ポゼッション - みる会図書館


検索対象: サッカープロフェッショナル超観戦術 : プロ基準で見るゲーム分析の極意
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1. サッカープロフェッショナル超観戦術 : プロ基準で見るゲーム分析の極意

【ボゼッションサッカー】 で ポールをキープすることがポゼッションの目的ではない ま 人 オランダ代表のサッカ】は、ポゼッションサッカ 1 だと一一一口われる 固 ・スカンス ( オランダ人で日本体育大学サッカー部の元監督 ) は、ポゼッショ 実際に、アー ンサッカーを志向していて、「ポールをキープしながら、シンプルに前に進んでいこう。その際に 丿ーの話を聞いて、ポゼッショ 一簡単にポールを取られるな」と選手に何度も語っていた。僕は、アー ンとは「ポールを常にキープすること」だと思っていた。だから、ポゼッションの目的が何かをき 方 見ちんと理解してはいなかった。 の ポゼッションの本当の意味を学んだのは、僕がオランダに行ってからだった。ポゼッションの目 術 戦的とは、ゴールを奪うこと。ゴールを奪うというサッカー本来の目的を忘れてポゼッションをして はない ということ。これは考え方の 1 つなのだが、試合のポイントとなる局面を押さえられるか が大切で、ポイントが多ければ多いほどいいとは限らない。つまり、「鍵となる局面」は、 3 つか 4 つ、多くて 5 つくらいに絞っておくのがポイントと言えるだろう では、「チームとしての戦術」とは、「局面としての戦術」とは、どんなものなのか具体的に説 明して冖打こ一つ

2. サッカープロフェッショナル超観戦術 : プロ基準で見るゲーム分析の極意

いたら、たとえ 1 本のパスであっても、それには意味がないことになってしまう。 オランダのサッカーがポゼッション志向だと言っても、仮に 1 本のパスでゴ】ルを奪えたとした なら「それはそれでいい」という考え方をする。 オランダでは、ボールを回して回してというのをポゼッションとは一言わない。そして、無駄なポ】 ル回しをけっして行なわない。もしも、無駄と思われるパス回しが練習中にでもあったなら、コー チはプレーを止めて注意をする。僕がフィテッセの , のコーチをしていた時、紅白戦を見てい カ試 た元オランダ代表のヤン・ヨン・プルット、 合を止めて 1 人の選手を呼び寄せたことがあった。 その選手が、不用意に横パスを出した局面だった。【図 1 】 「君はどこを目指しているんだ」とヤン・ヨン・プルットが問い、 「もちろんゴールです」選手はそう答えた。 「じゃあ、ゴールに向かいなさい。ポゼッションといってポールをキ】ブしていても、ゴールに辿 り着かなかったら何も意味がないだろう」 指摘された選手のプレーが、その後に前を向いてパスコースを探してプレーしだしたのは言う までもないことだ。 オランダサッカーの特徴は、後方から数的優位を作ってどんどん前 ( , リこ一打くとい ) っスタイルが代 名詞なのが、だからといってフ リーになっている選手にポールを出すということがポゼッションで コ 1 ルを目指して前に進むためには、フリーになっている選手にポールを預けるだけでは

3. サッカープロフェッショナル超観戦術 : プロ基準で見るゲーム分析の極意

攻撃の時の最終手段 相手のラインの後ろにボールを入れて、やがそのポールを追いかけることによって、 相手のエリアから攻撃を始めるというのがキック & ラッシュだ。この戦術の目的としては、いかに 速く相手陣内でサッカ】をしようとするのかにある。【図 4 】 キック & ラッシュと一言えば、イングランド代表やプレミアリーグのサッカ 1 が思い出される。プ レミアの下位チームや 2 部リーグのクラブならば、キック & ラッシュが見られないわけではない。 しかし、最近の事情はそれと異なっている。相手のの背後にポールを蹴り込むというのでは なく、相手のの裏のスペースを利用するために、まずポールをに入れてから素早く展開 するというやり方に変わってきている。そうした変化は、選手のキックの精度の向上や、に 足が速い選手が多用されるようになったので、ボールをの背後に放り込まなくてもにダ イレクトに蘰るようになった、などの理由が考えられるかもしれない。【図 5 】 オランダでは、キック & ラッシュを最終手段として用いる場合がある。ポゼッションしていて、 相手のプレスが速かったらロングボールをの背後に入れて状況に変化を与える。試合の流れ が良くない時に、とりあえずラインの後ろにポールを放り込んで、相手陣内でサッカーをす るという考えもある。オランダでは、ポゼッションが最初の手段で、 2 番目がカウンターを用いて、 【キック & ラッシュ】 100

4. サッカープロフェッショナル超観戦術 : プロ基準で見るゲーム分析の極意

「戦術」は大きく分けると 2 つに区分できる。 ①「チームとしての戦術」 ( 攻撃のときと守備のとき ) ②「局面としての戦術」 ( 攻撃のときと守備のとき ) 「チームとしての戦術」の中には、ポールを支配することを優先しゲームを組み立てることを意図 したクポゼッションクというものがある。しかし、ポゼッションを戦術の基本にしたチームであっ ても、ポールを支配するだけでその戦術が得点に結びつかなければ戦術自体に意味がないことに なってしまう。だから、局面を打開するためにラカウンターという戦術を用いなければいけな い場面も出てくる。つまり、チームとしてべースになる戦術があるとしても、局面局面で臨機応 変に対処する能力が今のサッカーには求められている 一方で、「局面としての戦術」はどんなものなのかと一一一口えば、クサイドアタッククやクゾ 1 ンプレ スクなどが該当する。ただし、指導者 ( コーチ ) によっては、クサイドアタッククやクゾーンプレスク を「チームとしての戦術」の枠組みに入れて考える人もいる。僕の場合は、そうは考えない。チー ム全員でもって一貫してやるやり方を「チームとしての戦術」と捉える。だから、サイドアタック チーム全体での攻撃戦術の見方

5. サッカープロフェッショナル超観戦術 : プロ基準で見るゲーム分析の極意

戦術の見方 ~ チ ーム戦術から個人戦術まで ~ 図 1 ~ 3 【図 2 】 下かる る前を あてス スをに リに進す フのに出 3 ) ハス ( ①ハス ② ) バス 上かる バス 【図 3 】 裏へ抜ける、 【図 1 】フィテッセの U -17 の紅白戦を見てい た元オランダ代表のヤン・ヨン・カレットが、 安易に横バスを出したのを見て、 CB の選手 に注意をした局面。 【図 2 】ポゼッションには、敢えてマークさ れている選手を経由して、スペースを作って ポールを運ぶやり方もある。 【図 3 】カウンターには、センターラインでポー ルを奪ってから一気にゴール前に向かうやり 方と、最後尾にいる CB からロングボールを FW に当てて一気に展開するというやり方な どもある。 ロンクバス プレスから ト ポールを奪う - △。・・・ - - ホールの動き△ ー人の動き 99

6. サッカープロフェッショナル超観戦術 : プロ基準で見るゲーム分析の極意

がポールを持っている時には、ボールをに手で転がすか、ボールをキックするという一一 択がある。がどうやって攻撃を仕掛けようとするのかを見れば、そのチームが攻撃の第一段 階において、どういう意図でビルドアップしようとしているのかがうかがい知れる がにポールを投げ、常にポ 1 ルを支配しながらやでのポール回しだけで、 フウェイラインまで行って、そこから攻撃を仕掛けたとする。そうしたやり方をするチームは、 攻撃のスイッチが入れば、が動き出して空いたスペースに ro= やが入っていく。あるいは、 やがにボ】ルを当てて、ワン・ツーで抜け出すなど。ポゼッションと流動性を意識し て、空いたスペースには、近くにいる選手が入っていくというやり方をするチームだと言える。【図 あくまで もちろん、が手でボールを投げたからといっても、このやり方ばかりではない。 例えの 1 つである がやを飛び越してめがけてキックさせるチームは、にフィジカルに強い選 手がいる場合が多いポールをキープしようとするはを背負っているので、近くにいる 選手は前を向いてポ】ルをもらえる。それによって、次のプレーに移行しやすく、少ない人数で すばやく攻めようという意図がうかがえる。【図】

7. サッカープロフェッショナル超観戦術 : プロ基準で見るゲーム分析の極意

こうした 3 つの能力すべてを兼ね備えたもいれば、 1 つだけに優れたもいる。どんな タイプの (c•QZ 、 ro=) であっても、はたくさんの仕事をこなさなければいけない。スペー スメイク、ポゼッション、クサビ、ビルドアップなどがそれである。攻撃において最も重要な の役割は、ポールを前線に運ぶことだ。その際、、、 ( ー刀 , を丿 こレックアップできているのかが鍵になる。 そしてもう 1 っ言えるのは、は、周りにいる味方と相手の選手のポジションを見てポ】ルを キープしている時に、簡単に相手にボ】ルを取られてはならないということ。なぜなら、相手に カウンターのチャンスを与えてしまうからだ。 攻撃の際に、ボールを持ってルックアップしているは、まず、味方の r-æはどこにいるのか を探して、次に、相手のはどこにいるのかを見る もしも、が攻撃参加のために前に行こうとしているのなら、彼はドリプルで前に行くのか、 あるいは壁パスを使って一劇に行こうとするのか、さらにフリ】ランニングをしようとしているのか を見る。がどういうやり方で攻撃参加しようとしているのかを見ることで、その選手の特徴 的なプレ】を把握することもできるし、チ 1 ムの攻撃のスタイルをうかがえる 1 つの方法となる か、らに。 そして、の動きとして重要になってくるのは、ポールを持っていない時に周りをどれだけ 110

8. サッカープロフェッショナル超観戦術 : プロ基準で見るゲーム分析の極意

ヨ「 cl 蓄ヨ 0 住 前に進むことができない ポゼッションと言った場合、ボールをキープしながら前に進むというのが重要なことである。 そのためには、あえてマークされている選手にボールを出して、その選手を経由することでフ リーの選手を作ることもある。そして、そのフ リーになった選手にボ 1 ルを出す。つまり、 2 手、 3 手先まで見据えた意図のあるパス交換が行なわれていなければ、ポゼッションサッカーとは一一一口 わないのだ。【図 2 】 では、ポゼッションサッカーかどうかを見極めるには、どこを見ればいいのだろうか ? で ま 術 ポゼッションサッカーを見極めるポイント 人 ①がボールを持った時に、ビルドアップを試みているかどうか 個 ②が攻撃参加して、前で数的優位を作ろうとしているのか。 韆③を基点にして、ポールを左右に散らばしてゴ】ル前に向かおうとしているのかどうか ム チ 。、ゼッンヨンサッカーのメ リットとしては、相手にボールを蘰さなければ点を取られる機会が 方 見少ないので、ボールを持っことで試合をコントロールして攻撃にもっていきやすい の デメリットとしては、中盤や後方でのパス交換の時に、相手にボールを奪われたならカウンター 術 戦をモロに受ける危険があること。また、相手選手全員 ( を前線に 1 人残す場合もある ) に引

9. サッカープロフェッショナル超観戦術 : プロ基準で見るゲーム分析の極意

守備から攻撃への切り替えの局面を見る 流れの中でポールを奪った後にビルドアップする際、その瞬間というのは守りから攻めへの切 り替えの場面になる。ポ】ルを奪った後に、瞬間的に前を狙ってポ 1 ルを出すのか。あるいは、いっ たんキ】ブするのか。そこの場面を見る。ボールを持っている相手からインターセプトした時に、 の頭越しに前に蹴るチ】ムは、カウンタ 1 を意図していると思われる。【図】 いったんボールをキープしてビルドアップするチ】ムは、ポゼッションを志向していると 想定される。【図】 どのようなやり方をするのかで、そのチームのアタッキングに対する考えがわかってくる。 やり方が徹底されているのか、されていないのか。意図があってやっているのかどうかを、しつ かり見極めることが大切だ。意図する戦術があるチームならば、常にやろうとしているものが見 えてくる。ただし状况によっては、どうしようもない場面があって、前に蹴ってもいい時があるので、 局面でやり方が違ってくるから注意が必要だ。 裏に抜ける時の「裏」とは、いったいどこを指すのか ? ビルドアップからポ】ルがアタッキング・サードに入った際、ポールを持っているが、相手 のß-v の背後にフライングのパスを出して、裏に抜けたがと 1 対 1 になった。そういう局

10. サッカープロフェッショナル超観戦術 : プロ基準で見るゲーム分析の極意

まり、フィールドが広くなるので、オランダにロングボールを蹴られる可能性も出てくる。これ を「試合がオープンになった状態」と一一一口う。 分を過ぎると、日本の攻勢が明らかに増してくる。最終ラインを思い切って上げて、フィー ルドをコンパクトにして、本田にポールを当ててからサイドなり真ん中のエリアを長谷部が抜け 出す。 交代で入った中村 ( 俊 ) が、スペースに入っていく。試合開始に松井によって使われた、オラ ンダのとのあいだにできるフリースペースを利用する。ただし、スペースがない時も中村 ( 俊 ) はその場所に下がって入ってくるので、スペースのある、なしに関係なく、自分のポジショ ンよりも下がって真ん中に入るのが彼のプレ 1 スタイルだとわかる チェックポイントで挙げた、オランダの戦術が変更されたのは後半分。ファンデルファール トに代えて、エリアを投入したのが戦術変更の監督のメッセ】ジだった。その交代以降、オラン フレスをか ダは明らかに引いてくる。さらに、が制限をかけすに、プレスに行かなくなった。。 ける場所を下げて、センターラインから自陣内に日本を引き込んでプレスをかける。そして、ボー ルを奪ったら、一気にカウンターを仕掛ける。その際に、ファンベルシにポールを預けずに、ファ ンベルシの頭を越すポールを蹴るようになったことで、ポゼッションからカウンター ( キック & ラッ シュ気味 ) に戦術変史がされたことがわかるのである。 176