ウエスチングハウス - みる会図書館


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1. 世界「倒産」図鑑 波乱万丈25社でわかる失敗の理由

その「原発ルネサンス」と呼ばれた大波に何としても乗りたかった東芝は、最終的に 6 6 0 0 億円もの大金を投じてウエスチングハウスを買収したのでした。 瀕死の状態だったウエスチングハウスは東芝からの支援を受け、 10 0 0 という社運 を賭けた新型加圧水型原子炉の開発と、アメリカへの売込みという勝負に出ます。 しかし、その矢先に起きたのが、 2011 年の福島原発事故でした。これにより、世界の 原発建設計画はほとんどが中止または凍結されます。そしてアメリカ国内での安全基準は大 中に引き上げられ、 10 0 0 についても 1 基あたりの建設コストは 2 0 0 0 億円から 1 兆円レベルに膨らみました。アメリカを最大のマーケットと考えていたウエスチングハウ スの計画はここで大きな壁にぶつかります。「 2015 年までに世界で基を販売」という 野心的な目標はこの段階でほぼ不可能になりました。 追い込まれたウエスチングハウスに新たな問題が生じます。 AP1000 の施設建設は 0 & —ストーン & ウエプスター ( & ) とともに進めていましたが、ここで生じたコスト増 大分をどちらが負担するか、ということで、係争が発生したのです。 AP1000 はこの両社が裁判で揉めている限りは前進せず、赤字が膨らむ一方。まさに 泣き面に蜂の状態です。しかし、追い込まれたウエスチングハウスは係争相手である & を 2 億 3000 万ドルで買収するというとんでもない賭けに出ます。既に 3 年近くも遅れて 、新たな安全基準の追加コストが減 いるプロジェクトが買収によって急に進むわけでもなく るわけでもありません。係争によってウエスチングハウスの財務状況が露呈することを防ぐ ための強引な買収以外の何物でもありませんでした。 ウェスチングハウス

2. 世界「倒産」図鑑 波乱万丈25社でわかる失敗の理由

間違えた のか ? 自社技術への過信と、他社を 寄せ付けない孤高主義の限界 このウエスチングハウスの倒産劇は、原発というコントロールのしにく、 し環境変化に大き く左右されるビジネスであるため、一概に語ることは難しいものがあります。もし東日本大 震災が起きていなければ、そして福島第一原発での事故が防げていたら、ウエスチングハウ スの運命は変わっていた可能性もあります。原発を代表とするエネルギー業界は、一発の大 きな事故がその後の業界のルールを変えることがあり、常に大きなリスクを抱えた状態です。 そういう意味では、今回のウエスチングハウス倒産の直接的な要因は、東日本大震災という 極めて稀有なインパクトの災害がこのタイミングで起きてしまったことにあるでしよう。 しかし、一方で、震災がなければ順調だったのかと一一一口えば、そうではなかったはずです。 それは、ウエスチングハウスが抱える「技術力に対する過信」や「リスクファクターの軽視」 という、この業界において致命的とも言えるマネジメントの姿勢が見え隠れするからです。 しかし、このような時間稼ぎにも限界が訪れます。 10 0 0 が八方塞がりとなった ウエスチングハウスは、 2017 年 3 月、とうとう連邦倒産法第Ⅱ章を申請したのでした。 過去の亡霊」型 成功体験が強過ざて、そこから抜け出せずに変わる決断ができない

3. 世界「倒産」図鑑 波乱万丈25社でわかる失敗の理由

エネルギー業界というのは、絶えず自然災害の不確実性と向き合う必要があるからこそ、自 身の技術力の限界を常に疑いながら、リスクに対して真摯に備える必要があります。 しかし、ウエスチングハウスのマネジメントは残念ながらそうはなっていませんでした。 自社が持っの技術に絶対的な自信を持ち、他の意見を寄せ付けない頑なな姿勢は 「ピッツバーグ・モンロー主義」と揶揄されるほどでした。その姿勢は買収後、親会社となっ た東芝に対しても向けられます。特に東芝はにおいては技術的な蓄積がなく、アメリ 力での販売実績もありません。「アメリカで最初の商用原発を動かした会社」という強いプ ライドを持っウエスチングハウスは、東芝を格下に見て一一一一口うことを聞きませんでした。 その象徴的なことは、 2 014 年にウエスチングハウスが中国企業とアライアンスを組ん でトルコ原発の優先協議権を獲得した案件です。中国企業への技術の流出の可能性など、慎 重になるべきイシューを含んだ意思決定であるにもかかわらず、この人札について、親会社 である東芝には事前に一切知らせず、ウエスチングハウスは独自で入札を決めてしまうので す。東芝は本件の経産省からの事実確認に対して何も答えられなかったと言います。東芝側 の経営関与の甘さに問題があったことは間違いないでしようが、一方で孤高主義と言われる ウエスチングハウス側の独善的な姿勢もうかがえるエピソードです。 ウエスチングハウスの倒産は、震災が大きな影響を与えたことは間違いないでしよう。し かし、仮にそれが起きなかったとしても、このリスクの高い業界で生きていく限りにおいて、 この技術力に対する過信、そしてそこからくる孤高主義のマネジメント体質を抱えている限 りにおいては、経営再建は難しかったと言えるのではないでしようか。 ウェスチングハウス 1 0 0

4. 世界「倒産」図鑑 波乱万丈25社でわかる失敗の理由

オし = をのよ・ - ム ぼ & 6 99 2 の 6 〃 ウエスチングハウス 倒産 に学ぶ 3 つのポイント 自分の技術に限界がある以 上、いかに「他者」とうまく協 力できるかかポイントになる 全てにおいて完全なことはあ り得ない。自分たちの「技術の 限界」を理解しよう 自分が持っ技術だけを頑なに 信じる姿勢は、不測の事態が 起きた時の動きを鈍くする ウェスチングハウス

5. 世界「倒産」図鑑 波乱万丈25社でわかる失敗の理由

しかし 1990 年代に人ると苦境が待ち受けていました。本業が振るわず、新規事業とし ての不動産金融にも失敗して 1991 年だけでⅡ億ドルもの赤字を計上するのです。が 19 81 年に O O に就任したジャック・ウエルチの手腕で大きく飛躍する一方、ウエスチ ングハウスは変革に大きく後れをとりました。 そこで、 19 9 3 年にウエスチングハウスも元マッキンゼーでペプシコ O O だったマイ ケル・ジョーダンをに据え、大手術に出ます。本格的に製造業から脱却し、将来性の あるメディアに賭ける、という大胆な意思決定をするのです。 19 9 5 年にはアメリカを代 表する放送局であるを億ドルで買収。 1997 年には既存の製造部門を「ウエスチ ングハウス・エレクトリック・カンパニー (> 0) 」として別会社化し、資本関係を切 り離します。を買収した本体は、メディア専業となり、ウエスチングハウスの名前を 消して、と改称して再出発を図ります。既に 100 年以上の歴史を持っていたウエス チングハウスは、 1990 年代に来てその企業の形を根底から変えたのでした。 そして、その後に歴史を騒がせて、 しく「ウエスチングハウス」というのは、「事業に将来性 なし」として切り離されたの方になります。 *-a O O は、事業ごとにバラバラにされていきました。重電などの伝統的ビジネス立ロ門 は売却され、 19 9 8 年には発電システム部門をシーメンスに売却、そして原発部門は英国 核燃料会社 ( z =) に「ウエスチングハウス・エレクトリック」の社名を継いでⅡ億ドルで 売り渡されます。 しかし Z :--a もスキャンダルにまみれた状態であり、ウエスチングハウスの買収は Z ウェスチングハウス

6. 世界「倒産」図鑑 波乱万丈25社でわかる失敗の理由

どのようにして 倒産に 至ったのか ? Q-1 1 0 0 0 と いう最後の夢も 東日本大震災によって儚く消える しかし、たとえそのような状況とはいえ、原発をコア事業と定義し、 ( 沸騰水型原子 炉 ) 技術しか持たない東芝にとって、 ( 加圧水型原子炉 ) の技術を持っウエスチングハウ スは、是非とも手に人れたい企業でした。の方が過酷な事故に強いとされ、その強度 が評価されて当時のの世界シェアは 7 割を占めていたのです。 さらに、 2006 年といえば、経済産業省が「原子力立国計画」を発表した年。世界的な 二酸化炭素削減の必要性の高まりを受け、ウランの輸人、加工、原発建設、そして運営まで を日本企業が一貫して手掛けるという「オールジャパン」としての国策が背景にありました。 *-a にとって一発逆転を狙った危険なギャンプルでした。そして、そのギャンプルは見事失 敗。 2 0 01 年にアメリカを襲った同時多発テロによってアメリカで原発を運営するコスト が大幅に高まるなど、原発に対する逆風はさらに強まり、ウエスチングハウスは 2005 年、 から投げ出されるように売りに出されます。ウエスチングハウスの命運は、このよ うに創業から 100 年以上の時を経て、もはや風前の灯だったのです。 「過去の亡霊」型 成功体験が強過ざて、そこから抜け出せずに変わる決断ができない

7. 世界「倒産」図鑑 波乱万丈25社でわかる失敗の理由

とういう たったのか ? 技術イノベーションでアメリカの歴史 に名を刻んだ名門コングロマリット ウエスチングハウス・エレクトリックは 18 8 6 年、発明家であるジョージ・ウエスチン グハウスによって設立されました。創業当初、ウエスチングハウスは、かのニコラ・テスラ をコンサルタントとして雇い、交流送電システムを開発し、トーマス・エジソン率いるゼネ ラル・エレクトリック (c æ) が提案する直流システムと対決します。このテスラ対エジソン の「電流戦争、と呼ばれる戦いに勝利を収めたウエスチングハウスは、多極電動交流機の開 発により、現代のアメリカの電力システムの基礎を作りました。 その技術力を活かし、 1921 年には世界で初めて家庭用ラジオを量産し、 1933 年に はニューヨークのロックフェラーセンターに世界最速のエレベーターを設置しました。 1957 年にはアメリカ初の商用原発 ( Ⅱ加圧水型原子炉 ) を稼働させます。このように、 ウエスチングハウスは数多くの技術的イノベーションを起こし、電力システム、家電製品、 国防関連から金融サービスまで手を広げます。そして 1981 年にはアメリカ最大のケープ ・コーポレーションを買収し、事業を多角化させ、ア ルテレビ会社であるテレプロンプター メリカを代表するコングロマリット企業となりました。 「過去の亡霊」型 成功体験が強過ぎて、そこから抜け出せずに変わる決断ができない

8. 世界「倒産」図鑑 波乱万丈25社でわかる失敗の理由

Encyclopedia 0 「 0b 猷「 uptcy 戦略上の問題編 「過去の亡霊」型 成功体験が強過ぎて、 そこから抜け出せずに変わる決断ができない そごう ボラロイド (D ロー ゼネラルモーターズ プロックバスター コダック トイザラス ウエスチングハウス

9. 世界「倒産」図鑑 波乱万丈25社でわかる失敗の理由

0 ウエスチングハウス 014 013 012 011 010 0 0 9 「脆弱シナリオ」型 事業意欲が先行し過ざて倒産 鈴木商店 不正取引にとどめを刺されて倒産 べアリングス銀行 「不正のトライアングル」に陥り倒産 エンロン ワールドコム自転車操業の果てに倒産・ ギャン。フルに勝ち続けられず倒産 三光汽船 「業界のイス取りゲーム」に負けて倒産 エルピーダメモリ 技術を過一信して倒産 0 9 4 1 0 4 1 2 6 1 3 6 1 4 6 1 5 6

10. 世界「倒産」図鑑 波乱万丈25社でわかる失敗の理由

成功体験が強過ざて、 そこから抜け出せずに 変わる決断ができない 脆弱なシナリオに 依存して、何かが あったら終わってしまう 焦りから許容範囲を 逸脱してしまう マネジメントが アバウト・雑過ぎる 経営と現場の 距離感が遠過ぎて、 組織として 機能していない ボラロイド M G ローバ ゼネラノレモーター 鈴木商店 千代田生命保険 北海道拓殖銀行 山一證券 べアリングス銀行 ス フ、ロックノヾスター コダック トイザラス ウェスチングハウス ワーノレドコム ニ光汽船 工ルピーダメモリ リーマン・プラザーズ スカイマーク 林原 N 〇 V A マイカル 6 シアーズ タカタ コンチネンタル航空