ste D 1 3 新しい人間関係を つくるために ・新しい関係のつくり方を学ぶ・ 機能不全な家族で育ったアダルト・チルドレンは、健全な思考、感情の処理、 行動、態度、人間関係やコミュニケーションの仕方を身につける機会がありませ んでした。自分の育った家族で習った不全な方法をそのまま学校や職場で使い、 ますますその不全さが深まってしまった人もいるでしよう。 まわりの人たちも機能不全な人が多く、人を非難したり、 いしわるをしたり、いばったり、つつけんどんたったりと、 ニケーションの繰り返したったかもしれません。 どこか変だと思ったり、生きづらさを感したとしても、 ゴシップをしたり、 気持ちの悪いコミュ いったい何が変なの か、どうしてこんなに生きづらいのか、はっきりわからなかったかもしれませ ん。 いま、あなたは自分がアダルト・チルドレンの一人であったことを認め、その 癒しに全力を投球しています。 こまでのこのワークプックで、自分の生きづら さや問題、障害に直面し、自分の生い立ちとの関連を見てきました。自分のトラ ウマを、いろいろなワークで癒してきました。自尊心も相当高まってきているの ではないでしようか。苦しいワークをここまでやり抜いたあなたに、うんとほめ 言葉をあげましよう。 こでは、現在の自分に注目し、いままで学ぶことのできなかった健全なコミ ュニケーションの仕方、感情の処理の仕方、人間関係の持ち方などを初歩から学 126
まった気の毒な人たちだったということに気がついて、親に対して思いやりとや さしさが感じられるようになるかもしれません。自分たちの代でこの不全さを断 ち切ることが大切なのです。恐れないで、大きく声を上げて、自分の心の傷を認 めていきましよう。 家族から得た良い面は伸ばし、いまからの自分は健全な行動、コミュニケーシ ョンの仕方を新しく学ぶことができる、可能性のある人間であることを認めまし よう。癒しは人生のいつからでも始められます。自分の人生を選択し、変えてい くことは、誰でもできることなのです。 つぎのスペースに、自分が育つ過程でついた心の傷について、自分に認めても よい、家の外の人に話してもよい、という許可を与える文章を書いてみましょ 自分の心の傷を認めることを許す . 1 私は自分の家族が機能不全であったことを認めていいのです。 2 私は自分の経験したことを、自分にとっては事実であったとして受け入 れます。隠して恥じることはもうしません。父からアビューズを受けたこ とを認め、その癒しをしてもよいのです。
step3 あなたの家族に何が起こっていたか - ・一一一一一一一 - ーーー・ でできたものであった。 まだこれ以外にも心に傷をつけてしまうようないろいろな機能不全な家族があ りますが、以上がおもなものです。 ごくたまにではなく、頻繁に起こってい ' ' に圭かれていることが、 もしも、 たとしたら、あなたの家族は機能不全な家族であり、あなたは家族のなかで安全 こうした家族関係 さや快適さを感じることができなかったことでしよう。また、 のなかで、あなたが間違った人間関係のつくり方や、間違った自己評価を学んで しまったおそれがあります。 このステップで自分が機能不全な家族で育ったアダルト・チャイルドであるか どうかが明らかになったことでしよう。 つぎのステップは、あなた自身のトラウマ ( 心の傷 ) について調べるプロセス です。
ste08 あなたの家族に 何が起こっていたか ・自分の家族をふりかえる・ 心を傷つけるような機能不全な家族はただーっのパターンがあるわけではな く、いろいろな型があります。一般的にいって、機能不全な家族とは、カのある 上のメンバーが下のメンバーを抑圧し、安全を守ることができず、適切な愛情や 保護が与えられす、一人一人の人格や個性が尊重されない家族です。 たとえば、身体的にも経済的にも、力関係でいちばん上にいる父親が、下にい る母親と子どもをアビューズ ( 虐待 ) し、母親が子どもをアビューズし、大きな 姉や兄が弟や妹をアビューズするというものです。 ある程度の機能不全は、どこの家族にもありますが、それが常に起こっていて パターンになっていたり、頻度は少なくても程度がひどかった場合には、メンバ ーの心の傷となってあとの人生に影響を与えます。 心の傷は、暴力をふるわれたなどの直接的な原因だけでなく、家族のなかの人 間関係などで間接的に傷つく場合もあります。 つぎのチェックリストのなかで、自分の育った家族にあてはまる項目に印をつ 殴られたり、おしりや手をたたかれたり髪の毛や耳をひつばられたり、蹴られたり、 ロ - 身体的なアピューズがあった 機能不全家族のチェックリスト けてみてください。
steo ] 本当の自分を取りもどすために ・誰ても家族のなかでコミュニケーションを学ぶ・ 人は誰でも、自分の育った家族のなかで、人間関係というものを学んで育ちま す。自分の気持ちをどう人に伝えるか、人間関係の葛藤をどう処理するか、そし て、自分をどんなふうに守ったり、どんなふうに大事にしながら生きていけばよ いのかを、多くの場合、親から学びます。 しかし、安全な場所として機能しない、機能不全な家族のなかで育っと、人 は、他者や自分との関係の持ち方について、間違った考え方を学んでしまいま す。こうした機能不全な家族で育った人々のことをアダルト・チルドレンといい ます。 アダルト・チルドレンは、身体的、性的、精神的な虐待があるなど、安全な場 所として機能しない家族のなかで育ったため、心が傷ついたり、自分の行動、思 起こっていることがあるものです。虐待を受けて育った人たちが、大人になって と、いろいろな障害や間題をかかえていたり、その人のまわりで、各種の間題が また、自分では、なんの問題もないと思いこんでいる人でも、 もその影響を受けている場合があります。 考、感情や人間関係に支障をきたしたり、生きづらさを感したり、大人になって はたから見る さいときに家族から習った不健全な行動が、ふるまいとして身についてしまって うになっています。古い心の傷が現在の自分をコントロールしてしまったり、小 虐待をする側になるなど、不健全な行動や言動の世代間の連鎖はよく知られるよ
なものが必要になる。以上のなかで 3 つ以上の症状があり、 1 カ月以上続いたり、長い 間に何回も繰り返し起こっている場合、依存症になっているといえるでしよう。 ・自分の行動と家族の問題とのつながり・ こまでのチェックで、あなたにはどんな間題点があったでしようか。 どんな問題点があったとしても、それはあなたが機能しない家族のなかで生き 抜くために必要なことだったのでしよう。また、機能しない家族にいれば当然起 こる心やからだの反応です。 しかし、成長して、新しい人間関係を築くためには障害となるため、こうした 問題に多くのアダルト・チルドレンが悩んでいます。けれど、どんな問題点があ ったとしても、それはこれから必ず変えていけるものです。 こで、自分が生活していく上で役に立たなくなった障害や問題、自分の性格 45 健全な態度、思考、行動などを書き人れてみてくたさい。 全な態度、思考、行動との相関性を左側に書きこみ、右側には、それらに対する つぎのページに育った家庭の機能不全さと自分の障害、問題、性格の欠点や不 の欠点などの棚卸しをしましよう。
アビューズ の種類 年齢 いつ どこで 何が起こったか 書き人れてみて、どんな感しがしましたか。罪悪感を感しましたか。心がスッ キリしましたか。いままで忘れていたことがたくさん思い出されてきましたか。 怒り、悲しさなどが募ってきましたか。表がいつばいになってびつくりしました か。何も思い浮かばす、書き人れるのが難しかったですか。 こうして書き人れてみると、いままでばんやりしていた心の傷がはっきりして きます。 これで、どんな種類のアビューズや機能不全さが、いつどこで、どんなふうに 起こっていたかがわかったことでしよう。 つぎのステップでは、 こうした機能不全な行動、思考、感情、言葉が、大人に なったいまの自分にどのように影響しているかを理解しましよう。 3 ロ
方で、相手と屈託なくやりとりしたり、自分のことに没頭でき、新しいことを学 ぶ力が旺盛で、自分の好きなことをして自分の思ったことを表現し、大きく広が る可能性をもっています。 もちろん人間の社会で生きるためには、自分の好きなことだけをして生きてい くわけにはいかす、適当な規律や忍耐力が大切で、社会のルールにしたがうこと などが必要になります。そのため、どんな人でもこのインナーチャイルドと大人 としての自制する部分とをうまく折り合いをつけつつ生きています。 ところが、機能不全な家族で育ったアダルト・チャイルドは、これはだめ、あ れもだめとコントロールされて、過度に自分の自発性や個性を断ち切られたり、 理屈に合わないルールを押しつけられてものごとに興味を持っ力がそがれたり、 親の身体的、性的、精神的な暴力のために親密な人を信じる力がなくなったり、 人生を楽しむ力を失ったりして、自分が自分そのままであってはいけないという ことを学びます。インナーチャイルドを常に抑圧し、にせの仮面をつけるように なって表面と内面に大きなギャップがある人間になってしまうのです。 こでは、本当の自分をとりもどすためにインナーチャイルドを癒し、育てて いくワークをします。 ・ワーク I : インナーチャイルドの絵を描く・ 白いスペースに、自分のインナーチャイルドの絵を描いてみましよう。 子どもである自分の姿を描いてもいいですし、シンポルや色で表わしても結構 です。 どんな表情をしていますか。どんな色が自分のインナーチャイルドを表現して いるでしようか。シンポルの場合は、どのような形になって描かれたでしよう か。あなたの描いた絵は、どんな感情をあなたに呼び起こすでしようか。何歳ぐ らいのインナーチャイルドの絵ですか。
家族の問題と自分の思考のつながりを書く 家族の機能不全さ 「男の子だったらよかったのに」と いつも言われた 影響を受けた部分 自分は存在するべきではないと思い こんでいた
steD6 心の傷を表現する ・イメージを絵にして表現する・ こまでに、なぜ自分を癒す必要があるのか、どんなアビューズや機能不全さ が育った家族のなかにあったか、それがどのようにいまの自分に影響を与えてき たかを見てきました。 自分の心の傷がはっきりしてきたところで、つぎは、自分を癒すワークにとり かかりましよう。 安全な場や環境、人間関係を確保しましたか ? 心の傷に閉じこもっていつまでも自分を哀れに思ったり家族をうらんたりして いると、人生にプレーキをかけながら進んでいるようなもので、なかなか思うよ うに前に進ます、エネルギーがネガテイプな方向に使われて、ますます、自分や まわりの人がみしめになります。 こでは、いらなくなった心の傷や間題を捨てて人生を前に一歩すっ進めるこ とができるようなワークをします。第一歩は、心の傷を自分の内に秘めておかな 5 ロ な家族から受けたものを、絵にして表現してみましよう。 ます、自分の受けたトラウマ、アビューズ、そのほかの心の傷など、機能不全 ・心の傷を描いてみる・ いで、感情とともに表現して外に出していくことです。