ダーキニー - みる会図書館


検索対象: チベットの死者の書
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1. チベットの死者の書

ーキニーたちの群が現われるであろう。すなわち、墓地の八ダーキニーと、四階級のダ ーキニーと、三界のダーキニーと、十の方向 ( 十維 ) のダーキニーと、二十四巡礼聖地 ギンモ のダーキニーたちと、シーラ ( 勇猛者 ) とシューラー ( 勇猛母 ) 、下僕と婢女と、ダル ーラ ( 護法者 ) が、守護の者たちを率いて現われる。彼らのすべてが人骨製の装飾 品を身につけて、太鼓と人間の大腿骨製の笛と、頭蓋骨製の太鼓、人皮製の旗、人皮製 ばた かさ の宝の蓋、人皮製のの・ほり幡、人膏製の香、それに無数の種類の楽器を持って全世界を 充満させるばかりに現われ、ぎしぎし、ゆらゆら、ぐらぐらと震動させるであろう。こ れらの楽器はすべて頭が割れるような音で鳴り響くであろう。これらの神群は種々の舞 踏を演じながら、生前に誓いをしつかりと守った者たちのお迎えに現われるであろう。 誓いを守らずにくじけた者たちを断罪するために現われるであろう。 ああ、善い人よ、汝の悪い習癖を作る力の領域の中を浄化する働きをするサハジャ ( 自然生得 ) の叡知が、五色の光を放ちながら、色とりどりの糸 ( 彩線 ) をよりあわせた ようにきらきらと、ちらちらと、ゆらゆらと、明るく輝くであろう。恐ろしいばかりに まばゆい光となって、ヴィディャーダラの五首領の心臓から発して、汝の心臓めがけて 直視することができないほどの明るさで射してくるであろう。 これと同時に、動物 ( 畜生 ) の世界からの、怖気づかせないほどに微弱な緑色の薄明り じわんしようとく さんがい じゅうい

2. チベットの死者の書

バルドウ〉の七日目に半月刀と髑髏碗を持ってそれそれ明妃を抱き眷属をひきつれて現われる。 次に五持明者・五持明者妃 ( 十持明者 ) を挙げる。 トマナタ・ダーキニー ( 同明妃 ) 鬮プフ トマナタ ( 蓮華舞踏主 ) ヴィディャーダラ ( 持明者 ) 。フフ ステイタ・ダーキニー ( 同明妃 ) アーユル 、、ステイタ ( 十地の位にある ) ヴィディャーダラ アーユルヴァシター・ダーキニー ( 同明妃 ) ⑩ ヴァシター ( 寿命が自在である ) ヴィディャーダラ ムドラ アナーポーガ ( 無 ・ダーキニー ( 同明妃 ) ームドラー ( 大印契の ) ヴィディャーダラ アナーポガ・ダーキニー ( 同明妃 ) 功用自然の ) ヴィディャーダラ なお持明者名の還梵は訳者が試みたもので文献にもとづくものではない。 ( 日契 ) ( ) 右手の拇指と中指を結んで眼の形にし、人さし指と小指を立て、薬指を掌 見つめる仕草の指印卩 内に向けて折る ( ヴェンツ氏注記による ) 。我国の密教の印契にも忿怒拳の印契の一つとして掲げる。ローケ ーシチャンドラ氏刊の図像集のヴィディャーダラ像にしばしばこの印契が看取される。 墓地の八ダーキニー ) サンヴァラ系のタントラに説かれる八大屍林 ( アシ、タ・シ = マシャーナ ) で深夜 に行なわれる黒魔術的秘儀に参加する魔女たち。 四階級のダーキニー (Z) プラーフマナ ( 僧官 ) 、クシャトリヤ ( 王族 ) 、ヴァイシュャ ( 庶民 ) 、シ、ードラ ( 隷民 ) からなるインド社会の四カーストに属する明妃。タントラの行者は自分の明妃 ( プラジュニャー ) と してドムビー ( 洗濯女 ) 、ナルタカー ( 舞姫 ) 等いかなる低い身分のものであっても平等に採用して出自に対 しての差別観を持ってはならない。 十の方向 ( 十維 ) のダーキニー ( ) 東方のガウリーをはじめとする八方角のダーキニーと上空のクエーチャ ーの合計で十人の明妃。『ヘーヴァジ、ラ・タントラ』大相応輪品に依る。 リーと地下のプフーチャリ ニ十四巡礼聖地 (Z) サンヴァラ系のタントラではビータと呼ばれる十種類二十四の巡礼聖地があり、行者た ちはこれらの巡礼地におけるダーキニーの集会と儀式への参加のために遍歴する。これらの巡礼地は実際の土 地であるとともに、タントラ行者の身体内に内在すると考えられ、菩提心をヨーガの技法によって発生させ、 身体の中の巡礼聖地を循環させることによってサンヴァラ ( 最勝楽 ) が得られるとする。津田真一『反密教 一九八七年 ) 参照。 学』 ( リプロポート、 〈チョェニ・ ( 51 )

3. チベットの死者の書

血に溢れた碗を持って舞踏をしながら、見つめる仕草の指印を空中で結んで現われてく るであろう。 このマンダラの南方からは、〈アーユルヴァシター ( 寿命が自在である ) ヴィディャー ダラ〉が黄色の美しい均整のとれた身体を持ち、黄色のダーキニーを身近に抱擁して、 半月刀と血に溢れた碗を持って舞踏をしながら、見つめる仕草の指印を空中で結んで現 われてくるであろう。 だいいんげい ームドラー ( 大印契の ) ヴィディャーダラ〉が、赤 このマンダラの西方からは、〈マ、 色の身体で、顔には笑みを浮かべ、赤色のダーキニーを身近に抱擁して、半月刀と血に 溢れた碗を持って舞踏をしながら、見つめる仕草の指印を空中で結んで現われてくるで 工 あろう。 チ AJ このマンダラの北方からは、〈アナーポーガ ( 無功用自然の ) ヴィディャーダラ〉が緑色の身体で、顔には怒りと笑みとを浮 工 かべ、緑色のダーキニーを身近に抱擁して、半月刀と血に溢れ カ チた碗を持って舞踏をしながら、見つめる仕草の指印を空中で結 一んで現われてくるであろう。 第 これらのヴィディャーダラたちの外周りには数かぎりないダ ・ / 、ノレドウ 見つめる仕草の指印

4. チベットの死者の書

みつきよう 尊い御方であるヴィディャーダラや、密教の伝授の教師 ( 阿闍梨 ) である神たちに心を 集中させて、顔を向けて次のように述べるべきである。 《ヴィディャーダラの神々や、ダーキニーや、スーラーたちが、〈清浄なクアサル。 ( ナ〉の世界へ私を連れて行こうとしてお迎えに来られているのである。 神々よ、あなたがた皆それそれが私のような者たちのことを理解していただきたい。 ふくちにしりよう 私たちは仏になるための準備 ( 福智二資糧 ) ができなかった。今までの過去・現在・ 未来の三世の仏たちゃ五仏に従う神々の慈悲の光明によって救われることができなか ヴィディャーダラの神々である汝らよ、今のこの境涯より下の世界にはどうあって も送らないでください。慈悲の鉤針で引きよせてお救いください。〈清浄なクアサル パナ〉の世界へと今すぐにお連れください》 と、このように心を集中させて、また以下の祈願の言葉を唱えるべきである。 《ああ、ヴィディャーダラの神々よ、お考えくださるようにお願い申し上げます。大 きな愛情をもってお導きくださり、最高の女尊であるダーキニーたちが背後から支え てくださって、恐ろしい、、 ( ルドウの難関を無事に越えさせてくださいますように。 あの〈清浄なクアサル。ハナ〉の世界にお連れくださいますように》 あじゃり

5. チベットの死者の書

・ / く / レドウ 工 チ ウ レ 工 カ チ 巻 五毒貪・瞋・痴・慢・嫉。五族のダーキニー ( 明妃 ) ダーキニーは荼吉尼・空行母と同じで、タントラ 第密教の仏に抱かれる女性配偶尊 ( シャクティ ) のこと。五仏に配偶する五明妃としてのアーカーシャダーテー ンダラヴァーシニ サマヤターラー シュヴァリー ・フッダローチャナー るのである。 さと 普通の能力の人たちはひたすら一心不乱に祈ることによって、自分自身の本体を覚っ て解脱を達成することができる。能力の劣った人でも浄化の祈願にすがることによって ろくどう 六道に生まれる門を塞ぐことができる。そして〈四つの知恵の合わさった光の道〉の内 容をよく理解し、〈ヴァジ、ラサットヴァ ( 金剛薩唾 ) の秘密の道〉を通って仏となるこ とがで」る。 このよ、つこ、 冫たいていの人たちは、こまやかにそして明瞭に、種々の段階におけるバ ルドウのお導きをもって導かれるので、彼らの中で解脱できる者の数も多い。能力の劣 悪な人たちの中でも特にとりわけて劣った人や、仏教の教えの影響力が及ぶことがなか ごう った罪人および誓いを守る意志の弱い人などはカルマン ( 業 ) によって惑乱されてしま さまよ さと って、お導きを受けてもそれで覚ることができずにさらに下方へと彷徨いつづけるであ ろう」 こんごうさった

6. チベットの死者の書

七日目 こくうゆぎよう じみようしゃ 七日目には、〈清浄なクアサル。ハナ ( 虚空遊行 ) 〉の世界からヴィディャーダラ ( 持明者 ) おろかさ の神群が汝に会いにおいでになる。この時には、煩悩のあるもの、すなわち無知からでき ている動物 ( 畜生 ) の世界の薄明りの道によっても汝は迎えを受けるであろう。 この時のお導きは死者の名を呼んだあとで以下のように告げる。 ヴァ 「ああ、善い人よ、心を惑わされることなく聴くがよい。七日目には、汝の悪い習癖を まだら 作るカ ( 習気 ) の領域の中にこれを浄化させる働きをする種々の斑な光が射してくるで あろう。この時に、〈清浄なクアサル。ハナ〉の世界からヴィディャーダラの神群が汝に 会いにおいでになるであろう。 トマナタ ( 蓮華舞踏主 ) 〉と呼ばれる、身体 虹と光に覆われたマンダラの中央に、〈パ が五色の光の色をした、他のなにとも比べることができないほどに完成された厳かさを そなえたヴィディャーダラが、女尊として赤色のダーキニーを身近に抱擁して、半月刀 ( 「契 ) を空中で結んで と血に溢れた碗を持って舞踏をしながら、見つめる仕草の指印卩 現われてくるであろう。 じゅうじ ステイタ ( 十地の位にある ) ヴィディャーダラ〉 このマンダラの東方からは、〈プフーミ が白色の身体で、顔には笑みを浮かべ、白色のダーキニーを身近に抱擁して、半月刀と じつけ れんげぶとうしゅ

7. チベットの死者の書

恐ろしいバルドウの難関を越えさせてくださいますように祈ります。 どうか私を正しく完全な仏の境地にお連れくださいますように》 りやく りんね 《激しい嫉妬のために私が輪廻し彷徨っているときに、すべてのものの利益をはかる働 ふくうじよう じようしよさち きの知恵 ( 成所作智 ) の明るい光の道へと、尊い御方であるアモーガシッディ ( 不空成 就 ) 如来がお導きくださいますように。女尊サマヤターラーが私を背後から支えてくだ さり、恐ろしいバルドウの難関を越えさせてくださいますように祈ります。 どうか私を正しく完全な仏の境地にお連れくださいますように》 さまよ りんね じねんしようとく 《激しい習癖を作る力のために私が輪廻し彷徨っているときに、サハジャ ( 自然生得 ) スーラ じみようしゃ の叡知の明るい光の道へと、猛者であるヴィディャーダラ ( 持明者 ) たちがお導きくだ さいますように。女尊ダーキニーたちが私を背後から支えてくださり、恐ろしいバルド ウの難関を越えさせてくださいますように祈ります。 書 文 の どうか私を正しく完全な仏の境地にお連れくださいますように》 願 さまよ の《激しく錯乱させる幻影のために、私が輪廻し彷徨っているときに、恐怖・戦慄・おの 属 付のきの気持ちを捨てさせる明るい光の道へと、寂静尊と忿怒尊の神群がお導きください ー・ダーキニーが私を背後から支えてくだ 三ますように。女尊 ' ダートウヴィーシ = ヴァリ 第 さり、恐ろしい。ハルドウの難関を越えさせてくださいますように祈ります。 じゅ そねみ りんね

8. チベットの死者の書

どうしてそうでないことがあろうか〉 と、述べておられるのである》 トエ ドルチェンモ 「 ( ルドウの聴聞による大解脱の根本詩句』は、人々が輪廻に転々としているあいだは終 わりとなることがない。 ドルギメン 第三章「ハルドウの難関からの脱出を祈願する文』 イダムダーキニー 《師僧・守り本尊・明妃の神群に帰依を申し上げます。 大きな情愛をもって私たちを道にお導きくださいますようにお願い申し上げます》 さまよ りんね 《錯乱の結果、私が輪廻し彷徨っているときに、聴聞と思索と実践 ( 聞・思・修 ) の三 ギュッパ つからできている、心を惑わせることのない光の道に、尊い教えの伝統に連なる師僧た 書 のちがお導きくださいますように。女尊であるダーキニーたちが私を背後から支えてくだ のさり、恐ろしいバルドウの難関を越えさせてくださいますように祈ります。 どうか私を正しく完全な仏の境地にお連れくださいますように》 りんね おろかさ 《自分の持っ根強い無知のために私が輪廻し彷徨っているときに、仏の世界 ( 法界 ) の 叡知の明るい光の道に、尊い御方であるヴァイローチャナ ( 毘盧遮那 ) 如来がお導きく タン ツアツイク さまよ ラム りんね

9. チベットの死者の書

を達成できた者は多くあった。このようにして解脱できた者たちは多数あったのだが、生 おお けがれ きとし生けるものの数は無数である。悪いカルマン ( 業 ) の影響が強く、罪垢が厚く覆っ じつけ ている者もいる。悪い習癖を作るカ ( 習気 ) の影響を長期間受けていた者もいる。これら おろかさ の者たちの無知と錯乱の交互の繰り返しは増大することもないが、尽きることもない。そ りんね こでこのように細かにお導きを受けても、解脱できないでさらに下方の輪廻の境涯に彷徨 う者は多数にの・ほる。 寂静尊の群とヴィディャーダラやダーキニーのお迎えが終わった後で、燃えたつような 五十八の血をすする忿怒尊の神群が、前の寂静尊が姿を変えたものとして現われてくるで あろう。今や、前のバルドウにおける現出とはまったく異なっている。これは忿怒尊のバ ルドウにおける現出である。死者は恐怖と戦慄とおののきの三つに支配されてしまい、現 さと 出するものの本体を覚ることは難しくなるであろう。死者は意識を自制できない。失神し さと たり、くらくらになる思いがする。ほんのわずかでも覚ることができれば、解脱は容易で ある。なぜかと言えば、恐怖させ、戦慄させ、おののかせる幻影が現われると、死者の意 識は迷ったり錯乱したりすることがなくなって、かえって以前より意識が一点に集中でき トエ るようになるからである。この時にこの「ハルドウにおける聴聞による大解脱』の教えと 巡り合うことがないならば、他の教えを大海のように多く聴いたとしても何の役にもたた ) 」う ドルチェンモ

10. チベットの死者の書

・ノくノレトウ 第一巻チカエ・ノくルドウとチョ工 授けられる教誡とは、聴くだけで解脱させるものである。見るだけで解脱させるものなの である。 ドルチェンモ 以上で、『。 ( ルドウにおける聴聞による大解脱』と名づけられる書の『チョ = = ・ ドウ ( 存在本来の姿の中有 ) のお導き』を終える。 奧書およびダーラニー ( 陀羅尼 ) これは、完全なる悟りの境地 ( 悉地 ) を完成させたカルマリン。 ( がセルデン河畔のガム ポリ山からもたらした書である。 = サルヴァマンガラム ( 梵語で〈すべては吉祥にてあれ〉の意 ) 五つの大罪 ( 五逆罪 ) 母を殺し ( 殺母 ) 、父を殺し ( 殺父 ) 、聖者を殺し ( 殺阿羅漢 ) 、修行僧の集団を分裂さ せ ( 破和合僧 ) 、仏の身体を傷つけて血を出す ( 出仏身血 ) 。地獄に堕ちるとされる五つの重罪。異説あり。 仏になるための準備 ( ニ資糧 ) 悟りに向かうもとでとなるもので、布施や持戒などの福徳資糧と、般若の知 慧を獲得する智慧資糧の二つ。ダーラニー ( 陀羅尼 ) 総持。「記憶に留める」という原義から、密教で神秘 力をもっとされる呪文。セルテン河畔のガムボリ山中央チベット東部のタクポ地方にある岩山。ガムボダ ルともいわれる。 おしえ ゴトエ トエ