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検索対象: 23社の破綻に学ぶ失敗の法則 : こうするよりほかなかったのか--
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1. 23社の破綻に学ぶ失敗の法則 : こうするよりほかなかったのか--

社員の離職率が高い だが表向きは順調でも、内部では問題を抱えていた。 1 つは収支管理が甘かったこと。グルメンは自社でトラックを保有せず、運送会社に 外注した。物流センターは首都圏に破綻時点で 7 カ所あり、 〔ずれも賃借物件資産を 抱えない分身軽な経営ができるが、きめ細かな収支管理ができなければ利益率が落ちゃ 「他の物流会社でも外に委託するケースはよくある。ただグルメンは運送会社に丸投げ で管理が甘かった」とある運送会社の役員は指摘する。例えば 1 日 2 万円で十分配送で きるルートなのに、 2 万 4 0 0 0 円でグルメンに請求すると、それで通るのだという。 この点はグルメンも認める。破綻の前年、取引先に配った改善計画にこうある。「拠点 ごとに独自の物流網を確立しており、運賃も拠点ごとにバラッキがありました。これに より拠点間が線でつながっていない配送ルートとなり、効率 ( 積載率 ) の悪いコースも基 本的に満額の運賃を支払っているため配送コストが過大となっておりました」。 033 ー第 1 章急成長には落とし穴がある

2. 23社の破綻に学ぶ失敗の法則 : こうするよりほかなかったのか--

グルメンの資料によると、遅くとも 2006 年頃から売り上げの水増しなどに着手し、 2011 年までに累計億円に上る帳簿操作がなされていた。営業一筋で経理を社員任 せにしていた井上社長は黒字と信じていたが、実態は赤字続きだった。 グルメンを長年取材してきた食品業界専門の信用調査会社、食品速報 ( 東京・新宿 ) の 担当者は「売上至上主義の井上社長に押された営業の担当が、経理社員を巻き込んで架 空売り上げを実行したようだ」と説明する。 つまり井上社長の機嫌を損なわないために粉飾に手を染めたというのだ。井上社長が 本当に気付いていなかったかどうかは定かでないが、約幻億円に及ぶ債務超過の現実だ けが残された。 粉飾という 3 つ目の問題が発覚し、グルメンの信用力は大きく低下する。とどめを刺 したのが、売上高の 2 割を占めるテスコジャパンの日本撤退。英テスコは 2 0 0 3 年に 不ットワークを買収し日本に参入したが、業績 「つるかめランド」を展開するシートウー 不振のため、イオンに株式を売却した。 グルメンはテスコジャパンの物流部門を受託していたほか、食品の卸売先としても大 ートプランド ( ) に注力するイオンの物流網の中に組 ロ顧客だった。それがプライベ

3. 23社の破綻に学ぶ失敗の法則 : こうするよりほかなかったのか--

丸投げといっても、物流センターを管轄する社員はいた。彼らが管理の甘さに気付い ていた可能性はあるが、仕組みを変えるには至らなかった。その理由は「井上社長が現 場の声に耳を傾けなかったからだろう」 ( 運送会社の役員 ) 。この点が、グルメンが長年抱 えていた問題点の 2 つ目だ。 グルメンの正社員は人だが社員の入れ替わりが激しく、複数の関係者が「辞めた社 員が経営陣の批判をよく口にした」と証一言する。 井上社長は以降も事業開発に熱心で、低価格食品スー 「一 m a r t ( アットマ ト ) 」の展開や、食品メーカーの過剰生産品をインターネットオークションで小売店に 販売する「グルメン市場」事業などに進出。「新しい流通スキームの構築を目指すという 井上社長の方向生は納得できるが、前のめりになりすぎ、社員のほうを向いていなかっ た面がある。 社長の機嫌取りで粉飾 ? そのツケが会社を揺るがす。経理社員による粉飾決算だ。

4. 23社の破綻に学ぶ失敗の法則 : こうするよりほかなかったのか--

ーカーからスー ーに移す。これが今から幻年ほど前の話で、物流のアウトソーシング ティ ・ロジスティクス ) の先駆けとして注目を集めた。 を請け負う ( サー 商機を探り変幻自在に主力事業を変えてきたグルメンは、市場の拡大に乗って 2 0 0 4 年 3 月期には売上高を 10 0 億円の大台に乗せた。「たいらや」「つるかめラン ーのほか、ディスカウントストア「ドン・キホーテ」の食品部ド ドなど中堅・中小スー なども顧客に抱えていた。 この時期と相前後して株式上場の準備を始める一方、トヨタ自動車などからの出資も 得る。トヨタに出資要請したのは「企業文化や風土を吸収したかった」 ( 2005 年 1 月 7 日付日経 ) ことを理由に挙げていたが、他の大手数社にも出資を要請しており、対 外的な信用力向上も狙ったのだろう。 よ 1 ・ 4 % 。当時出資に応じた理由 再生手続開始申立書によると、トヨタの出資比率 ( をトヨタは「コメントできない」とするが、グルメンの成長力に見るべきものがあると考 えたのかもしれない。 0 3 2

5. 23社の破綻に学ぶ失敗の法則 : こうするよりほかなかったのか--

東京・汐留に本社があるグルメンの井上剛社長 ( 仮名 ) は、かって「食品流通界の新星」 として新聞や雑誌で脚光を浴びていた。だが 2014 年 1 月幻日、グルメンは東京地方 裁判所に民事再生法の適用を申請した。 井上社長は新事業を見つける力には長けていたようだ。父は京都商家の代目で印刷 会社を経営していた。父と対立した井上社長は自ら印刷会社を興すもうまくいかず、関 東にある妻の実家に身を寄せる。そこで製麺会社に勤めたことがきっかけで、 19 8 4 年に生麺の卸売会社を創業した。 ーで「京都プラン ただ生麺だけでは十分な利益が出ない。 そんなとき納入先のスー トの豆腐が欲しいが、老舗は取り合ってくれない」という悩みを聞いたことから、地方 に卸す事業をひらめく。 の特徴あるチルド ( 冷蔵 ) 食品を集め、関東のスー 持ち前の行動力で各地の老舗を口説き落とし、スー ーとの取引を拡大。この仕事で 物流会社との接点を深くした井上社長は、成長を求めて物流事業に自ら進出する。顧客 わにつば、 は豆腐や漬物、佃煮など和日配と呼ばれるジャンルの食品メーカー。中小企業が多い和 日配の配送は手間がかかり、大手卸会社が敬遠していたからだ。 その後、スーパー業界で自前の物流センターをつくる動きが始まると、主要顧客をメ 031 第 1 章急成長には落とし穴がある

6. 23社の破綻に学ぶ失敗の法則 : こうするよりほかなかったのか--

み込まれることで、売上高は最終的にゼロになった。 ここまで来れば、さすがに打つ手なし。約鬨億円の負債額 ( 東京商工リサーチ調べ ) を エコスの支援の下で再生に向かう。井 抱えて白旗を上げた。グルメンは中堅スー 上社長に取材を申し込んだが回答は得られていない。せつかく商才を持ちながら、売上 至上主義でつまずいてしまった。 ( 2014 年 3 月号掲載 ) 037 第 1 章急成長には落とし穴がある

7. 23社の破綻に学ぶ失敗の法則 : こうするよりほかなかったのか--

グルメンの本社が入るビルは東 京・港区の汐留エリアにあった 赤字続きだった「流通界の新星」 売上至上主義で、社員が次々退職 グレメノ〔物流受託、食品卸売り、スーパー経営〕 物流業務を一括受託する「」で成長。食品卸売り、スー 、こ。トップに事業創造の力はあったが収 ノーにも注力してしナ ー業界の再編 支管理が甘く、実態は赤字続きだった。スー に巻き込まれて大口顧客を失い、自力再建の道が途絶えた。 0 3 0

8. 23社の破綻に学ぶ失敗の法則 : こうするよりほかなかったのか--

実態は赤字続きだった グルメンの業績推移 売 150 上 高 円 100 売上高 当期損失 ( 億円 ) 0 当期損失 2011 年 12 3 月期 ー 20 13 2013 年 3 月期の貸借対照表 流動資産 15 億円 固定資産 7 億円 流動負債舅 , 。 24 億円 ※再生手続申し立てに 際し、グルメンが作成し : た資料より。粉飾分が三 損失計上されている 18 億円の 債務超過 固定負債 16 億円 039 ー第、章急成長には落とし穴がある