温度 - みる会図書館


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1. ガスタービン

9.2 耐熱合金ノ 67 向を図 9.3 に , また一定荷重のまま温度を変えたときの傾向を図 9.4 に示す . クリープひずみ量 , あるいはクリープ破断強度は , 時間と温度と荷重の関係で 定まるので複雑であるが , タービン部のような高温度のふん囲気では , とくに 温度に敏感に変化する . ↑トトー ( 一へ 荷重小 温度小 0 0 時間一 -4 時間→ 図 9.4 一定荷重のクリープ曲線 図 9 . 3 一定温度のクリーフ。曲線 クリーフ。強度は熱処理 , 結品粒度 , 素材製造工程などにより変化する . 部品 のさらされる高温で , 材料の組織が変化せず , 安定であることが最も望ましい ので部品の使用目的にかなう熱処理が必要である . 結晶粒度は大きいほうが高 温クリープ強度が高い . 一般に , 常温の機械材料は結品粒度の小さいほうが機 械的性質が良好であるのに対して , 逆の傾向になる . 真空溶解 , 熱間押出法の 進歩とともに同一組成の材料でもクリーフ。強度が改良されている . 材料のクリープ強度を増す方法として , 析出時効硬化法が多い . 一部では加 工硬化法がとられる . たとえば , 表 9.1 の Ni 基合金では , Ti , AI を添加して 高温で固溶化処理を行ない , 高温で時効 (aging) させ , 金属間化合物 (Ni2Al, Ni2Ti など ) を微細に析出させて高いクリープ強度を得る . また C 。基合金で は , 表のように炭素量がやや高いが , W, Mo, Nb ( ニオブ ) と組み合わせ , その炭化物を析出させてクリーフ。強度を上げている . W , M 。はそれ自体も , クリーフ。強度の増強に役立つ . Fe 基合金では A ー 286 は添加元素による析出時 効硬化形であるが , このほかに , hot cold work とよばれる高温鍛造法で , 結

2. ガスタービン

1.2 ガスの状態量 1 . 2 ガスの状態量 1 . 2.1 ガスの性質 5 内燃ガスタービンの作動流体は空気で , 燃焼過程以後では燃焼ガスとなる . う . 温度変化の小さいときは , 近似的に比熱一定 , すなわち完全ガスとして取 とき , 比熱増加分が無視できないので , 作動流体を半完全ガスとして取り扱 ガスは高温になると , その比熱が増加する . 性能計算では , 温度変化の大きい と小さいので , 近似計算では作動流体を空気とみなしてよい . 空気および燃焼 ガスタービンでは , 燃空比 , すなわち燃料と空気の重量混合比が約 0.02 以下 ガスの状態に関する量を次の記号と尺度で表わす . り扱ってさしつかえない . 静温度 ( 絶対 ) t(0K) 静圧力 ( 絶対 ) ヵ (kg/m2) ガス定数沢 (kgm/kg OK) 定圧比熱 (kcal/kg OC) 比容 比重 密 比熱 積 ()3 /kg) 量 r(kg/m3 ) 度 p ()g s2/m4) 比ん 静圧力の常用尺度単位は kg/cm2 であるが , 熱力学計算では , これを 104 倍 した kg / m2 を用いる . 質量と重量の換算には , 重力加速度 0 を用いる . 0 = 9.806 m/s2 ( 1.1 ) 機械的エネルギすなわち仕事と , 熱エネルギの換算定数を A とし , これを 仕事の熱当量とよぶ . 半完全ガスの状態式は , て , = 1 々を用いて 比重量と密度の関係は カ = こあるいは 2 = rR kcal/kg m 426.9 1 = P び ( 1.2 ) ( 1.4 ) ( 1.3 ) ガス定数 R はガスの分子量により計算できる . 空気および燃焼ガスでは ,

3. ガスタービン

9 材 料 762 品の格子に加工ひずみを与えて , クリーフ。強度を高めるものがあり , 19 ー 9DL , 16 ー 25 ー 6 がこの種に属する . これを加工硬化形という . 鍛造加工は , 加工エネ ルギを節約するため , 再結品温度 ( この種の合金では約 700 ℃ ) に近く , これ より若干 , 低い温度 ( 上記合金で約 650 ℃ ) で行なう . 高い温度で冷間加工を 行なうという意味で hot cold work という . 加工硬化形材 料は加工温度以上のふん囲気 では使えないので , タービン 前段の動翼 , 静翼には適しな 図 9.5 は耐熱合金のクリー 800 温度 ( ℃ ) プ破断 (creep rupture) 強度 a : A ー 286 b : 16 ー 25 ー 6 を示す . 温度を高めると著し c : Udimet 700 d : Nimonic 115 e : Waspaloy f : S ー 816 く強度が低下する . すなわち g : HS-31 図 9.5 クリープ破断強さ ( 1000h ) ガスタービンで , タービン温 度を高めることが容易でないことがわかる . 逆に , 同一素材でも , タービン温 度を若干 , 低下させ , ガスタービン出力定格を下げると , 著しく機関の寿命が 表 9.2 クリープ伸び ( 単位 : kg/mm2) 温度 クリープ速度 (%/h) 10 5 10 4 14.0 9.0 4.6 3 . 1 18.8 12.7 9.6 40 (ztutu 、、蚩) 牝さトー ( 一へ 0 700 600 1000 900 10 ー 3 15.0 5.9 27.0 15.6 18.8 11.5 13.0 11.0 (OC) 649 816 750 816 732 816 816 871 16 ー 25 ー 6 Nimonic 90 S ー 816 HS-31 行ーっ 1 1

4. ガスタービン

9.2 耐熱合金ノ 59 タービンでは後段に進むにしたがってガス温度が低下するから , 材料の質も低 下させてよい . もちろん , 翼のほうが車板よりさらされる温度が高いので高級 材料を必要とする . (ii) は Ni を基本とするもので , ほとんど鍛造材である . 高温クリープ強度 が高く , ガスタービン部品の中で , 強度的 , 環境的に最もつらいタービン前段 の動翼に広く用いられる . 鍛造であるため素材の信頼性は高い . なお , 鋳造材 でとくに高温クリープ強度にすぐれた合金もある . (iii) は Co ( コバルト ) を 基本にするもので , 鋳造材で複雑な形状に適しており , タービン前段静翼をは じめ , タービン動静翼に広く用いられる . 耐熱合金は種類がきわめて多く , Ti ( チタン ) , W ( タングステン ) , AI ( ア ニウム ) などの添加により , 性質が微妙に異なってくる . 表 9.1 に耐熱合 / レミ 金の一部をあげておく . 名称は製造メーカーの商品名がそのまま広く通用して 9.2.2 クリープ強度 高温のもとで材料に一定の引張り荷重を長時間かけると図 9.2 のように時間 とともに塑性ひずみが進行する . これをクリープ (creep) とよび , 図のクリ ープ曲線の勾配をクリープ速度とい う . 荷重を最初に加えたとき発生する 弾性ひずみは図には省略してある . 図 のクリープ曲線は代表的な形状で , お おむね , 図のように 3 段階に分けて考 えられる . 第 1 期 CO—A) ではクリー フ。速度が減少し , 第 2 期 (A—B) では ほぼ一定となり , 第 3 期 (B—C) では 急増し , やがて C 点で材料は破断する . ↑ 3 0 時間→ これをクリープ破断という . クリープ 図 9.2 クリープ曲線 曲線は荷重の大きさ , および温度により変化する . 同一材料についてのクリープ曲線で , 一定温度のまま荷重を変えたときの傾

5. ガスタービン

9 材 766 料 前の静翼後 り著しい高温であり , また遠心応力も高い . また図 9.7 のように 流は一様でないから , 動翼は移動しながら , 静翼枚数に相当する振動数 ( 静翼 枚数 x 回転数に比例 ) の強制振動をうけている . が高いので , 中空の空気冷却動翼が用いられること 航空用ガスタービンは性能の点よりタービン温度 Ni 基耐熱合金鍛造材が広く用いられる . い . Ni 基合金は鍛造が可能であるから , 動翼には り機械的性質が全般的にすぐれ , 材質の信頼性も高 く用いられる . 鍛造による繊維組織のため , 鋳造よ このような条件であるので , 動翼には鍛造材が広 素材がよく用いられる . 鋳造の鋳込み条件によってクリープ強度が異なって Ni 基合金の鍛造素材も用いられるが , 静翼の場合 , HS-31 など Co 基鋳造 ましい . とがあるから , 温度膨張係数がわりあい小さく , かっ熱伝導率の良いことが望 富む材料が必要である . また急激な温度変化による衝撃的な熱応力をうけるこ 段のタービン静翼は , 温度がきわめて高い . したがって耐酸化性 , 耐腐食性に 静翼の応力はガスによる曲げ応力のみで , 応力は小さいけれども , とくに前 9.3.2 タービン静翼 基合金の鋳造動翼が用いられることがある . ど高級でなくてよい . また Ni 基合金鍛造材は機械加工がむずかしいので , Co タービンの後段に進むにしたがい , 温度が低下するので , 耐熱合金も前段ほ 合金より , 寿命と関連させて選ばれる . れにくいことから , タービン温度がやや低くなる . その温度に応じて , Ni 基 産業用ガスタービンは寿命が長く , また燃料品質が航空用ほど厳重に管理さ の G ー 94 など ) が用いられる . 鋳造が適当となり , とくに高温クリーフ。強度の高い鋳造用 Ni 基合金 ( 表 9.1 図 9.7 動翼の強制振動がある . このとき翼の構造形状が複雑になるので ,

6. ガスタービン

8 構造強度 ノ 32 は高級耐熱合金を素材にするが , これらの材料は一般に熱伝導率が小さく , し たがって部材が , 温度不同すなわち温度勾配を生じやすく , その結果 , 内部に 熱応力を発生する . とくに始動 , 停止などのようにガスタービンが温度的に過 渡状態のときに熱応力が大きい . タービン車板のように , 遠心力と熱応力 ( 車 板は周辺部が高温になる ) が合成するときは , その合成応力が材料の許容値を こえ , 塑性変形を招くようなことがあってはならない . 高温部の部材については , 温度上昇による熱膨張について多くの考慮が払わ れている . 部品の熱膨張を拘東すると , 高い熱応力を生じ , 部品にひずみを生 ずるので , 部品相互の関係位置の設計には細かいくふうが多い . たとえば回転 主軸の軸受間の軸方向伸びと , ケース側の軸受間の軸方向伸びは , 両者の温度 あるいは材料の不同により一致しないから , 軸受は , 球軸受とコロ軸受の組み 合せを選ぶ . コロ軸受は軸の軸方向の移動を許すからである . また , 回転子を 構成する部材が , 運転中 , 温度膨張しても , 回転子の心出し (centering) が確 保できるように , 車板の結合に , いろいろくふうされている . 8.2 翼の強度 8.2.1 翼に作用するカ 動翼には図 8.1 のように遠心力凡 (centrifugal force) とガスの作用力がか かる . ガスカは , 翼断面部に曲けモーメント (bending moment) を与える . の合成応力が根もと断面にかかる . と , 曲げモーメントによる曲げ応力 大きい . 遠心力による遠心引張応力び。 翼断面の応力は , 根もと断面で最も 図 8.1 圧縮機動翼にかかるカ ガスカは図のように , 円周方向のカ と , 軸方向のカ凡に分解して考え たほうが計算しやすい . 図 8.1 は圧縮 機動翼の場合である . タービン動翼の

7. ガスタービン

72 = 1 Ⅱ 1 序 2 1 論 ァ 2 AR 1 dT dT ln ァ 1 すなわち , 任意の温度 T に対し , 相対圧を計算して目盛れるから , 任 意の温度 TI ( 相対圧 1 ) を初点とする任意の圧力比の等ェントロビ変化の終 点温度 T2 は , 相対圧 2 に対応して求められる . 相対圧尺度は , 計算原点 273.20K において = 1 となる . 〔計算例〕空気を初点 ( 20 ℃ , 1.033kg / cm2 ) より圧力比 4 で等ェントロヒ。 圧縮したときの終点状態を求めよ . 巻末の空気用線表で計算する . 片 = 1.033kg / cm2 , TI = 293.2 。 K , 表より 1 = 1.28 2 = だ 1 = 5.12 , 表より T2 = 435 。 K & = r = 4X1.033 = 4.13kg / cm2 1 . 3.3 等工ントロピ変化の近似計算 温度変化の幅が小さいときは , その範囲で代表比熱を選んで比熱一定として 近似計算することができる . 完全ガスとしての取り扱いであるから計算が簡単 になる . 代表比熱を選ぶ方法として , 最高 , 最低両温度の平均温度に対する比 熱を朝…また最高温度 , 最低温度それそれの比熱の平均値を c ”′として 1 の = 。十 ( ら , 。¯Cpm)X 3 を代表比熱とすると近似度がきわめて高い . ( 1.22 ) 完全ガスの等ェントロビ状態変化は , 式 ( 1.12 ) で計算できるが , 数値計算 は巻末付表 2 によれば便利である . なお , 一般にガスタービンの性能を略算す るのに , 代表比熱および比熱比として , つぎの値がよく用いられる . 表 1 . 1 代表比熱 圧 縮機部 ロ cp(kcal/kg OC) 0.240 0.276 1 .40 1.33

8. ガスタービン

7.2 燃焼器の性能 727 入口状態については , 入口圧力 , 入口温が小さいほど燃焼効率はわるい . 一般に , カおよび代表風速について pt/V というパラメータを考えると , 焼空比一定のもとで , 燃焼効率との間に図 7.5 に示される傾向がある . 圧力比 の高いガスタービンでは燃焼器入口圧力 , 温度ともに高く , 一方 , 空気密度が 大きいので代表風速も小さくなるから , 燃焼効率は高くなる . 航空用ガスター ビンで高高度では大気圧 , 大気温ともに低くなるから , それにつれて燃焼器入 ロ圧力 , 温度ともに小さくなるので , 燃焼効率は地上時よりも悪化する . 7.2.2 燃焼器の全圧損失 燃焼器の圧力損失は , 一部の産業用ガスタービンのように圧縮機 , タービン と燃焼器が別々に配置され , ダクトで連結されているものを別にすると , 普通 は , 圧縮機出口とタービン入口の全圧差をいう . すなわち圧縮機出口全圧に燃 焼器全圧損失係数をかけたものである . 燃焼器の全圧損失係数は , 航空用ガスタービンのように燃焼器を小形にまと めるときは大きくなり 4 ~ 6 % 程度になるが , 他のガスタービンのように , 燃 焼器寸法に余裕があって燃焼器を比較的 , 大形にできるときには , 全圧損失係 数 2 ~ 3 % と小さくなる . 全圧損失の原因のおもなものは , 燃焼器に適当な流速 ( 代表風速で 10 ~ 30 m/s) まで減速するためのディフューザの圧力損失 , ならびに燃焼筒の壁面の 摩擦損失 , 内筒の穴のしぼり損失 , 内筒内部の渦の発生などによる . 火炎を安 定に保っこと , 温度希釈の混合を小容積で効果的に行なうためには , これらの 全圧損失を避けることはできない . 7.2.3 出口温度分布 燃焼器の出口温度を均一にするのが理想であるが , 部分的に温度の不同を生 じる . タービンの動 , 静翼の寿命は , それがさらされる最高温度によって定ま るので , 燃焼器出口温度分布の最高温度が , 動 , 静翼の材質より規定される . したがって , もし出口温度分布の不同が大きいときは , 出口平均温度が低下 し , タービンの出力は低下する . また , 出口温度の不同はタービンケースある

9. ガスタービン

9.1 材料選定の条件 ガスタービン各部材料の選定は , 普通の機械と同じように , その部品の応力 の大きさ , 種類などの機械的条件と , その部品がさらされる温度 , 化学的ふん 囲気などの環境的条件およびその機械の使用目的 , 寿命 , コストなどの経済的 条件より定まる . ガスタービンで , とくに目立つのは燃焼器 , タービンが常時 , 高温にさらさ れることであって , 高温で長時間 , 耐久できる材料が望まれる . 高温では酸化 が激しく , また , 燃料中に含まれるいおうその他の無機質分のため腐食も激し 図 9.1 は各種材料の広い意味 での温度使用範囲である . 合金 組成で , ほぼ定まる材料の性質 として , 比重量 , 熱膨張係数 , 熱伝導率 , ャング率 ( 縦弾性係 数 ) , 振動の内部減衰能などの 物理的性質がある . 航空用ガス タービンは軽くつくらなければ ー 200 0 特殊鋼 600 Ti 合金 200 400 温度 CC) 800 図 9.1 材料の使用温度範囲 ならないから , 温度許容範囲でアルミ合金 , チタン合金など重量あたり強度の 高い材料が好まれる . また , 加速 , 減速の回数の多いガスタービンでは , 熱応 カ , 熱ひずみを小さくする意味で , 部材には熱膨張係数が小さく熱伝導率の良

10. ガスタービン

ービン主要部材料 9.3 ガスタ 燃焼器内筒板材組成 ( % ) 表 9 . 4 Cr Ni Co Mo W 25 20 20 残 22 残 1 . 5 「し 0- 1 、 1 、 Fe 残 Ti AISI 310 Nimonic 75 Hastelloy X * 最大 18 . 5 0.4 9 0.6 9.2.5 フェライト系耐熱鋼 後段タービン部は前段よりも温度が低い . とくにタービン車板は周辺部のみ 高温で , 全体としては翼よりはるかに温度が低い . すなわち後段タービン車板 では Ni や Co を多量に含む耐熱合金は不経済であるし , またこれらの材料は 切削性不良で加工費が高くなる . このようなとき , フェライト系の 12 % Cr 系 の耐熱鋼が用いられる . 熱処理によりマルテンサイト組織とし , 強靱にする . 代表的なものを表 9.5 に示す . 表 9.5 フェライト系耐熱鋼組成 ( % ) C Cr Fe 残 Jessop H 46 11.5 Greek ascoloy 2 .0 残 13 . 0 3.0 フェライト系車板は , オーステナイト系に比較すると熱伝導率が良く , 熱膨 張係数が小さいので , 熱応力の点で , はるかに有利である . また 5000c 以下 ではオーステナイト系よりも機械的性質 ( 降伏値 , クリープ強度など ) が , 逆 にすぐれている . 600 ℃以上の高温では酸化性 , 強度の点で適当でない . 鍛造 性 , 切削性ともに良好である . Mo その他 V 0.30 0.45 Ni 0.15 0.12 9.3 ガスタービン主要部材料 9.3.1 タービン動翼 タービン前段の動翼は , 環境および応力を総合するとガスタービン部品のう ち , 最も厳しい条件にある . その前の静翼よりも , 動翼の温度は低いが , やは