どうか私を正しく完全な仏の境地にお連れくださいますように》 くうだい 《ああ、虚空の元素 ( 空大 ) が私の敵として立ち上がることなく、紺青色の仏の国土が 見えてきますように》 《水の元素 ( 水大 ) が私の敵として立ち上がることなく、白色の仏の国土が見えてきま すように》 《地の元素 ( 地大 ) が私の敵として立ち上がることなく、黄色の仏の国土が見えてきま すように》 《火の元素 ( 火大 ) が私の敵として立ち上がることなく、赤色の仏の国土が見えてきま すように》 《風の元素 ( 風大 ) が私の敵として立ち上がることなく、緑色の仏の国土が見えてきま すように》 《虹の色彩の元素が私の敵として立ち上がることなく、諸仏の国土が見えてきますよう 《音響・色彩・光線の三者が私の敵として立ち上がることなく、寂静尊と忿怒尊の広大 な国土が見えてきますように》 《すべての音響を自分自身の明りであると、覚るべきである》 さと 166
だいびるしゃな ーチャナ ( 大毘盧遮那 ) 如来男女両尊が、前と同じように現われる。 東方のアビラティという仏国土 ( 妙喜国 ) からヴァジュラサットヴァ ( 金剛薩 ) 男女 両尊が、彼らを取り囲む神々 ( 諸眷属 ) と共に現われる。 南方のシュリー マットという仏国土 ( 極妙国 ) からラトナサムバヴァ仏男女両尊が、 彼らを取り囲む神々と共に現われる。 西方の パドマクータ・スクアーヴァティーという仏国土 ( 蓮華積・安楽国 ) からアミ ャプュム バ仏男女両尊が、彼らを取り囲む神々と共に現われる。 ャプュム 」方のカルマクータという仏国土 ( 業積浄土 ) からアモーガシッディ仏男女両尊が、 彼らを取り囲む神々と共に、虹の光の奥から汝に向かっていま現われるであろう。 ャプュム ああ、善い人よ、これら五仏のそれそれの男女両尊の外周には、門衛の忿怒神ヴィジ ャヤ ( 毘闍耶 ) 、ヤマーンタカ ( 閻曼徳迦 ) 、ハヤグリーヴァ・ラージャ ( 馬頭 ) 、アムリ かんろぐんだり ーシャー ( 索 ) 、シ タクンダリン ( 甘露軍荼利 ) と、女の門衛であるアンクシー ( 鉤 ) 、 ュリンカラー ( 鎖 ) 、ガンター ( 鈴 ) と、天界の聖仙であるインドラ ( 帝釈仏 ) と、アス ラの聖仙であるヴェーマチトラ ( 毘摩質多羅仏 ) と、人間界の聖仙であるシャーキャシ ンハ ( 釈迦種師子仏 ) と、畜生界の聖仙であるドルヴァシンハ ( 堅固師子仏 ) と、餓鬼界 の聖仙であるジュヴァーラムクア ( 焔ロ仏 ) と、地獄の聖仙であるダルマラージャ ( 閻 ャプュム しよけんぞく こん′」うさった ャプュム 0
ニ日目 けがれ また、このようにお導きを受けても、瞋恚と罪垢という欠点を持っているために光明に おののいて逃げ出し、祈願の言葉を唱えながらも錯乱しているならば、二日目にはヴァジ こんごうさった ュラサットヴァ ( 金剛薩 ) の神群と地獄の悪いカルマン ( 業 ) の二つが汝に会いにやっ てくるであろう。 この時のお導きは、死者の名を呼んだあとで以下のように告げる。 「ああ、善い人よ、心を惑わされることなく聴くがよい。二日目には、水の元素 ( 水 知の明るい光の道に、尊い御方であるヴァイローチャナ仏がお導きくださいますよう に。そして女尊ダートウヴィーシュヴァリ ーが私の背後から支えてくださり、恐ろし : 、ルドウの難関を越えさせてくださいますようにお祈りいたします。 どうか私を正しくて完全な仏の境地にお連れくださいますように》 と、激しく熱心にこの祈願の言葉を唱えることによって、汝はヴァイローチャナ男女両 尊の心臓の中に虹の光となって溶け入り、マンダラ ( 曼荼羅 ) の中央のガナヴィュー みつごんじようど ほうじん という仏国土 ( 密厳浄土 ) においてサムボーガ・カーヤ ( 報身 ) を得て仏となるであろ かり ) 」う ャプュ
おごり 眼をやらずに慢心を捨て去るべきである。習癖を作る力を捨て去るべきである。これに 執着してはならない。求めてはならない。黄色に輝くかの光に敬慕の気持ちを寄せるべ きである。ラトナサムバヴァ如来に心を向けて、以下の祈願の言葉を唱えるべきである。 さまよ おごり りんね 《ああ、私が激しい慢心のために輪廻し彷徨っている時に、すべてのものの平等なこ びようどうしようち とを理解する知恵 ( 平等性智 ) の明るい光の道へと、ラトナサム、、ハヴァ如来がお導き くださいますように。女尊マーマキーが背後から支えてくださり、恐ろしい の難関を越えさせてくださいますようにお祈りいたします。 正しくて完全な仏の境地にお連れくださいますように》 と、強く敬慕の気持ちを寄せてこの祈願の言葉を唱えることによって、ラトナサムバヴ ャプュム ア如来男女両尊の心臓の中に虹の光となって溶け入り、南方のシュリーマットという仏 国土 ( 極妙国 ) においてサムボーガ・カーヤ ( 報身 ) を得て仏となるであろう 四日目 またこのようにお導きを何回受けても、大罪人などや誓いを守る意志の弱い者など、仏 さと むさぼり けがれ との縁の薄い人たちは、それでもまだ覚ることができないであろう。彼らは貪欲と罪垢に よって惑わされ、音響と光明とを恐れて逃げ出す。そして四日目において、アミター ほうじん
五日目 これによっても解脱することができないものは、およそ少ないであろう。しかしこのよ うにお導きを受けても、人によっては悪い習癖を作る力と長年の間結びついていた結果、 この悪い習癖を作る力を捨て去ることができないで、嫉妬と悪いカルマン ( 業 ) のために 音響と光明に恐れおじける気持ちを生じてしまうであろう。慈悲の光明の鉤針にかからず さまよ にさらに下って五日目にまで彷徨って行くであろう。この時に尊い御方であるアモーガシ ふくうじようじゅ ッディ ( 不空成就 ) 如来の神群が、慈悲の光明を伴ってこのような人たちに会いにおいで むさばりそねみ あしゆら になるであろう。また、貪欲と嫉妬から生じたアスラ ( 阿修羅 ) の薄明りの道も現われる であろう。 この時においても、お導きがなされるべきである。死者の名を呼んだあとで以下のよう に告げるべきである。 「ああ、善い人よ、心を惑わされることなく聴くがよい。五日目には、風の元素 ( 風 大 ) からなる浄化の働きをする緑色の光明が現われるであろう。その時に、北方の緑色 ′」うしやくじようど のカルマクータという仏国土 ( 業積浄土 ) から、尊い御方であるアモーガシッディ如来 ( 安楽国 ) においてサムボーガ・カーヤ ( 報身 ) を得て仏となるであろう ほうじん そねみ ごう ふう
さと 《バルドウの幻影をすべて自分自身にほかならないと、みずから覚るべきである》 《仏の三身の国土を、自分の目の前に実現すべきである》 ケンポ ンラム ドルギメ 「 ( ルドウの難関からの脱出を祈願する文』と呼ばれる、オーギエン地方出身の和尚であ りんね る、 ハドマサムバヴァ ( 蓮華生 ) がお作りになった書は、人々が輪廻に転々としているあ いだは終わりとなることがない。 ラムジクキョブマ 第四章『バルドウの恐怖からの守護を祈願する文』 《ああ、私の寿命の残りが尽きてしまったときに、この世界から先には近親縁者は私と さまよ 一緒に行くことができないので、私がたった一人で、、 ( ルドウを彷徨わなければならない。 書この時に、勝れた御方である寂静尊と忿怒尊が慈悲の御力を発揮されて、無知の闇の暗 の黒を取り除いてくださいますように》 さまよ の《愛する友と離れて、たったひとりで彷徨うときに、自分自身の投影にほかならない、 ′、う 付空が姿と形をとったものが現われる。今この時に、もろもろの御仏が慈悲の御力をお与 巻 第 和尚ウ。 ( ーディャーヤ。弟子たちに戒を授け、彼らの師匠となる資格をもった高僧。 れんげしよう おろかさ 167
魔法王仏 ) といった、尊い御方 ( 世尊 ) の六聖仙もまた現われるであろう。サマンタバ ドラ ( 普賢 ) とサマンタバドリー ( 普賢母 ) 、すなわちすべての仏たちの総祖先である普 ャプュム 賢男女両尊もまた現われるであろう。サムボーガ・カーヤ ( 報身 ) の神群四十二尊が汝 自身の心臓の奥から外に出てきて、汝の目の前に現われるであろう。これらを《汝自身 の純粋な投影が現出したものである》と知るべきである。 ああ、善い人よ、これらの仏の世界 ( 仏国土 ) は何か特別のものとして別に存在して いるのではない。 これらの仏の世界は、汝自身の心臓の四方と中央との、合わせて五方 向に存在しているものなのである。汝の心臓の中からいま、外に出てきて汝の目の前に = 現われているものなのである。またこれらの仏の身体も何か特別のものから現われたも 工 のではない。汝自身の意識の自然で自由な働きによって作り上げられたものである。そ チ さと と のようなものであると覚るべきである。 ああ、善い人よ、これらの仏の身体は大きくも小さくもなく、ちょうど均整がとれて いる。これらの仏たちの装飾品・衣装・身体の色・坐っている形および乗物には、それ 工 カ チぞれの仏の印章がついている。彼らにはそれそれの女尊が伴っていて、全部で五組の対 巻 第 すべての仏たちの総祖先ダルマ・カーヤ ( 法身 ) の普賢男女両尊は時空を超えて存在し、すべての仏たちを 生み出す、万物の父であり、母であるとされる。 ・ノく / レドウ ふげん せそん ほうじん
に対して恐れとおびえの気持ちを起こして、今日に至るまで解脱できすに残っているの である。 さと 汝がこれらの五仏の叡知自体の現われを自分の姿にほかならないと覚ったのであるな らば、五仏はそれそれの時に汝の身体に虹の光となって溶け入り、汝はサムボーガ・カ ほうじん ーヤ ( 報身 ) を得て仏となったであろう。しかし汝はそのように覚ることはなかったの で、今日こ をいたるまでここに彷徨を続けているのである。 今こそ、心を惑わされることなく見るべきである。今こそ、五仏すべてが一斉に完成 された姿をとって現われるであろう。四つの知恵 ( 四智 ) すべてが一緒になった姿をと って現われるであろう。これらすべてが同時に汝に会いにやってくるであろう。そのこ とを覚るべきである。 ああ、善い人よ、四つの元素 ( 四大 ) からなる浄化の働きをする四色の光明が現われ るであろう。 その時に、中央のティクレーダルワという仏国土 ( 精滴弘播国 ) からマハーヴァイロ ふくうじようじゅ 五仏毘盧遮那・阿閾・宝生・弥陀・不空成就の五仏。金剛界の五仏と同一。四つの知恵 ( 四智 ) 大円鏡 第智・平等性智・妙観察智・成所作智の四つの仏の知恵。四つの元素 ( 四大 ) 地大・水大・火大・風大の四 大種 ( 四つの元素 ) 。「五大」 ( 三十頁の表 ) 参照。 ・ノくノレドウ さと あしゆく はうしようみだ しだい さと
工 ョ 三日目 チ おごり けがれ ウ また、このようにお導きを受けても慢心と罪垢の大きい人の場合には、慈悲の光明の鉤 ほうしよう ル 針を恐れて逃げ出すので、さらに三日目に尊い御方であるラトナサム、、ハヴァ ( 宝生 ) 如 一来の神群と人間界の光の道の二つが会いに現われるであろう。 カ チ この場合もお導きは、死者の名を呼んだあとで以下のように告げる。 巻 「ああ、善い人よ、心を惑わされることなく聴くがよい。三日目には、地の元素 ( 地 第 大 ) からできている浄化の働きをする黄色の光明が現われるであろう。その時に、南方 ・ノ、ノレドウ ( 大円鏡智 ) の明るい光の道へと、尊い御方であるヴァジュラサットヴァがお導きくだ さいますように。女尊ブッダローチャナーが背後から支えてくださり、恐ろしいバル ドウの難関を越えさせてくださいますようにお祈りいたします。 正しくて完全な仏の境地にお連れくださいますように》 と、強く敬慕の気持ちを寄せてこのような祈願の言葉を唱えることによって、尊い御 方であるヴァジ = ラサットヴァの心臓の中に虹の光となって溶け入り、東方のアビラテ ほうじん イという仏国土 ( 妙喜国 ) においてサムボーガ・カーヤ ( 報身 ) を得て仏となるであろ だいえんきようち ち
ある。逃げてはならない。逃げたとしてもこの光明は汝自身に離れることなくついてく るであろう。恐れてはならない。怖気づかせないほどに微弱な餓鬼の黄色の薄明りに執 着してはならない。 むさばり この薄明りは汝の激しい貪欲によって蓄積された習癖を作るカからできていて、捨て 去らなければならない光の道である。これに執着するならば汝は餓鬼の境涯に堕ちて、 堪え難い飢えと渇きの苦悩を味わうであろう。これは解脱の道を妨げる邪魔ものである ので、これに執着してはならない。習癖を作る力を捨て去るべきである。求めてはなら ない。かの明るく輝く赤色の光明に敬慕の気持ちを寄せるべきである。アミターバ如来 ャプュム 男女両尊に対して心を集中し、以下の祈願の言葉を唱えるべきである。 さまよ むさばり 《ああ、激しい貪欲のために私が輪廻し彷徨っている時に、すべての対象を正しく観 みようかんざっち 察する知恵 ( 妙観察智 ) の明るい光の道へと、アミター。 ( 如来がお導きくださいます ように。女尊パーンダラヴァーシニーが背後から支えてくださり、恐ろしいバルドウ の難関を越えさせてくださいますようにお祈りいたします。 正しくて完全な仏の境地にお連れくださいますように》 と、激しく熱心に祈願の言葉を唱えることによって、尊い御方であるアミターバ如来男 第」プュム 女両尊の心臓の中に虹の光となって溶け入り、西方のスクアーヴァティーという仏国土 ・ノくノレトウ りんね げだっ