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検索対象: 日本大百科全書 3
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1. 日本大百科全書 3

えつくす ③ ① ② 〔銀河系外の線天体〕銀河系外で強く X 線を通、薄膜の窓をもっガス封入式 X 線検出器が用 また、透視時に X 線テレビジョンに描出さ 出す天体は直星状天体 ( クエーサー ) やセイフ いられる。また、個々の X 線源を区別して観測れる画像を、ビデオテープなどで録画して反復 5 アート銀河など活動銀河とよばれるものであするために、 X 線検出器の前に、視野を制限す観察することもでき、診断能の向上に役だって る各種のコリメーターが置かれる。 〈大友邦〉 る。これらの X 線の強さは中性子星を伴った X 線天体に比べてさらに一万倍から一〇〇万倍に 一方、普通の星や、たとえば活動銀河のよう線分析ェックスせんぶんせき X-ray anal- も達する。活動銀河は電波や光でも観測されて に本来強い X 線を放射していても距離が遠いた ysis x 線を利用した分析法の総称で、主とし いるが、 X 線はこれらの中、い核により近くの高めに X 線が弱く、雑音に埋もれて検出が困難なて、蛍光 X 線の発生、 >< 線の吸収・散乱などの エネルギー状態の領域から放出されていると考対象の場合は、反射方式の X 線ミラー望遠鏡が 諸現象が利用されている。 X 線検出器の前に置かれる。これによって雑音 えられる。この天体も日・月・年の時間スケー 〔蛍光線分析〕試料に x 線を照射した際に、 ルでの変動がみられるが、 X 線領域ではもっとを少なくして弱い X 線源までを観測するだけで試料中の元素から発生する元素固有の蛍光 x 線 短い変動も観測されている。活動銀河の中心に なく、 X 線源の像やスペクトル分析も可能になスペクトルの波長とその強度から、元素の種類 つ「 0 は太陽質量の一〇〇万倍ほどの。フラック・ホー オただし X 線ミラーでは波長が短い X 線 と含有量を知る方法。発生したスペクトルの測 ルがあって、そこにガスが落ち込む過程で高温 ( 二オングストローム以下 ) になると有効な装定には x 線分光器および種々の x 線計数装置を こんとん の混沌領域ができ、そこから X 線が放出される置をつくることがむずかしくなる。 用いる。元素固有の蛍光 X 線の発生には電子線 と考えられる。しかし、活動銀河に関しては、 X 線天文学は今日あらゆる種類の天体を対象や放射線も使われるが、直径一メートル以下 中性子星を伴った X 線天体に比べてはるかに末としている。これまでは探索と発見の時代であの電子線束を試料表面の任意の場所に照射し、 知のことが多く、今後の研究に負うところが多ったが、将来は X 線による精密な観測に基づ く照射された微小部分からの蛍光 X 線を利用する ↓ X 線天文学 〈松岡勝〉星の進化と終末のシナリオや、光や電波では見方法を X 線マイクロアナリシスという。また、 宇宙かえない遠い宇宙の構造の解明などが期待されてこの一連の装置を X 線マイクロアナライザー 線天文学工ックスせんてんもんがく いる。↓ x 線天体 らくる x 線を観測し、天体を研究する天文学の 〈松岡勝〉 ( X <t ) または電子線マイクロアナライザー とよぶ。試料の微小部分の分析が 一分野。宇宙からくる x 線は大気に吸収されて線透視ェックスせんとうし x 線検査の一 地上まで到達できない。 したがって、 X 線を観種で、人体に x 線を照射して得られる情報を光できる点、試料上を電子ビームで走査すること 測するためには、観測装置を大気圏外域にあげ学像に変換し、これをフィルムに記録せず人間 により、試料表面の、ある元素の濃度分布を一 なければならない。一九六二年、アメリカのジ の視覚だけで観察、診断する方法をいう。光学次元または二次元的に求められる点などに特徴 がある。 ヤコーニ R. Giacconi たちは、ロケットに X 像への変換は従来蛍光板装置で行われていた 線検出器を載せて天空を走査したところ、太陽が、これでは画面がきわめて暗くて暗順応を必 〔線吸収分析〕照射した X 線が試料中の元素 以外の強い X 線源を発見した。その後、ロケッ 要とするほどで、検者と被検者の双方とも x 線 によって吸収される現象を利用した方法をい の被曝も多かった。現在は X 線蛍光増倍管を備 、気球、人工衛星によって、宇宙にある種々 、単色 X 線や連続 X 線の吸収量から定量を行 の天体からの x 線が観測された。こうして、太えた x 線テレビジョンが導入されて画面が明る う。また、試料中を透過した X 線を写真に撮影 くなり、被検者の X 線被曝の軽減と解像力の改して試料の組織を調べる方法をラジオグラフィ 陽だけでなく ( 太陽 X 線は一九四八年に発見 ) 、 ーとよんでいる あらゆる種類の天体が X 線で観測され、 x 線天善による診断能の向上が可能となった。また、 〔線回折分析〕結晶は原子が三次元的に規則 文学という新分野が開けた。 遠隔操作装置と連結させることによって検者の x 線天文学によって、変動の激しい高エネル 被曝はなくなり、同時に多人数で観察できるよ正しく配列しており、これに単色 X 線を照射す ギー現象や、光では見えない部分の構造が見ら うになったことは医学教育の向上にも役だってると、各原子によって散乱された X 線の間に干 れるようになり、光や電波ではわからなかった 渉がおこる。この回折現象を利用する方法であ 宇宙像が展開された。また中性子星やプラッ X 線透視は主として造影剤を用いた X 線検査る。この結果、得られる X 線回折格子図形は、 結晶形、結晶空間に特有であり、結晶性物質の ク・ホールを伴った連星などの天体は X 線天文時に、目的部位が正しく造影されているかどう 学によって登場し、活動銀河や銀河団もそれら かを観察する役割を果たしており、透視に引き同定、定量、構造解析を行うことができる。 >< の高エネルギー領域から出る X 線の観測結果に 続いて行う X 線撮影で得られた画像は、細部に 線の測定には通常の光吸収分析と同様に、線 よって進展し、従来の天文学は大きく書き換えわたる詳細な検討が可能であり、診断を決定す源、分光器、検出器が必要である。線源には X られてきた。 リウムを服用し るために必要な場合が多い。バ 線管が用いられる。分光器には、蛍光 X 線分析 の , 発近爆観強ギ X 線天文学の対象は、まず X 線を強く出す特て行う消化管の X 線検査では、透視は被検者にでは石英、フッ化リチウムその他の単結晶が、 2 発爆心線じ線ル 体位変換をさせたときのバリウムの動きを観察 X 線回折では薄い金属箔などが用いられる。検 ン爆②中 >< 同 x ネ異な天体であった。これらは中性子星やプラッ たエよ カ ク・ホールを伴った天体で、われわれの銀河系し、目的領域をくまなく検討できる X 線フィル出器はその目的や波長、装置の種類などによっ 前後点③べす高に 比示の星 タス発発い ~ には二〇〇個余りが知られている。これらの天ムを得るために必要な撮影の機会を決定する役て写真、比例計数管、計数管、シンチレー 体団一爆爆る①でを < 衛 天星バ線③明。間化 U) 文体からは波長が数オングストロームの x 線がも 割を果たしている。同様に血管造影法、気管支ション検出器、半導体検出器など種々のものが せきずい 線状線 x の源時変 < 天 >< 球 >< ①中く発測度一 っとも強く放射されており、その観測には、普 造影法、脊髄造影法などにも欠くことができな用いられる。 0 0 ひばく

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えつくす X 線 〔図 A 〕放電管 陽極 ① 〔図 B 〕ガスイオン X 線管 圧 電 高 イオン調節装置 陽極 B 陰極 加速された電子 真空排気 X 線 金属ターゲット C ガラス容器 7 陰極 E X 線 〔図 F 〕原子のエネルキー準位間の遷移 〔図 C 〕 X 線の吸収係数 0 原子核② 0 電子 ↑吸収係数 X 線 0 波長→ 〔図 D 〕 X 線のスペクトル 0 會強度 電子ビーム 〔図 G 〕 X 線の回折 X 線写真 ①初期 ( 1896 ~ 97 年 ) のころの X 線写真 ②電話機とその x 線 写真 ③食虫植物サラセニ アの X 線写真 ( 葉の中 の虫も写っている ) 反射 X 線 波長→ 〔図 E 〕連続 X 線の発生 0 0 X 線 電子 0 原子面 電子ビーム 0 X 線 空 真 原子面 物体 0 電子 0 磁場や電場によって急に曲げても強力な X 線が 得られる。たとえば、茨城県筑波の高エネルギ ー研究所に一九八二年 ( 昭和五七 ) に完成した フォトンファクトリ ( 放射光実験施設 ) では、 加速器で加速した電子を円形に走らせ、これに よって強力な X 線が得られる。この種の X 線は ( ソール ) 光という。 〔線の性質〕発見当初からわかっていた線 の性質のおもなものは、①蛍光物質を光らせ る、②写真作用をもつ、③光のような直進性が ある、④空気を電離する、⑤物質をよく透過す る、⑥透過のよい硬い x 線と透過の悪い軟らか い X 線がある、などであった。 X 線はエネルギーの大きい光子からできてお り、これが原子に当たると、光電効果によっ て、原子内電子をはじき飛ばし、原子をイオン 化する。これは①②④の性質と対応する。硬 、 X 線はエネルギーの高い光子のことで、これ は物質をよく透過し、反対に軟らかい線はエ ネルギーの低い光子からできており、これは物 質によって吸収を多く受け、透過しにく、 質での吸収されやすさを表すのに吸収係数があ る。吸収係数の波長依存性は図のようになっ ている。これによって、波長の長いほうが吸収 されやすいことがわかる。なお、吸取係数にぎ ざぎざが現れるのは、ちょうどイオン化エネル ギーと合致するところで、ここだけが多く吸収 を受けるのである。さらに、吸取係数は物質の 密度に比例することもわかっている。密度の大 きい物質はど線は透過しにくい。線を人間 の手に当てると、骨の部分だけは他の組織より 極端に密度が高いので、この部分は透過しない で、影が写る。 〔連続線と固有線〕クーリッジ管から放出 される x 線のスペクトル、すなわち波長の関数 としての強度の変化をとってみると、図に示 すようになる。全体としては、左で切れている なだらかな山になっているが、数箇所で急に立 ち上がっている。これは、 x 線が、異なる二つ の発生機構によって放出されていることを暗示 する。一つは、ある波長より大きい波長なら ば、連続的にどんな波長の x 線でも放出してお り、この意味で放出 x 線は連続 >< 線である。も う一つは、波長がある値石、んだけであるよう な、強い x 線である。すなわち不連続な X 線で ある。 連続 x 線発生のメカニズムは、詳しく考えれ 5

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こつずい らんそう は放射線感受性は低く、骨髄、卵巣、精巣、置である。結晶構造の精密な研究には、多くのれ蒸発する。このため、一ミリメートルの直径のであり、原子に入射すると原子内の電子を強制 電子線の焦点をつくるときの最大許容電力は、振動させ、その結果、入射 X 線と同じ波長の X 場合これを利用する。 腸、皮膚では放射線感受性は高い タングステンで六〇〇ワット、銅で一〇〇〇ワ線を全方向に放射する。一方、結晶中における x 線を含む放射線の強さを表す単位は複雑で④デバイーシェラー法 ( 枌末結晶法という ) 近接原子間の距離は一〇〇ビ。メートル程度の大 ット、鉄で二〇〇ワット程度となる。 ある。キュリーという単位はラドン (Rn) 一粉末試料や多結晶質の物質に適用する方法で、 なお、特殊 x 線管として、強い x 線を発生すきさである。このため、結晶に入射した X 線 の放射能の強さ、レントゲンという単位は一単色 x 線を用いて試料からのデバイーシェラー は、原子内の電子との相互作用で全方向に散乱 キログラムの空気に放射線が当たり、 1.6X10 一。環に相当する回折 x 線を写真法あるいは x 線回るため対陰極を回転させる回転対陰極 X 線管、 されるが、結晶内に規則的に配列している原子 個の電子を原子から吹き飛ばす放射線量のこと折計によって記録する。↓回折↓プラッグ反二次電子を強く発生する二次 X 線管 ( 蛍光 X 線 が回折格子の役割を果たし、その格子によって である。放射線の強さを表すものとして、最近射↓デバイーシェラー環 〈三宅静雄〉管ともいう ) 、焦点の半径が〇・〇一ミリメート ル以下という微小焦点 x 線管などがある。↓回折された x 線だけが結晶外部へ放射される。 ェックスせんかん X 線を発生させる ラド、レムという単位が用いられる。一ラドと線管 〈岩田倫典〉 結晶による X 線の回折は一九一二年ドイツの は、一キ。グラム当り、〇・〇一ジュールのエネための電子管。電子を発生させる陰極と、電子線 ラウェによって初めて観測され、ついでイギリ ルギーを物質が吸収するとき、この放射線の強流を受け止める対陰極を備え、電子を高電圧で線間接撮影ェックスせんかんせっさっえい スのプラッグ父子、デバイ ( オランダ↓アメリ さをいう。一レムは、 X 線の場合、ほば一ラド 加速し、これを対陰極に衝突させて X 線を出す人体を透過した X 線の蛍光像をカメラで撮影 と同じである。動物は二〇〇ラドから一〇〇〇仕組みになっている。 x 線には、対陰極に電子し、写真的に記録する方法で、胸部の集団検診カ ) らによって研究が発展し、結晶内の原子配 ラド、あるいはそれ以上の照射では、一〇日間 が衝突するとき電子工ネルギーが変換されて発用に開発されたもの。透過 x 線像をそのままフ列が観測によって決定されるようになり、その 以内で死亡する。二〇〇ラド以下の照射では、生し、連続スペクトルをもっ連続 x 線と、対陰イルムに記録する直接撮影法と比較して、間接成果は、物理学、化学、鉱物学はもちろん、生 すぐ死亡することはないが、子孫に対してよく 極の原子内にある電子が加速電子によってかき写真フィルムは小形であり、費用が安くて保管物学的に重要なタンバク質などの物質の構造解 も容易、しかもフィルムの交換をそのつどする析によって、生物学にも大きな影響を及ばして ない影響を与える。放射線が動物に照射される乱されて、対陰極物質から出る固有な線スペク いる。 x 線結晶学が飛躍したのには、電子計算 ことなく、一定回数連続撮影ができる利点があ と水 H20 を分解し、 HO- ( 水酸イオン ) また トルまたはその一部で構成される固有 X 線とが る。とくにヨウ化セシウム・ナトリウム蛍光体機の進歩に負うところが大きく、 X 線回折測定 は OH をつくり、これが生体高分子を損傷すある。 の自動迅速化には比較的小形の計算機 ( ミニコ ると考えられている。↓ x 線検査〈大槻義彦〉 x 線管は、一八九五年レントゲンの発見以来の柱状結晶を使った x 線蛍光増倍管が開発さ ン、マイコン ) が活用され、測定結果の多量迅 回大槻義彦著『エックス線』 ( 一久 = ・大月書店 ) 使われたイオン x 線管 ( ガス x 線管ともいう ) れ、解像力がよくなり明るい X 線蛍光像を得る ことが可能になった。このために、七〇ミリまた速計算には大形計算機が利用されている。 ▽同著『放射線の話』 ( 一九含・日本放送出版と、一九一四年にアメリカのゼネラル・エレク 結晶による x 線の回折は、プラッグの回折条 は一〇〇 = 、リのフィルムでこの蛍光像を撮影し、 トリック社のクーリッジ W. D. Coolidge が 協会 ) 件によると理解しやすい。結晶内の原子は任意 線回折ェックスせんかいせつ結晶はある考案した電子 x 線管 ( クーリッジ管、熱電子 >< 直接撮影に劣らない画像を一〇分の一以下の X ひばく の格子面、 0 上に配列している。その面 線被曝量で得られるようになった。最初は肺結 線管ともいう ) とに大別できる。 構造単位が三次元的に規則正しく配列した結晶 がん 間隔をトミとするとき、角度りで入射した波 イオン x 線管の原理は、放電管を〇・一トル核の集団検診に利用されていたが、現在は肺癌 格子の構造をもっているため、結晶に入射する 長スの x 線は、次の条件に適合するときに位相 ( 水銀柱〇・一ミリメートルの圧力 ) 程度に減圧の検診にも使われている。 x 線のビームがいずれかの格子面に関してプラ また、臟器の動態観察に使われる間接 >< 線映が合致して反射される。 ッグ条件を満足していれば、それそれ特定の方して放電させると、管内に残った少量のイオン 2 トミ sin Ⅱ 2 ( 日 1 , ド 3 , 向にプラッグ反射をおこす。このような現象をが加速され陰極に衝突し、陰極から高速の電子画法もこの一種で、 x 線蛍光像を映画カメラで 記録する。一般には経済的な十六ミリ映画が用通常観測されるのはミⅡ 1 の反射である。面 が放射される。この電子が対陰極に衝突し、 X X 線回折という。一九一二年にラウェらによっ いんとう 間隔は格子定数によって定まり、反射される x いられ、対象は咽頭、食道、関節運動などで、 線を発生する。レントゲンの場合は、対陰極は て初めて観察され、以後、物質構造、とくに結 x 線蛍光増倍管の出力蛍光面の一〇分の一の情線の強度は単位胞中の原子の種類や位置などの 晶構造の重要な研究手段になった。 X 線回折を陰極前面にあるガラスであったが、のち融点の 高い熱伝導性のよいタングステン、モリプデ報を x 線テレビジョンに入力させ、検査中にモ関数となる。多くの ( 通常は数百から数千個 ) 観察するには次のような方法がある。 トミに対応する反射強度を測定し、関数関係 ニターすることも可能である。心臟の冠動脈造 ①ラウ工法結晶薄板に連続波長分布の x 線ン、白金などを冷却して用いている。ただし、 に従って計算を行うと、原子の位置を決めるこ x 線の波長 ( 硬さ ) を一定に保つのに真空度の影には三五ミリ映画が利用され、毎杪三〇 ~ 六 ( 連続 X 線 ) を通し、背後に置かれた写真フィ はんてん ^ 岩本振武〉 ルム上に多くのラウェの斑点からなるラウェ写微妙な調整が必要なうえ、 x 線の強度と波長を〇こまの撮影をこま数と同期したパルス >< 線でとができる。↓プラッグ反射 ェックスせんけんさ波長の短い電 線検査 別々に変えることのできない欠点のため、最近行い、被検者の x 線被曝量の軽減を図ってい 真を撮影する。 る。 〈大友邦〉磁波の一種である >< 線の透過性を利用して生体 ⑦回転結晶法ある結晶軸の周りに小結晶を回はあまり使われていない 電子 x 線管は高真空中のタングステン陰極フ線結晶学工ックスせんけ。しようがく X ・内の情報を得る検査方法をいう。次の三つの過 転させながら、これに単色 X 線を当て、写真フ イルムの上に一挙に多くのプラッグ反射を記録イラメントを加熱し、熱電子流をつくり、これ ray crystallography 結晶と x 線との相互作程から成り立つ。① x 線を発生させ生体に照射 を直接対陰極、つまり陽極に衝突させて x 線を用、とくに結晶による x 線の散乱および回折現する。②生体内で x 線が減弱吸収される。③生 する方法。 S>< 線回折計 ( >< 線ディフラクトメーター ) に発生させる。陽極物質は、連続線の場合はタ象とその応用について研究する結晶学の一分体を透過した x 線を可視像に変換する。 一八九五年ドイツの物理学者レントゲンが X 野。 x 線の散乱、回折理論、 X 線回折による結 ングステン、固有 X 線の場合には鉄、銅、モリ よる方法 X 線回折計は、それそれの格子面か 線を発見した直後から医学への応用が試みられ 晶構造の解析あるいは物質の分析などの分野が す・らプラッグ反射がおこるように結晶の方位を調プデン、銀などが多く用いられている。電子の / 、整し、かっその・フラッグ反射が測定できるよう加速電圧は三〇 ~ 一〇〇キ。ポルトで、透過度をある。 x 線結晶学の発展は、それまでの巨視的たが、 x 線発生装置、 x 線写真フィルム、蛍光 物質の改良に加え、 X 線蛍光増倍管、 X 線テレ な結晶学を一変させた。 な方位に計数管をもっていって反射強度を測定あげたいときは加速電圧をさらにあげている。 っ x 線は数ナ / メートル以下程度の波長の電磁波ビジョン、線断層撮影装置、 X 線連続撮影装 5 , んする、という一連の操作を自動的に遂行する装対陰極は、水冷しているにもかかわらす加熱さ

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えつくす 血管造影写真 ディジタルサプトラクション・アンギオグラフィーの操作室 X 線検査 x 線直接撮影 交流電源 昇圧・整流 電 高電圧発生装置 ①総肝動脈造影肝右葉原発 の肝細胞癌で , 腫瘍 ( 矢印 ) が濃染している x 線管 フィルター X 線発生 入射 X 線 一 4 - ②右内腸骨動脈造影右恥骨 原発の骨肉腫で , 腫瘍 ( 矢印 ) が濃染している 4 血管造影装置 X 線の吸収 - ー 散乱ー 0 被写体 ( 人体 ) グリッド カセッテ 置などの開発により、現在では X 線を使用する 2 を写 , 浮れれルラで 骨大矢 真影とがここタグ置 管 検査が全医療行為の二割に達するはど重要な地 5 写造る像 ジオ装 右イ 線管す影るうイギ影 位を占めるに至っている。一九七二年イギリス る 血察造ないデン造 影る のハウンスフィールド G. N. Hounsfield ( 一九 の , 観てくとうア管 造すでて 前とてれすン行・血 ) らによって開発され、一〇年足らずで 、 ~ 脈対真し るジねさやヨにンた 現代医学の一部を塗り変えたとされるコン。ヒュ 大塞の開すポ重去しシ時ョし 部閉後が 達たを消影ク瞬シ着 ータ断層撮影装置を加え、臨床医学における検 こ年腹脈術 到しとが読ラにク装 ③動手印 が像ガ影てト的ラ 査としての重要は将来さらに増大するものと 剤現ネ陰しフ気ト 影転の部出サ電プイる考えられる。 造反真骨きををサフあ 〔線発生装置〕 X 線は、電子の運動エネルギ ーと位置エネルギーの電磁放射線への変換によ って生する電離能のある電磁放射線と定義され る。したがって X 線を発生させるには、電子の 供給源である陰極と、電子を衝突させてそのエ ネルギーを X 線へ変換する焦点 ( 陽極 ) とを備 えた X 線管、および焦点に衝突させる電子を加 速する発生器の二つの要素が必要である。 レントゲンの X 線管はガラス管内にガスを封 入し、その電離で生じた陽イオンが陰極から電 子を発生させ、これがガラス管壁に衝突して X 線が発生する原理であった。この場合、ガラス 管内のガス分圧を一定に保つことが困難であ り、一定の強度の X 線を発生させることができ なかった。一九一三年にアメリカの実験物理学 者クーリッジはタングステン・フィラメントを 陰極として使用し、これに電流を通すことによ り電子を発生させる真空 >< 線管を開発し、ガス 分圧の問題が解決された。また、鮮明な X 線像 を得るには、焦点を小さくして短時間に多くの このために X 線を発生できることが望ましい は、焦点を x 線の発生する方向に対して鋭角に 傾けて見かけの大きさを小さくし、しかも毎秒 一万回程度回転させて熱を放散し、短時間に大 量の x 線を発生できるようにした回転陽極が開 発された。さらに電子を加速する発生器は、変 圧器によって高電位差を生み、整流回路によっ て一定の電圧を保つ機能を備えており、発生器 にかける電圧で発生する X 線の波長を調節して 生体内での透過性を変えることができる。な お、 x 線管に流す電流の強さと発生する X 線の 量は比例している。 〔線の生体内での減弱吸収〕 X 線検査に利用 される一五〇キ。ポルト以下のエネルギーの X 線 は、生体内では光電効果とコンプトン散乱によ って主として減弱吸収され、 x 線透過性のよい 順に空気、脂肪、軟部組織および水と骨の四つ に生体内の構成成分が分けられる。 X 線のエネ ③ ② ① ② ③ ー①フィ丿レムペース X 線フィルム ②感光乳剤 ③増感紙 ( 前面・後面 ) 蛍光像発生 x 線管内のフィラメントを電流で加熱し , 発生した熱 電子を高電圧で加速して陽極に衝突させ , x 線を発生ー させる。目的とする部位の画像を得るのに適し , しか も細い線束とするためにフィルターと絞りの機構があ 被写体内で吸収・散乱されて透過した X 線から , 散乱 線をグリッドで除去したのち , ポリエステルのべース にハロゲン化銀を主体とした感光乳剤を塗布した X 線 フィルム上に感光させ , X 線像を得る。 フィルムの前後に装着された増感紙は , 希土類からな る蛍光物質を含んでおり , X 線によって蛍光を発し , x 線フィルムの感光に寄与する割合は直接 X 線の 10 ~ 100 倍であり , 鮮明な X 線像を得るためには不可欠であ る 6 6 テープル ( 患者撮影用 ) 6 モニターテレビ操作盤 ・テープル操作用ハンドル ・ x 線管球 ①蛍光増倍管 ②一般撮影用フィルムチェンジャー ・天井走行式テレビモニター ④ディジタル角度指示計

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えつくす 収分析は試料に x 線を吸収させ、その吸収係数引 の違いや吸収スペクトルの違いから、物質組成 5 を分析する方法である。 最近著しく発展したのは光電子分光分析と x 線マイクロアナライザーである。前者は物質に X 線を照射したとき、物質からはじき飛ばされ る光電子のエネルギーを分析する。これは最 近、固体表面の研究に大きな成果をあげてい る。一方、 X 線マイクロアナライザーは試料表 1 、 0 / 」洋 面に細い電子ビームを当て、これから放出され る特性 X 線を分析するが、電子ビームを試料面 で走査して一一次元的な分析を行う。 ツイ、。」、を当ノ」っい X 線の波動的性質を利用して、結晶構造、分 子構造などを決定しようというのが X 線回折、 X 線回折法である。 X 線の波長は一オングスト ローム程度であるから、結晶の原子間隔と同程 度であり、 X 線は結晶に当たると、干渉効果が 現れる。これが X 線回折とよばれるものであ る。↓ X 線回折 たとえば、波長、 / の X 線が、図に示すよう に結晶原子に入射したとする。原子面となす入 からくさ 射角、反射角をともに〃とする。このような反 による唐草文が写し出された。 線による出土品・美術品の調査・鑑識れ、それによって外観上察知できない微妙な内 建造物については日光東照宮陽明門側壁唐油 射を鏡面反射とよぶ。第一の原子面で鏡面反射 部構造を知ることができる。 発掘品に対する x 線透視調査例としては、福彩色画の調査例がある。陽明門東西の側面に した X 線と、第二の原子面で鏡面反射した X 線 考古学出土品や美術品については、時代の流 きんばく つばあぶみ ばたん むなかた みやじだけ れや形式などから、その対象物に対する時代的岡県宗像郡福間町宮地嶽古墳出土の金銅壺鐙は、金箔地に立木牡丹浮彫りをはめ込み彩色し は、 X 線の走る距離の差が、波長えの整数倍の ・つぐ はとむわ 位置づけや評価を行っているが、現在では成分がある。この鐙は、鳩胸、踏込、鉸具、滑り止てある ( 写真① ) 。以前ここに唐油彩色による錦 とき、干渉して強めあう。すなわち、 かちょうつる : んどう 花鳥や鶴の壁画が描かれていて、一七九七年 分析や年代測定および放射線などによる諸調査め、冬文形飾り金具の各部分から構成され、 2ds 一 nO Ⅱミ 2 ( ミ日 O,I , 2 , ・ ( 寛政九 ) の修理に際して、現在のような立木 その表面は平滑面となって鍍金されている。 X も行われるようになった。 のとき、強度の強い X 線のスポットが得られ びよう これら文化財の材質や構造を知る場合には放線透視の結果、その接合はすべて鋲留めである牡丹の浮彫りに改められたことが史料で明らか る。ここに、は原子面間の距離で、川は整数 射線透視を手段として用いるが、これには了線ことが確認され、また鐙の内部は鋳放しの凹凸であった。西側羽目の調査は壁面全面にわたっ である。この式をプラッグ条件とよぶ。↓プラ と x 線が使われている。 x 線は直進し、物体内が残っているので、この壺鐙の製作法は、各部て行われ、透視方向はいずれも内側に x 線装 ッグ反射 そうてん っちうち をよく透過するが、物体内を通過中に吸収され分を鋳造して鎚打加工なしに組み合わせたと考置、外壁にフィルムを装填して撮影。その結 やまとまついわぎさすごもりのつる X 線の波長、結晶の方位などを変化させ、 X えられる。そのほか奈良県高市郡高取町松山古果、写真のような大和松岩笹巣籠鶴が写し出 る。物体を構成する物質、構造などによって >< さび 線のスポットの変化を調べてゆくと、結晶の構 された ( 写真② ) 。部分的には剥落しているが、 線はいろいろに吸収され、透過 x 線量が変化す墳から出土した鉄鏡は、銹で覆われ破損がひど 造、原子間距離などをきわめて正確に決定する ほば完全な図柄が隠されていることが確認され 、層状剥離が観察されたが、 X 線透視の結 るので、これを写真フィルムに当てると、物体 ぞうがん ことができる。結晶が粉末状になっていると、 の品質・形状によってさまざまな像が撮影さ果、象眼 ( 太さ約〇・二 ~ 〇・三メートル ) た ( 写真③はその部分の復原構図 ) 。〈石川陸郎〉 X 線のスポットはリング状のバターンとなる。 これをデバイーシェラー環とよぶ。デバイーシ エラー環も、結晶の原子間距離の決定などに利 これは固有 X 線、または特性 X 線とよばれる。 ばなかなかむすかしく、まだよくわかっていな可能である。これによって限界の波長が決ま 〔線の利用〕 x 線を利用して、物質の化学用される。↓デバイーシェラー環 い部分も多い。大ざっぱにいえば、物質に高速る。 一方、固有 x 線は量子力学的効果である。図的、物性的組成を研究するのが >< 線分析法であ〔線と生物〕 X 線の分析法とか回折法は、生 の電子ビームが当たると、これから、さらに大 のように、電子ビームによって原子内の電子り、 x 線蛍光分析、 x 線発光分析、 x 線吸収分物資料の研究にも広く利用されている。放射線 量の電子線を二次的に放出する。この電子は、 としての X 線は、生体に、放射線特有の放射線 が電離されると、そのすきまに周りの電子が遷析、光電子分光分析、 X 線回折法、 X 線マイク そばにいる原子によって急に曲げられ、曲げら ロアナライザーなどがある。 x 線蛍光分析法照射効果を与える。生物組織が放射線の作用を れるときに x 線を放出する ( 図 Q)O したがっ移する。このとき放出されるエネルギーは、も は、 x 線を照射された試料が物質特有の蛍光を受けやすいことを「放射線感受性」という。一 ともとの原子内の電子のエネルギー準位によっ て、このとき放出される X 線の波長はどんなも 般的に、生物の細胞が激しく分裂している場 のでも可能である。そうはいっても、もともとて決まってくる。したがって、放出される >< 線発することを利用して微量な元素を分析する。 x 線発光分析は蛍光分析と似ているが、広い範合、その細胞の放射線感受性は高くなる。哺 の電子がもっていたエネルギー以上の X 線を放のエネルギーは物質の種類によって異なるもの かんぞう じんぞう 冖」ゅ・つ 出することは、エネルギー保存則からいって不となり、物質固有の振動数の x 線が得られる。囲の波長分析を行って元素を解析する。 X 線吸乳動物では、肝臓、腎臟、筋肉、脳、骨など ① ガンマ ② ときん ③ きん

6. 日本大百科全書 3

鏡で見ることができるようになったが、依然と す . する分析法として利用されている。液体あるい して x 線鉱物学の重要性は変わらない。↓鉱物 は溶液での X 線回折は粉末の場合と似ている 〈松原聰〉 が、原子間距離を求めれば、液体あるいは溶質学 っ ェックスせんしよくたい 性決定に関 の分子構造を決定することができる。これらの染色体 え ほか、繊維や薄膜などの構造規則性の観測も行与する染色体で、それが相同 (XX) になると 〈吉田俊秀〉 われている。↓ x 線結晶学 〈岩本振武〉雌性となる。↓性染色体 ェックスせんこうぶつがく鉱物し 線造影剤ェックスせんぞうえいざい単純 x 線鉱物学 x 線を照射して、回折してくる >< 線を観測して線撮影ではよく写らない部位に注入して目的の 鉱物を研究する学問。線を照射される鉱物が臟器や組織の明確な X 線像を得るために使われ 単結晶の場合と、粉末状態 ( 多結晶の集合 ) のる診断用薬剤のことで、単に造影剤ともいう。 場合とがあり、また回折 x 線を観測するにも、人為的に >< 線に対する吸収差を高めるわけで、 写真を使ったり、計数管を使ったりする方法が物理的に X 線吸収の多い陽性造影剤 ( バリウム ある。鉱物の同定にもっともよく使われる方法やヨードなどの製剤 ) と >< 線吸収の少ない陰性 は、 x 線粉末回折法とよばれるもので、粉末試造影剤 ( 空気、酸素、一一酸化炭素、窒素などの 料から回折してくる x 線を計数管で受け止め、気体 ) がある。 陽性造影剤には枌末、液剤、錠剤、カプセル 記録紙上に、反射角と強度を自記記録する装置 によ 0 て行われる。反射角から結晶の網面間隔剤、注射剤 ( 油性、水性 ) があり、薬剤の種類体 ( という記号で表される ) が求められ、このと使用目的によって選択される。消化管造影検天 値と強度は鉱物 ( 結晶 ) の種類によ 0 てほば一査に使われる硫酸バリウムは、日本薬局方によ線〈 定しているので同定が可能になる。また鉱物のる粉末を水に懸濁するか、あらかじめ加工され 結晶構造、すなわち原子配列を正確に知ろうとて水に懸濁された液剤を用い、内服あるいは注線テレヒジョンエックスせんーー本体の解像力に重大な影響を与える。なお、 X 線 テレビジョンの光学像はビデオテープに録画で するためには、単結晶を用いて多量の回折 x 線腸する。同様の目的に「水性ディオノジール」来、線によって得られる情報は可視的ではな たんのう きるという利点がある。↓ X 線検査〈大友邦〉 いが、これを蛍光体によって光学像に変換し、 の反射角と強度を知らねばならない。最近ではや「ガストログラフィン液」がある。胆嚢・胆 完全自動化された四軸形の回折装置があり、何管造影には内服用として「テレバーク錠」、「オ走査系としてテレビジョンを用いて電気的信号線天体工ックスせんてんたい x 線を放射 している天体の総称。太陽は X 線を出してい にして、テレビジョンスクリーン上に、より明 百何千という回折 x 線のデータを迅速にしかもスビル錠」、「ビロプチンカプセル」、「タイロペ ークカプセル」があり、静脈注射用には「ビリるい光学像として描出する装置をいう。医療用る。この場合、一〇〇万の温度をもっコロナ 高精度に得ることができるようになった。さら と、小物体の非破壊検査などに利用される工業や、太陽面の爆発に伴う一〇〇〇万というよ に大形コンピュータを利用することにより、膨グラフィン」、「エンドグラフィン」、「コレグラ じんぞう うな高温度領域から x 線が出ると考えられてい フィン」がある。血管造影や腎臓・尿路系造影用とがある。医療用 X 線テレビジョンは、暗順 大な計算を必要とする結晶構造解析が比較的容 には「アンギオコンレイ」、「コンレイ」、「コン応を必要とする蛍光板透視装置にかわって、 x る。宇宙には太陽と比べて一億倍もの強い X 線 易になされるほどになっている。 線透視に広く利用されている。現在もっとも普を出す天体がある。 >< 線の観測がされるまでそ ラキシン»-2 ・・」、「アギオグラフィン」、 x 線鉱物学の始まりは、一九一二年、ミュン の存在が知られていなかった天体に、中性子星 「ウログラフィン」、「ウロビゾン」などが注射及しているのは、 X 線蛍光増倍管 X-ray im- ヘン大学にいたラウェ M. Laue の発見とさ ばう ) 一う age intensifiier tube (LL) に、光導電型撮やプラック・ホールを伴った天体がある。これ れている。彼は、結晶体に >< 線を照射すれば回あるいはゾンデによる膀胱や尿道への注入で使 像管であるビディコン、プランビコン、カルニらは、一九六二年、ロケット観測によって発見 折現象をおこすのではないかと考え、実験を重用される。気管支造影には「ハイトラスト」 はん コンを連結させた方式である。 x 線蛍光増倍管された x 線天体の正体として、研究上、重要な ね、ついにラウェ斑点とよばれる回折 x 線の撮「油性ディオノジール」、「マイジール」が用い 役割を果たしている。狭い意味での X 線天体 とは、人体内を透過してきた X 線の蛍光像を、 られ、子宮・卵管造影には「リピオドールウル 影に成功した。この功績により一九一四年にノ 電子に変えたあとに加速して、ふたたび蛍光面は、これらの天体を伴い、強く X 線を放出する トラフルイド」が使われるが、これはリンパ ー・ヘル物理学賞が与えられた。ラウェの発見と だえきせん に集束させることで、より明るい蛍光像にする天体を意味する。しかし今日では、あらゆる種 ほば同じころ、イギリスではプラッグ父子の研系、精嚢、唾液腺にも用いられる。これらの造 類の天体は、強弱の違いはあるが X 線を出して 影剤にはヨード化合物が多く、しかも高濃度の装置である。 究が行われており、彼らは、結晶の原子配列に しることが明らかとなった。したがって、星か ほかに、高感度 x 線蛍光板の光学像を、高感 関する実際的な測定や、それらを知るために必ものが注射されることから、副作用として過敏 ら銀河に至るほとんどの天体は X 線天体という 度テレビカメラとして商業用テレビにも広く利 要な x 線分光器の制作などに力を注いでいた。症、ショックをおこすことが多い。 陰性造影剤はおもに脳室や胸膜腔などに使わ用されているイメージオルシコンで直接撮像すこともでき、各種の x 線観測の対象になってい これら物理学、鉱物学への貢献により、プラッ る。 る方式、 X 線蛍光増倍管のかわりに光増倍管と グ父子に対しても一九一五年にノーベル物理学れるが、とくに二重造影法として陽性造影剤に 〔銀河系内の線天体〕〔特殊な近接連星〕 X 賞が与えられた。その後、 x 線発生装置や回折併用される場合が多い。たとえば硫酸バリウム光導電型撮像管を連結させる方式などがある。 テレビジョンの走査方式は、垂直走査が毎秒一一一線天体のうち中性子星を伴ったものに、 X 線バ 装置の改良、動フィルム法 ( ワイゼン・ヘルグ法と発泡剤 ( 沸騰酸 ) による二酸化炭素で胃の一一 こうもん ルサーと 、バルジ X 線源とよばれるものがあ やプレセッション法など ) の考案など、次々と重造影を行うほか、大腸造影には経肛門的に挿〇枚、水平走査線数は五二五本 ( 装置により六 新しい手段が開発され現在に至っている。最入したゾンデから空気を送って二重造影が行わ二五本または一〇〇〇本 ) 、映像信号帯域幅はる。線バルサーは一般に中性子星と早期型星 〈幸保文治〉四から八メガヘルツ程度で、 x 線テレビジョン全 ( 質量が重く明るい星 ) との近接連星系をなし 近、結晶の原子配列を直接高分解能の電子顕微れる。 X 線バルサー 「 - ーガス流出 中性子星 / 均レサー 早期型星 からのガス パルジ X 線源 定常 x 線中性子星 公転 x 線 定常 X 線 自転 早期型星から中性 子星にガスが降る。 がスはやがて磁極 に落下し、 X 線を 星が磁極と異なる 軸の周りを回転し ていると X 線バル サーとなる 磁カ線 公転 X 線バルサー X 線バースト 晩期型星 534

7. 日本大百科全書 3

えつくす X 線天体 ①銀河系内の x 線天体 名称 のが観測される。これが >< 線バーストとよばれつの銀河系内天体に、超新星の爆発後に残され ているものが多い。早期型星から中性子星にガである。 た高温ガス星雲がある。かに星雲のように爆発 一方、バルジ x 線源は、銀河の中心部の膨らる現象である。 x 線バースト以外にほば定常に スが降り込み、そのガスが中性子星の重力場に 落ち込むとき、落下のエネルギーを得て高温状んだ部分に多く存在する x 線源を名づけたもの輝く x 線は、落下したガスが中性子星の周りで後一〇〇〇年ほどのものは、エネルギーの高い 一〇〇〇万を超える高温のガス雲をつくるた x 線 ( 数キ。電子ポルトまたは数オングストロー 態になるため、 >< 線が放射されると考えられであり、一般に晩期型星 ( 質量が軽く暗い星 ) ムの x 線 ) も放射している。一方、はくちょう る。中性子星の磁場が強いとき、落下ガスは磁と中性子星との連星系とされている。晩期型星めに放出されるものと考えられている。 中性子星のかわりにプラック・ホールを伴っ座にある網状星雲のように古い超新星の残骸 は早期型星よりも寿命が長く、バルジ X 線源の 極に落ち込み、そこが X 線の放射領域となる。 このとき、中性子星が磁極とは違った軸の周り中性子星は古いと考えられる。このため、これた近接連星系の候補が五個ほどある。この代表は、約一〇〇万の高温プラズマになってい らの x 線天体は磁極の存在の特徴を示すパルサ的なものに、はくちょう座の線源 ( はくちょて、エネルギーの低い X 線 ( 一キ。電子ポルト以 を回転していると、回転に伴って周期的に X 線 この X 線源でう座 X ー 1 ) があるが、ここから出る線は、下、または二〇 ~ 四〇オングストローム ) を強 ーの周期変動を示すものがない。 強度が変わる X 線バルサーとなる。現在二〇個 く放射している。このような高温ガスは、超新 は、相手の星からガスが流出して中性子星の表一〇〇〇分の一秒ほどの時間スケールから秒・ 余りの X 線バルサーが発見されていて、周期は 星が爆発したときに出る衝撃波で星間空間のガ 日・年に及ぶ広い範囲の変動をしている。とく 一〇分の一秒から一〇〇〇秒近くまで分布して面に降り積もる。この積もったガスはときどき に短時間変動は、中性子星を伴った x 線源ではスが加熱されてできたものと考えられる。これ いる。 x 線バルサーの回転周期は、一般には、熱核反応によって爆発的に燃え、中性子星の表 も、時間を経て古くなると、広がって温度も低 しだいに速くなっているのが特徴であり、電波面が一〇〇〇万を超える温度になる。この現みられない特徴である。 一んがい くなり低温の星間ガスになっていく。 〔超新星の残骸〕 X 線天文学がみつけたもう一 パルサーの周期がしだいに遅くなるのと対称的象が X 線で一〇 ~ 三〇杪のように短時間で輝く ク >< 状 る ホ 公線 ク , あ線 る の れ 線 ソ′ が少星星 星 あ 心る レ」 ら ク 線個 連連 工 に少中い準 線 え 接 . 接 心星光ら 。てな 接 考 星ラ 期近近 中子か 近 7 、可し的・庫 . ら し る の レ」 新プ の 。性患ス周のの 波か示 日 日 激あ 系 残中 , ガ転 半の雲る 日 電体を な星星れ 名 ( での自 再星 星 / 、る 周 月一 . 出寺下スさ 星 の一期りの 8 ・少一 2 ・ し 強状 か中 星発超ガ測 一イい 連 期圏っ 星サ周周星期鉢期制 一円 不 連爆る星の あばみる球の 周も 子周周 発星発接 新ル的 接 る るきれ連残も 約銀 転期を ハ則る性転期転期爆連爆近 超。 当 近 る 心とつにるる 近れどは、の名射 中見公周公周にるの 公周ル たの規い の のらき に、る中の一年いえ よ日の放 転年あ日年一日一 し星のて 夕、らタ 年のあ叨 。年の光て見 タタタ 6 え。も認量の に一自一自 タ四タ一自ホ 4 発等秒し一 暃米 6 1 ススス考間と Ⅱ新皮 ス ス年るスえス ・スサの 1 ー亠ー》 1 ー亠 出るサ月サのサの 光 9 でい光 , 万しがで ー【 .. 11 つけ 一一期と時雲期超を ル星ク期一 1 す一考一 万既一朝を億一出物線 に度放すル 8 ル星ル星星 , 一期しと一期一 周ル 星周の ~ をバと 子ッ周 期サ幻核跚サ放出の 年光を射パ年パ子バ子矮年タ周ら年バ周 線線線転一期状転昔強 考均 , 線放線線性線星色ス転ル線転線線性ラ転線年ト線源線 考離周讎い離一離を放 ロ歩↓田ノロ >< 公ホ周網公大に 備川平りアを中中白一公一 ン 4 源 0 ロ 「 / -0 一「 / L.O C-C 11 11 【 0 1 亠 -4 ・ 11 線 線 ワ」 11 -0- 《り 11 11 ク ワ」 11 ・」人 4 ・ レ 工 ロ キ 最大 X 線強度 * ( カウント数 ) 位置 ( 1950 年分点 ) 赤緯 赤経 時分 星 カ 5 31 . 5 21 。 58 '. 9 1 000 5 35 . 8 6 20 . 2 再帰新星 A0535 十 26 X 線新星 A0620 ー 00 は座 X ー 1 ケンタウルス座 X - 3 臼色矮星 X 線源 H Z 43 ケンタウルス座 X ー 4 コンノヾス座 X ー 1 X 線新星 4U1543 ー 47 再帰新星 4U1608 - 52 さそり座 X ー 1 しようぎ座 X ー 1 銀河系内 X 線源 GX340 + 0 ヘルクレス座 X ー 1 銀河系内 X 線源 GX339-4 銀河系内 X 線源 4U1700- 37 さそり座 X ー 2 球状星団 Tz2 ラピッドバースター 銀河中心 銀河系内 X 線源 GX3 十 1 銀河系内 X 線源 GX5 ー 1 銀河系内 X 線源 GX9 + 1 銀河系内 X 線源 G X 1 3 + 1 銀河系内 X 線源 G X 17 + 2 球状星団 NG C6624 へび座 X ー 1 はくちょう座 X ー 1 はくちょう座 X ー 3 はくちょう座環状星雲 はくちょう座 X ー 2 カシオペア座 A ②銀河系外の x 線天体 名称 小マゼラン S M C X ー 1 セイファート銀河 N G C 1275 準星 3C273 おとめ座 A 12 28 . 1 メシェ番号 M87 注 : * カウント数は 840 の X 線計数管で測定された 2 ~ 26 17 . 3 0 19 . 2 ー 40 21 . 4 11 19 . 1 ー 60 20 . 9 29 2 2 . 0 ー 31 28 . 1 13 14 . 0 14 55 . 3 3 000 ー 56 59 . 2 15 16 . 8 0 「ー 11 1 よ 00 11 ワ 0 00 っ 「 / ワ」 LO っ尸 0 イ 11 一 0 -4 ・ 00 11 4 ・ 1 ー - 11 11 1 ー 1 11 16 56 . 0 「 1 LC -4 ・つ 0 い 11 L.C イは - ・ 4- ワ」 4 ・ -0- LC 4 ・ワ」 11 11 11 1 ー 1 800 ー 33 21 . 3 17 30 . 1 120 17 43 . 6 CC っっ 0 ワ」イ 4 ・ 叮 0 11 LC -0- 「 / イは・ -0 一イ 4 ・ ワ」ワ」っ」 11 11 叮 0 4 ・ CO 1 上っ 0 -0 「 / - は・ L.0 11 「 1 ワ」っ 0 11 11 11 11 11 1 ー 1 ー 1 00 -4 ・つ 0 っ 0 イは・ -4 ・ -0 -0 1 ・ ワ」ワ」ワ」 23 21 . 2 最大 X 線強度 * ( カウント数 ) 位置 ( 1950 年分点 ) 赤緯 赤経 ー 73 。 42 '. 9 1 15 . 7 41 21 . 2 3 16 . 6 2 28 . 2 12 26 . 1 12 42 . 0 535

8. 日本大百科全書 3

しゅよう 回舘野之男著「放射線と人間』 ( 岩波新書 ) の有無を知るためにきわめて重要な検査であた。脳腫瘍や脳卒中の診断にも有効であるが、 ルギーが低いときには、構成成分の原子番号の る。検査目的となる生体内の器官と周囲の X 線 とくに交通事故などによる頭部外傷時の頭蓋内線顕微鏡ェックスせんけんびきよう光 ( 可 大小で光電効果による減弱吸収の差が大きく、 x 線のエネルギーが高くなると、光電効果より透過性に差をつけるため造影剤を使用する検査血腫の有無の検索には欠くことができない。頭視光 ) のかわりに線を用いる顕微鏡。顕微鏡 の分解能、すなわち二つの点を見分けることの は、単純撮影と区別して造影検査とか特殊検査部以外の領域でもその有用性は認められ、超音 コンプトン散乱による減弱吸収の割合が増加し て構成成分ごとの減弱吸収の差は小さくなってとよばれる。造影剤には、検査目的となる部位波検査とともに被検者の負担が少ない検査としできる能力は、このとき用いる光の波長が小さ ろっこっ いほど高くなる。このため、波長のきわめて短 の x 線透過性を減弱する陽性造影剤と、増強すて悪性腫瘍などの診断に広く普及しつつある。 くる。したがって、肋骨周辺の軟部組織の変化 い X 線 ( 一〇〇オングストローム以下 ) を用い コン。ヒュータ断層撮影にも、陽性造影剤である を見る必要のある胸部の X 線像は、高エネルギる陰性造影剤があり、前者には硫酸バリウム ると、可視光線 ( その波長四〇〇〇オングスト ー X 線を使用して骨と軟部組織の間のコントラ BaS04 や有機ヨード製剤が含まれ、後者には有機ヨード製剤を末梢静脈から注入する方法が ロームぐらい ) を用いたときより分解能はあが ストを弱めたほうがよく、また軟部組織内の石空気や二酸化炭素 ( 炭酸ガス ) などがある。造併用されることが多い。通常の断層撮影に造影 剤の静脈注射を併用する方法は腎臟などを対象るはずである。なお、一オングストロームは一 灰化の有無を見るための乳房の X 線像は、低工 影剤の投与方法は検査目的によって異なり、胃 ネルギー x 線で軟部組織と石灰化部分のコントや十二指腸に対しては経ロ的に、大腸では経肛として広く利用されていたが、胆嚢や胆管を検億分の一弩メートルである。しかし、 X 線に対 もん 査する以外、その重要性は、超音波検査やコンする媒質の屈折率はほとんど一に近く、屈曲し 一フストを大きくする必要がある。 門的に投与する。血管造影では目的の血管内に せきずい このため、可視光線の場合のようなレ 〔透過線の可視像への変換〕 x 線を人間の視直接造影剤が注入されることが多く、脊髄の検ピュータ断層撮影の普及により、しだいに少な ンズを用いた顕微鏡をつくることは不可能であ くなっている。 覚で見ることはできないので、生体内を透過し査では脊柱管内のくも膜下腔に注入される。 このほか、ハロゲン化銀を乳剤とした通常のる。そこで種々のくふうがなされている。その 造影検査として重要なものに消化管造影 ( 透 てきた X 線の不均等な分布を可視像に変換する たんのう うち、反射型の線顕微鏡は、 x 線が結晶表面 必要があり、 x 線のエネルギーを可視領域の光視 ) をはじめ、気管支造影、胆嚢造影、胆管お X 線フィルムのかわりに、半導体であるセレン すいかん にすれすれに入射したとき、表面で全反射する に変換できる蛍光物質が利用されている。 X 線 よび膵管造影、心大血管を含めた血管造影、搨 se を蒸着させたアルミ板を感光板とするゼロ ラジオグラフィー xeroradiography が胸部断ことを利用する。これは、レンズというより、 検査で活用される蛍光物質はタングステン酸カ泄性尿路造影、子宮卵管造影、脊髄造影などが ルシウム CaWO 、や硫化亜鉛 ZnS や硫化力ある。造影検査では、病変の有無を含めた詳細層撮影や乳房撮影に活用されているが、通常の反射鏡 ( 凹面鏡 ) を用いた顕微鏡ということが x 線撮影より被検者の x 線被曝量が多い欠点をできる。 x 線顕微鏡の分解能は種々の理由によ ドミウム CdS などの無機結晶で、最近発光効な検討は直接撮影により得られた X 線フィルム 率のよい希土類、ヨウ化セシウム CsI も普及上の静止画像で行われるが、それらの検討に適もっている。また、コン。ヒュータによる画像処ってあまり向上せす、〇・一程度である。収 している。 x 線を可視像へ変換する方法には主した撮影の時期や被検者の体位を決めるのに x 理を断層撮影だけでなく単純撮影にも活用した束した電子ビームをターケットに透過させ、そ 線テレビジョンによる透視が活用される。一九ディジタルラジオグラフィーは、従来の x 線像れによる点光源 x 線を用いる X 線顕微鏡も開発 として次の三つがある。 ①直接撮影写真乳剤を塗ったフィルムを蛍光七〇年代後半より急速に発達してきた超音波検の情報を定量化でき、さまざまな画像処理が可されており、透過型とよばれる。〈大槻義彦〉 ェックスせんこうぞうかいせき 能となるが、その応用範囲の決定は今後の臨床線構造解析 物質を含む増感紙で挟む。透過 x 線は増感紙で査を、 X 線透視のかわりに胆管および膵管造影 X-ray structure analysis X 線の回折現象 光子に変換されてフィルムを感光し、可視的 x 時に活用する方法も普及してきている。心大血経験からなされるであろう。 を利用して物質の構造を決める方法。単結品、 〔線検査と被曝〕ごく少量の x 線でも生体に 管を含めた血管造影では造影剤が短時間に血管 線像ができる。 対して影響を及ばす可能性があるので、必要最微結晶の集まりである枌末、液体あるいは溶液 間接撮影透過 x 線を x 線蛍光増倍管で明る内を流れるようすを記録するために、一秒間に 小限の x 線検査だけを行い、しかも x 線透視をが試料として用いられるが、精密な構造解析に 二 ~ 六枚程度の X 線フィルムを得ることが必要 い光学像に変換してカメラで撮影する。また X は主として単結晶を用いる。単結品の X 線回折 線像を映画として記録することもできる。↓で、この目的のために連続撮影装置が使われて使用する場合、透視時間をなるべく少なくする における反射角度は、入射 x 線の波長、単位胞 必要がある。生体の x 線に対する感受性は器官 線間接撮影 しる。とくに、い臟のようにきわめて血流の速い せん によって異なり、生殖腺、骨髄、水晶体、甲状の属する空間群と格子定数によって定まり、反 ③透視透過 x 線を蛍光物質で光学像に変換し部位での血管造影の記録には X 線間接映画法が 射強度はさらに単位胞中の原子の種類と個数、 て直接視覚で観察する。 x 線テレビジョンの普必要となる。これら造影検査は単純撮影と比較腺など感受性の高い部位には検査に支障のない して被検者の肉体的経済的負担が大きく危険も範囲で x 線が曝射されないことが望ましい。成単位胞内の位置、熱運動性によって定まる。反 及で、明るい光学像を観察することが可能とな った。↓ x 線透視 あるので、必要な検査に限り検査に熟練した検人に比べて胎児の感受性は高く、とくに妊娠一一一射データの収集には以前はカメラ法が用いられ たが、現在では予備データの収集か特殊な目的 か月以内の器官形成期に X 線に被曝すること 〔線検査の種類〕透過 X 線をそのまま可視像者が行うことが望ましい にのみ用いられ、小形計算機で制御される四軸 断層撮影は生体内のある深さにあって一定のは、奇形など重篤な後遺症を誘発する危険があ 化して検査する方法はもっとも一般的で、静止 るので、妊娠可能な女性に対する線検査は月型自動回折計が多く用いられている。数百ない 画像を得る x 線直接撮影および間接撮影と、動厚みをもった部分の透過像を見るものであり、 し数千組にわたる格子面からの反射データから く画像を可視化する方法に大別される。後者またコンピュータ断層撮影 (O+) はコンピュ経開始後一〇日以内に行われるべきである。こ ータを使い生体内の一定の厚みをもった断面のれを十日律とよぶが、医師を含めた医療従事者単位胞内の電子密度分布を算出し、各原子の位 は、動く可視像を人間の視覚で観察する透視 x 線透過率分布を画像にするものである。これはもちろん、医療機関で x 線検査を受けるすべ置と熱振動振幅を最小自乗法で精密化して求め と、ビデオテープや映画として記録する方法と らはともに単純撮影などで異常が疑われた場合ての人が知っておくべきことである。なお、実る。これらの計算には大形計算機が利用され、 に分類できる。 に行われることが多い。前者は胸腹部領域では際の x 線検査による被曝線量は厳密には一律で数値データのほかに結品構造の立体的画像表示 医療施設で臨床検査としてもっとも一般的な も容易に行われるようになっている。 オいが、胸部単純撮影正面像一枚で生殖腺線 す・のは、 x 線フィルムと増感紙を使用する線直肺、腎、脊椎を、頭筑部領域ではトルコ鞍や内はよ 枌末法では、対称性の高い組成の簡単な結品 2 、接撮影で、検査部位により胸部単純撮影などと耳道をそれぞれ対象とする場合が一般的であ量に換算して〇・一 ~ 〇・三 = 、リレム程度であ る。後者は一九七一一年に開発されて以来一〇年る。↓血管造影法↓↓断層撮影↓二重でなければ精密構造解析は困難であり、むしろ よばれている。単純撮影は手技が容易で短時間 っ 〈大友邦〉末知試料の回折像を既知物質のものと比較同定 5 造影法 一んででき、危険もなく、胸腹部や全身の骨の病変足らずで頭部の x 線検査の中心的存在となっ せつ

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⑩高架第 5 ホーム 9 番線 10 番線 ⑩高架第 6 ホーム 1 1 番線 12 番線 ⑩地平第 1 ホーム 13 番線 ⑩地平第 2 ホーム 14 番線 15 番線 ⑩地平第 3 ホーム 16 番線 17 番線 ⑩地平第 4 ホーム 18 番線 ⑩浅草ロ改札 ⑦新幹線乗り継ぎコンコース ⑩新幹線改札 ⑩新幹線コンコース ⑩新幹線直上コンコース ①公園ロ ⑩地下第 1 ホーム ②大連絡橋連絡通路 19 番線 コー上越新幹線 ③臨時改札ロ 20 番線 ④大連絡橋通路 @ 地下第 2 ホーム ⑤公園ロ通路 21 番線 ・コ -- ・ -- 東北新幹線 ⑥高架第 1 ホーム 22 番線 1 番線ー京浜東北線 ( 大宮方面 ) ⑩中央乗換通路 2 番線ー山手線 ( 内回り ) @ 駅本屋 ⑦高架第 2 ホーム ④中央広場 3 番線ー山手線 ( 外回り ) ①中央ロ改札 4 番線ー京浜東北線 ( 横浜方面 ) @ 正面玄関 ⑧高架第 3 ホーム 5 番線 地下鉄 ( 日比谷線 , 銀座線 ) 6 番線 連絡通路 ⑨高架第 4 ホーム 7 番線 ④浅草ロ 8 番線 ⑩地下鉄銀座線 注 : わかりやすくするために建物の一部を省略してある。 新幹線ホームは , 地下約 25m の深さにある 在来線 在来線 406

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, っえられる生物に対しては、大形。ハラボラ受信系進装置室とに分けてつくられる。 による通信や、銀河系に無限に飛行する飛行物 第二の回収について、その作業は、まず居住 ち一体を打ち上げることでコミ = ニケーシ「ンを図区を他の部分から切り離し、そこに設けてある核 ろうとしている。 逆噴射ロケットで減速して着陸降下経路に入 ウト 宇宙生物学の課題に、宇宙の環境条件、とく れ、地球大気へ再突入させるのである。超高速 に無重量状態と生物の生存の関係の研究があでしだいに濃密となる大気に飛び込んで行くの ス る。無重量状態のなかでの生態、成長についてで、衝撃波が発生し、高速飛行体の周辺、とく さまざまな研究が進められ、宇宙生態学ともい にその前面は二〇〇〇度 0 を越す高温となる。 子 うべき分野が開かれている。このほか、宇宙線居住区をその熱から守るために、耐熱材を厚く などによって生物が突然変異をおこすかどうか張ったり、その表面にプラスチックを混入しての ネ 中 など、宇宙の環境条件が催奇性を有するかどうそこを融けやすくし、それによって熱を吸収し 工 泉 かの研究も進められている。宇宙生物学は宇宙放熱するなどのくふうがなされた。これを融除 宙 , Q) 医学と並んで、地球人が宇宙人となるために必法 ( ア。フレーション ) 方式という。今後宇宙船宇 次子 要な研究を進めていると考えてよい。↓ 宇宙医の主力となるスペースシャトルでは、回収を数 学 〈大島正光〉十回にわたって行うために、新しくセラミック の耐熱材を開発し、そのタイルを機体表面に張 宇宙船うちゅうせん space ship 宇宙機の なかで、とくに人の乗るものをいう。宇宙機が る方法がとられている。 人工衛星である場合には、衛星船ということも スペースシャトルの出現によって宇宙船の総 度 だされ、四二年には太陽からの宇宙線発生が発 見された。これらの現象の研究から、惑星間空 多い。宇宙船の最初は、一九六一年四月一二日費用は安くなり、同一の宇宙船を何回も往復さ子 のウオストーク一号であり、搭乗者はソ連のガせて宇宙空間で大型の宇宙ステーションを組み原 間に乱れた磁場が太陽風に伴って放出されるこ の ガーリン、近地点一八キ 一口メートル、遠地点三 とが明らかにされた 立てることも現実性が増してきた。↓宇宙飛行 だえん ↓スペースシャトル 〈新羅一郎〉 二七キ。メートルの楕円軌道を描き、一時間四八 宇宙線の大部分が銀河系起源で、それが星間 線度元 うちゅうせん 000m 一 c 「 ays 地球外 ( 由強な , 磁場で捕捉され、かっ加速されるという説が、 分の所要時間で地球を一周した。その後ソ連、宇宙線 宇対 お 一九四九年に・フェルミによって提唱され アメリカから多くの宇宙船が打ち上げられ、大起源の高エネルギー放射線。地球の大気に突入欠相 気圏外を飛行した。 する以前の宇宙線を一次宇宙線、それが地球の た。また五二年、宇宙線が星間物質と衝突して 一の 号 【い・一 0 1 11 ワ」っ 0 宇宙船はその基本的な条件として、第二 大気や土で発生するものを二次宇宙線という。 中間子を発生し、その崩壊によって電子や線 子 11 11 ワ」 人間の生命が維持される環境が確保されていな 〔宇宙線の研究史〕一九世紀末に放射能が発見表 をつくることが早川幸男らによって予言され ければならないし、第二に、無事に回収されるされてまもなく、厚い壁で囲んでもなくならな た。五三年、高エネルギー電子が星間磁場中を 対策ができていなければならない。第一の環境 い放射能の存在が認められた。放射能は地上か子が発見された。宇宙線諸成分のエネルギー 運動すると電波や光を放射することがシュクロ 問題について、生命の保持に不可欠な酸素に関ら高く昇ってもあまり弱まらず、気球を使っては、当時人工的に到達できたエネルギーよりは ) やギン フスキー I. S. Shklovsky ( 一九一六ー しては、アメリカとソ連とでは異なった考え方観測すると、一キ。メートル以上の高度では高さ るかに高く、高エネルギー相互作用と素粒子を ップルグ V. L. Ginzburg によって研究され、 をもっていた。アメリカは、空気中の窒素は呼とともに強くなることがわかった。 研究する有力な手段を提供した。 銀河電波の起源が解明された。 ひでき 吸には不必要とみなし、酸素だけですむとし 一九一二年にこの観測に成功した > ・ヘス 宇宙線中間子は湯川秀樹が予言した中間子と 〔一次宇宙線〕主成分は陽子で、核子当りのエ た。しかし純粋に酸素だけでは障害がおこるのは、この放射能が高空からくる透過性の高い放思われたが、研究が進むにつれて両者の差異が ネルギー数が GeV ( ギガ電子ポルト、 1GeV で、酸素を三分の一気圧とした。これによって射線によると結論した。これが宇宙線の発見で認められるようになった。一九四二年 ( 昭和一 =109eV) の領域で比較した重い原子核の相対 しょ ) ついち やすたか 搭載重量は減少できるし、内部の圧力の減少のある。二七年、計数管や霧箱が宇宙線の観測 に七 ) 坂田昌一と谷川安孝は、核力を媒介する 強度を表 1 に示す。この組成はエネルギーとと ために耐圧の問題も楽になるのである。これに用いられ、地上に降り注ぐ宇宙線の大部分が高中間子と宇宙線中間子は別のものであるという もに緩やかに変化する。 アルファ 対しソ連は、使用するロケットの推進能力に余エネルギー荷電粒子であることが判明した。ま 説を発表し、四七年に 0 ・・バウエルらが重 陽子および粒子のエネルギー・スペクト 裕があったためであろうが、空気と同じ成分のた、地磁気緯度が下がるとともに宇宙線強度が い中間子の軽い中間子への崩壊を観測し、この ルを図 < に示す。陽子は地球の磁場によって曲 ものを一気圧で使う方針をとった。また、呼気増加することが観測され、地球に入射する一次二中間子論が確証された。そのころから、さら げられるため、あるエネルギー以下のものは地 に含まれる二酸化炭素の除去も重要である。そ宇宙線も地磁気で曲げられる荷電粒子であるこ に重い中間子や、核子より重い重核子が次々と球に入射できない。鉛直方向に入射しうるエネ れには、二酸化炭素を吸収する物質 ( ゼオライ とが確かめられた。さらに、東西方向の強度の発見され、素粒子の多様性が認識された。これルギーの下限に対応する地磁気緯度をも図 < に トが多く用いられる ) を用意し、二酸化炭素を差から、その電荷の符号が正であると結論されらを理解するため、一九五三年 ( 昭和二八 ) に 示した。重い原子核に対しては、核子当りの限 吸収させては、それを船外に放出させることをた。 素粒子を特徴づける量子数ストレンジネスが中界運動量が約二分の一になる。また図 < に電子 ただお かずひこ 繰り返す。そのはか、温度とか湿度なども適当 一次宇宙線は地球大気と衝突して一一次宇宙線野董夫、西島和彦らによって導入された。 のエネルギー・スペクトルをも示した。 100 な範囲内に調整しておかなければならない。しを発生する。霧箱で観測された宇宙線の飛跡を 一方、一次宇宙線については、一九三七年ご MeV ( メガ電子ポルト ) 以下の成分は木星の たがって宇宙船は、居住区と機械室ならびに推研究して、一九三二年に陽電子、三七年に中門 日ろから宇宙線強度と地磁気の変動の相関がみい 磁気圏で加速されたものである。これらの粒子 LI¯) っ乙 1 2 ~ L-n つ」 10X10 3 X10 ー 10 l-n っ′」 L-n つ」 LO っ乙 ス ) っ′」 ほそく : 矢印は指定された地磁気緯度に亜直に入射しうる粒「の最 低エネルキー さちお ガンマ 160