ゲーム分析 F に E. 5 2010 年 7 月 7 日 ワールドカップ南アフリカ大会 準決勝 モーゼス・マビダ ( ダーバン ) [ 主審 ] カッシャイ ドイツ 0 ー 1 スペイン 0 0 201 〇 FIFA ~ 〇「一 d Cu S 〇 uth Af 「 ica 彳暑占者・ 警告 シュート ファウル CK オフサイド 0 ボール支配率 ( % ) ( 前半 ) ( 後半 ) 0 1 プジョル ( 後半 28 分 ) 1 5 9 6 2 49 [ 試合のダイジェスト ] スペインは、先発にペドロを起用し、前線でポールが回り選手間 に流動的な動きが出る。シャビやイニエスタらのバス交換から何 度もゴール前に迫る。しかし、ドイツの守備陣は、最後のところで シュートを許さず、両チーム、前半を無得点で終える。後半も前半 同様、スペインがポールをキープしてゴールを脅かす。 28 分、プ ジョルが CK からへディングを決めてスペインが待望の先制点を奪 う。終盤はドイツがパワープレーを仕掛けるが、スペインがしのぎ 切って 1 - 0 のまま試合終了。スペインは初の決勝進出。ドイツは 2 大会連続、準決勝で敗れる。 206
後半 36 分→トーレス ポドルスキ ボアテンク ( 後 7 分→ャンセン ) FinaL 、蓄己 0 プロ基準で見るゲーム分析の極意 S ・ラモス フリードリッ ビケ スペイン プジョル 1 - 4 - 1 - 4 - 1 カプテビラ シャビ ペドロ ( 後半 41 分→シルバ ) クロ プスケッ ビジャ シャビ・アロンソ ( こ ) ( 後半 48 分→マルチエナ ) イニエスタ ジル トロホウスキ ( 後半 17 分→クロース シュバインシュタイガー ノイアー ケデイラ ( 後半 36 分→ゴメス ) ルテザッカー ドイツ ※システムは試合開始時のもの。 207 1 - 4 ・ 4 - 2 ポックス型
した固いプロックを打ち破れそうな予感を感じさせるシーンが幻分頃からの局面にあった。バル サのが右サイドにいるアウベスにボールを投げる。アウベスは、左のと左のの間に立っ ているイプラヒモビッチにパスを出す。この時に真ん中にいたメッシにポールを預ける。メッシが ドリプルしながらオー 】ラップするアウベスへパスを送る。アウベスがクロスを入れると、イプ ラヒモビッチが頭でそのボールをベナルティエリアの真ん中に落とす。そこにシャビに飛び込んで くる。得点にはならなかったが、 流れの中からイプラヒモビッチの下にメッシがいる状態で後方か らビルドアップが始まっていた。ケイタが左サイドに動くことで、ポッカリと空いていたイプラヒ モビッチの下の位置にメッシがいたことで生まれた展開だった。メッシは、この後も真ん中にいれ ばボ 1 ルをゴール前に運べると味をしめて何度も真ん中に人り始める。インテルはメッシのポジ ショニングを嫌がって、モッタが下がってケアをするようになる。そうなると、シャビとプスケッ がフリーになって高い位置で横パスを回せる。ここからインテルのラインは下がるようになった。 242
FiruaL 蓄己 0 ④イプラヒモビッチの下に誰もいないのでスペースが空く。そこへメッシやシャビなどの選手 が流動的に人っていって利用するのかがポイントとなる。 ⑤分頃。バルサがイプラヒモビッチなどをクサビに真ん中にポールを入れようとすると、イ ンテルの選手は 2 、 3 人で囲む 0 四分頃。シャビのドリプルからインテルのとのあいだにあるスペースを攻略。そこ での攻防がやはり鍵になるのか ②その後インテルのカウンタ】があるのだが、人数をかけずにせいぜい 3 人くらいしか前線に 上がらない。徹底してディフェンスを重視しているように見られる。 意 0 右サイドからのバルセロナのセンタリング。 2 回ほどチャンスがある の ⑨分頃。インテルの選手は自分たちの攻撃の際も自陣に残っている人数が多い。自陣に人 分 数を置いて守備をすることで、バルセロナはカウンタ】を仕掛けにくい。 ム ⑩分頃。インテルのモッタがレッドカードで退場。これによって、システムを 1 , 4 ・ 4 , 1 に変史する。 - る 見⑩になったスナイデルも引いて守備をする。つまりインテルの選手全員がポールよりも後 ろに位置していることになる 準 - 基 分頃。バルセロナはポ 1 ルを中盤で回して、インテルの真ん中にいる選手をプレスによっ ロ 、バルサは、インテルのとのあいだにできたスペー プ て一則に引き出そうとする。しかし 237
れ r:i 三蓄己 02 両チ】ムの中盤に関しては、バルサ 3 枚に対してマンは 4 枚。システム上は、バルサの数的不 利になると述べた。しかし、 4 枚のうちのルーニーとパク・チソンは、かなり大胆にサイドへ開い ているので、実際はバルサの枚にマンは枚で対処することになる そこで、中央にいるシャビとイニエスタは、マンのキャリックとアン一丁ルソンと向きムリっこと になる。つまり、両チ】ムのの前のスペースが妨げられるので、システム上、お互いにメリッ トは見られない。ただし、問題になるのはシャビとイニエスタの後ろにいるプスケツの存在だ。マ と ンが、誰もプスケツのケアに当たらなければ、彼がフリーでボールをもらえるかもしれない ン イ ボ 以上のような可能性が、システムを組み合わせただけで想定できる。ただし、ここで指摘した 見のは、すべてではない。もちろん、これ以外の可能性も残されている。 試 フリーになれるブスケツを誰がケアしたのか ? 本 基先にも述べたように、バルサとマンのシステムを組み合わせた場合、プスケツがフリーになれ の る可能性があると読み取れる フスケツがフリーになってゲームの 分プスケツのポジションは、バルサにとって生命線の 1 つだ。。 ム 組み立てに参加することができれば、彼から縦パスを入れられたりサイドにポールを散らしたり ゲして、ゲ】ムの主導権をバルサが確実に握れるだろう。一方、マンとしては、プスケツを基点に 【図 9 】
を選択して、ミリート が守備に参加しないで、常にカウンターに備えたポジションを取っている。 センターライン付近でボールを奪った時に、ミリートは、常にフリーでいられるポジションをとっ て裏に抜けられるような位置にいた。 次に、バルサの攻撃に対して、インテルはどのような守備をしたのかを見てみよう。 バルサは、インテルのとのあいだに選手が人って行き、ポールを持って、そこから相手 の守備を崩したいという意図がある。バルサの選手がインテルのとのあいだに人ってこよ うとすると、インテルのはすぐに前に出てきてプレスをかけてスペ】スを埋める。人と 人がそれぞれのラインに並んで配置よくバランスをとって守備をするというものではなく、 選手が個別に目の前にポール保持者がいたならば前に出てプレッシャーをかけていくやり方をと る。したがって、バルサが自由にポールを持てるスペースがインテルのとのあいだには生 まれない。そして、スペ 1 スがないので、そこに入ろうとする選手も少ない。メッシは右サイドに 張っているので、もし狭いスペースに入るなら、シャビかべドロのどちらかだろう。真ん中のエリ アで、シャビはプスケッと並んでスナイデルと 2 対 1 の数的優位になっているので、それを利用し てビルドアップの基点になろうとしている。だから、スペースに人るならペドロくらいしかいない インテルは、守備においても徹底していた。全員でポールを奪うというよりも個人で奪うとい うやり方をする。ボールを奪いに行く目安は、バルサの選手がセンターラインを越えて自陣に入っ てきたところになる。からへ、そして O まではバルサに自由にボールを運ばせている 228
この試合の展開が見えてきてしまうのだ。 まず、カシージャスがプジョルにポールを出してプスケツに渡る。 2 分秒のシ】ンを見てもら ーたい。プスケツが前を向いてドリプルを開始した時に、クローゼとエジルのポジションは、バル サ陣内のセンターサークル付近でプレスに行かないで、その場に立ったまま様子をうかがう。ボー ルは、右サイド ( バルサ側から見て ) にいたシャビに送られる。シャビがドリプルで前に進もうと すると、ドイツ陣内のセンターサークル付近にいたシュバインシュタイガーがプレスに行く。シャ ビは前に進むのを諦めてビケにボールを下げる。ピケは横にいたプジョルにパスを出す。プジョル からアロンソにポールが蘰り、アロンソはプジョルにリターンパスをする。ボールが再びアロンソ に戻されて、真ん中にいるイニエスタへ。ポールが回されるあいだに、ピケが右サイドのセンター ラインまで上がってきて、左サイドのペドロに大きなサイドチェンジをする。このポールの流れの 中で、ドイツののエジルは、プジョルに少しだけプレスに行く素振りを見せるだけで、クロー ゼにおいてはまったくプレスに行かない【図】 基本的なことだが、。 ティフェンスの始まりはからだ。が相手のや ro が持っボール を追って行くことを、「制限をかける」とか「限定をする」、または「規制をかける」と言う。制 限をかけるとは具体的に何を指すのかと言えば、どこにポールを追い込むかを決めて、ボールを 追いかけることを意味している。 214
FinaL 、 02 ②前半に見られなかったシャビ・アロンソのミドルシュートが 2 回ある。スペインのポールは 前半と変わらずにサイドへ行くが、そこからポ】ルを持った選手はドリプルで中に切り込み、 横パスを出すなりバックパスを出すなりして、ドイツのマークのズレを作ってミドルシュート を打つ。 3 川分頃。ドイツはプロックを低くして、後方でポールを奪ってからカウンターという戦術を とる。しかしそれにしては、ボールを奪ってから前に行く力が足りな過ぎる ④Ⅱ分頃。ドイツのとのあいだのスペースにスペインの選手が入る。危険なゾーンな のだが、 意 そこへポールが人ってもドイツのはポ】ルへのプレッシャーをかけない。 ⑤がプレスに行かないのが、スペインに自由にボ】ルを回されている原因となっているの の 析 ではないかと思われる 分 0 分頃。ドイツのは、守備の際の限定が少なすぎる。もっとスペインのに積極的に ム プレスをかけてもいいのではないか ? たとえカウンターに備えていたとしても : 。なぜな ら、ドイツは 4 人と 4 人でディフェンスをするが、スペインに自由にボールを回わさ 「見 れているから、スペインにプレッシャーをかける意味でもの制限が必要だろう。 で 準②分頃。スペインのキープからドイツのディフェンスの裏のスペースへセルヒオ・ラモスが - 基 抜け出し、そこにパスが出る。前半から通してあまり見られなかったシーン。 ロ プ 0 シャビ・アロンソとプスケツが基点となりパスが前に出ていく。 211
FinaL 、己住 プロ基準で見るゲーム分析の極意 アウベス ペドロ バンテフ ( 後半 1 分→スタンコビッチ ) サネッティ ビケ ブスケッ メ“ ラヒモビッチ ( 17 分→アビダル ) バルセロナ プジョル シャビ モッタ サムエル 221 ※システムは試合開始時のもの。 D ・ミリート 30 分→バローノリ ) スナイデル セサール インテル ルシオ カンビアッソ 4 - 2 - 3 - 1 ケイタ マクスウェル 工トー マイコン 1 - 4 - 2 ・ 3 - 1 ( 後半 28 分→キ )
林雅人のマッチレポート バルセロナ対インテル マッチアップした際に何が予測できるか ? 【図 0 両チームのがフリー がの間に入るので浮いている ■が OLL に対して 2 対 1 の数的優位 ■ OX がフリー がフリー ( とのマッチアップも可能性としてある ) ママ観戦メモ ( 前半 ) ①インテルは、自陣にプロックを敷きディフェンスを開始する。 ②スナイデルがシャビにマンツ】マン気味につく。 3 ケイタが左サイドに開き気味のポジションをとるので、イプラヒモビッチの下に選手がいな ( 月態になる 236