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検索対象: 片山敬済のすばらしいロードレース入門
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1. 片山敬済のすばらしいロードレース入門

現在、彼はレース界から引退しているが、趣味の部分でオートバイとつながっている。自か らケンタスというマシンを作ったり近所のモトクロスチームの監督をやったりして、悠々自適 の生活ぶり 今でも、年に 2 、 3 回は顔を合わせるが、僕のことを大歓迎してくれる。 おそらく彼がいなかったなら、ヨーロッパのたった 1 人の生活は目も当てられないことにな っていたに違いない。 また、当時は、ファクトリーの援助体制に腹を立てた僕だったが、 1 人でなにもかもやると いう習慣は後で大いに役だったのである。 祐年から、僕はファクトリーに所属せずにを戦ったが、その時の悲惨さは空前絶後。 いい。つま しかし、なんでも 1 人で処理することができたために、僕は生き残れたと言って り、ヤマハは僕の命の恩人ということになる。

2. 片山敬済のすばらしいロードレース入門

ンに自分の体と命を乗せて走ったのである。 企業に対する忠誠心は、僕なりの形で表現してきたのだ。しかし、それでも企業は、ライダ ーを必要としない場合がある。 企業に対する幻想は見事に吹っ飛んでしまった。 2 家財道具を叩き売り、妻と共にヨーロッパへ 「レースをやめようか」と僕。「ライダーを続けなさい , と妻の返事。 1 回限りの人生だ。 500 万円の全財産をもってオランダに旅立った ヤマハを辞め、スズキからのアプローチもないとなれば、ファクトリーの契約ライダーの道 はないのである。もしライダー稼業を続けるなら、。フライベートで走るしかない。だが、これ 日本ではファクトリーライダーを含めて、ライダーとして食べていけ は容易なことではない。 る人間は人といないのが現実なのだ。 「いっそ、レースなんかやめてしまおうかーと本気で考えたものである。 だが、女房に相談すると、「ライダーを続けなさいよ , と言う。僕にはオートバイに乗る才 -4

3. 片山敬済のすばらしいロードレース入門

た。 もう、我ながら、驚くやら感心するやら。 さて、最終戦は、鈴鹿で行なわれる日本だ。 一年間をふりかえると、まさにできすぎの感である。 しかも好事魔多しという。最後の最後でコテンとコケるかも知れない。ここはじっくり、慎 重に攻めるにしくはないと僕は考えた。 その時までのポイント争いでは、ダントツの 8 点。第 2 位の清原選手が点だから、逆転さ れることはあり得ない。 だが、ポイント争いよりもチャンビオンの座を目指して、各選手は目の色を変えて走り まくるに違いない。 その中に挾まれて、一緒にギンギンになってしまってはならない。 「無事これ名馬」を心し て、ジックリとコースを攻めていったところ、これまた優勝である。 シリーズ 6 戦中 5 勝、総得点町点で全日本ランキング 1 位。しかもチャンビオンという 二冠を獲得した僕の敵は、少なくとも ;--&.Äクラスにはいなくなってしまったというわけだ。 この年の好成績によって、翌年、僕はヤマハ ・ファクトリーチームの契約ライダーとなっ 契約金そのものは決して高くはなかったが、どうやら、メッキのカップを得るだけの生活か