一度に一一〇〇〇人がはいれるガス室を口 つくったことである。トレプリンカにの はガス室が一〇あったが、それぞれ二 〇〇人しかはいれなか 0 た。犠牲者を えらびだす方法は、つぎのようなもの ・こっこ 0 子どもは働け ないから殺すウ われわれは、アウシュビッツに輸送 されてくる囚人を検査するため、二人 の医師をおいた。囚人たちはその 一人のまえを歩かされるが、この医師 は、かれらが通りすぎるとき " その 場〃で決定をする。労働に適したもの は収容所に、その他のものはただちに 絶減の建物におくられた。小さい子ど もたちは、例外なく絶減させられた。 子どもたちは、働けないからだった。 トレプリンカでは、犠牲者たちは、 自分たちが絶減させられることを知っ ていた。アウシュビッツでは、われわ れはもっと賢明な方法をとった。犠牲

群い。ヒトラーの征服という概念は『マ のイン・カンプ』のなかにハッキリえが 働かれており、一九二〇年代後期から一 人九三〇年代にかけて、この本を読んだ ものには理解されていた。ドイツの東 ュ方拡張政策の第一義は、純粋な血のド すィッ人にとっての「生活圏」〔レ 1 べン 横スラウム〕を確保することにあった。 ヒトラ 1 のことばを、思いだしてみ のよう。 「こん・こ数世紀のあいだ、われわれ種 族の子孫が、これは自分のものだとい ルえるような土地と土を持てるような状 態にならないかぎり、国家が安泰だと 考えてはならない。この世のあらゆる 権利のなかで、もっとも神聖な権利 は、人間が自分で耕そうとする土地を もっ権利であり、またあらゆる犠牲の なかで、もっとも尊い犠牲は、その目 的のために流された血である、という ことを、けっして忘れてはならない」

くべき事実は、がさまざまな国籍 にたいする侵略計画 " バルバロッサみ れ、ドイツへおくられるはずだった。 侵人軍のあとから、ジックス教授とそ〔ドイツ皇帝フリードリヒ一世のあだの、きわめてふつうの男女で組織され の警察隊がはいりこみ、知識人たち名。赤ひげの意〕作戦のために、ヒトていたことである。しかし、かれらの は、ポーランドとおなじく、ユダヤ人ラーの英国侵略計画″シ 1 ライオー大半は、ふつうの教養人以下で、犠牲 〔あしか〕作戦が一九四一年までに中者に木能的にちかづくサディストたち といっしょに″抹殺〃されるはずだっ 止になっていなかったとしたら、これや、汚職のチャンスと、はやく刑務所 から出たがる犯罪者たちの影響をうけ ・・ウエルズ、ノエル・カワー らの人たちは、たいへんなことになっ ド、ヾ 1 トランド・ラッセル、・ていただろう。しかし英国との空中戦やすいものたちだった。また、かれら ・プリ 1 ストリ 1 、 O ・・スノウなは、ぼう大な費用がかかったし、ヒトの上層部には " トップ。としての権力 ラーは海戦が大きらいであった。それへの機会にあこがれるインテリたちが どの名前がリストにあがっていた。 いた。 スプリントのおおい犠牲者の名簿がのゆえ、英国侵略は無期延期された。 は、どのような水準、階級、国 地方の収容所の見はりを手つだった こっている。 、英国のどこか遠いところで〃絶滅み籍のものであろうと、なんらかの理由 とゲシュタボの本部は、ロンド で一般社会に適合しない種類の連中を の手つだいをするために、いったい、 ン、プリストル、ヾ 1 ミンガム、リ・ どんな連中がの英国派遣隊に参加受けいれた。 プール、マンチェスタ 1 、エジン・ハラ 心理的な動機がどうあろうとも、か するか、考えてみるだけでも興味ぶか などに設けられるはずだった。 れらは、人類の敵であり、自由の破壊路 戦争後、男女の″危険分子″リストいことだ。 の 人類の者だった。 に自分の名前があるのを見つけること これこそ、最善が最悪の手で破壊さ国 は、〃知識人〃とみられていたことで、 察 誇りたかいことだ。しかし、もしソ連というのは、についてのおどろれた警察国家の末路である。 ヾ、

いただろうか ? へスーー。ーはい。 毎日一万ニ へスーー・大多数の人は知らなかった エーメンーー・それなら、あなたはど 千人以上が・ と思います。というのは、かれらをだ うして、こんなことができたのか ? へスがのためにつくりあげた、 ます手がうたれていて、殺されにいく いろいろと疑いはもちまし文字どおり、死人の社会 , ーー・大量虐殺 というような疑いがおこるはずがなか キャンプ たが、ただ一つ決定的だったことは、 も所在地によって事情が ったからです。たとえば、建物のあら厳格な命令があったことです。ヒムラちがっていた。トレプリンカの話が、 ゆるドアや壁に、シラミとりやシャワ 1 長官は、その命令について説明してそれを証明している。 ーをあびにいく、と思わせるような文くれましたが、その理由も決定的なも 人所してくる囚人たちに、連れてこ 句が書きこまれていました。 のでした。 られたところが、住宅ふうの労働セン エーメンーーーあなたは、わたくし ターだとあざむくため、ニセの鉄道駅 ルドルフ・ヘス【アウシュビッツ収 に、死ぬ直前、犠牲者が意識不明の状 容所長。一九四五年、逮捕後の写真がつくられていた。しかしそれでも、 態におちいるといったが ? 囚人たちが団結してとった断固たる行 へスー・・ー、そうです。わたくしが自分 動は、の武力のウ一フをかくことが で知ったかぎりでも、あるいは医務官 できたのである。トレプリンカ収容所 からきいた話でも、意識不明ないし死 は事実上、囚人たちのレジスタンスに ぬまでに必要な時間は、温度とか、ガ よって閉鎖された。 ス室内にいる人間の数によってちがい だが、アウシュビッツはのこった。 ました。意識をうしなうには、数秒間 この一つの町のように大きな機構は、 から数分間かかります。 そこに住むものを、一度に破壊できる 工 1 メンーーーあなた自身の家族や子 ように考えられていたのであった。一 どもたちのことをかんがえて、犠牲者 九四三年から四四年の間、最盛時には に同情したことはありますか ? 約一〇万人の男女が住むことができた

正しい女性に子をうませ、ふやすよう ールンベルク人種法は " アーリア人〃 いることに気がついた。職業からしめ 命じた。有名な一九三九年布告は、男の優越性というナチの基本概念から生だされ、公務員にも軍人にもなれず、 は戦場に行く前に、子どもの父親となまれたものだった。大半のヨーロツ。ハ 芸術やスポーツ分野での活動もできな るよう呼びかけている。しかしの諸国は、昔からユダヤ少数民族を犠牲かった。ユダヤ人の商売はポイコット 出生率は、決してはかばかしくなかつ者として利用し、虐殺や財産の没収、 され、あらゆる公共の場所には、ユダ た。一九三六年八月の (-oco の平均家族追いたて、さらには移民をしいるなどヤ人の立ち人り禁止の札がはられた。 構成は、子どもがそれぞれ一人か二人さまざまな仕打ちをしてきた。 ユダヤ人はドイツ人といっしょに水浴 しかいなかった。こうした不足を補う 十九世紀の反動ドイツで、反ユダヤすることはできなかったし、公園です ため、正規の結婚によらない出産を奨主義が国のすみずみにびろまったことわることもできなかった。おおくの店 励する必要が大いにあった。ただし、 は知られている。とくにウィーンは反はユダヤ人に商品を売るのを禁止され た。 「生命の泉」は、優秀なの男の種ユダヤ感情の中心地となった。 つけをする場所だったという戦後のあ このためナチは、ユダヤ人と共産主 ユダヤ人をドイツ人社会からしめだ るセンセーショナルな作家が書いた話義者を犠牲者にえらんだ。ふつう、こすことが、ねらいだったのである。 は、まったくあたらない。 の両者は、いっしょにされ悪口の対象 一九三九年までに、ドイツにいた六 戦争中は人口を補足するために、もになった。 〇万人のユダヤ人は、約二一万人にヘ化 っとひどいやり方がとられた。占領国 ユダヤ人への明らさまな迫害はヒト った。死刑にされたものも何人かいた で、すぐれた血統の子どもを誘かい ラー政権の成立とともにはじまり、一が、大多数は国外にのがれた。一九三て し、ドイツ人の家に里子にだして育て九三八年〔昭和十三年〕十一月九日、 三年には五万人以上が国をはなれ、一 な るというやり方だった。 全ドイツでおこなわれたユダヤ人大虐九三六年から三七年にかけて、英国だそ ユダヤ人殺で頂点にたっした。 けでも、永久居住者、一時滞在者の両戦 を迫害 ユダヤ人たちは、一九三三年以後、方で、約六万人のドイツ系ユダヤ人を 一九三五年にだされた悪名高いニ = 自分たちが社会の浮浪者とみなされて受けいれた。

く、自由軍団はなんなくヒム一フーにひチな冒険家アルフレ 1 ト・ナウョクスうっされた。 きわたされた。自由軍団の指導者の一が、計画を実行することになった。ナ犠牲になった収容所の囚人たちは、 人、カール・ヘルマン・フランクは、 ウョクスは、一九四四年アメリカ軍の ″カンづめ〃という暗号でよばれた。 かれらはの医師たちから、あらか 現地の指揮官と同時に警察長官ともとへ逃亡した男である。 なり、 t-oco 長官ヒムラーのために現地何着かのポーランド兵士の制服と、 じめ致死の注射をうたれており、その の治安をはかることになった。 収容所から連れてきた数人の囚人をつあと銃撃によって " 負傷″したことに された。 ヒムラーは、ポーランドとの開戦当かって、国境ちかくのグライヴィッツ これは、ヒトラーがポーランドにた 初に、一つの恥ずべき功績をあげるこにあるドイツ放送局を襲撃させ、ポー とを許可された。これがいわゆる「グランド軍がドイツにたいして戦争を開いしておこなった残酷な「プリツック ライヴィッツ」作戦であった。これは始したかのようにみせかけたのであっ リ 1 ク」〔電撃戦〕を正当化するため ゲシュタポ長官ハインリヒ・ミュラー た。ポーランドの制服を身につけた死に利用した国境″事件〃の一つで、こ が計画した、ドイツ・ポーランド国境体や死にかけた人たちが、地上に横たうしたキャンペーンは、約三週間つづ での偽装国境紛争事件である。ハレンえられ、軍や新聞カメラマンの写真にいたのであった。

一フ もっとも強力なものは、偉大な使ム ぎり、帝国の将来が保証されたと、 アーリア人の偉大さは、その知カ る 命の完遂を運命づけられよう。 かんがえてはならない。この世のあ にもとづいているのではなく、むし すべての教育、訓練制度は、子どに らゆる権利のなかで、もっとも神聖 ろ、地域社会への奉仕に、全力をつ もに、自分たちが他のすべての人た権 なものは、人間が自分のために耕せ くそうとする、その意志にもとづい に ちに匹敵する人間だ、との確信をい ている。ここにおいて、その自己保る土地をもっ権利であること、また、 だかせる方向にむけられよう。 あらゆる犠牲のなかで、もっとも神 存本能は、もっとも優雅な形態とな 人種混こう時代に、種族の血統の る。 聖なものは、そのために流される血 わが種族の子孫たちすべてが、自であることを、けっして忘れてはな最良の要素の保持という義務に全力 をつくす国家は、いつの日か、地球 らない。 分の土地をもてるようにならないか ナチの人種理論家 . ワルター・ダレ ヒムラーの残忍な副官 ラインハルト・ハイドリヒ海軍主計官

一九二七年、ヒムラーはベルリン出行動的な人間にはみえなかった。しか へ 身の看護婦と結婚した。かの女はヒムもゲッペルスのように、知識人とよば ルラーより七つ年上だった。二人はミ、れるような気どりもなかった。むしろ ル とるにたらぬ一官僚だった。ただ他の ンヘン郊外の田舎に小さな農場をかっ ものとちがう点は、一貫した忠誠心と 官たが、ヒム一フーはの仕事がおおく を副 ななるにつれ、農場の仕事にかまってお熱情的な国家主義、人種的誇り、それ 忠れなくなった。そして一九二九年、わに困難な仕事に直面したとき、すべて の ずか二八歳のときに、全体を支配を犠牲にできる能力などによって、 統 ップにのしあがっていスタミナがあ 総するようになった。の長官という 偉大な称号をもらい、死ぬまでこの地ったということだ。 、ヤ位にあった。 ヒトラー座の イ 主役あつまる このころ親衛隊は、その特殊な任務 のわりには小規模なもので、〔突ヒトラー座の主役があつまりだし ュ ル撃隊〕に従属していた。ヒムラーが指た。ヒムラーは、一九三〇年までは、 ウ揮する隊員は、わずか二〇〇人ていど著名人物の中にはいっていなかった。 だった。ヒムラーは、本質的には事務かれは演壇にたって人目をひくような ( 屋だ 0 たことを、理解しなくてはなら男ではなかった。むしろ権謀術数の人 ない。かれは慎重な男で、ねばりづよ物だった。 の さをもっていて、行政的なこまかい仕やがて一九三〇年代の初期に、ヒム 一伝 ラーは重要人物のひとりにかぞえられ 一」事に情熱的にとりくんだ。 ダ かれは目がわるく、胃がよわかっ るようになった。著名な演説者には、 ュ 反た。やせた病弱な身体のため、とてもまず、ヒムラーの昔のやとい主、グレ ッ

る。最低の連中が、強制収容所、あるは、じっとこらえる自制心のある正直ダヤ人はもう一つ余分に、三角形を二祐 いはゲシュタボの警護室や訊問部屋な男女と、堕落して抜けめのない連中つかさねた、いわゆる〃ダビデの星み 。 ( っこ 0 で、重要な仕事をしていたのである。 をしめす黄色の・ハッジをつけた。 牢名主こうして、もっとも悪質な連中と、 いわゆる、カボスとよばれた囚人の カボスもっとも善良な者たちが、たがいにな監督の地位は、犯罪者たちが、おおく 五万人から一〇万人におよぶ大きならんで生きのこり、収容所の少数で権占めた。かれらは、しばしば、仲間の 共同社会を組織し、維持し、訓練する力のある地位を占めた。アウシュビッ囚人にたいし野蛮なふるまいをし、自 ために、が囚人を職員に利用した ツでは、この階級組織にぞくする人間分たちの特殊な地位を利用して、 のごきげんをとったり、無力な犠牲者 のは当然だった。そのため、たちまちが、あるときには数千にたっした。 囚人たち自身が複雑な階級組織をつく 収容所の囚人はすべて、何者である たちに特権をふりまわしたりした。ま りあげた。 た食糧、ワイロ、セックスの点でもめ かがすぐ見わけられるような特別なバ 忘れてならないのは、その囚人のなツジを胸につけていた。既決囚は緑のぐまれ、生活条件は他のものより、す かに、さまざまな国からきた、あらゆ三角形、〃工ホ・ハの証人たち〃〔キリス こしはよかった。カボスは、捕虜から る職業の最高の資格と能力をもっ多数ト教の一派、絶対平和主義者〕は紫の略奪する点で、のもっとも有能な の男女がいたことである。しかし、ぜ三角形、政治犯は赤、同性愛者はピン協力者となった。 んぶがユダヤ人だったわけではない。 ク、そしてジプシーのようにやる気が かれらは、収容所の規律をまもらせ 収容所はしだいに国際的になっていつなく使いみちのない〃反社会的みな囚る仕事とか、みんながいやがる命令を た。そこで生きぬくことができたの人は黒い三角形の・ハッジをつけた。ュ ったえる仕事など、わりのあわない役 割を、特典とひきかえにひきうけるこ とが、しばしばあった。したがって、 たいていのばあい、隊員は、身を 避けてさえいれば、直接、囚人と話す

は、勢いにのった。そしてドイツを政議会民主主義をめざしているドイツ共いところや、散漫で、真の意図をある 治支配しようとするわずか八年の精力和国の、弱点と欠点を攻撃した。 ていどポャかした文章のなかに、規定 的な努力の結果、最小限の人間で再建古くからの右翼国家主義者や軍閥されている。 されたばかりの、しかも分裂の色を濃は、いぜんとしてドイツ政治のなかで たとえばヒトラーはこう書いてい くしていたナチ党が、同年一月の末ま勢力をもっていた。上層部の勢力あらる。 でには権力を掌握したのである。 そいの結果、弱体化した政府は、ヒト 戦争の結果に憤激する声で騒然としラ 1 の毒舌のマトとなった。かれにと 多数派は人を更迭することができ ている社会では、ナチの綱領スローガって政府は、賠償の恥、連合国にたい ない。多数派は無知の代表であるば ンは、自滅し裏切られたドイツ人の万する屈辱であるべルサイユ条約を結ん かりでなく臆病の代表である。 病にきく速効薬となった。仕事がなく だ不名誉の象徴だった。またそれは、 ユダヤ人は他民族の体内で成長す 目的もない国民は、好戦的な集団にひ一九一八年に″不敗の〃ドイツ軍を侮る寄生虫のように暮らす。 かれ、仲間意識をもった。暴徒たちは辱し解体させた " 裏切り ( の象徴であ ユダヤ人にたいする監視者とし 市街戦でうつぶんをはらした。党の会 り、同時にドイツの植民帝国を喪失さ て、わたくしは神の創造物をまも る。 議は感情的になって、改革の必要を訴せた象徴でもあった。 えた。これらのものたちがもっとも必 ヒトラー すべての人間文化の表明、あらゆ 要としたのは、うつぶんばらしの対象 の道徳律る芸術生産、科学生産、そして技術 となる犠牲者だった。 ヒトラーにとって唯一の道徳は、か の優秀さは、ほぼ独占的にアーリア ヒトラーは、かれらにその対象となれの運動に貢献できるかどうかという 人種の創造力の産物である。すぐれ るものをあたえた。あるときはユダヤことだった。かれは、このことを恥ず た人間性をつくりあげたのは、アー 人であり、あるときは共産主義者もし るところもなく『マイン・カンプ』の リア人種だけである。したがって、 くは社会民主主義者だった。ヒトラー なかで宣言した。それによると、ナチ アーリア人種は、人間ということは は、統一もできていない不安な状態で ズムの目標は、文字どおり判読しにく が意味するものの代表である。