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1. 日本大百科全書 8

けいさつ 警察 / 組織と機構 国の警察機構 内閣総理大臣 ( 所轄 ) ( 管理 ) 国家公安委員会 ( 補佐 ) 警察庁 長官・次長 ( 附属機関 ) 警察大学校科学警察 研究所 法科学 国際捜査 研修所 研修所 ・特別捜査幹部・附属鑑定所 研修所 ・附属警察通信学校 警務局 警備局 交通局 通信局 刑事局 審議官 ( 2 ) 保安部審議官 首席監察官審議官 刑事企画課防犯課交通企画課公安第一課通信総務課 人事課 捜査第一課少年課交通指導課公安第ニ課通信運用課 教養課 給与厚生課捜査第ニ課保安課交通規制課公安第三課有線通信課 国際刑事課公害課 高速道路課警備課 無線通信課 鑑識課 外勤課運転免許課外事課 調査課 長官官房 審議官 総務課 企画課 会計課 装備課 情報管理課 皇宮警察本部 皇宮警察学校 ( 地方機関 ) 東北管区関東管区中部管区近畿管区中国管区四国管区九州管区 警察局 警察局 警察局 警察局 警察局 警察局 警察局 警察学校警察学校警察学校警察学校警察学校警察学校警察学校 地方の警察機構 ( 警視庁の場合 ) 東京都知事 ( 所轄 ) 東京都公安委員会 北海道警察通信部 東京都警察通信部 ( 管理 ) 警視庁 警視総監・副総監 ( 補佐 ) 派出所 駐在所 警視庁警察 学校 庶務部 第一教養部 第ニ教養部 第三教養部 第一 ~ 第八方面本部一一 - 各警察署 防犯部 防犯総務課 生活課 保安第一課 保安第ニ課 少年第一課 少年第ニ課 ・防犯特別捜査隊 刑事部 刑事総務課 捜査第一課 捜査第ニ課 捜査第三課 捜査第四課 捜査共助課 鑑識課 ・機動捜査隊 3 隊 ・科学捜査 研究所 公安部 警ら部 公安総務課 警ら総務課 公安第一課 警ら執行課 公安第ニ課 ・通信指令本部 公安第三課 ・自動車警ら隊公安第四課 3 隊 外事第一課 外事第ニ課 警備部 警備第一課 警備第ニ課 災害対策課 警衛課 警護課 ・機動隊 9 隊 特科車両隊 警務部 交通総務課 人事第一課 交通執行課 人事第ニ課 訟務課 交通捜査課 給与課 交通規制課 交通管制課 厚生課 駐車対策課 教養課 ・健康管理本部・運転免許本部 府中運転免許試験場 鮫洲運転免許試験場 江東運転免許試験場 ・交通機動隊 5 隊 高速道路交通警察隊 交通部 総務部 企画課 能率管理課 庁舎管理課 広報課 会計課 用度課 装備課 施設課 留置管理課 ・航空隊 本的に誤っているのではないか。 そういち 〔法制上の警察の概念〕佐々木惣一による「警 察の概念」は、「学問上の概念」に対する以上 のような疑問から出発する。 い佐々木説では、警察の概念を明らかにするに は、厳正に法が警察として思考するものをみる ほかはなく、法を認識する者が自身で学問上の 概念として構成するものや、法を認識する者が 警察なる語に与える意義などは、けっして法上 の概念とはいえないのであって、警察の概念を 構成することは、わが国の現行法制が警察とい う語をもっていかなるものを示しているかを明 らかにすることにほかならない、と主張したう え、現行法制上根拠とすべき基本法は、一八七 五年 ( 明治八 ) の行政警察規則である、とす る。佐々木が行政警察規則を根拠として構成し た警察の概念は、次のとおりである。「警察とは、 国家が、一般統治の下にある社会生活の秩序の 障害を除去するが為に、その障害の原因たる事 実に対する干与を、権力を用いて人の自然の行 為の自由を制限することを中心として、為す所 の包括的な活動をいう。」 ( 『警察法概論』 ) 。佐々 木は、これを警察の「法上の概念」ないし「法 制上の概念」であるといし わが国の制度にお ける警察の概念は、この意味における法制上の 概念以外にはなく、学問上の概念なるものは存 在しない、と主張したのである。 ⑦「学問上の概念」と「法制上の概念」の相違 点は、主として警察概念の構成要素としての 「警察の目的」の内容とその要素が概念構成に おいて占める重要性との二点における差異にあ る。「学問上の概念」における警察の目的には 福利目的が含まれると同時に、目的の要素が警 察概念の構成において占める重要性は、手段の 要素に比較して軽い。 これに対して、「法制上 の概念」における警察の目的は保安目的に限定 されるが、その目的の要素が警察概念の構成に おいて占める重要性は、手段の要素に比較して 重い。たとえば、「学問上の概念」論者は、警 察概念の構成にあたり、保安目的と福利目的と の間に差別をしないが、他方、手段による差別 を導入して、同一の目的の作用であっても、権 カ作用を手段とするものを「警察」とよび、非 権力作用を手段とするものを「保育」とよぶの である。これに対して「法制上の概念」論者 は、保安目的の作用であるか福利目的の作用で あるかの区別に基づき、前者を「警察」とよ 6

2. 日本大百科全書 8

、戦前「警察の概念」を構成するうえにおい ていたが、日 月冶憲法下においては、犯人の追た。また、国の警察機関を設けて、国家的見地 2 っぴ、後者を「化育」ないし「育成」とよぶので または全国的見地から都道府県の警察行政につ 六、あって、この場合においては、手段が権力的でて重要な役割を演じていた明治憲法と行政警察捕・糾弾の手法は従たる地位に退き、これにか 、あるか否かはかならすしも重要な要素ではな規則が廃止された。そして、新憲法においてわって、行政上の命令強制の権力作用が主たる いて統轄・調整その他の関与を行うことによ 、警察の手段についても、包括的にみれば権 は、独立命令たる警察命令の制定権が否定され手段としての地位を占めていた。新憲法下の警り、各都道府県警察における警察事務の均質性 カ作用を中心としているが、個別的には非権力て、立法権は国会の独占するところとなった。察行政においては、このような行政上の権力作 と警察行政の統一性を確保するとともに、皇宮 作用をも含むものであり、他方、「化育」行政その結果、警察命令制定権の範囲を制限する機用の手段もまた従たる地位に退かんとし、かわ警察に関する事務のように、国家的見地からと においても、非権力的作用の手段のみならず、能を有していた「警察権の限界」の理論と、こ りに、非権力作用たる助言、指導、勧告、情報 くに国に留保する必要がある警察事務について 権力作用の手段をも含みうる、とするのであの理論を誘導する機能を有していた「学問上のおよびサービスの提供、金銭の給付等の作用が は、都道府県に委任することなく、国の警察機 る。 警察」の概念は、いずれも、その主たる機能を警察の手段として主要な地位を占めようとして関がこれをつかさどることとした。その結果、 ③要するに、「法制上の概念」は、実定法上の失うことになった。また「法制上の警察」の概 いる、といってよいであろう。 国の警察機関と都道府県の警察機関との一一種類 概念としての警察の概念内容を確定することを念も、その概念構成の根拠であった行政警察規〔警察の制度〕明治憲法下においては、警察の の警察機関が存在することになったが、この二 主たる目的として構成されたものであり、「学則が廃止されたため、その根拠を失うことにな事務は国の事務であり、警察の組織は内務省に種の警察機関は、警察行政の円満な管理と運営 問上の概念」のように憲法上の独立命令制定権った。他方、新憲法は、その権力分立思想につ従属する国家行政組織であり、警察官はすべてを図ることを共通の目的として有機的に結合さ の範囲に限定を加えることを目的として構成さ いても変更を加え、戦前の大陸型権力分立思想内務大臣の指揮監督に服する国の官吏であつれており、旧警察法下における自治体警察と国 れたものではなかったから、「学問上の概念」 から英米型の権力分立思想に転換したため、戦た。明治憲法下におけるこの国家警察の制度家地方警察との間の関係のように、相互に無関 論者にとって警察命令を制定する場合における前、司法権に属する作用とされ、「司法警察」は、戦後においては、自治体警察を基本とする係な独立の警察機関として並存しているわけで 立法原則として重要な機能を有する「警察権の の名でよばれていた犯罪捜査の事務が、戦後は警察制度へと根本的に改められることになっ 限界論」は、「法制上の概念」論者にとっては、 行政権に属するものとされ、警察機関が担当すた 現行警察制度の第二の特色は、国および都道 さしたる重要性を有する理論ではなかった。そることとされるに至った ( 警察法二条、刑事訴 ①一九四八年 ( 昭和二三 ) に施行された旧警察府県のいすれの警察機関においても、行政組織 れは、せいぜい、実定法上の文言たる「不確定訟法一八九条 ) 。これに伴い、「司法警察」の概法は、当時日本を占領していた連合国最高司令 の構造が管理機関と実施機関との一一種類の行政 概念」の解釈の基準としての機能を有するにす念が消滅したため、司法警察の対立概念であっ 部の指令に基づき、市および人口五機関から構成される複合的な構造を有している ぎない理論であった。したがって、「法制上のた「行政警察」の概念も、また、存在根拠を失〇〇〇人以上の市街的町村においては、当該市ことである。すなわち、国の警察機関について 概念」を前提とする「警察権の限界論」におい うことになった。現行警察法においては、警察町村の区域を管轄する市町村警察を設置するこ は、管理機関としての国家公安委員会と実施機 ては、「学問上の概念」を前提とする限界論に の目的を「個人の権利と自由を保護し、公共のととし、あわせて、それ以外の田園地帯を管轄関としての警察庁を置くこととし、都道府県の おいて主として警察命令に関する立法上の原則安全と秩序を維持する」 ( 一条 ) ことと規定すする国家警察 ( 国家地方警察 ) を各都道府県ご 警察機関については、管理機関としての都道府 としての機能を有するものとして主張されるるとともに、冒頭に記したように、警察の責務とに設置することとする、という自治体警察と県公安委員会と実施機関としての都道府県警察 ①消極目的の原則と、②警察責任の原則の二つ に関し、「警察は、個人の生命、身体及び財産国家警察との二本立ての制度を設けた。その結を置くこととした。そして、警察庁または都道 の原則については、これを認める必要がなく、 の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被果、全国に一六〇五の自治体警察と四六の都道府県警察がっかさどる事務については、国家公 ただ、実定法上の不確定概念を確定するための疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩府県国家地方警察とが併立することになった安委員会または都道府県公安委員会がこれを管 解釈基準としての機能をもあわせ有する①私生序の維持に当ることをもってその責務とする。」 が、この制度は、警察行政についての政治的中理するものとし、他方、国家公安委員会または 活自由の原則 ( 警察の合目的性に基づいて生す ( 二条一項 ) とのみ定めて、手段に関する規定立性と民主的管理の確保を図るうえで長所を有都道府県公安委員会がっかさどる事務について る限界 ) と、②警察比例の原則 ( 警察の手段のを置いていない。警察機関は、この目的およびする反面、非能率かっ不経済であるのみなら は、警察庁または都道府県警察本部がこれを 必要性に基づいて生ずる限界 ) の二種類の限界責務を達成するため、権力的手段のみならず、ず、わが国の実情にかならずしも適合していな「補佐」するものとして、相互の有機的な結合 の存在を承認するのみである。 誘導、助言、勧告、指導、情報およびサービス いという短所を有する制度であった。そこで、 を図り、もって警察行政の運営において政治的 ④第二次世界大戦前においては、「学問上の警の提供、金銭の給付等の非権力的な各種の手段占領解除後の一九五四年に、旧警察制度の長所中立性と民主的管理を確保するとともに、能率 察の概念」が、学説としては少数説であったにを講じて、「国民の幸福の増進」と「公共の福を生かすとともに、その短所を補うとの趣旨の的な運営を期することとしている。〈関根謙一〉 もかかわらす、警察の実務を支配していた。戦祉の実現」に努力している。権力的手段を用い 下に制定されたのが、現行警察法である。 〔警察権行使の限界〕行政法学においては、警 前、衛生、営業、交通等の各行政分野で、牛乳る場合には、その手段の行使について、法令上 ②現行警察制度のおもな特色は、次の二点に存察とは、消極的な社会目的のために、命令・強 営業取締規則、道路取締令、労働者募集取締令 に根拠を有しなければならないことはいうまでする。第一の特色は、国の警察機関と都道府県制によって人民の自然の自由を制限する一般統 等の内務省令や、料理屋飲食店営業取締規則、 もない。そのような法令としては、警察官職務の警察機関との一一種類の警察機関を設けたこと治権の作用をいう。実定法上警察機関の職務と 浴場及び浴場業取締規則等の庁府県令が明治憲執行法、刑事訴訟法のほか、道路交通法、風俗である。すなわち現行警察法は、警察の事務されているものには限られない 。この警察権に 法第九条の規定に基づく警察命令として多数制営業等の規制及び業務の適正化等に関する法が、国家的性格と地方的性格をあわせ有する特ついては伝統的に次のような限界があるとされ 定されたが、これらはいすれも、「学問上の警律、銃砲刀剣類所持等取締法、警備業法等、多殊な性質の事務であって、一義的に国家的性格てきた。 察」およびこれを前提とする「警察権の限界」数の例がある。 の事務であるとも地方的性格の事務であるとも〔警察消極目的の原則〕警察権の目的を社会秩 についての理論に基づいて制定されたものであ なお、警察の手段の変遷について一一一 = 口付け加 いいきれない事務であるとの認識にたち、この序の維持や災害防止など消極的なものに限定 つつ ) 0 えておく。明治以前においては、治安維持の作事務を原則として都道府県に団体委任し、都道し、福祉の増進や私的競争関係への介入を目的 〔戦後における警察の概念〕新憲法の施行に伴用は、主として犯人の追捕・糾弾の手法によっ府県警察を警察行政の基本単位とすることとし としてはならないとするもので、たとえば、旅

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事 けいさく 0 警策 警策 静ナラシメ人民ノ健康ヲ保護スル為ニシテ安静 (r 日本行政法』中巻 ) ものと定義すべきであ 長長 けいさっ社会秩序の維持および国民健康ヲ妨クル者ヲ予防スルニアリ」と規定しると主張するとともに、警察の概念において、 六、 = 察 府第察察 、生活の安全を確保することを目的とする行政作て、その後における警察の観念の芽を示して「第一ノ要素トシテ挙ケラルルモノハ命令及強 構官道警警 いるが、まだこの段階では、「行政警察」と 制ノ権力ニ依ル作用ナルコト」にあるのであっ ナ . 用、またはこれを担当する行政機関をいう。警 察法が「警察は、個人の生命、身体及び財産の 「司法警察」との区別が確立しておらず、行政て、その目的が保安目的であるか福利目的であ察 長 臣 局 保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑権に属する作用としての「警察」の観念が明確るかを問わず、命令強制の権力作用は警察に属警 保 の務 ~ 明 者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序に意識されているものではなかった。 する作用であるのに対し、非権力的作用は、そ 警 出 の維持に当ることをもってその責務とする」 ③一八七四年 ( 明治七 ) 一月に、警保寮が司法の目的の積極的であるか消極的であるかを問わ戦 長 ( 二条一項 ) 旨規定する場合における「警察」省から内務省に移管されたが、その際に太政官ず、警察作用ではなくて「保育」の作用であ ~ 明 在 とは、行政作用の一種としての警察を意味し、 から発せられた警保寮職制並事務章程は、フ一フる、とした。 、王 警 警 他方、同法が「都道府県警察は、当該都道府県ンスの制度に倣って「行政警察」と「司法警 ②以上みてきたように美濃部によれば、明治憲 の区域につき、第二条の責務に任ずる」 ( 三六察」とを明確に区別するに至った。さらに、一法第九条の解釈に関して、ひとまず、保安目的は、学問的分析の手段として概念を構成する場 条二項 ) 旨規定する場合における「都道府県警 八七五年 ( 明治八 ) 三月太政官達第二九号をもの命令も福利目的の命令もともに警察命令であ合には、法律上の観点からみて共通の性質の作 察」とは、警察作用を担当する行政機関としてって発せられた行政警察規則は、行政警察の概るとするのであるが、ここで、ただちに、警察用であって、共通の法理・法原則に服する作用 の警察機関を意味する。 念内容をいっそう明確に示すに至り、ここに、 権の限界の理論、とくに目的に関する限界 ( い は共通の概念の下に包摂せしめることが望まし 〔近代的警察概念の成立〕①国民生活の安全お行政権に属する国家作用としての「警察」の観わゆる「消極目的の原則」 ) の理論を持ち込ん いわけであるが、この場合における「警察」の よび社会秩序の維持を確保することを目的とす念が成立したのである。↓司法警察 で警察命令制定権の範囲の縮小を試みるのであ概念も、このような観点から学問上の分析道具 る行政の手段としては、古代とくに八 一六年〔明治憲法下における「警察」概念の論争〕明る。すなわち、博士によれば、警察命令は、法として思弁的に構成された概念であって、実定 ( 弘仁七 ) ころに検非違使庁が創設されて以来治憲法下における「警察」の概念については、規命令たる性質を有する命令であるが、法規す法上の「警察」とはなんら関係のない概念であ 明治維新に至るまでの間は、主として犯人の追概念構成の方法論に関する対立に基づき、「学なわち個人の自由を制限する規律を定めること る、との理由からであった。そして、この場合 捕と糾弾の方法によっていた。もちろん、明治 問上の警察の概念」と「法上ないし法制上の警ができるのは、ただ消極目的すなわち保安目的における「警察」に属する作用に共通する法律 維新以前においても、自身番・木戸番の制度察の概念」との対立があり、両者の間におけるの分野に限られるのであって、福利目的のよう上の性質とは、目的、手段、権力の三点におけ いんしじやきよう や、賭博・売春の取締り、淫祠邪教の取締り、論争は、最後まで結着をみるに至らなかった。 な積極目的の分野においては、法規命令を制定る性質のことであり、共通の法理・法原則と みの 鉄砲の取締り等、今日「警察」に属すると考え 「学問上の警察の概念」とは、主として美濃することができず、行政規則のみを制定するこ は、主として「警察権の限界論」に由来する法 べたっきち られている行政上の制度や作用が存在していた 部達吉が、明治憲法第九条の規定の解釈との関とができるにすぎない、とする。その結果、明原則を意味していた。 が、これらは、「警察」という特別な行政の一連において、主張する警察の概念である。明治 治憲法第九条の独立命令制定権は保安目的の分 美濃部の見解に対しては、大要次のような疑 部門として観念されることなく、多くは「取締憲法第九条は、「天皇ハ法律ヲ執行スル為ニ又野においてのみ法規命令を制定することを承認 問が提起されていた。①警察の「概念」におい り」の観念の下に、主たる手段である犯人の追 ハ公共ノ安寧秩序ヲ保持シ及臣民ノ幸福ヲ増進する規定であるということになるが、このことては、福利目的も保安目的も、すなわち積極目 こんぜん 捕・糾弾の作用とともに、渾然一体をなして一 スル為ニ必要ナル命令ヲ発シ又ハ発セシム」と は、警察命令制定権に「警察権の限界」の理論的も消極目的も、いずれも警察目的に含まれる 般の行政に属せしめられていたのである。 、とするのである。 規定していた。美濃部は「公共ノ安寧秩序ヲ保を適用した結果にすぎない としながら、「限界論」においては、消極目的 明治以降、権力分立思想に基づく法制が整備持スル為ニ必要ナル命令」とは保安目的の命令 このように、明治憲法第九条の独立命令は警察の原則を掲げて、結局、警察目的を保安目的の みに限定するのはなぜか。②「学問上の警察」 されるに及んで、国民生活の安全および社会秩であり、「臣民ノ幸福ヲ増進スル為ニ必要ナル命令であると主張することによって美濃部は、 序の維持の確保の手段は、行政権に属する作用命令」とは福利目的の命令であるが、そのいずこの独立命令制定権に警察権の限界論を適用概念とは、目的のいかんを問わす、ただ、手段 と司法権に属する作用とに二分され、それまでれの目的の命令も、内務行政の目的の範囲に属し、その結果、福利目的のための法規命令の制 が命令強制の権力作用である、というにすぎな のおもな手段であった犯人の追捕・糾弾の方法する命令であり、警察目的の命令であるとし定の可能性を理論上封ずることができたのであ いのではないか。③美濃部が右のような主張を による作用が司法権に属させられることとなるた。すなわち、明治憲法第九条に規定する命令る。 するのは、明治憲法第九条の解釈において、保安 とともに、新たに、命令強制の方法による作用の目的の範囲は「警察」の目的の範囲と「完全 美濃部による「警察権の限界論」は、明治憲目的の命令についてのみ法規的事項を定めるこ ひっきよう が行政権に属させられることになった。前者を相一致スル」ゆえに、「憲法第九条ハ畢竟スル法第九条の独立命令制定権の範囲を限定し、警とができるが、福利目的の命令については単な 「司法警察」とよび、後者を「行政警察」ない 一一執行命令及行政規則ノ外ニハ唯警察命令ノ大察命令を制定する場合における準則としての機る行政規則しか制定することができない、と主 し単に「警察」とよぶ。これは、フランス型の権ヲ認メタルモノニ外ナラス」とした。他方に 能をもたせようと試みたため、いろいろと変遷張するためではないか。④要するに、「学問上 の概念」とはいうものの美濃部の警察の概念は 権力分立思想に基づく制度に倣ったものであおいて美濃部は、警察の概念について、「法律したが、最終的には、①目的に関する限界 ( い り、ここに、三権分立を制度的前提として行政上ノ観点ョリ謂ハハ其ノ目的ノ積極的ナルト消わゆる「消極目的原則」 ) 、②警察公共の原則、 そのユニークな憲法解釈の方法と結合されてお 権に属する作用としての近代的な「警察」の観極的ナルトニ依リテ其ノ行為ノ法律上ノ性質ヲ③警察の比例の原則、④警察責任の原則、の四り、明治憲法第九条の独立命令制定権の範囲を 念が成立するのである。 区別スへキ理由ヲ看出スコトヲ得」ないがゆえ原則にまとめられるに至った ( 『日本行政法』制限するために考案されたイデオロギー的性格 だじようかん 一八七二年 ( 明治五 ) 一〇月太政官布告第 に、「警察トハ、社会生活ノ秩序ヲ維持スルガ下巻 ) 。 を有する概念であって、このような概念構成の 一七号をもって公布された司法省警保寮職制第為ニ国家ノ一般統治権ニ基キ人民ニ命令シ強制 ③美濃部による警察概念は、「学問上の警察の方法は、現行法体系の統一的理解と整序を目的 二章第二条は「警保寮ヲ置クノ趣意ハ国中ヲ安シ其ノ自然ノ自由ヲ拘束スル作用ヲ謂フ。」概念」といわれるが、「学問上」といわれるのとする法律学における概念構成の方法として根 きようさく ただ ため 駐在所派出所

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げんじも 源氏物語 冨 源氏物語 / 登場人物系図 承香殿女御 弘徽殿大后一 い化 ~ 元 朧月夜の君大北の方 式部卿宮ー紫の上 右大臣 大宮 左大臣 前東宮 六条御息所 光」源氏 麗景殿女御桐壺史衣末摘花 花散里 桃園式部卿宮ー朝顔の姫君 明石の入道 明石の尼君 女五の宮 上円ム呂 朱雀院 光「簿氏 葵の上 頭中将 明石の君 桐壺院 八の宮 北の方 中将の君 常介 明石の中宮 今上 ] 麗景殿女御 女三の宮 藤壺中宮 玉鬘 鬚黒 北の方 明石の君 中の君 大君 卩日水宀元 女一の宮 落葉の宮 葵の上 雲井雁 タ霧 今 -= 帝 紅梅 本柱 蛍兵部卿宮 大君 頭中将ーー雲井雁 四の君 タ顔 春宮 弘徽殿女御 柏木 紅梅 人姫 タ霧 呂の御方 女一の宮 六の君 匂宮 の君 秋好中宮 ! 冷泉院 女二の宮 北の方 鬚黒 浮舟 玉鬘 らも、帝最愛の后藤壺への禁断の恋を秘めて魂 した。この人物の生涯は、敵対勢力への激しい は」・つ・ : っ 嫉妬と憎悪で塗りつぶされている。これは、外の彷徨が始まる。しかし四十賀を迎えてから、 戚右大臣家の興亡を女性的な感性によって端的しだいに悲劇的な色彩を帯びてくる。そして紫 に表現したものともいえる。 の上の死への悲嘆のなかで、容易に出家を実現 ひたちのみや すえっ できない己が心の執着を思う。 常陸宮の晩年の娘。光源氏は、 末摘花 むはな すき あ ふじつばの 先帝の四の宮。亡き桐 ちゅうぐう 好色心を高ぶらせて逢ったこの女の、意外なま藤壺の中宮 しゅうばう ふびん での醜貌に驚いた。しかし不憫さが募り、終壺更衣に酷似するといわれて桐壺帝の女御とし 生これを後援することになる。物語随一の醜女て入内。帝最愛の后でありながら、光源氏と密 であるばかりか、しかも古風で現実に適応しが通。避けがたい宿世の力を思う。その不義の子 ひご たい不器用の女であった。それを気長に庇護し が桐壺院に鍾愛されて東宮になる。院の崩御 続けるところに、源氏の「、 しろごのみ」の美徳後、東宮を庇護すべく、源氏の懸想を避けつつ もあるとされる。 彼に親近しようとする。そのために出家をもし すぎく 朱雀院 いん 桐壺院の第一皇子。母は弘徽た。のちに、即位した冷泉帝の母として、女院 殿大后。源氏・藤壺・左大臣方に敵対する右大となる。源氏との恋ゆえの人並み外れた苦悩 臣一派のよりどころの帝王。 与い性格が、そが、比類ない栄華をもたらしたことになる。 ー - かば・つ むらさき の傀儡的な存在を許した。 式部卿宮の外腹の娘。藤壺の 紫の上 のうえ 玉鬘ら頭中将の娘。母はタ顔。母と死別姪。光源氏に引き取られ、彼の実質的な正妻と 後、幼時筑紫に伴われ、二〇歳を過ぎてから上して厚遇される。しかし、女三の宮の降嫁に、 京。これを知った光源氏は、実父にも内緒で、 自らの運命のったなさを痛恨。苦衷を押し隠し 養女として六条院に迎えた。快活で親しみやすて平静を装って生きようとする。その苦悩に堪 そうめい い性格と聡明な判断力を備えているが、養父源えがたく発病、やがて死を迎える。晩年の述懐 氏と実父頭中将の確執のなかで、しかも養父か に、苦悩こそが自分の生きる支えであった、と もある。 ら懸想されるという特異な体験に生かされた。 とうのちゅ 、つじ。よ、つ 頭中将 左大臣の長男。母は大宮。タ顔初めは頭中将の愛人、その間に玉 良家の子弟らしく明るくちやめつ気のある若者鬘を出産。正妻方に脅されて身を隠した。後 で、同腹の葵の上が光源氏の正妻であるという年、光源氏がそれとも知らず、これを溺愛。し 点からも源氏ととくに親しく交わった。しかし かし、まもなく、逢瀬のさなかに物の怪に取り っ 政界に重きをなし、長女弘徽殿女御が源氏の後憑かれて死んだ。 援する秋好中宮に圧倒されるころから、打算的タ霧滸光源氏の長男。母は葵の上。まめ な性行をみせ、源氏に対抗心を激しく燃やす。人といわれる彼は現秩序や良識を遵守する人物 ′、をッいのん ~ り そうした生き方には、おのすから権門の家系を として一貫している。雲居雁との恋を実らせて 維持する立場が主張されていよう。 結婚するのも、その性格を証している。のち きんじよう おちば に、柏本の末亡人、落葉の宮との恋に陥るが、 匂宮響今上帝の第三皇子。母は明石の 中宮。薫とは対照的に、好色的で行動に転じゃそこでも世俗的な合理性に裏づけられていて、 せつな すい刹那的な情熱の持ち主。中の君と結ばれる彼自身破滅することがない が、のちに、中の君に身を寄せた浮舟に懸想、 れぜ桐壺帝の第十皇子。実は光源 冷泉院 いいん ついに契りを結ぶ。浮舟の苦悩のもととなっ氏と藤壺の不義の子。源氏が冷泉帝の父である という秘密の了解が、源氏に特異なまでの栄華 れいけいでん はなちロ るさと 椚壺帝時代の麗景殿女御の妹。をもたらしたことになる。 花散里 失意の光源氏の昔語りの相手に始まり、ついに ある大臣の娘。東宮 六条御息所にすどころ 六条院夏の町を占めるに至る。温順で控え目な に参入して、姫君 ( 秋好中宮 ) をもうけたが、 性格と、染色・裁縫など家庭的な技能の持ち主東宮に死別。奥ゆかしく優雅な人柄として評判 で、タ霧や玉鬘の世話役を担わされている。 高く、それだけに自尊、いも強、。 光源氏のとだ ひかる 桐壺院第二皇子。母は桐壺更えがちな関係に自尊心の傷つけられた思いで嘆 光源氏 げんじ 衣。長ずるに及んで、卓越した資質と多感な性息する。葵祭で源氏の正妻方と車争いとなり、 格が「いろごのみ」ともよばれる絶対的な魅力屈辱感が強まり、その魂が意思とは無関係に身 しゅうわ を発揮するようになる。相手の魂深くに訴えて体から抜け出て、葵の上に執念く取り憑く。っ 人心を支配するかのように、彼の女性交渉が多 いに産後の彼女を取り殺してしまう。 様に織り成されていく。葵の上を正妻としなが 〈鈴木日出男〉 せき おうせ 351

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けいしそ 刑事政策 / 刑事司法における犯罪者 ( 成人 ) 処遇の流れ 警察等 r—検察丁ー ] 「一一 -- - ー - 裁判所ーーー - ーー ] 徴罪処分 不起訴、。 無罪等罰金等 が、しかし、社会的事象そのものとして眺めれを解消するという意味で、刑事政策における被て、通常、科学主義と人道主義の二つがあげら合理的な処理問題になる。また、特殊な処理問 ば、犯罪の大部分は被害を伴う現象であり、し害・被害者対策の重要性が指摘されている。 れる。科学主義とは、事実学の学問的成果を活題として、国際的な司法協力のあるべきことが かも、ときには、犯罪を誘致した重要な要因は さらに、犯罪という概念には、それは社会か用して合理的な犯罪対策を構成すべしとする理要請される状況にある。 被害者の側にこそある、とされるべき場合もあら排斥されるべき現象である、という一方的な 論的要請であり、とくに刑事学 ( 犯罪学 ) 充実 犯罪は世界各国に共通の問題である。国際的 る。たとえば、性犯罪における被害者の誘惑的「きめつけ」が含まれているということ、この への期待である。人道主義とは、犯罪対策におな情報交換は、犯罪対策そのものとして必要で な態度、詐欺罪における被害者の欲深さ、窃盗点に注意しなければならない。犯罪を行った者 いて人間を人間にふさわしく遇すべしとする理あるばかりでなく、犯罪対策のあり方をめぐる 罪の被害者の軽率さなど、犯罪防止のために に対する社会の排斥的態度そのものが犯罪の問論的要請であり、個人の尊厳の思想にたっ犯罪理論的くふうのうえでも重要である。国際学 は、可能的被害者への注意の喚起が必要にな題をこじらせているのではないか、とされる。者の処遇とその人権保障の問題になる。処遇の会・会議は一九世紀後半から数多くあるが、と る。このような、いわゆる被害者の有責性が問 目標は犯罪者の改善更生、その社会復帰であくに第二次大戦後は、国際連合の経済社会理事 かって、当時の裁判制度と刑罰制度が際限もな 題になる場合だけでなく、犯罪に対する善後措 く累犯者を生み出している、と激しく非難される。これらの指導理念は、さらに理論的に整理会のもとに社会防衛局が置かれ、一九五五年以 されて刑事政策的評価基準として構成され、そ降、五年ごとに大規模な国際会議が開かれてい 置においても、犯罪の対人的・対社会的悪影響たことがあり、そこに刑事法制全体の仕組みと 〈須々木主一〉 その連用の改善が計られて今日に至っているわれそれ合理性および相当性 ( 正当性 ) の名でよる。↓刑罰↓犯罪 期間満了等 等 けではあるが、第二次大戦後は、とくに、一般ばれることがあるが、その理論的分析はまだ十刑事責任けいじせきにん犯罪として刑罰を し の社会において、犯罪・非行を行った者とこれ分でない。これらのほかに実現可能性および補受けるべき刑法上の責任。責任につき、道義的 宀元 所 責任 ( 道徳的・倫理的責任 ) 、政治的責任、法 町退 行 を排斥する者との間の特徴的な相互作用、問題充性があげられることもある。実現可能性とい 仮執 観 うことでは、過去の刑事政策的主張にはしばし律的責任とが対比されることがあるが、刑事責 行動があるにすぎない者を非行少年・犯罪者に 宀一兀 導察 育て上げていく動的メカニズムのあることが認 ば情熱的な理想論や政治的実践を意図するもの任は法律的責任の一種である。法律的責任のな 補観獄 められるようになり、犯罪対策としての行動そもみられたので、より現実的で生産的な検討のかで、違法行為に対する法的制裁を内容とする 人 出 護 ョ市 呆 仮 のものが犯罪対策上の批判的な検討課題とされあるべきことを理論的に基礎づけようとする。責任として、刑事責任のほか、民事責任や行政 るようになっている。 補充性ということには二つの側面がある。その法上の責任があるが、このうち、刑事責任はも 以上のように、刑事政策の対象領域は多様化 一つは、犯罪対策における人々への干渉、自由っとも強力な制裁である。したがって、刑事責 する現状にあるが、伝統的に刑事政策上の問題で自律的な生活への介入、とくに国家権力を背任は、違法行為のうち、民事上や行政法上の制 景とした強制措置は、必要・最小限度に抑制さ裁では有効に対処しえない場合の最後の手段と として取り上げられるのは次のものである。 第一は刑罰である。その一般予防・特別予防れなければならない、とする。刑法学におけるして位置づけられる。この意味で、刑事責任は 謙抑主義、実務における刑罰緩和の傾向、立法他の制裁との関連で第一一次的・補充的な性格を の効果の問題は依然として検討され続けてい もつものとされる。ところが、今日のわが国で る。死刑の存廃、自由刑の構成の仕方、財産刑政策における刑罰適用場面縮小への要請、非強 はんらん は、「刑罰法規の氾濫」などとよばれるように、行 のあり方などをめぐって議論が多い 制処分拡大への傾向は、このような配慮を物語 第二は保安処分、すなわち刑罰以外の刑事処る。他の一つは、現実の問題として、合理性政刑法の領域では、行政取締りの必要から刑事 分である。精神障害者、薬物等への依存者、労 ( または相当性 ) の点で多少の疑問があるとし責任が安易に利用されているのが現状である。 ところで、刑事責任を問うためには、実体法 働嫌忌者、重大な犯罪を反覆する危険のある者ても、他に適当な方法がないときは、それをあ はくだっ に対する自由剥奪処分のほか、保護観察処分、えて存置ないし適用すべし、とする。たとえ上も、手続法上も、いくつかの要件を厳格に満 たすことが要求される。実体法上は、犯罪は ば、現在の自由刑や保護観察の特別予防効果に 職業禁止、運転免許の剥奪などの拘禁を伴わな い処分、もつばら少年または女性を対象とするは疑問があるとされているが、これらの制度形「構成要件に該当する違法かっ有責な行為」で 処分、以上の対人的処分と異なる対物的処分、式における対象者の改善更生、その社会復帰へなければならないと一般に解されており、さら に、刑事責任を問うためには、「適正な手続」 たとえば危険物の処理、企業閉鎖など、多様で向けての努力を放棄するわけにはいかな、 に従って、刑事裁判所より、右の犯罪成立要件 ある。わが国では、自由剥奪を伴う保安処分の 犯罪のない社会はない。その関係は、しばし ば病気と人間との関係に例えられ、一病息災とを満たす行為が現に存在するものと判断されな 採否に関する議論が活発である。 ければならない 〈名和鉄郎〉 第三は上記以外のもの、たとえば、防犯活 いうに類する認識も深められている。しかし、 けいしそうかん都警察 ( 警視庁 ) 動、警察活動、犯人の迅速・確実な逮捕、迅病気はないにこしたことはない。歴史的に犯罪 警視総監 の長たる警察官。身分は一般職の国家公務員で 速・適正な審判、猶予制度、少年保護、犯罪の対策上の問題とされ続けているのが、組織犯罪 更生保護、犯罪被害給付制度など。 者、職業的犯罪者、精神障害 ( 広義 ) 犯罪者、あるが、その地位は警察庁長官を除く警察官の 第四は、刑法改正をはじめとする刑事法制上政治的確信犯人、外国人犯罪者などであり、累階級の最高位である。任免は国家公安委員会が 犯 ( 頻回受刑者を含む ) の問題はいまだに解決都公安委員会の同意を得たうえ、内閣総理大臣 の各種立法措置。上記の諸事項をめぐる理念 的・技術的な問題がすべて絡んでくる。刑事政されていない。非行少年の問題も、少年の健全の承認を得て行う ( 警察法四九条 ) 。警視総監 は、都公安委員会の管理に服し、警視庁の事務 策は、法治主義のたてまえに関連して、結局の育成の目標に即してのことではあるが、犯罪対 ところ、立法政策に集約される。 策上の中心課題の一つである。量的に多発するを統轄し、ならびに都警察の所属の警察職員を 〈小松進〉 7 指揮監督する ( 同法四八条 ) 。 〔刑事政策の指導理念と課題〕指導理念とし財産犯や行政犯 ( 交通事犯や税法違反など ) は r¯婦人補導院 執行猶予補導処分 退 保護観察付執行猶予 仮出獄 宀元 退 宀元 受理 検察官送致 検挙 犯罪 公判手続 受理 起訴 受理 受理 入所 実刑 冫期釈 式 手 罰金科科 受理 不定期刑終了。 - 刑務所 交通反則金 注 : 「犯罪白書」 ( 1984 年版 ) より 検察官認知等 ニ : ロ

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を避難等させ、または関係者に必要な措置をと らぬ。ただ、統治権が警察の目的の為に発動す〔警察権に類似する概念〕なお、第二次世界大 設定する特許とは概念上区別され、許可に際し これ ることを命じ、または自らその措置をとることて行政庁の自由裁量は原則として認められない る、といふ点より観て、之を警察権といふに過戦後の法制においても、「警察権」ということ そういち ばを用いた特殊な例がある。「日米安全保障条 ができる ( 四条 ) 。警察官は、犯罪がまさに行とされる。また、許可を必要とする行為を無許ぎない。」 ( 佐々木惣一『警察法概論』 ) われようとするのを認めたときは、その予防の可で行った場合について、法は罰則を定めてい 〔警察権の限界〕警察権の観念は、「警察権の約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国に ため関係者に警告し、急を要する場合には、そるのが通例である ( 無免許運転、無免許医業な 限界」に関する理論との関係においてのみ意味おける合衆国軍隊の地位に関する協定」第一七 の行為を制止できる ( 五条 ) 。これらの場合に ど ) 。↓許可↓免許 〈小松進〉を有する。「警察権の限界」の理論とは、明治条第一〇項の規定のなかにある「施設及び区 おいて、切迫していてやむをえないと認めると警察犬けいさつけん警察によって捜索や警憲法下における「警察の概念」の理論を前提と域において警察権を行う権利」との文言がそれ きゅうかく きは、警察官は他人の土地、建物等への立入り備に用いられるイヌの総称。イヌの鋭い嗅覚しつつ、①明治憲法第九条に規定する警察命令である。この場合における「警察権を行う権 ができる。また、興行場等多数の客の来集するや追跡能力を利用して犯罪捜査に役だてようと制定権の範囲および内容に関する立法上の基利」とは、 right to police の訳語であって、 場所には、犯罪、危害の予防のため、公開時間 する試みは古く、一七五九年ごろにはすでにフ準、②警察法令における不確定概念の内容を確「秩序づける権利」ないし「秩序づけのための 中に限り立入りできる ( 六条 ) 。 ランスで監視や犯人逮捕の一助として用いられ定するための法解釈上の基凖、および、③行政作用を行う権利」というほどの意味であり、 ④武器の使用警察官は、犯人の逮捕もしくはていた。その後一八九九年にはベルギーで警察上の裁量理論の警察法分野への適用に関する原 police ( 動詞 ) の語を「警察権を行う」と訳し 逃走の防止、自己もしくは他人の防護、公務執犬制度が生じ、ドイツなど各国にしだいに普及則としての基準等の機能を有する法原則に関すたのは、一種の誤訳であろう。またアメリカ憲 法学に特有の概念である「ポリス・パワー」を る理論であった。 行に対する抵抗の抑止のため必要と認める相当した。日本では一九一二年 ( 大正一 ) 一二月に 警察権の限界論は、「警察の概念」論を前提「警察権」と訳すことがあるが、これは、連邦 な理由のある場合には、その事態に応じ合理的イギリスから購入されたゴールデンレトリバー に必要と判断される限度において、武器を使用とグレートデンの二頭が訓練されたが、本格的としているため、その内容をなす法原則は、一主権に対する州の残余主権として州に留保され できる。ただし、正当防衛、緊急避難その他一 な制度とはならず、三〇年代の終わりごろに改様ではなく、警察概念の構成方法の差異に基づた権能、または正当な補償を伴う公用収用との 対比において、広く公共の衛生、安全、秩序、 く概念内容の差異に応じて、その法原則の機能 定の事由に該当する場合でなければ人に危害をめて警察犬制度の発足がみられた。第二次世界 与えてはならない ( 七条 ) 。 大戦後は治安の悪化もあり、ふたたび警察犬のおよび内容に差異が存する。主として明治憲法風紀、労働等の公共の福祉を保護増進するた 〔警職法反対闘争〕一九五八年 ( 昭和三三 ) 一利用価値が注目され、五六年 ( 昭和三一 ) には第九条の規定の解釈との関連において構成されめ、正当な補償を行わないで、個人の財産権そ のぶすけ の他の基本権を制限する政府の権能を意味する 〇月八日、政府 ( 岸信介内閣 ) は、警察が当時警視庁が飼育訓練を行うに至った。しかし、県た「学問上の警察の概念」を主張する論者は、 の社会情勢に適応した職務執行ができるように によっては優秀な民間の訓練犬を嘱託犬に指定憲法第九条に規定する警察命令制定権に関するものであって、明治憲法下におけるわが国の警 するため、警察官職務執行法の一部改正案を国しているところもある。警察犬は日本ではもっ立法上の原則としての機能に力点を置いて、お察法理論における概念たる「警察権」とは、や おもむき 〈関根謙一〉 会に提出した。これに対し、かっての治安維持ばら捜査や警備活動に従事している。犯行現場おむね、①消極目的の原則、②警察公共の原や趣を異にする概念である。 イギ けいさっこっか police state 法の復活であるとする野党、労働組合等を中心 に残された遺留品が容疑者のものか否かの選別 則、③警察責任の原則、および④警察比例の原警察国家 一般には、近代的な統一国 として激しい反対闘争が展開され、結局この法作業や、犯人の足跡追及、凶器や危険物の発見則の四原則が存在する、と主張した。これに対 P01izei Staat して、警察の概念につき、一八七五年 ( 明治家の建設を目ざして強権的な政治を遂行してい 〈宮越極〉などがそのおもな任務である。 案は成立せず、廃案となった。 おう 一九世紀におけ 八 ) の行政警察規則を基本として「法制上の概た君主制諸国家、とくに一八、 警察の警備 警察犬として用いられる犬種は作業意欲の旺 警察機動隊けいさっきどうたい 実施の中核として治安警備および災害警備にあ盛な犬種がよく、日本ではドイッシエバード大念」を構成すべきであると主張する論者は、実るプロイセンの開明専制君主の統治下にあった たり、必要に応じて雑踏警備、警護等にあたるがもっとも多く使用されているが、日本警察犬定法上の不確定概念の概念内容を確定するため国家をさす。プロイセンでは君主を中心とする ベルマ の解釈基準としての機能を認識して、①警察の官僚群 ( 官房 ) が、封建的な領邦君主たちによ 専門的な集団警備力。警察法には定めがない 協会でばほかにエアデールテリア、ドー が、警察法施行令中に各都道府県警察本部警備ン、ボクサー、コリーを認定しており、八四年合目的性に基づいて生ずる限界としての「警察る分権支配を打破し、そのため重商主義と富国 ノーがこれに加わっ に対する私生活の自由の原則」、および、②警強兵策を併用しつつ各種の福祉・保護行政によ 部の所掌事務の一つとして、「機動隊に関するからはラブラドルレトリヾ こと」があげられている。一九四八年 ( 昭和一一た。現場に出動して活躍するまでに、六か月の察の手段の必要性に基づいて生ずる限界としてって国内産業を育成し、国民経済と国民国家の 三 ) の警視庁予備隊発足が先駆け。機動隊は火基礎訓練、一年六か月の応用訓練期間が必要での「警察における比例の原則」の二原則を承認確立を図った。そして、このような治安・福祉 〈増井光子〉するほかは、警察権の限界に関する原則を否定行政を当時、ヘーゲルも述べているように警察 器を使わず、盾を中心とする装備を基本とするある。↓イヌ↓かぐ けいさつけん明治憲法下における警していた。新憲法の施行に伴い、旧憲法および (Polizei ポリツアイ ) とよんだ。しかし、プ が、その実力行使の威力は大きい。〈竹内康江〉 警察権 けいさっきよか公共の秩序、善良察法理論において構成された概念であって、警旧行政警察規則が廃止されたため、これらの規ロイセンではいまだ人権保障や民主的な政治制 警察許可 の風俗、公衆衛生の維持など警察上の目的によ察目的のために発動される国家統治権をいう。定に基づいて構成されていた「学問上の警察の度が確立されていなかったから、この警察国家 概念」および「法制上の警察の概念」がいすれの思想も実際には「公共の福祉」を名目として り法律が一般的に禁止している行為を、特定の通常、次のように説明される。 ①「警察権ハ国家統治権ノ一部ニシテ、統治権もその存在の基礎を失うとともに、これらの概国家による国民生活への干渉を合理化する根拠 場合に禁止を解除して適法にその行為ができる ため ようにすること。法令上、免許、許可などの語ガ直接ノ社会目的ノ為ニ人民ニ対スル命令強制念と結合されていた警察権の限界の理論も、そとなった。こうしてプロイセンでは、国家の政 の存在根拠を失い、無意味な理論となった。そ策を批判しそれに反対する思想や運動を抑圧 を用いる。たとえば、風俗営業等取締法に基づノ権力トシテ発動スル場合ニ於テ、其ノ権力ヲ つく営業の許可、道路交通法による自動車運転の警察権ト称スルモノニ外ナラズ。」 ( 美濃部達吉して、明治憲法下における警察法学上の概念でし、人権や自由を制限する封建的色彩の強い政 『行政法撮要』下 ) あった「警察権」の概念も、新憲法下における治が行われた。今日、警察国家といえば、残忍 六、免許、医師法による医師の免許などがある。警 ②「警察なる活動に於て発動される権力を称し警察法理論においては、その存在の理由を失な思想弾圧を行った思想警察 ( 日本の特高警 、察許可は、一般的禁止を解除してその特定人に もと 察、ナチスの秘密国家警察Ⅱゲシュタポ ) 下に 、無意味な概念となっている。 自由を回復させるもので、新たに権利・能力をて警察権といふ。固より統治権たる権力に外な

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停にれ乃ネ。舛なわの、 ) 修み 、帋 4 ら。う主 ) と や右大臣一族の繁栄と表裏して、源氏や左大臣の勢力が衰退の段階になると源氏はしだいに左大臣家と対立関係を深めるるに至る。こうして源氏の身辺には数々の不幸な事態が生起 に向かうのは必然であった。源氏の生活にも不幸の影が忍び に至った。葵の上の兄であり、かっては無二の盟友であったするが、そのなかで病状の悪化した紫の上は、源氏五一歳の しつよ・つ ものけ とうのちゅうじよう 寄る。正妻葵の上が長男タ霧を出産ののち、執拗な物の怪に頭中将を制圧し、無類の権勢を確立したのである。源氏年に死去した。源氏は紫の上を追慕しわが生涯を顧みながら さいいん 一年を過ごし、出家への心用意を整えた。こうして第二部 取り憑かれて死去したのである。その物の怪は、賀茂の斎院 三二歳の年、藤壺が崩御し、夜居の僧の密奏によって自己の ごけい は、源氏の無類の栄華が崩落していく過程が、さながら必然 の御禊の日に、葵の上の一行との車争いによって辱められた出生の秘密を知った冷泉院は、父源氏に譲位しようとした だいじよう ろくじようのみやすどころいきりよう だいじよう 六条御息所の生霊なのであった。御息所は、いまは故人でが、源氏はその意向を返上し、やがて太政大臣から准太上的な姿で語られている。現世の富も名声も、そして愛も絶対 ある前東宮の妃であり、かねてより源氏を忍びに通わせる人天皇の位に上り、六条院という地上の楽園を建設して栄華をではないのである。 〔第三部「匂宮」 ~ 「夢浮橋」〕第三部になると、源氏亡き であったが、この事件のために源氏との仲を断念し、おりか極めた。 たん せイ、いくう ら伊勢の斎宮として下向する娘とともに京を離れた。こうし 以上、源氏三九歳までを語る第一部の概要であるが、このあとの縁者の物語であるが、若干の後日譚を経て、いまは二 かおる て源氏の身辺には暗雲がたち始めるが、ことに二三歳の年父 、帝の后妃でありながら源氏と共有した罪に苦しみつつ冷〇歳となっている罪の子薫と宇治の姫君たちとの交渉が宇治 も すえつむ うっせみ 院が崩御されるや、右大臣一派の専横によってしだいに苦境泉院を守り立てた藤壺の一生はもとより、空蝉、タ顔、末摘の地を背景として新しく語り起こされ、巻四五の「橋姫」か うじじゅうじよう たま ないしのかみ に追い詰められた。そうした状勢のもとで、源氏と、尚侍をなどとのあやにくな交渉をはじめとして、タ顔の遺児玉ら最終巻「夢浮橋」の一〇巻は「宇治十帖」とよばれてい ちょうあい おばろづきょ かずら ひげくろのたいしよう として朱雀院の寵愛を受けていた朧月夜との仲が露見する。鬘が源氏の愛の対象となって心を砕きつつも鬚黒大将の妻る。わが出生の秘密を感じ取って世間への執着を断ち、出家 いんせい ぞくひじり くもいのかり じゅだい への本願を抱く薫は、宇治に隠棲する俗聖八の宮を求道の先 朧月夜は右大臣の娘、弘徽殿の妹で、入内前から源氏とは忍に収まる経過、源氏の長男タ霧が頭中将の娘雲居雁との幼い おおいぎみ びの仲だったのである。激怒した弘徽殿や右大臣は、この機恋仲をさかれたものの、ついには晴れて結ばれる経緯、その達と仰いで通ううちに、その娘大君にひかれ、やがて八の宮 会に源氏を謀反者に仕立てて政界から抹殺しようとたくらん他さまざまの人生が複雑に織り込まれながら、前記のごときの死後大君に求婚するが、大君は薫と結ばれたなら、相手を すま 理想化しての敬愛関係が崩壊するであろうことを恐れて、拒 だ。源氏は一一六歳の春、自ら京を離れて須磨の地に退居し、源氏の栄華の完成の過程が構成されている。 ゅめまくら 〔第二部「若菜上」 ~ 「幻」〕ところが第二部に入ると、物否した。かわりに妹の中の君を薫にめあわせようとするが、 謹慎の生活に入ったが、一年後、暴風雨に襲われ、夢枕に におうのみや あかし 語の世界の基調は暗転し、朱雀院の重い病から語り起こされ薫は、いまは中宮となっている明石の姫君の皇子匂宮と中 現れた父帝の亡霊の教えに従い、明石の海岸に居を構える明 やしき 石の入道の邸に移住した。やがて入道の娘明石の君と契つる。院は出家を願うが、すでに母女御に先だたれている内親の君との仲をとりもち、結婚させた。しかし中の君の身の上 おんなさんみや を憂慮した大君は、心労の果てに病死した。大君を失った薫 王女三の宮の将来が憂慮されるので日夜思案に迷っていた。 て、その腹に明石の姫君をもうける。 源氏は二年余の流浪ののち都に召還され、まもなく朱雀院婿選びに苦慮したすえ、結局源氏にゆだねることによって出は、彼女のおもかげを中の君に求めたが、中の君から異腹の にかわって冷泉院の治世になると、政界に返り咲いた左大臣家することができたが、しかし女三の宮の源氏への降嫁によ妹浮舟の存在を知らされ、尋ね出して宇治に住まわせた。し らとともに栄華への道を直進することになったが、しかしそって、源氏と紫の上との年来の信頼関係を軸として保たれてかし浮舟はやがて匂宮に迫られて契りを交わすはめになり、 きた六条院の調和が崩れ始める。もっとも源氏の世間的栄華ついに進退に窮したすえ、宇治川に身を投じようと決意した よかわそうず 頭が本本後 は従前と変わりなく、むしろ増さるものであったといえよ が、横川の僧都に救われて小野の山里に隠れ住み、僧都の得 冒融原模町 しっそう 巻明紙臨室蔵 う。そして紫の上に養育されて東宮妃となった明石の姫君に度により出家した。失踪した浮舟を捜し求めた薫は、その生 」泉表た。 壺冷青しる庫 桐 , の写れ文男子が誕生し、この男子が将来帝位に上るであろうことも確存を聞きつけ、浮舟の弟を使者にたて浮舟を訪ねさせたが、 語「は家にら園 物本本定実え桃実ゆえ、源氏の家門の末長い繁栄は約束されている。もとよ浮舟はこれを見ず知らずの人として背を向けるのであった。 ずきよう 氏融融原忠考 源崩明藤をと期り誇り高く賢明な紫の上は、その知恵をもって六条院世界の現世における諸縁を断とうと努め、誦経と手習いに明け暮れ ついには心労のため病を得、る浮舟は、薫の手の届かぬ境地を生きる人となっていた。 秩序・調和の維持に努めたが、 すがわらのたかすえのむすめ 六条院を去って二条院で養生する身となる。その紫の上の看〔享受・影響〕『更級日記』に語られる菅原孝標女の『源 に氏物語』への心酔は、同時代の享受の例として知られるが、 病に源氏が余念のないころ、女三の宮は、かねてより彼女 かしわぎ これはかならずしも特殊な例ではあるまい。『源氏』は宮廷 思慕を寄せていた柏木に迫られ、身を許して身ごもった。こ の真相を知った源氏は、この事態を、かって父院を裏切って社会に限らず一般の貴族の家庭にも急速に流布した。貴族社 藤壺と密通した罪の報いとして受容するほかない。女三の宮会の繁栄期は、紫式部の生存した藤原道長の時代以後衰退の しようけい は罪の子薫を生んでまもなく出家し、柏木は犯した罪の重み一途をたどったが、そうなれば過去の文化の盛栄を憧憬す に堪えられず病み臥していたが、源氏の長男タ霧に後事を託る人々の心に『源氏』はますます権威をもって君臨すること になる。院政期に、その一部が現存する『源氏物語絵巻』の して世を去った。タ霧は柏木の遺族をいたわるうちに、残さ おちば ような絵画芸術が宮廷の事業として制作されたことも、『源 れた妻落葉の宮への同情はやがて恋慕に変じて、一方的に思 さ 1 」ろも はままっ いを遂げた。そのためにタ霧と正妻雲居雁との仲も険悪化す氏』が名作として評価されたことを示す。『狭衣物語』『浜松 3 っ 日 かおる さらしな

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けつかん 後には細動脈を経て毛細血管となる。その後、動脈では、中膜がおもに平滑筋によって構成さ ハメイト系殺虫剤 ( リンゴ摘果 ) やナフタレンているが自家不和合性で、一株では果実ができ 酢酸、インドール酢酸などの植物ホルモンが摘ない。挿木でよく繁殖する。果実は赤いラグビ毛細血管は細静脈に移って合流を繰り返し、しれるため、血管の径を変化させて血液量を調節 果剤として実用化されつつある。また、カキの ーポール形で、長さ約一五。夏は半日陰に置だいに太い静脈となり、最後には、上、下大静することができる。この型は直径〇・五ミリ以下 早期落果防止にジべレリン、ブドウの「巨峰」き、秋から春は日に当てたほうが花つきがよ脈となって右心房に注ぐ。人体内の血管の全長の細動脈にまで及んでいる。このように、細動 脈にも平滑筋は発達しているが、細動脈は数が は約一〇万キ。とされ、およそ地球三周の長さに の着粒増加にビーナイン、リンゴの後期落果防 い。冬は五度 0 以上は必要。普通のサポテンよ 多いため、血管壁の内面積も大となり、それだ 止に 2 ・ 4 ・ 5 ーが効果がある。もちろん完りも肥えた土に植え、大きく育てると大きな花あたる。 け血流の抵抗も大きいことになる。このため、 〈湯浅浩史〉 〔ヒトの血管の構造〕血管の基本的な構造は、 全な着果には、種子がなくとも果実が発育するを多数咲かせることができる。 細動脈では壁の平滑筋の収縮状態によって内径 いわゆる単為結果性がない限り、受枌、受精が月下氷人げつかひょうじん月下の老人と氷三層の膜によって血管壁が構成されているとい 必要で、この場合、交配親和性花粉を用いた人上の人の意で、婚姻の媒酌人をいう。中国、唐える。動脈、静脈のいずれも、内側から内膜、が変化し、そのときどきの血流の摩擦抵抗によ そう 〈飯塚宗夫〉の韋固という独身者が旅行中、宋城で、月下に中膜、外膜とよぶ三層から成り立っている。動って血流を調整することができる。なお、細動 工授粉は効果がある。 ひも げつかのいちぐん堀ロ大学の訳赤い紐の出た袋にもたれかかり読書する一人の脈の内膜は、血液に直接接触している内皮細胞脈は正常血圧保持の因子ともなっている。ま 月下の一群 た、平滑筋には血管運動神経が分布しており、 詩集。一九二五年 ( 大正一四 ) 第一書房刊。既老人に出会った。韋固がその赤紐の由来を問 , つの一層の層と、これを覆う弾力線維からなり、 刊の訳詩集『昨日の花』 ( 一九一 0 、『失はれた宝と、老人は「縁結びの紐で、これで夫妻の足を中膜は弾力性線維と輪状に配列する平滑筋線維筋の緊張状態を変化させている。血管運動神経 には、神経線維からノルアドレナリンを分泌し 玉』 ( 一九一一 0 ) 、『サマン選集』 ( 一九一二 ) から選ばれ結べば、どんな遠くの人でも、敵同士でも、夫からなっている。外膜は粗な結合組織の層で、 、 ) うげん た作品とその後の新訳をもって構成され、象徴婦になるのだ」と答え、韋固の末来の妻を予一一一一 0 膠原線維や弾性線維が混在し、血管の長軸方向て血管を収縮させる神経と、神経線維からアセ に配列している。外膜はそのまま周囲の結合組チルコリンを分泌して血管を拡張させる神経が 派から二〇世紀初頭の現代派に至る六六人の詩した。一四年後、韋固は郡主の娘と結婚した ある。↓動脈↓静脈 が、それは老人の予言どおりの娘であったと、織に移行し、周囲組織と血管とを結び付けてい 人の作品三四〇編を収める。とくにアポリネー しん さくたん る。動脈の太さによって、この三層の構造の内〔毛細血管〕毛細血管は顕微鏡的レベルの太さ ル、コクトー、ジャコプ、サルモンなど、当時『続幽怪録』が伝える。一方、晋代に索統とい う名高い占い師があり、そのもとを狐策が訪容は異なるが、大きな血管では、内膜と中膜とのもので、ヒトでは約八 ( 一は一〇〇〇分 のもっとも前衛的な新精神の詩人たちを紹介し の一ミリメートル ) である。毛細血管の血管壁は た意味は大きい。文語とロ語の硬軟新古のあらね、「氷の上に立って氷の下の人と話をした」の境がはっきりしないままに、中膜が血管壁の ゆる語を駆使した訳詩は、フランス近代詩の工という夢占いを求めた。すると索統は「氷の上大部分を占める。とくにヒトの大動脈では、中内皮細胞一層のみでできているもっとも単純な ちょう 血管であるが、働きのうえではもっとも重要な ッセンスを伝える「好個の見本帖」となり、下は陰陽であるから、それはあなたが結婚の媒膜がはとんど弾性線維で占められているため、 強い弾力性を示す。上肢や下肢を走る中等大の血管であり、細胞間の物質の輸送、収集、吸気 『詩と詩論』から戦後詩へと続く昭和詩の源泉酌をするという前兆だ」と判じた。のち狐策は となった。 〈窪田般彌〉大守の息子の仲人を勤めることとなったと、 しんじよ 右心房 〈田所義行〉 回『堀ロ大学全集 2 』 ( 一久一・小沢書店 ) ▽『月『晋書』「芸術伝」は伝える。 ぎぜん 下の一群』 ( 新潮文庫 ) 結跏趺坐けつかふざ坐禅法の一で、両脚 ゲッカビジン〔月下美人〕 E 、きをきを組んですわる方法。跏は足を組み合わせる 0 。とき (DC. ) Haw. サポテン科クジャ意、趺は足の甲。両脚を組み、左右の足の甲を ン ぜんか ロ クサポテン属の植物。メキシコ、グアテマラな反対側のももの上にのせて安坐する。全跏、本 ク かぎ きっしよう どが原産で、広く栽培され、夏の夜に幻想的な跏坐ともいう。吉祥坐と降魔坐の二種がある。 4 白い花を咲かせるので有名。主幹は細い円柱形吉祥坐は、先に左足を右のももの上に置き、次 へんべい す に右足を左のももの上に置く坐法で、仏の説法示 で高さ約一一になる。枝は扁平な葉状で、刺が を なく緑色。よく分枝し、六 ~ 九月に枝の縁から時の座り方である。降魔坐は、右足を左のもも ・ 1 8 の上に置き、左足を右のももの上に置く坐法均 花を単生する。花は芳香があり、長さ二五 けんぎようぶつば 径 径一一簽ンほど。夜七時ころから開き始め、朝まで、天台や禅はこの坐法による。顕教の仏菩 の でにはしばむ。花には雄しべと雌しべがそろっ薩像の坐相は降魔坐で、吉祥坐は密教の法儀と される。片足だけをももの上に置血 けんぎ はんかふざ 各 くのを半跏趺坐 ( 半跏坐、賢坐 ) とい , つ。↓座る 〈石川カ山〉 み 血管 け。かん血液の輸送路図 っ となる閉鎖管をいう。心臓は、こ式 方る 上えの血管を通して血液を循環還流さ の の見 せる駆動ポンプといえる。つま 花が 系 り、血管は、心臟の左心室から、 ン果 血管のうちで最大の太さをもつ大血 ビ赤 力に動脈として出発し、分岐を繰り返管 ッ方 ケ右しながら、しだいに細くなり、最血 さっ ′一うま はん 0.5cm 0.4cm 3cm 2.5cm 左心室 動静脈吻合 静脈 脈 動 細動脈毛細血管細静脈 血管の構造 動脈 脈 静 00 0 0 0 0 00 内皮細胞 内膜 静脈弁 ( 心臓からの逆流を防ぐ ) 平滑筋線維 中膜 0 ( こ ) ( 0 ) 0 ( 0 ( つ 0 CD ( つつ 外膜 199

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0 14 、 0 0 《 0 0 - -0 ^ 0 1 0 8 ゥー 0 っ 0 っ 0 0 1 人 -4 0 -4 -0 - -0 -4 0 -0 ・つ 0 要求される任務等に適合した選抜・訓練・適応の進出により定期航空会社との間に運賃競争が生 (X) 1 よ 11 -4 -4 8 1 よ 0 ワ】 1 ワ】ワ 0 4 1 人 -4 8 -4 1 ーっんワ】 8 00 ー 8 ワ】 ^ 0 問題、コックビット内の高度な自動化に伴う単じることがある。一方国内運賃は、航空法 ( 昭 6 1 8 調感・退屈感、緊急時の人間行動、人間ー機械和二七年法律一一三一号 ) 第一〇五条により運輸 、 0 《 0 -0 c-D 0 00 0 0 0 / 11 -4 11 8 、′ 0 O ワ 0 0 - -0 0 ) 0 -4 -0 - -0 -0 【 -0 -0 -0 《 0 メ 0 ワ】 1 人 00 00 9 0 「 系の共通領域に関する人間工学的問題など、新大臣の認可を受ける。定期航空連送事業におけ -4 ・つ 0 0 L-O 行ー一 4 ・行ー 0 t.D ワ】 14 0 0 0 8 00 よ 要 、、ワ戸 0 4 ・ 4 4 1 よ 8 1 0 《 0 8 「ー 0 8 っ 0 1 11 しい、また未知の作業環境の拡大に伴う多くのる運賃および料金の認可および変更の必要な措 主 資 課題が山積されている。 〈垣本由紀子〉置の場合、運輸大臣は運輸審議会に諮問をし、 業 -0 -4 0 ー 0 0 0 0 8 -0 -4 11 ゥー -0 8 、 , 」 0 会 一 .0 1 人 -0 4 っ 0 8 0 、 0 ワ】 0 8 0 -8 「 / -4 、 1 -4 ・ 0 3 0 ・ 「 / / -0 8 っ 1 《 8 0 00 《 0 行ー、・ 0 / ド 0 c-D ワ -4- 9 0 ( 回望月衛著『航空心理学』 ( 一九四四・小山書店 ) 答申を受ける。 4 ー・ワ朝っ 0 ワ】っ「ーワっ 0 1 8 00 -4 ワつー 4- -4 11 4 ワ 6 宙 ▽黒田勲監修『航空心理学入門ーー飛行とこ 運賃の種類は旅客・貨物とも普通運賃と特別 宇ト ころ』 ( 一九七七・鳳文書林出版販売 ) ▽ Z<T) 運賃 ( 割引運賃 ) がある。旅客普通運賃は、サ t— 0 -8 ワ ( 0 0 0 ワ -0 00 戸 0 -8 11 0 -4 ーワ ~ 「ー 0 8 LO 0 ー 0 8 -8 1 人「 / ワな 8 t-•— 1- 0 航 C) 1 0 (. 0 ーワ】戸 0 っワ 0 《 0 0 《 0 航 本 ービス条件によりファースト・クラスとエコノ < 協力、大林辰蔵・江尻全機訳・著『宇宙の CO ワワ 0 ワ -4 ワ ワ 1 人 -. 0 日 カ位 実験室』 ( 一九七九・朝倉書店 ) ミー・クラス ( 一九五八年設定 ) の二種類があ 単 数 航空運送こうくううんそう航空機による旅り、予約や搭乗に関する制限はない。特別運賃 数吶 数数数数数数数数数数 高員高員高員高員高員高員高員高員高員高員高員 客や貨物の運送。国内航空運送に関し、日本に には一定の利用が困難な路線に対する販売促進 目上業上業上業上業上業上業上業上業上業上業上業旧 の項売従売従売従売従売従売従売従売従売従売従売従売 は私法規定がないので、その法律関係は、特約特別割引と政策特別割引がある。前者は季節、 表 ( 航空運送約款 ) のほか、陸上運送および海上旅行形態、予約条件などを考慮した需要開拓、 ス 員 部 宙 イルフ ナ 運送に関する商法の規定の類推適用ならびに民空席活用のため回遊運賃や (inclusive 業 業 空 ク 従 法の請負に関する規定の適用を認める説が一般 tour 包括旅行。ホテル代などの経費が含まれ ン 工 航 ア ロ レ 宙高グ 工 である。しかし、航空の危険性等につき、それたツアー ) 運賃などの割引運賃を設定し販売し 内 ロウナ 」レ ルスン 宇上 は陸上運送よりも海上運送に、より近似性を有ている。とくにジャンボ機の就航時 ( 一九七 0 ) 導 カイダキラクマスク一チナ 空売 ツ、不ツ一フ ッタ一スイク している点に着目し、海上運送に関する商法の入したバルク運賃 bulk fare により、団体客 テ 航のメボマ ロゼグノロピセ 規定のうち危険対応策に関する規定 ( 共同海 に対する大幅割引がなされたため海外旅行需要 防止など多くの優れた研究が行われていた。し覚的には症状に気づかない 。しかし、他覚的に損、海難救助、船舶衝突、海上保険など ) は航 が急増した。後者には小児運賃、学生割引運 賃、船員割引運賃など身分条件によるものや、 かし、終戦とともに研究資料が散逸し、研究史は、反応時間の延長、視力、記憶力、思考力、空運送に類推適用すべく、ただ、発着の場所・ 上約一〇年間の空白ができることになる。一九判断力が低下し、やがては意識喪失となり死へ方法は陸上運送に近似しているから、これにつ社会的な要請による身体障害者割引運賃などが 五〇年代に入ると、民間航空の再開、航空自衛とつながる ( 二万 ~ 二万三〇〇〇フィートを危 いてのみ陸上運送の規定を類推適用すべき旨をある。また運賃以外の料金として、国際線では 隊の発足と続き、わが国にふたたび翼が戻って険域とよぶ ) 。一九七二年、ソ連の宇宙船ソュ主張する説が、近時、有力となってきた。なお通貨の調整割増料金、超過手荷物料金などがあ り、国内線にはジェット特別料金などがある。 きた。これを契機に、五五年 ( 昭和三〇 ) 航空 ーズ一一号が帰還する際、ハッチのシールが不現在、航空運送私法の制定が準備されている。 ↓国際航空運送協会↓空運↓運賃〈松下正弘〉 医学心理学会 ( 現、宇宙航空環境医学会 ) も設完全だったため、三人のパイロットが酸素欠乏国際航空運送については、ワルソー条約によ 立され、研究活動が再開された。八三年一二と急減圧症で死亡している。宇宙環境では、こ り、航空運送人の責任が定められている。実際回日本航空協会編・刊『改訂版航空輸送概 月、日本からも宇宙搭乗科学技術者 ( ペイロー れらに加え、無重量環境が人間行動に大きな影界では、国内・国際航空運送とも航空運送約款 論』 ( 一九〈 0 ) こうくうえいせいがく歯とロ腔 ドスペシャリスト ) が八八年の搭乗を目ざして響を与える。もっとも大きな問題は宇宙適応症によって処理されている。なお、航空運送事業ロ腟衛生学 公募されるに至り、戦後の空白も、その後の地 候群 ( 宇宙酔い ) である。約四〇 % のパイロッ に対する行政的監督は、航空法によって規律さ に関連のある疾病と異常を予防して、その正常 、パフォーマンス ( 作業能れている。↓空運 〈戸田修三〉 な発育を図り、全身の健康の保持増進に貢献す 道な研究の継続により、乗り越えられたと考えトが経験し、この られる。 こうくううんちん客貨の航空輸送ることを目的とする学問である。歯およびロ腔 率 ) が著しく阻害されると報告されている。宇航空運賃 サービスに対して利用者が運送人に支払う対価は身体のごく一部にすぎないが、消化器官の入 〔研究課題〕航空宇宙環境下で人間行動に影響宙酔いは約三日で回復するといわれているが、 当面七日間を任務期間とするスペースシャトルをいう。国際線と国内線の定期旅客・貨物運賃ロであると同時に呼吸器系の一部分でもあり、 する二、三の例をあげる。 は政府の認可を受ける。国際運賃は、国際線を全身の健康ときわめて密接な関連がある。ロ腔 三次元という広大な空間のなかで、自機の正では、その半分近くが宇宙酔いで阻害されるこ とになる。宇宙酔いにかからなくても作業能率運航する会社で組織する— < ( 国際航空運衛生学は、一般的には個人口腔衛生学 ( 狭義の しい位置・姿勢・方向が把握できなくなる空間 は低下すると報告されているが、作業の種類、送協会 ) の運送会議で、座席利用率や重量利用予防歯科学 ) と社会ロ腔衛生学 ( 公衆歯科衛生 識失調 spatial disorientation がある。上方に 率、需給、コストなどが計算されたうえ利潤が学 ) とに分けられる。個人口腔衛生学は、個人 飛んでいるつもりが下方に向かって飛ぶなど、適応期間等については十分検討されていない 一方、人間の視覚、聴覚、思考、判断力等にはプラスされて決められる。世界を三地区に分けおよびその家族のロ腔の疾病の予防と健康の保 計器指示値より自分の感覚が正しいという考え にとらわれ、パイロットは葛藤状態に陥る。錯影響がないといわれているが、長期間地球から ( 第一地区Ⅱ南北アメリカ、第二地区Ⅱヨーロ持増進を図る手段を研究する学問であり、公衆 ツバ・中近東・アフリカ、第三地区Ⅱアジア・ 歯科衛生学は、集団、社会を対象として前述の 覚の多くがこのなかに含まれる。また、高度の隔離されていることによる孤独感、不安感、恐 怖感などの情緒不安定により、自信喪失や、逆オセアニア ) 、その地域内の加盟航空会社の満活動を行う手段を研究する学問である。ロ腔衛 上昇に伴い、吸気中の酸素分圧の低下とそれに に有頂天になるなど、心理的症候群も報告され場一致で決められるが、各国の独占禁止法の適生の歴史は古く、古代エジプトにおいてすでに よる身体各部組織への酸素供給不足に起因して 用除外になっている。これに拘束されない ZO 歯プラシや歯みがき剤と考えられるものがあ 発生する低酸素症 hypoxia は、一万フィートている。 ( 約三〇五〇 ) 以上から症状が現れるが、自 航空宇宙心理学には、ほかに、機種の発達、 Z ー航空会社、チャーター航空会社のり、わが国でも古代からロすすぎの行われてい かっとう 1 188 5 244 7 657 1 612 2 534 29 798 ( 1 112 ) 41 000 ィアタ

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など、刑法が取り扱うのは、すべてそのような上限あるいは下限を定められているが、その最 ューイット著、佐藤正人訳『名馬の生産』ためのみの競売は競売法に規定されていたが、 これに反して刑下限は二〇円とされている。もっとも第二次大 ( 一九会・サラブレッド血統センター ) ▽野村規定の不備 ( とりわけ競売法の規定は不十分 ) 形をとった刑にほかならない。 が甚だしかったため、これら二つを統合し、理罰というのは、抽象的な観念に付せられた名称戦の終了直後に著しい経済変動があったので、 晋一著『サラブレッド』 ( 新潮選書 ) ▽・ これに対処するため一九四八年 ( 昭和二三 ) の ・イーゼンベルト他著、佐藤正人訳『馬論と実務の両面から、強制執行、競売制度の合である。窃盗・殺人といった個々の犯罪ではな 「罰金等臨時措置法」は、罰金の額をすべて五 く、犯罪という一般的な観念に対応するのは刑 その栄光の歴史』 ( 一九七三・みんと ) ▽白理化、近代化を図り、その機能を充実すること 井透編『日本の名馬』 ( 一九七一・サラブレッドを目的として、一九七九年 ( 昭和五四 ) に制定ではなく刑罰であり、また民事法上の法効果で〇倍に引き上げ、最低額を一〇〇〇円とした。 血統センター ) ▽原田俊治著『世界の名馬』 されたのが民事執行法である。したがって同法ある損害賠償や、行政法上の法効果である行政さらに七二年七月には二〇〇倍に改められ、最 ( 一九七 0 ・サラブレッド血統センター ) には、一方で強制競売としての不動産の競売罰と並ぶのも、刑ではなく刑罰である。このよ低額は四〇〇〇円となっている。罰金を完納す ( 四五条以下 ) および船舶の競売 ( 一二一条でうに、」 用というのは、刑罰の発現形態に対してることができない者は、一日以上二年以下の期 caper/ C ト、 s ぎ 0S0 L. ケイバ フウチョウソウ科の低木。カプリエともいい、つ不動産競売の規定が準用 ) の規定があり ( 動産付された名称であるといってよい 間、労役場に留置することとなっている。 ばみをカープルという。南ヨーロツ。ハ原産。つは入札または競り売りのほか最高裁規則で定め 〔種類〕刑罰は、その剥奪する利益の種類によ に拘留自由刑の一種であり、科料とともに非 ばみをピクルスにするため、フランスやイタリる方法 ) 、他方で、担保権の実行としての競売 って、生命刑・身体刑・自由刑・名誉刑・財産常に軽い犯罪に対する刑種とされている。その ア、スペインなどで栽培される。高さ約言 ( 一八一条以下 ) および換価のための競売 ( 一刑に分かれる。日本の現行刑法は、身体刑・名期間は一日以上三〇日末満であり、その内容は 葉は卵円形、長さ五、青緑色で白粉があり、九五条で担保権の実行としての競売の例によ誉刑を認めず、生命刑としての死刑、自由刑と拘留場 ( 監獄の一種 ) に拘置することである。 ようえき きんこ 葉腋には一対の刺がある。春から夏、垂れ下がる ) の規定がある。 しての懲役・禁固 ( 禁錮 ) ・拘留、財産刑とし ⑥科料財産刑の一種で、拘留と並び、非常に った枝の葉腋に、径四、五の白色の大輪花を 国税徴収法による競売 ( 公売 ) は、滞納者のての罰金・科料・没収を認めるにすぎない。そ軽い犯罪に対する刑種とされている。現行刑法 つける。雄しべが紫色で多数が束になって美し差押え財産を換価する手続で、国税徴収法がそして、この死刑・懲役・禁固・罰金・拘留・科上、その額は一〇銭以上二〇円未満 ( 罰金等臨 いが、花の寿命は一日である。排水のよい砂礫の方法を定めている。 〈淡路剛久〉料を主刑とし、没収を付加刑とする。主刑とい 時措置法により現在は二〇円以上四〇〇〇円末 ベキン 土の乾燥地でよく育つが、日本では育ちにくく うのは、独立して言い渡すことのできる刑罰で満 ) である。科料を完納することができない者 一泉哈線けいはせん / チンハシェン中国、北京 栽培されない。 〈星川清親〉 ーハルビン ( 哈爾浜 ) 間の鉄道名称。延長一三あり、付加刑というのは、他の刑罰に付加しては、一日以上三〇日以下の期間、労役場に留置 てんしんとうざん きんしゅうしんよう ー、ー、キ 0 〔食品〕開花前のつばみを塩と酢で漬けてピク 天津、唐山、山海関、錦州、瀋陽、 だけ言い渡すことのできる刑罰である。 することになっている。 ルスにするが、小さなつばみほど上等だとされ四平、長春などの諸都市を経由して、北京と中 ①死刑現行法上、死刑は内乱罪・放火罪・殺 ⑦没収付加刑であるから、独立して言い渡す ている。香りの成分はカプリン酸で、乾いてし国東北地区を結ぶ幹線鉄道の一つ。全線が複線人罪・強盗殺人罪など一四種の重大な犯罪に対 ことはできない。他の刑罰とあわせてだけ言い まうと香りも失う。細かく刻んでホワイトソー 化されている。ロシア資本によって建設、経営する刑として規定されている。死刑の執行方法渡すことができるのである。没収の対象となる スやマヨネーズのガーニッシュ ( 飾り付け ) と された東支鉄道南満支線 ( ハルビンー奉天〈現としては、現在世界各国で、絞首・断首・銃のは、偽造文書行使罪における偽造文書のよう だいれん して用い、魚や肉料理の風味を引き立てる。ま瀋陽〉ー大連・旅順間、一九〇三年全線開業、殺・ガス殺・電気殺などの方法が用いられてい に犯罪行為を組成した物、傷害罪における凶器 た、アンチョビーの油漬けやスモークサーモン日露戦争の結果そのうちの長春ー大連・旅順間るが、日本は第二次世界大戦終了前の軍刑法に のように犯罪行為に供しまたは供せんとした の付け合せとしてもよい 〈斉藤浩〉の経営権は日本に譲渡され、南満州鉄道〈満よる死刑を除き、明治以来一貫して絞首刑の方物、偽造通貨とか犯行の報酬のように犯罪行為 じんばい 塵肺症のうちでもっとも重鉄〉となる ) 、イギリスからの借款による京奉法を用いてきた。死刑の執行は、判決確定の日 から生じもしくはこれにより得た物、またはそ 珪肺 要なもので、ケイ酸を含む粉塵を多年にわたっ鉄道 ( 北京ー奉天間、一九〇七年全線開業 ) を から六か月以内になされる法務大臣の命令によの対価として得た物である。もっとも、裁判所 て吸入することによりおこる。↓塵肺症 前身とする。これらのうち、一八九三年開業し って行われる。↓死刑 が以上の物を没収しうるのは、それが犯人以外 け、ば、一般に。は「キ、よ , つ「はい」と一 た天津ー唐山間は中国最初の公共鉄道である。 競売 ②懲役自由刑の一種であって、監獄に拘置しの者に属さないときに限る。ただ、犯人以外の ていえき もいう。売り主が多数人に対し口頭で目的物に中華人民共和国成立後、施設の改良が行われ定役に服させること、つまり強制的に作業に従者が犯罪ののちに事情を知ってその物を取得し しんたい ついての買受けの申し出をさせ、最高価額の申た。なお、旧満鉄の瀋陽ー大連間は現在は瀋大事させることを内容とする。無期と有期とに分たときは、犯人以外の者に属する場合でも、こ 〈青木栄一〉 し出人に対して承諾を与えて売買すること。ロ線と称されている。 かれ、有期懲役は一月以上一五年以下である。 れを没収することができるものとされている。 けいばっ犯罪を犯した者に科せられ ③禁固自由刑の一種であり、監獄に拘置する 〔沿革〕刑罰の歴史は人間の歴史とともに始ま 頭で買受けの申し出をする点で、書面で行う入刑罰 札とは異なる。競売には、私人が行う私競売る法律上の制裁をいう。現在では、ほとんどすことをその内容とするが、懲役と異なり、定役る。元来、人間はその自己保存の本能から集団 と、国家機関が行う公競売とがある。民事執行べての国が刑罰権を独占的に国家の手に収めて に服させることはない。もっとも、受刑者の請で生活する習性をもっており、しかもこの集団 法上の競売、国税徴収法による競売が後者の例い るので、そこでは、刑罰は、国家が犯罪に対願によって作業に従事させることはできる。現の生活、社会生活には規範というものがかなら そうじよう である。 する法効果として私人に科すところの利益の剥行刑法上、禁固は内乱罪・騒擾罪などの政治ず必要になり、そして規範のあるところには、 奪を意味することになる。 民事執行法上の競売には、債務名義に基づく 犯と、業務上過失致死罪・業務上失火罪などの通常、それに違反した場合に科せられる、一定 強制執行手続における競売 ( 強制競売 ) と、担 日本の刑法では、刑罰ということばを用い 過失犯に対する刑種として考えられている。懲の利益剥奪を内容とする制裁が存在することに 保権の実行としての競売および換価のためのみず、刑という名称を用いている。刑というの役と同じく無期と有期とに分かれ、有期禁固は なるからである。規範違反に対する反作用とし つのいわゆる形式的競売 ( 共有物分割、限定承認 は、法律のなかに種類を特定して存在し、ある一月以上一五年以下である。 ての利益剥奪は、それがどのような形式であろ いは特定の行為者に対して言い渡され、あるい の競売等 ) とがある。前者の強制競売はかって ④罰金財産刑の一種であって、懲役とともに うとも一種の刑罰としてとらえることができる は民事訴訟法第六編に規定され、後者の担保権は執行されるところの個々具体的な刑罰であ非常に多くの犯罪に対する法効果として多用さ のであるから、刑罰は人間が社会生活を始める とともに発生し、その変遷に従って変容を遂げ け・の実行としての競売 ( 任意競売 ) および換価のる。刑の変更、刑の量定、刑の執行、刑の消滅れている。罰金の額は、それそれの犯罪ごとに されき だっ