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検索対象: ガイダンスとカウンセリング : 指導から自己実現への共同作業へ
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1. ガイダンスとカウンセリング : 指導から自己実現への共同作業へ

124 第Ⅲ部 連用理論としての人格理論 関係して行かない 個人の対人関係のあり方 関係する 図 1 0 ・ 2 〔 b 〕アセスメント法 気楽に な 不安に 依存的に な 独立的に ら 変動的に 関心がない 拒否されることを恐れる 劣等感を持っている 注目されたい 優越感を持っている 他人に不信感を持 ている 礼儀正しい 独立性を好むが、 能力がないと感し ている 内向スタイル 回避スタイル 依存スタイル 演技スタイル 自己愛スタイル 反社会スタイル 強迫スタイル 受動ー攻撃ス タイル ハーソナリティースタイルの基本図式 (MiIIon, T. 1969 ) アセスメントは , 上記のパーソナリティースタイルの構造を体系的に分析す < 手順 > ることによって , なされる。 ⅱ ) 情緒 , i) 認知の順序で進める。 ノヾーソナリティ 原則にのっとり , 前述した ①アセスメントは , 観察測度の多い外的データから内的データへと進める ースタイルの構造のⅲ ) 行動 ,

2. ガイダンスとカウンセリング : 指導から自己実現への共同作業へ

10 章人格理論とアセスメント ②具体的には , 図 10 ・ 2 に示されているように 3 段階の査定によって展 ・第 1 段階 : 個人の対人関係のあり方として , 関係していかない群と関係す る群の 2 群に分かれる : 面接による友人 , 社交関係の現状に よって , 容易に査定される。 ・第 2 段階 : 関係していかない群は , その関係していかない状況における情 動スタイルによって , 気楽に関係しないでいられる群と , そう はいかず不安を伴う群とに分かれる。 関係する群は , その際の情動が依存感情を軸にして , 依存的 , 独立的 , 依存と反依存の変動的情動を表すものの 3 群に別れる。 ・第 3 段階 : ここまでの対人行動スタイルとそれに伴う情動スタイルには , 両者をつなぐ基本的なものの見方がある。それが認知スタイル であり , 自己と対象に関するその個人の基礎仮説 , 換言すれば 思い込みである。 125 開される。 みまわれてもことさら悲しむこともない訂もの静かで , ひとりでいることが多 ルの優勢な人は , 無感動であり , 事態が好転しても特別喜びもせずまた不幸に 情緒反応 , その表現能力あるいはそれへの関心が極めて少ない。このスタイ ( 1 ) シゾイドスタイル : 非社会型 型の特徴がその人の振る舞いに表れるというものである。 格のサプシステムとして持っていれば , そのスタイルの起動によってその基本 にこれは固定化されたものではなく , 誰でもこの 8 類型のどれかの基本型を人 なっているときの人物の特徴として 8 類型を描く。蛇足ながら , 先述したよう (MiIIon, 1981 ) をもとに , 当該基本型のパーソナリティースタイルが優勢に パーソナリティースタイルの具体像をより立体的にするため , ミロンの記述 バーソナリティースタイル基本型の具体像 いた後 , 整理しよう。 よって , 最終的に 8 基本型のどのスタイルが優勢かが査定される。具体像を描 つまりそれぞれの情動スタイルの基盤となっている認知スタイルの違いに

3. ガイダンスとカウンセリング : 指導から自己実現への共同作業へ

10 章人格理論とアセスメント 本来 , 状況の変化によっても変わらない個人の本質的属性を , 133 ハーソナリ る。たとえば , シゾイドを例に取るなら , このスタイルが優勢であれば , 「人 ろう。この理論は , その対応の具体的素地を提供していると見ればよいのであ 現化されれば , 受容や , 共感のかみ合いが生まれるかが容易に想定できるであ タイルが起動しているのが認められれば , カウンセラーのどのような対応が具 知・行動 , 情緒 , 対人関係によって整理してある。したがって , それぞれのス パーソナリティースタイルの構造を , 認 理論は , 3 大理論の特徴を軸に 体系化して紹介したい。ここでは , 以下の原理を指摘することにとどめておく。 の人格構造への変化を促すことができる。このことは技法論として稿を改め , 刺激していく介入を体系的に進めていくことによって , 彼らに新しいバランス 発達的資料や , 。今ここでの " 関係資料から , 潜在しているスタイルの起動を 化している人格障害の心理治療において顕著に有効性を発揮するものであるが , とができる。その技法は , 起動するスタイルが限定され片寄っているのが常態 たが , このような機能論を生かせば , 介入はより積極的に開発的に展開するこ までの臨床理論は , 変化に対しての心理臨床的介入は基本的に受け身的であっ かりではなく , 臨床理論としての直接的効用がある。行動療法を除いて , これ このシステムズ理論に基づく機能論は , これまでの理論的矛盾を解決するば れているのであ。 の要素スタイルのシステムが起動するかによって , 変化するものとに理論化さ なっている。つまりここでの人格特徴は , 静的に固定されたものではなく , と ークな組み合わせとして見るわけであるから , 変化を説明できる構成概念と は , どの基本スタイルが起動し顕在化しているか , 起動しているスタイルのユ ているとみなしている。その上で人格機能のひとまとまりの特徴としての性格 は個人の人格形成の過程においてそれぞれの要素スタイルが内在化され潜在し しかしここで再構成したわれわれのパーソナリティースタイル理論は , 普通 説明は不可能となる。 1964 ) が指摘したように , 人格変化は理論的にはあり得ないものとなり , その ティーと定義するのであるが , その定義に従えば , ジェンドリン (GendIin,

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10 章人格理論とアセスメント の人格機能の本質とみなされるような特徴を示す属性を意味するものである。 その属性は , 従来性格と呼ばれている。しかし性格というと , それは固定した 動かない静的概念であるかのように受け取られやすい。サリバン (sullivan, 1954 ) は , 「生きているパターン (living pattern) 」という用語を用い , 固定化 した静的なものとしてよりも , 動いている機能的な概念としてこれを扱っている。 臨床人格理論として要求されるものは , この止まっている様態の理論ではな く , 動いている機能の理論であるそこで著者はここに改めて , ノヾーソナリ ティースタイルの概念を以下のように定義する。 ①バーソナリティースタイルは , 文字どおりには , 人格の機能するスタイ ルすなわち特徴的様式を意味するものである。ここで規定する構成概念と しては , いろいろな特徴を持った , 人格の機能様式のひとまとまりの集合 体を指す。その集合体は , それ自体全体としてのまとまりを持ち , システ ムの性質を有するものである。すなわち人格機能様式の種々の特徴を有し た全体としてのシステムの中にある , 特徴的な特定部分としてのまとまり のパターンを有するサプシステムとして定義する。 ②したがって性格は , いくつかの基本的なパーソナリティースタイルが , 組み合わさった結果の特徴的な構造を指すことになる戸性格の個々人の独 自性は , まさにこの基本型の組合わせの特徴にあるといってもよかろう。 ③前述した臨床人格理論の 3 大理論から , ノヾーソナリティースタイルの構 造はさらに以下のサプシステムによって構成されるものとされる。 i ) 認知スタイル : 意識的あるいは無意識的レベルでの自己 ( 自己概 念 ) と対象 ( 自己を取り巻く世界 ) に関する認知的基礎仮説 ⅱ ) 情緒スタイル : 認知スタイルに伴う自己と対象に関する特徴的情緒 反応 ⅲ ) 対人行動スタイル : 認知スタイル , 情動スタイルに連動する , 習慣 化した行動様式があり , それは対人行動に最も特徴的に表れる。 図 10 ・ 2 は , パーソナリティースタイルの 8 基本型とその構造特徴を整理し たものである。 123

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132 第Ⅲ部連用理論としての人格理論 徴を反映している。それぞれに人格の側面としては意味があるものであり , そ れぞれの機能を有している。どれが良くどれが悪いという価値とは , 無関係で ある。 〔 b 〕適応 ①構成要素の基本型バーソナリティースタイルがそれぞれにはっきりして おり , それぞれ認知 , 感情 , 行動の程度がある一定の限度を越えていない ときは , 健康な適応的状態と見る。 ②人格全体で柔軟性があり , 異なる状況には別のパーソナリティースタイ ルがスムーズに機能し , 異なった役割か取れれば , 適応的と見られる。 〔 c 〕不適応および病理 ①基本型の特徴が , 自我の現実吟味能力を越えて表面化するする場合 , 不 適応状態もしくは人格の何らかの障害の可能性があり , さらに詳しく調べ る必要がある 6 ②その場の現実に合わないスタイルを起動させ , それにこだわる場合 9 特 定のスタイルにこだわり , そのスタイルの特徴の誇張や固執が見られる場 合 , そのスタイルの型の人格障害が疑われる。人格障害としては , ここで は触れていないが , さらに重度な「境界例型」「パラノイド型」「シゾタイ バル」もある。これらについては , 稿を改め別の機会に述べよう。 10 ・ 4 機能理論としての有用性 バーソナリティースタイルを , 人格の機能様式すなわち機能パターンの要素 ここに概念化した各基本型は , われわれの システムとして定義した。しかも , 発達途上にいずれも経験されるものであり , 普通に育っていれば , 基本的にど のスタイルもわれわれの人格には内在している可能性があを。ある個人にいく っかのバーソナリティースタイルの特徴が見られるということは , その個人に は , それらのスタイルしかないということではなく , そのとき見いだされたス タイルが現在は優勢であり , それらのシステムの機能が起動していると見なす のである。

6. ガイダンスとカウンセリング : 指導から自己実現への共同作業へ

10 章人格理論とアセスメント 底的認知スタイルに , 間違いを犯すことはとんでもない恐ろしいことだという ものがあるからである。したがって , 仕事上 , このスタイルの人は有能で , あ てになる。対人関係的には , 図 10 ・ 2 では変動的となっているが , 目上および 権勢のある人に対するものと目下の者に対するのとで態度が大きく変動する。 権勢のある人に対しては , 極端に丁重な態度を示し , 目下には横柄で完全主義 的であり , 支配的で尊大な態度を取りがちとなる。この態度の変容も失敗を起 こさないで完全にという基底の原理からくるものであり , 関連して , 規則を大 事にしこれを頼りに自己抑制をするという特徴も出てくる。目下を支配すると 同じように , このスタイルの人は , 自分の情動に対してもコントロールを重視 する。この感情抑制の強さから行動面の独特な雰囲気が生ずる。つまり常に礼 儀正しすぎるか , 形式ばるかし , 人前でオープンに自然に振る舞うことができ ない。角張っていて一緒にいても , 間にできる雰囲気がなかなかくだけないの が特徴といえよう。いわば , 完全主義的で堅苦しく , ひとつの問題でもすべて の側面を調べなければ決断できない気の小さい人物像が描かれる。 ( 8 ) 受動ー攻撃スタイル : 否定主義型 このスタイルの対人関係の変動性は , 基底原理の基礎仮説にある葛藤に特徴 がある。つまり基礎仮説に矛盾があるのである。一方の仮説は依存スタイルや 演技スタイルに似ている , すなわち自分は他人から支持され注目されなければ 生きていけないというものであり , 依存は生活の鍵となる。しかしその一方で、 これと対立する仮説を同時に基底に有している。つまり他人に依存することは 社会的に受け人れられない , 許されないというものであり , 依存を求めていな がら自己内でそれを阻止する力が働く。 この葛藤的サプシステムは , 2 種類の行動的特徴を現す。ひとつは , 友好を 表し助けを求めておきながら , それにこたえて対応してくれる相手の気持ちゃ 努力を否定する型であり , 表面的には協力的でありながら肝心なところで拒否 的になる態度を表すものである。つまり心理的距離による関係の変動性の大き さに特徴がある。他方は , 情緒的揺れが顕著で , いわゆるお天気屋さんの特徴 を表すものである。あるときはとても楽天的で未来に楽観的であるが , それが 129

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10 章人格理論とアセスメント ( 3 ) 依存スタイル : 従順型 ( 化 / になルし勢い ) 127 常に頼れそうな人物 , 情緒的支えになる人物を求め , そこに安定感の保証を 得ようとするスタイル。決断に際しては , 権威を求め , 権威に対する愛着を示 す。対人的には指導的立場には立てず , 追随者の立場 , 受け身的役割を取る。 競争場面に弱く , 敵意や攻撃性の表出が困難であり , 友人を失うことを恐れて 相手に合わせる対人態度を取る点に特徴がある。第 e55 / 。り 4 第第オを 2 , -. 典型例は , アメリカ漫画のチャーリー・プラウンであり , 普通は好ましい人 物として好かれるが , ことが起きると決して強く立場を主張しないために , 優 柔不断と見られたり頼りなく見られる。強い , 権威的な相手には屈従的にもな るため , 自己尊重感に欠け , 信頼がおけないと批判されることにもなる。 ( 4 ) 演技スタイル : 社交型′ 華やかで , 情動的であり , 現代人的スタイルといえるかもしれない。刺激 , 興奮 , 注目を求める傾向が強く , まわりの状況には敏感に反応し , 刺激的なも のに対してはすぐに夢中になるが , 長続きはしない。この熱しやすく冷めやす い傾向は , 反復的といえるほどにいろいろな事柄を対象に繰り返される。アド リプに強く , このスタイルのサプシステムが起動している人は , 初対面に好印 象を与える社交技術に長けている。したがって , バーティーや懇親会で活躍す るタイプであるが , あまりに派手すぎて自己顕示的であり , わざとらしさが目 立っ側面もあって , 敬遠されることもある。特に熱中すると , 要求がましくな り自制心がなくなる。人間関係的には , 安定感は弱く , 一時的に深い情緒的関 係を結んだかと思うと , 簡単にあきてしまうということが起こる。 対他者関係の特徴は , 依存性において , 依存スタイルと似ているが , 演技ス タイルの場合 , 他者からの情緒的支えを得るよりも , 「注目」を得ることが一 義的になることから , 関係の間に流れる趣は非常に異なったものとなる。 ( 5 ) 自己愛スタイル : 自己中心型 ( クしⅵ亡 / ↑ ) 特徴は際立ち , 自分は周囲よりも有能で才能があると信ずる傾向が強い。そ の感覚のゆえに対人関係においては , 尊大な雰囲気を漂わせ , 支配的であり搾 取的でさえある。自分のまわりに配する人物や友人としては , 自分の自己愛を

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130 第Ⅲ部運用理論としての人格理論 外的にはさしたる理由もないままに逆転し , 悲観的になり , 怒りつほ。く , 攻撃 的となって敵意を表す。そしてそのことで , また悔恨と罪悪感に満たされる。 この揺れの反復が短い周期で起こり , 周囲はその一貫性のなさに戸惑わされる。 日常生活的には , 仕事上も迷いが多く , 一時期 , 目標を高く掲げてエネル ギッシュにやっていたかと思うと , 突然に目標を下げ非生産的なムードになっ てしまったり , 要するに環境には敏感に反応し , 気が移ろいやすく , 気まぐれ に見え , つかみどころがない印象を与える。 1 0 ・ 3 アセスメントの留意点 表 10 ・ 1 は , バーソナリティースタイル理論の基本 8 型を整理したものであ る。先の図 10 ・ 2 をもとに手順に従って査定し , 改めて基本型の構造的理解か らの具体像の照合を行い , 表 10 ・ 1 に照らして , 最終的なポイントを確認すれ ば , バーソナリティースタイル理論による現在の人格構造の特徴の査定は , か なりの精度でもってできるであろう。以下の諸点に留意し , 臨床査定を仮説的 に定めれば , 引き続きのガイダンス / カウンセリング面接において , その査定 の検証 , 吟味 , 確定をしていくことができよう。 〔 a 〕立体査定 ひとつのパーソナリティースタイルのみがびったりと当てはまる人は , あま りいない。多くの場合 , 基本型がほどよく組み合わさり , その組み合わせの妙 がその人らしい特徴を表し , その人の性格となっている。また発達的には , わ れわれは , いずれのスタイルの芽も有している可能性がある。いくっかのスタ イルが潜伏しており , 起動していないだけの可能性もあることを留意しておく 必要がある。したがって , 査定は複数のスタイルがあることを考慮し , どれが 優勢もしくは起動力の強いシステムであり , どれとどのスタイルが組み合わ さっているかで , 立体的な査定を行う。それぞれの基本型は , 早期発達の位相 に対応しているので , 発達理論とのかみ合わせで , 発達査定の仮説も立てるこ それぞれのスタイルはそれぞれにユニークであり , それぞれの対象関係的特 とができる。

9. ガイダンスとカウンセリング : 指導から自己実現への共同作業へ

126 第Ⅲ部運用理論としての人格理論 受け身的で観察者となる傾向が強い。ものごとに身を人れたり , どちらか に肩入れしたり , 立場を強く主張することもない。また注目の的になることは ほとんどなく , 社交的な場では背景に退くことが多い。したがって友人は少な く , しかもそのわずかな友人とも深くかかわり合っていく傾向はない。かと いって人を恐れたり , 努めて人を避けるということではなく , 非社会的なので あって , 他者あるいは世界に無頓着であり , 他者との情緒的コミュニ ンや他者を理解すること , 他者から支持を得ることなどに興味 , 関心そして能 力もないのである。 このような特徴から , このスタイルの強い人は , どのような情緒的な場面で あれ , 情動に巻き込まれ , 相手や自分の感情に振り回されることはない。した がって , 超然として客観的でいることが要求される仕事には適している。判事 およびクライシスにかかわる仕事には , 優れた能力を発揮する。ただし社交的 付き合いでは , とつつきが悪く , 幾分退屈であり , 生彩がなく , 無愛想である。 ( 2 ) 回避スタイル : ひきこもり型 日常生活において人間関係を展開しない点においては , シゾイドと類似して いる。このスタイルの優勢な人も , 友人がなく , 孤立し孤独な傾向が強い。異 なるのは , 図 10 ・ 2 で示したように , 他人との接面に対して , 現実的にも空想 的にもそこに不安があるという点である。社交的な場では , はにかみで臆病で ある。人間関係領域において , 常に他人に好かれ , 受け入れられたいと強く願 いながら同時に , 拒否されることを同じほどの強さで恐れている。この拒否さ れることに対する恐れが , このスタイルの人を用心深くおどおどとさせ , 気詰 まりな雰囲気にさせ社交場面は , したカ琇て苦痛な場となる。この苦痛な 場を回避する傾向が強くなるが , この回避によって本来このスタイルの人が強 く求めている他者からの支持や愛情を諦めなければならなくなる。このスタイ ルのサプシステムは , 本来人間関係に葛藤を有しているものである。 対他者反応は敏感で繊細であり , 哀れみ深い特徴がある。その結果 , 社会性 の面で不器用なことが多く , 結局他人を信用できず孤独で寂しい存在となる。

10. ガイダンスとカウンセリング : 指導から自己実現への共同作業へ

128 第Ⅲ部連用理論としての人格理論 支えてくれる人を求める。自分は優れているという思いにリードされているの で , 自信家であり社交的で , 独立的でもある。他人の意見に左右されることは なく , 自分自身で決断ができる。しかし華やかではあるが , その無遠慮がちな もの言いや横柄さ , でしやばりなところあるいは思いやりのなさから , 嫌われ たり非難の的になることもしばしばである。その基底には , 何か自分は特別な 重要人物であるかのような錯覚がある。 ( 6 ) 反社会スタイル : 攻撃型ー 特徴的なのは , 「世の中を食うか食われるかの場としてみる」認知的パター ンである。しかもその基底には , 人間は同じものを追い求めているという基礎 仮説があり , それゆえに人より一歩先を行くことこそ最重要行動原理となる。 この場合の共通に求めているとみなされるものは , 金 , 名声 , セックスである。 社会的には , このスタイルが優勢であれば , 独立独歩 , 威圧的で切迫すれば けんか腰になっても目的を達するタスク志向が強い。独立心を自負し , 自分を 徹底した現実主義者とみなし , 世の中を力が正義の弱肉強食の場として戦いを 挑んでいく反面 , 温かさ , 優しさ , 哀れみには弱く , そのようなものは役に立 たないと合理化し遠ざけていく傾向がある。また , 自らが厳しく , 冷淡で , 攻 撃的になることによって , 遠ざける。したがって , このスタイル主導の人間関 係は , 表面的となり , 物質的利益があるかないかが関係形成や維持の鍵になる。 その意味がなくなれば , 友人関係も終わる。まさに , 金の切れ目が縁の切れ目 となる傾向が強い。現実的な見通しを立て , 利益追求を原理に攻撃的な獲得行 動や競争的活動にエネルギーを燃やすのであるから , ビジネスには長けている。 したがって , いい面でいえば , 向こう意気が強く , 何でもうまくやり通せる現 実人間となれ , 悪い面でいえば , 自分自身の温かい感情や優しさを恐れて , 人 を信じるということができず , 気持ちには鈍感で人に冷淡に成張り散らす寂し い人になる。 ( 7 ) 強迫スタイル : 同調型 このスタイルが強いと , 人は几帳面になり , 将来を見据えて行動し良心的 で , 用意周到となりスケジュール通りの仕事をする。なぜなら世界に対する基