第 5 注目されるアクテイプサスペンション の多くの現象も記憶できるように開発を進めることも可能である。少なくとも開発 実験車両については , 走行中の車両上でドライバーがコントロールの仕方や効 果を変史する方法も必要となってくるだろう。 当時のロータスチームの規模は小さかったが , わすか数ヶ月のうちに未完成 とはいいながらアクテイプサスペンションを組み上げて働くように仕上げた。その 改良版 MkII は , 3 年内にグランプリコースのグリッド上に姿を見せたのだ。そ れがロータス 92 である。これは重量が重く , 1983 年プラジルとロングビーチのグ ランプリに出場したが , 入賞は果たせなかった。しかし , この事実から誰もがア クテイプサスペンションに将来性があり , きっとロータスチームがそれを成功させ ると思ったに違いない。 アクテイプサスペンションが既に達成したか , あるいは近い将来達成すること ーーにあげてみよう。 になると思われる成果を ①従来のスプリング , ダンパー , スタビライザーの役割は , アクテイプの出現に より , 過去のものとなる。 ②搭載した燃料が走行距離の進むにつれて減少しても , マシンのライドハイト は変わることはない。グランプリマシンには大変有効な性能であるが , 他の方 法では不可能なことである。 ③プレーキング時のノーズタ。イプ , 加速時のスクオット ( 尻下り ) の両方の姿勢 変化を消去できる。 ④当面 , 全面的に消去することは誰も望まないが , コーナーでのローリングを打 ち消すことも可能である。 ⑤コースの路面状況 , 天候 , 高度 , 4 本のタイヤの接地面のべースラインなど が間断なく変動していく状況に , 刻々と微妙に対応して調整する働きをまっとう ⑥そして最後は , こうして成し遂げた仕事をあとで解析できるよう , すべてを記録 することで , 仕事を締めくくるのだ。 ロータス 99T は 1987 年モナコとデトロイトの路面の平坦でない市街地サーキ ットで , グランプリ界の最強のマシンを破り , アイルトン・セナのドライプによって 2 勝したはかに , 年間を通じポールポジションを 1 回 , その他もグリッドの 1 ・ 2 列を占め , イタリアグランプリではラップレコードを更新したほか , ファステストラ ップを 2 度記録するなど , 格段の進展ぶりを実証した。それも信頼のおけるチー ムメイト , ナカジマを犠牲にすることなく , セナ 1 人で 1 シーズン中に達成したの こうして輝かしい前途を思わせる素晴らしい成績をあげながら , この良いこと 1 2 7
第 5 章注目されるアクテイプサスペンション なかったから , マイクロコンピューターや各種のセンサーなど , 現代では当たり前 の手法を使えなかったのである。しかし , FI 界では、、待った〃は許されないし , そ のコストたるや莫大であったから , その規模も現在に比べまだまだ小さかったチ ームでは , 手に負えるものではなかったのだ。 ロータスのアクテイプサスペンションの手法は , シャシー側を静止しているもの としてとらえ , ホイールをどう動かせば最大効果が得られるか解析し , コントロー ルする道をとるのに比べ , ウィリアムズの方は , その逆の方法をとっているように 見える。つまり , ボディと空力的効果を重視して , 車高を路面に対して一定に保 つ方法を追求しているからだ。 チームにあって最初からこの課題に取り組んできた空カ専門のフランク・ダー ーは , 「我々の、、リアクテイプシステム〃は , ェアロダイナミクスの面から最大の効 果を得ることを狙っている」と , 述べている。「事実上 , これはプレーキング , コ ーナリング , あるいは空力の影響を受けて荷重が大幅に移動しても姿勢変化が ないように働く , ロードレベリングシステム ( 荷重平衡維持機構 ) だ」。 現実の FI マシンの静止時の地上高がわすか 1 インチ ( 25.4mm ) になって , のために数千から数万時間の労苦が費やされていることを鮮明に表わし , その 事実をよく踏まえた発言である。 現在までのところ , FI 界でアクテイプサスペンションのマシンが大きくアドバ ンテージを得るまでに至っていない。しかし , アンダーウイングが禁止され , 空カ 的な努力でコーナリングスピードを飛躍的に上げることがますますむすかしくな っていく状況の中にあって , アクテイプサスペンションに対する期待はきわめて大 きいものになっている。有力チームはいすれも開発に熱が入っており , 今後最も 注目されるメカニズムであることは間違いない。 1 3 5
第 5 章注目されるアクテイプサスペンション 1 3 1
づくめであると思われていたアクテイプサスペンションのマシンの開発をロータ スがなぜ中止したのかは , 誰もが不思議に思うことだろう。 今アクテイプの開発担当者は , システムが次から次へとアウトブットしてくる膨 大なデータの中から , プログラムをどんどん熟成していくには , 何を取り出せば 良いのかを選別しなければならない重要な時期にさしかかっている。 間題のありかたは , ピーター・ライトがみるように , ロータス 99T やヘンドリック が参画している IMSA ・ GTP のシポレー・ローラ / コルべットに装備されるアクテ イプのユニットにあるのでなく , これに携わるエンジニアのコンヒ。ューターコントロ ール技術にあるのでもない。 肝腎なのは , 、、何を〃、、いつ〃しなければならないかを正しく心得る人間の頭脳 にほかならないのである。しかもこの時期 , 巨大な GM がロータスというアクティ プの技術情報バンクを買った時点にあって , ピーター・ライトの率いるチームはそ の鍵を手にして意志を決定する場にいるのである。 すべての高級乗用車には , 将来それにふさわしくアクテイプライドが標準装備 となることは間違いない。自動車だけに限らす , 超高速鉄道車両を高速走行時 に内側に傾斜させ安定走行させることはもちろん , 荒地を走行する車両 , 4 輪 , 6 輪 , あるいは 16 輪を備えようとも , 車重を均等に配分して不整地を楽々と 走破させることが可能である。同様に , 大型トラック , 消防車 , 兵員輸送車 , 長距離バス , 建設機械等々 , すべてが路面を良くグリップし平坦に走行できる ようになる。ごく普通の乗用車や農耕トラクターが , 家族や荷物を満載しながら 高級車の乗り心地になったり , あるいは普通の乗用車をサーキットを走るレーシ ングカー並みのサスペンションに切り替えるのが , コンピューターのチップを差し 換えるだけでできるようになれば , これは想像するだけで楽しいことではないだ ろうか。 アクテイプサスペンションはコストがかかるものなので , 最初の段階からすべ ての乗用車に採用されるものにはならないだろう。製造コストを低減させるため には , アクチュエーター , そのバルプ , 汕圧ポンプ , 電子コントロールの類もす べて , 量産を可能とする技術を完成させることが必要になる。 いろいろな面から見て , 1987 年のロータス 99T のアクテイプサスペンションは 半完成品の域を出ていなかった。たとえば , FI マシンではコンべンショナルな ウィッシュボーンのジオメトリーをそのまま踏襲しているため , ホイールの動きに伴 ってホイールアングルはロールしないのであれば , 路面に垂直を保つ完璧なトレ ーリングアームにすればこと足りる。 1950 年の BRM ・ V16 に採用されたフロント のトレーリングアームは不運にも適所を得なかったが , それはアクテイプのなかっ 1 2 8
第 5 章注目されるアクテイプサスペンション ルたちを上回る要素をもてば勝てる FI の世界で , ロータスの試みは成功したと はいえなかった。 何故だろうか。、、出る釘は打たれる〃、、未完成の新機軸より徹底的に使い馴らし た古い機械の方が勝る〃という言い方があるが , ロータスがまさにそうだったのだ ろうか。はとんどフラットに近い路面を走行する限りは , 高度に熟成の進んだタイ ヤにサスペンションの成すべき役割りの大半を負わせ , サスペンション自体は はとんど役目を果たしてない現行のコンビネーションの方が , 結果として優れた 働きを見せている。 そうはいっても , レース以外の場では , 鉄道 , 航空機のランディングギア ( 脚 部装置 ) , 乗用車 , トラック , バス , 建設機械 , 農業トラクター等々およそ車輪 を持つものにはほとんど , 将来的にはこうしたアクテイプサスペンションが採用さ れることは間違いないと思われる。 現在のマイクロコンピューターによるエンジンマネージメントシステムによるフ ューエルインジェクションが出現する前は , 機械式のキャプレターが長い間使わ れてきた。いってみれば各ホイールを幾何学的なリンケージで結合したサスペ ンションにコイルスプリングと汕圧ダンパーを組み合わせた現行のものは , 電子 制御インジェクションに比較すれば , キャプレターのようなものである。その果た す機能はほとんど頂点をきわめるまでに至っているといえるが , 各部は完全に機 能しているかというと , 各部に 100 % 機能を果たさせながら全体のバランスをとる ことは , 現段階の水準以上には困難となっている。 4 本のホイールは必すしも路 面に対して垂直に保っているというわけではなく , 振動数はスプリングを柔らかく すればロールが大きくなるし , それを補うスタビライザーの機能も完全ではない からだ。 頭脳となるコンピューターがサスペンションに指令を発して , 乗り心地を良く すると同時にローリングするのを防ぐこともでき , 路面の凹凸をキャッチして車両 を水平に保ち , 常時タイヤを理想状態で作動するよう働かせるアクテイプの魅力 は傑出している。 ロータスは非常に早くからこれに注目して , この分野でのコンペテイターに対 して控え目に見ても約 2 年技術先行しているように思われた。コーリン・チャップ マンが最初にこのアクテイプサスペンションの開発計画にゴーサインを - 与えた 時は , ロータスの空カ専門家でグラウンドエフェクト開発担当のピーター・ライト ただひとりがこれにあたったが , 87 年には 30 名のチームに成長した。当初から航 空機の分野 , 特にクランフィールドエ科大学の航空計器グループのリーダーで あるディビッド・ウィリアムズと強力な提携関係をもって開発を進めてきた
第 6 煢マシン設計者とサスペンション 1985 年 WSPC モスポートからトニ - ・サウスケートの設計になるジャガー XU 日一 6 がテヒューし , スポーップロ トレースを一層活気づけた。サウスケートは 70 年代から活躍している FI やスポーッカーのテサイナーの一人てある。 る。外部の人には理解しがたいことであるが , スポーップロトタイプでは , その マシン全長をトンネルとして利用して , ダウンフォースを得るのが , そのまま認め られていたので , ジャガー XJR - 8 などは , フラットボトムとなった新レギュレーショ ンの途上で模索中の FI マシンより速いスピードを出せたこともあった。 1500CC ターボ工ンジンは 88 年には燃料使用量を 1502 , ターボ圧を 2.5 バー ルに抑制されたもののアンダーフロアをウイングとして利用して FI マシンの直 線路でのスピードは , それ以前のマシンとはとんど遜色なかったし , コーナリン グでもダウンフォースがよく効いて以前にも増して速く走れるようになった結果 , ラップタイムは再び短縮されていったのだ。 もちろん , 現在は 3.52 自然吸気工ンジンになっているが , 事情は同しであ 今後アクテイプサスペンション , 工ンジンマネジメントシステム , エレクトロニク スにより吸・排気のマルチバルプを強制的に開閉作動させるデズモドロミック・ システム等が技術的に成功すれば , パワーではターボェンジン時代の速さをと りもどし , アクテイプサスペンションによりコーナリングスピードはアップし , ラップ タイムは大きく向上する可能性がある。 139
付録サスペンション関連用語解説 キャスタ—(Caster) : アップライトを横方向から見て , 上端のヒ。ポットが下端のものより後方に傾 斜している ( 角度をつける ) ことをいう。 0 ~ 8 。後傾するのが一般的。角度を小さくすれば , ステアリングホイールの操作力は小さくなり , 角度を極度に大きくとるとハンドルの操作力は 重くなる。 センター・オプ・グラビティ (Center of Gravity) : 重心車両を横倒しにしても転倒させても , 正常な位置に置いた場合でも , 完全にバランスを保って静止していられる車両全体の中心 点。正確にその所在をつきとめるのはむすかしいが , 近似点は推定できる。 チャンネル (Channel) : 一組の電子的信号が前後に走る路線。 チャッブマン・ストラット (Chapman strut) : マクファーソン・ストラット ( 通常はフロントにあって 操舵される役目を担う ) をリアサスペンションとして備えたもの。コーリン・チャッブマンが初 代ロータスエリートに初めて用いた。ハプの延長上にコイルスプリング / ダンパーの一体型 を取り付けたもので , この位置決めはシャシーからリンクアームを出して固定される。 クローズドループ ( CI ( ) sed loop) : フィードノヾッグループと呼ばれることがあるが , この場合 ( ア クテイプサスペンション ) は , アクチュエーターとこれに指令信号を発信する中央のコンピュ ーターを結ぶ閉鎖回路をいう。 コイル (Coil) : スプリングの項参昭 コンタクトパッチ (Contact patch) : タイヤの接地面。 コーナーウェイト℃ orner weight) : 車両の全体重量のうち , あるホイールタイヤの接地面で 受けている分担重量。フロントの左右は均等重量を分担しなければならない。リアも同様。 ダンパ—(Damper) : ショック , ショッカー , ショックアプソーバーとも呼ばれるもので , スプリン グの自然な振動をコントロールする。通常は筒の中に充瞋されたオイルがピストンの動きによ り流動するのを , 精密に設計製作されたバルプが制御することで機能する。このバルプは 固定式のもののはかに , 広範囲に調整できる方式もある。また , 別置きのェアタンクを備える ものもある。 ド・ティオン・アクスル ( チュープ ) ()e Dion axle ()r tube)) : デフ / ファイナルキ、アケースをシ ャシー側に取り付け , 両側のハプはソリッドあるいはチュープにより保持される型である。フラ ンスのド・ディオン伯爵または彼のメカニックであった M ・プートンによって考案されたことに よりこの名称がついた。 ドループ ( Dro 叩 ) : 車両の静止位置から , ホイールが下降する運動をいう。リバウンドともいう ( バンプの項夫 . 昭 ) フラップ ( FIap ) : ウイングの後退部にあって , ダウンフォースを調整するのに , この部分の角度 を変える。 グロスウェイト (Grossweight) : 車両の全重量であるが , レギュレーションが、、ドライ〃と規定す る場合は , 冷却水 , 燃料 , オイル , ドライバーを含めないが , 設計計算をする場合は , 逆 にこれらのすべてを含めて行う。 ・フラップ (Gurney flap) : ウイングの後退部に設けられ , その端部は垂直に立てられ る。ウイングの下部に空気の渦巻を起こさせ , ある役目をするといわれる。アメリカ人ドライ ーが最初にやったことからきたのであろう。 ノヾーのダン・ガー ヒープ (Heave) : ロータスのアクテイプサスペンションで使われるモデルのひとつの型で , 4 つのホイールが同時に同じスピードでバンプかドループ ( リノヾウンド ) する状態を呼んでいる。 瞬間ロールセンター (lnstantaneous Roll Centre) : 理論上空間にあるもうひとつのロールセ ンターで , 車両の運動に伴って移動し , 目には見えない一点である。上下と左右のサスペ ンションアームの延長線上の交点とタイヤの接地中心を結ぶ線上にあり , この線を左右で 描いた場合の交点。したがって , ロール時にはロールセンターは車両の垂直中心面にはな い。この点を中心として , ホイールはバンプやリバウンドする時に , 回転するといわれる。ロ
5 アクテイプサスペンション ( スプリングレス ) 汕は , タ。ンパーのフルード ( 液体 ) として長い間使われてきた歴史があるが , ロータスは汕圧シリンタ。ーにダンパーの役目のはかにコイルスプリングの役目 も担わせ , このシステム全体をコンピューターでコントロールさせるという , 史上 初の、、アクテイプ〃 ( 生命体のように活動するという意味の ) サスペンションを開発 しロータス 99T ・ FI マシンに採用して 1987 年のグランプリレース全戦に出走 させた。当時の FI ターボェンジンの場合と同様 , その登場は驚異の目をもって 迎えられたが , レースで優勝して初めて , その機能が優れていることが実証さ れるまでは , さまざまに取り沙汰されたのであった。このアクテイプサスペンション に関しては別に章を設けて述べることにする。一般には知られなかったことであ るが , ロータス・ホンダがアイルトン・セナのドライプで 87 年のモナコ GP で優勝 を飾るすっと以前の段階で , ウィリアムズチームも公開でテストを続行しており , またマクラーレンチームも油圧シリンタ。ーにスプリングの役目をさせたアクテイプ とそう違わない方法を秘密裡に実験していたのである。 6 コイルスプリング 寄り道をしてきたが , レースの世界をはじめ今日ではどこにも見られるコイル スプリングにやっとたどり着いた。自動車レースが始まって一世紀近くになろうと する間 , リーフスプリング , トーションバー , ラバー , 空気圧 , 汕圧など考えら れる限りの素材が弾性体として試されてきたが , その中でコイルスプリングが , なぜ今日その優位性を保っているのだろうか ? その利点をリストアップすると , ①軽いこと , ②コンパクトであること , ③コスト が高くないこと , ④長さや径を変えてばねレートの異なるものを作るのが容易で あること , ⑤製法や使用方法に関するノウハウは無限といっていいほどたくさん あること , などである。 通常 , コイルスプリングはその外径寸法を精確に設定された高品質の円型 断面の鋼材から作られる。鋼材の棒はいったん焼きなましされた後 , 使用目的に 応じてばねレートや自由長 , 圧縮長 , 線径 , 中心径 , あるいはテイバーをつけ られたりしてコイル状に巻かれる数などが決められる。最後に , 使用中に折損し たり、、へたり〃が出ないよう焼き入れをすれば , その耐久性や信頼性は , 一般の 乗用車では最初に装着したら二度と交換の必要はないはど , 完全なものができ 上るのである。
第 1 章サスペンション性能とレーシングカー 2 1 場のパドック通いをするマニア , あるいはグランプリカー , ルマンのスポーップロ る。これからサスペンションの設計者になろうとする人 , 理工系の学生 , レース ではあるがたぐっていけば , 通れる細い道があることを示すのがせいぜいであ できるわけではなく , ただ太陽の光の届かないジャングルの暗闇の中を微かに い。しかし , 本書をこれから読まれる方に , サスペンションの魔術を解く鍵を提示 たるレースで優勝したいという意欲と , チャレンジ精神があるからにほかならな わからないことに , 汗水を流し , 長い間頑張り続けるのは , ひたすら世界に名だ のかの境目は , ますます見えにくくなってくるのである。こうして成功するかどうか くしてトライされたサスペンションの成果が果たして成功するか , 失敗に終わる ることであっても , その他大勢には理解ができない場合も , 往々にしてある。か 場の違う人にとってはそうではないことが多いように , ある人には明確に認識でき 努力を重ねている。ある人にとっては最適の条件と考えられることであっても , 立 るいろいろな目標の中から , 何とかしてうまくバランスがとれるよう , 日夜懸命に サスペンションを設計する人や製作する人たちは , 現実に相反したり矛盾す が立てられない状況である。 題がいくつもあり , それが成功するのを見られるのがいつのことか , まだ見通し させる状態に至らないのである。アクテイプの世界では未だに克服しきれない問 も , 一週間あるいはワンシーズンを通してトライしても , そのすべてを完全に作動 問題点が多く , コンピューターの力を借りても , レースデーの一日を費やして 調整装置が組み込まれていることである。このシステムについて現状では , まだ ーが作動する代わりに , あたかも生命体のように , 路面の変化に即応する汕圧 唯一アクテイプサスペンションが異なっている点は , コイルスプリングとダンパ も , その基本原理は何ら変わるところはない。 めているアクテイプサスペンションの世界についても , あるいは現時点にあって の , その基本となっている原理は同しである。これは将来的に大きな可能性を秘 ンションは , いすれも機能や構成素材 , あるいは仕組みに多少の違いはあるもの 以上のように , 現役でそれ相応の成績をあげているレーシングカーのサスペ ヤが種々の弧を描いて運動する幾何学的軌跡のもたらす効果を設定している。 5. はっきりとは目に見えないが , リンクの運動する幾何学的軌跡とホイール / タイ しもではないが通常は備える。 4. 車体の横方向の傾斜運動をある程度規制するためのスタビライサーを , 必す 併用パルプを備えたダンパー ( ショックアプソーノヾ 3. コイルスプリングの往復運動を規制するための油圧 , あるいは油圧 / ガス圧
レーシングカ - のサスペンション 目次 第 1 章サスペンション性能とレーシングカー 第 2 章スプリングの種類とスタビライサーの働き 第 3 章サスペンション形式及び構成部品 第 4 章多様な要素か錯綜するサスペンション 第 5 章注目されるアクテイプサスペンション 第 6 章マシン設計者とサスペンション 第 7 章マニアのためのサスペンション設計入門 第 8 章荷重の移動及びロール剛性の計算 第 9 章アマチュアのためのサスペンションセッティング 付録サスペンション関連用語解説 装幀 P. 4 P. 24 P. 56 P. 90 P 』 6 P. 136 P コ 60 P. 186 P. 202 P. 216 藍多可思