ちゃん - みる会図書館


検索対象: グリーンベンチ
75件見つかりました。

1. グリーンベンチ

43 グリーンべンチ 泰子 ( 次第に早口になる ) 。 ハ。ハが代表取締役で会長、私は社長、アッ君は重役 ! アッ 変な男がやってる画廊な 君も身内だけの会社なら、ちゃんと仕事できるでしょ ? んてやめちゃって、陽子ちゃんも重役 ! 正彦はもちろん営業 ! しいでしよう ? あっ、名前、平和不動産ってどう ? 平和不動産に決いめた ! 正彦に知らせよう ! 泰子は携帯電話を取り出し、谷口の住むア。ハートに電話をかける。電話の呼び出し 音が泰子の耳の中に響く。 泰子今日は自分の部屋でゆっくりしてるって言ったのに : 泰子は汗ばんだ手で受話器をぎゅっと握りしめ、谷口の部屋の電話番号を繰り返し ねえ、不動産屋の名前、どんなのがいいっ・ 陽子、明、曖昧に首を傾げる。 0

2. グリーンベンチ

陽子の中で泰子に対する憤りが花開く。 陽子 ( 冗談のように笑いながら ) 小さくても分かってたわよ。 ( パが出張で帰らない夜、私と明に睡眠薬を飲ませて、一晩中、電話してたでしょ 泰子 ( 取り乱して ) 睡眠薬 ? まさか ? 睡眠薬を子供に飲ませる母親が何処にいるの ねこな ( 急に猫撫で声を出して ) ねえ、陽子ちゃん、ママの宝物だったオルゴール覚えて 陽子 ( 憎しみを心の底に沈めて微笑んで ) 覚えてるわよ。 レ丿ーナがくるくるまわる 泰子 ( 楽しそうに ) あれ壊したの、陽子ちゃんよ。捻子を逆さに巻いて壊しちゃったの よ : : : ママが電話している間に : カメラを開けちゃって、みんなで海に行った時。 ( 。 ( が撮ったフィルム一本真っ白に しちゃったこともあるのよ、陽子ちゃん覚えてる ? 陽子 ( 楽しそうに ) 忘れちゃった。 るフ のでしょ ?

3. グリーンベンチ

冫明に描いてゆく。 泰子 ( 陽子の顔に皺を描きながら ) 陽子ちゃんは私の色を全部吸い取って生まれたから、 私は灰色になってしまったのよ。 ( 寂しげにくすっと笑う ) 私が二つに割れちゃった。 陽子ちゃんは寄生虫みたいに私の栄養を奪って大きくなって、私の中の女を奪って しまったわ。 泰子は陽子の唇に自分と同し色の口紅を引く。 母娘の顔は次第に似てゆく。 泰子 ( 薄笑いを浮かべながら ) ねえ、陽子ちゃん知ってる ? がん あんたのおばあさんはねえ、子宮癌で死んだのよ。 きんしゅ おばあさんのお姉さんは、卵管炎、おばあさんの妹は子宮筋腫。 ねえ、知ってた ? こわば 陽子 ( 体を強張らせて ) ううん。

4. グリーンベンチ

173 向日葵の柩 二人は申と金の唄が終わったのに気づかなかったのだ。 申 ( 栄敏をからかって ) おかしな顔してたそ ! ばっちり撮ったそお ! 現像したら 栄貴ちゃんに見せちゃうんだ。 栄敏金はっ・ 申帰ったよ。 栄敏何時だ ? 申もうすぐ十二時だ。今日の親睦会はそろそろお開きにするとするかフ 栄敏三人だけの親睦会か : 申俺は帰る。栄貴ちゃんによろしくな。 申は去る。 栄敏も去りかけるが、振り返り永玉を見詰める。 栄敏 ( 永玉に ) この店を出て、右にまっすぐ行くと鉄屑置き場があるの知ってるつ・ 永玉テックズオキ、、ハ

5. グリーンベンチ

210 俺、坊ちゃん刈りでさあ、岩本さんは男の子みたいな髪型しててさあ : : : 俺、とっ 組み合いのとき、髪の毛むしりとられて。 ( 笑う ) 痛かったよなあー リューちゃん、わんわん泣いたのよね ! 栄貴 ( 打ち解けて ) 田中あっそうそう ! 俺、リューちゃんってあだなだったんだよなあ ! 岩本さんは : : タカって呼ばれてたよな。 栄貴そう : : : 男の子みたいだったから・ : : クラス一番の早食いで、いつも必ずおかわりしてたよね。 田中給食のときだってさあ : 栄貴 ( 赤面して ) もう、やめてよー 二人は沈黙する。 田中はなぜだか居心地が悪くてしようがない。他人の視線が気になるのだ。それは ・・とても : 少女と二人っきりでいるからなのではなくて、なぜだか : 田中 ( 誰かに「誘わなければ殴るそ ! 」と脅迫されてでもいるかのように ) あのさ : : : あ の : : : この近くにさあ : : : 藤原がバイトしてる喫茶店があるんだけど : : : 行ってみ ひと

6. グリーンベンチ

105 グリーンペンチ 陽子はグリーンべンチに腰を下ろす。明、姉の隣にそっと腰を下ろす。 谷口は陽子を眺めている。 泰子は谷口のシャツの袖を引っ張る。 谷口 ( 歪んだ微笑を浮かべ ) よしてよ ! のびちゃうだろ : ・ 泰子テニスをしましよう。 谷口 ( しどろもどろ ) さっき、陽子ちゃんとテニスして、ポールなくしちゃったんだよ。 泰子 ( 脅し、だが穏やかに ) 宝物をあなたにあげる。 谷口 ( 卑屈な微笑 ) 宝物って : : : 何 ? 泰子 ( 何も載っていない掌を谷口の鼻先に突きつけ ) テニスポールですそ、これは。 谷口 ( 怪訝な表情で ) えフ 泰子は片手の拳に透明なテニスポールを握りしめると、その拳を空に突き上げ、王 のようなポーズをとる。 泰子行くわよ ! そおれ ! そで

7. グリーンベンチ

泰子 ( 大声で ) アッ君 ! 陽子ちゃん ! お昼にしましよう ! 泰子は。ヒクニックの時に使うようなビニールシートをグリーンべンチの下に敷く 明はタオルで汗を拭いながら辺りを見回す。 明ママ、ここはちょっと暑いよ。 ( 樹影を指さし ) ねえ、あっち、日陰で食べようよ。 陽子そうしましよう、こんな所に座りこんでたら、頭おかしくなっちゃうわよ。 明と陽子、。 ( スケットとポットを手にとり、日陰に移動しようとする。泰子、明の 手からポットと、、ハスケットを奪う。 泰子駄目 ! 此処で食べるのよ。ママの言う通りにしてれば間違いはないのよ ! あきら 二人は諦めてビニールシート の上に腰を下ろす。

8. グリーンベンチ

かな 泰子 ( 心やさしく途方に暮れた哀しみで ) 自分のこともちゃんとできないアッ君が、マ マの面倒をみれるはずがないわよね。 アッ君はね、学校で一言も友達と口をきけないでめられてるんだって : や間をおいてから ) 私、いつも考えてたのよ、アッ君が大きくなったら私の面倒を 見てくれるって : ママがアッ君の年の頃はねえ、大学に合格したのに「大学なんか行くな ! 」ってお 父さんにストーブ投げられて泣いてたわよー ( かすれた声で ) ねえ、学校が駄目なら働けばいいのよ、陽子ちゃんみたいに高校 を中退して : うつむ 明 ( 俯いて ) ・ 陽子 ( 意を決して ) チ いうのがママの計画フ ン 泰子 陽子だったら、まずパ。ハと話し合わなくっちゃ : グ ギ = ッと結んだ泰子の唇が細かく震えるが、陽子と明は気付かない。 0 、 0 、 一の緑区の土地に家を建てて、また、みんなで一緒に住もうって

9. グリーンベンチ

向日葵の柩 163 一同は栄敏を眺める。 申遅かったな : : : ( 酔って、栄敏の頭を軽くこつんと叩く ) みんな待ってたんだそ ! もう待ちくたびれちゃって : : : あれ ? 栄貴ちゃんは ? 栄敏 ( 剣のある表情で申を見る ) ・ 申 ( 栄敏の表情にひるむ ) ああ、子供は早寝早起きだからな。 栄敏は酒瓶とグラスを盆にのせて近づいてくる永玉に目をやる。 申おー 何ぼうっと突っ立ってんだ ? 座れよ ! 座ってどんどん飲めー 栄敏は腰を下ろす。永玉が栄敏の前にグラスを置き、酒をそのグラスに注ぐ。栄敏 はその酒をごくりと飲み込む。 のぞ 永玉は他の女とも、客ともあまり口をきかないでバーの窓から、ここを覗き込んで いる月を眺めている。

10. グリーンベンチ

髪の毛をフランス人形のようにカールし、ところどころ黄ばんだ若い頃の白いワン ビースを着ている。 泰子は待ちくたびれた少女のように足をぶらぶらさせている。ワンビースからはみ ふくらはぎ でた泰子の脹脛が黄色い魚のように揺れる。 陽子 ( サープしながら ) 明、体、鈍ってるんじゃない ? 明 ( 打ち返して ) テニスなんて何年ぶりだろう ? 陽子学校ちゃんと行ってるの ? 明ちゃんとでもないけど、なんとか行ってるよ : : : 姉さん何やってるのフ 陽子この前言ったじゃない、画廊の事務よ。 明マンションに電話してもいつも留守電でさあ、姉さん、いつも何処行ってんだよ。 陽子 ( ロごもる ) 何処にも行ってないわよ : ・ ( 誤魔化す ) 無言電話ばっかり毎日十件 くらいはいってておかしいと思ってたのよ。 犯人は明だったのね。もしかして昨日もかけた ? 何の用なの ? 明 ( ロごもる ) あの留守電の声、変だよ、キンキン声でさ。 ( 間 ) それより姉さんの方