ガプチィーク - みる会図書館


検索対象: 大虐殺 リディツェ村の惨劇
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1. 大虐殺 リディツェ村の惨劇

クラインは、このまちぶせからのが肥 くるぞ、という合図をおくった。 部長官を兼務していたか ところで暗殺者たちは、メルセデスれるために、自動車のスピ 1 ドをあげ らである。 その日メルセデスを運転していたのがくるまえに、もうひとつの連絡をうて走りぬけようとはせず、自分の拳銃 は、彼の専用運転手ではなく、護衛のけとっていた。それは「ハイドリヒはをひきぬいて暗殺者に発砲した。 このため、メルセデスのスピードが ひとりでくる。武装した護衛隊はつい 〔親衛隊〕曹長クラインであった。 家族の見おくりで、ハイドリヒの出ていない」という最新の情報で、べつおちて、クビシュの目の前にきた。ク ビシュは、ガプチィークの銃が発砲し 発がおくれたが、彼は護衛隊の同行をの車でとおりすぎた抵抗運動の連中が ないのにびつくりしたが、まったく冷 ことわった。というのは、護衛隊が同ったえてくれたのである。 ガプチィークとクビシュは用意をと静で、手榴弾の。ヒンをぬいて、メルセ 行すると、なおさら時間がおくれてし デス目がけてなげつけた。 まうからである。クラインは、プラハ とのえた。彼らは、ハイドリヒのメル 手榴弾で、ハ にむけて、できるだけいそいで車を走セデスがちかづいてくるのを見た。そ イドリヒ負傷 して車が数メ 1 トルのところまでちか らせた。 自動車は、大破してその場にストッ いつぼう暗殺者たちは、副総督の到づいたとき、ガプチィークは道路から プした。そして負傷しなかったクライ 着を、じりじりしながら待っていた。電車の線路に飛びうつり、レインコー ンは、拳銃をもって車からとびおり、 トの下からステン短機関銃をひつばり ・ハルチィークは、イライラしながら、 ″不運な〃ガプチィークを撃とうと、 つぎからつぎにタ・ハコをすっては地面だして、メルセデス目がけて引き金を 追いかけた。 にすてていたが、突然、スピードをあひこうとした。 ガプチィークは爆発を見て、自分の いっぽう同時に、自動車を運転して げて走ってくるメルセデスが視界には いたクラインも、ガプチィークが銃で銃が役にたたなかったことを、やっと いってきた。 さとった。彼は銃をなげすて、道路を とっさに彼は、ポケットからくしとねらっているのに気がついた。しか 小さな鏡をとりだした。そして丘の下し、銃からは弾丸が飛びださなかっ町のほうにむかって走りだし、そのあ とをクラインが、ムチャクチャに発砲 こ。銃が故障していたのだ。 のほうにいる同志に、車がちかづいてオ

2. 大虐殺 リディツェ村の惨劇

暗殺現場 : ガプチィークのステン短機関銃は作動しなかった が、クビシュの投げた手榴弾によって、車はストップした

3. 大虐殺 リディツェ村の惨劇

ったものであった。 のだ。 いう事態がたびかさなった。 こうしてロンドンは、さらにおおく そのひとっ″シル・ハー″は、・ そして三つめの " アンソロポイド″ の工作員と設備をチェコにおくりこま ・ハルトシュ少尉、・・ハルチィーク見〔類人猿〕とよばれるグループは、ヤ ン・クビシュ、ヨセフ・ガプチィーク なければならなくなった。 習曹長、・ポツウチェク通信士の三 極秘 ! ハイドリ人で構成され、その任務は、抵抗運動の二人の見習曹長だった。この二人に ヒを暗殺せよとの接触をふたたび確立し、ロンドンは、極秘の重要任務があたえられてい さて一九四一年十二月、さらに三つとの連絡を確保することだった。 た。それは、この年の九月にポへ、、、ア また″ンレヾ ・モラビア保護領の副総督に任命され の特殊工作班が派遣された。それはこ 、ノノーは、じっさいに た、ラインハルト・ ハイドリヒの暗殺 れまで占領下チェコに降下した工作班送信機を携行しており、それをつかっ のうちでも、もっとも重要な意味をもて連絡をとる任務があたえられていたであった。 ョセフ・ガプチィーク見習曹長

4. 大虐殺 リディツェ村の惨劇

、ハイドリヒがとおった経路 パネンスケプジサ毒ーから ストジェル、 イ トロイスカ 、 . ・。チィークのいた地 ベビ " 市の中心部へ V ・ホレショビチェカーハ 停留所 ガプチィークとクビシュの 襲撃地点 ハイドリヒ襲撃現場 しながら追いかけていった。 この追跡は、かなりながい時間つづ いた。しかし、ぎやくにガプチイ 1 ク が自分の拳銃をひきぬき、クラインに 数発命中させ、彼を撃ちたおした。そ れからガプチィークは、プラハにむか う電車にとび乗って、現場から姿を消 した。 いつぼうクビシュは、あまりに近距 離から手榴弾をなげたので、自分もそ の爆発で負傷してしまった。彼の顔か らは、血がたらたらとながれだしてい こ 0 しかし彼は、道路を横ぎって、必死 で自分の自転車のところまで走ってい った。そのあとを負傷したハイドリヒ が追いかけてきたが、ハイドリヒはあ暗 の まりのショックで、彼を撃っことがで ヒ きなかった。 クビシュは、自転車にとび乗り、傷イ 口からあふれでる血で、ほとんど目が 見えなくなりながらも、いそいで町の

5. 大虐殺 リディツェ村の惨劇

四人の工作員も、最後の弾丸で自決に、ハイドリヒ暗殺の捜査が成功のう自分たちの行為によって生まれた人命 ぎせい したのであった。 ちにおわった、と放送した。 の犠牲に、ぞっとしていた。 またもやチュルダが、死者の身元を 別の村にも ガプチィークとクビシュは、チェコ 確認し、そのなかからガプチィークと 報復行為を政府の対独協力者の大臣モラベツツ ハルチィークを指摘した。 チュルダが同志を裏切った理由のひ〔ロンドンのチェコ諜報部長とは別人〕に面 フランクとゲシュタポは、ハイドリ とつは、ドイツ側の虐殺を中止させよ会して、自分たちが暗殺犯人であると うとかんがえたためであった。 ヒ暗殺にたいする復讐が完全にはたさ 言明し、そのあとで大臣を殺して自決 れたことを、はっきりと確認した。 じつは、ハイドリヒを暗殺した〃アする計画をかんがえた。 六月十八日夜、チェコ放送局は正式ンソロポイド″特殊工作班の連中も、 しかしオ。ハールカ少尉は、そんなこ 四発の銃声がなりひびいた。それが、ハイドリヒ暗殺事件のフィナーレだっ た【自決した四人の工作員の死体は、身元確認のため道路にならべられた 1 0

6. 大虐殺 リディツェ村の惨劇

ステン短機関銃 2 型 この銃は生産が容易て安価なため、イギリスて大量に生産され、ヨーロッパ各地の抵 抗運動グループの主力兵器として使用された。ところが、送彈不良をおこしやすいと 初速 : 毎秒 385 メートル全長 : 76 センチ重量 : 3 キロ 口径 : 9 ミリ発射速度 : 毎分 500 ~ 550 発給弾方式 : 32 発入り箱型弾倉 いう欠点をもち、ガプチィークのときも発射しなかった 〇 1 2 1 2 3 4 5 4 5 引き金 引き金ビン 復座バネ 後方照準具 鋼管製銃床 8 6 9

7. 大虐殺 リディツェ村の惨劇

定をおこない、これがイギリスの連絡 官たちによっても承認された、という 説もある。 しかし、利用できる資料としては、 最初にあげた、ロンドンでひらかれた 軍事会議の議事録があるだけにすぎな い。 それによると、モラベツツ大佐、 ルティ 1 ク中佐、。ハレチェク少佐、ク ルチェク少佐たちが、ガプチィークと スポポダの両見習曹長に、その任務に ついてくわしく説明した。 しかしその直後に、スポポダが負傷 したことと、悪天候によって、この緊 急任務は延期された。 そしてスポポダにかわってクビシュ がえらばれ、″アンソロポイド〃とい う隠語名の、あたらしい暗殺要員が、 チェコに降下する準備をととのえた。 出発する直前になって、ふたりは、フ ランクではなくハイドリヒを殺すよう に、との最終的訓令をうけた。 ハンドレーベージ「ハリファックス」爆撃機 : 特殊工作員 を、イギリスからチェコ本国に空輸するのに使用された

8. 大虐殺 リディツェ村の惨劇

暗殺事件のおきるすこしまえ、プラハを 訪れたドイツ国防軍諜報部長官カナリス 提督 ( 中央 ) を案内する、フランク国務相 ( 左 ) とハイドリヒ副総督 ( 右 ) がくわわった。ふつう護衛隊は、ハイした場所をさがしだそうとした。 ドリヒの自動車が彼の執務室のあるフ 最初彼らは、ハイドリヒが護衛もっ ラッチャニ 1 城に着くまで、ついていれずに、しばしばでかけてゆくメルニ った。 イクのちかくで、彼を生け捕りにしょ さてクビシュとガプチィークは、 うとかんがえた。 イドリヒの住んでいる。ハネンスケプジ つぎの計画は、彼の部屋に爆弾を仕 工ザニ 1 村をおとずれて、自動車と運かけるか、あるいは彼がときどきでか 転手を観察しはじめた。そして彼らける、プラハのホテーク公園のちかく そげき は、ハイドリヒの自動車が毎日とおるで狙撃する案であった。 道をたどりながら、暗殺にもっとも適また彼らは、襲撃にもっとも適した 場所は、。ハネンスケプジェザニー村の はずれで、自動車が丘をのぼるために 速度をおとすところがよい、とかんが えた。 しかしここは、護衛隊にあまりにも ちかいので、彼らはプラハ郊外のリ 1 べニホレショビチエキーをえらんだ。 最終命 令下る 五月十九日と二十日に・ハルトシュ少 尉は、″アンソロポイド〃にあてた二 通の特別暗号の電報をうけとった。そ

9. 大虐殺 リディツェ村の惨劇

教会のちかくに住むすべての住民は 追いだされ、教会の二人の牧師、ベト ジェクとチクルが逮捕された。 そして、チクル神父が、教会のカギ をあけるよう命令されているあいだ に、ゲシュタボの一隊が、教会の反対 ドっし 側にある教区事務所に乱人し、いつで ンぎ開 ( を : 、 アか展第 , も攻撃できる態勢をとった。 ・ - にを いつぼう教会内には、オ。ハールカ少ルポ戦ー : リタ撃 尉をリ 1 ダーにして、全部で七人の特シ、銃 聖シい 殊工作員がかくれており、ドイツ側ののゲし ハを激 襲撃を待ちかまえていた。この連中 プト」 4 は、ハイドリヒを暗殺した・ハルチィー 、ジ手 ク、ガプチィーク、クビシュの三人たア相 い、を と、シュ・ハルツ、ビュプリーク、フルての t-O めこ CD ビーの予備工作員であった。 ひ部精 その夜は、オ。ハールカ、クビシュ、 を内の 身のチ シュ・ハルツの三人が見張りにあたって が会ナ いたが、彼らは教会内のたかい聖歌隊教 席にいた。ここは教会の人口と外側の員ウら 作イ彼 道路の両方を見わたせる、絶好の場所エデた 特メら であった。 155

10. 大虐殺 リディツェ村の惨劇

暗殺要員チ エコに降下 一九四一年十二月一一十八日の午後十 時、 " アンソロポイド〃のふたりは、 " ンル・ハー〃および〃ンルヾ 両特殊工作班とともに、イギリスのハ ンドレ 1 ペ 1 ジ「ハリファックス」爆 撃機に搭乗して、イギリス南部のサウ サンプトンにちかい、タングメア飛行 場を飛びたった。 カナダ人の搭乗員が、あらかじめき めておいたチェコ内部の三つの地点 に、彼らを降下させることになってい こ 0 しかしどのグループも、予定してい た地点に着地できなかった。 " アンソ人口密集地域であった。さらにわるいに、ピルゼンにむかって歩きはじめた ロポイド〃は、予定されたポヘミア西ことに、ガプチィークは、着地のさいが、まもなく、自分たちがまちがった 足首を負傷し、はげしいいたみをかん場所に着地したことに気づいた。 部のピルゼンちかくでなく、プラハ」 じていた。 そこで彼らは、地下運動の連中と連 方一六キロの地点に降下した。 彼らは、爆薬と火器の箱を携行して彼らはパラシュートをかくし、飛行絡をとることよりも、まず自分の身を いたので、。ハラシュート降下はきわめ服やヘルメットを、ちかくの野原にあまもらなければならなかった。彼らは った小屋にしまい、夜が明けないうち安全に身をかくす、適当な森をみつけ て危険であった。しかも降下地点は、 3 一イ 、アンソロポイド特殊工作班に、そ の任務を説明するバルティーク中佐