカ 1 5 。ゝ、Ⅱ年度の役員報酬を有価証券報告書に虚偽記載したことによる 金融商品取引法違反容疑で、ゴーン氏を逮捕 Ⅱ月幻日東京地裁がⅡ月日までの勾留を決定 ( 最初の逮捕から時間以内 ) Ⅱ月日特捜部が請求した勾留延長を東京地裁が認め、月川日まで勾留延長決定 月川日特捜部が金商法違反容疑で起訴 ( 加日以内の起訴成功 ) 。また特捜部は—葺年度 の約億 7400 万円の役員報酬を四億 400 万円と有価証券報告書に過少に記載した 0 2 2

4. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

日仏「国家ブランド」トップ逮捕の衝撃 2 018 年Ⅱ月四日、ルノー・日産・三菱アライアンスの会長兼最高経営責任者 ( o) だったカルロス・ゴーン氏が、東京地検特捜部に金融商品取引法 ( 金商法 ) 違反容疑で 逮捕された。自らの役員報酬について、川年度からの 5 年間で約億円を有価証券報告書 に過少記載した容疑だ。 巨大企業トップへの東京地検特捜部の追撃がここから始まる。 月川日には、別な金商法違反で再逮捕。同月幻日には、東京地裁による勾留延長却下 をきっかけに、特別背任罪の容疑で再逮捕された。年に私的に行っていた投資の損失約 億 5000 万円を事実上日産に肩代わりさせていたというものだ。 年末年始を東京拘置所で過ごしたゴーン氏だが、逮捕から 108 日目の四年 3 月 6 日、 ついに保釈される。保釈中に会見を開くことを Tw 一 ( ( er で公表し世論を味方にしようと試 みたものの、 4 月 4 日、今度は「オマーン」を舞台にした新たな特別背任容疑で再逮捕さ れた。 本稿執筆時点まで実に逮捕は 4 回を数えている。中でも二つの特別背任容疑は、「中東 日産」を経由したものだ。ゴーン氏が日産の金を使って私腹を肥やしたという単純なもの

5. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

裁に勾留取り消しを請求 1 月 9 日弁護士の勾留取り消し請求を東京地裁が却下 1 月Ⅱ日ゴーン氏が特別背任容疑で追起訴。ゴーン氏側が 1 回目の保釈請求 1 月日ゴーン氏側の保釈請求を東京地裁が却下 1 月日ゴーン氏側が 2 回目の保釈請求 1 月日ゴーン氏側の保釈請求を東京地裁が却下 「特別背任容疑ーという強烈な特捜部側の一手により、ゴーン氏側に打つ手がなくなり、 「保釈請求」と「却下」を繰り返すだけになっていったことは、一目瞭然だ。 もっとも金商法違反から特別背任への展開は、予想通りだった。ただ一つ、大きな勘違 いがあったとすれば、「ゴーン氏が『黒い経済界』について、多少は通じていた可能性を におわせる」と低い評価をしてしまったことだ。 黒い経団連会長 展開が予想通りだったとはいえ、月幻日の東京地検特捜部が発表した容疑内容に私は 驚いた。日産の名前と巨額資金をフルに利用した構造は、「黒い経済界に多少通じてい 0

6. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

門川もその一人だったことが、捜査の過程で明らかになっている。 尸月がマネーロンダリングに利用したのはカジノだった。「リゾーツ・インター ナショナル」はラスベガスに本拠地を置く、世界最大クラスの統合型リゾート運営会社 だ。その象徴こそが「世界最大のカジノ」を謳うラスベガスの有名カジノホテル「 グランド・ホテル・アンド・カジノ」だが、門月 ーはバブル崩壊直後くらいから、しばしば ここを訪れていた。 高額の賭け金をカジノで使う客は「ハイローラー」と呼ばれる。そうした客をカジノホ ネ テル側は待遇するのだが、ハイローラーでも最上級の客は、大量にエサを食べる保 マ ク 護動物「鯨」に譬えて「ー ( ホエールⅡ鯨 ) と呼ばれる の一人として、ディーラーを—専用の特別個室に呼びギャンブルを楽しんでいた。 し 出 またカジノの中にはチップに交換するために、あらかじめデポジット ( 保証金 ) をカジ 脱 をノ内の口座に入金することを必要とする施設がある。 尸月が愛用した「 ()5 グランド・ ホテル・アンド・カジノ」もその一つだが、その関連企業は東京都内の都市銀行本店に貸 融金庫を借りていて、日本でデポジットできるサービスが用意されている。これを利用すれ ばを使わなくても、アメリカに資金を移転することができるということだ。 章 第事件後には門川がこの貸金庫に 200 万ドル ( 約 2 億 1600 万円 ) を預けていたことが 179

7. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

行が問い合わせてもバチカン銀行から返答がなかったため、中央銀行は司法当局に報告。 この結果、一連の事件で、バチカン銀行の責任者がマネーロンダリングの調査対象とな っていることが、発表された。 その川年末にバチカンは不正送金などの防止のために、ようやく財務情報監視局を設置 した。しかしそれが機能しなかったことは、年 3 月にアメリカが「国際麻薬統制戦略報 告書」の「マネーロンダリングに利用される国々のリストでバチカンを名指ししたこと でも明らかとなった。 その年 4 月には—モルガン・チェースが、同行ミラノ支店のバチカン銀行の口座を 閉鎖する。四年にバチカン銀行が口座を開設したのだが、人金された金額が毎日閉店時に 残高がゼロになるという状態が続き、短期間で合計約億ドルもの金が他の口座に送金さ れているという異常な状態だった。—モルガン・チェースがバチカン銀行に問い合わせ ても返事がなかったため、こうした措置がとられたのだ。 年には、当時の教皇、ベネディクト世の机の上から持ち出された私的文書のコ。ヒー が流出する。バチカンとリ 1 ク ( 流出 ) を合わせて「バチリークスーと呼ばれたこの文書 によって、バチカン浄化を巡って教皇庁内で泥沼の内部闘争が行われていることなどが明 らかになる。そして年 2 月、ベネディクト世が突如教皇の辞任を宣言する。終身制で 160

8. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

「真実をお話しする準備をしています。 4 月Ⅱ日木曜日に記者会見をします」とツィート した。モーツアルトのオペラ『魔笛』の滑稽な。ハ。ハゲーノ同様、ロに鍵しておけばよいも のを、自らの言葉で説明しようとした。これは、ゲームの中で最もやってはいけない悪手 だ。話せば話すほど、検察側はその論拠を突き崩すための証拠を探すことになるのだか ら、保釈中に自分のことを話すというのは、愚の骨頂だった、と一一 = ロえるだろう。 4 月 9 日、担当弁護士の弘中惇一郎氏らが会見を開きゴーン氏の動画を公開。弘中氏が記者に対 して「黙秘するようにアドバイスいたしました」と答えたが、遅きに失した印象だ。途中 から参加したことで、現在の弁護団が検察に対してペースを作り切れていないとも読め る。 一連のゴーン氏の対応は、本来「 1 」で済むべきものを、「 4 」「 5 」あるいは「 6 」に 力増やしていく悪手の連発だった、と私は考えている。 4 月 4 日の逮捕において、普段トヨ メタ車で護送することの多い特捜部があえて日産車を使うという「粋なはからい」をした が、それこそが検察を悪い方向で刺激した証左だ。 を 物 どうせやるなら、保釈時と同じように作業着で変装をさせてあげればいいのに : : : と私 は苦笑したが。 章 っ 0 第 刺激された検察はさらなるカードを持とうと、アメリカに「捜査共助」を依頼している踴

9. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

四年 3 月日、崖つぶちに立たされた日産はついにルノーとの提携に合意する。 提携内容はルノ 1 が 6430 億円を出資し、日産株の・ 8 % と、日産ディーゼル工業 ・ 5 % 、さらに、日産ヨーロッパの販売金融子会社 5 社の株式を 100 % 取得す の株式 るというものだ。 自動車を現金で一括購入する消費者は少なく、個人ならローンを、法人であればリース 契約をすることは多い。もちろん購入時は保険加人を勧めることもできるということで、 層自動車メ 1 カーが、販売と金融事業部門を所有するメリットは大きい。生産という利益の 最 人り口から販売という出口までを含めたこの提携は、ルノーの軍門に下るということであ の 件 事る。 ン だが、そのルノーもポルボとの提携に失敗した後だっただけに、両社の提携は「負け組 ゴ す 連合」と評された。 そして、同年 4 月、当時ルノーの上級副社長だったゴーン氏が日産に着任し、 6 月に ザ は、ルノー副社長と兼務する形で日産 000 ( 最高執行責任者 ) に就任。川月に「日産リバ ャ 済 経イノノ ヾレプラン」を発表した。文化や企業風土、また日産内の労働組合の問題から「負け組 元 コーン氏はわずか 4 年で業績の字 連合」の行く末を不安視する声は大きかった。だが、。 章 羶回復に成功する。

10. 金融ダークサイド = THE DARK SIDE OF FINANCE : 元経済ヤクザが明かす「マネーと暴力」の新世界

最初の異常性は、評価損を抱えた金融派生商品をゴーン氏↓日産↓ゴーン氏と短期間で 目まぐるしく移転できたことだ。 ゴーン氏の金融派生商品は「為替スワップ取引」と呼ばれるものだが、実例で説明しょ う。ゴーン氏は年夏頃からこの金融派生商品での個人資産運用を始めたが、当時春頃の 円 / ドルレートが、 10 3 円前後だったのに対して、夏に人ってからは円 / ドルレートは 106S108 円を推移しており、円安に進むことが予想されていた。ところが 9 月のリ ーマン・ショックで為替相場は一転し、川月には囲円台を記録するほどの円高となる。巨 の額の損失を生んだこととこのレートの推移と合わせれば、ゴーン氏が円安への推移を読ん 事でいたということが導き出されるだろう。 ここで問題になるのは、この金融派生商品で、追加担保を求められた ( マージンコールⅡ 追証 ) ことだ。株式投資では自己資本以上の投資を行う信用取引が可能で、成功すれば大 きな利益を生むが、失敗して焦げ付きが大きくなると追証を求められる。為替スワップで は自己資本の信用を大きく超える負債の場合、マージンコールではなく、ロスカット ( 負 釜債額の強制決済 ) を行うのが基本的なルールだ。ましてやマージンコールされる程の負債額 を抱えながら、所有者 ( ポジション ) を移転することは通常では考えられない。 年川月、ゴーン氏はマージンコールに対して、新生銀行側に、