/ 私たちがこの件から学ぶべきは、「焦り」と「リスク管理」の関係性でしょ メ う。当時の拓銀には、現在の私たちには考えも及ばないほどの「焦り」があっ たのだと思われます。都銀としてのプライドと地銀との競争、道内他行との こういったものがない混せになり「融資のス 競争、大蔵省からの圧力 : ピード拡大」という方向に一気に傾倒したのは想像に難くありません。 しかし、そういう局面だからこそ、ネガテイプなことを言ってくれる人の 存在はしつかり担保しなくてはならないことを教えてくれます。焦りに対し てストップをかける人はいるのか ? そういう人に対してしつかり感謝をし ているのか ? そういったリスク管理の体制が非常に緩く曖昧なままに、「焦 に任せて突き進んでいる企業や人は実は多いはずです。 もし心当たりがあるならば、私たちは決してバブル期の企業たちの過ちを 笑うことはできません。拓銀をはじめとするバブルの事例を、「焦りを反映 した組織体制の失敗」として捉えるならば、この一件は未だにオンゴーイン グの事象なのです。 焦りからの逸脱」型 焦りから許容範囲を逸脱してしまう
0 1 6 Encyclopedia0fG10baI Bankruptcg Company NO. 焦りに追い立てられて倒産 「焦りからの逸脱」型 焦りから許容範囲を逸脱してしまう マネジメント上の問題 北海道拓殖銀行
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とのようにして 倒産に 至ったのか ? たくても貸し出し先がない 焦りがリスク案件を増やした 倒産に至るきっかけは、バブル期の経営にあります。 1985 年のプラザ合意以降、度重 なる金利の低下により、「金余り」の現象が続きます。それまでは「貸したくても貸出枠が原 因で貸せなかった。ものが、逆に「相手が借りたくなくても貸し出さなくてはならない」とい うノルマが課せられるようになったのです。金利の変化により、銀行におけるゲームのルー ルが変わった瞬間でした。 さて、大手都銀はそのルールの変化に合わせて、いち早く都内優良案件を押さえに掛かり ます。しかし、拓銀はそうはいきませんでした。メインである北海道は、バブルの到来が遅 かったため、優良の融資案件がそれほどなかったのです。もちろん、都内にも支店がありま したが、 大手都銀の圧倒的リソースの前では勝てません。しかも、首都圏では横浜銀行や千 葉銀行など地銀からも追い上げられていました。 大きな貸出ノルマがある中で、拓銀は融資実績を作るために道内の「インキュべーター案 件」に活路を見出します。平たく言うと、道内の新興企業を育成する、という方針ですが、 結局は実績が未知数のリスク案件に他なりません。 1990 年に最高益を出した拓銀ですが、 北海道拓殖銀行 1 8 0
0 1 7 EncyclopediQ0fG10baI Bankruptcy Company NO. 見たいものしか 見ずに倒産 「焦りからの逸脱」型 焦りから許容範囲を逸脱してしまう マネジメント上の問題 上にい 千代田生命保険 1 8 6
EncyclopediaofG10baIBankruptcg マネジメントの問題編 「焦りからの逸脱」型 焦りから許容範囲を逸脱してしまう 山一證券 北海道拓殖銀行 千代田生命保険 リーマン・プラザーズ 「大雑把」型 マネジメントがアバウト・雑過ぎる マイカル Z 〇 > < 林原 スカイマーク
EncyclopediaofGIobaI Bankruptcy 〔 ompany NO. z マネジメント上の問題 焦りから許容範囲を逸脱してしまう 「焦りからの逸脱」型・ っかめず倒産 リスクの正体を 0 1 8 も E や ~ 上あご ' せ 0 。 0 リスク ソほ ( 恥ー 9 リーマン・ プラザーズ 1 9 8
戦略上の間題は、「過去の亡霊」型と「脆弱シナリオ」型に分けています。 「過去の亡霊」というのは、一度成功した企業が、その成功経験の亡霊に惑わされて、重要 な戦略変換のタイミングで二の足を踏んで変われずに倒産してしまったパターンです。『イ ノベーションのジレンマ』という書籍の通り、やはりこのパターンでの倒産事例が一番多 かったことを認識しました。一方の「脆弱シナリオ」型というのは、そもそもの戦略の成功 確率が低過ぎて、結果的に失敗してしまったパターンになります。確率の低いギャンプルで 勝負して、やつばり負けてしまった、という事例が中心になります。 戦略というよりもその運用方法、つまり「マネジメント」に間題があった倒産パターンも 数多くあります。 1 つの代表例が「焦り」によるもの。競合との戦いに必要以上に焦ってしまい、一線を越 えて加速し、自滅してしまうパターンです。もう 1 つのバターンが、マネジメントが「大雑 把」過ぎる場合。戦略はいくら正しくても、その後のフェーズで適切な運営ができなければ うまくいくものもいきません。そして最後が「機能不全」型。これは、典型的には、トップ と現場の距離感が離れ過ぎていて、組織としての機能不全を起こし、それが理由で倒産に 至ったパターンです。 要因が組み合わさっているものが多く、明確に分けられるものではありませんが、敢えて ハターン分けをするからこそ自分たちが何に気をつければよいのか見えてくるものもあると 考えています。