3.2 再生ガスタービンの性能計算 33 出力が 10300PS となって , 上記結果と若 なお , 代表比熱を選ぶ計算では , 干の相違がでる . 3.2 再生ガスタービンの性能計算 ガスタービンの熱経済向上のため , 最もよく用いられるのは 1.1.4 項で述べ た再生式のガスタービンで , 熱交換器を使って , タービン排気で圧縮機出口空 気を加熱し , その温度を上げて燃焼器に送り こむ方式である . 再生ガスタービンの各部位置を図 3.2 のよ うに定める . 基本ガスタービンと比較する と , 熱交換器空気側出口 ( 燃焼室入口 ) 2 ′お よび熱交換器燃焼ガス側出口 ( 大気への排出 ロ ) 4 ′が追加される . 熱交換器で交換される熱量だけ , 燃焼器へ 供給される燃料の量を低減させてよいから , 1 2 2 ′ 4 3 図 3.2 再生ガスタービン 系統図 その熱効率が改良される見込みがある . 熱交換器で交換される熱量を単位空気 重量あたり qe(kcal/kg) とすると = なー 12 = ( 1 + の ( ムーな ) ( 3.13 ) あるいは代表比熱を用いて , 空気側比熱をら。 , ガス側比熱をとすると ( 3.14 ) となる . 熱交換器の熱交換性能の程度を表わすのに , ば用いられる . 2 4 2 2 温度効率が , しばし ( 3.15 ) は , 空気の温度上昇と , 熱交換器で利用しうる温度差との比であって , が大きいほど , 交換熱量が多く , 燃料が低減する . しかし , が大きいため には , 大きい熱交換面積が必要であり , このとき空気および燃焼ガスの通路が
72 = 1 Ⅱ 1 序 2 1 論 ァ 2 AR 1 dT dT ln ァ 1 すなわち , 任意の温度 T に対し , 相対圧を計算して目盛れるから , 任 意の温度 TI ( 相対圧 1 ) を初点とする任意の圧力比の等ェントロビ変化の終 点温度 T2 は , 相対圧 2 に対応して求められる . 相対圧尺度は , 計算原点 273.20K において = 1 となる . 〔計算例〕空気を初点 ( 20 ℃ , 1.033kg / cm2 ) より圧力比 4 で等ェントロヒ。 圧縮したときの終点状態を求めよ . 巻末の空気用線表で計算する . 片 = 1.033kg / cm2 , TI = 293.2 。 K , 表より 1 = 1.28 2 = だ 1 = 5.12 , 表より T2 = 435 。 K & = r = 4X1.033 = 4.13kg / cm2 1 . 3.3 等工ントロピ変化の近似計算 温度変化の幅が小さいときは , その範囲で代表比熱を選んで比熱一定として 近似計算することができる . 完全ガスとしての取り扱いであるから計算が簡単 になる . 代表比熱を選ぶ方法として , 最高 , 最低両温度の平均温度に対する比 熱を朝…また最高温度 , 最低温度それそれの比熱の平均値を c ”′として 1 の = 。十 ( ら , 。¯Cpm)X 3 を代表比熱とすると近似度がきわめて高い . ( 1.22 ) 完全ガスの等ェントロビ状態変化は , 式 ( 1.12 ) で計算できるが , 数値計算 は巻末付表 2 によれば便利である . なお , 一般にガスタービンの性能を略算す るのに , 代表比熱および比熱比として , つぎの値がよく用いられる . 表 1 . 1 代表比熱 圧 縮機部 ロ cp(kcal/kg OC) 0.240 0.276 1 .40 1.33
1 序 近似的に 29.3kgm / kg 。 K である . ガスの定圧比熱と比熱比には , 次式の関係がある . ガス定数が与えられる と , 朝とんのいずれかが与えられたとき他を計算できる . 0.30 9 0.29 ニ 0.28 0.27 0.25 : 00000000 第 0 第彡、 000 多 00 ロ 0 ロ 0 燃焼がス ( 燃空比 0.02 ) 空気 0.24 0.23 ガスの流速を V(m/s) とすると , わす . 800 600 400 静温度 ( ℃ ) 図 1.7 定圧比熱値 200 1000 AR ( 1.5 ) 図 1.7 は空気および燃焼ガスの 定圧比熱が , 0 度とともに上昇 することを示している . また , 巻 末付表 1 は , その数値表である . 表には比熱比んも示してある . ガスでは音速 Vs(m/s) は , そ ので定まる . 協 = ん 0 と協の比をマッハ数とよび , 1 . 2.2 全圧 , 全温 , 全工ンタルビ 圧縮機 , タービンなどを流れるガスの流速は大き い . 圧縮機 , タービンなどの性能を評価するとき , のとき , ガ グーガスの運動 = ネルギを無視できない . こ タルヒ。を用いると便利である . いま図 1.8 の流管を考える . 定常の流れで , ガス には外部との熱あるいは仕事エネルギの交換がな く , また摩擦のない流れとする . 断面①で , 静圧 ヵ , 静温ぁ流速 V である . 断面②は断面積が無限 大で , 流速はゼロとなる . 断面①より断面②まで ( 1.6 ) M で表 ( 1.7 ) P, T 図 1 . 8 ガスの流管
1.2 ガスの状態量 1 . 2 ガスの状態量 1 . 2.1 ガスの性質 5 内燃ガスタービンの作動流体は空気で , 燃焼過程以後では燃焼ガスとなる . う . 温度変化の小さいときは , 近似的に比熱一定 , すなわち完全ガスとして取 とき , 比熱増加分が無視できないので , 作動流体を半完全ガスとして取り扱 ガスは高温になると , その比熱が増加する . 性能計算では , 温度変化の大きい と小さいので , 近似計算では作動流体を空気とみなしてよい . 空気および燃焼 ガスタービンでは , 燃空比 , すなわち燃料と空気の重量混合比が約 0.02 以下 ガスの状態に関する量を次の記号と尺度で表わす . り扱ってさしつかえない . 静温度 ( 絶対 ) t(0K) 静圧力 ( 絶対 ) ヵ (kg/m2) ガス定数沢 (kgm/kg OK) 定圧比熱 (kcal/kg OC) 比容 比重 密 比熱 積 ()3 /kg) 量 r(kg/m3 ) 度 p ()g s2/m4) 比ん 静圧力の常用尺度単位は kg/cm2 であるが , 熱力学計算では , これを 104 倍 した kg / m2 を用いる . 質量と重量の換算には , 重力加速度 0 を用いる . 0 = 9.806 m/s2 ( 1.1 ) 機械的エネルギすなわち仕事と , 熱エネルギの換算定数を A とし , これを 仕事の熱当量とよぶ . 半完全ガスの状態式は , て , = 1 々を用いて 比重量と密度の関係は カ = こあるいは 2 = rR kcal/kg m 426.9 1 = P び ( 1.2 ) ( 1.4 ) ( 1.3 ) ガス定数 R はガスの分子量により計算できる . 空気および燃焼ガスでは ,
ス 朝 D 刃 お G 0 1 2 ん N 第 9 火 S 5 T U V 仕事の熱当量 定圧比熱 直径 ャング率 カ , 推カ 袁 ~ むカ 燃空比 流量 重力加速度 全工ンタノレヒ。 静ェンタルビ 慣性能率 燃料低位発熱量 ・マッ / 、数 曲げモーメント 質量 回転数 全圧力 静圧力 相対圧 加熱量 ガス定数 反動度 レイノルズ数 圧力比 半径 タービン圧力降下比 面積 工ントロビ 全温度 静温度 周速度 旋回速度差 流速 記号 m/s m/s m/s OK kcal/kg 0K m kg m/kg 0K kcal /kg kg/m2, kg/cm2 kg/m2, kg/cm2 rpm kg s2/m kg m, kg cm kcal/kg kg m s kcal/kg kcal/kg m/s2 kg/s kg/cm2 kcal/kg 0C kcal/kg m 協 て , てこ , 助 ß 7 死 死 孺 の ん P 表 音速 比容積 仕事 動力 圧縮機仕事 タービン仕事 パイバス比 比重量 全圧損失係数 効率 燃焼効率 圧縮機効率 ディフューザ効率 熱交換器温度効率 機械効率 ノズル効率 全効率 推進効率 m/s m3/kg kg m/kg kg m/kg s kg m/kg kg m/kg kg/m3 ポリトロビック圧縮効率 ポリトロビックタービン効率 タービン効率 熱効率 等ェントロヒ。圧縮温度比 等ェントロヒ。膨張温度降下比 比熱比 ポス比 ボアソン比 密度 応力 サイクル最高最低温度比 等ェントロヒ。変化 角速度 流量係数 kg s2/m4 kg/cm2 ラジア y/s
付 表 付表 1 温度 ( 。 C ) ー 100 0 100 28 38 48 500 68 700 88 900 1000 1100 128 138 148 1500 168 空気および燃焼ガスの定圧比熱および比熱比値 ( 低圧時 ) 朝 (kcal/kg (C), = 29.27 kg m/kg 0K 空 0.239 0.240 0.241 0.244 0.250 0.255 0.261 0.266 0.271 0.276 0.280 0.283 0.286 0.289 0.291 0.293 0.295 0.297 気 燃焼ガス / ( 燃空比 ) 1 .402 1 .400 1.397 1 .390 1 .379 1.367 1.356 1.346 1.338 1 .331 1 .324 1 .319 1 .315 1.312 1.309 1.306 1.303 1 .38 0.241 0 .243 0.246 0 .250 0.255 0.261 0.268 0.274 0.279 0.284 0.288 0 .292 0.295 0.298 0.300 0.303 0.305 0.307 = 0 .0167 1 .398 1 .394 1 .387 1.378 1 .368 1 .356 1.345 1.335 1 .326 1 .319 1 .313 1 .307 1.303 1.299 1.295 1 .293 1.290 1.287
ノ演習問題 は圧力比 , 「はサイクル温度比 . 14. フ・レイトンサイクルで温度効率 = 100 % の再生を施したときの熱効率を求め 15. 完全ガスで , 圧力損失なく , 燃料流量増加を無視した再生サイクルで , 温度効率 が 100 % のとき , サイクル熱効率は , 単純サイクルの仕事比に一致することを示せ . 16. 図 3.12 で熱交換器温度効率のいかんにかかわらず , 図の一点に集まることを 証明せよ . またその点の圧力比と熱効率を求めよ . 17. あるガスタービンで , 流量 40kg / s , 圧縮機の温度上昇 300 ℃ , タービンの温度降 下 3800C であった . 代表比熱 kcal/kg 0C を圧縮機で与 = (). 240 , タービンで朝′ = 0.276 とすると , ガスタービンの出力 (PS, kW キロワット ) はいくらか . 18. 軸流圧縮機で空気流量 20kg/s, 全温上昇 180 ℃ , 圧縮機ケース表面積 0.8m2 と する . ケースの平均表面温度 100 ℃ , 周囲のふん囲気温度 15 。 c , 熱伝達率 10kcal/(m2 h ℃ ) とする . ケース表面からの放熱の熱損失と , 空気のエンタルビ上昇を比較せよ . 19. 圧縮機で入口温度 250 。 K のとき等ェントロヒ。圧縮して出口で 580 。 K となった . ん = 1 .40 として , 圧力比だを求めよ . 20. 圧縮機で空気を 300 ℃上昇させる . = 0.80 のとき圧力比はいくらか . 入口温 度が 0 。 C および 100 。 C として計算せよ . ん = 1.40 とする . 21. 圧縮機の流量 50kg/s, 圧力比 7 , 入口温度 290 。 K のとき動力 18000PS を要し た . を求めよ . 22. 圧縮機の入口で空気の全温 15 。 C , 全圧 1.033kg / cm2 とする . 圧力比 6 , 圧縮機 効率 85 % のとき出口状態を求めよ . 代表比熱を 0.240 とする . 23. 問題 22 で圧縮機入口 , 出口の流速を 150m / s とする . 入口 , 出口の静温 , 静圧 を求めよ . 朝 = 0.240 とする . 24. 問題 22 , 23 よりこの圧縮機の全圧圧力比と静圧圧力比を比較せよ . 25. 問題 23 の圧縮機のエントロビ増を求めよ . 26. 入口温度 288 。 K , 圧力比 12 , ポリトロビック圧縮効率 C90 % の空気圧縮機の 等ェントロヒ。圧縮機効率圧縮機入力および温度上昇を求めよ . ただし空気の朝を 0.240 kcal/kg 0C とする . 27. 入口温度 288 。 K , 圧力比 12 の圧縮機を , 低圧 , 高圧の圧縮機に分割する . 中間 冷却器で 80 ℃だけ空気温度を下げる . ポリトロヒ。ック圧縮効率り” 90%, 低圧圧縮機 の圧力比が 3 と 4 の場合について , 圧縮機入力を比較せよ . 朝 = 0.240kCa1 / kg OC. 28. タービンで等ェントロピ膨張させる . 入口温度を 800 。 C , 圧力降下比を 4 とす る . ガスが比熱比 1.40 , 1.33 としたときのタービン仕事を比較せよ . ガス定数 = 29.3 kgm/kg0K とする . 29. タービン入口温度 128 。 K , 圧力降下比 6.5 のとき , = 0.85 , 流量 50kg / s の
4 ジェットエンジンの性能 56 と圧縮機仕事砒のつりあいは ( 1 + の砒 = 砒 は 97 ~ 98 % , / は 1 ~ 2 % であるから近似的に て V こ蓍 Wc タービンでの代表比熱を , 比熱比をとする . タービン出口全温を T4 とすると , 仕事のつりあいより ら ( T2 ー (I) ら′ ( T3 ー TD タービン効率をとすると , 出口圧 & は式 ( 2.17 ) より計算できる . すな わちタービン出口では ー 1 十 1 ノズルでは , その入口状態 & , T4 より , ノズル背圧の大気圧まで膨張す る . ノズル効率をいとすると , ノズル内の代表比熱 , 比熱比にら′ , ん′をとる と式 ( 2.26 ) より 2 g ら′ T4 ターポジェットの正味推力は , 空気流量 0 。のとき , 式 ( 4.3 ) より近似的に Öa(v ーⅥ ) きく推力が増強されることがわかる . ノズルが先細ノズルで流量がチョークするとき , ノズル出口面積 S を求め た上で , 式 ( 4.5 ) による推カ計算が行なわれる . 燃料流量の増加を考慮する ときは , ノズル流量をむ。 ( 1 十のとして , グロス推力を計算すればよい . 燃料流量は / Ö。で , これより燃料消費率 , 全効率などが求められる . 〔計算例〕高度 8000m , 機速 MO. 85 のターポジェットがある . 圧力比鑽 9.5 , タービン入口温度 T3 9000C, 空気流量 80kg / s のときの性能を求めよ . ただし全圧損失係数を空気取入口′ 5 % , 燃焼器 6 5 % とする . またク。 82 % , ド / ( ドー 1 ) 1 T4 3 3 4 1 ) 4 ( 1 ード ) な・ 第 0
6.5 半径方向の平衡〃 3 ( 6.22 ) れん一 1 すなわち , 指数れとんに関する項が , 圧縮機の場合と逆になる . 式 ( 6.18 ) で定義されるとの間に , 次式の関係がある . 圧力降下比をとすると ( 6.23 ) 1 一 図 6.23 は , との関係を示すもので , タービンの場合 , を一定にし て圧力降下比を大きくすると , が増大していくことがわかる . れ一 1 ん 100 住を - 一第ロロ 0 をロロ 0 画 -- ・一 0 ロロ ロ -- き石ロ 第当 - = 95 % 1 P—öP 2 70 12 16 4 2 圧力降下比 ~ P2 , x = 止 33 図 6.24 微小圧力降下 5 図 図 6.23 とがの関係 タービンで図 6.24 のように微小圧力降下をとり , 等ェントロビ変化と , 指 数れのポリトロープ変化を比較する . 変化量が小さいので , 定圧比熱ら一定 と考えてよく , ェンタルビ差は温度差に比例する . 圧縮機の場合 ( 図 5.19 ) と 同じ計算法で ( 6.24 ) öT=vptöT*, = ク * となる . すなわち , ポリトロープ膨張効率は , タービンが徴小圧力降下す切と きの等ェントロビ変化基準のタービン効率にあたることがわかる . 6.5 半径方向の平衡 タービン翼列後流 ( 絶対速度 ) でも圧縮機の場合と同様に , 気流の旋回速度 1
2 ガスタービン要素の性能 燃空比を工 0 とする . 図で燃焼器入口全温と , 燃空比が与えられたときの , 完全燃焼時の燃焼器全温上昇」 T(=T2—TI) が求められる . 実際の燃料消費 は燃焼効率に見あう分だけ多く , 実際の燃空比工は 22 700 650 600 0 550 500 450 400 350 300 0.010 0 彡彡ロ ロ 0 彡ロロ 0 ロ〕 ロロレ彡 0 ロロ 0 《 ロロロ彡 000 〕 0 ロ 00 彡ロロ 00 ロロ 0 彡ロロ〕 となる . ガスタービンで概算的には , アが小さいから い工んら ( T2 ー TI ) ( 2.23 ) とし , 代表比熱として = 0.276 0.016 0 ・ 020 とすると , 一般のガスタービン 燃空比五 で , 簡単に , 比較的 , よい近似 図 2.9 完全燃焼時の温度上昇 が得られる . なお勢樊 . み ( Hodge : Cycles and Performance Est i- mation ( 1955 ) , 35 , Butterworth) は , 重油で 9800 kcal/kg, ケロ , で 10300k 証程度である 0 ヅ「、「。を = , 燃焼器内の状態変化は , 図 2.10 の i-s 図で示される . 入口圧乃の等圧線上 に , 出口ェンタルビ石に等しい点 2 ′を とる . もし燃焼器に全圧損失がなけれ ば , ガスは 1 → 2 ′の経路をとり , 燃焼に よる加熱で , ム′だけェントロヒ。が増加 する . 実際には , 全圧損失があるため , 1 → 2 の経路をとり , 摩擦によるエントロ ビ増も含めて , 図のようにムだけェン トロヒ。が増加する . なお , ェントロヒ。計 算は , 状態 1 , 2 の静温 , 静圧から計算 できるわけであるが , 燃焼によりガス組 度 日皿 -0 -0 0 0 ロ 4 0 「ー 8 0.012 0.014 3 2 ′ 2 1 図 2.10 燃焼器の $ 図